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更新日:2023年9月7日
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令和5年第3回定例会(提案説明)
本日、提案しました令和5年度補正予算案並びにその他の諸議案について、その概要をご説明申し上げるとともに、併せて当面の県政に対する所信の一端を申し述べたいと思います。
はじめに、新型コロナウイルス感染症についてです。
新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類に移行してから4か月が経過しました。街にはマスクを着用せずに歩く人の姿が多く見られるようになり、箱根や鎌倉など県内の観光地にも大勢の観光客が訪れています。
このように、私たちの日常生活や社会経済活動は徐々に平時に戻りつつありますが、新型コロナウイルスが消滅したわけでなく、将来、新たな感染症が発生し、拡大する可能性も否定できません。
そこで県では、新たな感染症の拡大や大規模災害など、将来の危機事象にもしっかりと対応できるよう、これまでの保健医療分野でのコロナ対応を振り返り、「新型コロナウイルス感染症神奈川県対応記録保健医療編」を取りまとめました。
3年余りに及ぶ新型コロナとの闘いは、まさに暗中模索の連続でしたが、医療機関や市町村などと連携しながら、医療提供体制「神奈川モデル」をはじめ、全国をリードする様々な施策を実施することができました。また、「新型コロナ対策パーソナルサポート」などデジタルツールを積極的に用いることで、限られた人的・物的資源を最大限に活用できる体制を構築してきました。
今後は、こうしたコロナ禍で培った様々な経験や実績を平時の行政サービスに応用するとともに、将来、危機事象が発生した際でも、必要な人に適切な医療が提供され、守られるべき「いのち」を守ることができるよう取り組んでまいります。
次に、当事者目線の障がい福祉についてです。
当事者目線の障がい福祉を実現することは、4期目の県政を担う私の重大な責務であります。特に、不適切な支援が行われてきた県直営の中井やまゆり園の改革は、当事者目線の障がい福祉の成否を左右する重要な課題であり、何としても成し遂げなければならないと考えています。
7月24日、私は中井やまゆり園を訪問し、利用者の皆様に対し、これまでの不適切な支援を謝罪するとともに、今後は、利用者の目線で支援し、笑顔があふれる施設になるよう、県として全力で取り組むことを約束してきました。利用者の方からは、秦野駅前の活動拠点で仕事をするのが楽しいといったご意見をいただくなど、今回の訪問を通じて、園の改革が着実に進んでいることを実感することができました。
こうした改革をさらに進めるため、県では、7月末に「県立中井やまゆり園当事者目線のアクションプラン~一人ひとりの人生を支援する~」を策定しました。今後は、このプランに基づいた取組を実行することで、園と本庁が一体となって改革を前進させていきます。
そして、中井やまゆり園の改革で得られた成果を、他の県立施設や民間施設にも広め、県全体で当事者目線の障がい福祉を実践できるよう取り組んでまいります。
次に、関東大震災100年を契機とした防災意識の向上についてです。
今年は、大正12年9月1日に発生した関東大震災から100年に当たる節目の年であり、本県においても、今月の2日、3日に、関東大震災復興のシンボルである県庁本庁舎を活用し、「かながわ消防防災フェア」を開催しました。関東大震災をテーマとしたメインシンポジウムのほか、VRによる防災体験など様々なイベントを実施し、約1万4千人3の方々にご参加いただくことができました。
また、来る9月17日、18日には、災害への「備え」と「助け合い」の大切さを過去に学び、次世代へつなぐため、「防災推進国民大会ぼうさいこくたい2023」が横浜国立大学で開催されます。
いつ起きるかわからない自然災害から「いのち」を守るためには、「自助」「共助」「公助」の取組が重要です。関東大震災から100年を機に、県民の皆様には、自らの身を守る「自助」、そして、災害時に助け合う「共助」への意識をさらに高めていただきたいと思います。
さて、ここで、本県の財政状況について、ご報告申し上げます。
まず、本年度の財政見通しです。
歳入の主力である県税と地方譲与税については、資源価格の下落による輸入額の減少に伴い地方消費税の減収が見込まれるものの、個人所得や企業収益の増加に伴い個人県民税や法人二税が増収となることから、税交付金等を差し引いた実質ベースで、当初予算編成時の見込みに対して約130億円の増収を見込んでいます。
一方、歳出面では、自然災害への対応など、追加の財政需要が生じる可能性があり、影響を注視していく必要があります。
次に、令和6年度の財政見通しです。
県税と地方譲与税については、引き続き個人所得や企業収益の増加が見込まれることから、5年度当初予算編成時の見込みに対し、実質ベースで約360億円の増収が期待できますが、地方交付税と臨時財政対策債は、県税の増収に伴い減額となるため、一般財源総額の大幅な増額は見込めません。
一方、歳出面では、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い感染症対策費等が減少するものの、介護・医療・児童関係費や県有施設の4更新等に係る経費、公債費が増額となる見込みです。
さらには、デジタルの力を県政課題の解決に積極的に活用するとともに、子ども・子育て支援の取組や、脱炭素社会の実現、当事者目線の障がい福祉の実現など、喫緊の課題に的確かつスピード感をもって対応していかなければなりません。
以上のことから、令和6年度は、現段階で概ね300億円の財源不足が見込まれています。
それでは、このたび提案しました補正予算案についてご説明申し上げます。
今回の補正予算案では、6月補正予算編成後の状況の変化を踏まえ、早急に対応する必要がある事業について、措置することとしました。
まず、物価高騰対策として、農業及び畜産業について、生産コストの上昇による経営の圧迫が依然として続いており、早急な対策が求められることから必要な支援を実施します。具体的には、肥料や飼料価格の高騰による農業者や畜産農家の負担を軽減するため、購入費の負担増に対する補助について、追加で措置します。
次に、子どもに関する取組・政策を社会の真ん中に据える「こどもまんなか社会」を実現するため、県及び県内市町村における「こどもまんなか」の取組を公共交通機関のデジタル広告等で発信し、社会全体の機運を醸成します。
また、県立特別支援学校において、児童・生徒の端末等を整備し、1人1台専用端末による学習環境を確立します。
さらに、介護サービス等の提供体制を維持するため、新型コロナウイルス感染症の療養者が発生した際に必要な介護人材の確保や、感染拡大防止対策等に対する補助について、追加で措置します。
このほか、災害時における高齢者施設の機能を維持するため、非常用自家発電設備の整備を行う事業者に対して補助します。
補正予算額は一般会計で、116億6,100余万円で、財源につきましては、当初予算で計上を留保した県税から21億6,600余万円を充当するほか、国庫支出金及び繰入金を充当し、収支の均衡を図っています。
次に、予算以外の案件ですが、今回は条例の改正7件、工事請負契約等の締結2件、指定管理者の指定3件、和解3件など、全体で16件のご審議をお願いしています。
まず、条例の改正ですが、主なものについてご説明します。
神奈川県県税条例の一部を改正する条例は、地方税法の一部改正により、県が市町村から引継ぎを受けて徴収や滞納処分を行う対象に森林環境税が加えられたことから、同税に関する事務について県税事務所長へ委任することができるよう、所要の改正を行うものです。
条例の改正については、このほか地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例など、6件の改正をお願いしています。
次に、条例以外の案件ですが、工事請負契約等の締結については、県立図書館収蔵館改修工事など、2件をお願いするものです。
また、指定管理者の指定は、由比ガ浜地下駐車場など、3件のご審議をお願いするもので、和解の3件のうち、1件は、交通事故に伴う損害賠償請求事件について、横浜地方裁判所川崎支部から和解勧告があり、これに応ずることとしたく提案するものであります。
このほか、令和4年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定につきましては、監査委員の審査が終了しましたので、ご審議をお願いするものです。
以上をもちまして、私の説明を終わります。
細部につきましては、議事の進行に伴い、私もしくは副知事以下関係局長等からご説明させていただきたいと存じます。
よろしくご審議の上、ご議決くださいますようお願い申し上げます。
このページの所管所属は政策局 知事室です。