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更新日:2020年9月18日
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次の審議会等を下記のとおり開催した。
水源環境保全・再生かながわ県民会議 第9回施策調査専門委員会
平成21年7月23日(木曜日)10時00分から12時10分
かながわ県民センター 304会議室
田中 充【委員長】
淺枝 隆、天野 望、中村 道也
未定
緑政課水源環境調整班、担当者名 原田
電話番号 045-210-4324
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(田中委員長)
おはようございます。第9回、平成21年度としては2回目の施策調査専門委員会を始めます。本日は、主にモニタリング調査の関係と、各特別対策事業の平成20年度の実績・評価について審議することになっています。副委員長の木平委員と原委員がご欠席ですが、オブザーバ委員が多くご参加されていますので、よろしくお願いします。
それでは、議題1「水環境モニタリング調査」の(1)「森林モニタリング調査(人工林現況調査)」について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
【緑政課から、資料1「森林モニタリング調査(人工林現況調査)」について説明。】
(田中委員長)
資料1は、前回委員会でも審議して、幾つか指摘を受けたので、事務局でもう一度担当課とも詰めて整理した案です。修正や考え方の整理の説明がありましたが、内容について如何でしょうか。
(中村委員)
収量比数調査について、山梨県と比較するためという説明ですが、山梨県の調査と足並みを揃える必要はあるのですか。
例えば、山梨県はまだ木材生産に重点を置いていて、実際、森林面積も神奈川県と比較すると非常に大きくて、今回のこの水源環境の整備で関係する部分は、山梨県の全体の森林管理の部分から考えると一部のことです。全体として、木材生産を重点にしている山梨県の森林行政と、環境にシフトして、目的としている森林行政を行っている神奈川県で、足並みを揃える必要性を私は余り感じません。したがって、収量比数を調査する理由が理解できません。
(星崎水源環境保全担当課長)
神奈川県の現在の施策対象は、森林整備状況の調査結果(A、B、C、Dランク)に基づいています。しかし、シカの影響等もあるので、今回は光環境、下層植生、土壌調査を総合的に調査して、その調査結果に基づき、施策対象を判断するということです。この点は理解して頂けると思います。
もう1点、この部分とは別に、山梨県側も上流域対策のために、森林の状況を把握する必要があるので、山梨県と共同で調査しました。その共同調査において、元来山梨県が木材生産の視点からのデータを多く保有していたので、データがある部分については活用しました。データがない部分については、A、B、C、Dランクの形で我々も調査して、収量比数の調査との相関関係を見ながらA、B、C、Dランクに区別する作業を現在行なっています。
逆に、神奈川県側でこのA、B、C、Dランクに分けた箇所に収量比数の基準で考えるとどのようになるのか。収量比数調査の基準を神奈川県側に当てはめる考え方はありませんが、山梨県側が収量比数0.85という数値を出しているので、相関関係を見て、山梨県側に当てはめるとどんな状況かを見るために調査します。ですから、この収量比数を神奈川県側の施策対象の判断の基準にするつもりはなくて、山梨県側の部分を神奈川県の尺度で見るとどのようになるのかを見たいという理由です。
(中村委員)
もう1つは、全体の言葉の表現ですが、例えば「森林整備」という表現で説明されていますが、実際には内容のほとんどが人工林を対象にした整備ですよね。ですから、資料1の5頁では写真は全部人工林です。しかし、この水源環境保全税を財源とした事業に関しては、全てが「森林整備」という言葉が使われています。これは一般人には非常に分かりにくい。人工林に相当の予算が投入されていることについては、緊急的な課題なので、別に異論はありませんが、全体の「森林整備」と説明される時に、一般人は所謂「自然林」を対象に考えると思います。ですから、人工林と自然林との違いが分かるように説明する必要があると思います。
仮に県民から質問された場合には、説明する必要があります。何か誤解されるような表現です。人工林は人工林として説明できる資料が親切だと思います。
(田中委員長)
1点目の収量比数調査の目的については、神奈川県内の人工林の収量比数を悉皆調査するのではなく、むしろ山梨県のデータと相互対照する上で基礎データを収集する必要があるということですね。その意味で、収量比数調査は地点数もかなり限定されています。A、B、C、Dにランクされた林分からそれぞれ10地点、合計40地点選択して、それを3地域で行うということですね。したがって、前段の現況調査と比較すると比重が異なるのですね。この点は中村委員からご指摘があった点を含めて非常にクリアになったと思います。
2点目の全体タイトルが「人工林現況調査」について、表現の中に「森林整備状況」などがあり、言葉が混同して誤解を招きかねないという趣旨のご指摘だと思います。
(淺枝委員)
この人工林現況調査において、写真撮影の場合、スケールを入れるとか、複数枚撮影するとか注意されると、いろいろな情報が引き出せると思います。
(田中委員長)
この調査の実施はこの夏からですか。
(緑政課)
契約の発注手続きは既に済んでおり、現在、業者とその準備しているところです。
(田中委員長)
地点数が多いので大変な調査ですが、この基礎データがなければ、森林整備の状況、光環境、植生環境、土壌環境が分かりません。それが分かれば、現況がどうなっているのか、また5年後、10年後どうなってくるのかが見えてくると思います。
(天野委員)
これは、4~5年ぐらいでは簡単に効果は出てこない。5年間で資料1のようなAランクにはならない。
だから、その中で評価して、この事業は効果がなかったという評価では困る。
(淺枝委員)
森林整備によって、最初に表れる効果は下層植生だと思います。
(田中委員長)
それでは、議題1「水環境モニタリング調査」の(2)「河川モニタリング調査」について、説明をお願いしたいと思います。
【環境科学Cから、資料2「河川モニタリング調査結果の解析・評価手法について」を説明。】
(田中委員長)
河川モニタリングの評価手法について、図を使って分かりやすい提示の仕方を説明していただきましたが、如何でしょうか。
(中村委員)
資料2の6頁の付着藻類を用いた環境評価について、例えば、どの種類があれば何点だとか、どの種類が少なければ何点という説明がないので、この説明では基準がよく分かりません。
(田中委員長)
このDAIpo値はどのように計算するのでしょうか。
(環境科学C)
付着藻類には、きれいな環境に棲息する種類と汚い環境でも棲息できる種類が決まっていて、明確に区分されます。きれいな環境に棲息する種類と汚い環境でも棲息できる種類の個体数から点数を求めます。その点数によって評価するということです。付着藻類については、そのように水質との関係が明確になっています。
(中村委員)
それは理解できるのですが、その好清水性の付着藻類がどのくらいの割合でいれば、この点数になるのかというのがよく分かりません。
例えば森林において、クマタカは非常に大切な鳥で、それが豊かさの指標になると言われていますが、クマタカが1羽いるから森林は豊かと理解するのか、あるいは、たった1羽しか生きられない森林と見るのか。ですから、好清水性が何%ならば、この点数が50点以上になるのかがよく分かりません。
(環境科学C)
これは一定の計算式で求めます。今回の資料の中では示していませんが。
(田中委員長)
前回の資料を見ると、好清水性種の相対優占度と好汚濁性種の優占度を比較して、それで点数をつける計算のようですね。
(淺枝委員)
第1に、森林整備は渓流が対象になりますよね。その場合、渓流ではかなりの指数が既に最高点に近いので、それがうまく森林整備の効果を表す良い指標がないかなというのが1点目です。
第2に、県民の立場では、実際に取水している、相模川や酒匂川の本流の状況が気になります。そこでは、ほとんど変化がない結果になりかねないと思いますが、上手な工夫はありませんか。
(環境科学C)
今回、様々な指標を提示したのは、1つの指数だけではよい評価はできないと思うからです。例えば、種類数だけでは、きれいな環境の上流の方が種類数は少なくなり、下流の方が多いので、種類数だけでは評価できない。したがって、他の指数を用いて総合的に評価する必要があるのであり、森林だけの効果を見られる指数は、なかなかないと思います。森林整備して、他の条件も整って、いろいろな数値が出てくると考えられますので、森林だけではなくて、総合的に評価することになると思います。
EPT指数についても、上流では最高値に近い値になって、後は細分化して評価するか否かということになります。なかなか上流だけの指数は、難しいと思います。
(中村委員)
感覚的なものですが、私は最上流に生活していますが、水温や水量の違いは、この20~30年間で相当な比較の数字になっていると思います。例えば、魚の血を吸うカワジラミは昔いませんでしたが、この十数年非常に多くなった。それから、以前は苔は緑色できれいでしたが、それが何か汚らしくて、茶色いとろとろした苔が増加してきました。水温上昇と時期を同じくして増加してきています。そうすると、やはり水温や水量は、森林荒廃や森林整備状況と直結しているのではないかという気がします。それが昭和40年代後半から50年代、60年代以降と、ちょうど10年ずつの時間差で出てきているので、ちょうど人工林の管理が非常に不適切だった時代がありましたが、現在はかなり手入れがされていますが、その一度変化した状況が追いつかないわけです。
(田中委員長)
中村委員が仰るような、直感的、体感的なデータが、今回の森林整備事業によりある程度復元してきていることが、実際モニタリング調査できれば良いという話だと思いますが、難しいですかね。今、中村委員が仰るような、一番身近な所で毎日その環境変化を見ている方に少しヒアリングすることも方法かも知れませんね。
話は少し飛びますが、成果を把握する必要があるので、モニタリング調査関係にも水源環境保全税をかなり投入しています。昨年度の施策調査専門委員会でも、渓流調査の方法についてかなり検討しましたが、なかなか良い方法がないという方向性が出ています。いずれにしても、ある程度予算を投入しているので、できるだけ成果が見えるような指標やその結果が出せるといいと思いますね。
ありがとうございました。そうすると、水環境モニタリング調査は、資料1の「人工林現況調査」と資料2の「河川モニタリング調査」以外にも、前回検討した対照流域法の調査も計画されています。
それでは、この議題1を一区切りとしたいと思いますが、高橋さん、どうぞ。
(高橋オブザーバ委員)
1点目は、資料1の4頁の「総合評価ランク」の表について、3頁下に記載されているように、「水土保全機能発揮の視点から」評価することが重要なことだと思うので、Aランクは非常に水土保全機能が優れているとか、Dランクは全く水土保全機能がないという一言を表に記載されていれば、ここで言う評価のランクづけになると思います。
2点目は、資料2の3頁の図3「評価イメージ」について、昭和60年代の河川の色分けが、相模川本川の色を「きれい」の青でなくて、「ややきれい」の緑や「やや汚れている」の黄色にしておいて、今後きれいになるというイメージの方が良いという気がしました。
(環境科学C)
昭和60年代の図は、環境科学センターの実際の調査結果を基に評価したものです。平成14、15年度も環境科学センターが調査した結果を基に作成しました。平成20年度以降の将来については、イメージです。
(淺枝委員)
相模川の上流の桂川から来ている水量が大半なので、多少支流がきれいになっても、相模川本川は変化しないと思います。
(新堀オブザーバ委員)
資料2の8頁の図9「多様性指数」と、他の指数のアンバランスが1箇所感じられます。東丹沢のSt25について、他の指数は良いのに、多様性指数だけは低いのです。何故このような数値になったのでしょうか。
(環境科学C)
この場所はEPT指数は高いので、多分、トビケラ、カゲロウ、カワゲラなどきれいな環境に棲息する生物が占めていて、汚い環境に棲息する生物はほとんどいないことだと思います。
(田中委員長)
ご指摘ありがとうございました。確かにSt25もカジカの分布など他の指標で見ると良い状況ですね。
それから、先ほど高橋委員から資料1について、「水土保全機能」を入れたらどうかという話がありました。担当課ともご相談してみてください。
それでは、議題2「各特別対策事業」について、説明をお願いします。
【緑政課から、資料3「各特別対策事業」を説明。】
・各特別対策事業について、前回、20年度の事業実績や予算執行額を説明したが、今回は事業に係るモニタリング調査の実施状況や結果等を説明。
(田中委員長)
森林関係の整備事業とそのモニタリングの結果をご報告いただきましたが、如何でしょうか。
(天野委員)
前回も話しましたが、この水源林モニタリング調査の結果を見ても、下層植生が回復するとシカとの追いかけっこになっている感じがしますが、この調査では、シカに対して植生保護柵を実施していますが、全面的に実施することは可能ですか。
(星崎水源環境保全担当課長)
これは調査のために植生保護柵を設置しています。
(天野委員)
木平先生も仰っていましたが、下層植生が回復するほど、シカの餌が増加して、またシカが入ってくると。この水源の森林づくり事業は制度的には良いのですが、今後水源の森林づくり事業とシカの被害のバランスをどのように取っていくのか。下層植生の状況がAランクになることは良いことですが、約4,000頭のシカがいるわけですから、1,000頭捕獲しても、Aランクになる前に、食べられてしまう。今までは水源の森林づくり事業において、シカ対策をあまり考えてきませんでしたが、これを見ていると、水源の森林づくり事業が進めば進むほど、シカ対策とのリンクを事業の中へ位置づけなければならないと心配しています。
(中村委員)
天野委員のご指摘はよく理解できるし、私も実際に山の中にいてそれは感じます。例えば、採食圧がかかると、極論すれば2~3年で丸坊主になってしまうこともあり、その後回復させるためには相当な時間を要します。そのことは勿論良く理解できるのですが、シカが例えば高標高域に相当の影響を与えるようになったのは、私の感覚で恐縮ですが、昭和50~60年代以後、つまり20~30年前だと思います。例えば、私が住んでいる所で、シカの影響が出始めたのが約40年前からです。
そのように考えると、やはり山の中では林業のあり方が一番大きな要因になったと私は思います。これは林業だけではなく、丹沢周辺の土地活用にもありますが。最近では神奈川でも森林管理のあり方が見直されてきて、県でも「50年構想」が出てきました。例えば、高標高域の人工林や、山麓部の人工林をどのようにすべきかも課題になっています。やはりその点は、シカに限らず野生動物の生息に非常に大きなウエートを占めていると思います。その野生動物と森林との共存を探っていくことについて、この水源環境保全税で進めることは県民の要望と一致すると私は思います。
確かに天野委員が仰るように、森林を整備するとシカが増加してしまうことも理解できますが、そこだけに留まらず、例えば、今モデル地域では、強度間伐をして、シカの餌である植生はよくなっています。そうすると、痩せているシカが50頭いることと、元気なシカが5頭いることのどちらが良いのかという議論も出てくると思います。餌の環境が悪ければ、さらに高標高域の人工林を強度間伐してもいいと思います。もしそれで追いつかない場合は、シカの個体数管理を進めてもいいと思います。
したがって、そのようなモニタリング調査を積み重ねることで野生動物と森林とのバランスをとっていくことが、当面は重要であると私は思います。勿論、丹沢全域に植生保護柵を設置するわけにはいかないので、野生動物の個体数調整と森林整備は、どこかでバランスを取らなければならないと思いますが、一般の県民は極論すると、人工林よりも動物を大事にしてほしいという県民の方がはるかに多いのです。
したがって、一般の県民の森林に対する考え方や意識をある程度変えていただくためにも、モニタリング調査を積み重ねて、共存の道を探っていく方向は変えるべきではないと思います。
(田中委員長)
この点について、事務局の方でどのように考えていますか。
(渋谷緑政課長)
シカの管理は、麓でも被害が出て、高標高域でも下層植生が貧困になり、捕獲の圧力を相当強めなければならないという認識は持っています。最近2年間、従前と比較すると倍の年間1,500頭のシカを捕獲しており、21年度も1,500頭を捕獲する予定です。その意味では、シカの圧力が捕獲によってどの程度軽減されたかが1つあります。
また、我々の目標としては、麓における被害防除、高標高域における下層植生の衰退防止、中標高域においてシカと森林の共生の環境を目標として取り組んでいるので、その意味では、話にあったように、どのような森林施業が良いのか、あるいは森林施業時に捕獲圧力をかけた方が良いのかを、検証しながら実施しなければならないのかというのが現在のスタンスです。現在は、モニタリング調査の試みは、モデル地域にしか実施していませんので。
(天野委員)
今までのシカの議論では、里や麓に出現しては困ると言う議論はありました。今後は森林整備との関係でシカ管理についても、調整できるとよくわかりました。
(星崎水源環境保全担当課長)
施策調査専門委員会においても、ご議論いただければと思います。
(田中委員長)
丹沢大山自然再生の方でも、このような施策を実施されているので、連携や情報の共有も含めて強化をしていくことだろうと思います。また、中村委員が仰るように、多様な意見がある中で、現時点でモニタリング調査をして、実態把握をしながら、バランスを見極めることもあると思います。
(田中委員長)
2-5~6頁にリター侵食やリター被覆率という言葉が出ていますが、この定義や概念について、教えて下さい。
(自然環境C)
リターとは落葉落枝等のことで、土壌の上に積もれば、普通は分解して栄養素になりますが、下層植生がなく、風等で吹き飛ばされると、直接地面が出る状況になります。土壌の侵食を守るために、植生があれば良いわけですが、その前に落葉落枝を守ることが重要であり、したがってリターの情報を定量するようなモニタリング調査しています。
様々な土壌保全工についても、リターを守るための工法も開発されていて、平成17~18年度の先行事業において、工法を検討した際に、リターの落葉落枝の保全について指摘があったということです。
(田中委員長)
リター落葉落枝の流出量と土壌の侵食量はほぼ相関があるのですか。
(自然環境C)
リターがないと、例えば土壌侵食が激しいという結果が出ています。
(田中委員長)
それでは、まずリター落葉落枝をその場に留めることが大事だということですね。
(淺枝委員)
資料3-2の資料2-6の表1について、縦軸が植生で、横軸が土壌侵食効果、リターの蓄積を表しています。まずリターが蓄積して、その後に植生が回復する流れで、時間差があるものを比較しているので、横軸だけでもまずは良いのではと思いますが、この点は如何ですか。
(自然環境C)
その点については、点的なリター保全だけでは、シカが入ってきて、下層植生は回復しないと考えられますので、その周囲に植生保護柵を設置し、二重対策を取ることが望ましく、それを説明するために、二重に表示したと理解しております。
(田中委員長)
表1では、土壌侵食軽減効果がCランクで、植生評価がAランクというのが、保護柵や木製筋工やリターロール筋工Bです。それに対して、リターロール筋工Aは、植生評価がDランクで、保護柵がないので植生が非常に悪くなる。
(自然環境C)
シカが平方kmあたり約20頭いるので、シカの密度が減れば、この基準を用いて適切な工法が選べるようになります。
(淺枝委員)
資料3-1の資料1-7の表について、清川村の箇所があまり効果が出ていないのですが、何故でしょうか。
(自然環境C)
現地を十分確認していませんが、理由は2つ考えられて、1つは、伐採が十分されておらず、暗い状態が続いているということです。もう1つは、一時的に柵の中にシカが侵入してしまっているかも知れません。
(淺枝委員)
県民に説明する時には、そのような理由も書いた方が良いですね。
次に、資料3-6の河川・水路における自然浄化対策について、この事業の位置づけですが、水源の水質を対象とする事業か、あるいは河川の治水などの整備事業か、どちらと捉えれば良いのですか。
(緑政課)
資料3-6にも記載のとおり、生態系に配慮した河川の整備や直接浄化対策を対象にして、市町村に交付金を交付するので、水質等を目的とした事業です。ただし、市町村は河川管理者であるので、治水等の側面も考慮していると思います。
(淺枝委員)
特に予算の内訳をよく考えるように、市町村に上手く説明しないと、何のための事業か、住民の方から理解が得られないと思います。市町村の担当者も可能な限り環境に配慮していると思いますが、一番の問題は、提案する業者が必ずしも十分な検証していない案を提案してくることがあります。
(星崎水源環境保全担当課長)
資料中の写真については、本当は草など復元した状態を掲載した方が良いと思いますが、現況としては、まだ草も生えていない工事完成後の写真しかないものですから。
(高橋弘二オブザーバ委員)
厚木市の恩曽川については、平成20年度に事業モニターに行って、流量や水質等の設計条件を質問したのですが、全然お答え頂けませんでした。浄化ブロックにより水質が浄化される理由を担当者が分からないのです。浄化方法を選択する前の段階として、どのような河川浄化方法があるのか、その中でこれを選択したというストーリーが全然ないのです。
(中村委員)
全体としての話ですが、水源環境保全税を財源とする事業と既存事業が、どこで区別されているか分かりにくいのです。例えば、丹沢に関心を持っている人たちは、丹沢で展開されている事業のほとんどが水源環境保全税を財源としていると思っています。したがって、水源環境保全税で、何故コンクリートの固まりを作るのかと疑問を持つ人たちがいるわけです。
それは、水源環境保全税が開始されてから、行政の広報紙が非常に分かりにくいのです。もう少し、水源環境保全税を財源とする事業はこの事業ですという出し方が必要だと思います。例えば、水源の森林づくり事業を全部水源環境保全税で実施しているような印象を受けます。
もう一つ、前回も申しましたが、渓畔林整備のモニタリング調査は、あれだけの規模の事業で一体何をモニタリングするのかと。渓畔林の機能を見ると、生物多様性の保全が記載されていますが、例えば、あれだけの事業規模では、ほとんど昆虫が再生されるという条件も整わないと思います。2~3年後にモニタリング調査しても、回復する植物の種類と数を数えるだけだという気がしています。
個人の所有する土地ならば仕方ありませんが、県有地で事業を実施する場合は、目的が得られる規模にすべきだと思います。
それから、水路の自然浄化対策についても、水源環境保全税で実施されている。私も農地の排水路や流水路を見ていますが、生き物に配慮と言っても、私は考えなくてもよいと思う時があります。水路には、田んぼに水を流すなど、本来の目的があるわけですが、他のことは行政の言い訳に聞こえるのです。と言うのは、例えば排水路で生き物に配慮すると言っても、その周辺の田畑では農薬を使用しているわけです。水が平均して田んぼに行き、あるいは大雨が降った時に排水できるという目的を基本にして、ブロックを5~6つずらした程度で、魚が休める可能性はほとんどありません。
(田中委員長)
今のことは、事業のあり方に関わる問題ですね。また、先ほど淺枝委員が仰るように、環境に配慮する事業の場合に、業者の提案について留意しなければならないというご指摘ですね。
しかし、他方で、地域の市町村の要望を県が支援していくという効果もありますので、なかなかバランスをとるのは難しいと思いますが、この5か年計画を検討するときに、今のようなご意見は参考にしたいと思います。
それでは、議題3その他として、第2期の活動方針・検討課題について、説明をお願いします。
【緑政課から、資料4「第2期の活動方針・検討課題」を説明。】
(田中委員長)
資料4を、次回の県民会議に、施策調査専門委員会の今後の課題として報告をすることになります。これは前回の県民会議からの宿題事項で、その方向を確認したいと思います。
その上で、今、説明があった第2期の検討課題については、平成21~23年度までの任期中に、5か年計画が区切りを迎えるので、次期5か年計画には盛り込むべき事項や見直すべき事項などについては、いずれかのタイミングで意見交換をしたいし、また、何かご提言したいと思います。そのように、事務局も私も考えているのですが、皆様如何でしょうか。
もう一つは、毎年度の検討課題の中に、本日も議論した特別対策事業についても、いろいろご意見を頂いていますが、21年度末の点検結果報告書を最終的にまとめていくという想定ですか。
(星崎水源環境保全担当課長)
平成20年度末に提出を受けた点検結果報告書の中の19年度の事業結果や、前回の委員会で示した20年度結果、今回のモニタリング調査の資料等について、次回は少しそのモニタリング調査を踏まえて、評価の意味でご議論いただき、全体として今後の点検結果報告書を少し書いて、ご指摘いただければと思います。
(田中委員長)
段階的に積み上げて、21年度末に最終的に点検結果報告書を作成するイメージでしょうか。そのように進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日、オブザーバ委員の皆様、最後に一言ずつ如何でしょうか。
(久保オブザーバ委員)
資料3-2の2-4頁において、土壌流出量調査が出ていますが、地滑りはどのように扱っているのですか。
もう1つは、資料2の9頁のEPT指数について、カゲロウ、カワゲラ、トビケラありますが、どのように計算するのですか。
また、資料2の3頁の評価イメージについて、確かにきれいになってきたことは理解できるのですが、取水堰の所では同じということは、何故こうなるのでしょうか。以上です。
(井伊オブザーバ委員)
次期の5か年計画の施策として、担い手育成をぜひ取り上げてほしいと思います。私は、神奈川の場合は林業というよりも森林保全業という意味合いの方が強いと思います。神奈川県の林業は、経営的にはほとんど難しい状況だと思っていますので、林業再生というよりも森林保全業、環境保全業と言い方を変えれば、それは現場でかなりすっきりすると思います。そのような意味で、施業方法も、従前の木材を搬出し、それを売って収入を得る方法、その管理方法で今の現状はされていると思いますが、やはり丹沢の森林保全に即した施業方法が必要だと思います。私は山の現場へ入っているので、この方法で保全に関係あるのかと疑問に思うところがあります。
そういう意味で、次の5か年計画には、担い手育成の中で、丹沢の森林保全を担う、丹沢の山を守る担い手をぜひ育てていかなければ、難しくなるという思いがするのです。
(田中委員長)
何点かご意見とご質問を頂きましたが、時間も過ぎているので、後日、事務局から回答するようお願いしたいと思います。
オブザーバ委員の皆様、同様の資料が県民会議で提出され、施策調査専門委員会でどのような議論がされたか報告いたします。その段階でもう一度追加のコメントがあれば、今度は委員としてご発言をいただくことになるので、参加して頂ければと思います。
それでは、第9回の施策調査専門委員会を、これで終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。
【会議終了】
このページの所管所属は環境農政局 緑政部水源環境保全課です。