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更新日:2024年7月17日

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定例会見(2024年7月12日)結果概要

過去の知事記者会見の様子をテキスト版でご覧いただけます。

共同会見発表項目

ダブルワークを活用した行政のデジタル化などの業務改善の取組を開始します

知事: はじめに、「ダブルワークを活用した行政のデジタル化などの業務改善の取組を開始します」についてです。
 本県とNTT東日本は、NTT東日本のダブルワーク研修制度を通じた人材の派遣により、行政のデジタル化など業務改善を推進するとともに、官民連携によるDX人材活用・育成に取り組みます。
 ダブルワークとは、NTT東日本がキャリア形成や地域貢献を目的として推進している研修制度で、通常業務とは異なる社内外の業務に所定労働時間の20パーセント以内の範囲で従事できる仕組みと伺っています。
 本格的な人口減少社会を迎え、本県では、限られた人的資源で、複雑・多様化する行政課題に対応していくため、行政のデジタル化などの業務改善を推進していますが、DX人材の確保が課題となっています。そこで、この度、NTT東日本にご協力いただき、同社が推進するダブルワークの派遣社員を受け入れることで、この課題に取り組むこととしました。本日は、相原執行役員神奈川事業部長にご同席いただいています。それでは、NTT東日本の取組み等について、ご説明をお願いします。

NTT東日本執行役員神奈川事業部長: ただいまご紹介に預かりました、NTT東日本の相原でございます。私どもNTT東日本グループが、神奈川の未来を支えるソーシャルイノベーション企業として、当社の通信技術や業務改善のノウハウを活用し、地域の皆様と連携させていただきながら、多様化、複雑化する社会課題に取り組み、新たな価値を創造することに貢献し、今まで以上に神奈川の魅力を一緒に向上させていきたいと考えております。
 NTT東日本では、社員一人ひとりの働きがい、成長を高めることにより、地域のお客様の新たな価値創造と企業価値の向上を実現し、ともに持続的に成長していくことを目指しております。一例をご紹介いたしますと、社内外で本業以外にも従事することができるダブルワーク研修制度を導入し、実践を通して、知見やスキルを高める取組みを推進しております。
 また、デジタル人材の育成を強化することで、人口減少等の社会課題に対して重要になってくるデジタルによる課題解決力を高め、より地域の皆様に貢献できるように精進しております。
また、社員の働き方につきましては、コロナ禍が契機となり、定着したリモートスタンダードの制度によりまして、時間や場所にとらわれない、柔軟な働き方を実現しており、社員にとってやりがいあふれる職場を目指しております。
 この度、NTT東日本のデジタル人材や業務改善ノウハウを活用し、神奈川県庁様の課題をダブルワークという形で、現場において直接業務に関わりながら、デジタル化推進や業務改善に参画させていただく貴重な機会をいただきました。
神奈川県庁様との新たな官民連携による人材活用の取組みを通して、多様な人材が活躍できるような社会を実現するとともに、神奈川県のお客様に対して貢献できるよう、深く連携を進めていければと思っております。

知事: 7月中を目途に連携をスタートさせ、NTT東日本の社員の方には、県庁全体の行政改革に取り組む行政管理課の職員とともに、デジタルの専門家の目線で業務改善に取り組んでいただきます。
 今後、県の職員とNTT東日本の社員が、新たな視点で県庁各所属における行政のデジタル化や業務改善に協力して取り組み、円滑な業務改善につなげてまいります。
 また、働き手不足が深刻化する中、官民が人材を奪い合うのではなく、連携することにより、社会的なマンパワー不足に対応することができないか、具体的な取組みを重ねながら検討を深めていきます。

質疑

記者: 相原事業部長にお願いします。神奈川県にとってのメリットはよく伝わってくるのですが、今お話を伺っていると、かなり社会貢献のように聞こえてしまうのですが、もう少し民間企業らしいというとあれですけれども、御社にとって、神奈川県に人材を派遣するといいますか、ダブルワークで働いてもらうことのメリットについてもう少し詳しく教えていただければと思います。

NTT東日本執行役員神奈川事業部長: 弊社も人的資本経営ということで、人材が成長していくことが事業の経営に直結する問題だと思っておりまして、私どももいろいろなスキルの向上には、社内でも取り組んでおりますが、実際にそのスキルを現場で活かしながら実践をしていくことで、社員の成長にさらにつながると思っておりますし、また、それがきっかけとなって、やりがいも高まってくると思っております。弊社の業務だけではなく、神奈川県庁様と一緒にやることで、より広い視野で業務に当たって、いろんな経験を積めると思っておりますので、弊社にとっても大変貴重な機会だと思っております。

記者: 知事に伺うのですけれども、こういった特に民間のITに詳しい人が入ってきて、いろいろ現場で教わることも多いと思うのですが、一方で県も、私が現場で聞いている話ですと、スキルを高めた職員は辞めて民間に行ってしまう、なぜなら給料が高いから、そういう話をかなり聞くのですけれども、こういった形で専門的な最新のIT知識が入ってくる機会を設けると、どのようにスキルを高めた職員を留めておくか、どのようにそのまま働き続けてもらうかというところが大きなポイントになってくるかなと思うのですがこのあたりについての問題意識をお聞かせください。

知事: 今回このような形で連携するというのは、振り返ってみて、私にとって非常に感慨深いものがあります。13年数か月前に知事になったときの状況とはまるで違う。それは何が違うか。民間との距離感です。当時は、民間一企業と組むということはよくないことだという県庁文化がありました。営利を目指す企業と、県庁といったものが一緒に組むというのはよくない。県庁というのは、やはりあくまで公平公正というものを求められるのだといったことでありました。しかし、私が知事になったのは、東日本大震災直後でしたから、いざというときに民間と一緒にやらなくては駄目だろうということで、例えば、最初はコンビニエンスグループと連携協定というのを結んだ。こういう形で透明性をもって、こういった形で協力するのだということを皆さんの前で明らかにして、そして組んでいく。それが1つのコンビニエンスグループだけではなくて、いろんなコンビニエンスグループと協定を結んだといったことがあって、民間と連携し合う官民連携といったものが、今では当たり前の状態になっているということであります。それともう1つ連携のあり方として、今までよくあったのは、人材交流です。お互いに人を派遣し合うということです。しかし今回は、交流ではなく、NTT東日本さんから社員が来てくださるということです。これは全く新しい形で、非常に大きな時代の変化といったものを感じます。そういった中で今ご指摘のあった、NTT東日本のデジタル人材が県庁の中に入ってこられて、一緒になって仕事をした中で県庁職員も大いに刺激されて、さまざまに目覚めてくることもあると思います。目覚めた後のその後というものは、それぞれの県庁職員が自分で考えていくことでありまして、それに対してわれわれがどうこうするということではなくて、われわれとしては基本的には神奈川県庁の職員がみんな働きやすい、生きがいを持って、やりがいを持って働ける職場というものをしっかり作っていく、維持していくということが本筋だろうと思っています。

記者: 具体にデジタル化を目指すに当たって、知事に伺うのですけど、現状、どういう点を行政上の課題ととらえられていて、この取組みを通して具体にどういう姿を目指していくのか伺いたいのですけど。例えば、行政のデジタル化と言っても税務処理のデータ収集とか集計を自動でやってもらうとか、行政手続きをオンラインでするとか、さまざまなことが考えられると思うのですが、知事の中でデジタル化の具体的なイメージがあれば伺いたいです。

知事: 「み~~んなDX!!」ということを言っている状況の中で、ありとあらゆる仕事の中でこれからDXという要素が入ってくると思っています。ですから実際に来ていただいて、それぞれの分野で、どういった形でDXを持ち込めばいいのかといったこともお話をいただくということになっていると思いますけども、まずは今回、公文書館に来ていただいて、そこには膨大な県のさまざまな資料とか、古文書とかがありますから、そういったものに対して、まずはどういった形でそれを整理していけばいいのか、そこからまず始めていただこうかなと思っております。今回、1回来ていただいて終わるという話ではないです。これから、さまざまな形でいろんな部局でどういった課題があるかというのを、お互いに相談しながら進めていきたいと思っております。

記者: 社内ダブルワーク制度だと思うのですけども、お給料は県からの業務で発生するのですか。

NTT東日本執行役員神奈川事業部長: NTT東日本のダブルワーク制度、これは社内でダブルワークをする、あるいは研修という形でやっておりますので、今回は社外に研修として出させていただいて実施をしますので、給料は神奈川県庁様に関わるものではございません。弊社のあくまで業務時間の中でやらせていただく予定でございます。

記者: 今後の展開といいますか、今回直接関係はないのですけども、NTTさんはラスベガスとかとスマートシティに関する提携とか結んでそこでローカルネットワークの構築だとかというのを進めていらっしゃったりとかしていますけども、神奈川県ともいずれそういう形で、発展的な提携とかというのにつながるような期待というのはあるのでしょうか。

NTT東日本執行役員神奈川事業部長: 神奈川県庁様のご判断ももちろんございますけれども、私ども神奈川事業部が神奈川県内の各地域でさまざまな課題解決、価値創造ということに取り組んでおります。人口減少で労働力が不足していく中で、どうDX化していくか、あるいは観光を活性化していくか、さまざまなことに今取り組んでおりますので、それらをまとめていくと大きなまちづくりということでスマートシティに相当するような取組みにもなると思っておりますので、そういったことを積み重ねながら、一緒にやらせていただければありがたいと思っています。

記者: 横須賀に研究所もありますけれども、最新の研究成果を県庁で活かしたりとか、掲げていらっしゃる次世代の高速通信のIOWN構想とかの実現とかにも、いち早く神奈川がその恩恵にあずかれたりするのかなと思うのですけれども、そうした最新の知見がある神奈川という利を活かしたさらなる発展的な関係作りというのはどういった感じでしょうか。

NTT東日本執行役員神奈川事業部長: 弊社も神奈川県内に横須賀と厚木に先端の研究をやっているところもございますので、今お話いただいたIOWNをこれから目指していくということもございますので、ぜひ神奈川県内の産業の発展につながるような取組みを今後一緒にやらせていただければと思っています。

記者: そのお話を聞いて知事はどう受け止めてらっしゃいますか。

知事: 非常に大きな可能性といったものを感じます。どういう展開になっていくのか、今まで経験したことがないことでありますから、非常に大きな展開になってくるのだろうなという中で、例えば、NTT東日本さんにはもう日常的に、サービスを使わせていただいている立場でもあります。そういった中では、すでにそういう意味での連携というのは日常的にあるということだと考えることもできますよね。いざ災害というときにどう対応するのかというときに、やはり情報をどういう形でやりとりするのかといったことが最大の鍵を握る。その中でやはりNTT東日本さんが持っていらっしゃるさまざまな設備でありますとか、ノウハウといったもの、技術といったものはもうなくてはならないものであります。そういった状況の中でさらに踏み込んだ形で、限られた期間ではありますけど、一緒に仕事をするといったことの中で起きる化学反応は非常に楽しみにしていきたいと思います。

記者: 前提になることですが、今回の業務改善の取組みに関して、例えば、人数であったりだとか、あるいは期間、あとNTTの職員の方の職種であったりだとか、こちらに所定労働時間の20%と書かれておりますが、もう少し具体的なその中でどういった働き方になるのかといったことを教えてください。

NTT東日本執行役員神奈川事業部長: まず、当面2名程度を想定しております。先程、知事がお話されましたとおり、今後どういう形で幅を広げていくかということで、相談していきたいと思います。現在ダブルワークは業務時間の20%と社内で規定しておりますので、概ね一週間に1日程度お仕事させていただくことを考えております。期間もこれからいろいろやり方によっては変わってくると思いますけれども、概ね3か月、もしくは半年というような形で今弊社の中ではダブルワークも運用しておりますので、そういった期間を考えております。現在、神奈川事業部で社員が携わっている業務は多岐にわたっておりまして、通信設備のインフラ工事をしたり保守したりするようなものですとか、企業様のDX、自治体様のDXに取り組んでいる法人営業などもございますので、そうした日々の通信インフラ、DXのノウハウを活かせるような社員をアサインして、社員の公募により進めていきたいと思います。

記者: 当面は2名ということですが、増やしていくということで、何か目標になる数字というものは現状、お考えのものはあるのでしょうか。

NTT東日本執行役員神奈川事業部長: 数字については、決めておりませんので、神奈川県の皆様とご相談しながら進めてまいりたいと思います。

記者: 2つお伺いしたいのですが、1つ目がNTT東日本さんでこういうダブルワークの制度を使ってどういったところに派遣されているのか教えていただけないでしょうか。特にほかの自治体に派遣されている例があったら教えて下さい。

NTT東日本執行役員神奈川事業部長: 神奈川事業部ではなく本社等の組織になりますけれども、自治体の観光の部門の中でやらせていただいている事例がございます。

記者: 自治体は市町村になりますか、都道府県とかでしょうか。

NTT東日本執行役員神奈川事業部長: 該当情報は非公表とさせていただきます。申し訳ございません。

記者: もう1点、NTT東日本さんと神奈川県でなにか今お取引とか契約とか、そういったものはあるでしょうか。

NTT東日本執行役員神奈川事業部長: 先程知事から災害対策というお話もございましたが、弊社は指定公共機関でございますので、神奈川県内の通信インフラをしっかり維持するということで防災のさまざまな演習ですとか、そういったものには関わらせていただいておりますし、また神奈川県内の地域の防犯対策ということで、特殊詐欺等の対策を行うような協定もやらせていただいております。また他に環境保全で申しますと、森林再生のパートナーのようなこともやらせていただいておりますので、通信分野から災害、防災、防犯、あとは環境対策までいろいろな面で一緒にやらせていただいているところでございます。

記者: ありがとうございます。知事にお伺いしたいのですけども先程企業とそういういろいろコラボレーション、連携できるのはいいことだとお話していただきました。もちろんそういう流れでやるべきだと思うのですけれども、契約とか入札とか、そういったものが関わる場合に、特定の企業から研修生を受け入れていることが、そこへ影響が出たりすると問題もあるのかなと思うのですがこのあたりいかがお考えでしょうか。

知事: これは透明性をいかに確保するかということだと思います。もともと、冒頭申し上げたように、かつての県庁は一民間企業と組むということに対し,異常な抵抗感があったわけですけども、それを乗り越えたのはこういう内容についてこういった形で連携しますということを明確にする。皆さんの前で明確にするといったことを示した上で、今ご指摘のような、競争入札的なことがあったら、それをどういう基準でどうして選ばれたのかということを全部公表するといったことの中で、皆さんがご判断されるといったことです。ですから、ご指摘のことを解消するためには、透明性を徹底的に確保していくということに尽きると思います。

記者: 7月中に始められるということで、いろいろこれからやっていかれるのだろうと思うのですけども、往々にして、この手の連携協定とかは、スタート時点でやりますというので何となくいいことが始まるような印象を、われわれも受けて報道するわけですけども、一定期間終わった後に実際こういう効果が出ましたというのを検証してきちんと公表されて、またこういう場で発表されるということも必要ではないかと思うのですけども、そのあたりについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

知事: そういうことは大事だと思います。今、振り返ってみて、おっしゃったような事例が神奈川にあったか、少し思い浮かばないのですけども。しかし、スタートだけ華々しくやって、あとはいつの間にか、なくなっていたよといったことはしないで、これも先程申し上げたように、透明性といったものをしっかり確保しながら、こういった取組みも進めていきたいと思います。

定例会見発表項目

ともに生きる社会かながわ推進週間の取組について

 次に、「ともに生きる社会かながわ推進週間の取組について」です。
 8年前の7月26日未明、津久井やまゆり園で大変痛ましい事件が発生しました。
 県では、このような事件を二度と繰り返してはならないという強い決意をもって策定した「ともに生きる社会かながわ憲章」を広く知っていただくため、事件のあった26日を挟む1週間を「ともに生きる社会かながわ推進週間」と定め、集中的な広報を行います。今年の推進週間は、7月22日(月曜日)から28日(日曜日)までです。
 この金澤翔子さんによる憲章の題字「ともに生きる」を中心に、県内主要駅や役所などに、ご覧のポスターやチラシを掲示します。
 また、県の取組みに共感・賛同する多くの民間企業の皆様にも、それぞれの憲章PR活動「ワタシのともいき」を行っていただきますのでご紹介します。
 まず、横浜駅西口の横浜高島屋では、昨年、一昨年に続き、開店時に憲章Tシャツを着用した従業員がお客様をお迎えし、憲章チラシを配布します。
 そのほか、今年新たに、シァル横浜、相鉄ジョイナス、横浜ビブレ、CeeU Yokohama、横浜モアーズ、ニュウマン横浜、ムービルでデジタルサイネージなども活用した憲章ポスターの掲示やチラシ配架などが行われます。
 横浜駅東口のそごう横浜店では、28日(日曜日)午後、地下2階の正面入口前に特設会場を設けて、憲章Tシャツを着用した従業員による憲章PR活動が行われます。同日、店内にある「かながわ屋」でも店員が憲章Tシャツを着用します。
 そごうと同じビル内にある「神奈川ロイヤル株式会社」は、今年5月、金澤翔子さんらが出演する「ともいきコンサート」を開催するなど、これまでも積極的に憲章普及にご協力いただいていますが、28日の憲章PR活動にも参加されます。
 そのほか、ウエインズトヨタ神奈川株式会社、ウエインズインポートカーズ株式会社、損保ジャパン株式会社、明治安田生命株式会社神奈川本部、京急百貨店、HOTEL ARU KSPの各社でも、憲章の紹介や、店内での障害者アートの展示などが行われます。
 また、県内のスポーツチームである、神奈川フューチャードリームス、横浜F・マリノス、湘南ベルマーレフットサルクラブ、横浜エクセレンスにも試合会場などで憲章のPRをしていただきます。
 私自身もこの憲章Tシャツを着用して、テレビやラジオなど、さまざまな機会を通じて発信していますが、「ともに生きる社会かながわ」の実現に向けて、ぜひ、多くの皆様に「ワタシのともいき」の輪に加わっていただきたいと思います。

「2050年脱炭素社会の実現」に資する研究開発プロジェクトを採択しました

 次に、「『2050年脱炭素社会の実現』に資する研究開発プロジェクトを採択しました」についてです。
 県では、「2050年脱炭素社会の実現」に向けた取組みを推進しています。
 この度、大企業と中小企業等の連携による「2050年脱炭素社会の実現」に資する研究開発プロジェクトについて、3件のプロジェクトを採択し、実用化に向け支援することとしましたので、お知らせします。
 それでは、採択プロジェクトのうち1件についてご紹介します。 
 株式会社PXP等による「低温物流の脱炭素化に資する次世代太陽電池システムの開発」です。
 物流業界における車両について、今後、電動化が見込まれていますが、冷凍・冷蔵品を配送する車両については、その冷却用電源の確保が課題となっています。
 そこで、軽量でフレキシブルな次世代太陽電池を車両に設置・システム化することで、この課題を解決し、物流業界における二酸化炭素排出量の削減を図るものです。
 このプロジェクトでは、株式会社PXPが県内において、軽量で、薄くて曲がるカルコパイライト太陽電池を開発し、さらに、それをペロブスカイト太陽電池と接合することで、発電効率を高めたタンデム型の次世代太陽電池の実用化を目指します。
 こちらは、ペロブスカイト太陽電池と組み合わせる前のカルコパイライト太陽電池のサンプルです。開発するタンデム型の太陽電池も、ご覧のとおり大面積化が可能となる予定です。
 それでは、実際にカルコパイライト太陽電池にライトを当てることにより発電させ、プロペラを回してみます。
 このように、薄くペラペラなカルコパイライト太陽電池でありますけれども、光を当てると、発電するということが良くお分かりになると思います。非常に軽くて柔軟性もある新たな太陽電池です。
 このカルコパイライト太陽電池に、神奈川で発明されたペロブスカイト太陽電池を組み合わせることで、新たな次世代太陽電池の実用化を早急に実現し、神奈川からエネルギー革命を起こしていきたいと思います。
 なお、他のプロジェクトも、脱炭素社会の実現への貢献度が高いものです。
 この取組みにより、神奈川から新たなイノベーションを創出することで、脱炭素社会の実現につなげていきます。

貨物運送事業者の従業員の大型等運転免許取得を支援します!

 次に、「貨物運送事業者の従業員の大型等運転免許取得を支援します!」についてです。
 「物流の2024年問題」に対応する貨物運送業界を支援するため、新たに、神奈川県大型等運転免許取得促進奨励金を始めます。
 事業の概要は、中小貨物自動車運送事業者の従業員が大型等運転免許を取得する際に、免許の種類に応じて最大15万円の奨励金を交付するものです。
 申請いただける方は、県内に本店又は主たる事務所がある法人又は県内に事業所がある個人事業主です。
 奨励金は、大型等の運転免許証を取得する際に、自動車教習所へ支払った費用を対象経費とします。
 申請の受付開始は、7月18日(木曜日)からです。申請の受付は、神奈川県大型等運転免許取得促進奨励金事務局で行います。
 詳しくは、県のホームページをご覧ください。多くの運送事業者の皆様からのご申請お待ちしております。

県の形の魅力を活かしたロゴ「Kanagawa-Ken」を広報等で活用します!

 次に、「県の形の魅力を活かしたロゴ『Kanagawa-Ken』を広報等で活用します!」についてです。
 この度、県の形の魅力を活かしたロゴ「Kanagawa-Ken」についてロゴ作成者である株式会社マクニカと県は著作物利用許諾契約を締結しましたので、お知らせいたします。
 これが「Kanagawa-Ken」です。神奈川県の県の形が犬に似ているということを前にお話ししましたけれども、こういったデザインになりました。
 今後、県では、かながわキンタロウとともに、「Kanagawa-Ken」を広報等で活用し、県のイメージ向上につなげていきます。
 また、「Kanagawa-Ken」は、個人や企業など、どなたでも利用申請でき、県の利用許諾によりご活用いただけます。詳しくは県のホームページをご覧ください。

知事出席主要行事

 知事出席主要行事については、事前に送付した資料のとおりですが、そのうち、1件お知らせがあります。
 7月25日(木曜日)、新紙幣発行を記念して、日本銀行横浜支店長が県庁を訪問されます。
 7月3日に発行された新千円券は、表面は相模原市にもキャンパスがある北里大学の学祖「北里柴三郎氏」、裏面は葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」が採用されており、まさしく、神奈川県のご当地新札といえます。今回、本県がこの千円券に関係が深いということで、日本銀行の貨幣博物館に収蔵される千円券に次ぐ、若い記番号の千円券をご寄贈いただき、現在、県立歴史博物館で展示をしています。
 日本銀行横浜支店長には、今回の寄贈に感謝をお伝えするとともに、贈呈された千円券に関するご説明をいただく予定です。ぜひ、取材にお越しください。
 私からの発表は以上です。皆さんからのご質問をどうぞ。

質疑

ともに生きる社会かながわ推進週間の取組について

記者: 今年は特に民間企業をかなり巻き込んだ形になっていると思うのですが、今までの取組みは失礼ながら、県が主導してやっていて、ちょろちょろっと民間が参加しているという印象があったのですけれども、今回は特に期間中というか、この期間、横浜駅をジャックするような形になっていて、数字は分からないですけども、かなりの民間企業が参加する形になっています。このような形に運んできたといいますか、どういう経緯でこうなっているのかというのを伺えればと思います。

知事: ともに生きる社会かながわ憲章の認知度ですが、50%という当面の目標を作って、次に55%という目標を作っていますけども、4割ぐらいになった流れの中で、県庁も総力をあげてずっとやってきたのですけど、なかなか広がっていかないという部分があります。しかももともとの津久井やまゆり園事件から8年経過して、だんだん時と共に風化していく危険性もあるという中で、やはり目標値を明示しているわけですから、何とかそこにたどり着きたいという必死の思いで、皆さんにお願いをしたといったところが背景にあります。これだけのある種、集中的な広報によって、一気に認知度を高めていきたい、そう思っているところであります。

記者: 今認知度に関して言及があったので少し伺いたいのですけど、意地悪だったら申し訳ないのですが、先程そこにパネルが3個、週間に合わせたものがありましたけれども、「憲章を知っていますか」というようなパネルも3年目だと思うのですけれども、今までは何%が答えられて何%が知らないですみたいな、正答率が書いてあったと思うんですけども、今年はなかったのですが、数字をなくした理由については何かご存じですか。

共生担当課長: 数字を入れていたのですけれども、認知度が県民ニーズ調査によって決定するというところで、ポスターを貼った年度の途中で結果が出てしまって数字が途中で変わってしまうのです。それを上書きで修正させていただくのがなかなか大変だということで、数字の方を消させていただいて通年使えるようなデザインにしました。

「『2050年脱炭素社会の実現』に資する研究開発プロジェクトを採択しました」について

記者: 研究開発プロジェクトの採択なのですけれども、先程お見せいただいた太陽電池ですが、付属していただいた紙を拝見すると、カルコパイライトの組み合わせの太陽電池はインジウムを使っているみたいなのですけれども、浅知恵で申し訳ないのですが、インジウムは確か希少金属でかなり入手が困難といいますか、高い上にまた輸入に頼っているといいますか、なかなか量産するのは難しいのではないかという気持ちもするのですけれども、あえて、この太陽電池に着目した理由といいますか、例えば発電効率がどのぐらい高いですとか、あえてここに着目した理由についてお聞かせいただければと思います。

産業振興課長: 今ご指摘あったとおり、インジウムを使っているのですけど、まず、使用量がすごく少量ということですので、開発してもそれは実用化に耐えられると考えております。それと、ご指摘あったように変換効率も、組み合わせることで高めになることが想定されますので、非常に効果があると考えております。

県立病院機構について

記者: きのう、県立病院機構からさまざまな問題を受けた、改革プロジェクトのアクションプランというのがまた出たのですけれども、まず1つ目はこのアクションプラン、知事、たくさん分量があるので、全部ご覧になっているかあれですけれども、知事もこういう改革を、強く提言してきた方としてのまずご感想と受け止めと、私も詳しく見させていただいたところ、確かにいろいろ取組みが書いてあるのですけれども、取材させていただいた中では、ルールはあります。ただルールを情報を出さない方向に利用する。要するに、包丁をどう使うかみたいな問題があるのですけども、例えば情報開示請求の期間は2か月です。2か月限界まで延ばすとか、そのルールをなるべく情報を隠す方向に解釈をしていくというような問題があったのですけれども、今回も、例えば、医療事故についての公表については遺族の了解を得てからというようなことになったわけですけれども、例えば、どういう交渉をするか、その交渉の仕方にもよるものがあると思うのです。出すべきだというスタンスで交渉していくのか、病院としては出したくないという形で交渉していくのかという最初の入り方で随分変わってくる。アクションプランに書いてあることとは別で、今、その改革がその精神のままずっと続いていくかどうかという問題もあると思うのですけどもそういった懸念に対する知事のお答えといいますか、今後の方針についてこの2点伺えればと思います。

知事: 今回、病院機構から医療安全に関して、外部調査委員会の提言を踏まえたアクションプランの策定や、死亡事案発生時の対応手順などが示されたことは、病院機構が医療安全の重要性を深く認識し、自ら改善に取り組んでいることの成果と受け止めています。病院機構では、阿南理事長が就任した4月以降、「改革プロジェクト」を立ち上げ、医療安全を含め、さまざまな検討や取組みに着手していると承知しておりまして、非常にスピード感を持って改革を進めていると思います。引き続き、病院機構には、県立病院が県民の皆様から信頼される病院となるよう、理事長のリーダーシップのもと、しっかりと改革を進めてもらいたいと思っております。今、ご指摘の点でありますけども、阿南理事長は皆さんもよくご存じの方でありまして、彼が病院機構の理事長に就任する際に、やはり相当な決意を持って臨んでいるということを確認しております。こども医療センターで起きた事案についても、私もここでも何度も言いましたけれども、対応が患者目線に全くなっていない。患者の家族目線にも全くなっていない。根本的にこれを変えなくてはだめだという話をしている状況の中で、阿南理事長が行って、今、真剣に取り組んでいるところです。彼の基本的なマインドというのは、情報をどんどん公開していこうという方向性であります。そっちに重きがあることは私も何度も確認をしているところです。その中で例えば、精神医療センターで起きた出来事、虐待みたいなことがあったという中でも、ちゃんとまだ確定されていない段階でも、すでに情報提供をしているというぐらいの決意で望んでいるところがありまして、やはり並々ならぬ決意のもとで、情報公開に向かって進んでいるなということは実感をしています。その中で、最低限、ご家族が嫌がっているものまで出すのだというのは、なかなかそうはいかないということでそういう規定が入っているということだと受け止めていただきたいと思いますし、これから実際の具体の中でどういった形でこれが運用されていくのかといったことは、私もしっかりと見守っていきたいと思っています。

ともに生きる社会かながわ推進週間の取組について

記者: もうすぐ事件発生から8年になりますので、まもなく8年を迎えるということについての所感を教えてください。

知事: 本当に8年前のあの日のことというのは、一生忘れることはできないと思います。事件の話を聞いて、そして現場に向かって行ったときのこと、あの時の重い空気感といったもの、いまだによみがえってまいります。そういった中で、何でこんなことが起きたのだろうということをずっと考えてきた。そして二度と起こしてはいけない、そういった思いでやってきた。そういった中で、議会と一緒に「ともに生きる社会かながわ憲章」を取りまとめた。そして「当事者目線の障害福祉推進条例」も制定させることができた。そういったことを進めていこうとやっている中でも、いまだに県立の直営施設でも虐待事案というものが報告されてくる。本当に闇の中のすさまじい世界に向き合っているのかなといったことを思う次第です。植松という非常に特異な人間が起こした全く特別な事件だったのか。実は、もしかしたら起きるべくして起きたのかもしれない。そういった思いさえするところでありまして、本当に克服していくためには、まだまだわれわれは気を緩めることはできないと思っています。ですから、そういった思いを改めてこのともいき週間で、原点に立ち戻って考えていきたい。そして皆さんに訴えていきたいと思っています。

記者: 先程、横浜駅をジャックするような形というお話もありましたが、一方で施設自体は相模原の施設で、横浜に集中というよりはもっと県内、いろんなところに行き渡るようにいろんなところでキャンペーンをもっと展開してもいいのではないかというような考え方もあるとは思うのですが、今回割と横浜に集中しているような形になっている意図でありますとか、こういうふうに展開していきたいという意図があれば教えてください。

知事: 津久井やまゆり園はご承知の通り津久井、千木良にもありますけども、その半分の部分は、横浜の芹が谷にも移ってきているという、横浜とも縁がある話であることは間違いないと思います。横浜駅のところである程度集中的にやるというのは、横浜駅で乗り降りする人というのは県内各地から来られている。横浜市民だけが横浜駅で乗り降りするわけではない。ですから、限られた予算の中で最も効率的に、こういったキャンペーンをやるためには、ある部分に集中して投下するということが一番効果的ではないかと思って横浜集中といったことを今回は心掛けた次第です。

東京都知事選挙について

記者: 7日投開票の東京都知事選挙で小池百合子知事が三選されました。改めて、近隣県として、どういう仕事を一緒にされていきたいか知事としての受け止めを伺います。

知事: 小池知事がこれまでの実績を評価されて三選を果たされたこと、本当におめでとうございますと申し上げたいです。やはりわれわれはコロナのときもそうでしたけども1都3県共通した課題に向き合うことは結構あるわけです。特に、いつくるか分からない大規模地震、大きな災害といったものに対しては、しっかり連携してやっていかなければならないといったこともあります。これからも連携はしっかりやっていきたいと思います。そうは言いながらも、東京都と周辺3県では状況が違うところもあります。偏在是正といったものですけど、税収構造が全然違って、神奈川県、千葉県、埼玉県はその税収において、東京都にとてもとても太刀打ちができない状況の中で、さまざまに東京都が大胆な支援策をやられるというときに、なかなかわれわれがついていけない部分がある。これは東京都の問題というよりも、国の仕組みの問題だと思います。これからもこういう点は、しっかりと国に対して3県が連携しながら訴えていきたいと思います。

「県の形の魅力を活かしたロゴ『Kanagawa-Ken』を広報等で活用します!」について

記者: 「Kanagawa-Ken」を県の広報等で活用するとあるのですけれども、どういったときに使うとか、具体的な想定があればお伺いしたいです。

知事: これはマクニカさんが作ってくださったのですけども、マクニカは、自らの製品として、今年2月の「テクニカルショウヨコハマ2024」で廃棄物を乾燥・減量する装置、メルトキングを作られました。私自身も視察しました。メルトキングは、県の令和5年度カーボンニュートラル研究開発プロジェクト推進事業において、この改良プロジェクトを採択したものです。視察の場で私から社長に「これは県の事業において生まれたものだと皆に見える形でアピールしてほしい」と申し上げた。そのときにたまたま議会の方で提案があったのです。県の形を使ったプロモーション、アピールが必要ではないかと。県の形を書いてみると犬に似ている。目さえ入れれば犬だなということで「Kanagawa-Ken」といった発想が出てきたわけです。そのとき、マクニカのデザイナーの方が「Kanagawa-Ken」といった、先程お見せしたデザインを描いてくださったといったことで、まずはメルトキングという装置に貼る、そこから始まりますけども、そのように県が何かの支援で関わってきたんだ、県から生まれたんだといったたものが一目で分かるような、そういうマークとしてこれから活用していきたいと思います。

記者: すでにキンタロウもおりますけれども、すみ分けとかというのは考えておられますでしょうか。

知事: 自ずとすみ分けが出てくると思います。そういったメルトキングにキンタロウがあったら、少し不似合いと思いますので、お互いに自然にすみ分けが出来てくるのではないかと思います。

記者: 大変失礼な質問になるかもしれないのですけれども、アイデアの発想が千葉県のチーバくんと似ているかなと個人的に思ったのですけども、そのあたりについて知事はどのようにお考えでしょうか。

知事: 先程申し上げたように発想の原点は、議会で聞かれたということから始まりました。ですからその時にチーバくんを意識したわけではなかったのですけども、たまたま神奈川県の形がどういった形なのかなと見てみたら「目さえつければ犬じゃん」ということがあったので、こういう形になった。チーバくんの場合はぬいぐるみとかあるのですか。ただ、「kanagawa-ken」は先程見ていただいいたように、ぬいぐるみにするのは難しいのではないかと思っていますから、おのずと使い方が違ってくるのかなと思っています。

リニア神奈川県駅の現場視察について

記者: きのう、リニアの神奈川県駅を知事が視察されまして、手応えを語っておられたと思うのですけれども、そのときに課題についても質問させていただきまして、安全面であると。私もきのう、駅の方を拝見しまして安全面もさることながら地下に下りるまでとても大変だと個人的に思いまして、大規模なコンサートを開催するには検討が必要なのかなと思ったのですけれども、この点について、知事はどのようにお考えでしょうか。

知事: そのあたりはきのう、担当者とも意見交換をしながら視察をしていたのですけども、きのうは工事の階段を下りていくという形になりましたけれど、いざ、ある程度たくさんのお客様を集めてイベントをするという場合には、スロープをつくって、そこを安全な形で誘導するようなことはできます。なんといったって工事現場ですから、いろんなことができる要素は整っていて、そのあたりはすぐに対応できるという話を聞いたので非常に心強く思ったところでありました。

ともに生きる社会かながわ推進週間の取組について

記者: 津久井やまゆり園の所感についてもう少しお伺いしたいのですけども、まず、いまだに中井でも虐待がおきていて、闇の中の部分があるような話をされていて、どういったところをイメージされているのかというのが1つと、起きるべくして起きたのかもしれないというところ。植松死刑囚という特異な人間が起こした事件だったのか、起きるべくして起きたのかもしれないと知事がおっしゃられたと思いますので、そのあたりのお考えをもう少し教えていただけないでしょうか。

知事: あの時には、本当に特異な事件が起きたとは思ったのですが、その後、ある種日常的に虐待のような支援が行われたという事実が次々に明らかになってきました。そのことをずっと掘り下げて見てきたというのがこの間の歴史でありましたけども、つまり、虐待と思われることをやることが、みんな感覚が麻痺していたということです。例えば、強度行動障害の方が暴れる。暴れたら危険だから閉じ込める。車椅子へ縛り付ける。そういったことが当たり前のように行われていたということです。そうすると、このあたりは実は裁判の中でしっかりと検証しきれなかったと思うのですけれど、植松死刑囚の発言の中に、要するに人間として扱われてないみたいな印象を持った。そういう中で何だこの人たち別にいなくてもいいのではないか、むしろいない方がいいのではないかという思想に変わってしまったということだと思うのです。そういう奥深い見えないところの障害支援のサービスの現場で「これはいけないのではないか」「こんなことをやってはいけないよ」という声が上がってこなかったということは、やはり根が非常に深いのかな。しかもこれだけ全県をあげて、こういうことを二度と起こしてはいけないという形で、そして「ともに生きる社会かながわ憲章」「当事者目線の障害福祉推進条例」といったものを作って、実践に移している最中に県の直営施設もいまだに、虐待と言わざるをえないことが起き続けているということの根の深さといったものがあると、実はわれわれはあの事件を克服し切れたのか、まだできていないのではないかと思わざるをえないというのが正直なところです。

記者: 知事のお考えとしては、障害福祉の現場が植松死刑囚の考えを変えて、事件を引き起こした可能性があるとお考えだということでしょうか。

知事: 裁判の記録からそうも読み取れる感じはありますし、そこのところはしっかり断定はされていませんけれども、そうではないのかなと類推するような流れは浮かびあがったのではないでしょうか。

記者: 中井などで起きている虐待の話と、津久井の事件で19人殺害されたというところ。そのレベルは切り分けて考えるべきではあると思うのですけども、つながっているかもしれない部分と切り分けて考えるべきだと思う部分、そのあたりの知事のお考えはいかがでしょうか。

知事: なかなかこれは証明できないとは思います。例えば、あのときに私も非常に恐怖を覚えたのだけれども、植松死刑囚の発言、意思疎通が図れない人間は生きている意味がない。この人たちを殺してあげた方が、彼らにとってもいいことだし、世の中にとってもそれがいいのだろうというめちゃくちゃな発想といったものに対して、共感する人がいたわけです。あれは非常に恐ろしいと思いました。優生思想というのでしょうか。そういったものはやはり、どこか人間の中にあるかもしれない、われわれ一人ひとりの中にもどこかあるかもしれないというような思いを持ってこの問題にしっかりと目を向けなければ、克服しきれないのかなという思いがします。

「貨物運送事業者の従業員の大型等運転免許取得を支援します!」について

記者: 貨物事業者の補助の関係ですけども、大型免許の取得の補助ですけども、大型免許取得者については、貨物だけではなくて、バス事業者もいろいろ困っているかと思うのですけども、この補助を貨物に限定した理由は何かあるのでしょうか。

産業人材課長: 今回、物流の2024年問題に対応するための取組みとして、中小貨物自動車、運送業者の支援を行うこととしてやったものでございます。

東京九州フェリーについて

記者: 貨物の支援という側面でいったら、横須賀と北九州の間で、貨物と旅客のフェリーが運航されて、もう3年になるということで、私もその構想が持ち上がった当時は北九州にいたので、そういったことがあったなと思い出したのが先日のことなのですけども、貨物の運転手さんも長距離休んで寝て、九州まで行けるというメリットはあるのですけども、一方で貨物と切り離して旅客という面で考えたときに北九州とか福岡とか九州全般ですけども、首都圏以上に車社会が進んでいて、今インバウンドでなかなかホテルも取りにくい状況もあったりする中で、フェリーで横須賀まで来れば1泊宿泊費も浮く計算になって、かなり旅行者にとってのメリットというのも大きい手段なんだろうなと思うのですけども、正直、私が忘れていたぐらいなんで世の中にそこまで認知されてないのではないかという気もして、神奈川県としては三浦半島を観光の重要な位置付けで、次の観光地として売り出していこうというところからすると九州方面から車で来た人が三浦半島をドライブしてというような感じで旅行してもらうというのは神奈川県が目指す方向ともマッチすると思うのですけども、そのあたりのPR、周知について、北九州市、あるいは福岡県なりと連携して、もっと認知度をアップさせていくというお考えは今の時点であるでしょうか。

知事: 福岡県と限定した形で、そういった形の連携をしようという話は特に把握していないですけども、基本的には神奈川県というのは、半分以上海に囲まれた県になりますから、海上交通といったものをしっかりと活かしていくという大きな方向性があります。まずは県内の移動、逗子、葉山、そして江の島の湘南港、大磯、そこを海上タクシーというものを走らせておりますから、そういった中で、これをさらに小田原とか真鶴とかそこまでつないで、道路ではなくて海で回っていくという流れをしっかりと形にしていきたいと思っています。それとともにコロナが終わって、大さん橋が知事室からも見えるわけですけど、最近はやはり大型クルーズが戻ってきているという状況もありますので、そういったクルーズ船で人が移動するといったこととあわせて、こちらに来たときにもそういった海で移動できますよ。これからは羽田空港と横浜を結ぶとか、そういったこともあり得ると考えていますので、さまざまな海を使った移動といったものはしっかりやっていきたいと思っています。

ディズニークルーズについて

記者: 海の話が出たので関連なのですけども、先日オリエンタルランドがディズニーのクルーズ船を就航させるという計画を発表されました。乗客定員が4,000人規模でかなり大きなクルーズ船の計画ということで、その規模になると、横浜港にも就航してくれればとかと思うのですけれども、そういった誘致活動とか、誘致しないまでにしてもそういうものが2028年もうすぐ、計画が上がったということに対する何か受け止めがありましたらお願いします。

知事: 私もディズニーがクルーズ船に乗り出すという話を聞いて、なんか楽しそうだなという感じはしました。ただ今お話をされた横浜港に誘致するというのは、横浜市の問題だと思いますので横浜市としっかり連携しながらそれは進めていきたいなと期待感を持って見ていきたいと思います。

東京都知事選挙について

記者: 都知事選の関係で、お伺いしますけれども、先程連携すべきところはしっかり連携してというお話がありましたけれども、小池知事の知事選の公約で、第一子の保育料の無償化というのも今回掲げていて、これまで第二子だったと思うのですけれども、先程潤沢な財源ということで、一義的には国に求めていく話だと思うのですけれども、子育てとかそういったところで神奈川を含む周辺県との差が拡大する可能性のある事態だと思うのですけれども、このあたりどのように知事は受け止めていらっしゃるでしょうか。

知事: 選挙でもっともっとという形になると、またそういう話がどんどん出てくる形になって、われわれにとっては非常に頭の痛い話だと思います。ただこの問題、そもそもは税源の偏在といったことが大きな原因になっていると思いますので、このあたり改めて国に対して税源の偏在是正といったものを求めていきたいと思っています。

記者: そうするとやはり子育てとか教育とかは国がなるべく一律で都道府県の格差なくやるべきだという理解で、偏在是正ももちろんだと思うんですが、そういう考えと理解してよいでしょうか。

知事: それもそうです。同じことですけど、こども基本法の中にそういう趣旨のことが書いてある。子どもたちの生まれ育った場所によって差があってはいけないという、そういった趣旨のことが書いてあるということなので、その精神を生かすという意味でいけば、その差が出ないように国にやってほしいということです。

記者: 都知事選に関連してなんですけれども、今回の都知事選を広く見てネット戦略の石丸さんが次点というところで、無党派層の取り込みに成功したり、選挙のあり方も非常に大きく考えさせられる選挙だったと思います。今後選挙のあり方というのも変わっていくのかなというところですが、知事ご自身が都知事選見ていて感じられたことというのはどういうことか、教えていただけますでしょうか。

知事: まずは、掲示板のポスターの異常な姿に相当びっくりしたということがありました。法律に違反しなければ何やってもいいのかという。あのようなことは本当によくないなと思いました。そこはまず何とかして、そのためにはどういう形がいいのか、それは国の方でも検討される。小池知事も首相に申し入れられたそうですけども、何らかの手を打ってもらいたいという気はありました。その中で今お話があった石丸さんという、それほど今まで有名ではなかった方があっという間に2位につけるという非常に大きなムーブメントを起こしたといったこと。これは一体どういうことなのかなといったことをしっかり分析していかなくてはいけないなと思っています。まだ今私この時点で、あれは要するにどういうことだったのだと自信を持って言える感じではないです。何かすごいことが起きたなとは思っていますけど、この背景が要するに何だったのかということを少し冷静に分析する必要があるのかと思います。少なくとも何らかのエネルギーが溜まっていた。そこをうまく彼の仕掛けが発火をさせたのかなとは思います。それが本当に政治そのものに対してどういう意味があるのかといったことは、もう少し時間をかけて分析し評価していく必要があると思います。

「県の形の魅力を活かしたロゴ『Kanagawa-Ken』を広報等で活用します!」について

記者: 「Kanagawa-Ken」について戻るのですけども、最初に作った、デザインしたのがマクニカさんということですが、東京湾の方を向いているような感じがしていて、チーバくんと相対している感じもしたのですけれども、何か、こっち向きとか、目はこっち向きにしようとか、そういう指示はされたのでしょうか。

知事: 指示はしていないです。神奈川の形を出してみると、おのずと頭はこっちだということだと思います。ひっくり返したら、神奈川県の形の意味がなくなってしまうので、深い意味はありません。

記者: 例えば耳が、相模湖とかそういう何か意味があるものでしょうか。

知事: マクニカのデザイナーさんに私は聞いていないですけれども、それだけ深い意味はないのではないかと思います。基本的なその枠組みの形だと思います。

広報戦略担当部長: 特にそういった、ここが相模湖だとか目がどこだとかということではなくて、全体のフォルムが神奈川県の形で作っていただいたものです。

記者: 千葉県にも、チーバくんではなくて「ちば犬」というキャラクターもいるのですけども、特にそれとも関連というか、着想も「ちば犬」ともチーバくんとも関係はないということでしょうか。

知事: 特に意識していないですよね。

広報戦略担当部長: 「ちば犬」というものを私が存じ上げないのですけれども、そこを意識したものではないです。あくまで神奈川の形が犬に似ているという知事の発想から生まれたものです。

記者: 今回はロゴであって、着ぐるみというか、そういうのは全く考えていないのでしょうか。人気が上がってくれば考えるものでしょうか。

知事: 少なくとも今出てきているデザインでは、着ぐるみにしにくいのではないかと思います。立ち上がって歩くのも難しそうな絵柄になっているので。まずは着ぐるみなしでいこうと思っています。こういう形にしたら着ぐるみになるぞという発想が出てくれば、そのときに考えればいいかなと思っています。着ぐるみの方は、かながわキンタロウにもう少し人気が出るように頑張ってもらうしかないと思います。

政策課題トップセミナーについて

記者: 一昨日だったと思うのですけれども、知事、幹部職員との対話みたいなこと、意見交換会をやっていたのではないかと思うのですけど、日程が公表されてないのに何で知っているのという話は別にして、差し支えない範囲で、どういう意見交換があって、知事の政策についてどのように影響しそうか、可能な範囲で教えていただければと思います。

知事: あれは別に秘密にするような会議ではなくて、澁谷政策顧問に話をしてもらったということです。澁谷政策顧問も、実は県庁に来て長いのですけれど、政策顧問になっていただいた11年前にも、澁谷さんから自分はこういう人なのだよということで、講演をしてもらいました。それをきっかけにして、彼のところにいろんな相談が持ち込まれるようになり、彼も丁寧に答えてくれたという、そういう存在だった。途中にコロナもあり、ずっと時間が経ってきた中で、澁谷さんをよく知っている人はどんどん相談に来るのだけど、なかなか知らない人は、あの人要するに誰なんだろうという声も聞こえてきたので、改めて、澁谷さんに話をしてもらおう。それで何か困りごとがあったら澁谷さんに持ってきて、そういったことを話す場でした。

(以上)

 

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