ホーム > くらし・安全・環境 > 生活と自然環境の保全と改善 > 開発規制・生活環境の保全 > かながわの水源環境の保全・再生をめざして > 水源環境保全・再生かながわ県民会議の概要 > 第20回(第3期第1回)水源環境保全・再生かながわ県民会議 審議結果
更新日:2020年7月29日
ここから本文です。
次の審議会等を下記のとおり開催した。
第20回(第3期第1回)水源環境保全・再生かながわ県民会議
平成24年5月30日(水曜日) 15時30分~17時55分
神奈川県庁新庁舎 第5会議室
田中 充【座長】、天野 望【副座長】
青砥 航次、足立 功、井伊 秀博、五十嵐 淳一、伊集 守直、井上 貞子、音羽 真東、片山 幸男、金森 厳、久保 重明、倉橋 満知子、木平 勇吉、坂井 マスミ、高橋 克矢、浜野 安宏、林 義亮、増田 清美
平成24年8月上旬
水源環境保全課調整グループ 担当者名 志澤、近藤
電話番号 045-210-4352
(事務局)
それでは第20回水源環境保全・再生かながわ県民会議を開催します。開会に当たり、中島環境農政局長よりごあいさつ申し上げます。
(中島環境農政局長)
神奈川県環境農政局長中島でございます。委員の皆様には、第3期水源環境保全・再生かながわ県民会議委員にご就任いただき、ありがとうございます。また本日、お忙しい中、ご参加をいただきましたことを改めてお礼を申し上げます。
今回新たに委員になっていただいた方もいらっしゃいますので、県民会議について若干ご紹介いたします。平成19年度より、水源環境保全・再生のため、個人県民税の超過課税を設置させていただいています。新たな負担を求めている以上、その施策の内容に、県民の皆さんの意思をしっかりと反映し、施策の効果を明示する。施策の立案、見直しをする場合に県民が参加できる仕組みをつくることが参加型税制の考えです。県民会議の皆様には、この参加型税制の理念を具現化するため、水源環境保全・再生のための取り組みを点検、評価し、県に意見を述べていただくという役割をお願いしています。
県としても、ご意見をできる限り尊重し、今後の事業の展開に取り組んでいきたいと考えています。
私は4月にこの職を拝命して2カ月ほどですが、実際に山も見てまいりました。手入れの行き届いている森林とそうでない森林の差を実感し、正直申し上げて驚愕いたしました。またシカの被害を受けた植生を回復するという非常に長い取り組みも具体的に成果が見えてきたことも実感しまして、こういう成果を県民の皆様にしっかりとお見せして、税が活かされていることを認識していただくことが、大切だと思っています。
今年度からいよいよ第2期5か年計画がスタートします。計画の策定にあたり、委員の皆様からいろいろな御意見をいただき、それをもとに第2期の計画を立てさせていただきました。これから、この水源の環境保全・再生を次の世代の皆さんにしっかりと引き継いでいくために取り組んでまいりたいと思います。皆様のますますのご協力と、ご尽力をお願いし、私の冒頭のごあいさつといたします。
(事務局)
中島環境農政局長は所用のため、ここで退席させていただきます。
― 中島環境農政局長退席 ―
(事務局)
続きまして、本日出席しております、県の職員を紹介いたします。
(河原水・緑部長、今部水源環境保全課長ほか紹介)
(事務局)
今回は第3期最初の県民会議ですので、各委員より自己紹介をお願いしたいと思います。
(青砥委員)
はじめまして。神奈川県自然保護協会の副理事長兼事務局をやっております、青砥と申します。過去には丹沢自然保護協会という団体、理事長の中村さんは今日は欠席ですが、そこで役員をしていたこともあり、丹沢の水源の様子はひと通り見て歩いて、知っているつもりです。よろしくお願いいたします。
(足立委員)
足立功です。私は、平成6年に神奈川森林インストラクターの認定を受け、神奈川森林インストラクターの会を通じて森の活動を継続的にやっています。その経験などを生かし、この県民会議に少しでも貢献できればと思います。よろしくお願いいたします。
(天野委員)
天野と申します。私は旧津久井町で町長を務めておりました。津久井湖と宮ヶ瀬湖と相模湖の一部、そして蛭ガ岳の頂上から谷戸まで広大な水源地域の行政を担当してまいりました。この県民会議には税制創設時からいろいろな形で参加をさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
(井伊委員)
井伊と申します。水源林、丹沢の森林に関心があり、今、山北町にある小さな民間林業事業体と、同じところで活動するNPO法人に所属し、山の手入れや森林教室などの活動を通して、神奈川県の森林環境保全・再生に何らかの貢献がしたいと。今回2回目、再任ですが、過去3年間にやってきたこと、勉強してきたことを踏まえ、頑張ってやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(五十嵐委員)
こんにちは。五十嵐淳一と申します。相模原市城山津久井湖のほとりからやってきました。日々の暮らしは、エコの生活を心がけていますが、個人レベルだと成果が見えず、無力感を感じています。神奈川県民が力を合わせたらなにができるのかということを、勉強させていただきたいと思い、やってきました。知識や経験は全くありませんが、関心だけはありますので、これから2年間よろしくお願いいたします。
(伊集委員)
はじめまして。横浜国立大学経済学部の伊集と申します。大学では地方財政を担当しています。このポストはこれまで神奈川県の水源環境保全に尽力された金澤史男先生がつとめ、私はその後任として、昨年4月に転任してまいりました。その関係もあり、今回、この県民会議にお誘いいただいたと思っております。金澤先生のかわりを務めるには、余りにも力不足ですが、専門の財政面から貢献させていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
(井上委員)
はじめまして。井上貞子と申します。厚木基地、東名綾瀬バス停のすぐ横に住んでおります。私は現在、NPO法人ふるさと環境市民となって、小学生から中学生までの環境学習の講師や、4市1町で年4回行っている目久尻川のクリーンアップ大作戦、目久尻川の水質検査などをやっています。綾瀬市では下水道関係、県営水道モニターをやっていて、何か今年は水にばかりかかわっています。その源である水源林について、もっと勉強したいと思っております。よろしくお願いいたします。
(音羽委員)
音羽です。よろしくお願いします。水の知識は余りなくて、皆さんに教えていただきながらになると思いますが、仕事はマーケティングや、広報活動に近い活動と、業務設計みたいなことをやっていまして、そういったところでは何かお力になれるのではないかと思っています。足りないところは教えていただき、できることは協力してやらせていただきたいと思っています。
(片山委員)
酒匂川水系保全協議会の片山と申します。神奈川県の取水施設である栢山頭首工の管理を務めていますが、本来は小田原の米の百姓です。引き続きよろしくお願いします。
酒匂川の水質と水量に携わる者として、県民会議の皆さんの御尽力にお礼を申し上げるところですが、同時に私たち、米の百姓の立場から考えれば、県産米を大いに食べてもらいたい。一昨年、昨年と発生した、酒匂川の洪水被害は、飲料水はもちろん、農業用水、海、川の漁業関係にはかり知れない影響を与えていますので、引き続き御指導をお願いしたいと思います。
(金森委員)
金森と申します。横浜の青葉区、こどもの国のそばに住んでいます。本業以外、大きく3つのことをやっています。一つは神奈川県の森林インストラクターで、それに付随するNP O法人にもいろいろ入っています。井伊委員とも同じNPOで一緒にやっています。
2つ目が、所有する千葉県南房総の山を整備して、そこへのエコツアーの企画していることです。千葉県の助成金を受けているので職員の方がよく来ますが、千葉で一番きれいな山だと言ってくれています。
3つ目は、八王子にある勤め先の裏山が荒れているということで、自分は東京都の森林インストラクターの認定も持っていますので、昨年ボランティアの会を立ち上げ、会社の資源を使ってやっています。
インストラクターは地球人として、千葉へのツアーは事業主、会社の裏山は企業人、さらに市民として何かやりたいと、委員に応募しました。
仕事は、渉外部でライセンス交渉をしています。なかなか大変ですが、委員は一生懸命やらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(久保委員)
久保と申します。2期の3年間、公募委員として活動しました。ふだんは山に行って、丹沢で遊んでいると言うと少し語弊がありますが、ボランティア活動に参加したり、東京の鶴川の里山で森林整備等をやっています。2期の終わりごろには、情報関係や、事業評価などのフォーマットも作りました。その中はまだ十分にもんでいないところもあり、これからどのように充実させ、利用していくのかなど、やはりもう少し見守りたいという気持ちで、再度応募しました。また皆さんと一緒に働かせていただきたいと思います。
(倉橋委員)
相模原市から参りました、倉橋と申します。私は、桂川・相模川流域協議会という、神奈川県の飲み水の6割を賄っている相模川の水質、水量のための保全活動をしている団体に所属しています。相模川の上流は桂川といい、山梨県に源がありますので、その流域全体の保全活動をしています。水質、水量の問題は水源環境保全活動とバッティングするところです。私たちは、15年前に設立し、地道に続けています。アジェンダをつくり、課題を設定して、それに基づいて活動をしています。なかなか成果がわかりませんが、森林環境保全・再生に少しでも生かせたらと思って参加しております。よろしくお願いします。
(木平委員)
木平勇吉と申します。森林の専門家なので、そういう立場で皆さんと一緒にやらせていただきたいと思っています。
神奈川県最大の水源域である丹沢、あるいは、丹沢大山は、その自然状態が大変乱れており、問題を抱えております。それを県民総動員で再生しようということで、数年前に丹沢大山自然再生委員会ができました。これは、県、国、市町村、マスコミ、企業、NPO、それから研究者と、あらゆる人で構成される団体で、丹沢大山の再生に取り組んでおります。私はその責任者をやっております。
今期はやってきたことの成果を、県民によくわかる形で、また、科学的に納得できるような形で、捉えていく仕事に深い関心をもっております。よろしくお願いします。
(坂井委員)
川崎では、市民の9割以上は多分、多摩川の水を飲んでいると思っています。森林とか、シカとかサルとか言われても、ほとんどの人がそんなことは何も考えずに暮らしています。その人たちにどのように神奈川県全体の県土を守っていく気持ちになってもらうかという視点から皆さんと話ができるといいと思っています。
また、20年計画の中で、20年後にこの水源環境保全税がなくなっても問題ないようにするためには、どうしたらいいかという経営的な視点も持っていきたいと思っております。
(高橋委員)
高橋克矢といいます。私は神奈川に来てまだ1年ちょっとです。もともと、東北の山形県などで生活していました。東日本大震災が原因でこちらに来たわけではありません。今、伊勢原に住んでいます。山形で日本三大急流の一つ、最上川の水質検査などをしてきた経験があり、そうした経験をもとに、神奈川県と、県民の皆さんをよく知り、自分も何かしら貢献したいと応募させていただきました。
(田中委員)
法政大学の田中充と申します。よろしくお願いします。大学では、社会学部と法政大学大学院の政策科学研究科というところで環境政策を教えています。したがって、専門は環境政策です。県民会議には、自治体の政策、あるいは、政策評価、政策立案などの面からかかわらせていただき、引き続き、再任させていただきました。
住まいは相模原で、大学も多摩キャンパスの相原にありますので、毎日山を見ながら生活しています。
(浜野委員)
浜野安宏といいます。おそらく日本の中ではごく初期の段階からフライフィッシングという釣りをやっていました。フライフィッシングは、水生昆虫学と密接に関係しており、私は日本中の河川を歩いて、水生昆虫の実態を調べ、「川は生きているか」という大連載を家庭画報でやりました。それで、日本の川に絶望して、ロッキー山脈に住んでしまった。夏はロッキーに住んでいます。
私は、知事の知恵袋会議の委員もやっております。横浜市には非常に深くかかわっていて、みなとみらい21都市デザイン委員会の委員を最初から終わりまで務めました。ポートサイド地区の都市プロデューサーもやり、一時はアメリカの建築家マイケル・グレイヴスにデザインを依頼した公団住宅の最上階を買わされまして、そこに事務所を移したこともありますが、細郷市長が亡くなったり、いろいろなことがありまして、また東京へ帰ったというようなキャリアがあります。
先日知恵袋会議で写真をお見せしましたが、丹沢は本当にきれいな自然が蘇っています。自然林に戻ってきているからで、川を愛している者としては、非常にありがたい状態です。私は、川は荒れていた方がいいと思います。健全な魚のためには、健全な川が必要です。
最後になりますが、私は忍野という桂川の源流の環境整備、景観整備委員会の会長もやっています。個人の方で、勝手に生活雑排水を流すのをやめない人がいて、10年注意してもやめない。やはり一番悪いのは、流域の住民です。ごみ拾いをやっている上でごみを平気で捨てる人がいますから、これを何とかしないと、問題だと思っています。
(林委員)
神奈川新聞社の林と申します。私は、前にも申し上げましたが、県庁に詰めていたころ、この水源税に関しては非常に苦労した覚えがあります。
第3期の県民会議のメンバーとして皆さんのお仲間に加えていただきました。引き続きよろしくお願いします。
(増田委員)
私が水源環境に最初にかかわったのは、横浜国大の金澤先生の「水を未来につなぐシステムづくり」というゼミに、私は学生ではありませんが、入らせていただくチャンスがあり、4年間、地方財政から見る水について、多少なりとも学びました。この水源税を県民900万人にいかに周知するかは大事な課題だと思います。今所属している県政モニターOB会は全県に会員がいます。微力ですが、努力したいと思います。よろしくお願いいたします。
(事務局)
ありがとうございました。本日は知事が所用により出席できませんので、黒川副知事がごあいさつ申し上げます。4時半ごろ到着する予定です。
これより議事に入ります。座長をお決めいただくまでの間、今部水源環境保全課長が進行役を務めさせていただきます。
議 題
(1)第3期県民会議の運営について
①座長の選出について
(今部水源環境保全課長)
議題(1)の①座長、副座長の選任方法をご説明します。水源環境保全・再生かながわ県民会議設置要綱第4条の第2項より、座長は委員の互選、副座長は委員の中から座長が指名することとなっています。
最初に座長の選任ですが、互選ですので、どなたかご推挙いただければと思います。
(林委員)
県民会議に長く携わってこられ、水源環境の事情にも、課題にも非常に詳しい田中先生が適任ではないかと思います。
(今部水源環境保全課長)
ただいま、田中委員を推薦するご発言がございましたが、いかがでしょうか。
― 各委員了承 ―
(今部水源環境保全課長)
それでは、座長には田中委員にご就任いただきます。
― 田中座長席を移動 ―
(田中座長)
ただいま、皆様からご推薦いただいた、法政大学の田中です。よろしくお願いします。
神奈川県水源環境保全・再生かながわ県民会議は、貴重な税金、年間約40億円近くを投入する、神奈川県の水源環境保全、森林再生事業および施策について、評価、点検、監視をし、それをわかりやすく県民に発信する役割を担っています。大変重要な役割だと思います。
皆様の自己紹介を伺って、幅広い分野から委員が選ばれていることに大変心強い思いがいたします。皆様のご協力、ご尽力、そして事務局の皆様のお力添えもいただき、この県民会議の活動が成果を上げていくよう、私も微力ですが、務めてまいりたいと思います。
委員の皆様には、忌憚のない意見を遠慮なく発言していただきたいと思います。ただ、会議が非常に長引く場合には、発言を多少短目にとお願いすることがあるかもしれませんが、基本的には、できるだけ尊重したいと思っています。ご協力のほど、お願い申し上げます。
②副座長の選出について
(田中座長)
設置要綱に従い、私から指名させていただきます。副座長は天野委員にお願いしたいと思います。
― 天野委員了承 ―
(田中座長)
それでは、天野副座長、どうぞこちらの副座長席にお移りください。
― 天野副座長席を移動 ―
(田中座長)
天野副座長から、抱負などごあいさつをお願いします。
(天野副座長)
微力ではございますが、一緒にこの会議を進行させていただきます。よろしくお願いします。
私は20年間、宮ヶ瀬ダム建設に深くかかわってまいりました。宮ヶ瀬ダム建設とあわせて、相模湖、津久井湖流域の下水道を実現したいと思い、横浜市長、川崎市長、横須賀市長、神奈川県にもお願いして、ようやく平成2年に着工し、水源地域対策の一つを担ってまいりました。そして、この県民会議に参加させていただきました。この新しい税制は、水源地対策の大変な力だと実感しております。
私たち水源地域といわれる4町は、平成17年に相模原市に合併しました。水源環境税と相模原市の行政力により、とてもできるものではないと思われた地域で公共下水道も着々と進んでいます。この水源環境税がいかに水源地域の回復に効果を上げているかということです。
今後とも、皆様と一緒に頑張ってまいりたいと思います。水源地域対策にご協力をいただきたいと思いますし、田中先生にもよろしくお願いしたいと思います。
③県民会議の仕組みについて
(田中座長)
県民会議の仕組みについて、事務局から説明をお願いします。
(事務局から資料2により県民会議の仕組みについて説明)
議題
(2)専門委員会の運営について
①施策調査専門委員会委員の選任について
②市民事業専門委員会委員の選任について
(田中座長)
まず2つの専門委員会の委員を選びたいと思います。これまでの経緯も踏まえ、まず施策調査専門委員会には、埼玉大学の淺枝委員、天野副座長、伊集委員、木平委員、中村道也委員、そして、私も前回から関わっておりますので、入らせていただいて、6名ということでお願いします。繰りかえしますと、淺枝委員、天野副座長、伊集委員、木平委員、中村道也委員、そして私、田中です。
次に市民事業専門委員会ですが、これも今までの経緯等を踏まえ、萩原委員、服部委員、浜野委員、林委員、増田委員の計5名でお願いします。それぞれ、大変重要な内容のある委員会です。皆さんのご活躍をお願いします。
専門委員会には、オブザーバーとして各委員の参加が可能です。開かれた形で専門委員会を進めていただければと思います。
ここまで県民会議の仕組みの説明と、専門委員会委員の選任をさせていただきましたが、これまでの内容について、ご意見、ご質問がありましたら、お願いします。
(伊集委員)
第1期、第2期まで30名だった委員が今回から24名になり、特に関係団体からの人数が半分になっているということです。この点について理由を教えてください。
(事務局)
第3期では、情報関係の有識者委員を、これまで施策への関与が少ないことから、1名減としました。
行政関係の団体については、神奈川県自治基本条例が制定され、各市町村の意見を集約し、協議を行う制度ができたことから、市長会、町村会の2名を縮小しました。
経済・労働関係団体については、県民会議における役割が小さいことから3名の減少。公募委員につきましては、従前どおり10名としています。
(伊集委員)
市長会等に関しては、意見集約をする新しいルートができたということですが、県民会議と関わらせる場を設けるというようなことはあるのでしょうか。別のルートで。
(事務局)
自治基本条例では、市町村からの要望があれば別に協議機関を設置して協議することとしていますので、県民会議とはまた別のルートで、協議を行うことになります。
(田中座長)
第3期は、1期、2期の経過を見て、少し体制を組み替えたと私は理解しています。
議題
(3)第2期県民会議からの引継事項について
(田中座長)
第2期県民会議からの引継事項について、事務局から説明をお願いします。
(資料5により事務局から説明)
― 黒川副知事入室 ―
(田中座長)
途中ですが、黒川副知事がお見えになりましたので、ごあいさつをお願いします。
(黒川副知事)
副知事の黒川でございます。会議の途中で突然に参加して大変申しわけございません。
水源環境保全・再生かながわ県民会議第3期のスタートに際し、一言ごあいさつさせていただきます。皆様、このたびは県民会議委員を引き受けていただき、ありがとうございます。
今回新たに御就任いただいた方もいらっしゃるわけですが、新たな視点からいろいろご指摘いただければと思います。また、引き続きお願いする委員におかれましては、これまでのご経験を踏まえ、活発なご議論をお願いします。
水源環境保全・再生施策の財源は、個人県民税の超過課税です。水源環境保全税といっていますが、超過課税をお願いしていることから、この水源環境保全・再生施策のスタートとともに、県民の意見も積極的に反映していこうと、この県民会議を設けました。
これまで5年間の取り組みのなかで、県民の視点から施策の点検や評価、あるいは県民フォーラムの実施 、ニュースレター発行など、本当にさまざまな活動を積極的に、精力的に行っていただいています。
この4月から、第2期実行5か年計画がスタートしました。これは県民会議のご意見をもとに、県議会、市町村のご意見も踏まえながら、策定したものです。
今期の特徴として、シカの管理と連携した森林の整備、県外の上流域対策を山梨県と共同して行う施策も盛り込みました。これなどまさに、県民会議のご意見を施策化したものです。
この第2期計画に今後5か年間しっかりと取り組み、委員の皆様には今後とも県民の視点から、活発なご議論をお願いできればと思います。
もう一つ、神奈川の新たな総合計画、グランドデザインと呼んでいますが、これからこれを黒岩県政の羅針盤として、県政を推進していくわけですが、この総合計画の中の1つの大きなプロジェクトとして「水のさと かながわ」があります。
このプロジェクトの趣旨は、丹沢など多くの水源を持つ神奈川の豊富な水の魅力を最大限に生かし、神奈川の活性化につなげていこうということで、重点プロジェクトと位置づけています。水を育み、守り、生かす、取り組みを推進し、水源の保全・再生によって神奈川の地域資源である水の魅力をより高めていこうということで、まさに知事の肝いりといったプロジェクトになっています。その意味でもこの水源環境保全・再生施策は、重要な位置づけをされています。
取り組みの成果はこれまでも着実に出ているのは間違いありませんが、言うまでもなく、この施策は短期で終わるものではなく、息の長い取り組みが必要です。今後も県民の理解と御協力を得ながら、進めていかなければなりません。その意味でも、神奈川の水源を守り、良好な状態で次の世代に引き継いでいくことが大変重要です。委員の皆様にもこれからの2年間、施策の点検、評価、あるいは県民への情報提供など、引き続きお力添えをお願いしたいと思います。ありがとうございました。
(田中座長)
お忙しいところをどうもありがとうございました。
副知事は、所用によりこれで退席となります。ありがとうございました。
(黒川副知事)
あいさつだけで申しわけないのですが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
― 黒川副知事退席 ―
(田中座長)
それでは、引継書の説明の続きをお願いします。
(事務局から引継書について引き続き説明)
(田中座長)
ありがとうございました。ご意見、ご質問がありましたら、どうぞ。
(音羽委員)
目標値、評価という言葉が再三出てきますが、どこを見ればわかるのかがよくわからなくて。例えば、資料5の2ページ目に平成19年度に「良質な水の安定的確保」という言葉がありますが、これが目的なのかなというふうには見えますが、この言葉の定義はどこかに書かれていますか。どれぐらい汚染されているものが改善したとか、浄化能力が上がったとか、そういう評価の妥当性を見きわめるものは見当たらない気がして、何をもって評価と言うのか、新任の立場からは見えなかったので、その辺を教えていただきたいと思います。
また、先ほど予算が40億円ぐらいと聞いたのですが、その投資対効果、どこにどういう投資をして、どれぐらい効果を出しているかということと、その効果に対する妥当性というか、その施策は、よかったのか、悪かったのかということを、教えていただきたいと思います。
そこにつながるものとして、たとえば参考資料「情報提供等に係る課題、改善案及び今後の対応」には、こういうことが起きているという事象が書かれています。経営改善などするとき、この事象はなぜ起きているのかということを追及して、それに対する解決策を打ちます。そしてそれ以前に、神奈川県民が何万人いて、どれぐらいに知ってもらう必要があるという目標値の設定がないので、課題を解決するプロセスになっていない気がします。
もう1つ、資料5の5ページ目にNPO等が行う事業を支援するとありますが、やはり目標値や、全体の目的にNPOの支援がどうひもづいているのかが見えないので、そのあたりを教えていただきたい。
(田中座長)
今のことに関連してほかの委員からも何かありますでしょうか。よろしいですか。
それでは、まず、事務局から答えていただいて、それから委員に補足してもらいましょう。
(河原水・緑部長)
では、私から説明させていただきます。
まず、良質な水の安定的確保の評価の指標は何かということですが、「施策調査専門委員会 参考資料」の施策調査専門委員会のインデックスがついている、0-4ページの表「各事業の評価の流れ図(構造図)」をごらんください。その一番右に最終的なアウトカムとして良質な水の安定的確保があります。何をもって良質か、何をもってその評価をやるのかについて明確な定義はありません。水道水質をクリアするとか、アオコの発生がないとか、そういうものはありますが、科学的に水道水質以上の何という基準はありません。ただし、ここにたどり着くために、例えば「2次的アウトカム」では、水源かん養機能が向上する、その前の「1次的アウトカム」では、下層植生の回復や、土壌流出の防止など、要は施策を行うことによって、住民にアウトプットができて、アウトカムが出てきて、最終的に良質な水の安定的確保につながる、こういう施策体系の中で事業を展開していくことが、1つ目の答えだと思っています。
(音羽委員)
今のところをもう少し聞きたいのですが、通常、経営改善などやるときは、定量的評価と定性的評価ということをやります。定量的というのは数字で、例えば電話の件数が何件取れましたとか、定性的なところは、感じよくやりましたとか、笑顔になれましたとか、そういう一番末端のゴールとするところの評価がなくて、その前の評価でどうやっているのかがよく見えないのですが。
(河原水・緑部長)
それは水源の森林づくりなど、0-4p表の各事業について、施策調査専門委員会で評価を行って、2枚後の1-1pから、事業ごとのねらいや目標、事業費の算定、定量的には、どれだけの事業を行っているのかなどの評価を、1-6pにありますように、植生や、土砂移動量、光環境などの観点からモニタリングしていきます。その結果が1-7pになります。
定量、定性についても、この点検結果報告書の事業評価に含まれるという構造です。
例えば、1番の事業ですと、1-10pの13「総括」で、水源林の確保・整備がどうだったか。1-11pでは森林塾についてはどうだったかを、施策調査専門委員会で評価し、最終的に県民会議でこの評価結果を報告書の形で報告します。
(音羽委員)
新任の皆さんに特に聞きたいのですが、評価と聞いて、目標値がないという話と、こういう評価の仕方で妥当性があるのか、新任で入った我々としては、それでよしとしていいのかというのは、どうお感じになりますか。
(伊集委員)
今日の配付資料にはありませんが、例えば、第2期の取組と実行5か年計画があり、そこで目標が設定されています。それに対しての評価が、取り組みの現状と課題だと思うのですが、これはそういう経過的なものを含めて書いているのではないでしょうか。
(音羽委員)
それは定量的、定性的目的はないと言っていたことと矛盾するように聞こえますが。
(田中座長)
では私から補足します。0-4pの図は概念図であって、良質な水の安定的確保というのは、非常に抽象的な高度な理念です。これは例えば神奈川県政が県民の安全福祉を向上すると言うようなものです。それでは、その良質な水の安定的な確保のために、どういう事業を展開してそこにたどり着くかというプロセスが、1番以降に事業として示されている施策です。直接的な9事業の他、県民会議の推進や、水環境モニタリングなど、計12事業が水源環境保全・再生事業として位置づけられています。そしてこれら12事業全体の到達目標が良質な水の安定的確保ということです。
良質な水の安定的確保そのものには数値目標はまだ設定できておりません。とりあえず、事業レベルで数値目標を立てているのが今の考え方です。
例えば、水源の森林づくり事業は、5年後の森林の整備面積を目標値に置いています。ですから、5年間で1,000ヘクタールとすれば、年間ではその5分の1の200ヘクタールに対する達成度を見ていくという仕組みになっています。
つまり、この良質な水の安定的確保は、1年、2年で実現できるものではなく、水源環境保全事業のみならず、従来から行っている水質規制や、森林事業、他の事業もあり、そういうものと合わせて到達するわけです。ですから、最終目標は、非常に高度な抽象的な目標で、いわば、定性目標です。けれども、一応事業レベルでは、数値目標を入れて、その事業の進捗管理をしている、そんな構造だと思います。
(音羽委員)
事業レベル評価についてはよくわかりましたが、最終的な良質な水の安定的確保の目標設定は、いつ行われるのですか。5か年計画の5年目なのか、それが見えないので。
(田中座長)
これはいつということではなく、つまり、理念としての水の安定的確保です。ただ、良質とは何を指すのか、例えば水質環境基準なのか。また、安定的確保については、一定程度の渇水時にも困らない水量、水源が確保できる、そういうベースラインがありますが、では、何ppmであるとか、何万トンの水を確保するとか、そういうことにはなっていません。
(音羽委員)
ずっと置かないということですか。
(田中座長)
今のところ、置くという合意はなされていません。
(音羽委員)
では、我々の役割や、機能という意味では、各事業の評価をするということですか。
(田中座長)
ひとまずそうなります。ただ、それでいいのかという議論もあり、この0-4pの直接事業のところに、各事業の量的指標、アウトプットAと書いてあります。これが私が言及したところです。さらに言えば、質的指標Bと、1次的アウトカムとして、単なる事業の目標ではなく、その事業を行った結果、どういう効果があらわれてきたか。例えば、植生が回復してきているとか、土壌の流出が止まったなど。そこから2次的アウトカムとして、水源のかん養機能の向上というものが出てきます。つまり幾つかの事業が多面的に行われた結果として、水源かん養機能全体が向上することをねらいとしているわけです。さらにその結果についてモニタリング調査をする。そうすることで、5年前に比べて、どの程度改善したか、さらにその評価手法、把握手法、測定手法も同時に開発しています。なかなかこの点が、まだ行政分野においても、いろいろ研究開発の途上のところがあるということです。
それから、もう一つ言えば、施策調査専門委員会の中では、森林水循環機能を考慮した生態系のあり方など、水と生態系、森林と生態系を結びつけて複合的な効果を評価しようというところまで、この第3期は踏み出そうと検討をしています。
ということで、施策の最終的な目標、数値目標や定量目標を置くには至っていない。今のところ、いつ置くのか、まだ合意もない。しかし、少なくとも効果を測定しようといった問題意識は持っていて、そのための取り組みは始まっているし、あるいは、その手法の開発も始まっている。そういう現状ですということで、ご理解いただきたいと思います。
(音羽委員)
私は経済の世界から来ているので、バックキャスティングというか、ゴールを定めて、あるべき姿を描いて、それに向かって何をすべきかという思考の仕方をします。ですので、積み上げ式もいいのですが、それだと、目標にいつ到達できるのかといったときに、生きているうちなのか、死んでから100年後なのかわからない。その辺を今、決めきれないのはいいですけど、そこを決めないと、適切な評価とか、投資対効果は見えないのではないかということをとても感じています。
私も委員として、お金をいただいてやるわけで、友人、知人にはやはり説明する。そのとき、そういう課題があるという状況の中でいつ決まるのかと、多分聞かれるはずです。同じ思考の人がやはり多いので。そこはやはり気持ち悪さは残るというか。
(浜野委員)
音羽委員のおっしゃっているのは、経済学の話ですが、具体的に森林を評価するときに、針葉樹林と、自然の闊葉樹林(広葉樹林)とは大きな違いがあって、針葉樹林は幾ら整備してもかん養能力は上がらない。そこに、経済モデルとは大きな違いがある。ケースを見せますと、丹沢の自然林はよみがえっています。私たちは、魚を釣って、その魚の質、水生昆虫の質ではっきりとわかるわけです。
だから、そんなに大きな指標を取らなくても、水生昆虫の状態を毎年調べていれば、各河川の状況は全部わかります。また、神奈川には21の管理釣り場があり、一番大きい芦ノ湖では魚を放流して、釣らせてお金を稼いでいます。そこに海賊船などが浮かんできて、平気で吸い殻を捨てて、その吸い殻を食って魚が死ぬ。そういったことなども含めて、全部考えなくてはいけないので、簡単には評価はできません。一番簡単な方法は、どれだけ魚が生き残ったかとか、あるいは、管理釣り場が経営的にやっていけているかなどです。
(音羽委員)
それであれば、その方法で評価すればよいと思います。
(浜野委員)
私は1つの指標を挙げただけで、ほかにも、例えば針葉樹林がどれだけ闊葉樹林に変わってきたかなど、いろいろな評価がある。今、間伐をやって切り出してもお金にならない。私は、伊豆に山をもっていますが、「切ってもお金にならないですよ」と言われてがっかりしている。そのような状況で皆放置しているが、それを荒れたというのか、自然に戻ったというのか、見方によって評価が違う。だから一様ではない。どこでデータをとるのかということが問題になる。
(音羽委員)
もちろん、私も経済に全部当てはめるつもりはありません。ただ、あるべき姿、どういう社会を目指したいのか、どういう水源を目指したいのかは、多分合意できるはずで、その目的に向けて何を積み上げていくのかという、その目的が見えないので、そこを決めないと適切な評価はできないのではないかと。
(河原水・緑部長)
先ほど5か年間計画の話をしましたが、その大もとには平成19年度に20年間の取り組み目標を示した施策大綱があります。その中では20年後の目標値が設定できるものはしてありまして、水源の森林では、5万5,000ヘクタール確保して整備する、ダム湖の水質は、アオコ発生レベルがゼロから1のレベルまで下げる、できるものはそういう目標設定をしています。それに沿って事業を展開していくわけですが、個々の事業のやり方がこれでいいのか悪いのか、それはやりながら反省点を踏まえて、自己評価で見直していく、こういう手法で5年ごとに計画を立てて進めているのが全体の流れです。
(田中座長)
音羽委員のおっしゃることが、本質的な議論に入ってしまいました。この水源環境保全の目的は何か、その目的、あるいは目標水準を明示しなければ、評価も本来できないのではないかということだと思います。
事業レベルでは数値目標を設定していますが、ただこの事業を一体どこまでやれば本当に成功したと言えるのかということが究極の問いだと思います。そこは、今のところまだ、文章の記述しかありません。目標水準などは、やはりどこかで打ち出す必要があるかもしれません。そうしないと、県民にわかりにくいかもしれない。これは重要なご指摘なので考えていきたいと思います。
そのほか、年間40億円の投資効果、それはどうやって評価するかなど、趣旨としては同じかと思います。
これについては、点検結果報告書、13-4、6、7pに、5か年でどこにどれだけお金を使ったかという詳細を載せています。これも、事業レベルでの進行は把握しているが、究極の目的である良質な水の安定的確保にどこまで近づいたかという意味での指標の設定がまだ甘いのではというご指摘かと思います。
長くなりましたが、もし音羽委員のほうで何かあれば。
(音羽委員)
情報提供については、私も結構知見があるので、幾ら投資したらどれぐらい認知度が上がるかなど、大体わかるのですが、そういう数値目標を作る役割は誰にあるのですか。私たちが作るのですか。
(田中座長)
今の話、「県民参加による新たな仕組みづくり」や、県民フォーラムなどのPRに関してはどのあたりに載っているのでしょうか。
この13-6、7の中の、どこに金額が入っていますか。県民会議の設置・運営の事業の中に一括して収まっているということですか。
(事務局)
はい。県民会議の運営に入っています。
(田中座長)
ということは、どこまで周知したらいいか、年間の認知度を何%にするか、それも我々のほうでまさに作業チームとして設定します。自己目標として。
(音羽委員)
それは先ほど選定されていた専門委員会が設定するということですか。
(田中座長)
総体として県民会議がその役割を担うということで構いません。
(音羽委員)
では、これらの事業に関する評価指標はこの県民会議のメンバーが設定する義務を負っているということですね。
(田中座長)
義務を負うというか、つまり情報の認知度をどのぐらいに上げるかということを目標として置くことは全く支障がない。むしろやったほうがいいということかもしれません。
(音羽委員)
私の質問は、個々の事業の評価指標を作るのは、この県民会議のメンバーの役割なのかということです。例えば、先ほどヘクタールの話とか、水生昆虫の話とか、そういう話は、ここのメンバーの役割なのか、行政の皆さんの役割なのか。
(田中座長)
施策の評価とか、点検のあり方ですので、県民会議の役割だと思います。
(音羽委員)
評価指標をここで合意したら、その評価指標に基づいて調査してくださいという言い方になるのでしょうか。
(田中座長)
評価、把握の仕方も場合によっては、ここで指示するということもできますし、あるいは、指標だけ置いてデータは行政からいただいて、つき合わせをするというやり方もあると思います。ご指摘のように、評価や把握の手法もこちらで開発するということもあり得ると思います。先ほど言いました、森と生態系と水の関係をどう考えるかなども、専門委員会で考えていこうとしています。これは評価の仕方です。把握の仕方も検討課題としています。
(浜野委員)
それは一番大きな問題ですね。
(井伊委員)
今の質問に関連して。やはり目標はあって、それがちゃんとできているかチェックをするということ、あとはやはり、手入れをすることで本当によくなるのかという、素朴な疑問があって、それをモニタリングしていますが、今の内容でいいのだろうかと思いながら、期待を持ちつつ、見つめてきたというのが私自身の関わり方だったので、それがどういう結果になるかということについては、「よくなるのでしょう」ということを信じてやってきたということですね。
(音羽委員)
確かに手を入れれば、品質は上がるので、それはそれで間違いではないと思います。ただ、どこを目指すのかというものがないと、小さい積み上げなのか、大きい積み上げなのかは全然違うと思うので。どこに影響するのかとか、その辺が見えなくて、経済で生きる人間としては気持ちが悪かったということです。
(坂井委員)
数値に置きかえられるものと、目指すものとは違うと思います。私は20年計画と聞いたときに、課税の開始から20年後には、私たちの働き次第で、それが要らなくなる社会、要らなくなる仕組みができて、別の新たな超過課税が社会の次の問題に必要になる。子供の数が減っていますし、いろいろなことが問題になって、税金の新らたな使い道が出てくるわけです。自然の営みはゆっくりですから、いきなり結果が出るわけではありませんが、5年間40億円を使ってやってみて、とりあえずこんな感じだったというところまで来た。だから、後の15年を私たちはどう生きていけば、20年目にゼロにできるかということを考えないといけない。そうすると、水源という言葉にとらわれますが、実際は健全な水循環、あるいは、健全な独自化、農商工連携の世界がそこに構築できているか。水源だけを見るのではなくて、人とお金と物がどのように廻れば、20年後が築けるかということを考えるのが私たちの仕事だと、私はとらえています。
(音羽委員)
ここに書かれている目標は、良質な水の確保という目標ですけれども、坂井さんのお話からいくと、仕組みづくりが目標ということですよね。
(坂井委員)
私はそのように考えています。でなければ、20年後には消えませんから。
(音羽委員)
ということであれば、5年後の評価とは別に、あと15年で成果を出さないと、価値がないことになります。
(坂井委員)
そうですね。何年たったらどのぐらいの段階を目指すのかということは、共通の認識として持ちながら、今の投資の仕方は余りにも対症療法に過ぎていないか、根本原因の解決になっているのかということを、確認しながら進んでいくことが、私たちの仕事だと思います。
(音羽委員)
ありがとうございます。今のお話は、すごく重要だと思います。水と仕組みの評価が要るという話だと思います。20年後に、この超過課税を切っていいという評価を何をもってするのか、それがないと、多分、やめられないのではないかという話だと思います。
(浜野委員)
この点検結果報告書を見たとき、森林のあり方に対しての議論が少し足りない、また予算の使い方が違うのではないかと思う河川がいくつかある。
林野庁のやった大きな間違い(針葉樹(スギ、ヒノキ)を植林したこと)をどこかで是正しなければいけない。
丹沢山系は急斜面が多いのでゴルフ場は少ないが、それでもいくつかある。ゴルフ場では大量の農薬を散布するので、アオコが出てしまう。これを元に戻すには莫大なお金がかかる。アオコというのは絶望的で、魚でいうとブラックバスの領域、とうていヤマメは棲めない。
そういう意味でこれを見ると、いろいろな価値観が錯綜している。よりよい水を手に入れるためには、針葉樹よりも闊葉樹の方がよいに決まっている。林業がダメなら、ではどうやって保水能力のある樹に変えるのかということになる。そこで、砂防堰堤などをやたら作って水の流れを緩めようとするが、そのたびに川は汚れつぶれていく。砂防堰堤やダムは、保水する一方で、水を汚染している。水を貯めてしまうのだから富栄養化するのは宿命で、最もよいのはダムがないことだ。しかし、ダムがないと都市部に水を供給できないわけで、良い面と悪い面がある。
(倉橋委員)
水環環境税を設けたのは、民間のいわゆる荒れた森を何とかしなくてはということでした。それは戦後、至る所に植えられた針葉樹がもともとの原因です。植えただけで、何も手入れをせずに来てしまって、40年も50年も経ってしまった。
本来は木を植え、育てて、お金にすれば、何も税金を投入しなくても、森はきれいなはずですが、それがお金にならなくなって、放置されてしまった。今になってどうにもならなくなって、地主だけでは対処できない。そこを何とかしようと、税を投入しています。しかし神奈川県の森林事業は、もうほとんど体を為しておらず、循環がすべて切れてしまっている。循環さえちゃんとしていれば、何もしなくても、常にいい水が手に入るわけです。そこがやはり、経済がきちんと成り立たないと、20年後もまだだめなのか、というところです。
私は、やはりまず循環されて、地主さんが自分で手入れできるところまでもっていくことが、最終目的ではないかと思います。それによって、生物多様性や良好な水質が保たれると思います。
(金森委員)
私は丹沢の山を歩いたり、木を切ったりしていますが、要は待ったなしの状況です。目標というのは確かに必要です。ただ、これは確立された分野ではなくて、神奈川が先駆的に、壮大な実験をやっているのではないかという気がしています。だから、これは幾らで評価しましょう、こうときはこういう目標にしましょうという、それが出てくるのはおそらく何十年後で、だから我々は困っているのですが、やるしかないという状況ではないかと思います。私はそういうふうに理解しています。
(井上委員)
5月21日の朝日新聞で水源林を守る自治体が非常にふえている、要は私有林所有者が、高齢者になり、間伐材もお金にならず、そのまま放置されていると。一方、水の確保のために外資が投入され、外国の方が地下水とか、水を買いたいという、そこまで来てしまっている。これは私たち自治体も早急に手を打って、水源林の買収と言ってはおかしいですけど、確保しなければいけない時期に来ているとつくづく思いました。
(五十嵐委員)
私の住んでいる城山の近くで、今圏央道が建設中です。その現地見学会に参加したのですが、首都圏の渋滞緩和は自然にも優しいという広義を盾に、自然破壊を進めているような印象を受けました。作業車なども最新鋭の設備で、トンネルを掘ったり、橋を造ったり、すごい勢いで自然破壊が続いている。これは、城山だけではなくて、日本中、世界中どこでも繰り広げられていて、自然の治癒能力が追いつかない状態にまで来ています。これは5年や10年、20年ぐらいの時間では決して取り戻せるものではないと感じています。
この活動は、今の経済至上主義の社会が止まらない限りは、続けていく必要があるのではないかと思っています。
(久保委員)
私も最初は、指標に照らして考えるのが、一番わかりやすいと思いました。しかし、実際に山へ行ってみると、現実の山の中には、既に誰のものかわからないところがたくさんある。そういう問題をうまく工夫しながら、全体を整備していくというのはやはり非常に難しい。だから、施策委員会が出している企画をどのくらいやったか、どのくらい投資したかという形で、やらざるを得ないように思います。最終的な目標をフォローするというやり方が一番わかりやすいとは思いますが。その辺が葛藤するところだと私自身は思っています。
(青砥委員)
水源環境保全をずっと県がインストラクトしてやっていることは承知していましたが、同時に丹沢の自然再生もやっていて、その違いがよく見えない。つまり、水源環境保全も、自然環境の保全・再生と同じではないかとずっと思っていて、今もそう思っています。その「再生」の目標をどこに置くかということが今日の議論になっていますが、私は生物系の人間で、経済的な数値目標を置くことについてはよくわかりませんが、丹沢の様子は、私がよく歩いていた何十年前と今とでは全然違う。それを戻すためにはどうしたらいいのか。そのころの山はもっと生き生きとしていて、水量も、水質もよかったように思います。社会条件も違っていて、大変ですが、それをするのが、私たちの目標ではないかと思うわけです。
では、どのようにその目標を作っていくか、例えば生態学的には、どういう種類の生物がどの程度いるのか、どういう種類の木がどういう状態で生えているか、そういうことは数量で把握できるので、目標を作ることはある程度可能だと思います。今から15年先にわかるような目標でなければいけないと思います。ある程度それができればいいと思っています。
(足立委員)
環境という問題には、多くの側面がありますから、評価するとしても、そんなに簡単に、単純に数値表示するのは難しいと、私は基本的に考えています。水にしても、空気にしても、いろいろなところに関連しているわけです。ですから、そういう全体的な視野に立っての数値目標は至難の業だと思います。だから、ある程度、わかる範囲でやっていくものを積み重ねていくほかないのではないかと、私は考えています。
(高橋委員)
施策の数値目標は非常に大切だと思いますが、先ほど各委員から次世代に残すためという、メッセージ的な意味合いもあるし、実際そうしなければならないというご意見もありました。私は20代ですが、20代でこの水源税を知っている友人や、知人は本当に少なく、今の若い世代につなげるという意味であれば、これまで以上に周知を徹底していかなければ、次世代を担う人たちの目的意識や、意識改革につながらないと思いますし、そういう意識改革から生まれてくるものもまたあると思いますので、そういうことも重要ではないか思っております。
(田中座長)
この点について、木平先生いかがですか。
(木平委員)
今までと違う新しい意見、視点をここでみんなが述べるのは非常にいいことだと思います。そして、いろいろな方がいろいろなことをおっしゃいましたが、そういう疑問に対して、私たち、あるいは、事務局も答えられないのが、現状だと思います。
今日の資料の中に、今期への引継事項があります。これはまさに、指摘された問題を解決しようという意思のあらわれです。多くの具体的な引継事項の中で、特に注目したいのは、水環境を主眼にした森林生態系の評価です。
この言葉にすべて集約されていると思います。今日のいろいろなご指摘は、これから我々がやらなければならないことへの明解なご意見だと思います。ですから、やりたいと思います。誰がやるかといえば、これは自分がやる以外あり得ません。そういうことです。指摘されたことは全部やらないといけないと思います。
(片山委員)
山へ行ったことがあると思いますが、余りにも荒れ過ぎている。森林の整備を主目的に、ある程度の税金を元に事業を進めてきた。それはそれで進んでいるのでしょうが、まだ、万全ではないというか、水が汚れていたりする。しっかり山の現状を見てほしい。現地を見て「荒れている」ことを再認識する必要があるのではないでしょうか。いつまでに目標を定めるかは、それからでも遅くないと思います。現実に見てもらいたい。山へ入った経験者が言っていることをだまされたと思って信用してください。
(増田委員)
今日は専門性を持った方や、県民目線からとか、いろいろ拝聴し、活発な意見でこれからよい方向にいくのではないかと思います。私も数値目標は非常に重要だと思います。県の施策でもいろいろな数値目標を立てて、突き進んでおりますが、やはり私は、以前、黒岩知事の市民対話の第1回に出たときにも発言したのですが、目標は数字だけではあらわせないものがあると思いす。だから、それをどのようにやっていくかが、課題だと思います。
水の安定的供給とは、目標を立てれば解決するものではありませんし、例えば、昨年の3.11のような予想できない災害が起きたときに、やはり幾ら整備していても、またリスクを負う状態になる。ですから、15年後というのも1つの目標として大事ですが、予測できない自然災害などにも対応できるような水源づくりということも重要ではないかと思います。
それと、高橋委員が言ったように、20代の若い人たち、そして900万人いる県民の多くがまだまだ水源税を知らない。やはり周知することは、県民会議の1つの役目だと思いました。以上です。
(林委員)
昔、「青い空、白い雲」という歌がありましたね。もう30~40年前でしたか。良質な水の安定的確保というのは、青い空や白い雲のようになかなか数字に表すことができない。
我々が今やるべきことは、短期的に掲げられている数字的な目標をいかになし遂げていくか、それをやることが、おそらく20年先の計画につながる。ある時点で、成果をとらえ直す必要があると思いますが、今はとにかく5か年計画の数字をクリアしていくことではないかと思います。
(田中座長)
次に、天野副座長お願いします。
(天野副座長)
木平先生同様、私も今日強い刺激を受けました。一言だけ、本来は黒川副知事が話すべきことだと思いますが、世代が非常に若返っていますから、私だけが知っていることをお話しします。
神奈川県の水対策は、昭和15年、相模川第1次改修計画が始まって、平成12年の宮ヶ瀬ダム完成まで、ひたすらダムを造って貯水することを目標にしてきました。水の質など二次的なことでした。宮ヶ瀬ダムが完成して、神奈川県ではいかなる事態でも渇水は決して起こらない対策ができた。去年が証明したと思います。宮ヶ瀬ダムが完全に役割を果したと思います。
その後、水資源対策はダムの上流域対策に大きく政策転換されました。その財源をどうするかということで、県民税への上乗せという案で、さんざん議論を重ねた結果、この事業がようやく始まりました。
ですから、目標値もまだまだやっていきながら、目標値が大き過ぎたのではないかとか、不正確だとか、いろいろな意見があると思いますが、良質な水、安全、安定的確保はもうできたと思います。神奈川県の水源対策は大成功したと思います。全国でこれほど成功しているところはないと思います。なぜならば、全部自分の県の中にダムを作って、水が確保できている。津久井にある奥相模ダム、昭和28年に建設省から着工命令が出ました。同じ日に出たのは、群馬県の八ッ場ダムです。しかし、神奈川県は自分の県域ですから、いかなる反対があってもわずか5年間ぐらいです。水の量的確保では神奈川県は、全国で最も進歩している。ただ、そこに新しく、良質な水という政策の大転換を図って、5年目に当たっている、これから、15年になるかわかりませんが、水資源対策の転換に対して、県民が税という形で協力しようと。私達はこういう立場の中でいろいろ議論していくということがいいかなと、そんな感じがしています。
(田中座長)
皆様から、ひととおり御意見をいただき、とても刺激になりましたし、また、お互いに考えていることがよくわかりました。数値目標についてはやはり置かなくてはいけないかなという思いもあり、他方で、自然を相手に難しいところもある。自然生態系を対象にするとき、順応的管理という言葉があります。つまり、対策を講じて様子を見ながら、また対策を講じるというものです。様子を見ながらやるというのは、わかりやすく言えばそういうことです。そういうやり方もあり、皆さんと試行錯誤しながら進めていければと思います。ただ、時間が十分にあるわけではないので、そこは効率的に頑張ってやっていきたいと思います。
議題
(4)平成24年度活動スケジュールについて
(5)県民意見の集約・県民への情報提供について
報告事項
市民事業支援補助金 平成23年度実績及び平成24年度交付決定状況について
(田中座長)
予定の時間をオーバーしておりますが、議題(4)平成24年度活動スケジュール、(5)県民意見への集約・県民への情報提供、及び報告事項 市民事業支援補助金平成23年度実績及び平成24年度交付決定状況について、事務局からご説明いただけますか。
(資料6、資料7、資料8、資料9により事務局から説明)
(田中座長)
短い時間ですが、ご質問ありましたら、いかがでしょうか。
(音羽委員)
(5)の市民参加について、学生などの間ではユーストリームというインターネット上のライブ配信などやっています。そういうもので市民から直接意見をもらいながら、議論するのはどうかと思うのですが。ツイッターや、フェイスブックというやり方もあり、そういうものを駆使すれば、パンフレットなどそんなにたくさん刷らなくても、もっと認知度が上がるはずなので、その辺もどうかなと思います。
(坂井委員)
県のホームページ全体が文章中心で、他県にはそこら中に引っかかるようになっていて、どこへでも飛んでいけるようなホームページもあるのに比べると、やはり魅力発信や面白さには欠けているのではないかと。それを考える上で、まず、委員同士がメーリングリストを持って、意見交換できる場をつくるべきではないかと思います。
(田中座長)
メーリングリストの作成については、多分、賛成される委員もいれば、そういうのは煩わしいと言う人もいるかもしれません。皆さんの御意見を聞いて判断しましょう。
それから、ツイッターやユーストリームなど、情報提供のあり方も考えてみましょうか。コミュニケーションチームが受け皿になっていただければと思います。
(音羽委員)
メーリングリストは、発言する人が限定されてしまう可能性があり、フェイスブックだと、もう少し活発な議論ができます。私が参加しているNPOもあります。そういったツールに慣れていって、発信力をつけていってはどうかと思います。メーリングリストはどうしてもクローズになってしまうので、もう少し開かれた議論にしてはどうかと思います。
(浜野委員)
ターゲットという考え方がありますが、マーケットでターゲットを設定するのは時代遅れです。顧客価値の時代であり、住民には面白い人が大勢いて、その中には多くのスターがいると思う。それを吸い上げて価値を生み出していくことが大事です。
先ほど管理釣り場の話をしましたが、これがどういう事業で、今は上り調子なのか、下り調子なのか、経営していくためにはどうしたらよいか、これを考えるだけで川に対する考え方は変わってくる。水の質が悪ければ魚は泳げないわけだから指標になると思う。
(久保委員)
今、いろいろ斬新な方向でやろうという話でしたが、前回、情報提供ワーキンググループというのがあって、最後のページのその他になります。萩原先生が来て、いろいろ勉強をして、そのままペンディングになっている。だから、今出た案もその中で今後議論をするということで、どんどん取り入れたらいいと思います。
(田中座長)
ほかにいかがでしょうか。先ほど専門委員は私の方から指名させていただきましたが、作業チームは、希望を出してしていただきたいと思います。大事なのは、自分が活動したい場、あるいはチームに入っていただくことです。場合によってはもっとチームを増やしてもいいかもしれません。目標設定チームとか、あるいは、昨年やったワーキングなど、これも今後の検討の中で詰めていきたいと思います。しかし、ひとまず現時点では、事業モニター、フォーラム、コミュニケーションの3つの作業チームで、お願いします。
全体を通して何か委員の方からご要望などあったら、承りたいと思います。
(音羽委員)
ヨーロッパなどは環境にかなり意識が高い地域だと思いますが、そこの水源の保全活動などについてご存じの方がいれば、書籍でも何でも、少しインプットしたいので。
日本では神奈川が進んでいるとしても、世界的にはどうなのか、何か情報があればいただきたい。
(浜野委員)
ヨーロッパよりもアメリカの方が進んでいます。特にクリントン大統領時代のブルース・バビットという内務長官は、ダムを300ほど壊しています。物すごいスピードです。
(田中座長)
諸外国の状況は、専門の淺枝先生や事務局の方で確認してください。
それでは事務局から、他にあれば、お願いします。
(事務局)
次回の県民会議の予定ですが、8月上旬ぐらいを予定しています。細かい日程等につきましては、改めて御連絡します。
(田中座長)
それでは皆さん、作業チームの参加希望をファクス、メール等でお送りください。専門委員会の皆様には、6月か7月に1回会合を開いていただくことになるかと思います。全体会は8月ですので、またその段階でお集まりいただいて意見交換したいと思います。
本日は、予定の時間を25分ほどオーバーしてしまいましたが、これで閉会したいと思います。どうもありがとうございました。
(以上)
資料6 平成23年度水源環境保全・再生かながわ県民会議活動実績
資料9 平成23年度水源環境保全・再生市民事業支援補助金事業実績一覧、平成24年度水源環境保全・再生市民事業支援補助金交付決定事業一覧
このページの所管所属は環境農政局 緑政部水源環境保全課です。