日 時 | 平成22年2月27日 土曜日 13時00分~16時00分 |
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会 場 | 藤沢リラホール |
参加者 | 131名 |
主催者あいさつ
水源環境保全・再生かながわ県民会議委員 柳川三郎
神奈川の水を育む水源林は荒廃してきている。しかし、多くの人が水は蛇口をひねれば、いつでも、いつまでも出るという気持ちで生活しているのではないか。
次世代に豊かな水を残していくためにも、今回のフォーラムで大いに学び、共に行動していきましょう。
主催者あいさつ 柳川三郎
水源環境保全・再生事業について
神奈川県 環境農政部 水源環境保全担当課長 星崎雅司
水源環境保全・再生施策と、それを支える税制を、県民の皆様から強い支持を得て認めていただき、平成19年度から事業に取り組んでいる。
19~20年度の実績として「水源の森林づくり事業」では、5年間の目標9,592ヘクタールのうち4,216ヘクタールを整備した。これは目標の44パーセントであり、計画より前倒しで整備が進んでいる。この事業へは5年間の予算計画額、83億円の45パーセントに当たる37億円を使った。
パネリスト活動報告、パネルディスカッション
コーディネーター
東京農工大学名誉教授 木平 勇吉
パネリスト
神奈川野生生物研究会 副代表 川手 隆生
丹沢大山自然再生委員会 委員 羽澄 俊裕
有限会社川又林業 代表取締役 川又 正人
コーディネーター・パネリストからの発表に引き続き、会場からの意見・質問等を踏まえ、パネルディスカッションを行った。
コーディネーター・パネリスト発表
(木平氏)
水源環境を考えるにあたっては、1、どのような環境にしたいのか、2、それをどのように実現するのか、という視点が大切である。
天然林、モザイク模様の森、育てられた雑木林、下草で覆われた人工林などは水源の森としてたいへん良い。水源環境保全税の必要ない森を作ろう。
(川手氏)
野生生物の観点から水源の森を見る事も大切である。
森づくりには多様な生物が関わっており、生物多様性に富む森こそ良い水源の森である。
その生物多様性の指標となる生き物がクマタカであるが、シカの食害など様々な要因で生息環境が悪化してきている。
施策大綱に記載があるように、生物多様性に配慮した森林整備が必要である。
(羽澄氏)
シカが植生を食べ尽くすことで、他の動物の餌もなくなるし、水源の森にも悪影響である。シカをどうするかが一番の問題。
シカはどんどん分布を拡大している。また、降雪量の減少などといった要因でシカが大幅に個体数を減らすこともなくなった。
生態系という視点で考え、シカの母数そのものを減らすとともに、時期的、地理的な面で森林施業とシカ管理を一体的にやる必要がある。このままでは丹沢は「死の山」になってしまう。
(川又氏)
神奈川県が担い手不足を解消するために、かながわ森林塾を創設したことは評価できるが、費用対効果に疑問がある。
間伐した木の半分は捨ててしまう。これを木質バイオマスとして活用すべきではないか。
森が生きもので溢れていることで森の健全性が保たれる。また、その生きものたちと暮らすことが林業の醍醐味である。
パネルディスカッション
【広葉樹に手を入れるのは疑問】
(川手氏)
広葉樹の森に手を入れることは、生物多様性に悪影響ではないか。本当に水源の森のためになるのか科学的検証が必要である。また、手入れは地主の意向に縛られることもあるだろうが、行政はどこを水源の森として作っていくのかもっと考えるべきだ。森林整備の補助金で広葉樹林が伐採されているところもあり、使途の検証が必要だ。基本的に広葉樹に手を入れるべきではない。
【森林施業の技術の伝承、将来の見通しは】
(川又氏)
立派な木材を作るには3~4世代に渡って手を入れ続けなくてはならず、大変である。林業に懸ける思いを伝えていけるか疑問だが頑張っていきたい。
【森林施業とシカ管理の一体化、具体的には】
(羽澄氏)
森林施業の計画は基本的に林班単位で行う。どの林班をいつ整備するか決めた段階で、植生の回復などにより、その周辺のシカ個体数増加が予想されるなら、そこで個体数調整を行う。
単に整備を行うのではなく、シカの移動などを考慮したきめ細かな対応が今後は必要となってくる。マップとスケジュールが大事である。
【私たち納税者の責任】
(木平氏)
我々納税者の責任は意見を言うことである。ただ言うだけではなく、自分の出来る範囲のことをやることも大事である。現場を見て、意見を言うことで水源環境が良くなっていくだろう。
コーディネーター(木平氏)
パネリスト(左から川手氏、羽澄氏、川又氏)
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