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初期公開日:2023年6月27日更新日:2024年8月26日

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ナスの新品種「かな紫」

県農業技術センターでは、葉や茎、へたにとげがなく、果実の形が安定した多汁質なナスの新品種「かな紫」(かなむらさき)を育成しました。2022年2月28日に品種登録出願し、同年6月20日に品種登録出願公表されました(品種登録出願番号第36037号)。

育成経過

 本県では、多汁質なナス品種‘サラダ紫’を育成し、2009年に品種登録されておりますが、とげなし化や果形の安定化が求められたことから、とげがなく、乱形果を含む障害果の発生が少ない多汁質なナス品種の育成を目標とし、半数体育種法を用いて品種育成に取り組みました。‘サラダ紫’の両親系統に複数の品種・系統を交雑して得たF1個体から倍加半数体を作出し、とげがなく、果形の乱れが少ない系統を選抜しました。選抜系統同士を交雑して得たF1組合せの中からとげがなく、障害果発生率が低い有望系統を選抜し、現地適応性試験において高評価が得られましたので、‘かな紫’と命名して品種登録出願を行いました。

特性

 かな紫’は、茎、葉身およびへたにとげがない特性を持ちます。果実の多汁性の評価指標である果実比重が、‘かな紫’は0.86g/cm3であり‘サラダ紫’(0.85g/cm3)、‘SL紫水’(0.87g/cm3)と同等の多汁質なナスであり、果実の形は倒卵形に分類されます(表1)。
‘かな紫’は、総収量は‘サラダ紫’と同等ですが、上果収量は‘サラダ紫’より空洞果、乱形果、つやなし果および色ムラ果の発生割合が低いため多くなります。月別の上果収量を‘サラダ紫’と比べると、6月は‘かな紫’が‘サラダ紫’の2倍程度となり、‘かな紫’は収穫初期の障害果発生率が‘サラダ紫’より低く、特に差が大きくなります。

収穫物特性

かな紫の様子

収穫されたかな紫

栽培のポイント

 適正な草勢を維持可能な施肥および灌水を心掛けることがポイントです。また、風ずれによる果面の傷を防ぐために防風対策を行うとともに、果実の色上がりを良くするため、栽培期間を通じて株元まで光が良く届くような整枝に努める必要があります。

かな紫草姿

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