更新日:2024年6月25日

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神労委令和4年(不)第18号事件命令交付について

神奈川県労働委員会は、標記の事件について、申立人の不当労働行為救済申立てを棄却する命令を交付しました。

1 当事者

申立人 X(組合)
被申立人 Y1(会社1)
同 Y2(会社2)

2 事件の概要

本件は、組合が、組合員Aの労働問題について、会社1及び会社2に団体交渉を申し入れたところ、同申入れに対する会社1及び会社2の回答が労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号に、会社2がAの組合加入を証する書面を要求したことが同条第3号に該当する不当労働行為であるとして、組合から救済申立てがあった事件である。

3 命令の概要

⑴ 主文
本件申立てを棄却する。
⑵ 争点及び判断の要旨
(争点1)
 Aは、会社2との関係において、労組法上の「労働者」に当たるか否か。
(判断の要旨)
 Aは、会社2との関係において、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する労組法上の「労働者」に当たる。
(争点2)
 Aが「労働者」に当たる場合、会社2が組合に対し、会社2は、Aとの関係において「使用者」ではない旨及び組合が提示した日時には、団体交渉に応じられない旨を回答したことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か。
(判断の要旨)
 会社2は、同社を「使用者」と考える組合の見解を求め、組合が提示した日時には、都合がつかないと伝えたのであり、正当な理由のない団体交渉拒否には当たらない。
(争点3)
 Aが「労働者」に当たる場合、会社2が組合に対し、Aが組合に加入したことを証明する書面を要求したことは、組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。
(判断の要旨)
 会社2は、Aの組合加入を証明する書面がないことを理由として団体交渉を拒否したり、Aに対して、組合への加入を問いただしたりするなどの行為を行ったわけではないから、組合の運営に対する支配介入には当たらない。
(争点4)
 会社1は、Aとの関係において、労組法第7条の「使用者」に当たるか否か。
(判断の要旨)
 会社1は、Aの労働環境に係る安全管理について、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあると認められるため、Aとの関係において労組法第7条の「使用者」に当たる。
(争点5)
 会社1が「使用者」に当たる場合、組合が会社1に対し、団体交渉開催前に交渉議題へ回答することを要求したことについて、会社1が、団体交渉当日に回答するとしたことは、不誠実な交渉態度に当たるか否か。
(判断の要旨)
 会社1は、団体交渉の場で交渉議題に回答すると文書で伝えたが、これに対し、組合は、何らの対応もしていないことから、会社1の対応は、不誠実な交渉態度には当たらない。
(争点6)
 会社1が「使用者」に当たる場合、会社1が、組合の都合で会社1に来社して団体交渉を行うことができないのであれば、団体交渉ができる状態になってから連絡するよう回答したことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か。
(判断の要旨)
 会社1の回答は、組合が提示した日時とは別の開催日を提示し、開催場所を会社1事業所内としたい理由を説明していることから、団体交渉の場所を組合と調整するものと認められ、正当な理由のない団体交渉拒否には当たらない。

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