更新日:2024年9月30日
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1.ハエは畜産の大敵
次々に沸くように出現するハエは、人間にも家畜にも不快な存在です。ハエとはいえ、病原菌やウイルスの媒介の危険に加え、まとわりつくストレスは、家畜の生産力を低下させます。また、畜産業に対するイメージを悪化させるとともに、地域から農家への苦情の主な原因の一つにもなっています。
2.秋のハエは幼虫期間が長い
一般的によく見かけるイエバエやクロバエ、キンバエ等は冬眠せず、元気な成虫でも越冬します。また50~150個の卵を10~14日間隔で4~6回繰り返し産むので、生涯には最高で約1,000個を産卵します。気温35℃だと約7日で卵から成虫になりますが、気温が16℃に下がると成虫になるのに約45日かかり、幼虫(ウジ)の期間が長いのが秋のハエの特徴です。
3.ハエの駆除方法
ハエの駆除方法は、大きく分けて、『環境対策』と『薬剤による殺虫』の二とおりです。まず、何より基本は『環境対策』で、丁寧な除フンと清掃、畜舎の乾燥、そして適切な堆肥化を実施することです。堆肥化を適切に行えば、60℃以上の発酵熱で、堆肥中の幼虫を死滅させることが可能です。秋なら幼虫期間が長いので、特に『環境対策』が効果的で、堆肥化段階で、しっかり駆除することが大切です。また、『薬剤による殺虫』では、IGR剤(幼虫発育阻害剤)やベイト剤(誘因殺虫剤)で幼虫を駆除することや、ベイト剤の直接散布での成虫駆除も有効です。ただ、同じ薬剤の連続使用は耐性ができる場合もあるので避け、まずは、除フン、畜舎の清掃、乾燥、そして適切な堆肥化という、基本の『環境対策』を丁寧に実施しながら、異なる系統の薬剤をローテーションして使用するように心がけてください。秋のハエの徹底駆除が、幼虫や越冬の成虫数を減少させ、翌年の春や夏のハエの数を大幅に抑えることにも繋がります。
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