ホーム > くらし・安全・環境 > 生活と自然環境の保全と改善 > 開発規制・生活環境の保全 > かながわの水源環境の保全・再生をめざして > 水源環境保全・再生かながわ県民会議の概要 > 第23回(第3期第4回)水源環境保全・再生かながわ県民会議審議結果
更新日:2020年8月7日
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次の審議会等を下記のとおり開催した。
第23回(第3期第4回)水源環境保全・再生かながわ県民会議
平成25年3月25日(月曜日) 14時30分から17時00分
神奈川中小企業センタービル13階 第2会議室
田中 充【座長】、天野 望【副座長】
青砥 航次、足立 功、井伊 秀博、井上 貞子、音羽 真東、片山 幸男、金森 厳、久保 重明、倉橋 満知子、木平 勇吉、坂井 マスミ、髙橋 克矢、中村 道也、中村 洋介、服部 俊明、林 義亮、増田 清美
平成25年5月28日
水源環境保全課調整グループ 担当者名 高乘、近藤
電話番号 045-210-4352
(田中座長)
ただいまから第23回(第3期第4回)県民会議を開会いたします。よろしくお願いいたします。
それでは、議題(1)「施策調査専門委員会の検討状況」について、木平委員長からご報告をお願いいたします。
(資料1-1~1-2により木平委員長及び事務局から報告)
(田中座長)
ありがとうございました。委員には2度にわたり意見照会をさせていただき、いろいろな方面からご意見をいただき、それを反映させた形で今回報告書案としてまとまりました。
それでは、これにつきまして確認の意味で何かございましたらお願いいたします。
(音羽委員)
資料1-2の注1の関連で、単位当たり執行額については、大体の目安の額ではなく、年度毎にどれくらい効果的に物事が進んでいるのかの推移を見るために、年度毎の額を示していただきたい。
また、注3の関連で、毎年度の県の執行に関しては、県民会議は細かくチェックする役割は担っていないとのことですが、チェックというよりも、知りたいということなので公開をお願い出来ないでしょうか。この報告書でなくても、県民が見られるようにすれば良いのではないでしょうか。
(事務局)
注1に記載のとおり、第1期初年度の19年度に、19年度から22年度までの4年間分の整備に係る予備的な調査をまとめて執行しているようなことがあり、そのことによる年度間での差が出てきますので単年度毎の額は記載しておりません。
(音羽委員)
年度をまたぐ話については、後ろの年度に持ってくるなど一定のルールを設けていただきたいと思います。
趣旨としては、0-15ページの水源の森林づくり事業の22年度から23年度にかけて、執行額は増えているが水源林の確保面積は減っているので、効率が悪くなっているように見えるので質問させてもらいました。5年間分をまとめられると、それが何故減っているのか分からなくなります。以前、購入した場合と賃貸した場合で経費が異なるとの説明がありましたが、そうした細かい話が見えなくなります。
(事務局)
県民の方に読んでいただく報告書ですので、あくまでもここでお示ししているのは、大体どれくらいの金額がかかるのかの目安としてお出ししているものです。
(音羽委員)
それでは、投資対効果が悪くなっていることの説明がつかないと思います。22年度から23年度にかけて金額が増えているけれども、確保出来ている面積が減っていることについて、県民から見ると違和感があると思います。
(事務局)
資料1-1の1-2ページで公的管理・支援の方法として、音羽委員の言われた手法別に、借地料などの費用も含めて一覧にした資料もありますので、事業内容も含めてご覧いただければ手法による違いは分かるのではないかと思います。
(音羽委員)
説明のページが飛んでいるので、一般の人はそこまで関係性が分からないと思います。0-14、0-15ページが全体を総括する資料になっているので、そこに費用対効果の推移を見るために書いてほしいとの趣旨で、5年間で大体の目安でというのは元々の趣旨とは違います。
(事務局)
音羽委員の意見の趣旨とは少し違うかも知れませんが、他方でこんなに分厚い報告書は読まないとの指摘もいただいている中で、この報告書でそこまでの情報量を載せるのは難しいと思います。
(音羽委員)
私はそれを知りたいので書いてほしいとのお願いです。
(事務局)
それは報告書に載せなくても、例えば前回の県民会議で音羽委員がおっしゃった質問に対して説明をさせていただいております。
(音羽委員)
私一人の意見ではなく、投資対効果は皆見るはずなので、県民の意見として知りたいということです。かかっている費用が増えているのに面積が減っていることについて、気にならないのでしょうか。
(自然環境保全センター濵名研究企画部長)
水源の森林づくり事業の23年度は、確保が半分くらいなのに金額が伸びていることについて、前回の会議で、面積単位の確保の金額では、借地と買取りの差ぐらいでそれほど大きく違わないとの説明をしました。
23年度は第1期の最終年度ということで、これまでの総括と第2期に向けた準備のため、デジタルマップを作成してデータ整備を行ったり、予備調査を行ったりした費用が含まれています。音羽委員からいただいた意見への対応としては、23年度の執行額の欄に注記することは可能ですので、そのような対応でご理解いただければと思います。
(田中座長)
音羽委員からは年度毎に費用対効果を出してもらいたいとの意見があったところ、事務局からは場合によってはミスリードする可能性があるので差し控えたとの説明があり、具体的には、23年度は次期に向けたデジタルマップ等の準備費用が含まれているので、その説明を書いておけば説明証拠になるとの話でよろしいですか。
たしかに数値を出してしまうと、場合によってはミスリードする可能性があるので、何故大きくなったのかの理由を書いてもらった方が、変動がある中では分かると思います。そこは追記をしていただくことで整理をしたいと思います。
もう一点、注3の関係についてはいかがでしょうか。
(今部水源環境保全課長)
音羽委員からは、これまでもご質問やご指摘をいただいており、それにつきましては事務局の方でやり取りを続けておりますので、それについては継続させていただきたいと思います。
(音羽委員)
趣旨は、どういうところでお金が使われているのかをもう少し具体的に知りたいということで、同じ業務でも金額に違いがないのか、一つの業者に大きな依頼が偏っていないのかなど、報告書に載せるべきことではないと思いますが、県民参加の意味合いからすれば、県民が見られることがあっても良いのではということで意見を出させてもらいました。
(田中座長)
場合によっては配布資料にして、公開資料にすることが適切かどうかということはあるかも知れませんが、必要があれば開示する、希望の方は見られる仕組みにすることはあっても良いと思います。
情報開示、透明性の確保は大事な要素だと思いますので、報告書に載せるかどうかは別として、きちんと情報開示をしていくことも考えたらよろしいかと思います。
それでは皆さんのご了解が得られたということで、今年度はかなり改良されているとは思いますが、0-14、0-15ページのところで、特段に経費が大きくなった場合には背景、要因を簡単に書いていただき、変動の背景を説明出来るようにしておくということで引き取りたいと思います。
それでは、お手元に配布の報告書でご了承いただくことでよろしいでしょうか。座長一任とさせていただき、加筆したもので確定版としたいと思います。本日を承認日とさせていただき、事務局と調整の上で、形式的には県知事にお渡しするということにしたいと思います。ありがとうございました。
それでは、議題(2)「市民事業専門委員会の検討状況」について、増田委員長からご報告をお願いいたします。
(資料2により増田委員長から報告)
(田中座長)
それでは、ご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。
(中村洋介委員)
平成20年度から25年度までを通じて普及の活動が活発になっていることは、非常に評価出来ると思います。3月16日のもり・みずカフェに参加した感想ですが、水源税や神奈川県の水がどこから来ているかについて、知らない県民の方が多いとの感想を持ちました。
その意味で、市民事業支援補助金の普及啓発・教育事業を拡充してもらうと同時に、補助率2分の1以内の上限の緩和や、拡充することも今後考えていただきたいと思います。
(増田委員長)
ありがとうございます。次回の会議で検討内容の一つにしたいと思います。
(服部委員)
市民事業の審査をさせていただきましたが、運営資金が乏しく、補助金がなくなったら継続出来るのか心もとない団体もあり、一部には事業の縮小や質の低下も見受けられます。
将来的な団体の自立のための助成との趣旨からすると、どのように指導していくかという点が、事業を進めていく上での大きな課題かと思います。
(林委員)
活動基盤の確立していない団体も見られる中で、市民活動支援事業の制度は大切だと思いますが、一方で、この補助金が税を財源としていることについて、団体への意識の浸透をさらに図っていく必要があると思います。
(久保委員)
3月16日のもり・みずカフェでは市民団体の活動報告があり、支援事業から卒業する3団体が報告をしていましたが、どのような基準で団体を卒業させたのか教えてください。
(増田委員長)
こちらから団体に対して卒業を促すことは一切しておりません。各団体の事情、意向により25年度は申請しなかったということです。
(倉橋委員)
将来的な話ですが、市民事業が効果を上げるために、団体の自立化を支援する観点も含め、例えば森林整備事業において、市民事業関連団体も事業を受託可能なシステムを今後考えてみてはどうかと思います。
(増田委員長)
ご意見をいただいたということで、今後の検討課題とさせていただきます。
(中村道也委員)
新規団体の参加を促すためには、補助対象期間を原則2~3年を上限とするなどして、対象者を広げる努力をした方が良いと思いますし、補助制度の団体への普及方法についても検討していただければと思います。
(増田委員長)
補助制度の周知については、事務局であらゆる手段で行っていますし、お互いのネットワークづくりも徐々に進んでいます。昨年10月に初めてもり・みずカフェを横浜のそごう前で開催しましたが、それまでは関係者のみで実施していましたが、段々と団体も自らをPR出来るような方向に進んでいますので、もう少し状況を見ていきながら、皆さんのご意見をいただいて、改善すべきところは今後取り入れていきたいと思います。
(服部委員)
この事業は大きく2つに分かれていまして、初めてやる人のために補助を出すものと、自立を目的にした次のステップのものとがあります。事業の周知が十分にされていないことはあるかも知れませんが、初めての人でも最初の入口の事業に取り組めますので、決して門戸を閉ざしているということではないと思います。今後は新しい補助制度をさらにPRし、新しい方々も取り入れていくような方向にしていければと思います。
(中村道也委員)
助成団体には、助成金による活動の成果を報告してもらい、その活動報告を次の助成に結び付けると良いのではないかと思います。
(井伊委員)
今回、連続して助成を受けている団体の影響を受けて、助成を受けられない団体があるのかどうかの点と、審査で落ちた団体があるのかの点について確認します。
(増田委員長)
申請団体は26団体で、採択されたのは23団体の37事業ですが、事務局で補足説明をしていただけますか。
(事務局)
資料2をご覧ください。一番最初に申請された段階で、事業数が43事業、金額で1,297万円です。その額に対して予算額が一番下にありまして、この段階で申請額が少し予算額をオーバーしていましたが、そこから審査を行っていく過程で、明らかにこの補助金の趣旨に合わないものについては不採択としております。
その結果、2次選考対象の段階では38事業ということで、この段階では予算額以内に収まっております。事業がこの補助金に資するかの基準で判断をした段階で、申請額が予算額の範囲内に収まっていますので、申請団体数が多かったから過不足があったということは一切ありません。
(田中座長)
活発にご意見をいただきまして、応募者の裾野を広げていく周知の問題、それから出来るだけ効率的、有効に使っていただく事業を採択していくということかと思います。いただいたご意見の中で今後の検討課題としていくものは、市民事業専門委員会の中で継続してご検討いただければと思います。
(田中座長)
次に、議題(3)「県民意見の集約及び県民への情報提供」ですが、3つの作業チームの活動状況について、各リーダーからご報告をお願いいたします。
まずは、事業モニターチームの活動状況について、井伊委員からお願いいたします。
(事業モニターチームの活動状況について、資料3-1により井伊委員から報告)
(田中座長)
ありがとうございました。それでは、ご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。
(井伊委員)
これは提案ですが、水源の森林づくり事業の施業手法のあり方については、これまで4年間事業モニターに参加して、「目標林型に対してこのやり方で本当に良いのか」という指摘が必ず意見や報告に出てきています。現状よりもベターな進め方があるのではないかということが、検討会などで意見として表出していますが、それに対して答えを出す、答えが出せないなら検討する、ということをやった方良いのではないかと思います。そして、なんらかの回答あるいは検討結果を県民会議で報告してほしいと思います。
(木平委員)
井伊委員のお話のとおり、森林整備の方法については、いつもこのやり方が良いのかどうかの議論があります。目標林型に対して、この現場で何をどうしたら良いのかということについて賛否両論の意見が出ますが、そこまでで終わっています。
今回、井伊委員のおっしゃることは、もっと良い方法を具体的に示した方が良いのではないかとの意見です。評価を聞きっぱなしにするのではなく、疑問が提示された場合に検討することが必要だと思います。具体的な検討の場を作った方が良いというのが、井伊委員のご提案だと思います。
(中村道也委員)
積極的に事業検証をして、大変よくまとめられていると思いますが、一つ疑問なのが評価点のことです。人工林のように木材生産という目的があればまだ評価出来ると思いますが、自然林や渓畔林については、点数で評価することはどうかと思います。
事業の効果が出たかどうかは、水源林が目標であれば、水がどのくらい保水されているかをおそらく調査出来ると思います。評価基準を作って、結果を出しているかどうかを捉えてから評価するのが良いと思います。渓畔林であれば、特定の昆虫の数の増減を評価の基準にするのも一つの方法だと思います。ただし、全体を目で見て評価となれば、百人いれば百人違う結果になると思います。
今のこの点数の方法ですと、他の人には理解されにくいかと思います。行政に対しても、焦って仕事をさせてしまうことになります。自然環境の再生はもっと時間をかけて、5年計画だから5年間突っ走るのではなく、1年毎、半年毎にでも見直しをする柔軟性があっても良いと思います。きちんとした形で見直すのであれば、そこで使ったお金は無駄ではないと思います。
(井伊委員)
私の認識では、現状は、森が良くなっていることを良しとして評価するのではなくて、事業が計画に基づいて実施されているかを評価しているとの認識です。事業モニターは公募委員が参加しますので見方がバラバラであって、客観的に見て正しい評価ということとは少し違うと思います。きちんと基準を決めて、同じ土俵に立って評価するのとは違うと思います。
(中村道也委員)
一般的に数字は独り歩きするところがあります。自然環境や森林関係の事業に対して数字を使うのは、無理があると思います。
(音羽委員)
私は何らかの客観数字は必要だと思う立場です。独り歩きをしない数字を探す作業も必要で、きれいな水にしかすめない水昆虫の数や水草の育つ場所といった指標など、一般の県民の方に分かりやすい指標を用意して、工夫をして伝える必要があると思います。
(中村道也委員)
そのことを私も最初に言いました。生物を特定して指標にしたらどうですかということを申し上げました。点数ではなくて、実際にどういう樹種が何パーセントくらい回復したとか、どのような昆虫がどのくらい増えたかなどを指標にすれば、森が豊かであるとか、渓流に豊かさが戻ったかということは分かると思います。
(井上委員)
私の評価点のシートの付け方としては、事業が上手くいっていれば5点としております。評価点を付けること自体が分からなくて悩みます。
(井伊委員)
今のやり方は既に事業が実施されている場所に行き、目標と経過の説明を受け、質問をした上で、よくやっているとか、ここはおかしいとかいうことで参加者は判定します。今の中村委員や音羽委員のお話ですと、事前に準備した評価の基準をもって実施することになると思いますが、現在はそうした基準はありませんし、一県民として良いのではないか、悪いのではないかと判断しています。昨年度事業評価の見直しを行い、その結果に基づきこのやり方で実施しています。
(中村道也委員)
私が申し上げたのは、公募委員の方にそこまで調査してほしいとの趣旨ではなく、水源林であっても森によって目標とするものが変わる中で、同じ感覚でもって点数で評価することは馴染まないのではないかとの意見です。
(倉橋委員)
私は点数を付けるのは元々無理があるとの話を何度かしたことがあります。ただし、数字を付けるのは難しいと思いますし、人によって評価は違いますが、意見は当たっている部分がそれぞれにあると思います。
この方法も今までのやり方を見直してやっている段階なので、評価の基準点などを皆で相談すれば、結果によってはさらに良い評価方法が出てくると思います。
元々環境というものには点数を付けられませんが、様々な意見がある中で全体像をつかんでいくのが良いと思いますし、それをリーダーの方がよく視点を捉え、まとめてくださっているのでとても評価したいと思います。
(青砥委員)
モニターチームのメンバーは、原則としては県民代表で素人だと思いますので、中村委員の提案は生態学的、科学的な方法であって、担い手が違うと思います。現在、森林生態系効果把握の検討をしており、そうしたところに委ねることだと思います。
井伊委員からモニターの趣旨として、事業がきちんと行われているかを見ることが大事なのではないかとの話がありましたが、私もそこにあると思います。モニターする際の項目について、素人で出来ること、専門家に委ねることを分けて整理された方が良いと思います。
(髙橋委員)
市の事業をモニターした際、水源税とその他の財源が一緒に使われているので、水源税をどのくらい使っているかをはっきりと示すことは出来ないと言われました。混合して使われている税金に対して、どのように評価したら良いかとの点を明確にしてもらうと評価しやすいと思います。
また、水源税が具体的に使われている額が分からないという説明にも疑問なところがありますので、何らかの改善や別の手法が取られれば評価しやすくなると思います。
(金森委員)
評価点の付け方については、私は悩んだ上でシンプルに考えまして、ねらいの説明に関して普通に分かれば3点、目標どおりに出来ていれば3点、減点すべき点があれば2点、目標以上に出来ていれば4点という考え方で付けています。つまり、見た状況に対して疑問がなければ3点で、良し悪しがあれば上下するとの考え方です。
(田中座長)
事業モニターのあり方については、昨年度、議論を重ねてきて、一つの手法として評価シートを使うこととしましたが、皆さんの意見を伺う限り改善点もあるのだと思います。これは、事業モニターチームで引き取っていただき、必要があれば改善するということで良いかと思います。
その際、私は3点くらいのポイントを押さえてはどうかと思います。
1つは「対象事業に応じた評価項目の設定」をするということ。例えば、「効果があがったか」とか「税金が有効に使われたかどうか」など、モニターの目的を明確にした方が良い。それから、そもそも政策効果が見たいのか、事業の進捗や実施状況が見たいのか、入口のところで整理しましょうということです。
その上で、評価点については、プラスの面もありマイナスの面もあり、賛否両論なので継続したらどうかと思います。ただ「こういう場合は3点」など評価基準は明確にした方が良い。各委員の良心と知見で判断された結果は尊重すべきであるが、人によってあまりバラバラにならないように、一つの目安のような基準は作った方が良い。
3つ目は、冒頭にあった目標林型の話で「どういう事業目標に向かっていくのか」ということですが、森林整備事業の事業計画の中で、巨木林化や複層林化、混交林化など目標とする林型は決まっています。それに照らして事業を進めていると思いますが、もし、事業の目指すべき方向性について「人工林もしくは天然林のあり方」への意見があるとすれば、別途、意見交換の場を設けて議論してはどうでしょうかということです。
以上、3点に留意をして引き取らせていただきたいと思いますがいかがでしょうか。24年度は試行ということで、25年度に向けての課題にしたいと思います。
それでは、予定時間の関係もありますので、フォーラムチーム、それからコミュニケーションチームの活動状況について報告をお願いしまして、ご意見、ご質問につきましては、報告終了後に一括してお受けしたいと思います。
(県民フォーラムチームの活動状況について、資料3-2~3-3により久保委員から報告)
(コミュニケーションチームの活動状況について、資料3-4により足立委員から報告)
(田中座長)
ありがとうございました。それでは、県民フォーラム、それからリーフレットの関係でご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。
(倉橋委員)
リーフレット「森は水のふるさと」について、内容が酒匂川水系に偏っており、相模川水系も含めた全体像を示してもらいたかったと思います。
(足立委員)
相模川水系の記載がないとのご指摘の点については、特定の川を意識して作成したものではありませんが、技術的に両方の水系を載せるのが難しかったというのが理由です。「わたしたちが飲んでいる水はどこの水」の部分で、ある程度水系のことも分かってもらえると思いますし、基本的には浄水場や取水堰があることを理解してもらえれば良いと考えています。
(坂井委員)
県民フォーラムに関しては、これまで一番大きな課題であった、年齢層や対象が偏っていたとの点の克服に関しては、非常に成果が出ているのではないかと思います。横浜そごう前で開催された「もり・みずカフェ」では、これまでになく、小学生・中学生・高校生も、高齢者も小さいお子さんと共にアンケートに参加してくれました。年齢性別共、これまでになく幅広い層の方が参加され、幅広く周知できるようになり、その方々に新しいリーフレットを配ることが出来ました。
これまでの「しずくちゃんだより」も、今までは関心のある特定の方が取っていたと思われますが、この1年は、新たなところへ新しい情報提供が出来るように進んできたと感じています。
(田中座長)
ありがとうございました。それぞれのチームの皆さんには、もり・みずカフェやリーフレットの作成に一生懸命取り組んでいただきまして、施策が少しずつ県民に浸透してきていますが、総体としては十分に認知が足りていないこともあり、引き続き、リーフレットの活用方法や県民へのPRの面でよろしくお願いしたいと思います。
(田中座長)
それでは、最後に報告事項として、森林生態系効果把握手法等検討業務について、それから平成25年度水源環境保全・再生事業会計当初予算の概要について、事務局から報告をお願いいたします。
(森林生態系効果把握手法等検討業務について、資料4-1から4-5により、平成25年度水源環境保全・再生事業会計当初予算の概要について、資料5により事務局から報告)
(田中座長)
ありがとうございました。それでは、施策関係、予算関係でコメントがあればお願いします。
(中村道也委員)
森林生態系のワークショップの意見として、「予定調和は間違った方向とは言えないが、科学的に証明するのは困難。」との記載がありますが、間違っていたとの過去の事業の反省がないと前に進めないと思います。何故シカが増えたのかと言えば、予定調和で進めていた森林管理が生み出したわけで、その反省がないのは無責任だと思いますし、この記載は削除してもらいたい。
(自然環境保全センター濵名研究企画部長)
ここで使っている予定調和というのは、森林生態系が良くなれば森林機能が全て良いとの考え方がよくあります。定性的にそれが間違っているかと言えば、方向的には間違っていないが、例えば森林生態的には裸地や崩壊地も必要だが、水源かん養の点から見ればなるべくそれはない方が良いということで、必ずしも全てがイコールな関係ではないとの意味をここでは言っています。生態系で見て良くなれば、水の視点で見ても良いだろうと評価出来るが、それを科学的に証明するのは難しいとの意味で使っています。
(中村道也委員)
今後の方向の考え方ということであれば分かりますが、予定調和については、過去の林業がそうでしたので、こうした記載があると過去の施策も間違っていなかったとの話に受け取られかねません。
水源環境税を使った事業については、最終的には人工林の林分配置の見直しがかなり大きな鍵を握ると思いますし、シカの問題を解決する上でも林分配置は避けて通れないと思います。ここはもう少し違った表現が出来ないものでしょうか。
(田中座長)
中村委員のご意見の趣旨はよく分かりました。予定調和というと、場合によっては違うことを想起させる可能性もあるので、表現を慎重にしましょうか。
(倉橋委員)
予算について、相模川上流域対策の25年度予算が1億3千万円ですが、具体的な内容を教えてください。
(事務局)
大きく分けて2つありまして、森林整備が約3千7百万円、生活排水対策が約9千9百万円となっております。内容は、凝集剤添加設備の設置に係る工事費や試運転に係る管理費などが大半を占めております。
(倉橋委員)
9千9百万円というのは予定よりもかなり多いですが、設置してしまえば後はもっと安くなるということですか。
(事務局)
はい、これは一時的な経費となります。
(金森委員)
資料4-5の経済評価について、目的とイメージがあれば教えてください。金額を出すとミスリードする可能性があり、慎重に行う必要があると思うので目的をお聞きします。
(事務局)
資料4-1の1(1)をご覧ください。総合評価の3つの視点のうちの経済評価ということで、CVM・コンジョイント法と統計数理モデルの併用で実施すると良いとの提案がありました。
注釈の部分をご覧ください。CVMについては、県民の方に施策に対して支払っても構わない金額をアンケート方式で尋ねて、その意見を収集して施策に対する価値を金額として評価する手法になります。アンケートを取る前に対象者に対しては、こういう施策を何年かけてやって、その結果によりこういう効果が期待出来るというイメージをお示しした上で、その施策に対して500円払うのか、1,000円なのか、2,000円なのかアンケートを取り、消費者側のニーズを把握する手法になります。
こうした手法は既存の評価の枠組みの中には入っておりませんでしたが、ワークショップでの検討の中では、20年間の中間地点での総合的な評価の中では、手法の一つとして取り入れてはどうかとの考え方になります。
(田中座長)
経済評価の手法については、25年度、26年度をかけて、もう少し具体的に踏み込んで整理をしていきます。水源環境事業をどのように経済的に評価出来るかということも含めて慎重にやらざるを得ないかなと思います。
資料4-5のロードマップのことを補足しますと、専門家ワークショップで施策を全体、総合的に評価する上での一定の方向性が出てきました。それは状態評価、機能評価、経済評価であり、経済評価については経済面から評価してみようという新しい試みです。
併せて、25年、26年で森林生態系効果把握の実施がありまして、よりデータや知見に基づいて効果を把握する方法がどこにあるのか、既存データを活用しながら、必要があればモニタリングを行いながら解析をしていきます。
先ほど政策評価と事業評価と2つの論点がありましたが、事業モニターチームにやっていただくのは事業の実施状況の評価であって、政策効果の評価の方は、データに基づいたより専門的、総合的な部分でアプローチしていくとの役割分担をしてはどうかとの前提があります。
なお、経済評価については新しい取組でもあり、手法と結果の活用については十分慎重に検討しながら、25、26年度に手法を検討し、27年度の早い段階で実施という2年間の準備期間を持たせた行程になります。
また、4年目の27年度は大事な時期になりまして、生態系効果把握の結果と経済評価の結果を合わせて、全体的なワークショップ、あるいは県民フォーラムとして、県民参加も含めた意見交換をしていきます。ここでは、第1期、第2期の10年弱の総合的な評価を行うワークショップで、どういう事業の形が望ましいのかとの意見集約をしていき、事業の総合的、横断的な評価をして、次の29年度以降の計画作りに向けて、中間年として踏み込んだ形で見直しをする上での資料にしたいということです。
27年度の作業が大事で、その準備段階が25、26年度に始まるという組み立てになっているということでご理解をいただければと思います。
それでは、今年度最後の県民会議をこれで終わりたいと思いますが、次回は5月くらいの開催を予定しております。点検結果報告書については座長預かりとなりますが、ご承認をいただきましたので、部分修正した上で県に提出したいと思います。
それから、市民事業等の普及のあり方、制度の認知のあり方については、引き続き専門委員会で引き取っていただきたいと思います。
また、事業モニターのあり方について熱い議論をいただきましたので、今年度1年間実施した中での全体的なまとめ、課題を次回ご報告いただければと思います。ただし、基本的には昨年度事業モニターのあり方を大きく変えましたので、来年度については、出来ることがあれば微調整する形にさせていただければと思います。
それでは、長時間にわたり、どうもありがとうございました。
(会議終了)
資料1-1 点検結果報告書(平成23年度・第1期5か年実績版)(案)(1)
資料1-1 点検結果報告書(平成23年度・第1期5か年実績版)(案)(2)
資料1-1 点検結果報告書(平成23年度・第1期5か年実績版)(案)(3)
資料1-1 点検結果報告書(平成23年度・第1期5か年実績版)(案)(4)
資料1-1 点検結果報告書(平成23年度・第1期5か年実績版)(案)(5)
資料1-2 点検結果報告書(平成23年度・第1期5か年実績版)(案)に関する意見について
資料3-4 リーフレット「森は水のふるさと」
資料4-1 森林生態系効果把握手法等検討業務委託報告書について
資料4-2 水源環境保全・再生施策に係る森林水循環を考慮した森林生態系効果把握手法等検討業務委託報告書
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