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更新日:2024年5月28日
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過去の知事記者会見の様子をテキスト版でご覧いただけます。
はじめに、津久井やまゆり園事件追悼式の実施についてです。
県では、8年前の平成28年7月26日に発生した「津久井やまゆり園事件」でお亡くなりになった方々に、哀悼の意を表するとともに、このような事件が二度と繰り返されないよう決意を新たにするため、追悼式を実施します。
今年度も7月26日の午前10時30分から、津久井やまゆり園で行います。
主催は神奈川県、相模原市、津久井やまゆり園を運営する社会福祉法人かながわ共同会の三者です。
津久井やまゆり園の体育館を会場として執り行うことから、参列できる人数に限りがあるため、一般の方々による追悼式への参列はご遠慮いただきますが、津久井やまゆり園管理棟前の広場にある「鎮魂のモニュメント」での献花を行うことができます。
献花は、追悼式当日の9時から17時までとなります。
次に、「ベトナムの方に神奈川県の魅力等を発信するインターネット番組を開始します!」についてです。
県ではこれまで「ベトナムフェスタin神奈川」やベトナム現地で「KANAGAWA FESTIVAL」を開催するなど、ベトナムと文化や観光、経済などさまざまな分野で交流を行ってきました。
このたび、神奈川県の魅力や県とベトナムとの交流事業などの情報を、主にベトナム語で発信するインターネット番組を開始します。
番組タイトルは、「Kết nối Việt☆Kana(ケット・ノイ・ベトカナ)」。意味は「ベトナムと神奈川をつなぐ」です。
この番組は、在日ベトナム人向けオンラインメディアである「HONTO TV」により、年間12回程度配信される予定で、YouTube及びFacebookから視聴することができます。
また、テーマソングには、シンガーソングライターの「川嶋あい」さんが、昨年、日越外交関係樹立50周年を記念して制作した日越友好ソング「絆」を起用します。
番組は、5月31日金曜日17時から配信開始となりますので、ぜひ多くの方々にご覧いただきたいと思います。
次に、「県内食品関連企業のベトナム等での販路開拓を支援します!」についてです。
県では、海外販路開拓に取り組む県内中小企業を支援するため、海外で人気の高い日本の食品をテーマとした商談会を、ベトナムと県内で初めて開催します。
まず、県と経済や文化など幅広い分野での交流が深まっているベトナムは、経済成長が続いており、市場としても有望です。
そこで、11月にハノイで食品輸出商談会を開催するほか、ベトナム現地の小売店やECサイトでのテスト販売等も実施します。また、10月に横浜市内でも食品輸出商談会を開催します。
海外への販路を持つ食品輸出商社や海外の食品バイヤーに県内に来ていただき、これまで海外への販路開拓に関心がありながら、取引機会がなかった県内中小企業にも、気軽に参加いただくことで、新たなビジネスのきっかけを作りたいと考えています。
本日から、これら2つの商談会への参加企業を募集しますので、ぜひ、ご応募いただきたいと思います。
次に、「車載ソフトウェア開発及び半導体設計を行う外国企業2社が県内に進出!」についてです。
このたび、県などの支援により、外国企業2社が県内に日本法人を設立し、本格営業を開始しましたので、お知らせします。
まず、株式会社EKAI TECHNOLOGY(イーカイテクノロジー)は、中国・上海に本社を置く企業で、車載用のソフトウェア開発などを手掛けています。
次に、ゴールデンレイアウトテクノロジージャパン株式会社は、台湾に本社を置く企業で、半導体の設計事業などを手掛けています。
株式会社EKAI TECHNOLOGYについてですが、昨年10月に、中国・遼寧省との友好提携40周年記念事業を実施した際、現地で、中国企業の本県への進出を働き掛ける投資セミナーを開催しました。その際、日本への進出を検討していた同社の徐代表と直接お会いし、県がしっかり支援を行っていく旨、私からお伝えしたことが、本県を選んだ決め手になったと聞いています。
この写真が、徐代表と面会した際のものです。今回、県内への進出を決定いただいたことを、大変喜ばしく思います。
次に、「来たれ『神奈川がんばる企業2024』!」についてです。
県は、中小企業・小規模企業の社会的認知度や従業員のモチベーションの向上を図るため、独自の工夫等を実施し、成長している中小企業・小規模企業を認定し、県が積極的に情報を発信する「がんばる中小企業発信事業」を平成29年度から実施しています。
昨年度は、「神奈川がんばる企業」を22社認定し、その中から、ビジネスモデルの独創性などが特に優れた「神奈川がんばる企業エース」を8社認定しました。
認定を受けるメリットですが、「神奈川がんばる企業」のシンボルマークを使用できます。
また、県がホームページや県のたより等のパブリシティを活用して情報発信をします。
さらに、「神奈川がんばる企業エース」に認定されれば、新聞等への掲載を通じて、より積極的に情報発信を行います。
これまでに認定した企業の皆様からは、さまざまな反響をいただいていますが、その中から2社をご紹介します。
まず、脱プラスチックの流れを受け、プラスチック製の軟包装の紙化に成功した株式会社横浜リテラです。
昨今の環境課題に取り組む中、創業90年の紙器、すなわち紙のパッケージ製造のノウハウを活かし、市場に新たな価値を提供したことが評価され、「神奈川がんばる企業エース」に認定されました。
その結果「お取引先様から反響をいただいたことはもちろん、社員のモチベーションアップにも大きくつながりました」という声をいただいています。
次に、小田原市で電子部品・デバイス・電子回路製造業を営む有限会社津田製作所です。
自社の持つ電子基板製造のノウハウと技術力を活かし、顧客のニーズに応じて、基板の修理や保守管理、複製へと事業を展開したことにより、「神奈川がんばる企業エース」に認定されました。
その結果「認定後、求人への応募者も増加しており、採用が楽になってきております」という声をいただいています。
今年度は、本日5月28日から7月31日まで認定企業を募集します。ぜひ、たくさんの企業からのご応募をお待ちしています。
次に、「エコアセットかながわ」のスタートについてです。
県では、2050年脱炭素社会の実現に向けて、脱炭素に取り組む中小企業の動産や知的財産を融資に活かすため、6月3日から新たに、革新的融資モデル「エコアセットかながわ」をスタートします。
融資の現場では、事業の将来価値ではなく、不動産担保や連帯保証人に依存した融資がいまだに多く行われています。
しかし、このような融資は企業の経営実態に着目した融資とは言いがたく、国もこういった状況の解消に向け、「事業性融資の推進等に関する法律案」を国会へ提出したところです。
そうした中、県では、国に先駆けて、中小企業が持つ事業の将来価値が適切に評価され、融資に活かされることを支援するため、動産や知的財産の評価費用を補助対象とすることとしました。
具体的には、金融機関の融資に当たり、中小企業は動産や知的財産の評価を受ける必要がありますが、その評価は金融機関指定の評価機関が行い、評価費用については、県から中小企業に対し、最大40万円まで補助します。
経営者の個人保証に依存しない、こうした知的財産などの事業性に着目した革新的な融資モデルは、全国の自治体で初めてです。
なお、「エコアセットかながわ」利用者のメリットですが、事業承継のハードルとなる経営者保証に依存しない融資の実現や不動産以外の資産の価値に基づいた融資枠や資金調達額の拡大、事業の将来価値の見える化、県の広報による脱炭素に取り組む融資利用者のイメージアップなどが挙げられます。
取扱金融機関は、記者発表資料に記載の7金融機関でスタートします。多くの事業者のご利用をお待ちしております。
次に、「オンラインでの『プレコンセプションケア相談』を開始します!」についてです。
県は、若い世代を対象に、自分の身体や将来の妊娠について正しく理解して、日常生活や健康に向き合う「プレコンセプションケア」に関するオンライン相談を本日から開始します。
出産年齢の高齢化や若い女性の過度なダイエットは、妊娠・出産に至る確率の低下、妊娠・出産時の合併症の発症率の増加などのリスクにつながりますが、特に若い世代において、このリスクはあまり知られていません。
不妊に悩む方からも、「卵子は年齢とともに減少していくことをもっと早く知っておけばよかった」といった声を多数伺っており、若い世代の「自分ごと」となるよう、一層の周知が必要と考えています。
そこで、若い頃から、男女ともに正しい知識を得て、日常生活や健康に向き合い、妊娠・出産を含む将来のライフプランを考えてもらうことにつなげるため、気軽に性や妊娠等について質問できるオンライン相談を開始することとしました。
具体的には、コミュニケーションアプリ「LINE」によるチャットやビデオ通話等を活用し、産婦人科医または助産師が、性や妊娠に関する疑問や悩み、健康管理に関するさまざまな相談にお答えします。
相談方法の詳細は、資料に記載のとおりです。ご自身の身体や将来の妊娠について不安をお感じの方や、普段学校等でプレコンに関する相談へ対応されている方はぜひご利用ください。
次に、「『湘南ちがさきMILK』を『かながわブランド』に登録!」についてです。
県と生産者団体で構成する「かながわブランド振興協議会」は、県内で生産される新鮮で安全・安心な農林水産物及びその加工品を「かながわブランド」として登録し、県民の皆様にアピールすることで、消費の拡大を図っています。
「かながわブランド」として登録されるためには、統一の生産・出荷基準を守り、一定の品質を確保するなどの、複数の条件を満たす必要があります。
この度、「かながわブランド振興協議会」による審査会が開催され、「湘南ちがさきMILK」が「かながわブランド」に、新規に登録されました。
こちらが、今回新たに登録された「湘南ちがさきMILK」です。
この「湘南ちがさきMILK」は、茅ヶ崎市畜産会酪農部の生産者が生産した生乳を100%使用した牛乳です。また、生乳を低温で殺菌し、脂肪分の均一化処理をしないで製造される、搾りたてに近い味わいの牛乳です。
生乳を集荷した翌日には、店舗で新鮮な「湘南ちがさきMILK」として販売されます「湘南ちがさきMILK」は、牛乳を製造している茅ヶ崎市内の「プレンティーズミルク&チーズファクトリー」及びアイスクリーム店「プレンティーズ本店」で通年お買い求めいただけます。
私も試飲しましたけれども、私はもともと牛乳が大好きなのです。牛乳好きの私にとってもとてもおいしいと感じる、新鮮な味わいのあるミルクだったと思います。新たなブランド品として成長していくことを見守りたいと思います。
知事出席主要行事については、事前送付した資料のとおりです。特に私から付け加えることはありません。
発表項目ではありませんが、一点、コメントします。
昨日、新庁舎において、私たちの大切な仲間が亡くなりました。非常に残念でなりません。ご家族には、心からお悔やみを申し上げたいと思います。
現時点では、理由などは把握できておりません。
職員も大変ショックを受けており、先程私から、つらいことや、悲しいことがあれば、一人で抱え込まずに上司や同僚、専門窓口に相談してほしい。たった一つのかけがえの無いいのちを大切にしてほしいという庁内メッセージを発信しました。
ご家族や職員にも配慮しながらになりますが、理由等については、厳正に調査してまいります。
私からの発表は以上です。みなさんからのご質問をどうぞ。
記者: 発表項目の1つで、ベトナムの方に向けた魅力発信のインターネット番組なのですけども、番組内容の目的のところで、県の認知度向上をより一層図るためとなっているのですけれども、認知度向上を図った上で、県としてつなげていきたいところというのは、どういうところなのでしょうか。例えば、経済の連携ですとか、日本にいるベトナム人の方に観光地等、より魅力的なところを多く訪問してほしいですとか、その先として県が想定していることを教えてください。
知事: これまでも「ベトナムフェスタin神奈川」「KANAGAWA FESTIVAL in HANOI」をずっと継続をしてきたわけです。文化交流を中心にして、さまざまな交流が広がってきていることを実感しております。そういった中で今、県内にお住まいのベトナム人の数は、中国人に次いで、2番目になっております。それとともに、県内に進出しているベトナム企業、ベトナムフェスタをはじめた2015年の時は0社でしたけども、今は14社になっていて、さらにこれが広がる可能性もありますし、神奈川の企業もベトナムにたくさん進出をしているという状況であります。こういった交流というのは非常に大事だと改めて実感する次第でありますけども、年に1回、2回のそういう交流だけではなくて、これからは、ここまでのベースが出来上がったので、常時、発信し続けていこうという思いの中で、この番組をはじめたわけであります。このことによって、ありとあらゆる面での交流を期待したいと思います。まずは、最近ベトナムでもかなり裕福な方が出てきていますので、観光として、どんどんお見えになることを期待したいと思いますし、それから、ベトナムの労働者です。今、円安で、実はかつてのようにどんどん来てくださるという状況でもなくなってきているという状況でもありますので、あえて神奈川の魅力というものを発信することによって、ベトナムから就労のために来てくださる、そういったことも大いに期待したいと思いますし、留学先としても、ぜひ神奈川を選んでいただきたいと思います。それとともに企業も、「進出するなら、こういったなじみのある神奈川に進出したいな」そういった形で幅広い展開につながることを期待しています。
政策推進担当課長: 1点訂正をお願いします。先程、県に来ている企業が14社と言ったのですが、17社が正しいです。
記者: プレコンセプションケア相談のところで、昨今は、DVですとか、いじめですとか性自認など、それぞれ相談窓口というものを設定していると思うのですけれども、こういう自身の身体ですとか、将来の妊娠についてというところで、相談受け付けるという例は比較的珍しいかなと思うのですが、行政としてこういったテーマに相談の窓口を設置することの意義を知事の方からお願いします。
知事: 妊産婦の方を対象としたオンライン相談は、全国でも増えてきていると聞いてきますが、本事業のように、プレコンセプションケアに焦点を当て、主に若い世代を対象にした無料相談は全国的にも数が少なく、オンラインで気軽に相談できる形では、都道府県では全国初と考えています。これを行政が進めるというのは、やはり「少子化対策」。非常に難しいテーマです。われわれもいろんな形でやってきましたけど、少子化の流れに歯止めをかけるのは非常に難しいということがあります。そういった中で、少子化を克服していくための1つの方策だと考えています。つまり、女性の身体はどうなっているのかといったことを正しく理解していただいて、そして妊娠・出産ということを考える場合には、どういう形で、それに臨むのが一番いいのかといったこと、われわれもそういったことを産婦人科の先生に来ていただいて勉強したのですけれども、卵子というものは増えていかないというのです。ですから、医学的に言えば、なるべく早い段階で、妊娠・出産といったことの方が実はいい。あくまで医学的・生物学的な話ではありますけど、そういったことの知識を持った上で、自分の人生をどう設計していくのかを考えていただくことが非常に大事になると思っているところであります。そのためには、少子化対策に旗をふっている県が、こういったことを主体的にやるのは意義があると考えています。
記者: 今、政府の方でも、2026年度から、通常分娩に限っては、自己負担なしというような方向も含めて、今検討をはじめているところですけれども、県として出産費用に関連する施策、負担の部分について、どのような施策があるべきというところのお考えをお願いします。
知事: 今の段階で、県単独で出産費用を全額負担するということは、特に考えてはおりません。ぜひ、国の方で、統一的にやっていただきたいと思います。少子化の流れに歯止めをかけるということは、国全体をあげた大きな課題だと思っていますので、地域の差があるよりも、全体的にやっていった方が、ふさわしいのかなと思う。国のそういう動きもあるようですから、そこを注目していきたいと思っています。
記者: 先日あった静岡県知事選挙について、お尋ねしたいのですけれども、鈴木康友さんが当選されて、前知事の川勝さんがリニアに関して、反対の立場だと言っていましたけれども、今回、鈴木さんは、推進を掲げて当選されました。リニア中央新幹線が通る神奈川県の知事として、今回、鈴木康友さんが当選されたことについての受け止めを教えていただけないでしょうか。
知事: 鈴木康友知事とは、彼が国会議員の時代から、非常に仲の良い友達でありました。その後、浜松市長に転じた後も、しばしば交流をしていた友人であります。ですから、川勝前知事がお辞めになると聞いた瞬間に、私から彼にメールを送って「いよいよ出番じゃないですか」と言ったものでありました。そして、当選が決まった瞬間にも、「おめでとう」ということをメールで送って、彼からもすぐに返ってきた、そういった間柄です。そういった中でやはり焦点、われわれの一番関心が高いのは、リニアの問題です。リニアの問題に関して、ちょうど選挙戦の最中ですか。岐阜県の方で、井戸が枯れているような水の問題が実は表面化してきて、「あれ」という感じにもなってきたということがあるので、鈴木知事としても、何が何でもとにかくやるのだということではなくて、皆さんが不安に思い始めている水の問題に対して、JR東海がどのような対策をするのかといったことを見極めながら進めていかれることになるのではないかと思っています。基本的には、リニアを前進させていきたいというお考えのようでありますから、それには、われわれは大いに期待をしたいと思っています。そして、またJR東海には、静岡県の新しい鈴木知事が納得できるような説明をしっかりしていただきたいと望むところであります。
記者: 地方自治法改正案について、きょう衆議院の総務委員会でちょうど通過したので、お尋ねするのですけれども、大規模な災害とか感染症などの発生時に、国が自治体に対して指示をできるよう、指示権が盛り込まれた地方自治法改正案が今、国会で審議されております。先般、関東地方知事会でも、指示権に関しては、最小限にするよう求める決議、合意というものがなされたと思うのですけれども、改めてなのですけれども、黒岩知事の地方自治法改正案に関する考え方について、教えていただけないでしょうか。
知事: コロナとの闘いの中で、われわれ、国と地方の間の問題でいろいろと悩んだことがたくさんありました。そういった中で、私自身がコロナとの闘いの当時、主張したことがありました。それは日本というのは、有事と平時とを峻別する、そういう仕組みができてないのではないかということです。有事になったら特別な形で対応していかなくてはいけないだろう。平時はまた別だ。そういう中で、私の方から、有事になったとき、コロナのようなパンデミックが起きたときには、地方が独自にということではなくて、やはり国が統一的に方向性を示してやっていくと、それぞれの地方はそれに合わせて動いていくという流れを作っていく。それがやはり私は有事にとっては大事なことではないか。地方分権というのは、平時においては非常に大事なことだと思いますけども、有事になった瞬間には、やはり国主導でやっていく、その流れをしっかり作っていくということが大事だと主張した。今回の改正法というのは、そういう流れになっていると私は見ているところです。これは、安全保障の問題を考えても同じです。いわゆる本当の戦争状態、有事になったときには、やはり有事ならではの対応をしていくということになっているわけですから、それと同じことだと私は考えております。ただ、何をもって有事とするのか。いつ国が前面に出て、そういった強い指導力を持ってやっていくのかといったところのあたりがしっかりと歯止めがかかっていないと、何でもかんでも国がいきなり指導し始めることになったら、これはもう全然違う話になりますから、そのあたりのことをどうやって担保しうるか、これからも、国と地方との間でしっかり議論しながら、そういった運用といったこと、あり方がどうあるべきというのは、詰めていく必要があると思っています。
記者: 基本的には今、審議されている改正案については、賛成という立場という理解でよろしいでしょうか。
知事: 無条件に国が指導するという流れができないような形で、しっかりと担保されていくということは必要だと思いますけれども、そういった条件の中では賛成です。
記者: 昨年、新たに2名の方が鎮魂のモニュメントの中にある献花台に名前を刻まれて、これで計10人の方が名前を刻まれたということですけれども、現時点でも県の方は名前を刻まれていない方々に、名前を刻んでいただくようなお願いをしているのかどうか、その点をお答えいただけますか。
知事: 時とともに随分変わってきたという実感はあります。最初の追悼式のときに誰の名前もないという状況から始まって、それはやはりつらい思いをしまして、本当は、こういう追悼式というのは、犠牲になられた方お一人おひとりの名前、写真を見ながら追悼するというのは、通常のことだけれども、しかし、知的障害者施設のある種、特異な事情の中で、ご家族の同意が得られなくてできなかったというところから始まったことでありますけれども、鎮魂のモニュメントに1人、2人と、だんだん名前を書いてくださるようになってきた。そして、19名のうち10名の方が名を刻まれたということ、本当に時代が大きく変わったなと思います。しかし今回の追悼式でも、名前を書いた方の名前を読み上げて追悼しようかということはやはりできないです。誰が名前を出し、誰が名前を出していないか。そういったことを明らかにすることは、ご家族を傷つけることになるという思いの中で出せない。ですから、今回、名前を出してくださいということを、われわれはご家族に求めているわけではなく、だんだん皆さんが出すようになってきたという事実を追悼式の中で確認していただいて、そういう流れが出てくればいいなというわけであります。しっかりと鎮魂の思いを改めて確認したいと思います。
記者: 関連で追悼式について伺うのですけれども、事件から8年ですか、経ちまして、どういった思いを継いでいくかですとか、あるいはどんどん時代が経っっていく中で、風化とかそういったところを神奈川県としては問題意識を持って臨んでいかなければいけないのかなと思うのですけれども、一般の方の参列ではなくて鎮魂モニュメントの献花だけですけれども、県として今後どのように思いを継いでいくか、もしくは風化を防いでいくかですとか、あるいは追悼式をずっと決まった形でやっていくのかあるいは仕掛けというか、そこを変えていくのか、そのあたり今後の考え方について伺えればと思います。
知事: あれから8年も経ったのかという思いがあります。私にとっては、きのうの出来事のように生々しく記憶に残っていることであります。どうしてあんな事件が起きてしまったのかということにずっと向き合ってきた8年間であったと思います。こういうことを二度と起こしではいけないということの中で、議会とともに「ともに生きる社会かながわ憲章」といったものをまとめて、それを広く、深く普及させるために、さまざまな形でやってまいりました。そして「当事者目線の障害福祉推進条例」といったものを作って、それを実践してきているという状況です。しかし、そこまでやっている中でも、皆さんご承知のとおり、県の直営施設、中井やまゆり園でもいまだに虐待という情報があがってくるという、非常に根の深い問題だと思わざるを得ない。ですから、こういったことを本当に抜本的に変えていって、そして、当事者目線の障害福祉が当たり前になるようなところまで持っていかないと、やはりわれわれは19名の皆様の思いに応えることはできないと思うところです。ですから、どのような形でやっていくかと言ったら、今までどおり「ともに生きるかながわ憲章」をさらに広く深く浸透させる努力を議会の皆さんとともにやっていくということ。そして条例をまとめた趣旨を、その思いをしっかりと皆さんにお伝えしながら、中井やまゆり園の改革を完遂させて、こういった形に変わってきたのだということを実感していただくような流れにしっかり持っていくということがわれわれに課せられた大きな、大きな使命だと感じています。
記者: 今、国で、入管難民法の改正について議論がされていまして、納税を怠ったりですとか、そういった場合に、国外に退去するという、そのような話で報道されているのですけれども、特に中華街とかを拠点にされている横浜華僑総会が、かなりの懸念を示されておりまして、ホームページを見ると、要望ですとか、懸念事項が何回も出てくるのですけれども、華僑総会のホームページを見る限り、ちょっとしたミスで、国外退去になりかねないという、あとは、同じように納税していたり同じように暮らしているのに、扱いが違うのは差別ではないかというような懸念ですとか、特に、横浜にいる華僑の方はもう3世、4世だったりして、ほとんど国籍だけ違うけれども、日本でずっと生まれ育ってきて、中国語がしゃべれないというような方がいらっしゃって、その中で国籍だけを理由に退去になってしまうと向こうで暮らせないですとかそういったような懸念を示されているようですけれども、この点について、県としての問題意識ですとか、あるいはその横浜華僑総会もしくは県内にいらっしゃる外国人団体の方々から要望が出てきているとか、何か動きがあれば伺えればと思います。
知事: 私まで要望はあがってきていませんけれども、要望はきていますか。
国際課長: 県の方に特段、今、団体等から要望はきていません。
知事: 神奈川は国際性豊かなところ。170か国以上の地域の方が住んでいらっしゃる。そういう国際色豊かなところというものが、われわれの大きな特色だと思っていますから、まさに「ともに生きる社会」というのは外国から来られている方も「ともに生きる」ということ、これはとても大事なことだと思っています。ですから、ウクライナの問題が起きたときにいち早くウクライナの皆さんを受け入れるということを表明して、あれはいわゆる難民の枠ではない特別枠で入ってきてもらっていると思います。そういった方たちを大切にしながら、外国の県民の方、外国にゆかりのある方のそういう生の声が入ってくるならば、そういった話に耳を傾けながら、対応していきたいと思います。
記者: 昨日、県職員の方が亡くなった件についてなのですけれども、県から、しかるべきところからちゃんと説明がないということ、あるいは説明が遅れていたということで、現場の職員ですとか、あるいは県庁に入りたいと思っている学生の方からかなりの不信感が出ている。そういう声が私に届いているということをまずお伝えした上で、理由が分からない。高いところから落ちて亡くなったというところだけは判明しているわけですけれども、ただ、時間が8時40分過ぎであったということで、県庁の朝のミーティングが終わった直後だということは重くとらえなければいけないのではないかと思っています。その上で、働き方改革が進む原因にもなりました2016年に県職員の方が自死された件は、大分公表が遅れて、原因の調査についても、県からの公表はかなり遅かったと思うのですけれども、まだ原因は分からないという前提に立った上ですけども、2016年の案件を踏まえて、先程知事、厳正に調べるとおっしゃっていました。どのように調べて、結果をどのように、何か問題があると公表されるのか伺えればと思います。
知事: きのう起きた出来事について、公表が遅いというのは、私は当たらないとは思います。できるだけ誠実に対応をしているつもりであります。本当に原因は分からないです。そういう中で、私自身が県庁職員に先程、メッセージ動画というのを出しましたけれども、それ自体をどうするかということを考えたのですけど、まだ状況がはっきり分からない。なぜなのか分からない状況の中でメッセージを出すというのはどうかと思ったのですけれど、私は出すべきだと思って出して、この記者会見の場でも私がここで言うべきだと思って話をしているわけです。職員の方からは「まだ、よく分からないですから、こちらから出すのは、まだ違うのではないでしょうか」という話がありましたが、しかし県庁の敷地内で起きた出来事であって、皆さん大変な衝撃を受けていることは間違いない。そういうことについて私から言うと言って、冒頭で私からお話をしたわけであります。先程お話のあった、以前のそういう非常につらい出来事、われわれは本当にそこからまた改めて、働き方改革といったものを進めなくてはいけないといったことで徹底的にやってきたつもりであります。そのような中で、過剰な労働をしないようにという数値目標まで掲げて、それからパワハラ、セクハラを絶対してはいけないということで、研修会であったりいろんな形でやってきて、われわれとしては前進させているつもりではあるのですけども、しかし、それがどこまで徹底できているかということについては、不断の検証が必要だと思います。そういったことと今回が関係あるのかというのは、今の段階では何とも言えないところです。しかし、きのう起きた、きょうの出来事ですから、職員に対して「どうだったのだ」というのを徹底的に聞くということは不可能です。少し時間を置きながら、われわれは、しっかりと事実に向き合っていきたい、逃げることなく直視していきたい、何が本当にあったのか。起きたのかといったことを、われわれはしっかりと見つめていきたいと思います。本当に亡くなられた方にはお悔やみを申し上げたいと思います。
記者: 昨日県政記者室の方で、県内市町村議員の有志の方が、自治体におけるセクハラなどの実態調査について公表されました。議員さんたちが、県の方に確認をし忘れたということで、私の方でこの場でお聞きするのですけども、県の方では、パワーハラスメントなどのハラスメント調査については定期的にやっておられるのでしょうか。
人事課長: 毎年調査をしてございます。アンケート調査をしております。
記者: それは匿名での調査ということで理解して良いのでしょうか。
人事課長: その通りです。
記者: ハラスメントだけでなくて、組織内部の不祥事を通報する公益通報制度というのがあります。別の自治体の話で恐縮ですけども、兵庫県では、退職間際の県の幹部が県庁の公益通報制度を信用できないということで、報道機関などに告発文書を送って、その内容について兵庫県知事が「嘘八百だ」というようなことを言って、退職させずに処分を下すということもしたようです。しかし、その嘘八百とした内容には真実がそれなりに含まれていたことが分かって、県が下した処分の妥当性などを巡って、第三者委員会の設置や県議会における百条委員会の設置などの議論が起きている事態に発展していると仄聞しています。神奈川県は全くその状況が異なる中ですけども、私がそのニュースを聞きながら思ったのが、神奈川県において、公益通報制度の現状のあり方というのは、窓口は外部に設置してやっているのかどうかとか、そのあたり確認したいと思ってお聞きできればと思います。
政策推進担当課長: 担当がいませんので、後程回答します。
記者: 県のサイトで内部通報制度というものを見てみますと、通報があった場合には、外部の弁護士の指示のもとに通報者の保護を図りながら調査をするとか、外部調査員の意見・助言も踏まえながら必要な改善措置を講じるとか、外部調査員は意見・助言ができるとか、外部調査員自らが調査することができるというようなことを規定して書かれています。かなり外部の弁護士さんに権限を持たせているようにも私が拝見して思ったのですけども、一方で、あくまでも調査権限は内部の部署にあるようにも読めました。外部の弁護士さんが、県の機関と利害関係がある方かどうかというのも、県のサイトの情報からだけでは判読できなくて、通報者の視点からした場合に、そのあたりがもう少しクリアに書かれていないと、なかなかその通報に踏ん切りがつかなくなるというか、通報制度自体の有効性にも関わってくるような気がするのですけども、県のサイトの記述については、読み取れなかった部分というのは、今さっき担当者がいないっていうことだったので、この場ではなかなか答えが出てこないと思うので、改めて教えていただけたらなと思う。
知事: 個別具体の例があったとき、それはどうなのかということ、それはしっかり向き合うことになると思いますけど、今そういう例がないので、一般論として今どうなっているのか。私もよく分かっていないので、調べてみます。
国際課長: 先程入管難民法の関係で、要望が届いてないということをお答えしたのですけれども、団体から一部そういった要望がきているということが確認できましたので、すみません、先程の答えを訂正させていただきます。
記者: いつどういう団体からどのような要望が来ているかはお伺いできますか。
国際課長: 今手元にございませんので改めてお答えさせていただければと思います。
【補足】
令和6年5月21日付で、横浜華僑総会から、以下の文書が知事、副知事等宛に書面で届いている。(書面データはこちら)
入管法改定案に関する声明文
・陳情書(内閣総理大臣及び法務大臣宛)
・管法改定案の一部削除陳情への支援 お願い書
記者: 地方自治法の改正の件なのですけども、知事自身はコロナ禍で、有事の場合は国が主導すべきだとのお話だったと思うのですけれども、具体的にどのようなときにそういった法整備といいますか、国が主導するべきだとお考えになったのかというのを教えていただけないでしょうか。
知事: どのような場合というのを私が定義するのはなかなか難しいと思います。今回のコロナで振り返ってみたときに、われわれはダイヤモンド・プリンセス号が来るというところから始まったわけでありますけども、その段階で、国際的な情勢もどうなっているかというものを踏まえた上で、どこかの段階で有事という、パンデミックという言葉をどこかで使ったのではないでしょうか。それはどこかで判断するタイミングがあったとは思います。どのような条件でとここで述べるのはなかなか難しいかもしれません。そういったあたりを、どの段階でこれを発動するのか、有事で発動するのかといったことについて、しっかりと議論を詰めていく作業は必要なのではないかと思います。
記者: すいません、質問の仕方が悪かったのかもしれないのですが、コロナ禍で知事のご経験としていろんな対応をされる中で、もう少し国に法律の後ろ盾があった方がいいのではないかとお考えになって先程のようなお話されたのかなと思いまして、例えば特別措置法だと、協力依頼ばかりでなかなか強制力がなかったですとか、地方の足並みが揃わないですとか、協力要請なので逆に補償の部分の基準を国が示さなかったとか、いろいろな議論があったと思いましたので、その点知事がどういったところをイメージされて発言されたのかというのを伺いたいなと思った次第です。
知事: あのときに、われわれは国と地方のあり方、役割分担という中で、非常に戸惑いがあったわけです。地方に任せられていると思ったら、意外に国が後から言ってきたりとか、そのあたりのガタガタした部分があったということなので、コロナと闘っている中で私自身もすでに発信していたと思います。今みたいな有事のときは国が主導的にやってほしい。やらないと混乱するといったこと。振り返ってみたら、一部いろんなこともあった。これがいいかどうかは別にして、国が一斉に学校の休校ということを言いました。ああいうことは「えっ」ということだけれども、地方ではなかなか言えないことであります。パンデミックで日本全体を覆っているようなことになるならば、やはり国が主導して、どんどんそういう施策を打っていくべきだということについての仕組みづくりが必要だと感じたということです。
記者: かなライドなのですけれども、前回の会見で1か月経ってあまり利用されてないというお話伺いました。その後取材したところ、アプリの運用を変えて、少し数字が上向いているというお話も伺いました。現状、県として把握していらっしゃる数字と、利用実績の分析をされると、前回知事、会見でおっしゃられたと思いますので、そのあたり分析が進んでいたら教えていただけないでしょうか。
知事: かなライドの実績ですけれども、4月17日に開始して5月26日までの40日間の利用実績は84件となっています。この週末の利用ですが、24日の金曜日は14件、25日の土曜日は10件、26日の日曜日は2件、合計26件となりました。これまでの広報などによって、皆さんに、かなライドが徐々に浸透してきて、利用が上向いてきたものと考えています。またアプリを運営するGO株式会社では、昨日、ライドシェア車両のみを選んで呼べるような改良を行ったと聞いております。つまり、今までライドシェアというボタンがぽっと浮かび上がり、夜7時になると、それを押すと、ライドシェアの車orタクシーが来るわけです。なので、ライドシェアの車を呼んだつもりなのにタクシーが来ることがたくさんあったという話をたくさん聞いておりますので、それがライドシェアを選べばライドシェアが来るという形に、改良を行ったということでありますから、これからだんだん利用が増えてくるのではないかと思っています。
記者: これまではタクシーが来るかライドシェアが来るか、呼ぶときに分からなかったのが、呼ぶ前にライドシェアを呼べるということですか。
知事: そうです。実際、私も生の声を聞きましたけど、ライドシェアを試してみたいと思って、現場でライドシェアを頼んで、来たと思ったらタクシーが停まっていたという話を何人も聞きました。ですからライドシェアを使おうと思っている方はかなりいらっしゃる。これからは、ライドシェアを呼んだら必ずライドシェアが来るということになると、かなり広がってくるのではないかと感じているところです。
記者: 県として、かなライドでアプリを使っていて、タクシーなりライドシェアを呼んだ方で、タクシーが何件でライドシェアが何件拾われたか、そういう数字はお持ちでしょうか。
交通政策課長: まだそのような数字はいただいておりません。これから、そういったことも含めて分析をしていけたらと考えております。
政策推進担当課長: 先程の内部通報の制度についてお答えします。
総務局総務室室長代理: 先程内部通報のご質問があったと思います。内部通報について、職員は、外部の調査員、弁護士になりますが、外部調査員に直接相談することができます。また、われわれ総務局総務室にも内部通報の通報窓口を用意しておりますが、われわれの方で受けた場合も、基本的には外部調査員の指示に基づいて調査などを行っていきます。総務局総務室の方針等に基づいて行うのでなく、あくまで外部調査員の指示に基づいて行っていきます。また外部調査員については特段、県と利害関係があるとか、そういったものはございません。
記者: 今みたいな説明がサイトに記載があったら、もっと、利用する側としては、いいのかなと思いました。ありがとうございます。
記者: 県の情報公開について伺うのですけれども、先日、精神医療センターで虐待と思われる事案があって、記者発表があったわけですけれども、そこで被害者とされる患者の方と加害者とされる看護師の方の年代が公表されたのですけれども、性別については非公開でした。それは、機構の側が独自に判断してやられたことなのですけれども、同じ県の情報公開条例に基づいてやられることなので、情報公開請求をやってみました。同じ基準で図られるはずなので、どうなのだろうということでやったのですけれども、それもまた黒塗りで出てきたんです。元の資料には性別の情報が書いてあったはずなのですけどその部分は黒塗りでした。これについての情報を出すべきか出さないべきか、黒塗りすべきか、しないべきかというのは、県の情報公開広聴課に相談しましたかと伺ったところ、県立病院機構は独自に判断したと言っていました。同じ条例で運用しているのに、専門の部署に相談せず、独自の解釈でやってしまっている現状がいまだに続いているということがあって、理事長が代わってもいまだにそういう状態が続いているということを、先日味わったのですけれども、聞いたところ、情報公開請求が出たときに、専門の県の情報公開広聴課に相談するかどうかは任意になっているそうで、相談しなくてもそれぞれの部署で勝手に判断して出していいということになっているそうで、条例の運用が、あの課なら出すけど、この課は出さないという、独自の解釈が通用するような仕組みになってしまっているのですけれども、この点についての問題意識、どう思われますか。
知事: その話は初耳の話で、少し調べておきます。
(以上)
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