更新日:2024年6月25日

ここから本文です。

神労委令和元年(不)第21号事件命令交付について

神奈川県労働委員会(会長 浜村彰)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立てを棄却する命令を交付しましたので、お知らせします。概要は次のとおりです。

1 当事者

申立人 X(組合)
被申立人 Y(会社)

2 事件の概要

本件は、【1】組合が会社に対して申し入れた組合員Aの解雇問題等を交渉事項とする団体交渉について、会社が不誠実な交渉態度を取ったこと、【2】令和2年2月5日に行われた第1回調査期日において、会社が、労働条件通知書兼就業条件明示書(以下「本件雇用契約書」という。)を証拠として提出したことは、【1】については労働組合法第7条第2号及び第3号に、【2】については同条第3号に、それぞれ該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。

3 命令の概要

⑴ 主文

本件申立てを棄却する。

⑵ 本件の主な争点及び判断の要旨

(争点1)

組合からの令和元年8月7日付け組合員Aの解雇等の労働問題を議題とする団体交渉の申入れに対する会社の対応は、不誠実な交渉態度に当たるか否か。また、同時に組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。

(判断の要旨)

ア 不誠実な交渉態度について

会社が令和元年9月3日付け文書等を送付した時点では、組合と会社が団体交渉の開催に向けて日時等の調整を行っている段階であり、団体交渉は一度も行われていない以上、不誠実な交渉態度に当たるとはいえない。

イ 支配介入について

会社は組合に対して、労働者派遣個別契約書(以下「個別契約書」という。)の実際の作成日を明らかにしなかったが、本件において個別契約書の実際の作成日が重要な意味を持つとまでは認められず、組合の運営に直ちに影響を与え得るとはいい難いから、会社が組合に対して個別契約書を送付したことが支配介入に当たるとは認められない。

(争点2)

会社が令和2年2月5日の第1回調査期日において、本件雇用契約書を証拠として提出したことは、組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。

(判断の要旨)

会社が、組合員Aとの雇用契約の締結時等に、労働条件通知書兼就業条件明示書を保管していなかったにもかかわらず、あたかも同書が存在しているかのように装って本件雇用契約書を証拠として提出したとも考えられる。しかし、会社は、本件雇用契約書は組合員Aとの雇用契約の内容を立証する趣旨と説明し、また、本件雇用契約書が組合員Aとの雇用契約の締結時等に作成したものではないと述べているから、組合を欺こうとするものとは評価できず、組合の運営に対する支配介入とは認められない。

このページに関するお問い合わせ先

このページの所管所属は労働委員会事務局  です。