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更新日:2024年10月30日
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過去の知事記者会見の様子をテキスト版でご覧いただけます。
はじめに、「NPO法人penaとの『連携と協力に関する協定』の締結」についてです。
県とNPO法人penaは、低出生体重児、いわゆるリトルベビーとそのご家族が安心して子育てができ、健やかに成長できる社会環境づくりを図るため、本日、連携と協力に関する協定を締結しましたのでお知らせします。
本日は、penaから坂上理事長、神立副理事長、松井理事にお越しいただいております。
県は、昨年度、低出生体重児のための手帳「かながわリトルベビーハンドブック」を作成しましたが、penaはそのきっかけとなった団体であり、また、作成にもご協力いただきました。
この度、penaと協定を締結し、より一層連携して取組みを進めていきたいと考えています。主な連携・協力の内容は、リトルベビーに関する理解を深める普及啓発、リトルベビーを支える環境づくりであり、その第一弾として、誰もが安心して「搾乳」ができる環境づくりに取り組みます。
リトルベビーのお母さんたちの中には、入院しているわが子に母乳を届けるため、3時間ごとに自分で母乳を絞る、いわゆる「搾乳」が必要な方もいらっしゃいます。そこで、外出中に一人で授乳室を使って搾乳しようとしたところ、「赤ちゃんが一緒にいないのにどうして?」などと言われ、使いづらいと伺いました。また、リトルベビーのお母さんに限らず、出産後に復職し職場で母乳が溜まった方など、必要な方々が安心して搾乳ができる環境を整えていくことが重要です。そこで、社会全体で搾乳に対する知識・理解を深めるため、penaと連携して搾乳のシンボルマークを作成しました。
まずは、このマークを、penaと一緒に商業施設の授乳室等に掲げていただけるよう、協力して取り組んでまいります。マークが普及することにより、多くの皆様に搾乳についての理解が広がり、誰もが安心して搾乳ができる社会となるよう期待しています。
司会: それでは、NPO法人penaの皆さんから、活動内容や思いについて説明をお願いします。
坂上理事長: 2,500g未満で生まれたリトルベビーとご家族を支援しておりますNPO法人penaの坂上です。ご挨拶の機会をいただきありがとうございます。神奈川県にはこれまでにもリトルベビー支援に取り組んでいただいていましたが、今回協定を締結させていただき大変嬉しく思っております。それではここで、当法人の活動についてご説明をさせていただきます。penaは早産などで小さく生まれた赤ちゃんの家族会として、前身である「かながわリトルベビーサークルpena」を2021年に立ち上げ、今年の4月に「NPO法人pena」として活動を開始しました。代表の私は、2018年に、妊娠7ヵ月、24週370gで娘を出産しています。娘を出産したときの娘の身長と体重、26cm、370gで作られたウエイトベアがこちらになります。リトルベビーは10人に1人生まれますが、似た境遇の仲間に出会うのが難しく、相談相手が見つからずに悩むご家族が多くいらっしゃいます。子どもと離れて過ごす悲しさや育児書には載っていない成長、発達への悩み。多くの支援や制度に助けられている一方、理解や支援が行き届いていないと感じる場面もありました。また、そういったことが、早産で娘を出産した自分を責めることにつながっていました。そういった中、仲間と悩みや思いを共感しあったり、リトルベビーの子育てに寄り添ってくださる支援者や地域の方との出会いが重なり、少しずつ私自身の心が強くなっていきました。「pena」という名前はハワイ語で「絵の具」を意味します。子どもたちの個性を大事にしながら、同じ立場の仲間や社会と混ざり合って共に生きていきたいという思いを込めて名付けました。そして、「Each Story, One Future」というビジョンのもと、それぞれのご家庭のストーリーを紡ぎながら、地域で一緒に生きていきたいということを目指しています。主な活動は、(1)ご家族の不安や孤独の軽減を目指す活動、(2)リトルベビーに関する啓発活動、(3)当事者の声を届ける活動の3つです。1つ目の「ご家族の不安や孤独の軽減を目指す活動」では、当事者交流会や勉強会、グループLINEを運営しています。グループLINEには、産後2日目にpenaへ連絡をくださったママから、高校生になった元リトルベビーのママまで、約2年半で130名近くの方が登録くださいました。今も毎日のように相談や情報交換の場として賑わっています。2つ目の「リトルベビーに関する啓発活動」では、写真展や講演、イベントへの出展などを通じて、地域の方にリトルベビーを知っていただく活動をしています。そして3つ目。最後の「当事者の声を届ける活動」では、行政や自治体に直接声を届け、リトルベビーへの支援をお願いしています。昨年9月から配布が開始されたこちらの低出生体重児用の母子手帳サブブック「かながわリトルベビーハンドブック」は、penaの声を神奈川県が受け止めてくださり、作成、配布へと実現したものになります。多くのリトルベビーママから、「やっと書くことができた」、「私は一人じゃなかった」と喜びの声が届いています。そして、今回は搾乳室の啓発にも一緒に取り組んでいただけることになりました。入院中の赤ちゃんに母乳を届けるためには3時間ごとの搾乳が必要で、先程、知事もおっしゃいましたが、リトルベビーのママだけではなく、早くに復職をされた方など多くのママがこちらに該当しますが、一人で授乳室に入った際、「赤ちゃんが居ないのに…」と耳にし、その言葉に私たちの心は傷つき、外出をすることが怖くなったり、トイレで搾乳をすることがあります。こういった声を自治体に届けたところ、県や厚木市、平塚市は授乳室やWEBで搾乳室の啓発をしてくださいました。特に嬉しかったのは、先月の神奈川県議会でシンボルマークの掲示だけではなく、搾乳に関する理解が深まるような取組みをしてくださると知事がおっしゃってくださったことです。こうして少しずつ、搾乳やリトルベビーに関することが当たり前のこととして広がっていくことを望んでいます。11月17日は世界早産児デーです。神奈川県でも写真展や県庁のライトアップを通じて啓発活動を行っています。私たちpenaは、今年で3回目の世界早産児デー写真展を横浜市のあーすぷらざで開催します。昨年の来場者は450名を超え、写真の応募は一昨年の34名から50名へと年々規模が大きくなってきていることから、リトルベビーへの理解や周知が進んでいることを実感しています。今年の写真展のテーマは「わたしたちの幸せ」です。それぞれの家族の幸せを集めて、大きな幸せを感じられるように写真展や展示物を準備していますので、ぜひご来場ください。啓発動画も発表しましたので、ホームページからご覧いただけると嬉しいです。リトルベビーのご家族は、相談場所に困り、一人で悩みを抱える方がとても多くいらっしゃいます。本日の連携協定を機に、リトルベビーとご家族が笑顔で過ごせる社会の実現に向けて神奈川県や皆様により一層ご協力、お力をお借りできたら嬉しいです。
司会: これよりフォトセッションに移ります。知事、penaの皆さん、ご移動ください。
~フォトセッション~
知事: なお、搾乳のシンボルマークを広く普及させていくため、まずは私とpenaとで、あした、ワールドポーターズの授乳室にこのマークを掲示させていただきます。その詳細は資料記載のとおりですので、ぜひ、取材にお越しください。この件について、ご質問があればどうぞ。
記者: 坂上理事長と知事にお伺いします。まず坂上理事長にお伺いしたいのは、リトルベビーの問題、また、その家族に絡むことの話で、先程、多くの支援をいただいている一方で、まだまだ理解や支援が足りない部分があるという話があって、不安や孤独を抱えるご家族も多いという話があったと思うのですが、具体的にどのようなことが、今一番、現場の方では支援を求めている部分だったり、足りないなと感じてらっしゃる部分かというところを教えていただきたいのと、知事には、現状このリトルベビーの問題について、改めて問題認識、どう認識されているかというところを教えていただきたいと思います。
坂上理事長: 例えば、リトルベビーハンドブックを作った経緯なのですが、これは1,000グラム未満が母子手帳だと書けないというところから始まったものです。これを持っていない方ですとか、1,000グラム未満で書けないから書かない方に対して、「何で母子手帳を書かないの?」というように、自治体の健診で指導されたりですとか、早く生まれると、修正月齢という考え方がありまして、予定日を基準に3年間は成長を見守るというのがあるのですが、そのルールを配慮せずに、例えば「1歳半健診は月齢で来てね」と言われます。でもそうすると、4か月早く生まれると1歳半の成長ではないので、私たちはそこになかなか行きたくなかったりするのです。そういったところを、お願いしても通らない場合や、私たちから声を上げてやっと配慮いただける場合など、私たちにとっては当たり前のことが、まだまだ保健師さんですとか、自治体の方には伝わっていないことが多くて、ちょっとした言葉で、「あ、ここが伝わっていない」、「これを説得しなければならないのか」と。「でもそれは小さく産んでしまった自分が悪いよね」というように、自分たちを責めることにつながっていました。
知事: 私の最初の孫が、1,000グラムで生まれた、まさに低出生体重児でありました。先週、9歳の誕生日を迎えたのですけど、9歳で、ようやく最後のチェックが終わるということです。それまでずっと、毎年毎年、チェックに行っていました。やっと解放されたということです。そういった問題があって、私自身も、ある程度知っているつもりではいたのですけども、penaの坂上さんからの話を聞いて、母子手帳に書く欄がないということ、「そういうことなのか」と思って私の嫁にも話をしたところ、やはりそうだったということです。ただ、そういうつらい思いを持っていても、声に出して、しかもそれをアクションに移していくということはなかなかできない。現に今までほとんどの方がやってこなかったわけですから。それをpenaの坂上さんが、仲間に声をかけて、こういうアクションを起こしてくださったということで、このリトルベビーハンドブックにつながったわけです。これで1つの問題をクリアしたと思ったら、先程申し上げたように授乳室の問題。これは全く私自身、想像もできませんでした。私はいつも「目線」という言葉を使って「当事者目線」、「県民目線」の行政を進めようと言っている中で、まさにこの話は、「リトルベビーママ目線」の話です。それを聞いてみると、「なるほどそうなのか」と。授乳室の問題をどうすれば解決できるのかといった時に、実はそこまで難しいことではないというか、「授乳室」と書いてあるからです。授乳室と書いてあるのであれば、例えば、「授乳・搾乳室」とすればそれで良いかもしれない。いきなり看板全体を変えるのは難しかったら、「搾乳できます」というシールでも貼れば良い。それぐらいのことでできるのだったら、即やろうということで、今回この問題をやろうと思ったら、実はそれだけではないというお話を聞いて、確かにそうだと思うのは、例えば、「何歳になったら何ができます」というのがあります。何歳になったといっても、実はスタートが違うのです。本来であれば、ここからスタートする子がリトルベビーだったら、もっと早く生まれているわけです。その子は、まだその年齢に本当は達していないのだけれども、生まれた日というは、どんなに小さく生まれても、それが誕生日ですから、そこからカウントされていくとなると、いろいろな問題がそこからつながって見えてくるという話も聞いて、これは、もっともっと幅広いことに取り組まなくてはいけない問題ではないかと思ったので、今回は協定という形で、結ばせていただいて、いろいろなそういう問題があったら、直ちにわれわれは対応しようということを皆さんの前で宣言するというアクションにしたわけであります。
記者: 県の方に聞くのが適当か分からないのですけれども、シンボルマークを作成して、掲示をしていくということだったのですけれども、現時点で掲示予定が何か所ぐらいあるのか、もし具体的な数が分かりましたら教えてください。
健康増進課長: マークは、きょう発表させていただいて、これから具体的に民間企業に対して掲示していただくようお願いしていくところです。考えておりますのが、大型スーパー様、それから有料道路事業者様、鉄道事業者様、そういった民間企業に対して、働き掛けをしていきたいと考えております。
記者: 実務的な話ですが、写真展は、神奈川県とかpenaの方でやられるということですけれども、それぞれ違う写真を展示するのでしょうか。
健康増進課長: 写真はそれぞれが募集をかけておりますので、一部重複する可能性はありますが、基本的には違う写真でございます。
記者: シンボルマークですが、県とpenaで連携して作ったということですけれども、思いを込めて作ったようなところとかを教えてください。
坂上理事長: 搾乳のシンボルマークについては、誰が見ても分かりやすいマークというのは、もともとお願いしていたのですが、「搾乳もできます」という文字が私たちにとってはうれしいことでした。それは「搾乳でも使えます」ではなく、「ご理解ください」でもない。当たり前のこととして搾乳もできますよといってくださっていることが私たちの思いをそのまま県の方たちが受け止めてくださったものだと思って、初めてデザインが出来上がったときから、すごく良いものができたと感じました。
健康増進課長: 1点訂正です。「搾乳できます」ということで掲示させていただいております。
記者: penaの方にお伺いしたいのですけれども、リトルベビーの方は、粉ミルクとかを使うのが難しいというようなこともあるのでしょうか。「搾乳」というところを強調されていたのでそのあたりを伺いたいです。
坂上理事長: 1,500g未満で生まれたリトルベビーは、粉ミルクではなく、母乳が推奨されています。母乳が赤ちゃんにとってお薬のようなものになっていて、粉ミルクを使うと壊死性腸炎にかかるリスクが上がったりといった医学的なデータもあり、今神奈川県でも進めてくださっていますが、「母乳バンク」という母乳が出ないお母さん向けに、輸血のように出る方から集めた母乳を渡すというような取組みも全国でとても進んでおりまして、粉ミルクが絶対駄目というわけではないですが、私たちの娘、子どものように1,000グラム未満で生まれた子どもが、例えば、私たちが母乳が出ない場合は、粉ミルクをあげることでリスクが高まってしまうということがあります。
健康増進課長: 1点訂正させていただきます。「母乳バンク」の取組み自体は、まだ県として、特段具体的な取組みをさせていただいていない状況ではございますが、国が「母乳バンク」の実証事業をやっておりますので、そういった動向、推移を確認しながら取り組んでまいりたいと考えております。
記者: 坂上さんにお伺いしたいのですが、もし分かれば、他県の状況、取組みで進んでいるところがあれば教えていただきたいのと、先程、平塚で既に始まっているようなことをおっしゃったように聞こえたのですが、平塚での取組みについて教えてください。
坂上理事長: 各県ごとにリトルベビーサークルが、ほぼほぼの県で立ち上がっておりまして、その中で、各県が搾乳をもっと当たり前のこととしてアピールしていこうという取組みをしております。ただこのように県として、大々的に、例えば、知事が一緒に掲示してくださるですとか、そういった取組みをしているのは、神奈川県が初めてです。平塚市に関しましては、ホームページ上で搾乳を啓発してくださっています。私の地元が平塚市になりまして、平塚市で今月上旬に写真展をさせていただきました。その打ち合わせの流れで、搾乳についてもっと力を入れたいとお伝えしたところ、夏ぐらいからホームページで啓発してくださっています。そのほか厚木市でも、市の施設に「搾乳できます」や「搾乳室」といった文字を入れてくださったりと自治体でも進んでくださっているところはあります。
次に、ベトナム社会主義共和国訪問についてです。
ベトナムのホーチミン市、ダナン市及びハノイ市において「KANAGAWA FESTIVAL 2024」を開催するとともに、ベトナム保健省等との覚書の締結やベトナム政府要人との面会等を行うため、11月12日(火曜日)から18日(月曜日)にかけて、ベトナムを訪問します。
主な予定ですが、まず13日(水曜日)には、ホーチミン市で実施する「KANAGAWA FESTIVAL in HO CHI MINH 2024」に参加します。このイベントでは、神奈川投資セミナーを開催し、ベトナム企業の県内誘致を図ります。
次に、14日(木曜日)には、ダナン市で実施する「KANAGAWA FESTIVAL in DANANG 2024」に参加します。このイベントでは、ベトナムの高校生や大学生等を対象に、神奈川への留学や就労に関心をもっていただくために、本県の魅力の発信や日本語による学生対校プレゼンテーションなどを実施します。
次に、15日(金曜日)ですが、ベトナム保健省とヘルスケア分野に関する覚書を新たに締結し、ヘルスケアや未病等に関する連携、促進を図ります。
また、同じく15日には、フンイエン省と、水道分野に関する覚書を新たに締結し、安全で良質な水道水の供給など、同省の水道事業の改善に向けた技術協力を行います。
16日(土曜日)、17日(日曜日)には、ハノイ市で実施する、「KANAGAWA FESTIVAL in HANOI 2024」に参加します。ハノイ市の戦没者記念像前広場を会場に、本県のプロモーションイベントを開催し、ベトナムの方々に対し、神奈川の認知度向上や相互交流の拡大を図ります。
このほか、詳細は調整中ですが、ベトナム現地において、ベトナム政府要人・関係者との面会を行う予定です。
今回のベトナム訪問により、これまでの交流で培ってきた神奈川県とベトナムの絆をより一層深めてまいります。
次に、「ベトナムICT企業が県内に進出!」についてです。
このたび、ベトナムのICT企業、DIGI DINOSが県内に日本法人を設立し、本格的な営業を開始しましたのでお知らせします。同社は、ハノイに本社を置き、コンピュータシステム及びソフトウェアの設計・開発などを手掛けています。
これまで、私はベトナムを訪問し、「KANAGAWA FESTIVAL in HANOI 経済プログラム」で講演するなど、多くの企業に対してトップセールスを行ってきました。この株式会社DIGI DINOS JAPANのゴ・ダン・トゥン代表取締役とは一昨年の11月に現地でお会いし、県がしっかり支援を行っていく旨を私から直接お伝えしたことが、今回の県内進出につながったと伺っています。今回、県内への進出を決定していただいたことを大変喜ばしく思います。なお、ベトナム企業を県内に誘致した件数は、今回で18件目となります。
次に、「海外向け投資環境プロモーション動画が完成しました!」についてです。
このたび、県内の投資環境や生活環境などの魅力を盛り込んだ、外国企業向けのプロモーション動画を英語、中国語、ベトナム語の3言語で作成しました。この動画は、ドローンによるダイナミックな映像や、季節の移り変わりを捉えた美しい映像を盛り込み、本県に関心をもっていただけるように工夫をしています。動画は、2分と30秒の2つのバージョンがありますが、きょうは、30秒バージョンをご覧いただきます。
来月13日に、ベトナム・ホーチミンで初めて開催する「神奈川投資セミナー」において、私からプレゼンテーションを行う際、この動画を活用する予定ですが、今後、こうしたイベントにおいて、多くの外国企業にご覧いただき、本県の魅力をPRしていきます。
次に、「『SHIN みなとみらい』で支援を受けるベンチャー企業が神奈川県とのコラボ商品を販売します!」についてです。
県では、ベンチャー支援の神奈川モデル「HATSU-SHIN KANAGAWA」により、ベンチャー企業の創出と育成に取り組んでいます。このうち、ベンチャー企業の成長促進拠点「SHIN みなとみらい」では、ベンチャー企業に対して、行政や大企業等との連携プロジェクトの創出など、さまざまな支援を行っています。
一方、県では、県のイメージ向上につなげることを目的に、神奈川県の形の魅力を活かしたロゴ「Kanagawa-Ken」を広報等で活用しており、企業の皆様にもご活用いただくようお願いしています。
そうした中で、「SHIN みなとみらい」に常駐する県職員がベンチャー企業に呼びかけたところ、日本酒の一合缶事業に取り組む株式会社Agnaviが趣旨に賛同して、このたび、「Kanagawa-Ken」のロゴを活用した新商品を販売することになりました。こちらがその商品です。本商品は、厚木市にある黄金井酒造の「盛升」と、茅ヶ崎市にある熊澤酒造の「湘南」という2つの銘柄を使用し、12月から販売を開始する予定です。県としても、先程発表した来月のベトナム訪問をはじめ、海外からのお客様をお迎えする際の贈答品としたり、県が主催するイベントなどで活用し、神奈川の魅力を積極的に発信していきたいと思います。
なお、今回、県とのコラボ商品を開発した株式会社Agnaviは、現在、海外でも事業展開を図っており、国内外で活躍する企業へと成長しました。県は、今後もベンチャー企業の成長を後押しし、県経済の活性化に取り組んでまいります。
次に、「ベンチャーと大企業が連携して取り組むプロジェクトの実証事業を行います」についてです。
前の発表でも少し触れましたが、「SHIN みなとみらい」では、ベンチャー企業と大企業等の連携によるオープンイノベーションを促進する取組みである「ビジネスアクセラレーターかながわ BAK」を実施しています。今年度は17件のプロジェクトを採択し、順次、事業化に向けた実証事業等を開始していきますが、今回は「株式会社カマン」と「株式会社湘南ベルマーレ」の2社が連携したプロジェクトについて、お知らせします。
ベンチャー企業のカマンは、HATSU 鎌倉での支援を受けて起業し、地域の飲食店やキッチンカーが利用する、リユース容器のシェアリングサービス「Megloo」を開発・運用しています。同社は、この事業で、使い捨て容器の廃棄削減に取り組んでいますが、リユース容器の返却率が低いことや誤って廃棄されたり、返却されず持ち帰られてしまう容器の探索・回収など、運用に手間がかかることが課題となっていました。これがリユース容器ですが、この裏に貼られたタグに書き込まれた情報を無線通信で読み取ることができる、RFIDという技術を用いて容器の返却状況などの情報をリアルタイムで把握できるシステムを新たに開発し、課題の解決を目指すこととしました。このシステムにより、返却数や返却場所などのデータを収集・分析することで、リユース容器の管理の効率化と返却率の向上に向けた更なる取組みの検討が可能になると見込んでいます。
そこで、本システムの効果を検証するため、SDGsの推進に積極的な、株式会社湘南ベルマーレと連携して、11月30日のJリーグの試合当日に実証実験を行います。当日はスタジアム内外の全てのキッチンカーや飲食店で販売するメニューにリユース容器を使用し、返却ボックスもたくさん設置します。この実証実験で、使い捨て容器の廃棄量削減とリユース容器の回収率向上にどの程度つながるかを分析するとともに、容器の回収から運搬、洗浄、保管まで、湘南ベルマーレのホームタウン内で完結させることで運送コスト等がどれくらい削減されるかなどを検証し、持続可能なシステムを目指します。
将来的には、神奈川県発の取組みとして、全国のJリーグの試合やサッカー以外のスポーツ、スポーツ以外のイベントにも展開していきたいと考えています。県は、斬新な発想や技術を活用して社会課題の解決をビジネスとして取り組むベンチャー企業をしっかりと支援してまいります。
次に、「50年の想いを込めて『ありがとう神奈川県民ホール』イベントを開催」についてです。
県では、令和7年1月に開館50周年を迎え、同年4月から休館となる神奈川県民ホールを会場に、休館前の最後を飾るイベントとして「ありがとう神奈川県民ホール」を開催します。令和7年3月をイベント月間として、これまでの感謝の想いを込めて、県民の皆様の心に残るような公演や企画を行い、休館前最後となる1か月間を魅力ある文化芸術で彩ります。
主なラインナップをご紹介します。「かながわ観光親善大使」で令和5年秋に紫綬褒章を受賞されたバレエダンサーの上野水香さんを中心に、国内外の第一線で活躍するダンサーによるバレエ・ガラ公演「Jewels from MIZUKA 2025」を実施します。また、長年、吹奏楽コンクール等の会場として親しまれてきた神奈川県民ホールで行われる最後の吹奏楽のイベントとして、県内各地からさまざまな年代の方が参加する「神奈川県吹奏楽フェスティバル」を実施します。さらに、「年齢や障がいなどにかかわらず、すべての人が舞台芸術に参加し楽しめる」をコンセプトに、「横須賀シニア劇団」や「チャレンジ・オブ・ザ・シルバー」の公演などを行う「共生共創フェスティバル」を実施します。その他、公募型の企画として、音楽、ダンス、大道芸などのパフォーマンスを自由に発表できる場である「とびだせ!マグカル開放区in県民ホール」を開催し、大ホールのステージにおいて、多くの方にパフォーマンスを披露していただきます。最終日となる3月31日には、「かながわ環境大使」で、アーティストの白井貴子さんをゲストに迎え、神奈川フィルハーモニー管弦楽団と混声合唱による演奏会等を行い、グランドフィナーレを盛り上げます。
なお、メイン公演となる上野水香さんによるバレエ公演「Jewels from MIZUKA 2025」については、会場となる「神奈川県民ホール」において、11月11日(月曜日)に、上野水香さんと私の共同記者会見を行いますので、ぜひ取材にお越しいただければと思います。
「ありがとう神奈川県民ホール」月間で開催するイベントの主なラインナップは、お配りした資料のとおりです。県民の皆様に長年親しまれてきた県民ホールにおいて、公演などをご覧いただける休館前の最後の機会となりますので、ぜひお越しいただきたいと思います。
次に、「救急電話相談『♯7119』が県内全域で始まります」についてです。
高齢化の進展もあり、救急車の出動件数も増えている中、本年4月からは、医師の時間外労働の上限規制、いわゆる「医師の働き方改革」がスタートし、特に救急医療への影響が懸念されています。そのため、県民の皆様に救急車や医療機関をより適切にご利用いただき、限られた医療資源を有効活用することが大変重要となっています。
そこで、24時間365日、「かながわ救急相談センター」の看護師等から電話でアドバイスを受けることができる救急電話相談サービス「♯7119」をご利用いただきたいと思います。これまで利用できる地域は横浜市内に限定されていましたが、11月1日(金曜日)から県内全域で利用できるようになります。
例えば、急な病気やけがで、「救急車を呼んだほうがいいのか」、「今すぐ病院に行ったほうが良いか」など迷った際に、ダイヤル♯7119に電話いただくと、看護師が症状を聞き取り、緊急性が高いと判断した場合には救急車を呼ぶようアドバイスします。ほかにも、「体調が悪いので、どこの病院に行ったらよいか」といった相談に、受診可能な医療機関を相談員がご案内します。
県では、「♯7119」についてより広く知っていただくために動画を作成しました。実際にその動画をご覧ください。ご覧いただいた動画は15秒のものですが、このほか、30秒のものも制作しました。制作した動画については、11月より「かなチャンTV」での公開やSNSへの投稿のほか、県内の公共交通機関などでも放映を予定しています。
また、合わせてポスターを作成し、県の施設や病院等で掲示を行うほか、ホームページ等を活用するなど、広く周知してまいります。
不要不急の救急車の出動を抑制し、誰もが必要なときに必要な医療を安心して受けられるようにするため、「119番通報に迷ったら、まずは『♯7119』に電話」と覚えていただき、ご利用してくださるようお願いします。
知事出席主要行事については、事前に送付した資料のとおりですが、そのうち、1件お知らせがあります。
11月8日(木曜日)から9日(金曜日)にかけて、箱根で開催する「ME-BYOサミット神奈川2024」に出席いたします。
今回で5回目となる「ME-BYOサミット」ですが、全米医学のトップである全米医学アカデミーのビクター・ザウ会長をはじめ、現場の最前線で課題と向き合う市町村や企業、国内外のアカデミア等の当事者が一堂に会し、議論を行います。また、当日の議論を多くの方に見ていただきたいと考えており、オンラインとのハイブリッド開催になります。
今回のテーマは、「誰もが、その人らしく『いのち輝く』社会の実現に向けて~神奈川から始める産学公民がともに歩む取組~」です。地域の健康課題の解決に向けて、認知症未病改善、腸内細菌等に関する取組みや、未病改善とエンタメ等との可能性をはじめとした、さまざまな内容について議論し、世界に発信してまいります。
当日は、会場である箱根の湯本富士屋ホテルに取材にお越しください。
私からの発表は以上です。みなさんからのご質問をどうぞ。
記者: ベトナム保健省とのヘルスケアの覚書締結があると思うのですが、締結によって、知事が期待されていること、どういったことにつながればと考えていらっしゃるでしょうか。
知事: 昨年、一昨年に保健省のラン保健大臣とお話したり、チン首相とお話した中で私が神奈川県の取組みである未病コンセプトを軸としたヘルスケア・ニューフロンティア政策についてお話をしたところ、大変関心を持たれたんです。ベトナムはまだ平均年齢が非常に若い国ですけれども、ASEANの中で最も高齢化の進み方が早い国の1つだということで、トップの皆さんは大変な危機感を既に持っているわけです。その中で未病コンセプトといったこと。それからヘルスケア・ニューフロンティアという政策に大変興味を示してくださったので、「じゃあ連携しましょう」となりました。具体的に何をどうするかはこれからであります。そういったことも含めて今回行って、直接、ラン保健大臣らと具体的な話もさせていただきたいと思っています。ちなみに、これに合わせて、私が書いた『百歳時代 未病のすすめ』という本がありますけれども、これのベトナム語版がベトナムで出版されるということになっています。
記者: ベトナム訪問の関係で、企業誘致のお話もいろいろされるかと思います。先程のご説明にもあったように、ベトナムから18件目の企業誘致があって、アジアの中では中国に次いで多い国かと思います。ベトナムという国に今、感じていらっしゃる可能性だったり、重要性だったりを教えてください。
知事: われわれがベトナムフェスタin神奈川を始めたのが、2015年のことでありました。その当時、まだ、ベトナムはそれほど注目されている国ではなかったのですけれども、その後、大変な経済成長を果たしてまいりまして、そして今、非常に注目される国になっています。特に日本のいろいろな分野での労働力不足という問題、人手不足という問題、その中でベトナム人と私もいろいろとお付き合いをしていますけれども、非常に親日的な皆さんが多いです。日本に対して非常にある種の憧れに近い思いを持ってくださる方がたくさんいらっしゃる。そういう中で、ベトナム人の労働者に対する期待感、日本全体で年を追うごとに飛躍的に伸びてきたのです。そして昨年はちょうどベトナムと日本の交流が始まって50周年という記念の年でした。今や神奈川県だけではなくて、さまざまな地方がベトナムとの関係を強化したいということでアクションを実際に起こしています。ベトナムフェスタin神奈川も、同種のベトナムフェスティバルみたいなものが全国各地で開かれるようになってきてもいます。そういう中でわれわれは、皆さんが注目する前から、お付き合いをしてきたと同時に、継続してきた。ベトナムフェスタを1回やって終わりではなく、毎年ずっと続けてやってきた。それだけではなくて、KANAGAWA FESTIVALをベトナムのハノイ、ダナンでずっとやってまいりました。これも2018年からやってまいりました。毎年やっているということで、ベトナムの要人たち中では、神奈川という存在は、他の自治体と比べもならない大きな存在になっているということです。現に2015年にベトナムフェスタを始めたときには、神奈川県内にお住いのベトナム人は1万人でしたが、いまやそれは3万4000人にまでなっています。国別でいうと中国に次いで2番目の数の人が神奈川県にお住まいです。そういった中で、実は、ベトナム人材に期待すると言いながら、状況は本当に変化してきています。というのは、ベトナムが経済成長してきたということを裏返しにすると、ベトナムの中で働いても結構給料が高くなってきている。それとともに、日本の円安といった問題。それと日本語という非常に高いハードルがある。そこまで苦労してわざわざ日本に行く必要はないのではという流れになってきて、今までのように当然ベトナムの人は日本に来るだろうと甘く考えていると、もう来なくなる。そういう状況に実は大きく変化しつつある。だからこそそういった中で、やはり行くのだったら神奈川だと選んでいただきたい。これまで積み重ねてきたものをしっかりと継続していくことが大きな力になると信じて、今年もベトナムに行ってまいります。
記者: フンイエン省との水道分野に関する覚書締結というのがあるというのを伺いました。これまでに、県の企業庁と海外の自治体でこういう同様の技術協力に関する覚書の締結があるのかどうかというところと、県の企業庁としてどういう部分の技術を海外の自治体に伝えることができるのか、もし具体的なものがあれば教えていただきたいです。
知事: フンイエン省は、産業の発展が著しく、水道の普及が進んでいるのですけれども、漏水の割合が高いといった課題が顕在化しています。県企業庁と、フンイエン省は平成29年に「技術協力の検討に向けた覚書」を締結し、具体的な技術協力の内容について検討を行ってきました。継続的な人材交流や今年8月に実施した現地調査の結果を踏まえ、今般、安全で良質な水道水の供給など、同省の水道事業の改善のため、県企業庁の技術力を生かした技術協力を行うことになったものであります。海外の他の地域と、こういった協定があるのかどうかということについては、お願いできますか。
浄水課副課長: 県企業庁としましては、インドに対して海外の協力ということで協定を結んでおりますが、具体的な技術協力についてはまだ締結をしてございません。
記者: 衆院選投開票が行われまして、与党の過半数割れということになりました。知事も以前、政治と金の問題がどの程度影響するのかということを注視したいというお話だったと思いますが、改めて受け止めがあれば教えてください。
知事: 前にも、皆さんにお話をしたと思いますけども、政治と金の問題で私が思い出すのは、「東京佐川急便事件」がきっかけとなって、政治と金の問題が大きくクローズアップされ、政治改革という議論が出て、そして、一気に解散総選挙に宮沢内閣が追い込まれたこと。蓋を開けてみると、自民党は下野し、細川連立政権誕生という劇的な政界の再編につながった。そのきっかけが政治と金の問題であった。そういうことをお話しておりました。まさかそれが再現されるほど大きなものになるとは私も思っていませんでした。でも、相当あの時に近いような感じになったのかと、結果的に。それは、裏金というある種分かりやすい問題が出てきて、それに対する自民党の対応が、やはり皆さんの納得感につながっていなかった。実際、選挙が始まってからも、私の耳に届くのは、普通の人の声として「あれはおかしいよな」という声であり、そうした声が出てくるというのは、そういう状況になっていたことが、大きなうねりとなって、結果的には、大きく政界を揺さぶるような結果につながったのかなという思いでいます。今後どうなってくるのか、今この時点でまだ予測できないです。首班指名はまだ行ってないですし、どういう内閣になるのか、内閣の枠組みも分からない状況ですから、少なくとも、今まで一強体制と言われたものがもう終わったということは間違いないです。ある種の緊張感を持った中で、与野党がどのような形になるか分かりませんけれども、物事を前に進めるような議論といったもの、緊張感を持って進んでいくということを期待したいと思います。
記者: 神奈川県も国政との連携が大変重要になると思いますけれども、先程少し言及がありましたけれども、どういう政権の枠組みになるかも分からないし、非常に不安定な状況になるかと思いますが、どのような政権というか、国政のあり方というのか、地方自治体の首長として、どのようなあり方が望ましいのか、どういう内閣の出現を望むのかというのを教えてください。
知事: 私は選挙の前から皆さんに聞かれて答えていましたけれども、どこの応援にも行っていません。どの党ともある種の距離感をもって付き合っているので、私はどの党がどうだからどうなるということは、おそらく影響しないと思っています。しっかりと連携しながらやっていきたいと思っています。やはり、国政の中でいろいろあっても、神奈川県という中で、私はよく「神奈川モデル」という表現を使いますが、神奈川で大きな課題を解決するにはこういったようにするのだというモデルをつくって、国に提言していく。全国に広げていこうという流れ、これはしっかりやっていきたいと思います。
記者: 衆議院が解散するに当たって、石破総理大臣は、国民に真意を問うという形で、結果が出ているわけですけども、小泉進次郎さんを除いて誰も責任を取ろうとしていない。このことについて、どのようにお考えかお聞かせください。
知事: 政治家の進退というのは、政治家ご本人が決めるというのが原則だと思います。ですから、石破総理がどう判断されるかということに全てかかっているわけで、外野であるわれわれがとやかくいう話ではないと思います。
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