更新日:2024年6月25日
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神奈川県労働委員会(会長 浜村彰)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立てを棄却する命令を交付しましたので、お知らせします。概要は次のとおりです。
申立人 X(組合)
被申立人 Y1(会社1)
同 Y2(会社2)
本件は、組合が、組合員Aの平成29年12月18日付け労災事故(以下「本件労災事故」という。)による損害賠償等を交渉事項とする団体交渉を申し入れたところ、会社1及び会社2が、正当な理由なく団体交渉に応じなかったことが、いずれも労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件である。
⑴ 主文
本件申立てを棄却する。
⑵ 争点及び判断の要旨
(争点1)
会社1は、組合員Aとの関係において、労組法上の使用者に当たるか否か。また使用者に当たる場合、組合の令和2年4月6日付け団体交渉申入れに対する会社1の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か。
(判断の要旨)
ア 会社1の使用者性について
組合員Aは申立外会社(以下「B社」という。)に雇用され会社1に派遣され勤務していたのであり、会社1との間には直接の雇用契約はない。
しかしながら、会社1と派遣元であるB社との契約において、会社1は同社の労働者の安全衛生の確保に努めるべき旨規定されていること、また、会社1の現場責任者が本件労災事故に関する報告を受けていたこと、会社2が実施する災害防止協議会の出席者として位置づけられていたことから、会社1は、本件労災事故の原因・背景となる安全管理について、現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったと認められ、労組法上の使用者に当たる。
イ 団体交渉拒否について
組合の令和2年4月6日付け団体交渉要求書(以下「要求書」という。)において、会社1の安全配慮義務違反等を問題視する記述はなく、本件労災事故の原因・背景となる安全管理が団体交渉事項であることは必ずしも明瞭でなかった。
また、要求書には本件労災事故に関する損害賠償請求書を別途送付する予定である旨記載されていたが、送付されていないことなどからすれば、会社1が損害賠償請求の根拠が明らかとなった段階で態度を決めようとしたことについても相応の理由があったといえ、会社1の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否には当たらない。
(争点2)
会社2は、組合員Aとの関係において、労組法上の使用者に当たるか否か。また使用者に当たる場合、組合の令和2年4月6日付け団体交渉申入れに対する会社2の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か。
(判断の要旨)
組合員AはB社に雇用され会社1に派遣され勤務していたのであり、会社1の注文者である会社2との間には直接の雇用契約はない。
会社2は、受注者に対し、その指揮命令下にある労働者の安全衛生について一般的な指示をしていたに留まり、労働者に対し具体的な機器の操作について指示をしていたとは認められない。
会社2は、本件労災事故の原因・背景となる安全管理のあり方について、現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったと認めることはできないことから、労組法上の使用者に当たるとはいえず、会社2の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否にも当たらない。
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