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更新日:2025年1月6日
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令和7年 年始あいさつ
日時:令和7年1月6日(月曜) 9時30分から9時50分
皆さん明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。昨年は大変な年明けとなりました。私自身も振り返ってみますと、いきなり高熱を出してしまい、去年の仕事始め式では、ここに来ることができなくて、自宅からのオンラインの参加でありました。それに比べると、今年は天気にも恵まれて、非常に穏やかなお正月となりました。そして奇跡の9連休。私の場合には、途中4日にパーティーがありましたから、9連休にはならなかったですけれども、しっかりと休むことができました。ゆっくりお正月を過ごすということはやっぱりいいことだなと改めて思いました。
そんな中で、いろいろと振り返ってみました。私が知事になって、もう14年になります。14年というと、生まれた子が、中学2年生になっているわけでありまして、この県庁を見てみても、30代半ばより若い人はみんな、知事としては私しか知らないという、ちょっと気の毒のような気もしますけれども、それぐらいの長い時間が経ったのだなといった中で、14年間を振り返ってみる機会にもなりました。
随分県庁も変わったなというのが正直なところであります。私自身、ご承知のとおり、ずっと知事になろうと準備してきたわけではなくて、突然のごとく、知事へと言われて、3週間、いきなり選挙に出て、そして神奈川県知事になったというキャリアでありました。そんな中で初めて来たこの県庁でしたが、驚くことばかり。文化がこんなに違うのか。全然スピード感というものがないと思いました。特にテレビの現場にいたものですから、とにかく時間との戦い。そういう中で、県庁では時間が止まったような、そんな感じがしました。何でこんな時間がかかるのかなと思い、仕事の中身をよく見てみると、上から言われたことをそのまま実行するということが当たり前。どうしてですかと言ったら、そんなこと言わないでとにかくやれ、という上意下達みたいなことが当たり前。そして政策が上に上がって上から否定されるとまた下に戻ってくるという、そういう中で時間ばかりかかるという、そういう非効率的な流れがありました。
皆さん、県庁を目指す人たちというのは、もともと真面目な人が多いですから、一生懸命仕事をなさる。一生懸命仕事をなさるのはいいけれども、こんなことやったのだぞということを世間にアピールするという発想がほとんどないというか、逆に自分たちはこんなことやったのだと言うのはよくないというような、そんな文化がどうもあったような気がしました。私はそうじゃないだろうと、やっぱり県民に理解されてこそ、県政は前に進んでいくのだから、こんなことやったのだ、やるのだということをもっとアピールしようよといった中で、戦略的広報といったものもやって参りました。その仕事のやり方そのものも、上から言われたことをはいと、そのままやる。どうしてですかと、口答えする。そういう文化ではなくて、現場で徹底的にまずは議論しよう。そして一生懸命、原点から考え直そう。そして自分がなるほどそうだなと、納得する。政策決定に関わる全員が徹底的に考え、議論し、納得する。そういう形で政策を進めてこよう。そして、自分たちがやったことに対してはもっともっと世間にアピールをしていこうというようなことでずっとやってまいりました。
それとともに、当時私が驚いたもう一つのことは、誰も挨拶をしない。これは一番驚きました。私はテレビ局にいたものですから、テレビ局というのはいい加減なことはいっぱいありますけれど、挨拶だけは徹底しています。真夜中に会ってもおはようございますというのは、業界用語ではありましたけども、しかし、この県庁来たときに、私が廊下ですれ違う全員に、私自身が、おはようございます、お疲れ様ですと言っているにもかかわらず不思議そうな顔をしながら私を見つめて、通り過ぎていく県庁職員たち。なんというところに来たのだろうと思ったのが正直なところでありました。しかし、すべてのことが、14年で大きく変わったという感じがして、とても私は誇らしく思っているところであります。
「一番でなきゃだめなんですか」という言葉がありました。これは民主党政権時代、蓮舫さんが事業仕分けということがあって、スーパーコンピューターを入れるという議論で、一番高いスーパーコンピューターを入れようという話の中で、「一番じゃなきゃ駄目なんですか」といったのが、歴史的な言葉として残っていますけれども、私自身正直な思い、神奈川県は一番でなければだめだと思っていました。でも振り返ってみて、神奈川県は一番でずっとやってきたのではないのかと、それも誇りに思っているところであります。
例えば、去年1年間考えてみても、ライドシェア、去年の神奈川県タクシー協会の賀詞交換会に行ったときに驚きました。賀詞交換会というのは、お祝いの会ですよね。ところが、垂れ幕がありました。タクシードライバーその家族を泣かすようなライドシェアという名の白タクを断固阻止すべきという決起集会のような賀詞交換会でありました。そんなところから、ライドシェアができるようになるとは誰も思わなかった。しかし、それを成し遂げたのは神奈川版ライドシェア。手を挙げたところから、日本版ライドシェアもできて、まさに一番を走ってまいりました。
去年の暮れに、ある新聞社で記事になっていましたけれども、最近「ベトナム詣で」が始まっていると。もうベトナムだ、ベトナムだと地方自治体が次々とベトナムへ、ベトナムへと。ちょっと待ってくれ。ベトナムは、神奈川県はいつからやっているのかという話の中で、私自身もベトナム政府から友好勲章というものをいただきました。外交関係に尽くした最高位の勲章だというものをいただいた。これは私自身がもらいましたけれども、県庁職員と一緒にやってきた、そのことについてみんなで勲章をもらったと私は思っています。ずっとやってきたことを、みんな今頃になってベトナムだ、ベトナムだと言っている。やはりわれわれは一番を取ってきたのだ。つくづく誇らしく思っているところです。
そして、コロナを振り返ってみても、コロナ対策、われわれは一番を取り続けた。そういった思いでいます。しかも、外部からやってきた職員たちと一緒になって、融合しながらやっている。外部の人たちと一緒にやっていくという流れ。これは、14年前はほとんどありませんでした。しかしそれが、もう皆さん普通のように受け入れている。そして新たな、誰も経験したことないような未曾有の危機に立ち向かうことができた。そして神奈川モデルといったものを40以上つくって次々、次々発信することができた。
でも、これはわれわれが勝手に自負しているだけじゃないということが証明されます。この6月に、このことを描いた映画が公開されます。『フロントライン』という映画です。ダイヤモンド・プリンセス号がやってきた。その中に、たくさんの感染者がいるぞ、どうするんだ。といったときに立ち向かった神奈川県、DMAT。ここから始まった、神奈川県庁の戦い。これの中心となったドラマ。これが映画となって、6月に公開されます。まさにわれわれが1等賞を取ってきたということの証明だと思います。その主役は、このわれわれの医療危機対策統括官でもありました阿南英明先生であります。阿南英明先生が主役、その役をやるのは、小栗旬であります。そして、知事もきっと出てくるだろうなと思ったので、映画関係者に、知事の役は、僕がやってもいいよって言ったんですけども、それは完全に無視されました。しかし、阿南先生はその映画が完成したようでありまして、ご覧になったということでした。それは、ほぼ事実に基づいていたという話もありました。事実に基づいた話をよくぞここまで映画にしたと、阿南先生自身が感心したそうですが、感心すると同時に4回泣いたと言いますから。これは相当楽しみな映画ができたなと思うところであります。この映画が公開されたら、あのときの、コロナとの戦い。ダイヤモンド・プリンセス号に向き合って、われわれが徹底的に戦った戦いぶりというものは、改めて日本全国から注目されることになるのかなと思うところであります。
さて、そういった中で、皆様には様々なお願いもしてまいりました。ジェンダー主流化、ともいき主流化、当事者目線主流化。そういったことをずっと言ってきましたけれども、正直、全部が完全にできているわけではないです。しかし、その意識だけはしっかりと持っていてもらいたいと思うところであります。そういった中で、私自身がともいき主流化とはこういうことなのかということを改めて実感したイベントがありました。
去年の暮れに「ともいきシネマ」を映画館で実現することができました。もともと、どうしてこういうことを始めたのかというと、一昨年の選挙のとき、医療的ケア児のお母様方、お子さま達と当事者とのオンライン対話をやりました。その時にあるお母さんが「私には夢があります。私の息子に一度でもいいから、映画館で映画を見せてやりたいのです」という話をされました。私はその話を聞いてびっくりしました。「映画館で映画を見ることができないのですか」。よく見てみると、そのお子さんは大きな機械をつけている。機械は音がする。そして、医療的ケア児のお子さんは突然大きな声を発したりもする。そういう子どもたちを普通の映画館に連れていくと皆さんに迷惑をかけてしまうのではないかということが気がかりで行けなかったという話を聞いて、びっくりしました。それならばすぐにやろうと言って、一昨年の暮れに、県のあーすぷらざで「ともいきシネマ」を実現しました。大きなストレッチャーに寝たままになっているお子さま、呼吸器をつけたお子さまなど、いろんなお子さまたちも集まってきて、大きな画面での映画を楽しんでくれました。その時の会場には本当に温かい雰囲気が流れました。「ああよかったな」と。でも、お母さんが言っていたのは「映画館で、映画を見たい」。その夢にはまだ届いていないと思いました。そして、映画館で「ともいきシネマ」をやるといったことがわれわれの大きな目標だということで、一昨年の「ともいきシネマ」には映画関係者にも来ていただいていました。それがついに去年の暮れに実現いたしました。茅ヶ崎のイオンシネマ、大きな映画館で、本物の映画、しかも、今、上映中の映画を見てくれました。その時に、来た人たちが本当に嬉しそうな顔をしてくれた。そして、支えている職員たちも、本当に何か嬉しそうな顔をしていた。私が特に嬉しかったのは、そのイオンシネマの幹部から言われました。うちの社員がとっても喜んでいます。こんないい仕事ができるんだって喜んでいますと言われた。感動しましたね。つまり、自分たちが一生懸命やったともに生きる。それをシネマという世界で、ともに生きるということを実際に実現しようとしてみると、支援をされた側はすごく嬉しい。と同時に、その嬉しい顔を見ている支援した側も嬉しくなる。これがわれわれの目指すともいき社会なんだろうなと思いました。
ともいきで言えば、もう一つ大きなイベントが去年ありました。ともいきアート。私の知事室には、このともいきアートがいつも飾られています。リースでわれわれお金を払っているんですけれども、3ヶ月に1回ずつ絵が変わっていきますけれど、全部がともいきアート、障害者の皆さんが書いたアートです。もうどれを見ても、個性溢れる独自の世界感を持った素晴らしいアートが私の部屋を彩ってくれています。そしてこれを一堂に会した大きな展覧会を、これも去年の後半ですけども実現をいたしました。赤レンガ倉庫に飾られた絵を全部見てみると、障害って何のことを言っているのかなってわからなくなるぐらい、素晴らしい芸術作品に溢れていました。そうしたら、そこに来た当事者の皆さんも、本当に充実した、嬉しそうな顔をしてくれていました。普段は人の中にいるのが嫌だ、人と一緒にいるのが嫌だと言っている人が、その展覧会に来たときには、ゆったりしたソファーも用意してあったんですけれども、そこに腰かけて、ずーっとみんなと一緒に見ていた。そんなことは今までなかったとお母さんも驚いていました。それと同時に、ともいき賞をとった9歳の女の子の絵がありました。この絵を見ると、ものすごく大胆な、カラフルな、大きな色彩で、いろんな色がバーッと塗ってあって、小さな色の点がずーっとあるような、とってもダイナミックな絵でした。9歳の子が描いたとは思えない絵でしたけれども、どうやって書いたんだというと、それは視点、視線入力で書いたんだということでした。その子は言葉を私たちの前では発しませんけれども、こんな絵を書いた。そして、そのタイトルも「元気」というタイトルでした。お母さんが言ってくれました。私たちでも、その子どもさんが本当に何を考えているか、なかなか感じることができないけども、表現ができないだけで彼女の中には、こんな素晴らしい世界が広がっていたのか、ということを確認することができて、本当に嬉しいということを言ってくれました。
ともいきアートのパワーといったもの。つまり、われわれが津久井やまゆり園事件で経験した、あのとき植松死刑囚は、「意思疎通ができない人間は生きている意味がない。」と言って次々殺害をしていきました。もしかしたら、われわれが付き合っているその人たちみんな、意思疎通ができない人と思われたかもしれない人たちです。しかし、われわれはずっと付き合ってみて、表現がうまくできないだけ。内面では様々なすばらしい感性、可能性、能力を秘めている。それをどうやって引き出してくるのか、それをうまく引き出せたならば、本人も喜ぶし、引き出せた自分たちも喜ぶ。こういう流れを作っていくというものが、われわれこういった行政に携わっている人間としての最大の喜びではないのかな。そういった意味で、ともいき社会というものをしっかりと皆さんとともに目指していきたいなと思っています。
去年の冒頭、み~~んなDXと言ったことで、「県民目線のデジタル行政でやさしい社会」を実現していきたい、そのように申し上げました。振り返ってみて、まさにDX、デジタル革命は着実に進みつつあります。この流れをしっかりとこれから大きな形に仕上げていくことが、今年の大きな目標になってくると思います。われわれがずっと準備していた防災DXといったものも、去年の元日の能登半島地震で江口CIO兼CDOが現場へ飛んでいって、それを現場で実現をさせました。そして、石川県からも大変な感謝をいただきました。それをまた今度戻ってきて、いざ、神奈川の大きな災害のために備えて今、ブラッシュアップをしているところであります。
ありとあらゆるものが、このDXによってがらっと変わってきます。県庁の仕事のやり方、皆さんには、仕事の断捨離といったことも強く求めましたけれども、この流れは止めないでください。断捨離はさらに進めてください。そして、このDXの流れといったものも、県の皆さんの仕事のやり方の中にもどんどん取り込んでいって、そして効率的な行政も実現していく。そして目指すは、ともいき社会に、さっき私が申し上げたような、みんなの目線にあった、当事者の目線にあった、やさしい社会、これを皆さんとともにしっかりと実現していきたいと思いますので、今年一年また頑張りましょう。よろしくお願いします。ありがとうございました。
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