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更新日:2024年8月27日

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定例会見(2024年8月27日)結果概要

過去の知事記者会見の様子をテキスト版でご覧いただけます。

発表項目

横須賀・三浦地域を中心に「さくらネット」が始動します!

司会: 本日は「さくらネット」の立ち上げにご尽力された横須賀共済病院の長堀薫病院長と湘南鎌倉総合病院の小林修三病院長にお越しいただきました。まず、知事からコメントをお願いいたします。

知事: 「さくらネット」についての詳細は、ただいま紹介のあった両先生から後程説明していただきますが、「さくらネット」とは、患者の医療、介護情報を、デジタル技術を活用して、地域の医療機関、薬局、介護施設などで相互に共有するネットワークです。県では、医療DXを進める中で、こうしたデジタル技術を活用して、患者情報を共有する「地域医療介護連携ネットワーク」の構築を支援しています。今回の横須賀・三浦地域を中心とする「さくらネット」は、令和元年度から横浜の東部地域で運営されている「サルビアねっと」に続き、県内で2例目となります。「さくらネット」が始まることによる患者さんのメリットですが、例えば、クリニックの診察室で医師が「さくらネット」に接続し、目の前にいる患者の情報を検索することで、他の医療機関でどのような検査結果や処方が出ているかを即座に確認することができます。これにより、重複した検査や一緒に飲んではいけない薬の処方などが回避されることで、患者の身体的、経済的な負担が軽減されるとともに、より安全で安心な医療を受けることが可能になります。ただし、「さくらネット」で患者の情報を共有するためには、ご本人の同意が必要になります。私もこうしたデジタル技術を活用した地域医療の取組みには、限られた医療資源を有効に活用する意味でも、県民の皆様の利便性を高める意味でも、大いに期待しています。対象地域の医療機関等を受診する方は、ぜひこの機会に、「さくらネット」への登録をお願いしたいと思います。私からのコメントは以上です。

司会: それでは続いて、今回の「さくらネット」の立ち上げにご尽力され、「一般社団法人さくらネット協議会」の理事長でもある、横須賀共済病院の長堀病院長から「さくらネット」の詳細についてご説明いただきます。長堀先生、よろしくお願いします。

長堀病院長: 皆様こんにちは。さくらネット協議会理事長、横須賀共済病院病院長の長堀と申します。きょうは、会見にご参加いただきまして誠にありがとうございます。経緯と内容についてご説明したいと思います。釈迦に説法かもしれませんが、今の医療のバックボーンです。10年前から地域医療構想というものが始まっています。病院は、病棟ごとに4つの機能に分化して、明示することを求められています。高度急性期、急性期、回復期、慢性期となっています。高度急性期はがんや救急。急性期は在宅での誤嚥性肺炎。治療が終わったら、もちろん家に帰るのはベストですけれど、リハビリが必要だと回復期病棟。家に帰れない場合は慢性期病棟に入院する。つまり、病院ごとに機能分化して、ネットワーク化して治療するということが求められています。30年前はどこも、ゆりかごから墓場まで1病院完結型であったわけですけれど、今は地域で治し、支える地域完結型に医療のパラダイムシフトが起こっているということになります。当院ですと、10年前はそうはいっても総合病院だったのですけど、慢性期の分院やリハビリテーション、訪看などを閉じて、逆にICUやロボット手術ダヴィンチなどを導入し、高度急性期病院へ資源を集中させてきました。その結果、10%ぐらい転院が必要になる患者さんがおられるんですけれど、10年前から、周囲の3病院に転院をお願いする病院連携協定を結んでいました。これが昨年、横須賀・三浦二次医療圏、70万人ですけれど、ほぼ全病院を網羅するアライアンスに拡大いたしました。ちなみに、湘南鎌倉病院とうちでこの地域の急性期の医療の7割を担っています。救急車でいうと、湘南鎌倉病院は2万2,000台で全国1位。うちが3位で1万4,000台。全国200台の救急車が走っていると、1台はどっちかに来るみたいな話になっています。このネットワーク、患者さんについては機能しているわけですけれど、これを事業化しないかと神奈川県からご提案をいただきました。そこで今回、医療、デジタルネットワークを事業の一つとして立ち上げたわけです。地域医療介護総合確保基金を県が申請してくださいまして、認められましたので、プロポーザル入札し、ベンダーを選定いたしました。この4月から「さくらネット協議会」が設立され、きょうから本導入になっています。ご存じのことと思いますけれど、エレクトロニックヘルスレコード、ここに医療情報を共有します。病院の電子カルテはオンプレミスといって、一つの病院でクローズドになっているので、一生懸命打ち込んでも紙に落として、また隣の病院で打ち込むという膨大な無駄が生じており、さらにコロナのような緊急時には紙とファックスでやりとりするという、リアルタイムに共有できない大きな弊害があって、医療機関のみならず、県や保健所も大変な思いをしました。これを解消したいと思っています。選定したベンダーはCoEsse、鶴見区の「サルビアねっと」も展開しております。セキュリティは3省2ガイドライン、もっと厳しい神奈川ガイドラインにも則っております。一つのIDで管理いたします。参加予定269施設で予算をいただいているのですけれど、実は3か月で病院の申し込みは48になっています。横須賀・三浦の病院は20と少しなので、その倍ぐらい入っていただいているということになります。できるだけ情報を共有化して皆さんの役に立ちたいと思っています。ご自分の病名や飲んでいる薬、あるいは禁忌、飲んではいけない薬とか、正しく全部を把握されているでしょうか。あした交通事故で入院するかもしれません。そのとき、ここに登録があると、入った瞬間にその情報は病院に分かることになります。ちなみに、救急車で来られる患者さんのうち半分は診療情報が来た時点でゼロです。非常に危ない状態で、実は日本国民、救急で受診しているということになります。こういったことも解消したいと考えています。ご清聴ありがとうございました。

司会: それでは続いて「一般社団法人さくらネット協議会」の副理事長でもある湘南鎌倉総合病院の小林病院長から具体的にどのようなケースで「さくらネット」が利用されるのかについてコメントをいただけますでしょうか。

小林病院長: 今、長堀先生から説明ありましたけど、この後、私の生の言葉としてお話をさせていただければと思います。これは、皆様のため、住民のため、そして私も患者になります。病気になります。これは私のためになります。医療の無駄。そして私たち医療者がどういった思いで実際に医療をやっているか。例えば、災害のあった能登半島沖地震で、私の友人の先生が言いました。「よかったよ」と。診療所がつぶれて、電子カルテが使えなくなった。その時に患者さんをどういう形で紹介したのと言ったら「ネットがあって、クラウドに上がっている電子化された患者さんの医療記録がどの病院に行っても、その後、金沢市の病院に行っても分かるのだ」ということで、災害のとき、万が一のときに皆さんの診療情報が他の施設でも見ることができる、共有化というのはこういうことです。さらにもう一つは、私ども救急車、夜中中対応します。午前2時に来た患者さんに「この病気、前にどこかの病院にかかって検査したことないですか」という現病歴を取るときに「1週間前に開業医の近くの先生のところにかかって採血しています」「どうでした」「ちょっと結果は…」。その病気を診断する上で、その結果がものすごく重要なんです。その時に、午前2時に開業医の先生に電話をかけることは非常に難しい。それでもかけたこともございますが、それは患者さんの命を救うためです。でもその時に、この「さくらネット」に患者さん、住民がすべからく入っていただいていれば、その瞬間にその方の1週間、1か月前のデータが分かるということで、これは住民のため皆様のため、これからのわれわれの医療を推進するためです。さらにお医者さんが紹介をするときに、紹介状を書く。画像を撮ったらCD-ROMをコピーして、大変な思いで紹介状をもらって、別の病院に行かれた経験をお持ちの方いらっしゃると思います。これも不要になります。クラウドに、相手の施設の電子カルテにちゃんと共有して見ることができるということで、この残された4枚に書かれた内容ですが、特にこの電子カルテというのは皆さんもご存じのとおり既往歴や現病歴、検査の画像、その他アレルギー歴全部が書かれている。それが聞けない状況がいくつかある中で、これを共有化することによって、瞬時に見ることができるということで、住民の方々にこれを登録していただいていることが、その方のためになり、そして私たちの医療の無駄を省くことになるので、ぜひともこれを推進しなければいけないんです。私はすぐにその場で試してみましたが、わずか5分です。QRコードを読むと、スマホにすぐ上がってきます。名前、年齢、性別、保険証番号、保険証についている3つの記号を入れます。それで終わりです。それによって、電子化された記録を見ることができる。こういうことで、ぜひとも皆様のお声もいただきながら、全員にこのネットに入っていただきたいと望んでおります。

質疑

記者: 今回のさくらネットですが、県内こちらが2番目ということでした。横須賀・三浦地域に2番目に導入された、理由、背景というところがどういうところなのか教えていただけますでしょうか。

長堀病院長: これは最初にお話したとおり、ネットワークだけがあってもなかなか協力は得られないし、周知もされない。病院のアライアンスがあったということがベースになっています。19病院ですので、4,000床ぐらいの病院群と考えていただければいいと思うのですが、この中で、別々に情報があるのは非常にもったいない。そこを県が事業化しないかとおっしゃってくださったので、デジタル情報、医療DXも大切ですけど、それだけでは動かない。もともと、病院間のアライアンスがあったということがベースになっているので、これが開始になったということです。

記者: 知事にお伺いします。先程、出来れば全員に入ってほしいというお話が病院長からもありましたが、知事として、こちらの地域にお住まいの県民へのメッセージをお願いできますでしょうか。

知事: もともと「県民目線のデジタル行政でやさしい社会を実現」こういうことを掲げてまいりました。まさにこのネットワークというのは、県民目線の医療、介護というものを実現するということです。これまで自分のカルテというものは、自分がかかった病院とか診療所にだけあるという状況。決して患者目線になっていなかったということです。これがそれぞれの医療機関、介護施設等でネットワーク化することによって、まさに県民目線で情報が提供される。そのことによって、安全安心な医療、介護といったものが提供される、まさにやさしい社会が実現する。こういうことだと思います。こういったものは、頭で考えてできるだろうと思いながらも、なかなかできなかったのが現状でありますけども、地元の皆様の創意工夫、そして連携によって、きょう、ここにスタートすることができたということは非常に大きなことだと思っています。先程の地図を見ても、私も先程聞いて驚いたのですが、もともと三浦半島だけでやっていこうとしたものが、もうすでに、どんどん染み出すように、横浜から藤沢からどんどん登録者が増えているという現状です。それぐらい実は皆さんの期待感もあったということだと思います。これがどんどん拡大して、できれば神奈川県全体がこれで覆われるようになって、神奈川県にお住いの皆さんは、常にどこにいても、どこの病院、介護施設にかかっても自分の情報がすぐに上がってきて、そして安全安心な医療、介護が受けられるという状況になるといったこと、われわれは大きな期待をしたところでありますので、ぜひ皆さんも登録していただきたいと思います。

記者: 長堀先生か小林先生にお聞きする話だと思うんですけれども、この横須賀・三浦の二次医療圏で人口はどのぐらいになるんでしょうか。

長堀病院長: 70万人です。これから少し減っていくんですけど。

記者: マイナンバーカードの保険証でも、診療情報、薬剤情報が共有可能だと思うんですけれども、そういうものとの違い、メリットみたいなのがあれば教えていただきたいんですけど。

長堀病院長: 国の目指しているものと同じです。患者さん、あるいは市民に、自分の診療情報、健康情報を持っていただく。国の医療DX推進会議で進められている3本柱の一つがこの医療情報プラットフォーム。ただ、今この時点だと、国のプラットフォームは申し訳ないんですけど、機能していない。先程のご質問にもありましたけれど、システムだけを機能させようと思っても難しいので、それが何かの役に立つという明らかに見えるものがないと進まない。そこがアライアンス病院の構築で、この地域では見えている。だから先に進めて、国のプラットフォームと連携できるような作りにしてあります。

知事: マイナンバーカードの健康保険証利用では、患者の同意を得た上で、医療機関、薬局が患者の特定健診情報、薬剤情報を閲覧することが可能になりましたが、その内容は限定的です。さくらネットでは、過去の病歴や手術歴、アレルギー歴のほか、過去の検査時の画像データも共有できるなど、把握できる患者情報が非常に多くなります。これら多くの情報を共有できることが、「さくらネット」とマイナンバーカードを活用した健康保険証との大きな違いです。

記者: 知事にお伺いしたいんですけども、ネットワークを、先程県内にも広げていきたいというお話ありましたけれども、すでに「サルビアねっと」があって、そことの今後の結合であるとか、県内他の地域でもネットワークをつくるとかというお考えがあるのかどうかを教えていただければと思います。

知事: 神奈川県内では2例目でありますけども、先程申し上げたように、私の思いとしては、全県展開と言ったこと、それがどのような形で全県展開になっていくのか少し今読めないところがあります。こういったものが他の地域でも「何とかネット」「何とかネット」と出来上がってきて、それがだんだんつながっていくのかと思っていたら、先程申し上げたように「さくらネット」がもうエリアを越えて、どんどん広がりつつある。これが広がることによって全県を飲み込んでいくということだって実はあるのかなと思って、成り行きは注目しながら見ていきたいと思います。

小林病院長: これは、先程も申し上げましたけど、皆さんのプレスの力を借りたいです。私は病院長、医療をする側として、先程発言したわけではなく、私が患者さんになったときに、私だという思いを持って、心からお願いをしてそれを全員に広げたいんです。皆さん考えてみてください。医療を受ける側、私も受けるんです。それが一部のごく一部の人口、あるいは医療にかかっている人の一部であれば、そのメリットやサービスは展開できないわけです。これは県の医療行政の推進力とそして、東の端の大きな病院のトップでいらっしゃる長堀病院長と、西の端の私ども大きな病院のトップが、ぜひともこの地区でまず成功して、そして神奈川県、そして日本の医療をという思いで、実は私は最初にそう思った印象です。ですから、ぜひ皆様の報道でよろしくお願いしたいという強い思いがあります。

長堀病院長: 「サルビアねっと」と「さくらネット」は同じベンダーの「CoEsse」ですので、その気になると今でもつながります。

記者: 医療情報をたくさん収集するというところで、プライバシー性の強い情報だと思いますので、先程もセキュリティが強いというお話しをしていただいたと思うんですけれども、このセキュリティの強さというところをもう少し説明いただけないでしょうか。

長堀病院長: セキュリティについては、3省2ガイドラインに準じている。それから、先程申しました通り、それよりも強い神奈川ガイドラインにも準じているということになります。実際は、ゼロトラスト、何かが起こることを前提に組み立てています。起こったときに、その被害がミニマムで済むようなつくりです。このシステムとしては、クラウドを使っています。AWS、アマゾンウェブサービスのクラウドですけれど、ここのところでは情報を載せるときに暗号化していますので、その場で漏れても特定はできないというようなつくりになっております。

記者: 私も難しい話でどう質問すればいいのか分からないんですけども、省庁の基準に比べて神奈川の方がより厳しいとご説明いただいたと思うんですけど、どの部分が厳しいとかをご説明していただくのは可能でしょうか。

長堀病院長: 僕もだんだんそこまでいくと厳しいですけど、患者さんは一つのIDということになっています。医療者もそこに関しては一つのIDですけれど、全部トレースできるということです。他の人が誰か違う人のデータを見ようとしたら全部それはログに残るので、すべて把握できるということになります。

記者: 履歴が残るので、追跡がしやすい。なので、そういうセキュリティも担保されるというそういったご説明でしょうか。

長堀病院長: そうです。あとシステムの接続はVPN、バーチャルプライベートネットワークを使うんですけれど、そのVPNには他から入れない、回り込みができないシステムを採用しています。結構VPNは、フォーティネットとか脆弱性のあるものがあって、そこの弱さを突かれて、病院でランサム攻撃受けたりした事例もあるんですけど、そういったことも回避できるように考えております。

記者: こういう取組みは県内で2例目ということなんですけども、全国的に見るとどういった状況にあるのかということと、そういう中でもさくらネットの特徴みたいなのを教えていただけないでしょうか。

小林病院長: 北海道は「スワンネット」ということで、北海道東部地震で2018年、それから岩手県の気仙沼、三陸沖地震のところが「未来かなえネット」。そしてよく進んでいるのは高知県というような状況。あと、もう少しあるのでしょうか。大きなところを載せていますが、小規模で徐々に拡大しているという状況だと思います。

長堀病院長: 数としたらこういうネットは日本に200以上あります。ただ、ランニングコストとかサーバーを立てたシステムのときに、更新するのにお金がかかるというところで6割以上がつぶれています。今回はクラウドで更新の費用はかからない。それから、たくさん入っていただくことで、ランニングコストを安くするといった工夫をしております。

記者: イニシャルコストを県が出すとご説明いただいたと思うんですが、予算措置としては、どれぐらいを考えてらっしゃるんでしょうか。

健康医療局長: 今年度、令和6年度予算で約4億9,000万、5億弱の予算を措置します。各病院、医療機関等々がイニシャルで入れるときのコストを補助する、こういったイメージでおります。

発表項目

「ME-BYOサミット神奈川2024」を開催します!

 次に、「ME-BYOサミット神奈川2024」の開催についてです。
 本県では、持続可能な健康長寿社会の実現に向けて、未病コンセプトや未病改善の重要性を普及・啓発するとともに、神奈川発の未病産業の市場拡大を図ることを目的として、「ME-BYOサミット神奈川」を開催してきました。
 このたび、国際シンポジウム「ME-BYOサミット神奈川2024」の開催が決まりましたのでお知らせします。
 開催日時は、11月7日木曜日と8日金曜日の2日間です。
 また開催方式は、招待者や関係者、報道の方には、会場である箱根湯本富士屋ホテルにお集まりいただき、一般の方には、特設サイトを設置し、オンラインでご参加いただきます。
 一般の方の参加申込みは、本日から特設サイトでの受付を開始しています。
 テーマについて、5回目となる今回は、「誰もが、その人らしく『いのち輝く』社会の実現に向けて ~神奈川から始める産学公民がともに歩む取組み~」をメインテーマに、現場の最前線で課題と向き合う市町村や企業、アカデミア等の当事者が一堂に会し、国内外から著名な研究者等をお招きしながら、認知症未病改善、腸内細菌等に関する取組みや未病改善とエンタメ等との可能性をはじめとした「未病の見える化」や「未病の改善」につながる今後の具体的な方向性及び未来社会のありかた等について、幅広い議論を行います。
 多くの方にご参加いただきたいと考えています。セッションごとの概要は資料のとおりです。

「かながわオレンジ月間」がスタート!

 次に、「『かながわオレンジ月間』がスタート!」についてです。
 今年1月に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行され、9月が「認知症月間」となりました。
 県としても、認知症についての関心と理解を深めるため、認知症シンボルカラーである「オレンジ色」にちなんで、9月を「かながわオレンジ月間」と位置づけ、認知症に関するさまざまなイベントを集中的に実施します。「県庁本庁舎オレンジライトアップ」をはじめとした認知症の理解を促進する地域共生イベントや認知症未病改善に関する事業など、神奈川らしい認知症施策を展開する予定です。
 9月3日火曜日には、県庁本庁舎正面玄関にて、これらの施策やイベントの概要について、私が関係者の皆様とともに発表する予定です。また、認知症未病改善キャラバンとして、県内を巡回する車両や認知機能を測定するME-BYO BRAND認定商品などの展示も行います。
 「かながわオレンジ月間」に行う施策や9月3日火曜日に行う発表の詳細は、資料記載のとおりです。皆様、ぜひ取材にお越しください。

「かながわ脱炭素チャレンジャー」初代認証者20者を決定!「脱炭素スクール」受講生に修了証を授与!

 次に、「『かながわ脱炭素チャレンジャー』初代認証者20者を決定!『脱炭素スクール』受講生に修了証を授与!」についてです。
 県では、2050年脱炭素社会の実現に向けて、中小企業の脱炭素化の取組みを支援するため、今年度、「かながわ脱炭素チャレンジ中小企業認証制度」を創設しました。
 このたび、制度開始後、初めての認証として20者を「かながわ脱炭素チャレンジャー」に認証しましたので、お知らせします。
 また、脱炭素経営のポイント、省エネ推進・再エネ導入の実践的な手法等を学ぶ「脱炭素スクール」の受講生26者に修了証を授与しましたので、併せてお知らせします。
 まず、かながわ脱炭素チャレンジャーの認証20者ですが、認証を受けた事業者は、資料記載のとおり、県内さまざまな地域から多様な業種が認証されました。認証された事業者にはこちらの認証書をお渡ししています。
 認証のメリットですが、中小企業省エネルギー設備導入費補助金や、公共工事等の入札参加資格認定時の加点などの優遇のほか、公式認証マークを事業者のホームページや名刺等に使用できるといったメリットがあります。
 次に、脱炭素スクールの修了証の授与ですが、今年6月から昨日8月26日まで全4回講座を開催し、受講生26者に修了証を授与しました。
 受講生がスクール内で作成した「事業活動温暖化対策計画書」のうち、特に優れた計画については、県ホームページでも紹介しています。
 「事業活動温暖化対策計画書」は、認証取得の申請に活用できますので、今後、スクールの受講生からも「かながわ脱炭素チャレンジャー」が、次々と誕生する見込みです。
 このように、中小企業においても、脱炭素化に向けて真剣に取り組む事業者が徐々に増えてきています。
 2050年脱炭素社会の実現に向けて、「オールジャパン、オール神奈川」で、取り組んでいくため、中小企業などさまざまな主体の取組みをさらに後押ししてまいります。

「さがみロボット産業特区」で開発を支援したロボットが商品化されます!

 次に、「『さがみロボット産業特区』で開発を支援したロボットが商品化されます」についてです。
 県では、さがみロボット産業特区の取組みにより、生活支援ロボットの実用化・普及を通じた地域の安全・安心の実現を目指しています。
 このたび、令和4年度公募型ロボット実証実験支援事業で支援した車椅子ロボット「movBot®Office」の販売が本日から開始されましたので、お知らせします。
 「movBot®Office」は、歩行に困難を抱える方がオフィス環境で効率的に働けるように設計された革新的な車椅子ロボットです。全方向に自由自在に動ける車輪が搭載され、横や斜めに動くことが可能になり、狭い通路や机の間を移動することができます。
 また、座面の高さを最大80cm上昇でき、棚からのピッキング作業など、高い場所にある書類や物を取ることが可能になります。
 では、実際にロボットを使用している様子をご覧ください。
 このように斜めに動くことが可能です。高さ、座面が上昇するというところをお見せします。上の方から物を取り出そうとするときに椅子がだんだん上がってきています。このようにして高い場所にある物を取ることができます。
 このように、従来の車椅子では難しかった動きが可能になることで、下肢障がいのある方の雇用機会が広がります。
 このロボットの販売者はアクセスエンジニアリング株式会社です。
 県は、自律走行や座席昇降時の問題点を検証する実証実験を支援し、その実証実験を通じて得られた知見が製品化に役立てられています。
 ぜひ、下肢障がいのある方・障がい者雇用を検討している企業にご活用いただきたいと思います。
 県では引き続き、特区の取組みを通じて、生活支援ロボットの実用化を促進してまいります。

さまざまな自然災害等に即座に利用できる「災害対応融資」を創設します

 次に、「さまざまな自然災害等に即座に利用できる『災害対応融資』を創設します」についてです。
 県では、災害発生時の速やかな事業再建を後押しするため、被害を受けた中小企業の皆様が即座に利用できる「災害対応融資」を9月1日の「防災の日」から新たに創設します。
 これまでにも、災害に対応する融資メニューはありましたが、災害が発生する都度、被災企業向けの融資メニューを創設する必要があり、融資開始までに、最速でも10日程度の時間を要していました。
 また、国の資金繰り支援策である「セーフティネット保証4号」の発動は、災害救助法が適用されるような大規模災害に限られ、近年増加している局地的な豪雨は対象となっていないなどの課題もありました。
 こうした課題に対応するため、国の支援策を待たず、さまざまな災害において、被災した中小企業が即座に利用できる県独自の融資を創設することとしました。
 新たに創設した「災害対応融資」では、被害を届け出たことを証明する「り災届出証明書」があれば融資を受けることができますので、被災後の事業継続や事業再建に、速やかに着手することが可能となります。
 また、災害の規模に応じて、一社あたり最大8億4千万円まで利用可能であり、他の融資メニューと比べて信用保証料が割安となっています。
 「災害対応融資」は、県内42の県制度融資取扱金融機関で、9月1日から取扱いを開始します。
 なお、今月9日には、県西部で震度5弱の地震が発生しており、現在も台風10号が接近していますので、8月1日以降に被害を受けた方も対象とします。
 県では、自然災害時の資金繰りに不安を抱える中小企業をしっかりとサポートしてまいります。

知事出席主要行事

 知事出席主要行事については、事前送付した資料のとおりです。特に私から付け加えることはありません。
 私からの発表は以上です。皆さんからのご質問をどうぞ。

質疑

「さまざまな自然災害等に即座に利用できる『災害対応融資』を創設します」について

記者: 災害対応融資の関係なのですけど、これは防災の日に近づいているというタイミングもあるのかもしれないですが、こういった取組みをしている都道府県は結構多いものなのでしょうか。

金融課長: 災害対応融資について、他の自治体であるかどうかというご質問でございますが、他の自治体でもございます。ただ、例えば、金額が5,000万円と限られている、あるいは国のセーフティネット保証が発動されてから立ち上がるという制度設計をしている自治体が多いです。なので、こういった県の取組みというのは画期的と考えております。

「『さがみロボット産業特区』で開発を支援したロボットが商品化されます!」について

記者: さがみロボット産業特区のこのロボットの商品化ですけど、商品化にこぎつけたってことですけど、いつごろから開発していたかは分かりますか。

産業振興課長: 当初というのは詳細に把握しておりませんが、県で令和4年度に支援をしているという状況でございますので、2年間以上は開発にかかったという状況でございます。

「『ME-BYOサミット神奈川2024』を開催します」について

記者: ME-BYOサミットについてお伺いします。今回で5回目ということですけれども、これまでと違った特徴であるとか、今回、このテーマ設定をした背景とか、そのあたりを少し教えていただけますでしょうか。

知事: もう今回5回目になりますけども、毎回、未病ということをテーマにしながら、WHOとかさまざまなところから来ていただいて、お話をいただきました。今回のゲストですけれども、WHO、それから今回、全米医学のトップであります全米医学アカデミーのビクター・ザウ会長が来てくださいます。そして、世界トップレベルのアカデミアであるスタンフォード大学からもゲストが来られます。スタンフォード大学は常連ということになっていますけれども、そういったトップクラスの方が来てくださって「未病」というコンセプトで議論するということでありまして、高齢化といったものについて、われわれは早くから注目していたわけですけども、こういった問題がだんだん世界の大きな課題になりつつあるといったことを実感しています。注目度は非常に高いということです。このあいだもWHOに行ってテドロス事務局長にもお目にかかって、共感いただいたといったこともありましたので、こういったものを継続していくということが非常に大事なことだと改めて実感しているところであります。

「さまざまな自然災害等に即座に利用できる『災害対応融資』を創設します」について

記者: 災害対応融資について、このタイミングで作った理由がもしあれば教えてください。

知事: 先程申し上げましたように、最近の地球温暖化に基づくものだと思われますけども、異常気象、雨が降ってもこれまで経験したことないような集中的な大雨になったり、今、台風10号が接近中でありますけども、過去にないような大きな台風が襲ってきたりとか、激甚化、広域化といったものが非常に進んでいる。もともと日本は災害列島と言われたわけでありますけれども、地震もいつ来るか分からない、つい最近も、いよいよその時がきたのかと思うような南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)というものも出された。災害に対して備えなくてはいけないという気持ちが皆さん非常に強い。不安といったものもあります。そのために、いざそういう被害に見舞われたときにどうするかといったことに対するリアリティを持った、皆さんの意識、それが高まっている。今年始めの能登半島地震でも、こういったことがいつまたこちらで起きても不思議ではない。そういう危機感の高まりといったものがあるといったことを受けて、即座に対応できる仕組みをつくったわけであります。

「『ME-BYOサミット神奈川2024』を開催します」について

記者: 知事ご自身が「未病」という言葉をかなり使われて、政策の柱に置いてらっしゃると思うんですけども、健康状態を示す用語ですと「ウェルビーイング」とか「フレイル」とか、少し似たような言葉もあるかと思います。知事として「未病」という言葉にこだわっているところを改めて教えてください。

知事: 「未病」という言葉はもともと中国の漢方の言葉ですけど、われわれは再定義をいたしました。真っ白な健康があって真っ赤な病気があるというのではなくて、白から赤が連続的につながっている、グラデーション。これが未病です。だから病気になってから治すのではなくて、このグラデーションのどこにいても、少しでも白の方にもってくる、未病改善の努力、これが大事だという非常にシンプルな考え方です。白赤モデルからグラデーションモデルへとずっと言い続けてきたわけですけど、実は大きな価値転換があって、白赤モデルといったら、為政者側、医療者側、そういった側からの見方でありますが、グラデーションというと自分ごとです。自分の健康のことを考えたときに、健康と病気の間に線はない。グラデーション。何となく具合がいいし、何となくきょうは調子がいい。それを行ったり来たりすること。これがグラデーションモデル、つまり自分目線のヘルスケアの世界を築くためには、この概念が非常に大事だということです。これをこの10数年、世界に向けても発信をしてきたわけですけども、皆さんにいつもご報告しているように、この「ME-BYO」という言葉を、さきほど言った、全米医学アカデミーのビクター・ザウ会長も共感をしてくださいました。それからWHOの前のマーガレット・チャン事務局長、そして今回のテドロス事務局長も、そのコンセプトに対して共感をしてくれた。スタンフォード大学医学部の麻酔科というのは、非常に大きなパワーを持っているところですけども、そこの皆さんがこの「ME-BYO」コンセプトが非常に大事だと言ったこと、そういう共感が広がってきているということがあり、これをしっかりとこれからも続けていきたい。そして、議会の方でもこれまではなかなか成果が見えないというご指摘もいただいてきました。しかし、すぐに目の前で成果が出るものではないという中で、ずっとわれわれはデータを積み重ねて、前に発表しましたけれども、糖尿病未病改善プログラムといったことを医師会の皆さんと一緒に連携しながらやってまいりましたけれども、その成果が実に現れた。つまり、糖尿病が悪化すると、人工透析になってしまう。人工透析になると本人も大変な思いをしなくてはいけないわけですけれども、人工透析に至る人の率が劇的に減ってきた。全国平均をはるかに超えて、劇的に減ったということがデータとして出てきたといったことを受けて、未病改善という取組みというのは非常に大きな効果があるのだといったことは、データとしても証明された。そういったことがあるので、われわれはこういった取組みを、さらにさらに広げていきたいと思っております。

記者: 今のお話ですと、例えば、健康であることとか、予防が大事とか、そういうメッセージでも伝わるかなと思うのですけれども、あえてその未病という言葉を使ってらっしゃるというのは、グラデーションが大事で、どの位置にいて、それを良くしていくという、そういうことを考えるのが大事ということなんでしょうか。

知事: そういうことです。発想の転換が必要だということです。医療の目線でどうしても専門家は見てきますけれども、超高齢社会といったものは、圧倒的に老人がたくさんいる状況の中で、老人になれば病気になってもしょうがない。介護が必要になってもしょうがないといった考えでは、とてもとても支えきれないわけです。だから、コンセプトを変えないといけない。つまり今までのコンセプトは病気を治すというのが医療のあり方、これが大事なことだとやってきましたけども、「未病改善」というアプローチは、食、運動、社会参加。こういったことによって、自分自身で未病の状態を知って、そして自分で行動変容するということをみんながやっていくということでなければ救えないということです。だから、私は「未病」と言ったときにそれは「予防」でいいのではないかと言われたんですけども、予防というのは白赤モデルです。白と赤であらかじめ防ぐ。だから病気になった人に「予防しましょう」とは言いませんよね。でも、未病はグラデーションだとどのステージにいても未病改善というアプローチは有効だということで、予防と未病というのは似ているようで全然違うコンセプトです。これが世界で受け入れられているというのは、要するに圧倒的な勢いで超高齢化が進みます。世界中そうなってきますけど、日本が一番先に進んでいる。それをわれわれは未病というコンセプトで乗り越えようとしている、そうでなくては乗り越えられないんです。そういうメッセージが世界のトップの人たちの心をつかんでいるということだと思います。今度またベトナムにまいりますけれども、ベトナムともそういう形で、しっかりと連携していく流れができようとしています。

コメ不足について

記者: 今続いているコメ不足について、きのう大阪府の方で、米の抽出調査を行って府内の8割ぐらいの小売店で、品切れが発生しているという調査が発表されていましたが、こうした調査の抽出、県でも行う考えがあるのかということと、あと今の状況を踏まえて、県民に何かメッセージがあればお願いします。

知事: その調査をしたかは分かりますか。私のところには調査をしたという報告は入っていませんが。

政策推進担当課長: 今のところそういった調査の実施についての話は上がってきていません。

知事: 私もテレビの報道等で知っているぐらいでありますけども、ただ、きょう、農林水産大臣の方から、あまり心配する必要がないとメッセージが出されていました。たまたま、いろいろなことが重なったということ、地震があって、南海トラフの注意報が出されて、備蓄しなくてはいけないということで、しっかりと備蓄のために買われた方もいらっしゃったでしょうし、それから、外国人が最近たくさん日本を訪れているという中で、日本食が大変人気があって、その方々がどんどんお米を食べてくださっています。それから異常気象という問題、こういったものが重なって今品薄状態になっているけれども、例年よりも新米の収穫も早くなりそうだということがあり、それがしっかり流通に回ってくるということが見えているので、今、慌てて何かしなくてはいけないことではない、冷静に対処してくださいということを農林水産大臣がおっしゃったということを私も聞きまして、それを超えて、私が特別な情報を発信するというものは持ち合わせていません。ですから、県民の皆様には、今、品不足で、お困りの方もいらっしゃるかもしれませんけど、あまり慌てないで、しばらく様子を見てくださいということで乗り越えていただければと思います。

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