循環型社会形成推進基本法について
私達は、たくさんの「モノ」に囲まれて暮らしています。
そして、たくさんのモノを使い、たくさんのモノを捨てながら、豊かで便利な暮らしを手に入れてきました。
しかし、この暮らしは、大量の資源やエネルギーを消費し、大量の廃棄物を発生させ、環境に負荷を与えてきました。
これらの問題を解決するためには、モノを大量に生産し、大量に消費し、大量に廃棄する「一方通行の社会」から「循環型社会」に移行していかなければなりません。
「循環型社会形成推進基本法」は、この循環型社会の形成を推進する基本的な枠組みを定めた法律です。
「循環型社会形成推進基本法」は、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的に、循環型社会の形成を推進することを目的としています。
「循環型社会」とは、
- 製品等の消費により排出される廃棄物などが抑制されること(リデュース)
- 循環資源(廃棄物などのうち有用なもの)の循環的な利用(再使用、再生利用及び熱回収)が促進されること(リユース、リサイクル)
- 循環的な利用が行われないものについては適正な処分が確保されること
これら3つの条件が確保されることで、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減された社会のことです。
「循環型社会形成推進基本法」は、「環境基本法」に則り、「循環型社会」の形成に向けた基本原則や、施策の基本的事項の枠組みを示しています。
- 基本原則
循環資源の循環的な利用及び適正な処分にあたり、優先順位が規定されています。循環資源は、この優先順位に従ってより上位の方法で処理されなくてはなりません。
- 発生抑制(リデュース)→循環資源・廃棄物の発生を抑制します
- 再使用(リユース)→循環資源を製品として、あるいは部品などとしてそのまま使います
- 再生利用(マテリアルリサイクル)→循環資源を原材料として使います
- 熱回収(サーマルリサイクル)→循環資源を燃焼し、その熱を利用します
- 適正処分→環境への負荷が低減されるよう適正に処分します
- 個別法
「循環型社会形成推進基本法」に基づき、「廃棄物処理法」「資源有効利用促進法」「小型家電リサイクル法」「容器包装リサイクル法」「自動車リサイクル法」「建設リサイクル法」「家電リサイクル法」「食品リサイクル法」「グリーン購入法」の個別法が制定されており、それぞれが機能することで、適正に循環型社会の形成が推進されることを目指しています。
図出典:資源循環ハンドブック(経済産業省)
「循環型社会形成推進基本法」では、「排出者責任」と「拡大生産者責任」を明らかにし、各主体への責務と役割を示しています。
国民は、
- 製品をなるべく長く使用すること。
- 再生品を使用すること。
- 循環資源が分別回収されるよう協力すること
- 以上の取組により廃棄物の発生抑制や循環的な利用の促進に努めること。
- 廃棄物の適正な処分について、行政(国、県、市町村)の取組に協力すること。
が求められています。
事業者は、
- 原材料などが事業活動において廃棄物になることを抑制すること。
- 事業活動において発生した循環資源は、自ら適正に循環的に利用する、あるいは、適正な循環的利用が行われるよう対策を講じること。
- 循環的な利用が行われない循環資源については自らの責任で適正に処分すること。
- 製品、容器等の製造・販売に当たっては、耐久性の向上や修理の実施、再生利用・適正処分が行いやすいようにするとともに、適正に循環的な利用を行うこと。
- 循環型社会の形成に自ら努めるとともに、行政(国、県、市町村)の取組に協力すること。
が求められています。
行政(都道府県・市町村)は、
- 「循環型社会形成推進基本法」の基本原則にのっとり、循環資源の適正な循環的利用や処分が行われるよう必要な取組を行うこと。
- 国との役割分担のもと、各地域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、実施すること。
が求められています。