ホーム > くらし・安全・環境 > 生活と自然環境の保全と改善 > 開発規制・生活環境の保全 > かながわの水源環境の保全・再生をめざして > 県民フォーラムについて > 第5回県民フォーラム(横浜・川崎地域)実施結果
更新日:2020年8月7日
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第5回水源環境保全・再生かながわ県民フォーラムの概要です。
日時 | 平成20年7月31日 木曜日 18時30分~20時35分 |
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会場 | かながわ県民センター ホール |
参加者 | 91名 |
5つの地域割りにより県民フォーラムを開催しており、本日が5回目で1巡をする。その意味で、本日は県民フォーラムの取り組みの最後、総括的な位置付けとなる。この1年間の取り組みの成果と課題について、認識を深めていけるのではないかと期待している。
昨年度3回開催した分の意見については、内容を集約し5月15日に知事に報告し、真摯に受け止めていただいた。今年度2回分の意見も集約し報告していきたい。
横浜市民の方は、道志川の水を飲んでいると思っている方がほとんどだが、道志川水系からは実は10%足らずの水しか供給されていない。
神奈川県内でみると、水源地のほとんどが丹沢山塊となる。丹沢では、1980年代からものすごい勢いでブナの立ち枯れが起きており、丹沢山塊がだめになると神奈川県の水源環境は極めて質が悪くなってくるということが明らかである。
丹沢山塊に対して、自分たちの命の糧がそこから来ているんだという認識を持っていただく必要がある。
水源の状況として、横浜市は、道志川から9%、相模湖・相模川から61%、残りの30%は酒匂川からとなっており、川崎市は、相模湖から41%、酒匂川から48%、地下水が10%となっている。このように横浜、川崎の水源は、ほとんど相模川、酒匂川のダムに基づく水源で賄われている。
昨年度の実績として、水源の森林づくり事業では1,382ヘクタールを、地域水源林整備事業では269ヘクタールを確保した。これは、それぞれ5か年計画の目標量の28%と21%に相当する。また下水道では、相模原市のダム湖集水域28.6ヘクタールについて整備を行い、浄化槽では、窒素・りんを高度に除去することができるものを相模湖の集水域である相模原市藤野町などを中心に37基設置した。
間伐などの森林整備により、水源かん養など公益的機能の高い森林づくりを行い、良質な水を安定的に確保することを目的に水源の森林づくり事業を進めている。
水源の森林づくり事業は、平成9年度から実施しているが、19年度から実行5か年計画に基づき一層の事業推進を図った結果、整備速度が大きく加速している。19年度までの確保面積は9,912ヘクタール、整備面積は9,619ヘクタールとなっている。
秦野市は県内唯一の盆地であり、秦野盆地の底には、推定約3億トン、芦ノ湖の約1.5倍の地下水が貯水されており、人口約17万人の7割ほどを地下水で賄っている。
市では、市が整備費を全額負担する「ふるさと里山整備事業」とボランティア団体の活動に対して助成を行う「里山ふれあいの森づくり事業」により整備を進めている。「里山ふれあいの森づくり事業」の特徴として、市長と山林所有者、ボランティア団体の3者で協定を結ぶことがあげられる。市が入ることで所有者が気楽に土地を貸していただける。
各パネリストからの活動報告・意見発表に引き続き、会場からの質問・意見等を踏まえ、フロアディスカッションを行った。
(坂本氏)
水源地に暮らす者として、身近な山で手入れが進んでいることを実感している。また、県民会議の事業モニターチームで秦野市の事業を視察したところ、行政と地主とボランティアの3者が一体となっていて素晴らしかった。ボランティアの協力を得るためには、水源林整備のためのステージを提示する必要がある。
本日、若者が多く参加いただいていることに非常に力をもらえる。一緒に力を合わせていきたい。
(松村氏)
近年、森林の手入れをする団体は増えているが、団体同士の相互交流が広がらない、活動の意義が社会的に還元されていないといった課題もある。
水源環境の保全・再生のために、1.上下流交流では限界があるので、まず水源地に近い地域自体が再生される必要があること、2.ある程度は自然を保全・再生するための公共事業を進める必要があること、3.さらなる科学的な調査研究により事業のメリットについての説明責任を果たす必要があること、4.都市住民が行きたくなる近場のエコツーリズムを開発する必要があることを提案したい。
(清水氏)
水ゼミでは、現在、主に次の3点について議論している。1.県民すべてが森林環境の現状を認識するためには、県民フォーラムに参加していない県民にこそ説明が必要であり、県民意識の向上を促す事業が必要であること。2.森林保全の担い手不足に対して、新しい林業関係者を育成する事業が必要であること。3.県外の上流域における生活排水対策意識の遅れに対して、県域を越えた事業が不可能な現状では、水源環境に対する理解を共有する必要があること。
解決策として、意識の改革と森林づくりの担い手の確保が必要ではないか。
【横浜や川崎といった水源の森林がない地域において、「豊かな水・良質な水」づくりにどのように協力できるか】
(松村氏)
まず、自分たちの身の回りにある水の流れ、水の道がどうなっているのかを調べるところから始めていただけると、身の丈にあった形で考えられるのではないか。
【里山保全における活動方法の工夫について】
(松村氏)
活動に直接的に関わる人は男性が多いが、整備後は、男性だけではなく女性にも子供にもどんな方にとってもいい場所になる。あんな森にしたい、こんな森にしたいと議論をすることで、すごく楽しい場所となる。
【「水ゼミ」のような輪を大きく広げる方法について】
(清水氏)
「水ゼミ」の学生も最初は興味本位で入ってきているので、まずは興味を持った人を増やしていくことが大事である。また、学内における様々なプロジェクトとの連携を多くし、広報効果を高めている。
【フォーラムにこない人々の意識向上の具体的な方法について】
(清水氏)
県民税の納付書を活用し、水源環境保全税についてより情報提供する必要がある。また、県民の方が水源環境保全税を実際にいくら払っているのかを意識させることも必要ではないか。
【丹沢大山のブナが再生できる可能性について】
(木平氏)
丹沢はブナで有名であり、象徴的な木だが、ブナでなければならないということはない。木は、立地にあったものが生える。
ブナは再生に非常に時間がかかるため、諦めることなく更新のための補助作業や観察を行う必要がある。
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