更新日:2025年1月23日
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令和6年度第4回 黒岩知事と当事者とのオンライン対話
令和6年12月23日に開催した「黒岩知事と当事者とのオンライン対話」の結果概要を掲載しています。
全国では飼い主の病気や死亡、転居、ペットの咬み癖や多頭飼育崩壊など、様々な理由で飼えなくなったペットの引取りが後を絶ちません。
県動物愛護センターにおいては、全国の都道府県で初の犬と猫の殺処分ゼロを達成し、その後も継続してきましたが、改めていま、ペットを適正に最期まで飼うために必要なことや課題について意見交換を行い、「ペットのいのちも輝く神奈川」のあり方を考えます。
神奈川県 情報公開広聴課長
皆さま、本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。ただいまより令和6年度第4回『黒岩知事と当事者とのオンライン対話』を始めます。本日のサポート役を務めます、情報公開広報課長の望月と申します。よろしくお願いいたします。
この対話は、さまざまな課題に対する当事者の皆さまの生の声を知事が直接伺い、当事者目線の意見をいただくことにより、今後の県の施策に繋げていくものです。この様子はYouTubeでライブ配信を行うと共にアーカイブで県のホームページにも掲載いたします。
今回のテーマは『ペットのいのちも輝く神奈川 〜ペットを最後まで適正に飼うために〜』です。こちらについて意見交換を行います。本日は16時ちょうどまでを予定してございます。YouTubeをご覧の皆さまは是非X、旧Twitterから「#おんらいんたいわ」「#おんらいんたいわ」を付けてご意見をお寄せください。なお「おんらいんたいわ」はすべてひらがなでお願いいたします。
それでは意見交換に先立ち、黒岩知事からご挨拶申し上げます。
知事
神奈県知事の黒岩祐治です。
本日は年末の大変お忙しい中お時間作っていただきまして誠にありがとうございます。このオンライン対話でありますけども、これまで何回かテーマごとに分けてですね、やってきました。やっぱり皆さんの生の声をですね、直接聞かせていただくっていうのは非常に大事なことだという風に思っています。
私、「いのち輝く神奈川」ってずっと言ってきたんですけども、「ペットのいのちも輝く神奈川」これもずっと言ってきておりましてね、動物保護センターではですね、「動物愛護センター」に名前も変えてですね、建て替えて、そして犬猫殺処分ゼロというのをずっと継続してきてるということもあります。そんな中でいくらやってもですね、多頭飼育崩壊のような問題も出てくる。どうやって向き合っていけばいいのかな、さらにどうやって乗り越えていけばいいのかな、さまざまな問題への生の皆さんの声をお聞かせいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
神奈川県 情報公開広聴課長
ではここから進行を交代いたします。松本さんよろしくお願いいたします。
進行 松本様
よろしくお願いします。初めまして皆様、ラジオDJをしています松本ともこと申します。本日は知事とのこういったオンライン対話、参加できてとても嬉しいし、すごくいい緊張感を持って今臨んでおります。
私自身は小さいときに、学校へ朝行こうとしたときに2匹の捨てられた犬を弟と一緒に見つけたことがきっかけで犬たちと暮らすようになりました。いのちの大切さをそこで学びました。ペットは私たちの大切な家族ですので、出会いから別れまで愛と責任を持って見守っていきたいなと思っています。今私はシニアのペットのケア、それからペットと防災などいろんな問題に向き合うラジオ番組のDJをしています。それからペットシッター士として活動しておりまして、身近に悩みなどを聞いて共に解決するそんなお手伝いをしています。ご覧の皆様、そして今回ご参加の皆様、どうぞ最後までよろしくお願いします。
それでは参加者の皆様にご挨拶をいただきましょう。こちらからお名前をご紹介しますのでひと言お願いいたします。お一人目は柿澤秀貞様お願いします。
柿澤様
はい、柿澤秀貞です。家族構成は夫婦二人にワンちゃんが1匹です。今年5月と9月に神奈川県動物愛護センター様よりワンちゃんを譲渡していただきました。5月に譲渡していただいたワンちゃんは病気が発覚して残念ながら8月に亡くなってしまいましたが、そのあと今のワンちゃんに出会って一緒に暮らしております。今日はよろしくお願いします。
進行 松本様
続いて古野美優様お願いします。
古野様
はい、古野美優と申します。生まれたときから猫に囲まれて生活をしています。最後まで飼うことを経験しており、現在は保護猫2匹と生活をしています。どうぞよろしくお願いいたします。
進行 松本様
次に奥田順之様お願いします。
奥田様
よろしくお願いします。NPO法人 人と動物の共生センターというところで代表をしております獣医師の奥田順之と申します。拠点は岐阜のほうでやらせていただいておりまして、獣医行動診療科認定医っていうですね、問題行動の専門資格を持ってワンちゃんの咬むとか猫ちゃんの引っかくとかそういった問題のサポートをさせていただいているのと、あと多頭飼育崩壊も含めてですね、社会の人と動物の問題に対して広くアプローチさせていただいております。今日はどうぞよろしくお願いします。
進行 松本様
続いて関水潔様お願いします。
関水様
はい、こんにちは。大和市で動物病院を開業しております関水潔と申します。本日のテーマにもなる、「ペットのいのちも輝く神奈川」とても素晴らしいと思っています。大人も子どもも、また高齢者もペットのいのちを輝かせるようにと実際に飼育をしたり、あるいは飼っていなくても思いを寄せていくことで私たち人の心も輝いていきます。日常生活や診療の場で日々そのことを実感しております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
進行 松本様
続いては三井翔平様お願いします。
三井様
はい、ご紹介いただきました三井と申します。僕は元々相模原市にある麻布大学というところで人と動物のコミュニケーションに関する研究を行っていました。現在は同じく相模原市にあるスタディ・ドッグ・スクールという犬のしつけ方教室でドッグトレーナーをしています。それ以外にもですね、動物系の専門学校で講師をしたりですとか、2019年からは神奈川県動物愛護センターさんから依頼を受けて収容されてるワンちゃんのですね、問題行動の改善とか譲渡促進のためのトレーニング、それから動物愛護センターの職員さんですとか県の関係する職員さんに指導やアドバイスっていうのを行っております。本日はよろしくお願いいたします。
進行 松本様
最後に松永新一郎様お願いします。
松永様
はい、神奈川県動物愛護センターで所長をしております松永新一郎と申します。本日はいろいろなかたちでペットとかかわりのある皆さんからご経験ですとかご意見を聞かせていただきたいと思っております。どうかよろしくお願いします。
進行 松本様
以上6名の方と意見交換を行っていきます。意見交換の前にまず神奈川県動物愛護センターの松永さんからですね、神奈川県の動物愛護に関する現状と取組みについてお話をいただきたいと思います。改めて松永さんお願いします。
松永様
はい、ご説明させていただきます。神奈川県動物愛護センターでは「ペットのいのちも輝く神奈川」、この実現に向けた取組みとして、かながわペットのいのち基金を活用し、保護している犬や猫の病気やケガの治療をしています。
また、人に慣れていない犬の訓練や譲渡会の開催など、犬や猫のいのちを守り譲渡に繋げる取組みを進めてきました。その結果、県民の方々の温かい想いや関係団体の皆様の協力によって県動物愛護センターにおいて、犬は平成25年度から11年間、猫は26年度から10年間、殺処分ゼロを継続しております。一方で、介護老人福祉施設等への入所や引っ越し、増えすぎなど飼い主の事情によって手放される犬や猫はあとを絶ちません。
最近では多頭飼育崩壊が社会的に問題となっています。その多くが、飼い主の経済的困窮や地域からの社会的孤立などが複雑に絡み合った生活困窮が背景にあります。飼い主の動物の繁殖力への知識不足や動物への依存によって、結果的に自分で世話できる以上に増やしてしまうことでご自身の生活が破綻し動物も飼育できなくなってしまいます。このような多頭飼育崩壊は今もなお各地に存在しています。県は警察官や民生委員など地域を巡回する方々にも協力を依頼し、不適正な多頭飼育者の早期探知に努めています。また、探知後は地域での見守りや一定の条件を満たした場合は無償での避妊去勢手術を行い、それ以上増えないようにすることで多頭飼育崩壊の未然防止に努めています。
多頭飼育崩壊を起こした飼い主ご本人は「動物を可愛がっている」と言います。ただ実際は、避妊去勢手術や適切な獣医療を受けさせずに不衛生な環境下で飼育されている動物は、栄養失調で痩せていたり病気であったり攻撃的で人に慣れていないことが多いです。動物愛護センターの収容定数は猫90頭、犬が75頭ですが、多頭飼育崩壊が続いた際は猫が250頭を超えたときもありました。多頭飼育崩壊で収容した個体は数年経ってもなお攻撃的で人慣れ困難なものが多く、高齢で持病のある個体と共に新しい飼い主への譲渡が進まないため、動物愛護センターには少しずつそうした個体が増えている状況です。ペットを飼うということはいのちを預かることです。県はペットの飼い主の皆さまに対して愛情と責任を持って最後まで適切に飼っていただくよう、終生飼養や適正飼養の普及啓発に取り組んでおります。私からは以上です。
進行 松本様
ありがとうございました。それでは意見交換に移ります。
本日は2つのパートに分けて対話を行います。最初のパートでは多頭飼育崩壊の現状と課題についてお聞かせいただきます。そしてお話をいただいたあとに知事からのコメント、続いて質疑を行います。 それでは最初のパートの意見交換に移ります。大学在学中から殺処分問題解決を目的とした学生団体を設立、現在はNPO法人 人と動物の共生センター代表を務められている奥田さんです。
多頭飼育崩壊にも詳しいと思いますが、現状そして課題を教えていただけますか? お願いします。
奥田様
はい、よろしくお願いします。今、松永所長からいろいろとお話しいただきましたが、多頭飼育崩壊、やっぱり背景には当然ながら精神疾患や発達障害だったり知的障害などそういう問題があったりですね、孤立があったりっていうところがあります。
なのでこれらの問題を今日ですね、「ペットも輝く」っていうテーマでさせていただいてるんですけど、ペットのテーマの中での多頭飼育崩壊の話をしてると思うんですけど、本当はこれ、福祉の中に位置付けなきゃいけないんじゃないかなという1つ問題提起になるかなという風に思います。
我々、人と動物の共生センターでは「犬猫相談ホットライン」っていうのを2022年からやってまして、地域包括支援センターや福祉関係機関からですね、相談を受け付けるっていう活動をさせていただいております。やはりそういう活動すると、「相談できるところがあるんだ」っていうのを知るとですね、多くの方から連絡をいただきます。岐阜の事例ですが、地域包括支援センターの職員さんにアンケートを取ったところ42.3%の方がですね、ペットを飼っている方の支援に困ったことがあるというですね、意見というかデータがございます。やはり福祉っていうのは、あまねくいろんな方に提供しなきゃいけないんですけど、多頭飼育崩壊ってゴミ屋敷とかと一緒に発生すること多いと思うんですけども、本当に糞尿が蓄積してゴミも蓄積して、いったい猫が何頭いるかわからない現場なんですけれども、その本人はやっぱり支援が必要な方なんですよね。医療の支援だったり介護の支援だったりが必要。そういうときにケアマネさんがそこにですね、訪問介護の方を派遣しようと思っても、介護の方が汚すぎて入れないということで、支援が受けられないっていうことが割とあったりします。なのでやっぱりそういった方からはその動物をどうにかしてくれっていうことで、「動物を引き上げてくれ」、愛護センターのほうでもたくさんになってしまうって話ありましたけども「引き出してくれ」、「保護してくれ」っていう依頼があるんですけれども、実際、じゃあ引き出したらそれ問題解決になるかって言うと、結局元々は人の問題ですので、人の支援のほうをしないとなかなかうまくいかないですし、また飼いたいってなったら、また飼っちゃうわけですよね。周りに野良猫がいたら、それまた入れてしまうっていうことなので、引き離せばいいっていう問題ではないと思うんです。その人がその動物を大切にしてるのは確かにそうなんだけど、大切にする能力がないんであれば、その方が適切に飼えるような支援、もちろん数は減らさなきゃいけないんですけども、数を減らしておいて適切に飼える支援っていうのもやっぱり必要なんじゃないかなという風に思っております。
その動物保護のですね、愛護センターのほうで引き受けるっていうのもありますけれども、保護団体さんが無償で引き受けてるっていう部分もですね、やはりかなり多くあるという風に各地域であると思います。こういった保護の部分っていうのは、やはり無償で預かってくれって言われるんですけど、やっぱ保護には医療費もかかりますし、先ほどの手術の話もありますし、いろんなね費用がかかります。他県ですけど東京都ではですね、こういった事例に対して動物そういった高齢者の飼育困難に対して、動物の団体がサポートに入った場合に助成を出しますっていう、そういったですね枠組もございますので、こういった取組みっていうのも神奈川県でもですね、実施していただくっていうこともまた、地域の団体が持続可能に社会貢献をしていくということに対してですね、必要になってくるんじゃないかなという風に思っているところでございます。とにかくこの問題は動物の問題って捉えず、福祉の中でどう議論するか、位置づけていくかっていうところを、やはり政策として考えていくべきなんじゃないかなっていう風に思います。
進行 松本様
奥田さんありがとうございます。現状と大切な課題をいただきました。
続きまして大和市内で動物病院の獣医師をされていて、神奈川県獣医師会理事でもある関水さんです。多頭飼育崩壊の現状と課題をお話しください。お願いします。
関水様
はい、私は大和市で動物の診療を始めて約30年になりますが、今までで多頭飼育崩壊の相談を受けたことは一度もありませんでした。そこで先日、神奈川県獣医師会相模支部の会員にこの相談を直接受けたことがあるかというアンケートを取りましたところ、その場にいた15人中1人の獣医師だけが経験していました。このアンケートからは、多頭飼育崩壊が起きてしまう飼い主さんはなかなか動物病院には来院されないことがわかります。
一方で獣医師でも神奈川県の職員として行政にかかわる獣医師からは多頭飼育崩壊に関する生の声を多数聞いております。先ほどの経験をした1人の獣医師にそのときの状況を聞いてみました。 そこの家庭では犬が自家繁殖をしてしまい、結果的に30頭くらいになってしまったそうです。3人の家族はその自宅を出て近所の貸屋で暮らすようになりました。世話をするために毎日通いましたが、頭数が増えすぎてしまうと食事を与えるだけで手一杯になり、下(しも)の世話や健康管理まで手が回らなくなってしまいました。その中の1頭が夜間に遠吠をするようになったことで近所から苦情が出て、多頭飼育崩壊に至ったようです。
今後、多頭飼育崩壊を未然に防いでいくために私たち開業獣医師が役立てることは、繁殖を防ぐための去勢避妊手術を担当することです。猫の多頭飼育崩壊が起こる一つのきっかけとして、庭に来ている地域猫に餌をあげ始めたところ、そのまま家に入るようになり、やがてオスメスが入ってきたときにどんどん増えてしまうケースがあります。動物愛護センターでは、このような飼い主のいない猫に対する去勢避妊手術支援事業を行ってきました。神奈川県獣医師会もこの事業に協力する体制が整えられ、申請した会員の病院でも手術が受けられるようになりましたので、積極的に参加していきたいと思っております。
最後になりますが毎年、日本各地で災害が起きておりますので、ペットを飼育するときにはもしも災害が起きたときに何頭までならその子たちを守ってあげられるかを考慮して、さらに個体確認のためのマイクロチップ装着など愛情と共に責任を持って飼うことが必要だと思います。以上です。
進行 松本様
関水さんありがとうございました。それでは知事お二人の発言を踏まえまして、ご感想、コメントをお願いいたします。
知事
はい、ありがとうございます。奥田先生の福祉の中に位置付けなきゃいけないというのは非常に重い言葉だなという風に思いましたね。確かにそうですよね、ペットの話というよりも、やっぱり人間のほうに問題があるわけでしょうけどね。これ今どうなってるんでしたっけね。多頭飼育崩壊が起きてる現場があって、そこに近所の人からクレームが来たりなんかして、それを改善に行きますよね。あれ改善に行くときっていうのは誰の権限で、どういうプロセスで行くようになるんでしたっけ? 奥田さん、お願いします。
奥田様
はい、僕らの場合は福祉職の方から相談があることが多いんですけれども、特に権限があって行ってるわけではなく、相談というかサポートに行ってます。相談支援に行ってます。なのでその現場に行って、多頭飼育崩壊起こす方って、「どうにかしろ」って行政から言われてるから、行政の人間が行くと支援拒否っていう場合があるんですよ。なので僕らがまず多頭飼育だと「もうフードないでしょ」って言ってフードを持って行って、そうすると向こうは経済的に困っているからフードほしいんですよね。で、フードを持って行くっていうことを通じて、その人とのコミュニケーションをはかったうえで「中見せてもらえる?」って言って、中見たらやっぱりバーっているみたいなそんな状況ですね。なので僕ら何の権限もなくて、本人さんがOKしてくれないと手術もできないんですよ。っていうような状態なので、そこらへん、動物愛護管理法が今後改正されて、緊急保護みたいなものができてくるかもしれないって話はあるんですけれども、今のところは本人さんの所有物なので、その方が支援を拒否されたら一切踏み込めないっていう状況ではあります。
知事
ということはその解決する、なんか仕組みはちゃんとできてないような感じでもありますよね。
奥田様
そうですね。ただほとんどというか渡りに船なところもあるので、向こうもそんな手術が嫌じゃなければ割と応じてくれるので、あとはその予算とかをうちだったら助成金とかで引っ張ってきてるんですけれども、一般のボランティアさんがそこに介入しようと思っても、やっぱり30頭手術しようとすると少なくとも30万とか40万とかかかってくるので、その費用をどうすんのっていうところは、やはり行政のほうで何か工面しなきゃいけないのかなと思います。
知事
それ前に確かそういう話聞いたことあると思うんだけど、その多頭飼育の現場に入ってそれを連れ出そうとすると、「それ私の猫なんだ」って言って、勝手に持っていくなみたいなことを言われたときにどうするんですかね。
奥田様
だから、うちの場合は手放すっていう意思がない場合は、手放さなくて手術だけして返します。で、手術だけして返すんですけど、手術すれば一応増えないので、増えないうえで動物の福祉をどう確保するかってなったときに、できれば数は減らしたいんですけども、その環境の中でよりいい状態で飼育できるように栄養状態を向上させたりとか、あるいは隠れ家だったりとかトイレの状況をこっちから何か物を渡して良くしたりとかすることによって、まぁ決していい状態じゃないんですけど、動物の福祉はマシになるので、本人が手放さないってなったときには手術の支援やその人が適切に飼える支援っていうことのほうをやっています。
知事
これ、なんか解決するためにもっとシステマティックに法律の整備が必要だとかなんかそういうところがあるんですかね。
奥田様
そうですね、やはりいろんな条例であるんですけど神奈川県どうなんですかね? 10頭以上は報告が必要みたいなのっていうのがあったりすると思うんですけど、そこのもうちょっと強制力があってもいいのかなっていう風に思います。頭数の制限っていうものに対する強制力があれば、10頭なり5頭なり6頭までは飼っていいけど、それ以上はちょっと数減らさなきゃいけないよって強制力はあっていいと思いますね。
知事
松永さん、そのあたり神奈川県はどうなってるんでしたっけ? 何頭までは報告しなきゃいないとかなんかあるんでしたっけ?
松永様
そうですね、同じようにやはり10頭を境にしています。10頭をもっと厳しくすればという話もありますけども、やっぱり生まれたときにそれだけの個数が生まれたら、すぐ10頭になってしまうですとかそういうこともあったりして、なかなかそのじゃあ多頭飼育の人たちがきちんと届け出ていただけるかというと、なかなか多くの方は届出をされない方が多いというところもありますので、そのあたりもですね、なかなかちょっと強制をするというところは難しいところがあるのかなという風に考えています。ただ実際、神奈川でも届出をしていただいているところについては、定期的に様子を見て回ってですね、「困ったことないか」ですとかアドバイスをさせていただいたりということはしているところです。
知事
さっき松永さんね、多いときは猫が250頭ぐらいいたって言ってましたけど、それは要するに本人はもう手放したってことに同意してるんですかね。「手放してなくてたまたま預けてるんだ」みたいなことを言う人はいるんですかね。
松永様
そのときはさすがにみな同意をしていただいてですね、ボランティアさんに入っていただいたんですけども、同意をしていただいたうえでこちらのほうに引き上げたということですね。やはりその所有権の問題ってのは非常に大きくて、その飼い主さんによって、ボランティアさんに信頼を置くのか、行政に信頼を置くのか、あるいは福祉の方々に信頼置くのかというところがありますので、そのあたりはその相手さまによってですね、調整をさせていただくというところでございます。
知事
本当難しい問題ですね。
松本さんにお返しします。ありがとうございます。
進行 松本様
はい、ありがとうございました。
では、次のパートに移ります。ここでは終生飼養に向けた課題そして今後の提案についての意見交換です。終生飼養と一言で言うと動物がそのいのちを終えるまで適切に飼うこと。当たり前なんだけれどもとても難しいかもしれないです。
それではまずは飼い主の方のお話を聞いていきたいと思います。神奈川県動物愛護センターから犬を譲渡されました柿澤さんです。犬を譲渡で飼おうと思ったきっかけそして実際に飼ってみて感じる責任や課題をお話しください。お願いします。
柿澤様
はい、保護犬を迎えようとした理由なんですけれども、情報番組だったりとか動物を取り扱った番組で保護犬だったりとか、その保護団体っていうのを知りました。で、私たちにも何かその一つのいのちが救えたらなっていう思いで迎え入れたというかたちになります。8年前に飼っていたワンちゃんが亡くなって、次に飼うなら保護犬がいいねっていうことを妻と時折、話していまして、昨年神奈川県動物愛護センター様のホームページを見て気になるワンちゃんがいたので、今年の1月に見学に行かせていただいて、その後4月に面談をして5月に譲渡が決まりました。5月に譲渡していただいたワンちゃんは手はかからず、特にしつけをする必要がありませんでした。しかし、譲渡していただいて1カ月半が過ぎた頃に体調が悪くなってしまって、かかりつけの動物病院で検査手術をしたら悪性リンパ腫と診断されました。譲渡していただいて、早めに動物病院で健康診断をしてそのときは問題はありませんでした。獣医師さんも稀なケースだとおっしゃっておりました。その後、投薬治療、強制給餌などできる限りのことはしましたが、病名診断から1カ月半後に亡くなってしまいました。治療に関しては飼い主の判断に委ねられ、私たちの判断は治療をできるだけ望むという方向で、できる限りお世話をするという判断をしました。亡くなってしまったことは悲しく残念なんですけれども、治療については後悔なくできたと思っております。
で、9月に譲渡していただいたワンちゃんなんですけれども、2歳のときに飼育放棄というかたちで神奈川県動物愛護センター様に保護されました。譲渡していただく際に愛護センターの獣医師さんからはお散歩の引っ張り癖、咬み癖などドッグトレーナーのしつけをされたほうがいいという助言も受けました。特にお散歩は毎日のことですし、他のワンちゃんや人に迷惑があってはならないので、譲渡初日にお散歩の状況を見て、すぐにドッグトレーナーさんをお願いしました。現在もトレーニング中でだいぶそれは改善されております。これまでワンちゃん7頭飼ってきたんですけれども、しつけを意識したことがなくて、現在のワンちゃんが初めてしつけと向き合っております。ワンちゃんと一緒に暮らしていくには、よく観察し、コミュニケーションを取ることはとても重要だと感じております。
責任についてなんですけれども、またしつけのお話にもなってしまいますけども、人がワンちゃんを傷つけてもいけないですし、ワンちゃんが人を傷つけてもいけないと思ってます。可愛気があるだけでなくて、してはいけないことはしっかり叱って、家族にお迎えする以上は最後まで責任を持ってお世話をすることが重要だと思ってます。
最後に今後の課題なんですけれども、今後は保護動物を減らす取組みが必要ではないかなと思ってます。現在殺処分ゼロの神奈川県なんですけれども、将来的に結構難しいこととは思うんですけども、保護動物ゼロを目指して動物に明るい未来が訪れたら素晴らしいかと思っております。以上でございます。
進行 松本様
たくさんの経験をされている柿澤さんありがとうございました。本当に保護動物ゼロになったらなって私も願っております。
続きまして、生まれたときから複数の猫がいる暮らしだという古野さんお願いします。猫を見送った経験も含めて実際に飼ってみて感じる責任そして適切に飼ううえでの問題点や課題をどうぞお話しください。
古野様
はい、実際に飼ってみて感じる責任についてなのですが、猫を飼っていて寿命が15年近くと、とても長いんですね。それってやっぱり子どもを一人育てるのと同じぐらいの年月がかかります。私も生まれる前から猫を飼っていて共に成長してきました。そうですね、大体18年近く生きてくれました。それだけの長い年月、猫を飼うビジョンがあるのか、そして責任があるのかっていうところはやっぱりずっと問い続けなければいけないなと思います。
そしてですね、適切に飼ううえでの問題点についてなんですけれども、飼ううえでの大変さをやはり知らない方が世間には多いのかなという風には思います。やっぱり飼ってないので分からないっていう点についてはしょうがないとは思うんですけれども、例えばなんですけれども、賃貸を借りるときに犬はOKだけれども、猫は柱を傷つけてしまうからNGという風におっしゃる大家さんもいらっしゃいます。そういったところでお引っ越し先を探すのが難しいだとか、あとは医療費についてもペット保険等もあるので、そういったところも必ず視野には入れてほしいのですが、やっぱり急に体調を崩すので、本当にいきなりもう数時間後には死んでしまってということもやっぱりあります。そういったところもいつ医療費がかかるかっていうことも準備しておかないといけないのはやっぱりあると思います。あとはですね、あまり知られてないことで言えば、猫を飼ってる頭数プラスもう一つのトイレが必要だと言われていて、例えば私は保護猫2匹飼っているのですが、合計3個のトイレが必要だという計算になります。そうなるとやっぱりリビングのどのスペースに置くのかだとか、人間が生活するうえで匂いはどうなのかとか、そういったところも考えないといけないと思います。あとはやっぱり分かりやすいとこで言えば毛が抜け落ちるのでお洋服に付くだったりだとか、懐きにくい子もいるよとか。あとは旅行に行くのもペットを飼ってるとなかなか難しいよねっていう風に考えることもあるとは思うのですが、今はやっぱり対策をそういったところを考えてできることもいっぱいあるので、例えば旅行に行くということに関しても、ペットホテルに預けて私たちは旅行に行くっていうこともできますし、先ほど奥田さんがおっしゃってたように「犬猫相談ホットライン」そういったものもきちんと利用していけたら、私たちのその大変さっていうのも対策を練って猫ちゃんワンちゃんを飼うこともできるんじゃないかなと思います。以上です。
進行 松本様
古野さんありがとうございました。
終生飼養に向けた課題そして今後の提案、ここからはですね飼い主とペットをサポートする立場の皆さんからもお話を伺っていきたいと思います。
ドッグトレーナーの三井さんです。犬を飼ううえで多い問題、そしてドッグトレーナーとしての提案また現場が抱える課題など是非お話しください。お願いします。
三井様
はい、色々お問い合わせいただくんですけども、子犬の飼い主さんからはですね、トイレとか甘咬みに関する相談が多いです。成犬になると苦手なことがあり吠えてしまうとか触ろうとすると咬まれてしまうとか、あとひどい場合だと攻撃行動でトリミングですとか獣医療が受けられないといったようなお問い合わせもあります。また最近はですね、保護犬を迎える方も多くて新しい環境でどういう風に飼っていけばいいのかという相談もあります。それから毎月伺っている神奈川県の動物愛護センターさんなんですけれども、中にはですね、激しい攻撃行動のためですね、リードが付けられないとか触れないとか病気の治療ができないといった難しい個体もいるのが事実です。相手はやっぱり生き物でロボットではないので、これをすれば絶対に咬みつかなくなるというすぐに良くなるっていう方法がありません。で、改善の兆しが見えないままですね、残念ながら寿命が来てしまうといったケースもあります。
問題の対処法っていうのは、その問題がなぜ起きてるのか原因によって異なるので、ちょっと難しいため割愛させていただきますけれども、やっぱり飼育が難しいのを生み出さない増やさないような終生飼育をね、実現していくためには正しい知識の普及っていうのが課題だという風に考えています。犬が吠えたり咬みついたりする行動ですけれども以前はですね、上下関係を元に語られること多かったんですけれども、現在ではですね上下関係っていうのは迷信で多くの場合、犬が不安ですとか恐怖を感じてそれから身を守るために生じるという風に考えられてます。ですから、不安ですとか恐怖を与えない飼い方、これは飼い主さんのアプローチとか飼育環境の設定についての情報、それから犬自身が不安や恐怖を感じにくくなるようにいろんなものに慣らすっていうことが必要になってきます。この慣らすことっていうのは「社会化」って言うんですけれども、例えば家族以外の人、他の犬とか車などの物とか、それから獣医さんの診察ですとか、トリミングですとかそういった出来事に慣らすことも必要です。社会化が不足しているとですね、些細なことで恐怖や不安を感じてですね、身を守るために吠えたり咬みついたりというようなことが起きてしまいます。この社会化はですね、問題を出なくするための予防のトレーニングなんですね。なのですべての犬に行ってほしい、人間でいうところの義務教育にあたります。こういうのはですね、飼い始めたその日から飼い主さんに行っていただきたいことになってます。こういう情報っていうのが飼い主さんですとか動物を飼いたいっていう方にですね、すべてに行き渡ってるとは言えないのが現状かなという風に思っております。まだまだ現状だとしつけ教室っていうのは問題が出れば通えばいいっていう考え方が主流です。もちろん歳を取ってもですね、ある程度改善可能なんですけれども、やっぱり若いうちから柔軟にしていくってことが大事です。社会化がしっかりできてると問題が生じたとしても対処しやすくなります。それから仮に何かしらの原因で飼い主さんが亡くなってしまったっていう場合でも、よく社会化されていれば新しい家族の元に譲渡をするっていう確率、可能性っていうのも上がってまいりますので、そういったところにも重要かなという風に思います。なのでその子が一生健康にですね、全うする終生飼養のためには社会化っていうのはすごく大事なことになってまいります。僕自身としては終生飼養のためにはですね、規制を強化するっていうよりも、厳しい方向に舵を切るっていうよりも、飼おうと思ってる人とか飼いたいって思ってる人がですね、正しい知識を持って飼うのを時にはやめようっていう風に踏みとどまれるようになるっていうのは大事かなという風に考えております。今でもそういう情報ってないわけじゃないんですけども、ちょっとざっくりしていて、例えば犬には散歩が必要ですとかね、そういうかたちなんですよね。散歩の他にも社会化が必要で、例えばこれとこれとこれに慣らさなきゃいけないですよとかっていうような情報発信がきちんとできるっていうのが大事かなという風に考えてます。こういう情報なんですけれども、飼い主の大人はもちろんなんですけども、子どもの頃から知っていただきたいなという風に思ってます。子どもの頃からですね、犬の飼い方、猫の飼い方っていうのは常識になっていくっていうのが、この先飼育放棄をされてしまう子っていうのを減らしていくっていうことに繋がっていくっていう風に考えています。ですので例えば学校教育に入れていただくということができると長い時間かかると思うんですけれども、お子さんが今日学校で犬の飼い方習ったとか猫の飼い方習って「うちの犬はこういう風に飼ったほうがいいんだって」とかね、そういうことで家族で議論していただけると時間かかるんですけども、いずれはね動物福祉っていうのが常識になっていって、結果的には放棄されるっていう子が減るんじゃないかなという風に考えております。以上です。
進行 松本様
ありがとうございます。他県ではありますが一部の小学校でそういった授業があると聞いていますので、私ももし習っていたら小さいときからそれが体に入ったのかななんて思うと大事な課題だと思いました。ありがとうございました。
では続いて臨床獣医師である関水さんにお願いします。生き物を飼う、いのちを全うさせるうえで起こりうる出来事や飼い主の責任そして困った際にはどうすればいいのか是非ご提案ください。お願いします。
関水様
はい、生き物を飼う、いのちを全うするうえで起こり得る出来事としましては、先ほど柿澤さんが話されたリンパ腫いわゆる癌にかかることもありますし、そのほか私たち人間と同じように体調不良を起こすこともあります。高齢になると足腰が弱り歩行が不自由になったり、認知症になることもあるので介護が必要になります。ときには夜鳴きや徘徊をしてしまい近所から苦情が来ることもあります。
いのちを全うするまで見守っていくことが飼い主の責任となるのですが、生き物を飼うにはそこまでの覚悟が必要だと思います。
また動物病院での治療費がかなり高額になることもあります。それは人間と同じような高度の獣医療を求めると、さまざまな検査を行ったり最新の治療薬を使用するためです。一方で犬や猫の寿命は古野さんが言われるように非常に14、15年長いのですけれども、それを今度人間と比べると5分の1から6分の1と短くもありますので、また体重も人間の何分の1しかありません。なので人と同じような高度医療を行う必要性は必ずしもないと思っております。動物たちに痛みがあって苦しそうだ、つらそうだというときには検査を行い、その原因を特定してから治療に進むことが一般的で、そうすることで適切な治療が行え無駄な治療にならずに済みます。ただその一方で高額な検査は行わずに症状だけを取り除いてあげられるような対処療法も可能です。そうすると診療費はかなり抑えられますので、特にペットを複数飼われているご家庭では動物病院を受診されるときに最初にそのようにお話しいただければと思います。
それから毎日ペットの世話をしていると家を空けられないので、日頃から信頼できる友人やペットシッターと関係を築いておくことも大切になります。いざというときの預け先があると安心です。
次に困った際はどうすれば良いかですが、動物を飼い始めて間もないときには、まずは元の飼育者に相談されるといいいでしょう。飼育を始めて時間が経過してきたら先ほどお話しいただいた三井さんのようなドッグトレーナーに相談されることをお勧めします。そして元気がないなどの何か病気を疑うときにはまず動物病院にご相談ください。その後、長く飼育していく中で治る見込みがない重病になってしまうこともあります。そのときにはペットを苦しみや痛みから解放するために安楽死を選択するかどうかなど、最期まで看取る覚悟を持って飼育することが重要です。
これから飼うことを希望している方々への提案としては、犬も猫もその種類によってさまざまな性格また飼育のしやすさ、しにくさ等がありますのでペットを迎え入れる前に専門家に相談されることをお勧めいたします。以上です。
進行 松本様
関水さんありがとうございました。
では続きまして獣医行動診療科認定医でもある奥田さんに伺います。ペットの問題行動に直面した場合のアドバイスと、少数でも飼育崩壊を起こさないために私たちができることなど是非お話しください。お願いします。
奥田様
はい、よろしくお願いします。まず問題行動に直面したときなんですけど、今まさにちょっとサポートさせていただいている他県の例なんですけど、愛護センターから譲渡した子が飼い主さんを3回咬んでしまって、うち2回入院して1回集中治療室まで入ってるっていう例がありまして、やっぱり犬の攻撃行動は非常に危険なんですよね。人のいのちに関わるっていうことがあって、殺処分ゼロとかですね、譲渡するのが素晴らしいっていうのは外面的にはそうなんですけど、本当にそうなのかって疑っていかないといけないなっていう風には思います。先ほど三井さんからセンターの中でいのちを終える子もいる、リードも付けれない子もいる、医療を受けさせられない子もいるって話もですね、ありましたけれども、殺処分ゼロっていうのは人間が目指してるものであって、本当にそこで飼育されている攻撃行動のある動物、あるいは非常に恐怖心の強い動物が生かされ続けることを望んでいるのかどうかっていうのは、本当に一歩立ち止まって考えなければならない問題じゃないかな。殺処分ゼロっていうのは言葉としては綺麗なんですけれども、その生かされている動物にとっては果たしてそれが苦痛になってくるかもしれません。関水さんが先ほどおっしゃられたとおり、それは医療的な末期癌であるから苦しみがあるから安楽死するっていうのと同じように、自由な行動ができない、特定の場所にずっといなきゃいけない、運動ができない、リードを付けられない、適切な医療を受けさせることができない、そういったものもですね「動物福祉」って言うんですけども、動物の福祉を守れてない状態の一つという風に我々は考えるんですね。なのでその動物の福祉を守る、動物を守るっていうことを前提として考えるのか、それとも殺処分ゼロを続けることを前提として考えるのか、ここはちゃんと政策的な判断が必要なんじゃないかな。だからゼロだけが正義かって言われたらそうじゃない、そういう時代に今も変化してきているんですよっていうことは是非、黒岩知事に知っていただきたいなという風に思ったところでございます。
もう1点ですね、あるのは最期まで飼う、最期までその人が責任を持つっていうのは皆さんの総意だと思うんですけど、反対のこと言っちゃうんですが、これだけ高齢者が増えて身寄りのない方が増えて、そのご家族親族を頼れない方が孤立無縁社会と言われる世の中で、一人の方が最期まで飼うっていうこと自体がどこまで現実的なんですかっていうのは考えなきゃいけないのかなと思います。ちなみに神奈川県のホームページ見ると、65歳を超える方でも譲渡できるけれども相談してくださいねというのと、親族など預け先予定者を記入してくださいねという風に書いてあります。ただそういう方でない方は飼っちゃいけないよっていうこともまだ裏側にはあると思うんですよね。もちろん愛護センターですから、動物がまた飼えなくなるっていうことを一番問題視してる、それはわかるんですけども、動物愛護っていうのは人が動物を可愛がる、人が動物と一緒に暮らすっていうことを支援するっていう側面もあると思うんですね。そうなってくると果たしてこれだけ高齢者の方がいて、身寄りのない方がいる中でどうするのか、我々「ペット後見」っていう取組みをしておりまして、これはですね、そういった頼れる方がない方に対して、我々が保証を提供する、お金とかはいただくんですけれども、飼育費を残していただいてあるいは契約を残していただいて、その方に何かあったら我々が預かりますよと預かって新しい飼い主を探しますよっていうようなねサービス、ペット後見っていうのをさせていただいておりますが、これですね先日、愛知県の大府市さんとペット後見に関する連携協定っていうのを結ばせていただきましたが、神奈川県さんのほうでもこういったですね、ペット後見って新しい概念ではあるんですけれども、一人の人が絶対飼うってことなのか、それとも次に繋ぐための準備をしておくっていうことなのか、そういったところも含めて新たな価値っていうのを考えていく必要があるんじゃないかなという風に思っております。以上でございます。
進行 松本様
ありがとうございました。それでは知事皆さんの発言を踏まえてご感想、コメントをよろしくお願いいたします。
知事
やっぱり当事者の皆さんの生の声ってのは重いものだなとすごく思いますね。非常に考えさせられることがいっぱいありましたね。奥田さんのおっしゃった殺処分ゼロを続けることが本当に一番大事なことなのかっていう問いかけっていうのはハッとするような思いでありましたけど、松永さんそのあたりね、殺処分ゼロを続けてもらってるわけです現場としてね。今の奥田さんのコメントなんかどんな風に受け止めますか?
松永様
はい、私たちが掲げているスローガンっていうのは、「殺処分ゼロからその先へ」という風に、これはもう10年以上前からやっています。ゼロが最終目標ということではなくて、やはりその先へとしているのは当センターの活動をですね、もっともっと理想的なかたちに近づけていきたい、まさに先生おっしゃった動物福祉の観点から、動物行動学を専門とされる先生方ともやはり今後ご助言いただいて進めていきたいと考えています。
痛み苦しみを伴う動物、痛み苦しみの解放だけでなくてですね自由な行動、動物らしい行動というところがやはり大事だというところは今考えているところですので是非ですね、今後またアドバイスをいただければという風に考えております。
知事
終生飼うということですね、その中でも今、人生100歳時代って言ってるわけですね。100歳になっても元気な人たくさん出てくるこの時代において、ただ自分の人生って何歳までかって誰もわかんないわけですよね。だから飼っててその人生のやっぱり最期のところ、やっぱだんだんこう年老いて何歳で亡くなるにしても、だんだんその最期が近づいてくるときに、やっぱりワンちゃん猫ちゃんにそばにいてほしいっていう気持ちが強くなる中で逆に飼えなくなるだろうから、それは引き取りますよっていう話っていうのは実際に動かしてくのはなかなか大変かなっていう気もしますけどどうですかね。皆さんご意見ありますか?
奥田様
一応うちではその取組みを2017年からやっていて引き取るっていう、お金は残してもらいますけどね、事業としてやらせていただいていて。なのでお金がない人に対してサポートできてるわけではないんですけれども、やっぱり必ずしもその契約者さんがすぐに亡くなるわけでは全然なくて、実は契約してても亡くならない人ばっかりなんですよね。ずっと飼えてる人ばっかり。でもそれをやっておかないといざ何かあったときに、結局お金も付かずにその保護団体さんにこう押し付けられちゃうみたいな状況になってしまうので、保護団体さんのほうも、あの愛護センターさんのほうもちょっと困ってしまうということがあるので、民間ベースでいいかなと思うんですけど、なんかそういった取組みがあるんだっていうことを行政も理解して一緒になって何かできるっていうのが、これから開発していかなきゃいけないんじゃないかなという風に思います。
知事
本当にすごく重要な課題だと思いますよね。あの今どうなんですか、例えば一人暮らしのご老人が犬や猫飼ってた。で、ご老人が一人で亡くなってた。残された犬猫はどうですか、愛護センターに行くんですか?
松永様
そうですね、多くの場合警察がやはりそこに入ったりいたしますので、警察が身寄りの云々をお調べして、愛護センターのほうに最終的にはですね、特段身寄りがないということであれば、あとはセンターさんのほうで措置をしてくれということで私たちのほうでですね、新しい飼い主を見つけていくというようなそういったかたちになっていきます。
知事
それとね、やっぱり飼い方の話さっきありましたよね。飼うってのはそう簡単じゃないんだっていうか可愛いからいいっていうもんじゃないんだという。それとても大事なことだと思うけど、その教育現場に入れてくるというのはどんなイメージなのか、具体的なイメージありますかねどなたか。
松永様
はい、学校教育に入れるというところですね、今まさに私たちもですねいわゆる「いのちの教室」ということで、なかなか大々的にまだまだできないんですけども、もうかなりの数をですね、ご依頼があればそこへ行って小学校中学校行ってですね、実際にいのちの大切さというところを共に学んでいくという、自分たちに何ができるだろうということも結構ですね、皆さん考えられていて、いいご意見などもいただいておりますので、なかなかこういった取組みをですねもっともっと今後ですね、広めていきたいなという風には思っています。
知事
神奈川県ではね「いのちの授業」大賞っていうのずっとやってるんですね。ひらがなで書いた「いのち」の授業、これをいろいろやってくださいと、いのちの授業っていったら、もう100万通りのいのちの授業って我々言ってるんだけども、何でも結構です、先生誰でもいいです、だから例えばその自分の家族の闘病体験とかその友達との死別があったとか、それから戦争体験語ってもらってもいいし、森の話をしてもいいし魚の話してもいいし、ペットの話してもいいしっていうようなことで。そして、その中でいのちについて考えるっていう授業をやってもらって、それを生徒さんが自分で作文を書いてですね、それを応募してきてその中でこの大賞を選ぶというね。もう10数年私が知事になってからずっとやってるんですけども、その中にね、この動物愛護についての授業、だから今やっていただいた多分その意味でしょうね、今言っていただいたのはね。ですから古野さんや柿澤さんにしてもね、実際飼ってらっしゃるさっきお話ししたようなことを、いのちの授業で現場行って話してもらいたいと思いますがいかがですか? 話されたいことありますか? 古野さん、柿澤さん。
古野様
直接お話する機会はないのでやっぱり飼ってる身としては深く知っていただきたいなと思うので、そういう機会があったら是非やりたいなとは思います。やっぱり猫好きだけど、どう飼っていいかわからないっていう方が本当に多いと思うので、実際に飼ってみてどうなのかっていう意見は必ず聞いたうえで飼っていただくべきだなと思います。
知事
柿澤さんいかがですか?
柿澤様
そうですね、話すことってのは本当、身内程度なので大々的に講演会だったりとか、そういったとこでは話したことはないですけど、何かそれがきっかけで保護犬飼いたいなとかなんか注目が当たればいいなっていうのは私は思ってますね。
知事
是非ね現場行っていただきたいと思いますね。
あの三井さんね、そのいろんなやっぱりこう癖があったりとか凶暴性があったりとかっていうのって、やっぱり人間と同じようにその歩んできた経験というか体験というかそれがやっぱり影を落としてるんでしょうかね?
三井様
そうですね、やっぱり生き物ですので、今まで学習してきた経験してきたことをなしにするっていうことはできないんですよね。で、どうしても嫌な記憶が蘇って咬んでしまうとか攻撃的になってしまうっていうことはあるので、やはりそういう風に至る前に可能な限り教育をしていくっていうことが大事なことかなっていう風には考えてます。
知事
あれね、テレビのドキュメンタリーとか見たことあるんだけど、猿回しの猿いますよね、あれをどうやって言うこと聞かせるようにするかっていうときに、相当なんていうかきつくがーっと押さえたりとかして、それでなんかお前より俺が絶対強いんだぞっていうのを押さえ付けて言うこと聞かせるようにしていくみたいな、そういうのって犬とか猫にはあるんですか?
三井様
あの今はですね、犬に関しては上下関係っていうのはないっていうことがわかってるんですね。例えば、体罰を用いると逆に関係が悪化するっていうことまでわかっているので、そういう正しい情報ってのが、実はあんまり回ってないっていうのが現状なんですよね。なのでうちに来られる方でも自分がなめられてるとか、力づくでやるんだけどうまくいかないっていうことで相談があるんですけども、そもそもの前提の情報が回っていないので、まったく違うほうに行ってしまってるっていうのがあるかなという風に考えてます。
知事
なるほどね。
関水さん、そのやっぱりそういういろんな子たちがやってきてっていう中で、やっぱりその情報がちゃんと行き届いてないなってこと実感さることありますか?
関水様
そうですね、あの動物病院に来られる方はかなり勉強されて飼育されてる方が多いんですけれども、ただ動物病院を利用されない飼い主さんもたくさんいらっしゃいますので、そういう方にはまだ情報が行き渡ってないという風に思います。
知事
なんかこう聞いてると確かにそうだなって思わされることがたくさんありますね。やっぱりその動物を飼うということは要するにどういうことなのか、何が必要なのか、どんなことを覚悟しなければいけないのかということのやっぱり情報がちゃんと行き届いてないなっていうこと、やっぱりそうであるならば、そういう情報をしっかり届けていくような、なんか仕組みっていうものを作っていくとかね、じゃそれ学校現場でやっていくにはどんな風な、いのちの授業はいのちの授業としてあっても、そういう具体なそういう飼い方みたいな、犬の気持ちってどうなるのかとか、そういうことっていうのはやっぱりみんなで知るような、そういう教育ってのは確かに必要だなっていう風に思いましたね。
それと共にやっぱりこの高齢化、100歳時代っていう中でのやっぱり、その終生飼養という問題っていうのを、そのさっきのね、奥田さんの提案されたペット後見ですか、これは非常に魅力的な話だなと思いましたね。これだからどっかで次に繋ぐためのこう仕組みを作るっていうかね、そういったことなんていうのも、行政としてどんな風にそういうものを取り込んでいけるのかなっていうこと。これもなんか非常に示唆に富むようなお話だったという風に思いますね。
それとやっぱり最初の多頭飼育の問題ですよね。これもやっぱりそのちゃんとした知識がないままにですね、なんかいつの間にか、気がついたら自分であと戻りできないとこまで行ってしまってるというね、こういう問題、ちょっとその問題に最後戻ってちょっと話だけ聞きたいんですけど、なんかこうさっき冒頭言いましたけど、そういう多頭飼育に行かないようにするための何らかのその法的な仕組みとかシステムとか、なんかもっとこうしたほうがいいんじゃないか、みたいなものがもしあればちょっと教えていただきたいと思いますがいかがでしょうか?
奥田様
我々がやってるんですけども、福祉と動物の両方にちゃんと理解のある相談窓口を作ったほうがいいと思うんですよ。両方にまたがってる、その福祉の人はどこに相談していいかわかんないって思ってるし、その飼い主さんは動物のことわかってくれない人に相談できないと思ってるんですよね。で、やはりそこを横断的にそのコーディネートできるような新たな窓口、動物愛護センターは福祉のことは専門ではないので、福祉の専門の中に例えば愛玩動物看護師っていうのが最近国家資格化されたんですよ。そういう資格を持ってる方を福祉のある部局のところに、重層支援あたりですかね、のところにですね職員として配置したり、その下に相談窓口として置いたりとかして、その方が地域に出ていってですね間を取り持つような、そういったですね機関が必要なんではないかという風に思っております。
知事
いやなかなか魅力的な話だと思いますね。私がいのち輝くっていうことを言ってる中で、いつも言うのはいのち輝くために何が大事ですか、医療が充実すればいのち輝きますか、それだけでは輝かないですよね。例えば、食の問題とか農業の問題とか環境の問題とかエネルギーの問題とか街づくりの問題とか、全部がトータルで結びついていないといのちが輝かないですよね。だからそれを繋げていくことが大事なんだ、ところが国で言うと、全部担当する役所が違いますよね。これがダメなんだから県がやることの意味っていうのはそれを繋げていくことが大事だとずっと言ってきたんだけれども、まさにその動物愛護っていう問題と福祉をクロスさせるという、これは非常に重要なポイントだな、しかもそれを教育っていう問題とまた結びつけていくという風なこと、大変たくさん素晴らしい提案、ヒントをいただきました。これしっかりとですね、県としてどう受け止めて施策にしてくるのか、真剣に考えていきたいと思います。ありがとうございました。松本さんどうもありがとうございます最後に。
進行 松本様
ありがとうございます。あの本当に、今まとめていただいたように課題がたくさん出て、そして気付いていなかったこともたくさん私もありまして勉強になりました。本当最後になりますがもう一言、今日の総括で知事、お願いできますでしょうか?
知事
本当に貴重なお時間いただいてご意見いただきました。先ほど私が整理したようにですね、県として行政として何ができるのか、何かできそうなことがいっぱいあるなってことは良くわかりました。ここでしっかりとですね、具体のかたちにしていく作業にね、これから直ちに入りたいと思います。見えないと思いますけど、ここには担当者がみんな聞いておりまして、メモして全部聞いておりますので、しっかりと皆さまのご意見を生かしていきたいと思います。本当にどうもありがとうございました。
進行 松本様
ありがとうございました。それでは進行を県にお戻しします。
神奈川県 情報公開広聴課長
松本さん、進行役を務めていただきましてありがとうございました。本日ご参加の皆さま、貴重なご意見をいただきありがとうございました。またYouTubeでご視聴いただいた皆さまもありがとうございました。本日の様子は神奈川県のホームページに掲載しYouTube動画も配信いたします。またご意見も受け付けておりますので、県のホームページからご意見をお寄せください。それではこれを持ちまして令和6年度第4回『黒岩知事と当事者とのオンライン対話』を終了いたします。皆さまご参加ありがとうございました。
知事
ありがとうございました。
このページの所管所属は政策局 政策部情報公開広聴課です。