更新日:2024年10月19日

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河川(内水)への影響と適応策

神奈川県における河川(内水)に関する気候変動の影響と適応策

気候変動の影響

 気候変動により、極端な降水の発生頻度や強度が増えるという影響、中でも、内水氾濫につながりやすい短時間に集中する降雨事象の発生頻度や降雨強度が増えるという影響が現れ、この結果、内水氾濫の可能性が増大します。
 神奈川県では将来、短時間強雨による浸水被害が予測されています。

※内水氾濫:全体として平坦な土地に降る強雨に対して、それを地面に浸透させ、あるいは排水する能力が小さい場合、溜まりやすい場所に排水しきれない雨水が集まって浸水が始まり、被害を生じさせる水深・範囲が拡大する現象。

神奈川県における滝のように降る雨の発生回数の変化
神奈川県における「滝のように降る雨※」の回数の変化(1976~2022年)
(※滝のように降る雨(短時間強雨):1時間降水量50mm以上)

出典:気象庁過去の気象データ(時別降水量)から県適応C作成

 

 例えば、気象庁地球温暖化予測情報第9巻(2017年)によると、現状を上回る温暖化対策を取らなかった場合、「滝のように降る雨」の発生が100年で約2倍に増加する予測が示されています。

滝のように降る雨の回数の将来変化

※現状を上回る温暖化対策をとらない場合(RCP8.5)の21世紀末(2076~2095年)における気候の予測結果

出典:「神奈川県の21世紀末の気候」(気象庁ホームページより)

 

影響に対処するための県による施策(適応策)

 下水道や河川等に雨水を排水できないことで地表面に溜まる内水については、集中豪雨により下水道の能力を超え、浸水被害の発生が懸念されることから、河川管理者・下水道管理者等が連携して、貯留浸透施設整備等のハード対策や県民への情報提供等のソフト対策などを進めます。

現在県で取組んでいる具体的な事例

  • 中小河川のうち、特に過去の大雨で水害が発生した河川や都市化の進展が著しい地域を流れる18河川において、重点的に河川整備(ハード対策)を実施(都市河川重点整備計画<新セイフティーリバー>
  • 水防災意識社会を再構築するため、「神奈川県大規模氾濫減災協議会」を設置し、ハード・ソフト対策を一体的に推進する取組みを実施 (「神奈川県大規模氾濫減災協議会」について
  • 平成27年5月の水防法改正により、想定し得る最大規模の降雨による浸水想定区域図を作成・公表(河川の氾濫による洪水浸水想定区域図
  • 県内河川の氾濫の危険性をチェックするため、県内の時間雨量、及び河川の水位、河川監視カメラの画像をHPに掲載(神奈川県雨量水位情報
  • 県内河川のうち注意を要する箇所や重要な施設が周辺にある箇所に、洪水時の水位観測に特化した「危機管理型水位計」を設置し、その水位をホームページに掲載(危機管理型水位計
  • 警察庁舎を整備(新築、大規模改修)する際には、庁舎内への浸水による電源喪失を防止するため、電気室、非常用発動発電機を上層階へ設置
  • 浸水等が予測されている地域の警察庁舎に対して、電動防潮板、可搬式防潮板等を設置
  • 神奈川県警察災害警備実施計画に基づき、気象警報等発表時における招集体制等を整備し、有事即応態勢を確立

【参考】日本全国における気候変動による影響(概要)

出典:気候変動影響評価報告書(別ウィンドウで開きます)(2020年12月、環境省)

現在の状況

  • 年超過確率1/5や1/10の、短時間に集中する降雨の強度が過去50年間で増大
  • 全国の水害被害額の約40%が内水氾濫による被害(大都市ではこれをさらに上回る)

将来予測される影響

  • 現状を上回る温暖化対策を取らない場合(RCP8.5)、21世紀末の日本全国の内水災害被害額は、約2倍に増加
  • 河川や海岸等の近くの低平地等では、河川水位が上昇する頻度の増加や海面水位の上昇により、下水道等から雨水を排水しづらくなり、内水氾濫の可能性増大

 

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