ホーム > 神奈川県記者発表資料 > 古川不当労働行為救済申立事件の命令について
更新日:2023年5月23日
ここから本文です。
神奈川県労働委員会(会長 浜村彰)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立ての全部を救済する命令を交付しましたので、お知らせします。概要は次のとおりです。
申立人 日本労働評議会(組合)
被申立人 個人A
本件は、組合が、Aに対して、Aの運営する店舗の業務運営終了及び整理解雇の実施を議題とする団体交渉を申し入れたところ、殊更に大きな声を出し、過度に威圧的・攻撃的な言辞を用いてAを威圧する行為及びAの代理人の発言を妨害する行為をしないことを確約しなければ団体交渉に応じないとして、団体交渉が開催されなかったことが、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。
(1) 主文
ア Aは、組合からの団体交渉申入れに対し、「殊更に大きな声を出し、過度に威圧的・攻撃的な言辞を用いてAを威圧する行為、Aの代理人弁護士の発言を妨害する行為をしないという確約」がないことを理由に拒否してはならない。
イ Aは、本命令受領後、速やかに陳謝文を組合に交付しなければならない。
(2) 争点及び判断の要旨
(争点)
組合の令和3年11月8日付け団体交渉申入れに対する、Aの令和3年11月12日付け文書(以下「3年11月12日連絡」という。)による対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か。
(判断の要旨)
ア 3年11月12日連絡の記載は、「殊更に大きな声を出し、過度に威圧的・攻撃的な言辞を用いてAを威圧する行為、Aの代理人弁護士の発言を妨害する行為をしない」という組合の確約がなければ団体交渉に応じない意向を示すものであり、Aはその後も確約が得られないことを理由に日程調整等を拒否していることや、組合の確約について誓約書の雛形を送付していることからしても、団体交渉を拒否したものといわざるを得ない。
イ 過去の団体交渉における組合の対応が、組合が希望しないAの代理人弁護士の発言を遮る等、団体交渉における対応として不穏当であり問題がないとはいえないものの、その後の団体交渉の継続を困難にするほどの暴力的言動がなされたとはいえない状況下では、「殊更に大きな声を出し、過度に威圧的・攻撃的な言辞を用いてAを威圧する行為、Aの代理人弁護士の発言を妨害する行為をしない」という組合の確約がないことを理由に団体交渉を拒否することに、「正当な理由」は認められない。
よって、Aの対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。
(注記)不当労働行為
使用者は、労働組合法第7条により、次のような行為が禁止されている。
不利益取扱い(同条第1号):組合員であることや労働組合の正当な行為をしたことを理由に、労働者に対して解雇などの不利益な取扱いをすること。
団体交渉拒否(同条第2号):正当な理由なく団体交渉を拒否したり、不誠実な団体交渉をしたりすること。
支配介入(同条第3号):労働者による労働組合の結成やその運営を支配したり、これらに介入したりすること。
報復的不利益取扱い(同条第4号):労働委員会に申立てなどをしたことを理由に、労働者に対して不利益な取扱いをすること。
神奈川県労働委員会事務局
労働関係調整担当課長 菅居 電話 045-633-5445
審査調整課審査調整グループ 後藤 電話 045-633-5447
このページの所管所属は労働委員会事務局 です。