更新日:2024年9月5日

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令和5年度調査研究課題の概要

令和5年度の調査研究課題の概要を掲載しています。

1プロジェクト研究

調査研究課題名 概要 行政施策上の効果
(1) マイクロプラスチックの排出実態の解明に関する研究  相模湾の海岸漂着ならびに河川流下マイクロプラスチックの排出実態等を明らかにするとともに、河岸堆積物中に含まれるマイクロプラスチックならびにそれよりも大きなマクロプラスチックの量・材質・形態を調べ、その実態を解明する。  河川流下と河岸堆積物の結果をあわせることにより、河川における面的な実態を把握できるなど、マイクロプラスチックの発生源対策の基礎資料になる。

2地域課題研究

調査研究課題名 概要 行政施策上の効果
(1) 走査型電子顕微鏡を用いたPM2.5の実態把握  PM2.5については、質量濃度や一部の成分の分析によってのみ評価されているのが現状であり、実際の粒子がどういった形状、組成、分布をしているかについての知見は少ない。そこで走査型電子顕微鏡を用いてPM2.5の観察を行い、その実態を明らかにする。  実際のPM2.5粒子の形状や組成を把握することで発生源をより正確に推定することが可能となり、その結果を発生源対策に反映できると考えられる。
(2) 環境DNA技術を活用した希少種調査手法の開発  県内で希少なスナヤツメ類を調査の対象とし、環境DNA技術を用いた南方種(移入種)及び北方種(希少種)の検出手法を確立する。また、両種のスナヤツメ類が生息する河川において環境DNA調査を実施し、両種の生息状況を把握する。  本研究により、捕獲調査ではわからなかった2種類のスナヤツメの生息情報が把握可能となることに加えて、河川工事等による生態系保全の取組にも応用することが可能になる。
(3) 神奈川県における光化学オキシダント予測システムの開発  光化学オキシダント濃度の予測AIモデルを用いて、神奈川県における光化学スモッグの発生予測システムの構築を試みる。過去の気象データ及び大気汚染物質データをAIの学習データとして精査し、予測結果と各地域における光化学スモッグの実際の発生状況との検証を行う。  大気汚染監視業務における光化学オキシダント濃度の予測精度の向上を図ることにより、県民の健康な生活を確保しつつ、企業が適切な経済活動を行うための安全情報として活用する。

3共同研究

調査研究課題名 概要
(1) POPsおよび関連化合物の新規モニタリング手法の開発  ペルフルオロオクタン酸(PFOA)のPOPs条約への追加に伴い、代替PFCsの生産及び使用の増加が考えられる一方で、それら代替物に関する情報は非常に限定的である。そこで、代替PFCs(特にGenX)の環境動態解明に資するデータの提供が可能な迅速分析法の開発を進めるとともに、日韓両国の都市部及びバックグラウンド地域において環境モニタリングを継続的に実施し現況を評価することでPOPs条約の波及に係る地域モニタリングへの貢献に努める。
(2) 相模湖・津久井湖における降下窒素酸化物による水質への影響の考察  この研究では、水質モデルと大気モデルの2つを作成し、AI技術を活用しながら、過去の経年データから降下窒素酸化物が水質に与える影響のメカニズムを解明するためのシミュレーションモデルを構築する。
(3) ブナ林保全再生を目的としたブナ生育環境評価に関する研究  丹沢山、檜洞丸各山頂及び犬越路におけるオゾン濃度の測定を継続し、オゾンのブナへのリスクを把握する。リアルタイムPCRを用いたブナ葉のmRNA特異的遺伝子発現解析手法を確立する。さらに、次世代シーケンサーiseqを用いた網羅的遺伝子発現解析手法を検討する。
(4) 環境DNAによる底生動物相把握手法の開発  生物から放出された細胞片等に含まれるDNAを分析することにより生物の存在を把握する手法である環境DNA調査について、河川に生息する水生昆虫等の底生動物を網羅的に調査する手法を開発するため、県内に生息する底生動物のミトコンドリアDNAデータベースの整備を民間事業者等と共同で取り組む。
(5) 複数プライマーを用いた環境DNA底生動物調査方法の開発  複数のプライマーを用いた環境DNA調査により、検出率の高い底生動物調査手法の開発を行うとともに全国的な底生動物DNAデータベース整備に取り組む。本研究については全国の地方環境研究と国立環境研究所と共同で取り組む。
(6) 河川における自然浄化対策実施効果の生物学的な評価手法の開発  水源環境保全事業に基づく「河川・水路における自然浄化対策の推進」の実施河川及び未実施の河川について環境DNA調査を実施することにより、事業の実施が与える生物学的な影響を評価する手法を開発する。
(7) 研究成果展開事業 共創の場形成支援プログラム育成型(共創分野)ネイチャーポジティブ成長社会実現拠点  本プロジェクトは、生物多様性ホットスポットである我が国の豊かな自然を活かし、自然を回復させることで成長発展する新しい自然共生型社会システムの構築を目標とし、(1)誰もが生物多様性情報を獲得・利活用できるインフラ構築、(2)生態系サービスの増強とリスク低減を実現する技術開発、(3)マルチステークホルダーによる自然自治管理支援システム開発の三つの科学技術目標に取り組む。
(8) 神奈川県内の気候変動影響の把握及び将来予測  気温の上昇や大雨の頻度の増加等、気候変動による被害の回避又は低減等を図る「適応策」の推進を図るため、「農林水産業」、「健康」、「自然災害」分野を対象として、県内における現在の気候変動影響を把握し、また、将来の気候変動影響を予測する。
(9) 航空機の飛行経路把握法の確立  神奈川県内では厚木飛行場周辺地域と羽田空港周辺地域で航空機騒音の測定が行われ、測定結果をもとに類型指定地域の指定・見直し等が行われているが、具体的な飛行経路の把握はされていないため、簡便に飛行経路が把握できる方法を確立する。
(10) 社会音響調査を用いた騒音による実生活への影響の解明  騒音発生源の中で、最も広範囲に影響を及ぼす道路交通騒音を中心に、生活環境への影響を簡便に把握する手法を検討し、その手法を用いて得られた主観的な騒音評価、生活環境評価それぞれを定量化することで、騒音の影響を把握できる手法を構築する。
(11) 道路交通・鉄道により同時発生する環境振動・騒音の評価  道路交通や鉄道による環境振動と騒音を想定し、同時に発生する振動と騒音に対する人間の心理的反応の定量的評価に資する知見を得る。得られた知見に基づき、居住環境評価に及ぼす振動と騒音の複合的な影響や振動と騒音の相対的な寄与度を評価できる方法を提案する。
(12) 低周波数成分を含む環境騒音の評価指標の確立  低周波音による特有の心理的反応である「圧迫感・振動感」による人への影響を解明する。また、低周波音に対する「圧迫感・振動感」の定量的な評価指標及び低周波数成分が卓越する環境騒音の定量的な評価指標を構築する。

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