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初期公開日:2023年11月21日更新日:2023年12月5日

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児童虐待による死亡事例等調査検証報告書について

2023年11月21日
記者発表資料

県児童相談所が支援中であった児童が亡くなった事例について、「児童虐待による死亡事例等調査検証委員会」が検証を行い、報告書を取りまとめ、神奈川県児童福祉審議会に報告しましたので、お知らせします。

【藤沢市内で発生した施設から家庭引取りになった男児の死亡事例】

令和4年4月に当時2歳であった男児を虐待により死亡させた疑いで、令和5年2月に実母が傷害致死容疑で逮捕、3月に暴行容疑で再逮捕され、同月に起訴された事例。

 

1 指摘事項

(1)家庭引取りの判断について

  • 出生直後から1年8か月という空白の期間が及ぼす愛着形成への影響について、実母の面接等を通して確認、評価する必要があった。
  • 家庭引取りを検討する際、生活の変化など発生し得るリスクを想定し、具体的な対応方法を関係機関で共有する必要があった。

(2)本家庭に対する評価について

  • 実母の生育史等の情報をより詳細に把握し、評価に繋げていく必要があった。
  • 家庭引取りの検討を開始する段階で、養育環境や実母の生活実態について、現状を適切に把握し、継続して確認する必要があった。
  • 本家庭の課題を客観的かつ多面的に判断するため、親子支援チームをはじめとした多職種による評価が必要であった。
  • 調査や評価の結果として懸念すべき内容がある場合は、支援者間で共有し、確認していく必要があった。

(3)家庭引取り後の対応について

  • 養育状況や家族状況の変化を、虐待のリスクとして想定しておく必要があった。
  • 4月1日の乳児院からの連絡を通告と同様に捉え、児童相談所として対応を直ちに判断する必要があった。
  • 家庭引取り前に個別ケース検討会議を実施し、再介入の必要性を判断するための基準や対応手順、各機関の役割を確認する必要があった。
  • 母子を現認できていないことは重篤な事態であり、発熱等の理由があっても感染症対策を講じた上で、アポイント無しによる家庭訪問を実施するなど、児童相談所として本児の安全を確認するため、最大級の努力をする必要があった。

 

2 主な提言

  • 出生直後より分離された場合、母子の愛着形成や関係性を客観的に評価できる技法を用い、慎重に評価することが必要である。
  • 保護者や家庭の評価を行う際、交流時の親子の関係性の評価だけでなく、基本的な養育環境が整えられ、子どもが安心かつ安全な生活を送ることが可能なのか、保護者が適切な養育が可能なのかという基本的な評価を丁寧に行うことが必要である。
  • 子どもに起き得るリスクについて、児童相談所の再介入の必要性を判断するための基準を設け、対応手順や関係機関との役割分担等を確認しておく必要がある。

 

(参考)

 (委員構成)

氏名 分野 役職名
(注記)荒木田 美香子 学識者 川崎市立看護大学 副学長
    小村 陽子 弁護士 神奈川県弁護士会 弁護士

    後藤 彰子

医 師 神奈川県児童福祉審議会委員 小児科医
    山本 恒雄 学識者 社会福祉法人恩賜財団母子愛育会愛育研究所客員研究員

(注記)委員長

 

(開催状況)

  開催日   開催日
第1回 令和5年5月16日(火曜日) 第4回 令和5年8月22日(火曜日)
第2回 令和5年6月20日(火曜日) 第5回 令和5年9月19日(火曜日)
第3回 令和5年7月18日(火曜日) 第6回 令和5年10月17日(火曜日)

 

 

 検証報告書及び概要版については、こちらをご覧ください。

「児童虐待による死亡事例等調査検証報告書について」(県ホームページ)

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/he8/cnt/f531726/kenshouannnai.html

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問合せ先

神奈川県福祉子どもみらい局子どもみらい部子ども家庭課

課長          臼井 電話 045-210-4650

児童養護グループ 小森 電話 045-210-4655

 

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