ホーム > くらし・安全・環境 > 生活と自然環境の保全と改善 > 開発規制・生活環境の保全 > かながわの水源環境の保全・再生をめざして > 水源環境保全・再生かながわ県民会議の概要 > 第8回水源環境保全・再生かながわ県民会議 審議結果
更新日:2020年7月29日
ここから本文です。
次の審議会等を下記のとおり開催した。
第8回水環境保全・再生かながわ県民会議
平成21年3月27日(金曜日)18時00分から20時20分
神奈川県本庁舎 3階大会議場
金澤 史男【座長】、新堀 豊彦【副座長】
淺枝 隆、天内 康夫、天野 望、石村 黄仁、片山 幸男、久保田 英賢、久保田 政宏(代理出席)、倉橋 満知子、瀬戸 孝夫、高橋 弘二、高橋 二三代、田中 充、沼尾 波子、蓮場 良之、長谷川 朝惠、福江 裕幸、牧島 信一、真覚 邦彦、増田 清美、柳川 三郎、吉村 妙子
平成21年5月29日(金曜日) 18時00分
緑政課水源環境調整班、担当者名 志澤、長谷川
電話番号 045-210-4324
(事務局)
定刻となりました。現在の委員出席状況について報告します。委員総数30名のうち、本日6名欠席のため、24名の出席を予定しています。なお、現在、5名の委員から遅刻の連絡を受けています。
水源環境保全・再生かながわ県民会議設置要綱第5条に基づき、会議開催の定数について過半数と規定しており、現時点で過半数を満たしております。
なお、本日の傍聴は9人です。それでは、金澤座長、よろしくお願いいたします。
(金澤座長)
皆さん、こんばんは。お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
早いもので、一昨年、水源環境保全・再生かながわ県民会議が発足して、2年間の任期である3月末が近づいています。この県民会議は2年間に本日で第8回となり、第1期県民会議としては最後の会議になると思います。
2年間の活動を総括する意味で、これまで点検結果報告書をここでまとめ上げて、ご承認いただき、知事に手渡すという大事な仕事が残されております。時間も限られているので、議事進行にご協力いただければと思います。
議事に入る前に、事務局からご挨拶があります。
(黒川政策部長)
政策部長の黒川です。本日は年度末の大変お忙しい中、また夜の会議にも関わらず、県民会議に多数の方々にご出席いただき、ありがとうございます。
今、座長からもお話がございましたが、今回で8回目となり、この2年間、県民会議本体での議論だけでなくて、専門委員会での議論、そして現場へのモニターの活動、そしてフォーラムの開催など、いろいろな場面で精力的に活動していただき、ありがとうございます。
また、2月に第6回県民フォーラムを開催していただいた時にも、知事も出席して、ご挨拶させていただきました。その時に、他県からも多くの皆様方がご参加いただきまして、次期の計画に向けての貴重なご意見も頂き、大変有意義なフォーラムを行っていただいたと心より感謝している次第です。
本日は、その第6回県民フォーラムの意見の報告書、あるいは県民会議での2年間の総括として点検結果報告書を頂けると伺っています。
知事も19時頃になりますが出席して、県民会議の皆様から直接報告を受けたいとのことですので、よろしくお願いします。その際、知事からぜひ2年間の活動に対して、お礼も申し上げたいとのことですので、よろしくお願いします。ただ、大変恐縮ですが、知事は所用のため途中で退出しますが、最後まで活発なご議論をしていただき、実りある会議となるようお願いして、冒頭のご挨拶とさせていただきます。
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
(金澤座長)
それでは、議事に入りたいと思います。
議題1については、点検結果報告書の検討結果を報告していただくべき施策調査専門委員会の田中委員長が若干遅れますので、議題2「第6回水源環境保全・再生かながわ県民フォーラム意見報告書」等について、先に進めたいと思います。
第6回県民フォーラムについては、まず私から簡単に報告して、その後、第6回県民フォーラム意見報告書の内容について、取りまとめの経緯等も含めて、事務局からご説明いただきたいと思います。資料は、事前配布された資料3「第6回水源環境保全・再生かながわ県民フォーラム意見報告書(案)」と本日配布された「ニュースレターしずくちゃん便り11号」をご覧ください。
2月11日の祝日に、相模原市のJR橋本駅近くの「杜のホールはしもと」を会場に開催しました。参加者は延べ326名、意見数は88件ということで、これまでのフォーラムで最高でした。
ニュースレター1頁の下段に「地域別県民フォーラムに寄せられた意見のまとめ」があります。平成19年10月23日に山北町で開催された第1回県西地域は、参加者250名でした。それ以降、第4回まで減ってしまいましたが、地域それぞれの状況がある中での数字だと思います。横浜市で開催した第5回が91名、今回の第6回が326名で、多くの方に参加していただきました。
地域別県民フォーラムとして、過去5回、その地域の県民会議の公募委員が中心になって企画・実施していただきました。これで一応終わりと事務局も考えていましたが、総括のフォーラムを、全国から呼んで開催するという私の思いもあり、お願いしました。これ以上公募委員の方にご苦労をかけては申しわけないので、座長、副座長、2つの専門委員会の委員長が、みずから汗を流そうということで企画した経緯がございます。
ニュースレター2頁に掲載されているように、冒頭に松沢知事、それから横内山梨県知事、加山相模原市長の3名に壇上に並んでいただき、水源地域における水源環境保全・再生に関して、若干討論のようなことをしていただきました。恐らく、このテーマで、当該の自治体の首長が3人並んで議論する機会は初めてだったと思います。
神奈川県は、皆さんご存じのとおりの取組みがされていることを松沢知事からご紹介があり、山梨県知事からも、やはり独自の取組みを強化しているという話があり、加山相模原市長からは、旧津久井郡の水源地域を持つ相模原市は、水源環境保全・再生に取り組んでいかなければならないという話がされ、どの方からも県・市、それから県域、県境を越えて連携していく必要性が述べられました。それから、基調講演は、私が若干の問題提起をしております。
分科会については、3つの分科会を設けました。第1分科会は「県民参加の施策展開をめざして」をテーマとしました。水源環境保全や森林環境保全を目的とする新税の導入が30県に広がっていますが、その税制措置は3年ないし5年であり、高知県をはじめ、次々と第2ステージに移っています。その見直しをどのように行っていくのか、第2ステージに向けてどのような問題点・課題があるのかについて、話がされました。
ニュースレター3頁に書いてあるように、見直しのポイントは、県民参加の事業評価と地球温暖化対策ということです。地球温暖化対策に関しては、国の国際公約の中でCO2の排出、吸収源対策として森林整備が非常に進んでいる中で、国の事業に協力していくという側面と、県が独自に森林整備をしていくという側面をどのように調和していくのか、そのようなことが大きな課題になっていくということです。
第2分科会は、「森林・水源環境保全・再生におけるNPOの役割を考える」をテーマに、「NPOの多様性を確保し、自立を支援する仕組みづくりを」ということが議論されました。
第3分科会は、「森林・水源環境保全・再生に向けて今求められる施策は何か」をテーマに、自然科学の研究者を中心に、今、水源環境保全・再生のために、どのような知見が最先端なのかという話がされて、コーディネーターの木平先生から、わかりやすい情報、順応的計画、そして総合的な管理がキーワードだというまとめの話がございました。
ニュースレター4頁をご覧ください。全体会では、自然塾丹沢ドン会の理事の片桐さん、東北大学の中静教授、京都大学の諸富准教授に話をいただき、今後の課題について有意義な議論がされました。最後に、県民会議の新堀副座長から、2年間の総括的な話がされました。
私自身の感想として、全国から多くの方が参加していただいたことについて、例えば東北大学の中静先生は、森林保全の分野で非常に著名な方ですが、「今まで神奈川県の取組みをよく知らなかったが、もっと全国にこれを広めたらいいだろう」という話を頂きましたので、全国に広めていくという点でも、意義があったのではないかと思います。
ただ、神奈川県で活躍されているNPOの方々の活動を発表できる場が、もう少しあれば良かったのではないかという私自身の反省がございました。以上です。
続けて、事務局から、報告書の作成の経緯と内容のポイントをお願いします。
(事務局)
資料3をご覧ください。過去5回の県民フォーラムについては、第1回から第3回までの分と、第4回から第5回の分について、それぞれまとめて、座長から知事にご報告いただいています。それを踏まえて、同じ形で第6回県民フォーラムの意見について、資料3にあるように、知事に対して報告を行っていただきます。
次頁に、「第6回県民フォーラム意見報告書」の概要として、これも過去5回と同様に、企画・実施した委員に意見を求めて、その中で重要と思われる意見について、抽出しました。
ただ、少し異なるのが、意見88件のうち51件が県などへの意見ですが、分科会においてはパネリストに対する意見が結構あり、それを今後どのように扱うべきか、またご相談させていただきます。県などに対する意見の抽出については、「森林の保全・再生事業に関すること」として、人材の確保、林業の経済性の創出、間伐材の利用促進、私有林の販売権や土地の公有化の検討などを重要な意見として挙げております。
以下、ポイントを挙げ、概要としてまとめさせていただいています。
全体の意見についても添付し、報告書の形にまとめました。
(金澤座長)
ありがとうございました。新堀副座長、県民フォーラムについて、補足する点や感想等いかがですか。
(新堀副座長)
私は、NPOに関する第2分科会に入っていたので、全部の分科会を見ていませんが、先程、金澤座長が発言されたように、若干地元の意見が反映されていなかったという感想を持ちました。地域の方がもう少し発言する機会があった方が良かったと思います。
それから、山梨県知事に来ていただいたことは大変効果的であったと思いますが、やはり今後は山梨県側との問題が非常に大きなポイントになると思います。県を挙げて、山梨との接触を進めていただかないと困ると思います。
なぜならば、実は昨日、山梨県の人たちと会議をする機会がありました。特に山梨県都留郡の人から、下水道を整備することは良いことだが、負担が重くなるから、引っ張るのも嫌だという意見が出ました。水源地域である都留の水は、ほとんど全部桂川を経て相模川に来ているので、垂れ流し状態がかなり起こっているということを、図らずも直接その地域の人から聞きました。
したがって、今後、その山梨県側の対策をしなければ、いくら相模原の方に対策をしても、上流から垂れ流しが入ってきて、どうしようもないという感じを強く持ちました。今回のフォーラムの延長線上として、やはり山梨県側との関係を相当に強めていく必要があると思いました。
つまり、森林の問題だけではなくて、その下水処理の問題に、重点を置いて考えなければならないと思っております。これは、山梨県民に対する山梨県側のPRもきちんとしなければならないと思っていますし、その点については、今後の3年間の大きな課題の1つになり、さらに5年後の山梨県との取組みについて、大きなポイントになってくると感じました。
(金澤座長)
ありがとうございました。他に、ご参加された方や準備の過程で関与された方で、ご意見があればお願いします。よろしいですか。
それでは、今、事務局から説明のあった「第6回県民フォーラム意見報告書」を、後ほど知事に対して、直接この場で手渡したいと思います。ありがとうございました。
ここで、施策調査専門委員会の田中委員長が到着されたので、議題1に戻りたいと思います。資料1「かながわ水源環境保全・再生の取組の現状と課題」、副題「水源環境保全税による特別対策事業の点検結果報告書」(案)をご覧ください。これの内容と経緯について、田中委員長から報告していただきます。よろしくお願いします。
(田中委員長)
資料1をご覧ください。この資料1の点検結果報告書は、後程、金澤座長から知事に対して、渡していただく予定になっています。
まず、この点検結果報告書の概要があり、別紙2として「12の特別対策事業の総括(まとめ)」が添付されています。実行5か年計画に位置付けられ、水源環境保全税を財源とする12の特別対策事業について、それぞれ点検結果報告書の本編において、点検・整理しています。その中で、県民会議として、各事業について総括的な評価・コメントをしてはどうかという意見があり、金澤座長とも相談した結果、やはりこのような総括的な評価・コメントを付けた方が全体のまとめとして良いということで、各事業について、このような数行ないし十数行のコメントをいたしました。これを概要として、取りまとめております。
次に、点検結果報告書の本編です。最初は、点検表(仮称)でしたが、金澤座長とも相談して、「かながわ水源環境保全・再生の取組の現状と課題」というタイトルにしました。ただ、ここで取り扱うべき対象は、あくまで水源環境保全税に係る特別対策事業についての点検結果であるということで、副題に「水源環境保全税による特別対策事業の点検結果報告書」としております。
全体の構成としては、第1部が総論として、この点検結果報告書の意義や概要やその見方などをまとめています。第2部が、12の特別対策事業それぞれについて、細かく事業の進捗状況や事業の成果を点検・評価しております。
「はじめに」においては、この点検結果報告書の意義・趣旨をまとめています。そもそも、私たち県民会議が、なぜこのようなことをするのか。これは、水源環境保全税という新しい取組みが始まり2年が経過した中で、その内容や成果を知事にも報告し、県民にも情報提供する役割を私たちが担うという所掌事項ともあわせて、このようなものを取りまとめました
それから、「点検・評価の方法」を説明しています。量的指標(アウトプット)つまり事業がどこまで進捗したかという評価と、質的指標(アウトカム)つまり、その結果や成果として、何が実現・達成できたか、そのようなものをまとめるということです。
併せて、事業モニターや県民フォーラムなどからも頂いたご意見も反映しており、多面的な評価を行うという趣旨です。
「今後の点検・評価の方向性」をご覧ください。今回は県民会議委員の任期第1期が、平成20年度で終了するため、総括の意味で、この点検結果報告書です。19年度事業の実績評価を中心にしていますが、可能な限り20年度の実績も入れて、あわせて評価をしました。正確には、20年度以降の事業については、今後21年度以降、事業の実績が確定するので、その後県民会議としては、さらに追加的に報告・点検をして取りまとめていく、そして、将来はこのような水源環境保全・再生施策全体を、水源環境保全税の特別対策事業のみならず、「神奈川の水源環境白書」というものにまとめていく、このような方向性を考えています。
これが、取りまとめに当たっての考え方です。あと内容について、ご紹介したいと思います。
第2部「各事業の点検結果」は「1 水源の森林づくり事業」から始まります。「1 ねらい」、「2 目標」、「3 事業内容」、「4 事業費」を5か年計画から転記しています。「3 事業内容」については、図表も含めて整理しています。
「5 事業実施状況」「6 5か年計画進捗状況」「7 予算執行状況」は19年度の実績と20年度の計画を記載しています。それに基づき、「8 事業進捗状況から見た評価」において、A、B、C、Dの4ランクで評価しています。果たしてこれが適切かというご議論もありましたが、一応目標以上に推進している場合をAとしてランク分けをしました。
「9 モニタリング調査実施状況」や「10 モニタリング調査結果に基づく評価」として、モニタリング調査をした結果、どういう成果や結果が得られたか、また、その評価をまとめています。
さらに、県民会議の意見の取りまとめとして「11 県民会議事業モニター結果」、これは事業モニターチームがそれぞれの現場に行き、モニターした結果を意見とともにまとめています。「12 県民フォーラムにおける県民意見」についても、水源の森林づくり事業のご意見を受けていますので、ここに取りまとめています。
従来はここまででしたが、新たに「13 総括」を追加しました。これは各特別対策事業について、それぞれの全体的な取りまとめ、総括・コメントを追加しました。
例えば、この内容ですが、9年度から着手した水源の森林づくり事業は水源環境保全税の導入によって、間伐等の適切な管理、整備の取り組みが充実・強化され、この結果として、公益的機能の高い森づくりが計画どおり着実に進んでいると。これは当初の5か年計画どおり進んできたということです。今後も円滑に進めるためには、人材の養成が大変に重要であり、森林整備の担い手対策を早急に行うべきであると指摘しています。これは、「森林塾」の形で結実しています。
また、現在の事業の対象は私有林ですが、国有林や県有林と連携した森林整備も必要であると課題を提起しております。
このように、以下「2 丹沢大山の保全・再生対策」「3 渓畔林整備事業」「4 間伐材の搬出促進」「5 地域水源林整備の支援」の森林事業についても、このような形でまとめ、それぞれ最後に総括的コメントをまとめています。
それから「6 河川・水路における自然浄化対策の推進」「7 地下水保全対策の推進」「8 県内ダム集水域における公共下水道の整備促進」「9 県内ダム集水域における合併処理浄化槽の整備促進」など水の事業についても、同様な形でまとめています。
調査関係の「10 相模川水系流域環境共同調査」と「11 水環境モニタリング調査の実施」についてまとめています。
最後に「12 県民参加による水源環境保全・再生のための新たな仕組みづくり」として、これは県民会議や県民フォーラム、また、市民事業支援など県民参加により行う内容を成果としてまとめています。特に「事業の進捗状況から見た評価」として、具体的に、県民会議、施策調査専門委員会、市民事業等審査専門委員会、県民フォーラム、事業モニターチーム、コミュニケーションチームについて、活動をまとめています。
以上が12の各事業の概要であり、次に「12の特別対策事業の総括(まとめ)」において、それぞれの事業についてコメントをまとめております。これは、それぞれ各事業において記載した「13 総括」を再掲しているものであり、内容は同じです。
各事業について、ポイントを説明します。「1 水源の森林づくり事業」は、先程説明したとおり、人材の養成・確保と、それから県有林や国有林との連携を課題として指摘しています。
「2 丹沢大山の保全・再生対策」については、予定より前倒しで、事業に着手することができた点を評価しています。ただ、モニタリング調査を継続して、植生回復や土壌保全の効果を科学的に検証することが必要であることや、ブナ林等の調査研究あるいはシカ管理の問題についても指摘しています。
「3 渓畔林整備事業」については、19年度に予定どおり、調査測量や事業計画策定が実施されたとのことですが、植生回復や土壌保全の効果を検証することが課題ですし、また、その渓畔林整備は、全国的にも事例が少ないとして、神奈川県が先進的に取り組む必要があるという指摘もあります。
「4 間伐材の搬出促進」については、目標数量以上の間伐材を搬出することができたことを評価した上で、今後、県産材の木材の流通やその消費の拡大、販路の拡大などが課題であり、また、その搬出のための作業道の整備を指摘しています。
「5 地域水源林整備の支援」については、市町村の公的管理の仕組みを評価する一方で、ボランティアによる森林整備など多様な手法で整備を促進することや、当初の計画額に比べて事業費が、市町村側の整備手法によって大幅に増加しており、その結果、整備面積はあまり伸びておらず、整備手法について、検討する必要があることを指摘しています。
「6 河川・水路における自然浄化対策の推進」については、2つの方法、つまり、生態系に配慮した整備と直接浄化対策を講じていますが、これも少し他方に偏っているので、検討を少ししたらどうか、また、住民の環境学習の場として活用することも考えたらどうかということを指摘しております。
「7 地下水保全対策」については、地下水を活用している地域については、地下水保全計画を策定することが望ましいということ、それから地下水の汚染対策については徐々に効果が上がっているということを指摘しています。
「8 県内ダム集水域における公共下水道の整備促進」については、当初よりも全体に事業が遅れていること、そのためにも、事業の有効活用や工事の前倒し実施などの検討を指摘しています。
「9 県内ダム集水域における合併処理浄化槽の整備促進」については、相模原市において予定どおり順調に進んでいるが、今後はその下水道区域の見直し等により、この合併処理浄化槽の伸びが見込まれることを指摘しております。
「10 相模川水系環境共同調査の実施」については、山梨県側と県境を越えて上流対策に取り組むために事前調査を行っており、一応順調ではあるが、さらにその成果を踏まえて、アオコの発生や下水道からの排出水の問題なども検討する必要があると指摘をしています。
「11 水環境モニタリング調査の実施」については、森林と河川のそれぞれについて、モニタリング調査を実施していますが、森林については、長期的な施策効果を把握する必要がありますが、これは5年間の中で事後モニタリングの結果が出ないので、文献調査で補完する必要があることを指摘しています。河川モニタリングにおける動植物調査と県民参加型調査については、一応概ね予定どおり実施できたとしております。
最後に「12 県民参加による水源環境保全・再生のための新たな仕組みづくり」については、詳細は本編に記載していますが、2つの専門委員会と3つの作業チームを組織して活動して、全体として一定の成果が上がっているという評価にまとめています。
以上、長くなりましたが、それ以外にも補足資料や関連図表等も添付しています。もし事務局から補足があれば、必要に応じて、説明していただきたいと思いますが、私からの報告は以上です。
(金澤座長)
ありがとうございます。今回の案を最終的にまとめ上げる過程では、本日は実質的な議論をする時間がないため、事前に委員の皆様に4回照会して、意見を提出していただきました。それをできるだけ反映して、この案ができたということを申し添えたいと思います。
さらに、この点検結果報告書の特徴を私なりに解説しますと、問題点を率直に指摘していることが第1の特徴です。
例えば、5-6頁において、先程、田中委員長からも説明されましたが、市町村の事業の問題点が記載されていますが、当初の想定と異なり、計画どおりに達成されていないことがありますが、これには理由があり、それに対応して、修正する必要があることを率直に指摘をしていることが特徴の1つだと思います。
第2に今後の課題について、建設的な提起をしている部分があります。
例えば、10-5頁においては、先程も言及されていましたが、相模川水系流域環境共同調査は、今後何が必要かを探るための調査が目的ですから、その調査の結果を受けて、どのような対策が必要なのか絞り込む必要があります。まだ絞り込む終着点には遠いわけですが、それでは、それをどのように検討していくのか、場の設定が必要という提起をしています。
第3の特徴として、我々県民会議が点検する対象は、水源環境保全税を財源とする12の特別対策事業ですが、それだけでは評価できない部分が実はあるわけです。
例えば、丹沢大山の保全・再生対策は、この水源環境保全税の事業だけではなくて、丹沢大山自然再生計画という大きな計画があり、こちらに位置付けられている事業が進んでいるのかについても、同時に考える上では必要であり、2-8頁においては、そのような資料もできるだけ掲載したことも特徴だと思います。
9-6頁においても、県内ダム集水域における公共下水道整備や合併処理浄化槽整備の後に相模湖、津久井湖のアオコの問題、ダム湖の水質の問題などを掲載しています。これは施策大綱には入っていますが、12の特別対策事業の中には入っていないものがあります。しかし、「良質な水の安定的確保」という最終的な目標から、我々が無関心ではいられないという意味で、できるだけそれに関する資料も掲載したということが特徴だと思います。
第4に、他の事業は県民会議が点検しますが、県民会議の活動をどのように点検するのかという問題があって、それに関しては、まずは自分たちで自己評価をしたことが4つ目の特徴です。
最後に、この点検結果報告書の性格についてです。表題は「かながわ水源環境保全・再生の取組の現状と課題-水源環境保全税による特別対策事業の点検結果報告書-」となっています。私は、我々2年間の活動の結果として、水源環境保全税を財源とする12の特別対策事業がどのようになっているのかについて、包括的にまとめたものがこの点検結果報告書だと思いますので、これを「白書」と言っても良いと思います。
しかし、先程来申し上げているように、この施策大綱全体から見て、神奈川の水源環境保全・再生がどのようになっているかという白書にはなりません。したがって、我々県民会議の仕事なのか否かも含めて、12事業だけではなく、アオコの問題や丹沢大山自然再生計画全体も考慮した、水源環境保全・再生施策全体に関する白書が必要なのではないかと思います。それに関しては、今後の検討課題とさせていただき、今回の点検結果報告書は12の特別対策事業についての「白書」という位置づけで考えることが私の考えです。
何かご意見があれば、ご披露いただければと思いますが。倉橋さん、いかがですか。
(倉橋委員)
この点検結果報告書のまとめについては、私たち県民会議の意見もかなり取り入れていただき、私もある程度の意見は盛り込んでいただけたと思います。もう少し詳しい方が分かりやすいと思いますが。特に私は、桂川・相模川流域協議会として、上流部にもっと視点を当てる必要があると思います。先程、新堀委員からも発言されていましたが、今後5年間に、上流部のことはもっと盛り込んでいかなければ、本当の意味での水源環境の保全にならないと思いますので、後の3年に期待をかけたいと思っております。
(金澤座長)
ありがとうございました。他にいかがでしょうか。石村さん、どうぞ。
(石村委員)
上流部の入り口における森林整備は非常に重要ですが、また出口である下流の都市部が心配です。
私どもは木を製品化しようと思い、厚木と小田原の2つの製材所に運んだところ、もう木が山積みで、入れる場所がない感じでした。その製材所に聞いたところ、ここまでは木がたくさん来たが、その先が出ていかなくて困っているとのことです。私はいつも経済性を言いますが、やはり木を使うことが森を生かすことですから、その出口をもう少し考えてほしいというのが体験上の印象です。ありがとうございます。
(金澤座長)
はい、ありがとうございます。他にどうでしょうか。浅枝先生、いかがですか。
(浅枝委員)
先程、金澤座長が発言されたように、相模湖や津久井湖のアオコの問題は、実際に市民が直接関心のある部分ですが、この12の特別対策事業には入っていないですよね。そのような意味では、それも含めた形のものをある段階で出していかなければ、なかなか理解していただけないかなという感じを持っています。したがって、別冊でも結構ですが、そこの部分が一つあればその方が分かりやすいという感じがしています。
(金澤座長)
ありがとうございます。はい、お願いいたします。
(瀬戸委員)
山北町の瀬戸です。私は、委員の中で数少ない自治体の立場で、事業を実践する方です。この2年間で、私有林を中心とした水源林の整備と、町設置型の合併処理浄化槽の整備については20年度から始めました。残り4年間で200基ですが、初年度である20年度は30基の目標であり、38基の申し込みがありました。翌21年度へ8基持ち越しになりますが、20年度は30基の目標を全部達成できる状況です。
ただ、合併処理処理浄化槽は、1割の個人負担分があるので、その点がなかなか難しくて、21年度以降に200基の目標が達成できるか若干不安がありますが、できるだけ事業の意義を説明して目標を達成したいと思います。
(金澤座長)
ありがとうございます。どうぞ、高橋委員。
(高橋弘二委員)
先日、県の環境科学センターに行ってデータを見せていただきました。問題はダム湖の窒素、リンですが、その窒素、リンの流入負荷の割合が、下水道や合併処理浄化槽を整備することにより、本当に減るのかどうか。河川からの流入よりも、不特定のノンポイントの流入負荷の方が非常に多いですよね。今回のデータが参考に付いていますが、ダム湖に流入する負荷の割合がどこからどれだけ来るかというデータは付いていません。やはりその検証は必要だと思います。
(金澤座長)
はい、ありがとうございます。今の点は私も同感です。その点を踏まえて、施策調査専門委員会とも議論しながら、10-5頁の総括に「また、対策を考える上で、アオコの発生メカニズムや下水道からの排出水の問題などの検討も併せて行っていく必要がある」と記載しました。どのようなメカニズムで窒素、リンが増加するのか、調査・研究もしなければいけないと。これは専門家の方々とも協力しながら進めていきたいと思いますが、大気由来のもの、また渓流水の中で関東ローム層の中から溶け込んでくるもの、それから下水の処理水も夏になると窒素、リンの濃度が非常に増加するという問題も含めて解明していかなければならないということで、そのことは基本的には書き入れたつもりでして、高橋委員のご指摘のとおり、今後の課題と考えております。
他にはいかがでしょうか。はい、牧島委員。
(牧島委員)
今の話に関係すると思いますが、私どもはさまざまな立場でこの問題点を理解していますが、今象徴的に話があったように、ダム湖の問題と丹沢大山の森林整備などがどのような関係性にあるのか、別々の問題なのか、非常に密接に関係しているのか、その関係性がどうも必ずしもはっきりさせようとして来ませんでした。
それなりに、それぞれの努力で、自分なりのイメージを形成しようと思っていますが、数字や関連性が専門家の方々の知恵で、丹沢大山に関しては実は関係していて、どの程度の寄与率のある話なのかなど。下水道であれば、大体どれぐらいの影響を及ぼすものなのか、よく調べると分からない、まだまだこれからだと言う。
そうすると、県民としては一体何に向かってその力を結集したらいいのか。当然、取組むべき課題は複数あると思いますが、複数ある中でここに力を入れるとどのような影響を及ぼすということがはっきり分かるとベクトルが合ってくると思います。そこが、県民に分かりやすく提示されていません。
それぞれは真面目に取り組んでいて、それぞれの成果はそれなりに上げていますが、全体としてどのように動いているのか、動こうとしているのか。多少バックキャスティング的な考え方を持つ必要があると思います。私は、これからの3年間のかなり大きな仕事だと思います。
(金澤座長)
はい、ありがとうございます。他にいかがでしょうか。天内委員、どうぞ。
(天内委員)
先程から出ている話と同じことですが、私が非常に関心のあるアオコ問題ですが、アオコは目に見えるし、湖の富栄養化は科学的に測定すれば分かりますが、しかし、湖底のヘドロがどのようになっているのかは、なかなか調査が難しいことですし、目に見えません。これをぜひアオコと連動して調査していただきたい。
もう一つ、非常に大きな問題だと思いますが、丹沢の大気汚染です。ブナが枯れることは、大気汚染が非常に大きな影響を持っていると思いますが、この因果関係はなかなか分からない。私の郷里である八甲田のブナが一昨年に非常に被害を受けましたが、観光道路沿い辺りが非常に被害を受けたと聞きます。その排気の影響があるのではないかとの話を聞きましたが、影響がないはずがありません。このようなことも調査してほしいと思います。
(金澤座長)
すみません。ここで、知事をお呼びしたので、お迎えしたいと思います。
【松沢知事入室】
(松沢知事)
どうも、皆様、本日はご苦労さまです。お願いします。
(金澤座長)
まず、第6回県民フォーラムを2月11日に開催しましたが、我々第1期の県民会議委員の任期のうちの最後の県民の意見集約の場となりました。その意見について、報告書の形でまずお渡ししたいと思います。
【金澤座長から松沢知事へ報告書を手交】
(松沢知事)
どうもありがとうございます。
(金澤座長)
続いて、我々はこの第1期の任期2年間、かながわ水源環境保全・再生の取組みを行ってまいりました。これは、水源環境保全税を財源とする12の特別対策事業がどのように実施されているか、効果的に実施されているかを、微力ですが、県民視点で、それから専門家の方々の力を得て実施してまいりました。その点検の結果を本日まとめましたので、お渡ししたいと思います。
【金澤座長から松沢知事へ報告書を手交】
(松沢知事)
はい、ありがとうございます。
(金澤座長)
では、知事から、一言お願いできますでしょうか。
(松沢知事)
皆様、こんばんは。県知事の松沢でございます。本日はお忙しい中、水源環境保全・再生かながわ県民会議にご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。心から御礼申し上げます。
ただいま金澤座長から、水源環境保全・再生施策に関する点検結果報告書と第6回県民フォーラム意見書を頂きました。取りまとめにご尽力いただいた委員の皆様に心から感謝を申し上げる次第です。
この点検結果報告書には、この2年間の取組みの総括として、水源環境保全・再生実行5か年計画に位置づけられた12の特別対策事業について、実施状況の点検評価を行い、その結果を取りまとめていただきました。県として今回の点検結果を真摯に受けとめて、より効果的な施策事業の展開に活かしていくとともに、次の5か年計画に反映させていきたいと考えております。
また、2月には、19年度からの5回にわたる地域フォーラムの総括として第6回県民フォーラムを開催されまして、私も参加をさせていただきました。今回、そのフォーラムの参加者から寄せられた意見をまとめた報告書も頂きました。
県では、これまでも県民会議の委員や県民の皆さんの意見を踏まえて、県民主体の取組みを推進するための市民事業支援補助金や、森林再生のための人材確保に向けた「かながわ森林塾」など、新たな取組みを進めてまいりました。この度、頂いた意見も、施策の一層の充実強化に活かしてまいりたいと考えております。
本日の県民会議は、第1期の委員の皆様の任期満了に伴う、締めくくりの会議となります。これまでの2年間、専門的見地からの施策のチェックや新たな施策の提案、そして県民フォーラムやニュースレターによる県民参加の促進など、さまざまな活動を通じて多くの成果を上げていただきました。この場をお借りして、心から感謝を申し上げます。
今回で委員をお辞めになる方、引き続き委員を務めていただける方、それぞれの立場から神奈川の水源環境保全・再生を進めるために、今後も引き続きご尽力を賜りたいと存じます。2年間にわたる水源環境保全・再生かながわ県民会議委員としてのご協力、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
(拍手)
(金澤座長)
少し時間、ございますか。点検結果報告書には、先進的な神奈川県の取組みについて、その中でも事業が非常にうまく進んでいるところと、当初の計画どおり進んでいないところ、率直に指摘させていただきました。
それから、点検をする中で、今も議論の中で出てきましたが、例えば丹沢大山について、大きな丹沢大山自然再生計画があるわけです。我々が点検する12の特別対策事業は、そのうちの一部なので、全体がうまく進んでいるのか、中長期的に見て丹沢大山自然再生は軌道に乗っているのか、そのようなことを評価する場所が必要だなと思います。我々の手には余るんですね。だから、然るべき所でそのようなことを考えていただく。
それから、アオコの対策と言っても、我々も1つだけですが、ダム湖の問題はまた別の事業になっているので、そのような横断的・総合的な評価をぜひ検討していただきたいと思います。いかがでしょうか。
(松沢知事)
丹沢大山自然再生計画は、こちらに新堀副座長がいらっしゃいますが、新堀委員がまとめていただいて、それを今動かしているわけです。また、県には、例えば森林再生50年構想もございます。このような他の政策や計画と、この水源環境保全・再生の5か年計画との整合性やバランスも県として図っていかなければならないと考えておりますので、今後それをどのような形でやっていくか検討して、皆さんの方にもまた相談させていただきたいと思います。
(金澤座長)
ありがとうございます。それから、第6回県民フォーラムで、松沢知事と山梨県知事が同じ壇上で、連携の必要性を確認していただいたことは画期的なことだったと思いますが、我々も相模川・桂川の調査を共同で実施しています。その調査や、首長同士の連携に関する確認、それをさらに具体化していく必要があると思います。それでは、何を連携していくのかという点についてはいかがでしょうか。
(松沢知事)
最初の5か年は、まず山梨県上流域との協力については、これはしっかり調査して、その調査をもとに、できれば次の5か年で共同の事業や資金の支援も含めて実施していこうという計画になっています。
ただ、ともすると、山梨県側はお金が欲しいというところだけを目的にされていると見受けられるとの意見も聞こえてきますので、私たちとしては、当然神奈川県民の税を補助してやっていただくわけで、それが神奈川県民の、もちろん山梨県民も含めてですが、水源環境の保全にしっかりと使われるという担保がなければそれはできませんので、そのあたりをこの調査結果をもとに、しっかりとした政策を練り上げていきたいと考えておりますので、そこはしっかりやっていきたいと思います。
(金澤座長)
もう時間もないので、最後ですが、本当に2年間、公募委員の人たちをはじめとしてこの委員の方々30名、頑張っていただき、その成果が出たと思います。もう一度、労いの言葉をおっしゃっていただくとありがたいのですが。
(松沢知事)
本当に皆さん、2年間ありがとうございました。県としても、これは初めての水源環境保全・再生のための施策と、またその財源としての税を動かしてきたわけですが、実は私どもも試行錯誤のところがございます。皆さんに県民の代表として、また専門的な立場からいろんな議論を戦わせていただいて、皆さんからいただくアドバイスをしっかりと受けとめて、検討して進めていかなければいけないというふうに思います。
どんな大きな政策でも、やはり民主的なプロセス、やはり税をいただいている県民の皆さん、そしてその代表の県民会議の皆さんの意見をしっかりと政策に反映させて進めていくというのが、基本中の基本だと思っております。
本当に2年間、お疲れさまでした。また、継続して会議に参加していただく皆さんもいらっしゃいますし、また今回替わられる皆さんも、できる限り、大所高所からさまざまな意見を届けていただいて、神奈川の水源環境保全・再生に関わっていただきたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。
(拍手)
(松沢知事)
ありがとうございました。失礼いたします。
【松沢知事退室】
(金澤座長)
新堀副座長、どうぞ。
(新堀副座長)
今、知事が登場する前に、座長や他の委員から話がありましたが、丹沢大山に関して、私は1990年代の自然環境調査と2000年代の総合調査と両方委員長を務めました。その後の一昨年から、調査結果に基づいた丹沢自然再生委員会が結成されまして、その委員長は木平委員が務めていらっしゃいます。
したがって、今、水源環境の中で、山梨県を除けばその大半は丹沢大山に水源があるわけですから、その水源をどのように保全・再生するかが、やはり一番大事であって、緑政課、森林課、それから自然環境センター、そういった県の役所の組織もございまして、それぞれ全力を挙げて取り組んでおるわけですが、やはり大変分かりにくい部分もあり、また私どもの調査結果で申し上げている8つの重要課題の解決策とは、実際には簡単にいかないものです。
特に困難でまいっているのは、ブナ林の再生とシカとの関係ですね。この2つは、単純明快にこうだからこうなるという図式が描かれてこない。そして、特にシカの問題については、やはり数字が明確に把握できないという大きな問題もあり、一体丹沢山塊に本当に何頭のシカがいて、何頭まで減らしたら良いのかについて、2回の調査で専門家の方々が議論しましたが、実際は明確な答えが出ていないと言ってもよいぐらい、難しいのです。
当初、丹沢山塊には約3,000頭のシカがいるという話でしたが、実は4,500頭ぐらいいるのでかないかという結果になり、丹沢山塊の許容量から考えて、4,500頭のシカがいたらどのようなことになるかといえば、ここ2~3年前までの丸裸になった地肌の状態、林床植生が全くなくなってしまった状態は、やはりシカが原因ではないかと言えるわけです。林床植生がなくなれば、山は乾燥してくるし、残っている木は衰えてくるわけですから、それが全部水源環境に影響してくることも間違いないので、シカをどれだけ捕獲するかということが、一つのポイントになったわけです。
これは、また緑政課の鳥獣総合対策協議会というのがあり、その会長も私が務めているわけですが、毎年何頭捕獲すべきかということで相当苦しみましたが、ここ1~2年は1,000頭以上ずつ捕獲していますが、実はそれでも減りません。
今年の結果でどのぐらいの数値が出るか、まだ報告は聞いていませんが、最終的にやはり1,000頭以上は捕獲できると思います。したがって、それにより、3,000頭は当然下回っていると思いますが、2,000頭台のどのくらいまで落ちているか、確実に把握することは非常に難しいのです。
ただ、学者の皆さんのご意見では、平方kmあたり5頭まで落とせれば、丹沢の状態にふさわしいのではないかと言っているのですが、平方kmあたり5頭とは、ほぼ1,500頭です。1,500頭まで落とさないと、丹沢のシカは生態的にも、また要するに森林に対する被害、あるいはさらに里山における農家の被害を軽減することはできないという結果になっているはずです。
そこまでやるための予算も、水源環境保全税から出ていないはずです。一般会計から出ているのがほとんどだと思います。同時に、シカを捕獲する方法が、端的に申し上げて、猟友会に全部頼っているわけです。猟友会は、老齢化が進んで、毎年人が減っています。丹沢の上のほうの稜線の1,000m以上のところで、猟友会の方が活躍することは非常に難しくなってきています。可能な限りの努力をしていただいておりますから、これは文句は言えませんが、段々とそのような状態になってきています。したがって、私どもは、自衛隊にでも頼んでやってもらおうと言いますが、それはできない話です。
この辺でやめますが、そのような実態が、実は丹沢大山総合調査の報告書として、1,000ページ以上の厚い記録になってあるわけです。その分析をしていただければ、大体どうなるということが分かるわけですけれども、それを皆さんにも差し上げられないという状態なので大変申しわけないと、こういうことでございますので、一つその辺の勉強を別にやっていただければありがたいと思っております。
(金澤座長)
はい、ありがとうございました。私の不手際で、知事に渡す前に、この報告書を最終的に皆さんにご承認いただく手続をとるのを忘れてしまいましたが、お認めいただいたということでよろしいでしょうか。
(拍手)
(金澤座長)
ありがとうございます。それでは、議題3「市民事業支援制度について」に移りたいと思います。平成21年度補助金選考結果及び平成20年度事業報告会結果について、市民事業審査等専門委員会の沼尾委員長から簡潔にご報告願います。
(沼尾委員長)
お手元の資料4「平成21年度補助金選考結果及び事業報告会結果について」をご覧ください。
平成21年度の市民事業支援補助金の交付団体に関する選考会を、市民事業等支援専門委員会のメンバーが選考会を構成する形で行いました。その結果と並びに同日の2次選考会のときに開催した事業報告会の結果について、ご報告させていただきます。
まず、募集期間として、県が今年の1月5日から30日まで募集したところ、46事業・24団体から申請がありました。新規が20事業、継続が26事業でした。ただ、平成20年度に既に事業を実施している団体のうち4団体については、事業に取り組みましたが20年度限りで事業をやめるということで、継続申請を行わなかったということです。
その上で、県の事務局で、この申請事業がこの補助金の要件に合致しているか、また法令等の観点から確認したところ、全事業について問題なしとして、選考会の1次選考に書類が参りました。
2月26日に書類審査を行い、その中の23団体・42事業について2次選考に上げることを決定して、それを受けて県の事務局が申請団体に対して選考結果を通知しました。
その後、3月8日に公開プレゼンテーションと2次選考会を開催しました。当日、会場は非常に寒かったのですが、皆さん熱心に、非常に熱い森林あるいは水源環境保全に対する思いを、あるいは活動の思いを発表していただきました。その上で最終的に選考会として、22団体・41事業を採択させていただきました。
実は、この1次選考から2次選考の間に1団体の辞退があり、1次選考から上がって2次でプレゼンテーションを行なった団体全てに対して採択ということにいたしました。
ただ、若干留保があり、経費について、その団体によって、例えばお弁当代を100円補助という団体から1回2,000円の団体もあり、非常に幅広い要請が出て、その点は最終的に県で調整して、適切な額で対応してほしいと思います。
あるいは、その事業の実施に当たって、4団体に対しては、もう少しその事業の内容の問題や進め方について、精査した上で進めてほしいという留保条件を付けた上で採択しました。
今後、これを受けて、県の手続になると思いますが、具体的に採択となった事業の一覧が、その資料4に掲載されている団体の事業です。
その次頁に地図がありますが、今回選考した中で議論になったのが、横浜、川崎、横須賀など東部の都市部の団体からの普及活動に関する応募が見られなかったことであり、ここが今後の課題になります。
また、20年度に交付決定を受けて事業をしている団体のうち、丹沢大山の再生に専門的技術と大きい資材が必要であるため、NPOの活動としては活動できないと継続を辞退される団体がありました。以前、県民会議でも議論されたように専門性を持ったNPOの活動に対する支援のあり方をどうするか。さらに、都市部への普及啓発活動への支援を、どのように広げていくかが21年度以降の課題になるのかと、この審査の過程で思いました。
もう一つは、今回、団体間の交流や情報共有、情報交換をする場、各団体が活動の課題を壁に掲示しながら、互いに意見交換する場を事務局で作っていただきました。その結果、参加したNPO団体からは、他の団体と相互に連携するきっかけが生まれたという意見も頂きました。その意味では、団体間での交流や情報共有の場として、この2次選考会の公開プレゼンテーションが活かせたと思いますし、これをさらにどのように広げていくかが、今後の課題になると思いました。以上です。
(金澤座長)
ありがとうございます。続いて、事務局から、平成20年度市民事業等支援制度報告書に対する県の対応状況についてご報告願います。
(事務局)
資料5「平成20年度市民事業等支援制度報告書に対する県の対応状況について」をご覧ください。平成20年12月18日に報告書を頂き、補助金制度の改善等に関するご指摘をいただきました。その現在の対応状況を記載しております。
まず、補助対象期間及び選考時期の改善について、4月に交付決定が受けられるようにという意見でしたので、1月に募集して、4月の交付決定に向けた準備をしております
選考方法の改善については、団体の負担にならないようにという意見でしたので、3月8日の2次選考会では、平成20年度の事業報告会も兼ねて開催しました。
補助金予算の拡大について、平成20年度は900万円でしたが、21年度は1,200万円を予算計上しました。しかし、選考会で精査した結果として、交付決定額は900万円を少し超過する金額になると見込んでいます。
普及啓発教育事業・調査研究事業の補助金算定方法については、総事業費の2分の1を他の補助金で賄うことにより、団体の自己負担が発生しない仕組みとするため、要綱を改正しました。4月1日から施行する予定です。
最後に、ネットワーク等の形成、財政面以外の支援として、県のホームページの中に団体が情報を共有するコーナーを設ける予定です。「水源環境を守る市民活動情報館!」として、イベント情報や補助金交付団体の情報、活動支援情報の準備を進めています。
(金澤座長)
ありがとうございます。今の2つの報告に対して、ご意見があればどうぞ。
(真覚委員)
私は、3月8日の公開プレゼンテーションを見て感じたことを話したいと思います。
まず、参加の機会を広げるという面では、テーマの大きいものから小さなものまで拾われて、その点は参加しやすいと思う一方、逆に、水源環境保全・再生という目的に対して、この団体の事業は果たして適うのかと思う事業もありました。つまり、環境美化や環境整備、美観保持に偏っている事業の提案があり、委員長から留保条件付きで採択というご説明もありましたが、やはり県が事業主体として実施する事業については、詳細な調査を裏づけとして、各事業が水源環境保全・再生の目的に適った整備・展開をしています。一般県民の方がそこまでできないことは重々理解できますが、可能な限り、NPOの支援事業についても、この水源環境保全・再生の目的に適うかという点をもう少し掘り下げるべきと感じました。
それから、交流の場について、今説明されたホームページも有効と思いますが、やはり団体のメンバーが顔と顔を合わせて言葉を交わす場が、この公開プレゼンテーション以外に設けられれば、交流が進むのではないかと感じました。
(金澤座長)
ありがとうございます。参考になるご意見だと思います。
それでは、議題4「県民視点による広報広聴の取組について」に移りたいと思います。1つ目は事務局から、「第4・5回県民フォーラム意見への回答について」お願いします。
(事務局)
資料6をご覧ください。昨年の12月18日に県民会議から、第4回・第5回県民フォーラム意見の報告書を頂き、それに対する回答です。概要を用意しました。県民会議から重要だと思われる6点について、回答しています。
県内林業従事者の育成を図ってもらいたいという意見については、21年度から様々な技術レベルの担い手を育成する「かながわ森林塾」を開校します。
公共下水道の未設置地区において、市町村設置型の浄化槽整備を推進してもらいたいという意見については、今相模原市と山北町にしかありませんが、今後は他の市町村にも積極的に働きかけていきます。
情報の提供・理解の促進に関して、事業実績や目標達成度を分かりやすく情報提供してほしいという意見については、県のホームページに事業実施箇所などを掲載しています。それから本日、県のホームページに地図情報・GISのサイトがあり、そちらに19年度の実績を掲載しましたので、見ていただければと思います。
次頁以降、すべてのご意見について、回答しております。
(金澤座長)
ありがとうございます。
次に、事業モニターチームの活動及びニュースレターについて、水チーム、森チームそれぞれからご報告いただきたいと思います。最初に、水チームの柳川委員からお願いします。
(柳川委員)
資料7をご覧ください。1月18日にNPO法人神奈川ウォーターネットワークとNPO法人しのくぼに対して、事業モニターを実施しました。神奈川ウォーターネットワークは、水源環境保全・再生に資する調査研究として、酒匂川の右岸にある畑沢で活動している状況をモニターしました。
一方、NPO法人しのくぼは、森林の保全・再生事業として、篠窪という場所で、高齢の方々が頑張っている状態で、いずれも支援事業の制度が時宜を得て、それぞれのNPO等が効果的に活用していましたので、ご報告いたします。
(金澤座長)
ありがとうございました。続いて、森チームの真覚委員からお願いします。
(真覚委員)
最後のモニターチームですが、2月9日に渓畔林整備事業のモニターを行いました。まず自然環境保全センターで渓畔林整備事業のご説明を十分にされて、現地である清川村の境沢にモニターに伺いました。
今回モニターチームあるいはコミュニケーションチームとして感じたことは、やはり渓畔林整備のように非常に専門性の高い技量を、一般の県民にいかに分かりやすく理解していただくかという点です。最初にまとめた原稿は、専門用語が多過ぎて、間違いなければ良いのではなくて、やはり間違いなくても分かるという点に、このニュースレター「しずくちゃん便り」の目的があると思うので、その点を自然環境保全センターなど県の担当者の方々にお骨折りいただき、かなり分かりやすくまとめることができました。
それから、このような事業に、当然調査研究がつきものですが、この渓畔林整備事業については、渓畔林整備指針を自然環境保全センターがまとめており、やはり一つの事業の裏側に相当綿密な調査や、それに基づいた順応的管理や裏づけがあるということを改めて実感いたしました。
(金澤座長)
ありがとうございました。続いて、「コミュニケーションチームによる県ホームページに関する検証結果の報告に対する県の対応状況について」事務局からお願いします。
(事務局)
資料9をご覧ください。11月27日にコミュニケーションチームから県のホームページに対して、検証の結果をご報告いただきました。これに対する現時点での対応状況を回答します。
まず、情報へのアクセスについて、5項目あります。目的のページが深い階層にある場合、なかなか到達できないので、改善してほしいという要望があります。これについては、県のトップページからの対応は困難ですが、外部からこのページがすぐ検索できるにように、「かながわの水源環境」という形で検索すると、出てくることが分かりましたので、今後の広報の関係については、これを織り込んでいきたいと考えています。
それから、サイトマップがないとの意見でしたので、サイトマップを作成して、3月16日に掲載いたしました。
それから、特別対策事業の情報の内容について、11項目のご指摘を頂きました。
大きく2つあり、1つはGISについて、先程説明したとおり、本日掲載することができました。もう1つは、本日、点検結果を報告していただいたので、これを掲載することによって、事業の進捗や評価を県民の皆様にもご紹介できるので、これを工夫して掲載したいと考えています。
最後に、県民会議の情報の内容について、7項目ありますが、市民事業支援制度について、ネットワークを形成するページがないとのご指摘を頂いたので、先程説明したコーナーを設ける準備を進めています。
それからニュースレター「しずくちゃん便り」について、見出しがなくて分からないという指摘を頂いたので、各号の見出しを記載して11月20日に掲載いたしました。
(金澤座長)
ありがとうございます。第4・5回県民フォーラムへの意見への回答、事業モニターチームの活動、ニュースレター、コミュニケーションチームの指摘に対する対応について、全体を通じて、ご意見があれば。よろしいですか。では、続いて、議題5「山梨県との共同調査結果について」に移ります。事務局からお願いします。
(事務局)
資料10「神奈川県の水源環境保全・再生施策に係る神奈川・山梨両県による『相模川水系流域環境共同調査』」をご覧ください。
山梨県と共同で私有林人工林をしていますが、本日3月27日記者発表したので、ご報告します。
この調査対象地域については、私有林のうちの人工林を、桂川・相模川の流域の4市2町5村で実施しました。調査スケジュールとして、平成19年度に大月市、上野原市、平成20年度はその他の地域を調査しました。
調査結果については、19年度の調査対象森林は約9,000haあり、その4割が荒廃という調査結果です。20年度の調査対象森林は、約74%が荒廃という結果になり、対象地域が異なると結果もこのように異なりますが、合わせて約60%が荒廃しているという結果でした。この結果については、神奈川県内の以前の調査結果とも、ほとんど同じ状況です。面積内訳として、市町村別に調査対象森林と荒廃森林を記載しました。
(金澤座長)
ありがとうございます。この調査は、継続するのでしょうか。
(事務局)
森林の調査についてはこれで終了ですが、これらのデータをもとに、今後山梨県とどのような施策が可能かを検討していきたいと考えています。
(金澤座長)
ありがとうございます。続いて、議題6「平成21年度当初予算等について」事務局からお願いいします。
(事務局)
資料11をご覧ください。水源環境保全・再生事業の会計です。
個人県民税の超過課税相当額について、21年度の収入は43億8,000万円を見込んでいます。20年度の基金の残りが7,864万円で、これを合わせて、21年度の事業費としては、44億5,000万ということです。その内訳については、1~5番までの森林の保全・再生事業に27億5,000万、以下、資料のとおりです。
それで、この部分について、20年度の所管課と21年度の所管課を記載しています。4月1日から、市町村交付金事業と国・県の関連事業との調整や、森林整備に係る専門的・技術的支援をより円滑に行うために、水源環境保全・再生施策の総合的推進ということで、事務事業執行体制を環境農政部に一元化します。21年度の所管課は、市町村交付金事業の関係が、土地水資源対策課から森林課と大気水質課に分かれて所管します。「水源環境保全・再生を支える取組み」については、資料記載のとおりです。「県民参加による新たな仕組みづくり」については、緑政課が所管します。
さらに「20年度2月補正予算と21年度当初予算の状況」を細かく、整備量等も含めて記載しています。特徴としては、「水源の森林づくり事業の推進」において、新規に「かながわ森林塾の開校」として2,883万円計上し、人材確保を図っていきたいと考えています。
また、「水環境モニタリング調査の実施」において、新規に「人工林整備状況調査」として8,738万円計上しています。最後に、森林塾の詳細な説明を添付しています。
(金澤座長)
ありがとうございます。担当課について、20年度の土地水資源対策課の部分が緑政課や森林課に移管するとのことですが、我々は特に水源環境保全税として、水と森の切っても切れない関係を重視してきました。例えば、県民会議の所管が緑政課になりますが、大気と水と森は非常に密接な関係があり、総合的に対応する視点からすると大丈夫かなという心配もありますが、その点はいかがですか。
(事務局)
緑政課の中に水源環境保全担当課長の職を設け、職員も土地水資源対策課から異動するので、今後もよろしくお願いしたいと思います。
(金澤座長)
他に予算に関していかがですか。特にないようでしたら、本日用意した議題は全て終了しました。大きな課題であった2年間の取りまとめである点検結果報告書をご承認いただき、知事にも渡すことができたので、ありがとうございました。
若干時間があるので、各委員から一言ずつ、2年間の終わりに当たって感想とご挨拶を述べていただければと思います。高橋委員から、お願いします。
(高橋二三代委員)
初めてこのような会議に出席して、全く専門知識もなく、1年目はよく分からない状態でした。
20年度に事業モニターで伺った開成町に、先週行きました。河川・水路整備における、いわゆるバイオコード(ひも状接触材)が、その後どのようになっているのかが気になっていましたが、やはりごみが随分引っかかっていて、1週間前に掃除したとのことでした。上流に田や畑があるので、畔を草刈りしたものを川に投げ捨ててしまうことが結構あるそうです。
でも、開成町全体の中で、ごみに対する条例もできつつあり、この取組みから町全体のごみ問題につながることと、バイオコード(ひも状接触材)による対策を実施したおかげで、その下流で臭いが減っているという話も聞くようになったとのことで、町の方は今後も頑張るとおっしゃっていました。
カキツバタは、水量が強いので大きくなりませんが、肥料を与えると、窒素やリンの問題が絡むので、これは少し問題かなと思いつつも、長い目で見守るとのことで、やはりそれは周りの方々の理解が得られて、地元住民の協力なくしてはこの取組みがならないと実感しています。ありがとうございました。
(金澤座長)
長谷川委員、お願いします。
(長谷川委員)
2年間、いろいろありがとうございました。お世話になりました。私は1993年から横浜の水道水の問題にかかわり10年ぐらい、そのことを県や横浜市に提案して、基金条例や水源環境保全条例を提案してきましたが、やっと2年前に実を結び、スタートを見届けようと思い頑張ってきましたが、今後の3年間はバトンタッチをさせていただきたいと思います。
ただ、先程も知事や課長からの話にもあったように、5年間の時限立法であり、今後の3年間で見直し、県民の合意をさらに作ることが非常に大事だと思っています。県民フォーラムでも、都市部の県民の参加が少ないという課題があり、なかなか難しいところにあります。ぜひその部分に関して、税の使い方も含めて検討していただき、5年と言わず、10年、20年の大綱を実現できるようによろしくお願いします。
(金澤座長)
ありがとうございます。蓮場委員、お願いします。
(蓮場委員)
私は、最初の挨拶の中で、林業の専門的立場で参加すると申し上げましたが、この席でなかなか林業の問題を議論することは難しいと思い、あまり直接参加しませんでしたが、本日はいろいろ報告を受けて、よくここまでまとめていただいたと思っています。
ただ、林業の問題は、石村委員も時々ご発言があるように、非常に難しい問題を抱えており、ここに書いてあることだけを実施すれば山がよくなるということではないので、まだすべき部分は沢山あると、私は思っています。ですから、そのような面で十分な役目を果たせなかったことについては、お詫びしなければなりませんが、このまとまったことを少しでも林業の振興のために活かしていただきたいと思っています。
この報告書について、1つだけ率直な意見を申し上げますと、事務局がある程度まとめられたと思いますが、まとめ方がやはり行政のまとめ方である気がします。県民会議の形でまとめるのであれば、まとめ方に少し工夫があっても良かったのではないかと思います。
(金澤座長)
ありがとうございます。具体的にどのようにすればよいか、また伺いたいと思います。福江委員、どうぞ。
(福江委員)
3月8日に厚木で行われた市民事業支援補助金の選考会がありました。先程、沼尾委員長から報告がありましたが、感想を述べたいと思います。水源環境保全・再生につながる活動をどのように評価するかは、私はアドバンテージを十分に見てやることだと思います。今回採択した事業の中に、委員長から話があったように留保条件付き採択がありました。その中で、川辺の生物や景観の保全・復元の活動をしている団体の主張やプレゼンテーションが直接、特定の植物や生物や景観の保全に言及していて、その活動の結果が水源環境保全・再生にもつながることを、自ら説明、アピールしないプレゼンテーションでした。これを、どのように評価すべきかと感じました。そのようなつながりを、私たちが常識的に認めるだけでは足りないわけで、やはり申請団体が自らの言葉と表現で説明しなければならないと思いました。しかし、切り捨てても良いとは思いません。様々な団体が、互いに影響し合い、全体として効果を上げていくことであれば、熱心に活動している団体も、水源環境保全・再生という点で、潜在的な人的財産として幅広に捉える必要があり、その選考の方法を、さらに考える方が良いと思っています。また、1年間の実際の活動の中で、地元の住民から支援を受けたとか、自然発生的に団体同士が助け合ったという事例の報告も受けていて、その点は大変良かったと感じました。2年間、市民事業の選考に関わり、充実した2年間だったと思っています。ありがとうございました。
(金澤座長)
ありがとうございます。
(牧島委員)
私の住む横浜・川崎地域は、水の大消費地であり、かつ木材資源や間伐材の消費地として期待されています。水のありがたみをどの程度認識されているのかと、そのようなところから掘り起こしているわけですが、ニュースレター「しずくちゃん便り」という名前も、事務局と協議しながらネーミングをしました。「しずくちゃん」という名前が普及すれば、親しく、身近に感じていただけるものに育つのではないかと思います。
先程、事務局からコミュニケーションチームに対する対応を逐一ご説明されたので、私もここでいろいろ教えられたことを通して、また一層頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。
(金澤座長)
ありがとうございます。真覚委員、お願いします。
(真覚委員)
2年間ありがとうございました。21年度の森林塾事業について、効果を出してくれると良いと期待しています。それは、事業モニターをして、痛切に感じたことは、少子高齢化や過疎化が予想以上に進行し、地域の担い手や事業の担い手が減少し、将来に対する不安を訴えている方が非常に多い。そのような課題に対する手段としては、市民事業をもう少し巻き込むことと、県外の労働力をもう少し県内に取り込む点がヒントであると思います。
(金澤座長)
ありがとうございます。増田委員、お願いします。
(増田委員)
市民事業のことを話そうと思いましたが、沼尾委員長と福江委員が話されたので、省略します。
コミュニケーションチームに関与しましたが、今後もニュースレター「しずくちゃん便り」を継続する場合、内容をもう少し県民に分かりやすい、平易な内容でも良いと思います。数字等は間違いがないようにチェックが必要ですが、文章については、関係者が主導権を持っても良いのではないかなと思いました。
(金澤座長)
ありがとうございます。柳川委員、お願いします。
(柳川委員)
2年間、大変お世話になりました。私は、事業モニターの水チームで、20年度に4回のモニターに参加して、現地で多くのことを見ることが非常に大事だと思いました。そして、その情報をニュースレターにより、紹介、広報することについて、もっと多くの県民にニュースレターが届くために、どのようなことが可能なのかが、次の課題であると感じました。ありがとうございました。
(金澤座長)
吉村委員、お願いします。
(吉村委員)
この2年間、ありがとうございました。いろいろな情報に触れ、人に触れ、非常に勉強させていただき、良い機会を頂いたと感謝申し上げます。
やはり、現場を見ることにより、森についても水についても、非常に実感を持って感じられると思いました。今、モニタリング調査等をしているので、未知の部分も多く、今後の3年間は事業を検証する期間になると思いますが、まだ結論が出ないことがあると思います。粘り強く見続けて、議論し続けていくことが大事であり、また、それをうまく県民に伝える方法についても、試行錯誤、検証を続けて努力する必要がある、粘り強さが大事だと思います。今後、継続される委員の方は頑張ってください。
(金澤座長)
浅枝委員、お願いします。
(浅枝委員)
2年間、どうもありがとうございました。最終目標は水環境ですが、水環境の改善の方法は、外科手術と漢方薬的な体力増強の2つがあると思います。外科手術とは、例えば、相模湖や津久井湖で実施されているエアレーションなどです。しかし、それは外科手術であり、再発するかも知れません。漢方薬的に、森林や河川の自然を再生することが重要だと思います。今回、委員の皆さんが粘り強く続ける必要があると感じたことは、まさに、漢方薬的な考え方だと思います。このような考え方で、今後も見ていく必要があると思います。ありがとうございました。
(金澤座長)
ありがとうございました。天内委員、どうぞ。
(天内委員)
2年間、大変勉強させていただき、お世話になりました。私もこだわりがありましたが、それは、数多い問題の中の一部でしかなかったと思い知らされました。多くのことを勉強しましたが、今後も一応相模川水系の環境団体のメンバーとして、勉強していきたいと思っております。
(金澤座長)
ありがとうございます。天野委員、お願いします。
(天野委員)
2年間大変お世話になり、ありがとうございました。
私は、この会議に出席して、非常に何とも言えない心境でいつも臨んでいましたが、一言で申し上げれば、私の立場から見ると、水源環境保全・再生の制度は、まさに県の水資源対策の方向性が明確に転換したと強く感じています。
以前、津久井町長を務めている時に、県の企画部長と話をすると、20年間、ほとんど水資源開発の、特に宮ヶ瀬ダムを早く完成し、予定どおり水量を早く確保することに心血を注いでいるとのことでした。保全という言葉は出ませんでした。
しかし、平成12年に宮ヶ瀬ダムが完成すると、水源開発から保全へ方向性が明確に転換されました。金澤先生とともに、この水源環境税制の立ち上げにも少しお手伝いさせていただきました。スピードが遅いとか意見はいろいろあると思いますが、私は素晴らしい制度が離陸して、予想以上のスピードで事業が進められていると思います。
例えば、このような会議に出席すると、津久井湖や相模湖の汚濁問題について、いつもつらい思いをしました。しかし、公共下水道について、私は平成2年に建設に着手、平成7年に供用開始しました。津久井湖、相模湖のアオコの量がしっかりと減少している数値を見せていただいて、やはり公共下水道の効果をはっきりと認識しました。
現在、我々は津久井郡の住民は、水源地域対策の取組だけではなくて、諸々の関係から相模原市と合併しました。そのお蔭で、財政的な理由により一度中断した公共下水道の整備について、相模原市との合併後に、予想以上のスピードで下水道が整備されていますし、合併処理浄化槽の制度も大幅に拡大されました。
ただ、私の住む地域で問題があります。高度処理型の合併処理浄化槽を設置することについて、私の旧津久井町の自治会連合会で市長に陳情が出ました。それは、自己負担分を市で負担してほしい、そうしなければこれに取り組めないということです。これから、市として、どのような合併処理浄化槽に対する対策を出してくるか、今後の課題だと思います。いずれにしても、私は2年間、素晴らしい成果を上げて、今後この5か年が終わった時には相当な成果が出るだろうと、このような感動をしてこの会議に臨んでおりました。本当にありがとうございました。
(金澤座長)
田中委員、どうぞ。
(田中委員)
施策調査専門委員会として、また県民会議のメンバーとして、いろいろご協力をいただきました。また、私自身も参加させていただき、大変勉強させていただきました。まだ課題が残っていますので、引き続き頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。改めて、ありがとうございました。
(金澤座長)
高橋委員、お願いします。
(高橋弘二委員)
点検結果報告書のまとめにあるように、事業モニターについては、委員の事前学習が必要であることが課題であると思いますので、この点は頑張っていきたいと思います。事業モニターを実施したときに、行った先の自治体の熱の入れ方に温度差が結構あります。この大切な予算を使って取り組んでいて、それを見に来ていただくと受け止めるところと、おざなりの返事しかしてくれなかったところもあるんで、もう少し、熱を入れて取り組んでいただきたいというのが、自治体に対する注文の一つです。
(金澤座長)
瀬戸委員、お願いします。
(瀬戸委員)
山北町長の瀬戸です。先程、神奈川県と山梨県の両県の私有林の現況調査を見ても、非常に荒廃林が多いことは明確です。これは、恐らく全国でも同様だと思います。私は常々思いますが、水源環境保全税を使って神奈川県で一生懸命実施することは勿論大事ですが、それだけではなく、今のこのような現況を本当に国として認識して、国家戦略で進めなければなりません。石村さんが発言されるように、結局、経済性の問題です。木材が流通されなければなりませんので。
したがって、私どもは、森林が経済的に生活が成り立つようなあり方に持っていかないとだめだと思います。神奈川県では、この取組みをとりあえず5年、そして20年続けてほしいと思いますが、国にそのことを分かってもらう方向づけを目指して取り組んでいきたいと思います。
(金澤座長)
倉橋委員、お願いします。
(倉橋委員)
今後、協議していただきたいことは、水源環境保全税が主に森林と水質関係にほとんど全部充当されていますが、先程、瀬戸委員が発言されたように、経済的に成り立たなければ継続できないと思います。神奈川県の場合、水源環境保全・再生施策大綱が20年間のスパンですが、その時に本当に森林が自力でやっていけるのかを見極めるためにも、そちらにも税金が確実に充当される方法でなければならないと思います。間伐すると言っても、永遠に続けるのか、その目標を決めていなければ、いつまでも税金を払うわけですよね。その点について、5年の間に話し合う場を、持っていただきたいと思います。2年間ありがとうございました。
(金澤座長)
久保田政宏委員の代理の飯島さん、お願いします。
(久保田政宏委員代理飯島氏)
久保田が2年間大変お世話になり、ありがとうございました。私自身は、まだ本日を含めて2回しか出席しておりませんので、また改めて21年度以降もよろしくお願いしたいと思います。いろいろ勉強させてください。ありがとうございました。
(金澤座長)
久保田英賢委員、お願いします。
(久保田英賢委員)
2年間、大変お世話になりました。なかなか難しい分野で、あまり皆様のお役に立てず、特にコミュニケーションチームの皆様にはご迷惑をかけたと反省していますが、今後は一県民として、この水源環境保全・再生に対して、我々の年代も含めて、まだまだ無関心の層が多くて、税を取られていること自体も知られていないという現実がありますので、一県民として地域の中から、そのような話を、この経験を活かして、伝えていきたいと思います。ありがとうございました。
(金澤座長)
ありがとうございます。片山委員、お願いします。
(片山委員)
私は、農業水利を母体にこのメンバーに入ったので、初めは相当戸惑いを感じましたが、元来、米の百姓ですので、水や森林には非常に関心がありましたので、それに溶け込むのは早かったと感じています。2年間にわたり森林整備について、皆さん方にご案内していただきましたが、森林の整備によって得られる良質な水は、下流の私どもの農業や漁業にも大変貢献をすると思います。私も、今後は米を作りながら、減農薬、農薬の総量を極力低めて、良質な水の確保に努めていきたいと思います。いろいろお世話になりました。
(金澤座長)
ありがとうございます。石村委員、お願いします。
(石村委員)
私は、ずっと森林の経済性を言い続けています。言うのは簡単ですが、実践することについては、経済性生産林集約施業を、私どもの管理する140haのうち80haで4月から始めます。これについては、相模原市が応援してくれて、協働事業として採用しています。
また、この動きについては、毎日新聞の水と緑の地球環境本部というのがあり、これが森林NPO、市民団体としての自立として考えてみないかという提案があり、毎日新聞とも一緒に考えて、呼応することになっております。この2年間、県民会議、県の林政と関係して、随分と勉強になりました。その勉強の、行政と市民団体の関係をどのように持っていくかということで、私はこの集約施業で活かしていきたいと思います。どうもありがとうございます。
(金澤座長)
沼尾委員、一言お願いします。
(沼尾委員)
2年間、ありがとうございました。「市民事業等審査専門委員会」という名前について、審査以外にその市民事業支援制度のたたき台を作るため、皆様の意見の中で、とりあえずその制度ができて、活動する団体が出てきて、それであちこちで水源環境保全に向けた市民活動も芽が出てきて、その連携も生まれてきているということで、そのような動きの芽出しの2年間だったと思っています。
また、県民会議の公募委員の方々も、ものすごく熱心に、どのようにして神奈川の水源環境を守るかについて取り組んでいて、ニュースレター「しずくちゃん便り」のコメントがどんどん専門的なコメントになって、私も勉強しなければならないと感じて、本当に随分引っ張っていただいたと思っています。
この芽が出た取組みを、さらにどのように広げていくのかが今後の課題になると思います。どうもありがとうございました。
(金澤座長)
最後に、座長として、一言御礼の言葉を述べたいと思います。
この2年間、私は、水源環境保全税の38億円を、水と森を良くするために使わなければならない、そして、その意義を県民に知らせていかなければならないという思いで活動してきました。しかし、そのことを通じて、県民の方々が納税者として、5年後もさらに継続していこうと考えるためには、本当にこれが水と森のためになっている実態を作っていかなければならないという気構えで行政にも取り組んでもらわなければならない、そうしなければ続かないという思いで、微力ながら、できることをやってまいりました。
幸いにも、非常に優秀な、やる気と意欲のある委員の方々に恵まれて、十分ではないかもしれないが、その足がかりはできたのではないかと思います。また、機会があれば、第2期についても、私のできることはお手伝いをさせていただきたいと思います。
今回で退任される委員の方々も、前回、坂本委員からご提案があったOB制度のようなものについても、協力委員制度のような形で、この県民会議を中心とした取組みについて、必ずお知らせをするなどの制度なども、事務局にお願いをしたいと思います。
それから、先程、松沢知事に委員の方々への労いの言葉をかけていただきましたが、我々この県民会議がこれだけ活動することができたのも、県の事務局の絶大なるサポートによるものと思っておりますので、改めて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。委員の方々、ありがとうございました。
政策部長から、最後にご挨拶いただけますか。
(黒川政策部長)
皆様、大変お疲れ様でした。本日も、大変活発なご議論いただき、ありがとうございます。また、最後に、委員の皆様一人一人から大変な貴重なご意見、ご提言をいただき、これも我々心にしみて受けとめさせていただいたところです。
先程、知事も申し上げましたが、本日頂いた皆様方のご意見、ご提言、そしてまとめていただいた報告書の意見、また活動の際に頂いた意見を、我々は真摯に受けとめて、今後の施策に活かしたいと考えています。
委員の皆様には、2年間の任期の間に、県民会議の本体、2つの専門委員会、そして3つのチーム、全体で55回にもわたる会議、協議を行っていただきました。大変お忙しい中、心より感謝を申し上げる次第です。2年前に県民会議が設置されたときに、委員の皆様から105件の意見が出されたとのことです。その後、県民フォーラムや事業モニターを実施しながら、いろいろな意見を現在の形にまとめていただきました。
この実行5か年計画で掲げている「県民参加による水源環境保全・再生のための新たな仕組みづくり」ですが、まさに皆様に実践していただいたと感謝しているところです。これも、偏に金澤座長や新堀副座長を中心とした、委員の皆様の献身的な活動によるものと心より感謝申し上げる次第です。
このメンバーでの県民会議は本日が最後になりますが、今後とも様々な場面でご支援、ご協力を頂きたいと考えています。この水源環境保全・再生施策をより一層発展するよう、引き続き皆様のご指導、ご鞭撻いただきますよう、心よりお願いを申し上げまして、感謝の言葉とさせていただきます。2年間、本当にありがとうございました。
(金澤座長)
それでは、時間も大分過ぎてしまいましたので、これにて第8回の県民会議を閉会します。本当に、2年間、ありがとうございました。
【会議終了】
資料1 「かながわ水源環境保全・再生の取組の現状と課題」-水源環境保全税による特別対策事業の点検結果報告書-(案)
資料2 第6回水源環境保全・再生かながわ県民フォーラム活動結果報告
資料3 第6回水源環境保全・再生かながわ県民フォーラム意見報告書(案)
資料4 平成21年度補助金選考結果及び事業報告会結果について
資料5 平成20年度市民事業等支援制度報告書(平成20年12月18日)に対する県の対応状況について
資料6 第4・5回水源環境保全・再生かながわ県民フォーラム意見報告書への回答
資料7 事業モニター(水チーム)の活動及びニュースレター第9号
資料8 事業モニター(森チーム)の活動及びニュースレター第10号
資料9 コミュニケーションチームによる県ホームページに関する検証結果(平成20年11月27日)に対する対応状況表
資料10 神奈川県の水源環境保全・再生施策に係る神奈川・山梨両県による「相模川水系流域環境共同調査」の平成20年度の調査結果について
このページの所管所属は環境農政局 緑政部水源環境保全課です。