更新日:2020年8月7日

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第13回県民フォーラム実施結果

第13回水源環境保全・再生かながわ県民フォーラムの概要です。

結果概要

 
日時 平成23年8月27日 土曜日 13時30分~16時40分
会場 はまぎんホールヴィアマーレ
参加者 361名

主催者あいさつ
水源環境保全・再生かながわ県民会議座長 堀場勇夫

神奈川県の水源環境の保全・再生の取組には3つの大きな特徴がある。1つ目は計画に基づく事業実施である。20年間の取組全体を示す「施策大綱」と、そのうちの5年間に取り組む事業を示した「実行5か年計画」を策定し事業が実施されている。2つ目は財源である。施策に継続的に取り組んでいくためには、安定した財源の確保が必要であり、水を利用する県民の皆様から広くご負担をいただくため、個人県民税の超過課税をお願いしている。そして、3つ目は県民参加である。施策の各段階に県民意見を反映されるような仕組みが作られている。県民の皆様に事業の内容を知っていただくとともに、広く意見を賜る場として、県民フォーラムを開催している。

水源環境の保全・再生の取組も、第1期5か年計画の最終年度を迎え、来年度から第2期5か年計画に引き継がれる。この施策の目的は、次の世代に豊かな水と森林を引き継ぐこと、これに尽きると思っている。このフォーラムを一つのきっかけとして皆様からのご協力を一層賜りたい。

堀場座長
主催者あいさつ 堀場座長

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基調講演「当たり前の暮らしを求めて」
倉本聰 氏

シナリオライターや役者の養成塾として、25・6年前から北海道で富良野塾を始めた。沢の崖の対岸から非常にすばらしい湧き水を見つけその水で生活を始めたが、1年目に水涸れが起き湧き水が途絶えてしまった。原因が前富良野岳の下に広がる農地改良事業であると考え担当省に質問したが、「証拠がない」と言われ終わってしまった。こうしたことをきっかけに森と水の関係にのめり込んでいった。

以下は富良野塾を作った時の起草文である。

「あなたは文明に麻痺していませんか。石油と水はどっちが大事ですか。車と足はどっちが大事ですか。知識と智恵はどっちが大事ですか。批評と創造はどっちが大事ですか。理屈と行動はどっちが大事ですか。あなたは感動を忘れていませんか。あなたは結局何のかのと云いながらわが世の春を謳歌していませんか。」

5年ほど前に富良野自然塾を始めた。富良野のゴルフ場の跡地に植樹をして森に返すという活動と環境教育のプログラムを行っている。

私たちは「本当の森」の意味を考えて植樹をしている。つまり水と空気のために植樹をしている。木と森の一番の価値は木材を取ることではなく、水や空気を作るというということであり、幹よりも葉っぱが大事なのである。このように森林が持つ公益的機能について10年ほど前に国土緑化推進機構が日本学術会議に依頼した評価結果では、その評価額が年間70兆円を超えるものであった。

我々が物事を考えるときに大事なことは、一度ゼロベースに戻って新しい選択肢を作って考えていくことである。水の問題、今回の震災の問題、あらゆる問題について、ただ世の中が進めば良い、経済が回れば良いというものではない。

倉本氏
基調講演 倉本氏

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水源環境保全・再生事業の取組紹介と「第2期実行5か年計画(案)」の説明

第1期の取組と成果をまとめたDVDの上映と、「第2期実行5か年計画(案)」の説明を行った。

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知事あいさつ
神奈川県知事 黒岩祐治

丹沢の水源林を見て回って、これが水源の森林づくりであるということを現場で体感した。森がしっかりしているからこそ水を貯えることができる。放っておいたままではしっかりと水を貯えることができるような森は維持できない。きちんと手入れを行うことで「緑のダム」になり、それが水源となり、この神奈川の水を守っている。

水源の森林づくり事業などを進めるため、県民の皆様から特別な税金をいただいているが、これらの継続についてご理解いただきたい。県民の皆様と共に水の豊かな神奈川をしっかり守っていくように頑張っていきたい。

黒岩知事
黒岩知事

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パネルディスカッション
「いのち輝く水を次世代に引き継ぐために~水源環境保全・再生の第2期の取組に向けて~」

コーディネーター
東京農工大学名誉教授 木平 勇吉

パネリスト
東京大学大学院工学系研究科教授 古米 弘明
サントリーホールテ゛ィンク゛ス(株)エコ戦略本部部長・シニアスヘ゜シャリスト 山田 健
東京市政調査会主任研究員 高井 正
生命の星・地球博物館学芸員 勝山 輝男

【第1期実行5か年計画での成果と改善すべき点について】

(古米氏)

森林の整備、河川や地下水の保全、モニタリング、県民会議といった12の特別対策事業がバランスよく実施できたことが1番の大きな成果である。

湖の水質を改善していくためには、生活排水に含まれる窒素やリンといった栄養源をしっかり除去しなければならない。また、相模湖・津久井湖の上流域に位置する山梨県の活動によって生じた汚濁負荷の問題がある。効率的に負荷削減するためには上流域でしっかり処理することがとても大切である。

(山田氏)

神奈川県の大きな特徴は、専門家による調査研究が充実しているところである。植生保護柵や土壌流出対策工などの効果はかなり実証されており、今後、それを面的に広げていくことが必要である。

水源環境保全・再生事業と丹沢大山自然再生計画で、シカ対策の問題などに対する考え方が共有化されていない部分があったので、一体化した取組が必要である。

(高井氏)

「参加型税制」を具現化した機関が「県民会議」である。県民会議、専門委員会、県民フォーラム、事業モニターなど4か年の活動実績は、期待されていた役割を全うしている。

市町村が主体となって行う事業は予算執行額で見た進捗率にばらつきがみられ、市町村事業の第1期計画と実績に乖離が生じてしまっていることは改善すべき点である。

(勝山氏)

手入れが行き届かない荒廃した人工林の割合が、66%から24%まで改善されたことは大きな成果である。一方でシカ対策と連携した森林整備が十分に行われていなかったことは改善すべき点である。

【第2期実行5か年計画の実施に向けての課題や期待について】

(古米氏)

相模湖と津久井湖の環境基準の水域類型見直し(河川から湖沼へ)に対応し、窒素やリンの環境基準の暫定目標値達成に向けた努力が一層期待される。山梨県の処理施設での共同事業の実施は、画期的な事業であるのでしっかりと進めながら評価していくことが大切である。

(山田氏)

カシノナガキクイムシの問題がこれから深刻になっていくことが予想される。このことを前提として、調査や対応策を行っていくことが必要になると考える。

(高井氏)

かながわ森林塾のように状況の変化に応じて計画変更の必要性も生じる。神奈川県では特別会計により議会の審議を経るという手続きが組み込まれているので、こうした順応的管理が可能となる。

(勝山氏)

シカ管理と連携した森林整備の実施にあたっては、それを管理する人材が必要となる。ワイルドライフ・レンジャーを配置し事業を実施していくという第2期計画に期待したい。

木平委員
コーディネーター(木平委員)
パネリスト
パネリスト(左から古米氏、山田氏、高井氏、勝山氏)
<以上、文責は水源環境保全課。敬称略>

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