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更新日:2024年11月5日
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鎌倉市の「認定NPO法人鎌倉あそび基地」を取材した「かにゃさんぽ」の記事です。
かにゃお
今日は鎌倉市内でフリースクールや学童保育を運営されている、「認定NPO法人鎌倉あそび基地」の小林さんと稲井さんにお話を伺うにゃ!おはようございます、かにゃおです!
小林さん・稲井さん
かにゃお、おはよう!
かにゃお
鎌倉あそび基地では、「学童保育ふかふか」と「フリースクールLargo」を運営しているんだよね。活動を始めたきっかけは何かにゃ。
小林さん
以前、「梶原子ども会館」という地域の子どもが自由に遊べる児童館と学童保育を併設した会館を運営していたのですが、継続が難しくなってしまったため、場所を移して、現在の場所で2017年から「学童保育ふかふか」をスタートしました。その後、「フリースクールLargo」をオープンしたのですが、居場所に結びついている不登校の小中学生は僅かで、彼らの居場所作りは急務、という意識があったんです。私の子どもも不登校になった時に、フリースクールのような居場所が見つからず困っていたのですが、不登校傾向にある子どもたちが知的探求に没頭できるような環境を提供してくれる大学のプロジェクトに参加したことで、自信を持てるようになったことがありました。他の子どもたちにも同じような環境を提供できたらという思いが湧いてきた頃に鎌倉あそび基地の水澤代表と出会い、「フリースクールLargo」を始めました。
かにゃお
「フリースクールLargo」と「学童保育ふかふか」は、どんなところが違うのかにゃ?
小林さん
同じ施設内での活動ですが、通っている子どもたちは違います。「フリースクールLargo」は不登校の子どもたちが通う居場所で、穏やかに過ごす子が多いですが、「学童保育ふかふか」は、共働きなどで日中保護者が家庭にいない子どもたちが放課後の居場所として通っています。「学童保育ふかふか」に通う子どもたちは、学校から解放されたエネルギーをそのままぶつけてきますね。
かにゃお
そうなんだね。お二人は、「フリースクールLargo」の運営に携わっているそうだけど、「フリースクールLargo」はどんな場所なのか詳しく教えてほしいにゃ。
小林さん
不登校の子どもたちは、学校に行けないことで傷ついていたり、自信をなくしたりしてしまっている子が多いので、まずはここで過ごしてもらうことで、ありのままでいいんだということを、肌で感じてもらえるような居場所づくりをしています。
(フリースクールLargoで活動されている小林さん、稲井さん)
かにゃお
「フリースクールLargo」は、子どもたちがありのまま、過ごしたいように過ごせる場所なんだね。
小林さん
そうだね。アクティブに過ごしたい子には、興味関心の領域によってプログラムを取り込んだり、子ども発信で学びを組み立てたりもします。例えば、ギターを習いたいという子がいたので、地元のギタリストをお呼びして、ギターの弾き方を教えてもらったことがあります。その子にはすごく刺激的だったようで、自信にも繋がり、それがきっかけで元気になりました。他には、「世界を救う方法が知りたい」という子がいたので、お話してくださる方を呼んで、一緒にディスカッションをするプログラムを行ったり、「お金の話が聞きたい」という子にはファンドレイジングのプログラムを行ったりしたこともあります。
かにゃお
へぇ~、色々なことが学べてすごく面白そうだにゃ!
小林さん
他には、地元のシンガーの方に来ていただいて、英語のワークショップを行ったりしています。英語で歌ったり、料理を作ったり。子どもたちに色々な大人に会ってもらい、自分たちを受け入れてくれる大人がいるということを実感してもらう場にしたいなと思っています。
かにゃお
フリースクールも学校のように時間割にそって授業を受けるのだと思っていたけど、学校とは全然違うんだね。
小林さん
フリースクールといっても個性がいろいろあって、うちは子どもたちの自主性を大切にしています。その他の特徴として、この地域で活動している青空自主保育のグループ出身のスタッフもすごく多くて、稲井さんも経験者ですよね。
稲井さん
そうなんです。青空自主保育は、未就学児の保護者による共同保育、自主保育のことですが、山や公園などの豊かな自然の中で、親が交代で子どもたちを保育したり、保育の運営に携わるんですね。「フリースクールLargo」でも心身の健康を保つことを目的に、自然に触れたり、農作業を体験したりしています。例えば、小田原市にある「あきさわ園」という農園で、毎月1回お手伝いをさせてもらっています。
小林さん
「食」は自分を作る根幹なので、そのことを通じて自然と学びに繋がったら良いなと思っています。農作業はお手伝い程度ですが、見て、感じているのでわかってはいるようで、子どもの力のすごさを常に感じています。
かにゃお
普段の生活で経験できないことができるチャンスがあるのは楽しそうだにゃ。そのうえ、そうした経験を通して子どもたちが成長できるなんてすばらしいことだね。
(鎌倉あそび基地さんより提供/子どもたちの活動の様子)
小林さん
あとは、子どもだけでなく、わが子の将来を不安に思って疲弊したり、苦しんだりしている保護者の方も多いので、大人の理解を深めたり、環境を整備したりすることで、子どもが安心して外に出て、学びに繋がっていく循環も必要です。スタッフも自分の子どもが不登校を経験している人がほとんどなので、自分たちの経験を通じて、必要なことを話し合いながら、今の形になっています。
かにゃお
なるほど、スタッフの皆さんの経験が活かされているんだね。それでは、活動を通して、嬉しかったことはあるかにゃ?
小林さん
日々の活動の中で、前向きな変化や成長が見られた時が嬉しいです。卒業してからイベントの手伝いに来てくれた子がいるのですが、ここで過ごしている時は面倒くさいなという感じで、そういう様子もなかったんですが、徐々にスタッフのことも気にかけてくれるようになり、嬉しかったです。また、別の子の話だと、「”勉強ができる、できない”、”学校に行く、行かない”はあまり重要ではなくて、どう面白く、楽しく今を生きているか、どんな生き方をしているかが大事だっていうことに気が付いた」という風に言ってくれた子がいたんです。その子も過去に不登校で悩んでいたことがあったのですが、自分の人生を自分自身で受けとめて、その個性をポジティブなものに転換させて、今は大学生として、学生生活を謳歌している。そういった様子を見られるというのは、すごく感動しますし、嬉しいですね。
かにゃお
「フリースクールLargo」を卒業した子どもたちのポジティブな変化は、きっとフリースクールが子どもたちにとって居心地のいい居場所になって穏やかに過ごし、色々な体験や学びを通して成長して、自信を取り戻すことができたからなんだろうにゃ!嬉しいことだにゃ!
小林さん
通ってくれている子どもたちが楽しそうにしている瞬間を見られるのは良いですね。明るい表情を見ると、そういう場になれているんだなと感じます。
かにゃお
これまで「フリースクールLargo」の様子を中心に教えてもらったけど、もうひとつ、神奈川県子ども教育支援課と一緒に、不登校児童・生徒とその保護者向け情報のポータルサイト「キミイロ」を制作・運営していると聞いたにゃ。どんなことをやっているのか教えて欲しいにゃ!
小林さん
「キミイロ」の制作・運営を始めたきっかけは、私たちが不登校の子どもの親という当事者だった時に、情報が入りにくく、集約されていればという声があったことです。
稲井さん
情報やネットワークなどの不登校のあらゆる情報をわかりやすく保護者や子どもたちに届けるため、みんなで相談しながらポータルサイトを作っています。例えば、スタッフ自身が自分の子どもの不登校を経験しているので、その時に感じたことを反映させたり、メディアで取り上げられている不登校に関する情報をみんなで選びながら載せています。具体的には、体験談はもちろん、フリースクールやネットワークなど、保護者の立場からどこと繋がることができるかということを細分化して掲載しています。そのサイトを見れば不登校になっている子どもや保護者も勇気付けられるような、不登校で困っている方に寄り添ったサイトを目指しています。不登校になってしまってからこれを知るというよりも、不登校になる前に情報として持っていただくことで、保護者や子どもたちが悩まず、「こういうものがあるからここで相談してみよう」と思ってもらえているのかなと思います。次の道筋が見えるということは、不安材料を減らすことになると思うので、もっと広く周知していけると良いなと思っています。
かにゃお
「キミイロ」で情報が得られると、他にも選択肢があるから大丈夫と思える安心感もあって、心強いね。これからもっと広まるといいにゃ!それでは、今後、挑戦してみたいことも教えて欲しいにゃ。
小林さん
これまで自分たちで行ってきたことを、外向けに発信することを強化していきたいです。あとは、地域との交流をより意識して活動していきたいですね。最近では、その一環として地域食堂もスタートしました。家庭における昼間の食事作りは悩みの種ということもあって、1日でもほっとする時間になっていただけたらいいなという思いで、月1回ではありますが、平日の昼間に地元のシェフをお呼びして開催しています。おいしいと思える喜びをみんなで共有することは、大事なことですよね。
かにゃお
それは素敵なことだにゃ!いつから始めたの?
小林さん
ちょうどこの9月から始まったばかりです。この間は、鎌倉市内の飲食店の方にアジフライを提供していただきました。その日の朝にご自身で釣られたアジをここで揚げてくれて、子どもたちも「おいしい!」と言っていました。「食」を通じて子どもたちの心理的安全性が高まったり、地域の方たちが交わり合う場に子どもたちがいるということは、そのものが社会参画かなと思います。そういった環境に身を置くことで、子どもたちに自分も社会の一員だという思いが生まれていくと良いなと思います。
かにゃお
子どもたちが地域の人と関わることも、立派な社会参画だと思うにゃ!学びの形も色々なんだね。
小林さん
お茶を習った子どもが器に興味を持って陶芸を始める等、どんどん興味が派生していくこともありました。自分も社会の一員だと感じてもらい、安心感や自信が芽生えた先に、自己実現とか活動の意欲が芽生えたらいいなと思います。また、今後、地域の方と連携、コラボレーションしたワークショップも増やしていきたいと考えています。今年度だと鎌倉国宝館や、神奈川県立近代美術館鎌倉別館、鎌倉歴史文化交流館などの学芸員の方などにワークショップを開いていただいたりしています。多様な方々とのコラボレーションを通じて、子どもたちに鎌倉の歴史や文化、世界を感じてもらい、「学びは広くて自由なんだ」いうことを知ってもらいたいですし、それを通じて鎌倉を好きになってもらいたいです。子どもの人権を社会で考えていけるような話も発信できたらいいなと思っています。
(フリースクールLargoに通うお子さんが点てたお茶とかにゃお/プログラムについて案内している予定表)
かにゃお
多様な方々との関わりから繋がりが無限に広がり、可能性もどんどん広がっていくんだなと思ったにゃ!小林さん、稲井さん、今日はお話を聞かせてくれて、ありがとうございました!
小林さん・稲井さん
こちらこそ、ありがとうございました!
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