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更新日:2020年9月18日
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次の審議会等を下記のとおり開催した。
水源環境保全・再生かながわ県民会議 第14回施策調査専門委員会
平成22年8月2日(月曜日)14時00分から16時30分
神奈川県中小企業共済会館6階 第1・2会議室
田中 充【委員長】、木平 勇吉【副委員長】
天野 望、中村 道也、原 慶太郎
オブザーバー委員 倉橋 満知子、岩渕 聖、小林 信雄
未定
水源環境保全課調整グループ、担当者名 原田
電話番号 045-210-4352
(田中委員長)
・(1)大洞沢の事前モニタリングの調査結果について、No.4の流出量が他地点より多いのは何故か。
・(2)また、No.4の蒸散量+深部浸透量がマイナスの数字になっているのは何故か。
(自然環境C)
・(1)流域界が外見上明瞭ではなく、当初設定と実際の集水域が異なり、流域面積がもっと大きい可能性がある。
・(2)降水量よりも流出量が多いため、蒸散量+深部浸透量がマイナスになっている。より広い範囲から水が供給されていることを示している。
(中村委員)
・土砂移動量はシカの影響により変化するだろう。シカの管理捕獲の地域で比較することは考えているか。
・裸地化している調査地のシカを排除して、植生回復状況を調査する等。
(自然環境C)
・対照流域法の中で、一方に植生保護柵を設置して、植生回復状況や土壌流出量を調査する予定。堂平の調査では、土壌保全工と植生保護柵により、土壌流出量が減少するデータが得られている。大洞沢では、水流出と土壌流出と植生回復を流域サイズで調査する。
(中村委員)
・大洞沢は県有林が多い。一定程度、人工林に手を入れれば、シカ管理を極端に進めなくても、植生回復するのではないか。
(自然環境C)
・大洞沢流域では人工林整備とシカ管理を組み合わせた実験計画としている。
・貝沢流域ではシカがいないので、人工林整備のみの影響を把握できる。
(岩渕オブザーバ委員)
・各試験地における哺乳類の生息確認状況があるが、植生回復状況を考えると、鳥類の方が指標になると思うが、調査計画はあるか。
(自然環境C)
・大洞沢流域は丹沢大山総合調査で、植物や昆虫の調査結果があるが、鳥は把握していない。対照流域調査検討会議で検討する。
(田中委員長)
・水循環モデルのグラフについて説明されたい。
(自然環境C)
・左側の棒グラフは、年間の流出量を示したグラフ。林床植生被度の条件と降雨条件を変えてシミュレーションした。
・右側の折線グラフは、短期的な水流出量を示したグラフ。時間雨量の変化に伴う流量や土砂流出量を、林床植生被度の条件を変えてシミュレーションした。
(田中委員長)
・現実の観測値は反映しているのか。
(自然環境C)
・水循環モデルを構築する時に一定期間の実測値を元にしている。これはあくまで予測モデル値なので実測値はない。
・対照流域法は狭いエリアで調査するので、補完する意味で水循環モデルのシミュレーションも必要。
(原委員)
・調査単位は何か。
(森林再生課)
・林分単位。林分区画入り地図を委託業者に渡し、GPSで位置を特定した。調査地点における代表的な状況を判断して調査結果とした。
(中村委員)
・5項目でランク区分して評価しているが、標高や斜面方位等の場所によって異なっているので、それらも調べれば良かった。そうすればもっと詳しい分析、例えば、広葉樹へ転換する場所、人工林として生産する場所等、整備の方向性の検討まで使えるものになったのではないか。
(森林再生課)
・膨大な調査を1シーズンという短期間で行うため、この5項目の調査で精一杯であった。
(中村委員)
・複数の事業計画に対して、役立つ調査をしていただきたい。
(原委員)
・5年ごとに調査するとのことだが、評価基準は揃える必要がある。
・総合評価Aのシカ影響について、他の項目でも影響はあるので、別にシカ影響は把握した方がよい。
(木平委員)
・約42,000箇所の森林調査は素晴らしいこと。この調査結果を分析すれば人工林問題は現状が把握できるのではないか。
(森林再生課)
・今回は集計結果の報告のみだが、今後、いろいろな分析してみたいと考えている。データの活用法については、先生方にも助言をいただきたい。
(田中委員長)
・総合評価のシカの影響の有無についてはどうか。ランクAの中でも下層植生が貧弱のものをA'としては如何。
(森林再生課)
・傾斜や地質、斜面方位などシカ以外の要因の可能性はあるが、シカの影響が大と推察された箇所をA'とした。
(原委員)
・(1)神奈川県ではヒダサンショウウオは他の地域にも生息するのか。
・(2)外来植物(帰化植物)は上流部でも見られるのか。
(環境科学C)
・(1)ヒダサンショウウオは20年度の相模川水系の調査でも報告されている。
・(2)上流部の外来植物は人間が持ち込んだものと思われる。水生植物はほとんどないが、水辺植物が多い。
(中村委員)
・指標種としてカワセミは疑問。ダム湖から上流域は生息域ではない。ヤマセミは中流域に生息。下流域にも上流域にも生息する鳥が指標として適している。
(岩渕オブザーバ委員)
・カジカガエルの個体数調査の範囲は。
(環境科学C)
・両生類調査は調査地点の前後の範囲を、時間を一定にして調査している。
(時間の制約上、省略。【資料4】)
(木平委員)
・資料5について、(1)水源林整備について「目標林型への着実な誘導が不確実」とあるが、まずその検証・評価が必要。確保と整備は一体であることが大切。
・(2)水源環境保全税の特徴は、県民参加型とサンセット。県民参加型であることを強調すべき。県民参加の代表である県民会議の役割や制度、あり方について、次期計画に向けて評価しては如何。
(田中委員長)
・(2)の県民会議の役割や制度、あり方については、次回の県民会議で議論するのか。
(水源環境保全課長)
・まず座長等の四者協議会の中で打合せをされてから、県民会議の中で議論したい。
(中村委員)
・水源環境保全税による施策の対象地域は、最初はダム集水域であった。現在は下流も含まれ、県民は異なる印象を持っているだろう。
・水源環境保全税の事業は、丹沢大山地域の生物多様性を向上させることが、水源環境の向上に繋がると考える。
(田中委員長)
・水源環境保全税による施策の目的は「良質な水の安定的確保」であったはず。大前提である施策目的を明記した方が良い。
(中村委員)
・当初の県民の要望に戻る必要がある。最初の県民アンケートでは1,000円を出して良いという意見が多かった。それは自然環境保全に対するものである。
(原委員)
・神奈川県では生物多様性地域戦略を策定すると聞いているが、それとの整合性はどうか。生物多様性の議論は、個別の生物保護の問題等に矮小化されがちだが、生態系サービスの享受が大切。
(田中委員長)
・神奈川県の水源環境保全税による施策は、あくまで水源環境保全のためと理解している。生物多様性や自然環境保全のためとは理解していない。
・超過課税を他の目的に変更するのであれば、一度サンセットすべきと考える。
・水源環境保全税の検討段階では、水道料金の上乗せ案もあったが結局、個人県民税となった。その目的に添って事業進捗を評価すべき。
(中村委員)
・結局、水源環境保全とは何かという話である。個別事業の進捗が水源環境保全につながるのか、事業実施が生物多様性の向上につながり、それが水源環境保全につながるのか。
(田中委員長)
・水源環境保全・再生施策は12の特別対策事業の他にも、一般の事業も取り組んでいる。
・水源環境保全税は目的税的な考えが強く、「良質な水の安定的確保」という大前提がある。例えば、合併処理浄化槽を整備すれば、水源がきれいになり、副次的な効果として生物多様性が向上する。しかし、水源税の本来の目的は生物多様性ではなく、「良質な水の安定的確保」である。目的と手段の違いである。
・県外上流域に広げる段階でも、神奈川県のためと整理することが必要。
(天野委員)
・神奈川県は従来、水資源開発を進めてきた。津久井湖・相模湖の対策を進める必要があったが、水道事業者は宮ヶ瀬ダムの負担が大きく、踏み込むことができなかった。
・私は平成14年当時の岡崎知事に「宮ヶ瀬ダムが完成し、水資源開発は終わった。今後は水質保全に転換すべき」と進言した。
・しかし、水道料金の上乗せについては、横浜市や川崎市の水道事業者がは反対した。
・また、県議会では水源地の範囲について議論された。結果的に、総合的に幅広い着地点を求めないと県議会を通らない状況だった。
・丹沢大山などの自然環境保全の事業と、水源林の確保など水源環境保全税を投入すべき事業を整理しては如何。
(倉橋オブザーバ委員)
・拡大造林で植林した森林を、可能な場所は戻しては如何。間伐しても搬出できないのであれば、部分的に皆伐しては如何。
・県外上流域対策は、次期計画に入れていただきたい。
【会議終了】
資料3 平成21年度河川のモニタリング調査結果の概要(水質・動植物調査)
資料4 特別対策事業の平成21年度実績、22年度計画
このページの所管所属は環境農政局 緑政部水源環境保全課です。