更新日:2024年8月23日
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樹体ジョイント仕立ては、隣接樹に次々と接ぎ木連結し、直線上の集合樹に仕立てる全く新たな発想による仕立てであり、整枝剪定の簡略化、早期成園化などのメリットがある。
ナシ樹の「樹と樹をつなげる」発想は、今から10年以上前の旧園芸試験場時代にさかのぼりますが、考案した「ナシ樹体ジョイント仕立て」(図1、特許第4895249号)の試験は移転後の1997年から始まります。
2m間隔に定植した1本主枝の「幸水」2年生苗を一定方向に棚付けし、約2年間主枝を伸ばしていきます。
図1ジョイント仕立て6年生樹(株間2m、列間3m)の剪定前の状態
そして、主枝先端が隣接樹に到達したら、開花前の4月に主枝部の接ぎ木連結を実施します(図2)。接ぎ木は主枝先端部をくさび形に調整し、隣接樹主枝基部へ接ぎ込むような形で行い直線状の主枝を完成させます。
図2 主枝先端部と隣接樹主枝基部の接ぎ木ジョイント部
これまで長い期間、多くの労力をかけ苦労してきた主枝の育成がこの仕立てでは簡単に主枝のジョイントが完成するまでの2、3年で終わります。主枝先端が隣の樹の主枝基部につながることで主枝先端部は消滅し、その面倒な主枝先端の管理も無くなります。先端の樹勢が弱くなる部分と主枝基部の強い部分がつながることで樹勢の均一化も図られ、剪定も側枝を選んで主枝から直角方向に配置していくだけで簡単になり、新梢の誘引に関しても効率的に実施できます。
表1 ジョイント仕立てと慣行仕立ての整枝・剪定作業についての比較
仕立て法 | 主枝育成 | 樹冠拡大 | 主枝先端 | 剪定時間・技術 | 新梢管理 |
---|---|---|---|---|---|
ジョイント | 短期・易 | 短期・易 | 無い | 短い-易 | 有り-易 |
慣行 | 長期・難 | 長期・難 | 有り-多労 | 長い-難 | 有り-多労 |
果実はジョイントが完成し、主枝の拡大が必要なくなる3年目から着果させます。初結実で1トン/10aの収量が得られ、翌年の5年生時では2トンを超え、7年生時でほぼ成園並みの収量を得ることができました。これは、密植により樹冠拡大が早く、均一な長方形の樹冠により棚面の利用効率も向上し、主枝先端部にも樹勢への影響、主枝拡大を気にせず着果させることが可能になったためと考えられます。現在試験中の株間2m、列間3mの6年生樹でも、すでに78%の棚面が埋まり、10アール当たりの収量も2,200kgを超えています。
生産技術部(果樹花き研究課)
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