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更新日:2024年4月10日
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裁決手続の流れについてご説明しています。
起業者(*1)が収用委員会に裁決の申請を行うためには、土地収用法に基づいて事前に国土交通大臣又は都道府県知事(神奈川県の所管:県土整備局事業管理部用地課)の事業認定を受けなければなりません。
(*1)起業者:土地収用法によって土地を収用し、又は使用することができる特定の公共事業の施行者
事業認定は、告示があった日から効力を生じます。
事業認定の手続きでは、事業認定申請書の縦覧期間内に、利害関係者から公聴会の開催請求があった時は「公聴会の開催」を、又事業認定に異議がある旨の意見書(*2)が提出された場合には「第三者機関の意見聴取」を行うことが義務づけられています。
(*2)事業の認定を拒否しようとする場合にあっては事業の認定をすべき旨の意見書
起業者は、裁決申請に当たっては土地調書を、明渡裁決の申立てに当たっては物件調書を作成して添付する必要があります。土地調書・物件調書には、それぞれの土地、物件の状況や権利関係などが記載されるとともに実測平面図(物件調書は建物の存する場合のみ)が添付されます。これらの調書は、その後の収用手続において補償額算定の基礎となるもので起業者のほか、原則として土地所有者及び関係人(*3)の署名押印が必要です。
(*3)関係人:借地人や建物の借家人など、土地収用の対象となっている土地又はその土地上の物件について、土地の所有権以外の権利を持っている人
土地所有者及び関係人は、その記載事項に異議があれば、その内容を附記して署名することができます。また、異議を附記した事項については、収用委員会の審理においてその真否を争うことができます。異議を附記しなかった事項については、調書の記載内容が真実であると推定されるため、記載内容が真実でないことを立証しない限り、異議を述べることはできません。
次の場合は、市区町村長(横浜市、川崎市及び相模原市の政令市は区長)又は委任された市区町村職員が立会い、署名押印することになります。
土地所有者及び関係人が署名押印を拒否した場合
収用又は使用の裁決申請には、起業者が土地の所有権等を取得するための「裁決の申請」と、収用又は使用しようとする土地にある建物等を撤去して土地の明渡しを求める「明渡裁決の申立て」の2つがあります。
明渡裁決の申立ては、裁決の申請と同時か、あるいは裁決の申請後に行われます。これらは、いずれも概ね同様の手続を経て裁決されます。
道路の新設等により、宅地と道路との間に高低差ができ、住宅への出入りが難しくなったなどの損失が発生した場合において、道路管理者と損失補償についての協議が整わないときには、道路管理者又は損失を受けた者は、道路法に基づき、収用委員会に対して裁決の申請ができます。
また、道路法のほか、都市再開発法、土地区画整理法などにも同趣旨の規定があります。詳しくは、それぞれの法律を参照してください。
収用委員会は、裁決申請書又は明渡裁決申立書の提出があったときは、それが法令に適合しているかどうか形式を審査し、適合している場合は受理します。
裁決の申請が土地収用法の規定に違反するときは、収用委員会は申請を却下します。
収用委員会は、裁決申請書又は明渡裁決申立書を受理したときは、その写しを土地が所在する市区町村長あてに送付するとともに、土地所有者及び関係人に裁決の申請又は明渡裁決の申立てがあったことを通知します。
市区町村長は、裁決申請書又は明渡裁決申立書の写しを受け取ったときは、申請又は申立てがあったことなどを公告し、収用又は使用しようとする土地の区域、補償金額、土地の明渡しの期限などが記載されたその書類を公告の日から2週間の縦覧に供します。
土地所有者及び関係人は、市区町村長による縦覧期間内(前記5)に、(1)収用又は使用し、明渡しを求める土地の区域、(2)損失の補償、(3)権利取得の時期及び明渡しの期限などについて、収用委員会あて意見書を提出することができます。準関係人(*4)は、審理終了まで補償に関して意見書を提出することができます。
(*4)準関係人:公告があった土地及びこれに関する権利について仮処分をした者その他損失の補償の決定によって権利を害される虞のある者
ただし、縦覧期間が経過した後に意見書が提出された場合においても、収用委員会が審理や調査のために必要と認めるときは受理します。
損失の補償に関する事項以外の事項(土地の区域など)に対する意見は、縦覧期間内の意見書に記載することが原則です。縦覧期間中に意見書を提出されない場合、損失補償に関する事項以外は原則として審理において新たな意見を述べることができません。
意見書には、事業認定に対する不服など、収用委員会の審理に関係のない事項を記載することはできません。
意見書の様式については、特に定めはありませんが、意見書には作成の日付、提出者の住所・氏名の記載が必要です。
市区町村による縦覧の期間(前記5)が経過すると、収用委員会は、裁決手続開始の決定をし、そのことを神奈川県公報に公告し、収用又は使用しようとする土地を管轄する登記所に裁決手続開始の登記を行います。
この登記が行われた後は、その土地の権利者(所有者等)の相続人などを除き、権利の移動は起業者に対抗できなくなりますので、起業者や収用委員会は、この登記時点での権利者を当事者として扱います。
収用委員会は、裁決手続開始の決定の後、審理を開始します。
審理は、収用委員会が起業者、土地所有者及び関係人から裁決を行うのに必要な事項について意見を聞くため開くもので、原則として公開で行われます。
収用委員会は、起業者、土地所有者及び関係人には、あらかじめ審理の日時及び場所を通知します。
代理人が出席する場合は委任状が必要ですが、審理に出席する代理人については、各当事者につき3人までに制限できることになっています。審理の開催を通知したにもかかわらず、審理に欠席されますと、そのまま結審する場合もあります。
審理では、主として次の事項について意見を聞き、意見の対立点を整理します。
事業計画、裁決申請に至る経緯、収用又は使用しようとする土地の区域、損失の補償、権利取得の時期、明渡しの期限等
提出された意見書の内容、起業者の申し立てた収用又は使用しようとする土地の区域、損失の補償・権利取得の時期・明渡しの期限に対する意見等
審理では、起業者、土地所有者及び関係人は、意見書を提出したり、口頭で意見を述べることができますが、事業認定に対する不服、その他収用委員会の審理に関係がない事項については、意見書に記載したり、意見を述べることはできません。
収用委員会は、審理で起業者、土地所有者及び関係人が述べた意見について、新たに意見書や資料の提出を求めることがあります。
収用委員会は、必要があると認めるときは、起業者、土地所有者及び関係人などに出頭を命じて審問し、又は意見書、資料の提出を命じることができます。また、必要に応じ土地や建物を確認するために現地調査をし、補償金の額に争いがある時は、補償金額の算定の参考にするために、鑑定人に土地や物件を鑑定させる場合があり、それをもとに補償額の算定をします。
審理が終結すると、収用委員会は、意見書や審理で主張されたことなどについて、必要な調査や検討を行い、裁決をします。裁決は、裁決の申請及び明渡裁決の申立てに対する収用委員会の最終的な判断で裁決書という文書により行われます。
裁決には、裁決の申請に対する応答としての権利取得裁決と明渡裁決の申立てに対する応答としての明渡裁決があります。
裁決される主な事項は、次のとおりです。
権利取得裁決がなされると、起業者は、権利取得の時期までに土地所有者及び関係人に対して補償金の支払いを行い、土地の所有権を取得します。また、賃借権、抵当権など所有権以外の土地に関する権利は消滅することになります。
明渡裁決がなされると、起業者は、明渡しの期限までに土地所有者及び関係人に補償金の支払いを行い、土地所有者及び関係人は土地にある建物など物件を移転し、土地を明け渡さなければなりません。両方の手続があってはじめて収用手続が完了します。
裁決の申請が土地収用法の規定に違反するとき、申請が却下されることがあります。
起業者は、権利取得及び明渡しの期限までに土地所有者及び関係人に補償金を支払わなければなりません。
ただし、土地所有者及び関係人が、補償金の受領を拒んでも、起業者が供託すると支払ったことになり効果が生じます。
権利者の不明や、権利の内容が確定できない場合などは、これらを不明として裁決がされ、この場合も、補償金は起業者により供託されます。供託に関しては法務局にお問い合わせください。
土地所有者及び関係人から明渡しがないときは、起業者の請求により都道府県知事(神奈川県の所管:県土整備局事業管理部用地課)が代執行により建物等の移転をできることになっています。
土地を収用し、又は使用して、その土地を事業の用に供することにより、当該土地及び残地以外の土地について、工作物を新築し、改築し、若しくは修繕し、又は盛土若しくは切土をする必要があると認められるときは、起業者は、これらの工事をすることを必要とする者の請求により、これに要する費用の全部又は一部を補償しなければなりません。
上記の土地の収用又は使用する土地に係る損失補償以外に、測量や調査等による損失の補償、事業の廃止又は変更等による損失の補償及び収用又は使用する土地以外の土地に関する損失補償についても裁決の申請ができます。
また、土地収用法以外の法律において、土地収用法の規定による裁決の申請ができる旨を定めるものもあります。(道路法、河川法、都市計画法など)
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