更新日:2024年6月25日
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神奈川県労働委員会(会長 浜村彰)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立てを却下及び棄却する命令を交付しましたので、お知らせします。
申立人 X(組合)
被申立人 Y(会社)
本件は、組合が会社に対し、【1】組合員Aを平成31年4月15日で雇止めしたことあるいは同月16日付けで解雇したことが労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第1号及び第3号に、【2】組合員Aの解雇の撤回等を交渉事項とする令和元年7月4日、同年8月30日、同年10月7日及び令和2年9月14日に行われた団体交渉において、会社が、会社の役員を参加させないなど、会社に責任を持つ者を参加させなかったこと及び参加した会社従業員に回答させなかったこと等の対応が労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。
(1) 主文
ア 組合の請求する救済内容のうち、組合員Aに対する雇止め及び解雇に係る申立て並びに令和元年10月7日以前に行われた団体交渉に係る申立てを却下する。
イ その余の申立てを棄却する。
(2) 争点及び判断の要旨
(争点1)
会社が、組合員Aを平成31年4月15日付けで雇止めしたことあるいは同月16日付けで解雇したことは、組合員であることを理由とする不利益取扱い又は組合の運営に対する支配介入に当たるか。
(判断の要旨)
平成31年4月15日付け雇止め及び同月16日付け解雇は、いずれも本件申立てのあった令和3年2月9日から1年以上前になされており、労組法第27条第2項の除斥期間を徒過しているから、平成31年4月15日付け雇止め及び同月16日付け解雇に係る申立てを却下する。
(争点2)
令和元年7月4日、同年8月30日、同年10月7日及び令和2年9月14日に行われた団体交渉において、会社が、会社の役員を参加させないなど、会社に責任を持つ者を参加させなかったこと及び参加した会社従業員に回答させなかったことは、不誠実な交渉態度に当たるか。
(判断の要旨)
ア 第1回乃至第3回団体交渉は、本件申立てのあった令和3年2月9日から1年以上前である令和元年7月4日乃至同年10月7日に行われており、労組法第27条第2項の除斥期間を徒過していることから、本件申立て中、第1回乃至第3回団体交渉に係る部分は却下する。
イ 第4回団体交渉について
(ア)組合は会社の役員の出席を求めたことはなく、会社側の出席者は、組合の要求や主張に対して回答し、その理由を説明するなどしており、会社の役員が出席しなかったことを理由として団体交渉に不都合が生じたという事情も見受けられない。したがって、会社が団体交渉に役員を出席させなかったことをもって不誠実な交渉態度ということはできない。
(イ)団体交渉前に、組合と会社との間で交渉担当者について団体交渉ルールを定めていたことを認めることはできず、会社が弁護士の発言等により団体交渉に支障を生じさせたとする事情も認められない。したがって、会社が交渉権限を有する会社従業員と交渉権限を委任した弁護士を出席させ、代理人である弁護士が回答や説明を行っていたことをもって不誠実な交渉態度ということはできない。
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