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更新日:2022年9月7日

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知事議会提案説明(提案説明 令和4年第3回定例会)〔9月提案〕

令和4年第3回定例会(提案説明)

 本日、提案しました令和4年度補正予算案並びにその他の諸議案について、その概要をご説明申し上げるとともに、併せて当面の県政に対する所信の一端を申し述べたいと思います。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症についてです。
 本県の感染状況は、7月下旬以降、新規感染者数が連日15,000人を超え、これに伴い発熱外来がひっ迫し、8月に入ってからは中等症・軽症の確保病床の利用率も9割を超える厳しい状況が続きました。
 こうした状況の中、高齢者や基礎疾患を有する方など重症化リスクの高い方々に適切な医療を提供していくためには、必要な病床をしっかりと確保することが何よりも重要です。
 このため県では、中等症・軽症の病床確保フェーズを段階的に引き上げるとともに、これまで新型コロナウイルス感染症患者を受け入れていなかった医療機関に対しても受入れの要請を行い、病床の拡大を図ってきました。そして、重症化リスクが低い方には、医療機関を受診しないで自宅で療養する「自主療養届出制度」を積極的に活用していただくことで、発熱外来のひっ迫改善にも取り組んでいます。
 また、新規感染者数の増加を防ぐため、8月2日に「BA.5対策強化宣言」を発出し、一人ひとりの基本的な感染防止対策の徹底や、ワクチン接種の積極的な検討などについて、県民、事業者の皆様に改めて協力をお願いしています。
 しかし、これらの取組を進めてもなお、医療提供体制のひっ迫は改善されず、医療機関や保健所の負担が課題となっています。この負担を軽減するためには、一人ひとりの患者の属性から症例まで多くの情報を保健所で把握する方法、いわゆる全数把握を見直すことが必要です。
 現在、この見直しに向け、医療関係者のご意見を伺うとともに、国とも調整を進めていますが、全数把握の見直しは、単に医療機関等の負担軽減にとどまらず、新型コロナウイルス感染症対策の「出口戦略」に踏み出す第一歩として大変重要な意義を持つものと考えています。
 これまでの新型コロナウイルス感染症対策では、「コロナ」と「コロナ以外の疾病」とを明確に区分してきました。医療の現場においてもコロナを特別な病気と位置付け、通常の医療を犠牲にしながら対応してきましたが、今後は、通常の医療の中で、他の疾病と同様に重症度に応じて対応することで、コロナとの共存を前提とした「持続可能な医療提供体制」を築いていくことが重要ではないでしょうか。
 もとより、こうした「出口戦略」は性急に実現できるものではありません。まずは、全数把握の見直しをしっかりと実現した上で、専門家や医療関係者のご意見を伺い、県民の皆様のご理解を得ながら、ステップを踏んで段階的に移行していくことが重要です。国においては、全数把握の見直しに向け、運用上の課題を整理するとともに、将来を見据えた「出口戦略」の全体像や、その実現のためのロードマップを早急に検討し、示していただきたいと考えています。
 本県では、「ヘルスケア・ニューフロンティア」など様々な取組を礎に、40を超える「神奈川モデル」を生み出し、全国をリードする先進的なコロナ対策を積み重ねてきました。新型コロナウイルスへの対応が大きな局面転換を迎えようとしている中、県としても、次なるステージを見据え、未来志向で課題の解決に取り組んでまいります。
 次に、「当事者目線の障がい福祉」についてです。
 今定例会に提案しました神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例案は、オール神奈川で当事者目線の障がい福祉を進めていくための基本的な規範として制定するものであります。そして「障がい者が障がいを理由とするいかなる差別や虐待を受けることなく、自分の望む暮らしができ、障がい者のみならず誰もが喜びを実感できる地域共生社会の実現」を目指す姿として掲げています。
 この条例の議論が始まった昨年9月以降、私自身、障がい当事者の皆様との対話を重ねてきました。また、県議会や市町村、関係団体の皆様からも様々なご意見をいただいてまいりました。
 特に、県議会の皆様からは、条例素案に対し、「人材確保に関しては踏み込んだ規定にすべきである」、「支援する人の職場環境や処遇改善、心身のケアなども重要」、「ケアをする家族など、関わる人に対するケアが必要」など大変貴重なご意見をいただいたところであり、今回提案した条例案には、これらのご意見をしっかりと反映しています。
 障がい者一人ひとりの心の声に耳を傾け、支援者や周りの人が工夫しながら支援することが、障がい者のみならず障がい者に関わる人々の喜びにつながります。その実践こそが当事者目線の障がい福祉であり、本条例はこれを実現するための大きな礎になるものと確信しています。本条例を規範に実効性のある取組をオール神奈川で展開し、どんな障がいがあっても、みんなのいのちが輝き、誰もが安心していきいきと暮らすことのできる地域共生社会の実現を目指してまいります。
 次に、ねんりんピックかながわ2022についてです。
 ねんりんピックは、高齢者を中心としたスポーツ、文化、健康と福祉の総合的な祭典で、本県での開催は初めてとなります。県内各地で開催される交流大会では、スポーツ種目や、囲碁や俳句といった文化種目など32の種目が行われるほか、山下公園周辺では一般の方も参加できる「ねんりんピックかながわ2022スマイリングフェスタ」が開催されます。
 大会のテーマとして、「神奈川に 咲かせ長寿の いい笑顔~未病改善でスマイル100歳~」を掲げました。人生100歳時代を誰もが生きがいを持って健康で元気にいきいきと暮らせるよう、健康増進の機運を高め、未病を改善することで笑顔あふれる健康長寿社会が実現することを目指す大会にします。
 また、全国からお越しになる方々を、心を込めたおもてなしでお迎えし、森や川、海が連なる豊かな自然環境と歴史、文化、観光資源などに恵まれ多彩な魅力に富む神奈川を感じていただき、大会に関わった全ての人の心に残る大会にしたいと考えています。
 この大会を盛り上げ、成功させるためには、より多くの方々にねんりんピックに関心を持っていただくことが必要です。
 県ではこれまで、市町村やプロスポーツチームなどと連携して、湘南ひらつか七夕まつりなど県内各地のイベントや試合会場でねんりんピックをPRしてきました。大会まで2か月余りとなりましたが、これからも、ねんりんピック応援大使や広報キャラバン隊も出演する直前イベント「ねんりんオータムフェス」を開催するなど、大会の魅力を大々的にPRし、大会開催の機運を更に高めてまいります。
 さて、ここで、本県の財政状況について、ご報告申し上げます。
 まず、本年度の見通しです。
 歳入面では、県税と地方譲与税について、海外経済の回復により企業収益は好調に推移しており、これに伴う法人二税の増収に加え、個人消費の持ち直しや輸入額の増加に伴う地方消費税の増収等から、現時点で当初予算に対して、税交付金等を差し引いた実質ベースで、約600億円の増収を見込んでいます。
 一方、歳出面では、新型コロナウイルス感染症対策や原油価格・物価高騰対策に加え、自然災害への対応などにも追加の財政需要が生じる可能性があり、影響を注視していく必要があります。
 次に、令和5年度の財政見通しです。
 県税と地方譲与税については、コロナ禍からの経済社会活動の正常化が進んでいることから、4年度当初予算に対し、実質ベースで、約580億円の増収が期待できますが、地方交付税と臨時財政対策債は、県税の増収に伴い減額となるため、一般財源総額の大幅な増額は見込めません。
 また、前年度からの財源については、4年度の税収増などにより一定程度見込まれるものの、今後、追加の財政需要が生じる可能性もあることから、その規模は現時点で確実なものではありません。
 一方、歳出面では、職員の定年引上げに伴う人件費の減や過去に大量発行した県債の償還がピークを越えたことに伴う公債費の減が見込まれますが、高齢者人口の増加等に伴い介護・医療・児童関係費は大幅に増加します。
 以上のことから、令和5年度は、現段階で概ね350億円の財源不足が見込まれています。
 こうした中にあって、令和5年度当初予算については、脱炭素社会の実現や人口減少社会における次世代育成など、喫緊の課題に的確かつスピード感を持って対応するとともに、コロナ禍からの回復を確かなものとするための経済対策や原油価格・物価高騰の影響を踏まえた生活者支援・事業者支援についても、国の対策等と連動した施策を展開していく必要があると考えています。
 それでは、この度提案しました補正予算案についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案では、物価高騰や生活困窮者への対策など、早急に対応する必要がある事業について、措置することとしました。
 まず、物価高騰等対策についてです。
 畜産農家における飼料購入費や光熱費のほか、神奈川食肉センターにおける光熱費の負担増に対する補助について、追加で措置するとともに、一般公衆浴場の営業の健全化、衛生水準の維持・向上を図るため、燃料費及び電気代の負担増に対して補助します。
 また、県内事業者の脱炭素化への取組や原油価格高騰への対応を支援するため、自家消費型の太陽光発電等の導入に対する補助について、追加で措置します。
 次に、生活困窮者対策についてです。
 生活福祉資金特例貸付の申請受付期間が9月末まで延長されたことに対応するため、県社会福祉協議会に対する貸付原資等の補助について、追加で措置します。
 また、コロナ禍における生活困窮者を支援するため、官民連携によるプラットフォームの設置や、NPO法人等の活動を支援する市町村に対する補助について、追加で措置します。
 さらに、生活困窮世帯の若者、ケアリーバー、被虐待経験者など、生まれ育った家庭環境によって、進学や就職に困難を抱える若者たちが安心して社会に巣立つことができるようにするため、NPO法人が行う進学等を応援する活動に対して、企業からの寄附を活用して支援します。
 なお、今回は、6月補正予算で計上した事業等について、追加で必要な支援策を講じますが、国の動向や物価高騰の影響を注視し、県民や事業者の皆様からの声などを受け止め、引き続き必要な支援策を検討してまいります。
 次に、その他の事業についてです。
 燃料価格の高騰等の影響に伴い、県有施設における光熱費などの不足分を措置します。
 また、令和3年度に、緊急避難的な対応として所管区域外に設置した大和綾瀬地域児童相談所について、早期に所管区域内への移転を図るため、移転工事に必要な実施設計を行います。
 さらに、災害時における高齢者施設の機能を維持するため、非常用自家発電設備等の整備を行う事業者に対して補助するほか、令和元年10月の台風19号及び令和3年7月、8月の大雨による被害を受けた林業施設の復旧工事について、国から事業費の増額が認められたため、追加で措置します。
 このほか、厚木市が整備する複合施設について、県機関の入居分に相当する経費を負担するため、債務負担行為を設定します。
 補正予算額は一般会計62億5,700余万円で、財源につきましては、国庫支出金や繰越金などを充当しています。
 また、水道事業会計として、燃料価格の高騰等の影響に伴い、水道施設における光熱費の不足分を措置するほか、寒川第3浄水場特高受電棟の浸水対策工事について、止水扉の構造を強化する必要が生じたことから、事業費を増額するとともに工期を延長するため、債務負担行為を設定します。
 次に、予算以外の案件ですが、今回は条例の制定2件、条例の改正4件、工事請負契約の締結1件、特定事業契約の締結2件、指定管理者の指定3件など、全体で16件のご審議をお願いしています。
 まず、条例の制定ですが、神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例は、「当事者目線の障がい福祉」の推進を図り、もって障がい者が障がいを理由とするいかなる差別及び虐待を受けることなく、自らの望む暮らしを実現することができ、障がい者のみならず誰もが喜びを実感することができる地域共生社会の実現に資することを目的に、所要の定めをするものです。
 また、神奈川県公報による公告の見直しに伴う関係条例の整理に関する条例は、神奈川県公報による公告を義務付けている公表事項について、インターネットの利用による公表を中心とした最適な周知方法の選択を条例上可能とするため、関係条例の整理を図るものです。
 次に、条例の改正ですが、主なものについてご説明します。
 神奈川県県税条例の一部を改正する条例は、不動産取得税の課税において、事務の効率化や事故防止を図るため、登記情報の電子データによる提供を国に要請していたところ、地方税法の一部改正により、令和5年度から、登記情報が都道府県に提供されることとなったことに伴い、当該税目の賦課徴収に関する規定などについて、所要の改正を行うものです。
 条例の改正については、このほか地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例など、3件の改正をお願いしています。
 次に、条例以外の主な案件ですが、特定事業契約の締結は、県営上溝団地及び県営追浜第一団地の整備、入居者移転支援等をPFI事業として実施するため、提案するものです。
 次に、工事請負契約の締結については、一級河川矢上川地下調節池トンネル本体Ⅰ期工事をお願いするものであり、指定管理者の指定は、伊勢原射撃場ほか2件のご審議をお願いするものです。
 このほか、令和3年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定につきましては、監査委員の審査が終了しましたので、ご審議をお願いするものです。
 以上をもちまして、私の説明を終わります。
 細部につきましては、議事の進行に伴い、私もしくは副知事以下関係局長等からご説明させていただきたいと存じます。
 よろしくご審議の上、ご議決くださいますようお願い申し上げます。

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