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更新日:2020年4月1日
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サントリーと県は協働し、水源かん養機能や生物多様性の高い森林を目指し、「天然水の森 丹沢」として、県有林で様々な活動を進めています。今年度はスギやヒノキの人工林で、光環境を改善し、林床植生を回復させ、将来的に広葉樹林の混ざった森林に導くために、スギやヒノキの伐採を行いました。
今年度の活動場所は標高が高く、道から遠いため、なかなか整備することができない場所でした。整備前の林内はスギやヒノキに覆われ暗く、シカの影響もあり、林床植生はまばらでした。また、所々地面が露出し、土壌が流出している状況も見受けられました。
今回の整備は、抜き伐り、いわゆる間伐ではなく、ギャップ状に伐採する小面積伐採と帯状に伐採する帯状伐採を実施しました。ある程度広く隙間をあけることで、光環境が大きく改善され、早期の林床植生の回復が期待できます。
また、今回のような伐採方法は「生態系ピラミッドの上位に位置する生物が住める環境」の創出にもつながります。光環境が大きく改善されることで、一時的に草地環境が創出されたり、木の実のなる広葉樹が生えてきたりすることで、生態系ピラミッドの上位に位置する生物の餌となる動植物が増えると考えられます。そのような生物が生息できる環境を作ることで、生態系ピラミッド全体を守り、生物多様性の高い森林を目指しています。
整備を実施したエリアは、管理捕獲により以前よりシカの生息密度は減ってきているものの、依然として植生回復への影響を受けやすい状況のため、伐採後に植生保護柵を設置しました。また、伐採した丸太は土壌保全のために林内に等高線上に整理しました。この丸太があることで、土壌が安定し、より林床植生が回復しやすくなります。林床植生が回復することで、雨水が森林土壌へ浸透しやすくなり、水源かん養機能の向上につながります。
<伐採前の林内の様子>
<生態系ピラミッドの図> サントリー天然水の森ホームページより
写真を見ると「少し伐りすぎじゃないの?」と驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、伐採する場所については、傾斜や土質、風当たりなども考慮し、ある程度広く伐採できるだろうと考えられる場所を選定しています。写真を撮ったのは冬なので、植生は全然ありませんが、夏に向けてどんどん植生が回復してくるのが楽しみです。また追ってレポートさせていただきます。
<伐採後の林内の様子>
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