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更新日:2022年1月14日
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沿岸の岩礁域を磯根、そしてアワビやサザエ、イセエビなど、磯根で漁獲される魚介類を磯根資源といいます。
本県磯根には、ワカメ・コンブの仲間であるアラメ・カジメ・ホンダワラなどの褐藻類やテングサなどの紅藻類が生える「藻場」が形成されています。
特に、アラメやカジメが一面に生える藻場を「海中林」と呼んでいます。これらの海中林は磯根資源の餌や隠れ家として欠かせません。
しかし、近年、台風などにともなう豪雨により、河川から大量の土砂が海に流れ込み、磯根に堆積している状況が見受けられます。
漁業関係者は、こうした状況が磯根資源に悪影響を及ぼすことを心配しています。
特に、平成22年9月に発生した台風9号の大雨により、酒匂川では源流域で大規模な土砂崩れなどが発生したため、長期間に亘って濁ったままになり、河口周辺はもとより数km西の真鶴半島付近までの沿岸部一体に土砂が堆積しました。
さらに、近年はアイゴという藻食性の魚やガンガゼというウニによる食害で海藻が食尽くされてしまう「磯焼け」の発生が県内沿岸地域でも確認され、藻場や磯根資源が大きな危機にさらされています。
相模湾試験場では、「ほうじょう」を使用した潜水調査や、自航式水中カメラ(ROV)による観察で、アワビなどの磯根資源の調査とその生息の場や餌場である藻場の状況を把握しています。
その調査結果を基に、磯やけの状況を把握したり、藻場マップを作成するなど、沿岸環境の保全に向けた貴重なデータを収集・分析しています。
浅瀬海域での潜水も行われるため、「ほうじょう」で船外機船を曳航していき、調査海域で研究員は船外機へ移乗します。
上図はカジメの藻場です。
カジメはコンブの仲間で、アワビやサザエの餌として重要な海藻です。
小田原市周辺では、水深20m前後の深い場所まで、
豊かなカジメの藻場が見られ、カジメの森と呼ばれています。
研究員より
大量の土砂が海に流れ込むと、海水が濁って太陽の光が海底に届かなくなったり、カジメの葉に泥が付着するなどして、光合成を阻害してしまいカジメが育たなくなる心配があります。
また、岩礁に堆積した泥は、生まれたばかりのアワビの幼生の生育を阻害する恐れがあります。
そこで、磯根に堆積する泥の状況や藻場のカジメの様子、アワビの浮遊幼生や稚貝、親貝の状況を把握して、土砂の流入や泥の堆積による影響を調べています。このような活動は、磯根の環境や磯根資源の保全に役立っています。
このページの所管所属は 水産技術センター相模湾試験場です。