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更新日:2024年10月22日
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横浜市の「認定NPO法人多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)」を取材した「かにゃさんぽ」の記事です。
かにゃお
今日は、神奈川県を中心に医療通訳ボランティア活動を行っている「認定NPO法人多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)」さんにお話しを聞くよ! こんにちは、かにゃおです!
(認定NPO法人多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)の入り口)
飯島さん
かにゃお、こんにちは!多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)の事務局の飯島です。よろしくお願いします。
佐藤さん
こんにちは!多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)の副理事長の佐藤です。外国人の方が病院を受診する際に通訳をする、医療通訳ボランティアとして活動しているよ。今日はよろしくお願いします。
かにゃお
お二人ともよろしくだにゃ! 医療通訳ボランティアっていうお仕事があるんだね!へぇ~、病院では難しい言葉がたくさん使われているから、外国人の方にはとっても心強い存在だね!
佐藤さん
そう言ってもらえると嬉しいわ。
かにゃお
それでは、さっそく、多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)の活動について教えてほしいにゃ。
(手前が佐藤さん、奥が飯島さん)
飯島さん
MICかながわでは、主に病院などの医療機関へ医療通訳の派遣を行っていて、医療通訳の養成など人材育成にも力をいれています。ほかに、行政の窓口や児童相談所、家庭裁判所などに一般通訳の派遣もしています。
かにゃお
なるほど~。外国人の方が安心して生活できるようにサポートしているんだね。まずは活動のきっかけを教えてほしいにゃ。
飯島さん
遡って話をすると、1990年頃から日本に住む外国人の方が増えてきて、暮らしていくなかで言葉の問題が多く発生していたの。同時に、外国語を話せる日本人の方が様々な場面でボランティアとして通訳をすることが増えてきたんですね。ただ、ボランティアなので、交通費などの活動にかかる費用を自分で賄わなければならず、続けていくことが大変な状況だったのよ。
かにゃお
うーん。外国人の方は通訳がいないと困ってしまうし、大変だったんだにゃ。
飯島さん
何か制度を作らないとこの先継続できないという状況で、当時、県社会福祉協議会の方が、県内各地の医療機関や団体、当事者の方に声がけをして「外国人医療とことばの問題を考える会」という医療通訳の緩やかなネットワークを作ったんです。同じころ、医療通訳の制度化について、県の国際課も検討を進めていました。そこで私たちが、実際に医療通訳ボランティアを派遣するための団体としてMICかながわを設立したの。設立後には、2003年から県との協働事業として、「医療通訳派遣システム」を開始したのよ。
かにゃお
へぇ~、「医療通訳派遣システム」がどういう仕組みなのか教えてほしいにゃ。
飯島さん
県や県内市町村、医師会などの協力を得て、県内の病院から派遣依頼を受けて、MICかながわのコーディネーターが、医療通訳ボランティアと調整し派遣するというシステムになっています。 今日はもう受付時間が過ぎてしまっていて無人になっているけれど、ここでは、コーディネーターが3人体制で、病院からの派遣依頼の連絡を受けたり、医療通訳ボランティアの派遣の調整などを行っているんです。
(医療通訳の派遣依頼受付や調整を行うブースの様子)
かにゃお
壁にずらーっと病院の名前が載っているね!たくさんの病院に派遣されているんだにゃ。
飯島さん
そうなの。派遣先の病院は、設立当初は6病院だったのが、今は72病院に増えているの。
かにゃお
すごいにゃ。そんなにたくさんの病院に、医療通訳ボランティアはどれくらい派遣されているの?
飯島さん
昨年度は5,068件の派遣実績があったのよ。過去には、2019年度が一番多くて7,000件を超えたのが、2020年度にコロナの影響で2,350件まで減ったのよね。その後徐々に回復してきたんだけど、コロナ禍でオンラインの医療通訳も普及したので、ニーズが減ったわけではないのね。MICかながわの医療通訳は対面で行っていて、医療通訳ボランティアの数にも限りがあるので、5,000件程度であれば持続可能な件数だと考えているわ。
かにゃお
なるほど~。ちなみに、今はいくつの言語に対応しているの?
飯島さん
設立当初は、中国語、スペイン語、ポルトガル語、韓国・朝鮮語、タガログ語の5言語だけだったけど、現在は13言語を扱っているのよ。登録している医療通訳ボランティアは延べ164人になるの。日本人だけでなく外国出身のスタッフも3割以上いて、特にベトナム語の医療通訳ボランティアは7割以上がベトナム語が母語なの。
かにゃお
外国人スタッフの方もそんなに多くいるんだにゃ。
飯島さん
そうなの。それでは、実際に中国語の医療通訳として活動されている佐藤さんにお話しを聞いてみましょうか。
(佐藤さんのお話を熱心に聞くかにゃお)
かにゃお
佐藤さん、よろしくだにゃ!それでは、医療通訳を始めたきっかけを教えてほしいにゃ。
佐藤さん
私は元々台湾出身で来日してから民間企業で働いたり、一般の通訳としても活動していたのね。ただ、30年ほど前に、何か日本の社会の役に立つことができないかと思い、近くの川崎市国際交流協会でボランティア登録を行ったことがきっかけです。その時にも、病院で通訳をしましたが、医療通訳として研修を受けたり知識があったわけではなく、単に日本語と中国語が話せるからという理由で派遣され、通訳自体はできたのですが非常に心細かったのを覚えています。当時はまだ医療通訳というものがちゃんと認識されていなかったんですね。
かにゃお
言葉がわかっても何か問題が起きたり、わからないことがあったときに相談できる人がいないと不安だにゃ。
佐藤さん
そんなときに、神奈川県の「医療通訳派遣システム」が始まるよという情報を教えてもらって、医療通訳の募集に応募して2005年から本格的に医療通訳として活動を始めたんです。
かにゃお
へ~!もう20年近く活動されているということなんだ、すごいにゃ。
佐藤さん
実は、私自身が病院にかかったときに、日本語はわかっても母語が恋しくなったことがあったんですね。その時に初めて、外国語を学んで生活に問題がないと言っても、母語に対する恋しさは折々に出てくるんだろうなと思ったの。その思いが、社会貢献活動を考えたときに医療通訳につながったのかな。
かにゃお
素晴らしいにゃ!元々一般の通訳としても活動をされていたそうだけど、一般の通訳と医療通訳で違いはあるの?
佐藤さん 例えば、ビジネスの通訳では、モノの売り買いをする場合、売り手も買い手もモノのことは詳しく知っているんですね。なので、高く売りたい・安く買いたいといった駆け引きが生まれてくるので、そうしたやり取りの通訳をするんです。 しかし、医療通訳の現場はそういう取引はないですよね。医師であっても、患者であっても私たちが何を見つめているかというと、それは「ひと」なの。ひとくくりに通訳といっても分野によって専門性が違うから、そこは認識しなければいけないの。
かにゃお
なるほど~。医療通訳って難しいにゃ・・・。ところで、活動していて嬉しかったことを教えてほしいにゃ。
佐藤さん
依頼を受けて派遣されるんだけど、その時々で行く場所や通訳をする方もバラバラなのね。例えば、私がある人の妊婦健診に派遣されて通訳をしたからと言って、赤ちゃんに会いたいから1ヶ月健診にも行かせてっていうのはあり得ない話なの。 ただ、一度妊婦健診で通訳をしたママがいたんだけど、偶然赤ちゃんの生後3か月健診でも通訳ができて、息子さんにお会いできたの。また、その後、別の診療科で依頼があって行ったら、今度はそのパパにも会うことができたの。多くの場合、出会いは1回限りなので、そういった偶然がとっても嬉しかったわ。
かにゃお
そんな偶然あるんだにゃ~!あの時のおなかの赤ちゃんとそのパパとママに会えて、感動だにゃ!医療通訳で出会う方とは、一期一会ということだにゃ!
佐藤さん
そうなの。もちろん今話したような嬉しいこともあるけど、大変なこともあるのよ。医療通訳なので、病気になってその後治って元気になっていく方もいれば、そうではなくて人生の最後を一緒に過ごすといった場面もあるので、そういう大変さもあるの。
かにゃお
なるほど。医療通訳と言っても様々な場面があるよね・・・。佐藤さんはもう20年近く経験されているけれど、医療通訳として心掛けていることがあれば教えてほしいにゃ。
佐藤さん
勉強し続ける事かしら。様々な診療科があって初めて通訳する病気も出てくるので、勉強をし続けなければいけません。どんな場面でも依頼に応えられるよう、色んな想定をして日々知識を増やす努力をしています。
かにゃお
日々勉強、見習わないとだにゃ。それでは、これから医療通訳になりたい方へメッセージをお願いできるかにゃ。
佐藤さん
はい、医療通訳は長く続けていても、本当に難しいと思います。単に、病名を機械的に訳せばよいのではなく、医師の素振りや仕草から、言語化されない思いや意図をくみ取って伝えます。当然、医療通訳は中立的な立場なので、医師の話を訳すときには医師の気持ちになって、患者さんの話を訳すときは患者さんの気持ちになって通訳をします。 医療通訳を志す方に伝えたいのは、私たち医療通訳が向き合うのは、決して病気ばかりではなく、患者さんや医師といった「ひと」です。私たちは、意思疎通をサポートする立ち位置だと認識することが大切なの。 大変なことも多いので、必ずしもみんなが医療通訳をやらなきゃいけないとは思いません。人を助けるには色んなやり方があるので、ご自身ができることをやればいいと思います。ただ、医療通訳を勉強したいという気持ちがある方には、私は自分の持っている知識やノウハウを全力でお伝えしていきます。意欲のある方はぜひ一緒に頑張りましょう。
かにゃお
自分にできることをやることが大切ということだね、とっても勉強になりました! 最後にこれからどのように活動していきたいか、教えてほしいにゃ。
佐藤さん
私はこれからも医療通訳としての活動を続けていきたいと思っています。 MICかながわは、県との協働事業で活動しているので、税金が活動の支えになっています。今後、県民の方の税金がこうした医療通訳の活動として有効に活用されていることをより一層発信していきたいと思っています。
飯島さん
MICかながわの「医療通訳派遣システム」は、県内の医療機関や行政が携わり、たくさんの医療機関がお金を出し合って参加していることが特徴でもあります。医療通訳の多くは、派遣費用などは患者さん負担ですが、このシステムでは違います。こうしたシステムのある自治体は多くないので、一人の県民としても誇りに思っています。 最近では、やはり社会情勢などからボランティアができる人が減ってきている点は団体としても課題と感じていますが、外国人の方が増えてニーズは増えているため、毎年、年に一度、医療通訳ボランティアの募集を行っています。今年は終わってしまったのですが、ご興味のある方はホームページを見てみてください。 MICかながわでは外国人の方からのニーズがある限り、医療通訳ボランティアの派遣を今後も続けていきたいと思います。
かにゃお
日本に住む外国人の方が増えているなかで、より一層必要性が高まっていて、大切な取組だと感じたにゃ。医療通訳ボランティアのなり手も減るなかで、ニーズに応えて活動するのは大変なことも多いだろうけど、外国人の方が暮らしやすい世の中になるよう、これからも応援しているにゃ。 飯島さん、佐藤さん、MICかながわの皆さん、今日は、いいお話を聞かせてくれてありがとうにゃ!
飯島さん・佐藤さん
こちらこそありがとうございました!
(MICかながわのみなさんとかにゃお)
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認定NPO法人多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)
ホームページ https://mickanagawa.web.fc2.com/
電話 045-314-3368
FAX 045-342-7918
メール mickanagawa@network.email.ne.jp
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