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更新日:2020年9月18日
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次の審議会等を下記のとおり開催した。
水源環境保全・再生かながわ県民会議 第16回施策調査専門委員会
平成23年7月13日(水曜日)14時00分から16時30分
神奈川県中小企業共済会館6階 第1・2会議室
田中 充【委員長】、木平 勇吉【副委員長】
淺枝 隆、天野 望、中村 道也
オブザーバー委員 高橋 弘二、新堀 豊彦
平成23年10月28日
水源環境保全課調整グループ、担当者名 高乘
電話番号 045-210-4352
(木平委員)
これから事後調査が始まるわけですが、第2期の計画においてもこれを継続するというのが最低限の条件になりますし、第2期だけではなくて、第3期、第4期というようにかなり長期的なものがないと、せっかくの今までの努力が無になると思うのですね。4箇所でもきちんとした組織立った調査をやっているというのは多分日本ではそんなにないし、世界的にも非常に稀な例だと思うのです。これを続けていくためには、水源環境税をあてにしただけでは非常に不安があるんじゃないかという気がするのです。
ということで調査体制というか財政的なバックアップもそうだし、こうした事業に関わる外部の人だとか、そういうものを非常に長期に安定させる対策を行い、制度の強化というか恒久化というものを次期の第2期の中で組み込んでいくことが必要ではないかと思います。
(田中委員長)
水源環境税を皮切りに始まったモニタリング調査ですが、今日いただいている資料1の5ページには調査会検会討会議という体制が記載してあり、東京大学であるとか東京農工大であるとか大学の関係、それからモニタリングということでいけば請負業者、受託業者もいます。相当大がかりな体制を組んでいるわけですね。これだけの体制でやるには、やはり費用も相当かかるということで今後の継続した自立的な調査の体制が大事ですよという話だと思うのですが、自然環境保全センターで今後のプログラムなど何か考えはありますか。
(自然環境保全センター)
基本的には金額的な部分や事業的な部分としては第2期に位置付けておりますので、まずは水源環境税の中でやれることをしっかりやっていきたいと考えております。
もう一つの課題としましては、やはりいろいろな大学と連携ではやっているのですが、どうしても基礎調査的な部分、要するに広域調査はどこでもそれほどたくさんやっていることではないので、そのようなところと併せてモニタリングをやっていかなければいけないので、研究機関の中でそういう基礎的な調査、やり方なども含めた即応できる試験設備というようなものも必要になってくると思いますし、今後の話になるかと思いますが、事業量の拡大に応じては人員的なものもいろいろ工夫しながら何とかやっていければと考えています。
いずれにしても、継続してやっていくという考えについては、変わらず進めていきたいと考えております。
(中村委員)
こういう事業は継続していくことに意味があると思います。ただ、私は非常に穿った見方で申し訳ないのですが、水源環境税ではなくて一般の事業として予算を取ってやり始めると、予算が無くなると、切られる危惧を持ちます。極端な言い方をすると、水源環境税でやる方が予算としては安定する気がします。
この事業は水源環境税、超過課税で行っている事業ですが、神奈川県が事業を継続していきたいという意思と、真摯な事業を推進する姿勢で、未来永劫続く施策と思います。そういう意味では、水源環境税の中で事業を進めていく方が、私は将来も発展していくんじゃないかと思います。
(淺枝委員)
例えば、図6のセシウム137と鉛210exについて、これはどういうものを出そうとしているんですか。
(自然環境保全センター)
これは土の表面で、今は3.11もあってちょっとセシウムの方が新しく追加されましたけれども、これまではチェルノブイリだとか幾つかの実験の影響で地表に溜まっておりまして、土壌流出がおこるとその地表に溜まったセシウムが土粒子に付いたまま河川に流れ込みます。河川に流出した土粒子がどこから出たものかというのを、侵食されていない基準地と河川の量水堰の中に溜まっている土砂のセシウムの量を調べるという調査をしました。
その結果、流域4ではほとんど量水堰に流れ込んだ土砂には地表近くの土粒子が含まれていないのに対して、流域3の量水堰に流れ込んだ土砂は若干裸地斜面に近い性質を示していますので、流域3というのは隣の図で見れば分かりますように裸地が非常に多くて、そこから土砂が流れ込んでいくということで、この分析によって土砂の発生源を推定できる比較的新しい調査手法です。
(淺枝委員)
重要なところは、例えば一般的にどんな流域でやられて、大体この位であればこの位ですよというようなこととかが示されることです。これは、まだ確立していないわけですね。
(自然環境保全センター)
まだ確立しておりません。これは大学で新しく試行的に行われております。
(淺枝委員)
こういった事業の時には研究的な要素がたくさんあります、ということは神奈川県としてどんどんそうした研究の方に投資しますというご覚悟が必要です。
そうではなくて、例えば、文部科学省所管の場所で既に行われた研究成果を元に、もう少し確立された方法を利用させていただくということになると、もっと一般的になった方法を利用するということも可能です。大学の場合、10年-20年経ちますと、間違いなく前に行っていた研究は古くなります。担当者もかわります。多くの場合、10年-20年継続して行うということは不可能です。ですから、継続的な調査に関しては、大学に頼るのではなく、県として新しい手法を確立する意思があるのかどうか、それが必要ですね。
(自然環境保全センター)
将来的な方向はともかくとしまして、対照流域法というのは世界的にもたくさん行われております。今回神奈川県で進めているは水収支に加えて自然環境要素を幅広く総合的なモニタリングということで、その中には研究的な要素もありますので、そういったものは大学と連携しながら行っていきます。
(田中委員長)
中村委員がおっしゃられたことは、対照流域法のような長期的にわたってデータをとることで一定の知見、かなり優れた知見が得られる。しかも神奈川の地域の中で、まさに水源環境の森の中でこういうものが得られることは大変貴重であるということ。
これを一般的な事業費をかけて持ち込むと、いろいろな意味で安定的な財源確保が難しくなる可能性があるので、かえって水源環境税という枠の中で目的を踏まえながらやっていく方が結果としてはデータが蓄積していくのではないかと、そういう指摘だなと私も受けとめています。
木平委員のお話では、もう少し水源環境税に負わなくても出来るようにと、そんなお話だったでしょうか。
(木平委員)
水源環境税はご存じのようにサンセット税です。ですから、それにどっぷり浸かるのは危ないということです。先ほど中村先生がおっしゃったように、官庁予算に頼っても官庁予算はどうなるか分からないです。そこでいろいろな対策を行わなければということです。
(田中委員長)
1枚目に5か年計画に基づく実施スケジュールがありますが、端的に言えば第4次までやれば大体20年位かけてデータをとると。大体、そんな一つの見込みがこのスケジュールに入っているのかなと思うのですが、やはりその位のことを考えているんですか。
(自然環境保全センター)
水源環境保全・再生施策大綱の中で、20年間の中で順応型管理をやっていくということであれば、大綱の期間は当然のようにモニタリングをして検証していく必要があるということで現在も進めております。ついては当然のこととして、この事業が継続される限りはモニタリングが必要だという認識でやっております。
(田中委員長)
他にいかがでしょうか、内容の面で。
幾つかちょっと専門的なので見方を教えていただきたいのですが、先ほどちょうど淺枝先生から出ました4ページの図6でしょうか、セシウム137の濃度のグラフがついたものがあります。これを見ると流域3の量水堰、流域4の量水堰、それから、基準地1とか基準地2とかありますが、この意味はどういうことを、このグラフでどちらに寄っていればどうだとか、その意味はどんなことを示していますか。
(自然環境保全センター)
図6ですけれども、こちらは5箇所で土壌のサンプルをとりまして、セシウムと鉛の濃度を分析しています。このセシウムと鉛は大気中から供給されていますけれども、土壌の地面に降り注いで土粒子に吸着されてそこから動きません。土粒子と一緒に移動しますので、大気から供給されたセシウムが地面に降って、土壌が動かなければずっとそこにあるはずです。それが急な斜面なので土壌が流れますと、一緒に土粒子に付着したセシウムも動いていきます。基準地1、2とありますけれども、この2点は尾根ですので、土が動きにくいですので尾根はセシウム濃度が高いはずです。それに加えまして、斜面の下になりますとすでに土が流れていますので濃度が幾らか減ってきます。そして、あと量水堰2地点で土を測っていますが、ここは量水堰に流れ出た土粒子を分析したものですけれども、これは流域3の裸地の多い方ですね、こちらを分析しますと多少セシウムが含まれているということで、上から流れて来たものが出てきているというものの証拠になります。
そして、流域4の方はこちらは濃度がゼロということになりますので、斜面から供給される土粒子はほぼないというような結果です。
(田中委員長)
そうしますと、つまりこれはセシウムが高い、例えば基準地の1とか基準地の2というのは、比較的大気中から吸着した粒子がたくさんあるので高く出ると。だからそれは基本的に動いていないというか、その場にあるということですね。
(自然環境保全センター)
そうですね、土粒子があったとしても、例えば川底の岩が削られたりですとか、そういうもともと表層の土壌ではないところから細かい粒子が発生して流れていくというようなことだと。
(田中委員長)
逆に流域4の量水堰のところがほとんどゼロということは、これは表面の粒子ではなくて、ほとんど入ってきていない、これに到達していないということを言っているのですか。
(自然環境保全センター)
そうですね、土粒子があったとしても、例えば川底の岩が検出されたりですとか、そういうもともと表層の土壌ではないところから細かい粒子が発生して流れていくというようなことだと。
(自然環境保全センター)
図7と一緒に見ていただくと、流域3の生産源が大きくなっておりますけれども、こちらの方からは、少し斜面の方からは供給されてセシウムが含まれているものが量水堰の中に入ってきていると。
流域4の方は生産源が全体的に小さいですし、そういうなかで入ってくる浮遊砂だとか掃流砂も少ないと。その流送されている中身が斜面というよりも、川の底床の中から入ってきているということは、この2つの図を合わせると生産源が大体推定できると。
今回流域3の方を試験流域にしまして、全体的に生産源を図の4の茶色の部分を緑に、要するに植生を生やして緑にすることで全体的に浮遊砂量と掃流砂量が減少していくというような操作をして森林整備等の効果を検証していくと、そういうシナリオになっております。その辺の基礎的なデータを図6と図7で、事前モニタリングで得ることができたと。ちょっと専門的な結果になったので非常に精密にこの大洞流域についてはやっておりまして、そういったことでなったと。
今後図7の生産源とか、下の掃流砂量がだんだん減ってくるということがモニタリングによって実際に確認されたというように考えております。
(淺枝委員)
かなり植生が回復した段階の比較の元データになっているんですよね。
(自然環境保全センター)
そうですね。
(淺枝委員)
逆に言うと、今後10年後、20年後に、もう1回同じ方法でやられなければいけないですね。
(自然環境保全センター)
そういうことです。
(淺枝委員)
そのあたりは大丈夫なんですか。先ほど私が心配だったのはその点です。
(自然環境保全センター)
ですから、逆に20年後にその結果が出たとしても比較するものがないと困りますので、事前にきちんとこういう形で押さえておりますので、今後、先ほど言ったように解析に近いものに出来れば検証は確実に出来るようになるだろうと思います。
(田中委員長)
図7は、左側の流域3の方がこれは結局裸地が多いので、どんどん流れ出している状況だということですか。
(自然環境保全センター)
そうです。
(中村委員)
事業が大きくなったり、あるいは新しい研究テーマに取り組んだり、より専門的になっていった時に、説明していただいても何とかという程度なんですよ、私なんかはね。そうすると、そのために税というものを出して協力する県民には、例えば水源環境税の5か年計画ですか、この中に盛り込んでいく時はもう少し平易な手順といいますか、普通の人が見ても仮に理解は出来なくても何故それが必要なのか、これが今後20年間どういう形で森林事業に貢献していくかといったような説明は必要じゃないかと。そうしないと、私には全然解かりません。
(淺枝委員)
県の他の機関でこれが出来るようにしておかないと、困ります。10年後大学が協力してくれるかどうか分からないですね。もしできないとすると、比較が出来ないじゃないですか、今やっていただいている大学が再度行ってくれるという担保が出来ていればいいんですが。
(田中委員長)
中村委員からの意見はもっともな話で、資料を見た時に私もよく分からなかった。そうするとこの意味であるとか、あるいはこのことによって分かることが、もう少し県民レベルで使うような、あるいは理解が出来なくてもその意味が分かるような説明が必要だというのが一つです。
(淺枝委員)
図7で良いのです。これが今の状況の図で、10年後の似たような図があって、比較してこれだけ小さくなりましたというのが出ればいいですね。
(田中委員長)
淺枝委員からは、県の分析力みたいなものは自前で持っていた方が良いかも知れませんよとのお話でした。これは鉛ですか、こういうものの分析は環境科学センターがやるのかどうか。多分微量分析なのでしょう、相当に微量なものを分析する。これは今までは大学と連携してやっているんですが、大学の受け皿がなくなってしまうこともあって、そういう点では技術、分析技術もいずれは自前化してということ、その点もご検討ください。
(高橋オブザーバー委員)
4ページの図2ですが、番号がNo1、No3、NO4とありますが、これは流域の番号と同じですねという確認です。
あと流量がミリメートルという単位になっているんですけれども、これは面積か何かで割っているのでしょうか。
それで3ページの図1、No3とNo4を比べると、No4の方が流量が大きいですよね。4ページの図7、これで生産源は別として、流送、それから浮遊砂、掃流砂、流量が大きいにもかかわらずNo4の方が小さくなっています。これはどういう意味でしょうか。大きい方が大きくなるような気がするのですけれども。
(自然環境保全センター)
まず3ページの図1ですけれども、こちらの下の方は流量、No1、No3、No4の各ポイントで流量を測定したものです。これは対数グラフになりますけれども面積で割っています。おっしゃるとおりNo3よりも、No4が同じような流域面積ですけれども、No4のほうが流量が多くなっています。ピークの流量はそれほど大きくは変わらないんですね。雨が降って増水した時の流量はそんなに大きくは変わらないんですが、平水時の雨がない時の川の量が大分違います。この図7の土砂の出方では、土砂が出るのは大体雨がたくさん降った時に出ますので、そこまで雨が降った時にピークの流量が変わらないということなので、図1のNo4のところで流量が多いといってもそんなに変わらないということが一つあるのと、あとは植生がNo4のほうが覆っていますし、そういうことで斜面の表面を水が流れることが少ないのかなというような気もしますので、もう少し詳しく調べますので分かり次第また説明したいと思います。
(淺枝委員)
これはもちろん植生の状況というのは、多少、No4の方が密かもしれません。もう一つは、勾配が全然違うことから生じています。No3の方が圧倒的に急勾配で、流れも速く土砂もたくさん出ます。
(高橋オブザーバー委員)
あともう1点ですけれども、気象条件ですが、冬場この場所は積雪はないのでしょうか。
(自然環境保全センター)
最近はほとんどないです。3月ごろに一部ありますけれども、11月、12月はないです。
(田中委員長)
たしかにそうですね。図1を見ると、たしかにNo3と4を見ると、No4のほうが平水時は流出量が大きいんですね。
(淺枝委員)
No4の方が植生があるんでしょうね。先ほどおっしゃったように、おそらく植生はNo4の方が密で、植生の状況と勾配、その二つで土砂の出方が変わってくるのだと思います。
(自然環境保全センター)
若干補足ですけれども、流域4の境界線の左側のところに線が引いてありますけれども、境界部分については緩傾斜でして、もう少し線の形を精査しております。緩傾斜だと流域界というのが難しくて、先ほど言ったように深部浸透量がマイナスになったというのはそういった原因もありますので、地下構造の推定とかボーリング等で若干検証中です。
(淺枝委員)
地層の状況をよく検証してくださいね。
(自然環境保全センター)
そうですね。そのあたりを検証しておりまして、見かけの境と実際の境というものを検証しております。
(田中委員長)
先生方よろしゅうございますか。一応こういうことで成果が徐々に出てきていると。今年度引き続きまたモニタリング調査を継続すると。ありがとうございました、森林モニタリングについてはこの程度にいたします。
(天野委員)
河川調査でナミウズムシ、それからアブラハヤの調査をやっていますね。ナミウズムシがいるとそこの水質はこういうことなので、いるかいないか是非探してみてくださいということなんでしょうけれども。たまたまナミウズムシがいたからどういうふうになって、これから何かをしなければならないとか、そういう問題を提起してくれないと分からない。
(環境科学センター)
ナミウズムシ、アブラハヤについては豊かな環境を指標する生き物ということで、あらかじめそういった代表的な指標値を提示しているものになります。
県民の方には、その調査場所である決まった生き物について調べてくださいというふうには言っていないです。自由に調査していただくという形にしていて、豊かな環境を指標する生き物について、どういったものがいたのかというデータを報告していただく形にしています。
(天野委員)
それで良かった良かったということになるのですか。それともこれからもっとお金を投下しなければいけない材料が出てきたという話なのか。それとも効果が出ているというのか、どういう話なのか。
(環境科学センター)
こちらの方については、豊かな環境を指標する生き物が見られたという状況があると。
(天野委員)
水道法ではどんな設備を作っても一定の塩素を入れなければいけませんよという基準があるけれども、例えばこういう虫がいれば、その土地の流域の水はそのまま飲んでも全く影響がないものですよとか、これをやる意味は何なのか。県でやるのだからこれが出たら水質が悪いとか、これが出たから我々の努力が報われているとか、何なのかそこがよく分からないんです。
(環境科学センター)
この生き物がいるから確実にその水質がきれい、汚いという見方をするというのはちょっと難しいと思うんです。生き物というのは水質以外の要因によっても生息するというのが規定されてきますから難しいと思うんですが。
(天野委員)
良い水質であるということが証明されましたということで良いわけですか。
(淺枝委員)
あるところまでは保証できるということになります。この生物がいるから大体この位まではここの水質は保証できますよとか。
(天野委員)
飲料水としてですか。
(淺枝委員)
飲料水とはまた別です。
(高橋オブザーバー委員)
水質というのはサンプリングした時、採ったときの水の質なんです。24時間、365日のデータではないんです。ところがそこの水が本当にきれいなのかどうかというのは、そこに住んでいる生き物を調べるのが一番分かりやすいんです。きれいな水の代表がウズムシなんです。その他にも色々な生き物がいますけれども、生き物を調べることによってそこの水のきれいさ、汚れているというのが分かります。ウズムシというのは面白い格好をしているので、特に子供たちが見たら、半分に切ったら2匹になっちゃうんですよ。そういう性格のものなので、代表的なものということでこれを調べたと。だから水質とはちょっと違うんです。
(中村委員)
ただ、分かりやすいようにするためには、例えば2ページに河川水質の評価項目とランクとあるじゃないですか。こういうところに例えばこういう生物がいたら、ここの水質はこうですよというのが分かりやすくなっていないと。例えばアブラハヤは、私が子供の頃は布川の上流から1.5キロ位下流のところまでは生息していました。でも今はいません。今はそれこそ宮ヶ瀬に近いところまで行かないといないですね。それだけ変わってきているんです。変わってきているんだけれども、これだけ見たら何かきれいじゃないかというような感じになっています。だから、やはり誰が見ても分かるようにした方が良いんじゃないですか。これだけを見ても分からない。ナミウズムシがいたらどうなんだと。
(淺枝委員)
この2つは大体Bぐらいですか、いやこれはAが保証できます。
(天野委員)
虫の名前とかハヤの名前が出ているので、この辺が汚れているということではないんだね。神奈川県が調査をしてこの事業全体を進める上で非常に重要な意味がありますよということを言っているのか、宮ヶ瀬ダムに流れ込む水はこの位基本的には良い水が出ていますというのか。何の目的があるのかなと、それが分からない。
(淺枝委員)
色が付いている現場ですから、さっきのABCDのランクで言うと大体Aぐらいにあたっていますと。ただ、先ほどおっしゃった水道水源にはなりますが、そのまま飲めるというものではありません。処理しない限りは飲めません。もちろん水道水源ということにはなりますけれども、飲料水はもっともっとレベルが高く、そこまではいかないです。そのレベルではないけれど、Aであればもちろん水源として十分可能ですと、そういう意味合いです。
(中村委員)
自分が山の中に住んでいるから言うわけじゃないんですが、丹沢の水温が20年前に比べると5度位高いじゃないですか。例えばその当時は、私は藤熊の川の水は飲まないけれども境沢の水は平気で飲んでいたんです。
ところがここに来て水温が上がってきたら、コケというのかちょっと淀んでいるころにとろーんとしたご飯にかけるような昆布があるじゃないですか。ああいうようなものが川の中に見るようになったのはここ10年位です。
私が見ていてこの15年の経年の変化というのはすごいんです。誰でももう少し気軽に参加できるようなものがあっても良いと思います。
(環境科学センター)
これは上流できれいなところでしかいない生き物で、先ほどおっしゃいましたように、やはり生き物というのは生き証人ですので、そういうものが生息しているということは環境が良いだろうということで、これは県民の方にも分かりやすいということで。ただ、これが一体何なのかというのは研修会で習得していただいておりますが、5年に1回きめ細かい調査もやっておりまして、これを5年ごとに繰り返していきますので、私どもとしては水源税による施策展開で、その結果として川が、元々神奈川の川はきれいになってきていますけれども、より良い、これまでいなかったようなものがまた蘇ってきたとか、そういったものが見られればなということで期待しながらやっているんですけれども。そういう意味で、水温が上がったということなのか分かりませんが、そういった調査も行っておりますので、そういった結果もまた後で出てくるのではないかなと思っております。
(中村委員)
2ページの評価項目のランクがあるんですが、例えば、こういうところの欄のどこか1箇所に、例えばナミウズムシとかアブラハヤがもし指標になっているのであれば、そこに項目を付け足したらどうですか。そうすると例えば水生昆虫、一般的には川虫しかいないんですけれども、その川虫がこういうところに棲んでいるよ、あるいはここはナミウズムシが棲んでいるよというのを例えばBランクとする。そうすると、その昆虫がいるとここの水質は大体この位のランクだなと分かりますよね。
(環境科学センター)
ナミウズムシがいいところに棲んでいるのか悪いところなのか、それがここに示してしなかったものですから、ちょっと疑問を与えてしまいましたのでそこはまた訂正させてもらいます。
(天野委員)
この虫なりハヤなりが棲んでいることが何なのかということ。例えば早戸川水系をみた時に、早戸川水系は水温から言えばどんなにきれいになったってヤマメしか棲めないわけです、イワナは絶対棲めないわけです。だからこういうものが生息しているということが、水質なのか、水温がたまたま低くて生息できているのか。要は我々がやっている仕事というのは、水量を増やそう、良い水質の水源を確保しようというスタンス。
(淺枝委員)
他の条件が満たされればAランクに入りますと、そういう見方ですね。
(天野委員)
それを県民調査、県民の方々の調査によって発見されたので、我々神奈川県でやっていることは間違いありませんよということなのか。何でこれをこうやってここに資料を出してきて報告しているのかが分からない。
(淺枝委員)
ただ一つ非常に大きな問題がありまして、ここでは水質調査をやられています。調査されている項目はどのようなものですか。
(環境科学センター)
水質調査の項目は、県民参加の調査の場合、主にこちらの2ページの表にありますABCDという感覚的な指標で評価してもらっています。
(淺枝委員)
分かりました。県民参加はそうですね。例えば、専門家が調査したところで調べられる項目が限られるわけですよね。例えばその項目に入らない毒性の物質があったら生物は棲めないんです。そういう意味で生物の指標というのは、いろいろな総合的なものが総合されてでてくるところがあります。もちろんもっと山ほど分析をやるというのもありますが、幾らやっても抜け落ちるものがあります。しかし、生物が棲んでいるということは、少なくとも彼らが棲む位の条件にはなっているということが言えるという大きな意味合いがあります。
一つ気を付けていただきたいのは、上流の方はヤマメしか棲めないです。アブラハヤは棲めないんです。ということは、悪化の条件が全部揃えば、アブラハヤが棲んでいればこの位の水質ですよという形になります。
(天野委員)
それはこれだけ話を聞けば分かるけれども。
(淺枝委員)
それは、そこを上手く県民の方に分かるようにね。
(中村委員)
例えば別の場所で見つかれば、そこの水質は改善されたと。
(淺枝委員)
そうですね。
(天野委員)
私は田舎に住んでいたから、今年なんかはすごくアリの行列が多いんです。何でこんなにアリが出るんだと。やはり自然によって、年によっていろいろな動物が動きをするということが、私なんかもよく分からないけれども、私が子供のころはアリの行列というのがそうだし、それからトンボも8月の中旬になると毎日大量に飛ぶのが当たり前の話です。そうやって生物の動きが自然界の状態を表しているということは分かるんです。
(田中委員長)
ありがとうございました。
委員会でいろいろ意見が出て、これは先ほどの森林モニタリングもそうなんですが、このデータを県民に提供する時に、やはり県民の皆さんが見て要するにどういうふうになるのかということを読みとれないといけないですね。そういう点で、調査した結果こうでしたという調査結果としてはそれでいいんですが、つまり水源環境保全税を使って、まさに豊かな水、安定した水を確保するという事業をやっている。その成果を調べるためにこういう森林モニタリングなり、河川モニタリングをやっているわけです。ですからその事業の意味といいますか、そこのところは通常の定例的なある種の河川調査というのとは違いますよと。つまり、通常の河川調査よりもう少し意味を持ってやられているはずなので、いわば県民に対する分かりやすいメッセージを同時に付けていただくと良いかなと思います。
ありがとうございました。ですからもちろんそういう資料も分かりやすいものを、例えば対象の生物名をちゃんと明記するとか、そういうこともぜひ工夫してみてください。
それから1点だけ私も個人的に言えば、中村委員がおっしゃられた水温が上がっているというのは結構気になっておりまして、やはり私は温暖化問題について割と関心を持ってやっているものですから、水温が上がっていくということがあるらしいんです。そうすると生物とか水生生物が結構影響を受けていて、いろいろなところで気が付かないんですが、水質ではなくて水温が生物を変えていると。
(淺枝委員)
雪が少ないです。もう一つありますのがダムの下流は、水生生物の多くは変わります。ですから宮ヶ瀬の下流も出来て2年目には生物種はかなり変わっていますから、そこは別ですね。
(田中委員長)
もっと言えば、水質の良くなる状況よりも水温がもたらしている悪化の状況の方が大きいかも知れませんね。
(淺枝委員)
県民ボランティアの調査では水温も測られているんですか。簡単に測れるので、行うといいでしょう。確かに水温が上がっていますから。
(中村委員)
私が子供の頃は、私が住んでいるところに小さい学校があってですね、そこで夏休みに水温が15度を超えたら泳いで良いと言われた。15度を超えるということは、正確に言えば夏休み中に15日位しかないんです。ところが、こっちは泳ぎたいから必ず朝10時に水温を測ると。そうすると、こうやってこすって15~16度にする、その位の水温です。
それが、私の息子が今33歳ですけれども、小学生の頃までは大体その位だったんです。ところが、今は5月の連休過ぎ位に18度になってしまう。夏では多分20度を超えています。丹沢の山の頭まで歩いて、それこそ1時間位のところです。その位水温が違います。
(田中委員長)
それは本当に生物に影響をもたらしますね。
(田中委員長)
是非、環境科学センターで水温のもたらす影響も研究してみてください。
もちろん、水源環境保全できれいな豊かな水が山から供給されてくることになるんですが、他方で今言ったように水温が上がることで、いろいろなある種の生物的なかく乱が進んでいきますのでね。
ありがとうございました。議題の2はその位にいたします。
(木平委員)
まず水源の森林づくり事業のところで、私は前から水源の森林づくり、森林の整備ということについてかなり疑問があります。予算的にも水源環境税の半分に近いところを使うということは、やはりしっかりやらないといけないと思うんですけれども、非常に些細なことなんですけれども県は人工林ということを言っておられますよね。そして1ページの表を見ますと、人工林の対照を広葉樹林とおっしゃっていますね。人工林の対照は広葉樹林ではなくて自然林とか天然林とか、そういう概念じゃないかなと思うわけです。
広葉樹林、事実上自然に生えてきた天然林のことですね、その中で手入れをしないといけないものが非常にたくさんあるということを言っているわけです。そして、天然林という自然に生えてきた森で、人間が水源林として手入れをするというのはどういうことなのかと、いつも疑問に思っているんです。人工林だったら木材生産のために手入れをする必要があるんですけれども、自然林で水源林として何か手を入れなければいけないということが、私は基本的に分からないのです。それが第一です。
今度は実績の段階で、整備された数字は分かるんですけど、その中身が人工林について整備されたもの、それから自然林や天然林について整備されているのか、それが統計に出て来ないので、県は一体、自然林を一生懸命手入れされているのか、人工林を手入れされているのか、ここがよく分からないんですけれども、是非、何らかの統計的なものでも結構ですから分かるようにして欲しいということが一つです。
要するに広葉樹林の手入れというものに対して、どうしたらよいか第2期は考えないといけないと思うんですよ。県民の人は水源を整備するといったら誰も反対しないですけれども、自然に生えてきた広葉樹林を県費、税金でもってすごい労力をかけることにどれだけ意味があるのか。そこのところがどうもはっきりしないので、第2期についてはしっかりやりたいなと思うんです。
目標林型というのも4つの手がかりがあって、広葉樹林がありますね。広葉樹林というのは、放っておけば広葉樹林として年をとるだけのことであって、何も目標林型ではないと思っているんです。人工林で、植林でこれを広葉樹林にするならそれは大いに手を入れてほしいと思います。目標林型のところが少し分かりにくいかなという感じがします。これは前から言っているので、今初めて指摘する問題ではないですけれども。
(自然環境保全センター)
水源の森林づくり事業を進めるにあたりまして、人工林につきましては荒廃の状況とかを調査したもので出しておりますけれども、広葉樹林につきましてはそのエリアの半分程度が荒廃しているだろうと推計で一応計画を出しております。
たしかに、自然に任せる部分があっても良いのではないかというのは当然の話でありまして、広葉樹につきましても場所によって自然に任せる部分はたしかにあります。
ただ、薪炭林として人が手入れをしてきた部分の延長線上にある山もありますので、そういった山はやはり手入れが必要なのかなと考えております。
シカの影響もございまして、広葉樹を伐採しますと下層植生が繁茂しますので、シカの影響も配慮しながら場所に応じて整備を考えていかないといけないと考えています。
(自然環境保全センター)
広葉樹は本来であれば、おっしゃるとおり基本的には手を入れなくても成立している森林ですので、そういった状態を保っていくことが重要です。
水源林に対する考えの中では、流域的な水源ですので単位で管理をしていく中で人工林とセットで広葉樹を管理するという発想が強くあって、要するに災害とかがあった時にいち早く対応できるということで、手入れをするために確保ということでも必ずしもなかったんですが、ご存知のとおりそうは言っても広葉樹もシカの影響等によって本来あるべき姿でない、要するに下層植生がなくなったりという部分もあったので、やはりそういうところは下層植生を増やして林床を保護するような活動も必要だということで手を入れたんですが、実のところは今ご指摘をいただいたように、かえってそれが荒らしてしまうような実態になっている部分もございますので、第2期計画では基本的にはシカの多いところでは逆のこともあり、必要最低限、例えば植生保護柵を巻くだとか、土壌が崩れている所は土壌の土留め工をするとか最低限の手入れにとどめて、なるべく自然林に近い状態に見直していこうというなかで、現在指針、整備の手引きのようなものも併せて見直していきたいと考えているところでございます。またその点については、見直していく中でいろいろお話を伺っていきたいと思います。
(木平委員)
これはずっと議論している話なので、第2期については、広葉樹の手入れについて広葉樹のどこの場所に手を入れるのか、どんな手入れをするかというのはやはり大きな課題だということだと思います。
(中村委員)
それと関連して、私は最初の頃は広葉樹林というのは二次林かと思っていた。ですから人工林の対照として考えるのであればやはり自然林ですねと。そうするとこれは広葉樹林と書いてあるから、その中にモミ・ツガがあったら水源の森林に対する場合は除外されてしまうのかという話になりますよね、そう考えると、自然林と言葉を変えた方がいいんじゃないですか。
私は二次林的な地域であれば、今まで幾つか水源林の活用をしてきたと。昔、人が手を入れていたようなところで、たしかにこのままでいいのかなと思うような広葉樹林はあるんですよ。そうすると、やはりそこは何らかの手立ても必要かなと思う時がある。
ただ、水源林の利用計画の中に、確保したら整備しなければいけないという時間的制約が付いてくる。これがいわゆる整備に名を借りて実際には山を荒らしてしまうことになってしまう。私は、ここら辺の具体的な事業の進め方というものを見直していく必要があると思う。広葉樹も地域によって手を入れる場所と入れない場所、あるいは手を入れたらしばらく経過を見るとか、そういう試行錯誤があっていいと思います。ですけれども、整備しなければならないという制約があれば、これはどうしてもやらざるを得ないから、やらなくてもいいような広葉樹林の中の下刈りをしてしまったりとか、あるいは切らなくてもいい木を伐ってしまったりという、私は本職ではありませんけれども、これが整備かというようなものも出てきてしまう。ですから、やはり中にある細かい具体的な一つ一つを、5年経過したんですから見直しをしていく必要があるんじゃないかという気がします。
(天野委員)
雑木林というのは大体25年から30年以内に1回は全部皆伐をして、炭を焼いて薪にして全部やる。そうするとまた新しい芽が出て来るんですね。ところが今、私のところは炭も焼かず薪にもしないので木がどんどん太くなってしまって、問題はむしろ根っこが上に上がってきてしまう。長くても根っこというのは上に余り出ないものだが、大体25年に1回伐採してたのが、根っこが処理し切れなくて持ち上がっている。そうすると雨が降るとその間から水が流れるということで表土が異常に流れる。
もう一つは、運よくしの藪になっちゃえばそれなりに土壌を押さえるんですけれども、私は伐ろうかなと思ってある人に聞いたら今は伐ったらだめだと。伐れば新芽が出てくるから、シカがみんな食べてしまうから伐らない方が良いということでした。自然林の手入れというのは、何をすることが自然林の手入れなのかなと思って聞いていたんですけれども。
(田中委員長)
当初、先生が指摘されたのは表記の話ですよね。人工林の対照概念が広葉樹林というのは、たしかに言われてみればおかしいね。これは整理した方が良いかも知れないですね。ただこれは、元々の計画にこの表現が載っているのかな。
(自然環境保全センター)
経緯がございまして、おっしゃるとおり人工林に対して天然林という形で、天然林に対しては広葉樹の場合だと二次林という概念が出て来るので、天然林と言うと例えばブナだけが対象なら天然林だし、今議論になっているのが多少標高の低いところの二次林であればこれは天然林と言わないということで、全てを包括して天然林というのはおかしいだろうと、いろいろな言い方の中でこういう表現で集約させてもらっているということです。
(田中委員長)
とは言え、広葉樹林としてうまく全部押さえているかというと、そういうわけではないのでしょう。
(自然環境保全センター)
先ほど中村委員がおっしゃったように、モミとかツガとか広葉樹が混じった林になるんだと思います。そういうものを含めると、おっしゃるようにあるんですが、天然林と言うとちょっとまた課題があります。
(木平委員)
そういうことで、天然林、自然林の文言の整備については研究課題だということを第2期計画で持ち込んでやればいいと思います。
(木平委員)
これも前から言われていることなんですけれども、間伐材の搬出という項目がありますよね。間伐材の搬出に対する支援なんですけれども、具体的な方法はどういうことに対してどういうお金を出すかを説明していただきたいんですが。
(森林再生課)
間伐材の搬出の支援としましては、ねらいのところにも書かせていただいたんですが、公益的機能の高い良好な森林づくりを進めるために間伐材の搬出を促進すると。森林づくりの推進のツールとしてこういった事業をやっているということなんですけれども、間伐した木材を運び出して活用するために、伐った状態から造材したり、またそれを林道の車に積み込めるような所まで移動させて運び出すという形なんですけれども、こちらの経費が高くなってしまうということで、なかなかそういった部分で森林の間伐を行っている方も意欲がなくなってきているということで、こういった間伐した材を運び出したりするところの経費に対して助成をしていくという形になっています。
(木平委員)
搬出の運搬の経費について助成するというのは具体的にどうやるんですか。立法当たり幾らとか。
(森林再生課)
基本的には材積に対しての補助になるんですけれども、例えば道の際まで出ているものを運搬する経費ですとか、伐採して山に倒してある状態から道まで引っ張ってきて搬出する部分まで含んだ経費への補助ですとか、いくつかパターンがあるんですけれども基本的には材積当たりです。
(中村委員)
私は最初からこの間伐材の搬出補助に批判的でして、元々本来は水源環境の保全と再生ですよね。森林の整備、改善ということを考えるのであれば、木材の搬出はこのお金の目的じゃないんですよね。いわゆる森林の整備にお金を出すのであれば構わないんです。それを受け取った側がその整備に受けとった金額の中で上手く工夫して、間伐材を自分達で搬出する時にそれを利用するというのであれば、それはそれで仕方がないかと思うんです。
しかし、今のように伐ったら立米単位で幾らお金を出すよというやり方だと、昨年かなり批判したように、結局材を出せば森林はどうでもいいよというような、森林所有者によっては逆に搬出して奨励金をもらうために整備をおろそかにしてしまうというようなことがあり得るわけです。
ですから、例えば地域水源林であるとか森林所有者に対する水源税の支出があるわけですから、そこに材の搬出に上乗せする制度は私はやめるべきだと思います。いわゆる柱材として搬出する木材というのはいわゆる成木ですから、逆に言うと所有者が伐らなければしようがないわけです。伐って出さなければ仕方がないです。伐って出したらそれなりに売れるんですから。そうしますと逆に今は整備する段階ですよね。25年であるとか30年であるとか、あるいは40年であるとか。その段階の手入れに関してはきめ細かな支出をしてあげるとか、水源環境本来の目的に戻していく必要があるのではないか。
例えばこれも以前から言い続けているんですけれども、シカの管理に水源環境税を充てたらどうだとか、下草であるとか森林の再生であるとか、今一番鍵になっている部分が丹沢の場合はシカなんですよ。ここの保護管理に関して水源環境税からお金を出すとか、出すべきものはたくさんあると思うんです。
例えばこれも細かい話で恐縮なんですが、これから10年経つといわゆる以前の森林公社ですけれども、そういうところの材が一気に出てくるんです。そうしますと、その時に出すのに植え付けて下刈りをしたり枝打ちをしたのがもう30年以上前だと。そうしますと当時使っていた林道がかなり傷んでいるんです。私が素人目で見ても、こんな所に大型トラック入れて大丈夫かなと思うような林道もたくさんあるんです。そうしますと10年後の搬出を見越した上で、例えば基幹的な林道の総点検をするとか。それでいわゆるどこの森林からどの位材が出るかというのが計算すれば分かるわけですから、そうしたら優先順位を決めてその林道を例えば修復していくと。そうすると、私は早いところでは数年で木材を伐らなければいけなくなるようなところがたくさん出て来ると思うんです。水源環境を整える上での林道は基盤でもあるわけですから、新たに林道を作るとかそういう話がかなり話題になっていますけれども、それよりは今あるきちっとした林道をまず点検して補修していくと。そういうことにこういうお金を使っていくべきではないかと。
間伐材の奨励金というのはもう一度見直しをしていただいて、今言ったような林道の補修であるとか、そういったところに転用することも中に入れた見直しを出来ればしていただきたい。
(木平委員)
整備の経費を助成するという話でしたが、そのお金は搬出業者に行くんですか、それとも山の持ち主ですか、どちらに行くんですか。
(中村委員)
山の持ち主。だからどうでもいい伐り方になっちゃうの。量を出せば出した分だけお金をもらえるからもう伐りっぱなし、戦場のような伐採です。もちろん県が指導して改善されましたけれども。
(田中委員長)
昨年の委員会でそのことを指摘して、かなり乱暴な伐採をしていると。たしかかなり議論になって、いわゆる間伐材の搬出にあたってちゃんと監視はしているんですかという話をされたと。大分それについては改善があったんじゃないですか。私はそのように聞いていますが違うんですか。今担当されているのは森林課かな。
(森林再生課)
たしかに委員がおっしゃるように出すことに神経が行ってしまって、結果として少し乱暴なやり方をしているという状況がたしかにあったということは事実です。そういった部分は今お話にあったとおり、現場の指導あるいは搬出の生産指導を森林連合会の方でもみたりということもありますので、そういったところと連携していわゆる県の施策としての施業の意図に反するような部分は、指導していくという中で改善されているというように考えております。
(天野委員)
相模原市が合併してから、水源環境税で下水処理とそれから合併浄化槽の状態をずっと見ています。この写真にもありますように公共下水道は水源環境税にありましたし相模原市にもありますので、ものすごいスピードで進んでいます。実は現在やっているところは、私が下水道整備を断念した地域です。ところが相模原市は県の水源環境税のおかげで、住民はこんなに早く来ているのかという位のスピードで進んでいてそれは感謝しています。
ただ、私が一番心配をしていたことは、つまり合併浄化槽で処理をしている区域というのは、この資料からは相模原市になってから下水道計画区域を見直したと表現されているんですけれども、実は都市計画法に基づく施設ですから、言うなれば公共下水道でやる区域を絞り込んだということなんです。それ以外は合併処理浄化槽でやりましょうということになったと。
実はこれがちっとも進んでないんですよ、数字は進んでいるように見えますけれども。まず1点は市の職員、担当の課長に連絡したら職員2人が資料を持って説明に来てくれたんです。実は一言で言うと数の問題、90基と出ていますが一番これを喜んでこの制度を導入しているのは新しく家を建てて移り住んで来ている方なんですね。つまり分譲住宅の人たちは、それまで津久井の場合には下水道区域内はたて穴浸透方式によって下水処理しなければいけないというので大変管理費がかかるということで、なかなか住宅屋さんも思うようにすすめなかった。ところがこの制度ができましたおかげで、下水処理の心配を全くせずに市がすべて管理をしますということになりましたからね、非常にそれは感謝されているんですが、一番大事な既存の集落がこのデータを見てもらうと建設代の半分にも満たないほど遅いんです。この前職員の話を聞いてやはり何が一番問題かというと、一つは当然自己負担の問題になるんです。水源税でやっていますから、合併浄化槽をやっているところと水源環境林、山の手入れをやっているところは同じ区域なんです。ということは、山の手入れは全部ただでやってくれる、それで合併浄化槽を入れてくれと言うけれども自己負担が付いてまわる。もっと難しいのは、我々には関係ない、我々には必要ないという意見が非常に多いんです。それはなぜそういうことかと申しますと、特に合併浄化槽、つまり公共下水道を入れない区域というのは県営水道区域を引くことができなった区域、つまり簡易水道区域なんです。全部が簡易水道区域なんです。だから100人でやっているところもあれば、500人のところもあれば、大きいところは大体1,000人ぐらいでやっているところもある。そういうところが合併浄化槽の対象区域ですから水質というものについては全く関心がない。我々は元々県営水道というのは飲ましてもらったわけでもないから別に困っているわけでもない。そこで、何とかこの制度を二つに区分できないかなと私は考えています。
つまり、住宅屋さんが住宅を建てるという新設の部分と、旧来の既設の浄化槽、そういうところについては、もしこれを本気で進めるならば市の職員は難しくて進められないと言っているんです。思い切って自己負担分をゼロにできないかと。これはちょっと暴論になるかどうか分かりませんけれども。つまり同じ水源環境を守れというのに山がタダで浄化槽だけは負う。だから、私どもは大体分かりますけれども、ほとんどが年金生活者の家が多いんです。若い方というのはみんな相模原の東の方に住んでいまして、藤野町はまだ県営水道になっていないところがたくさんあります。そういうところに話をしてみても、水の面倒も見てくれないのにという話になるという感じで、何とか山の手入れと津久井湖、相模湖の水質対策を一つの事業の中でみて何とか自己負担というふうなものをゼロに出来ないか、既存のですよ。そこまでやらないとこの事業は続かないんじゃないか。
いろいろ私も聞いてみますと、若い人、息子夫婦が一緒に住んでいる家は生活力がありますから無理してでもやろうというのがありますけれども、私のところもそうですけれども、本当に老夫婦しかいないところはたくさんありますから、是非その辺のところにもっとメスを入れていただいたらどうかなと思います。
(田中委員長)
残り時間が余りないんですが、5分ほど延長してもしここだけはということがあればと思いますが、私の理解では、1番の水源の森づくり事業で人工林とか広葉樹とかいろいろ言葉がありますが、これはもし改められるのであればもう少し整理をしたいということ。
それから二つ目は、中村委員から話のあった間伐材事業についてもう少しメニューを増やすなどできないか、改善ができないかということであります。間伐材事業そのものをここで落とすということはおそらくこれは計画の組立て上出来ない、それはまず無理な話だと思いますので、おそらく内容面について少し工夫をすることが出来ればという指摘かなと思います。
それから3点目は、先ほど天野委員からご指摘がありましたが下水道の問題です。これはなかなか遅れていてまだまだ地域の事情もたくさんあるということでありますので、やはり支給の仕方、執行の仕方についての工夫が出来ないかということです。
(水源環境保全課)
まず、間伐材については補助制度の要綱の見直しをして、単価を例えば2段階にするとかそういう検討は森林再生課で行っています。ただ搬出をやっていくのは、これは2期の中ではやっていくつもりです。
あと、先ほど生活排水の関係がありましたけれども、基本的に2期では普通の一般の地域は個人の方は49万8,000円払っているんです、約50万円負担しているんです。それで、ダム集水域の方は11万4,000円で済んでいるんです。それだけ大きな差があって、それでもたしかに重たいかも知れないけれども、ほかの地域の方から言わせるとすごく恵まれ過ぎているんじゃないかと。こういう意見もあって、河川の集水堰上流の市町村からも非常に声が大きいんです。よって、まず2期は今の形のなかでやらせていただきたいと思います。
(天野委員)
分かっている。それならそれでいいんですよ。その代わり進みませんよということです。
(水源環境保全課)
それは分かりますし、進めたいんですけれども要は財源のほどがありますから。2期は1期計画の継続で来ていますから、多分おそらく3期の時には2期の進捗を見ながら、またご意見をいただく中でその補助のあり方をどうするんだとか、河川の集水域まで広げるのかとか、多分そんな議論が次は出て来るんだというようには認識しています。
(天野委員)
今ほとんどの人が困っていないと言うんです。困っているのは、いわゆる水を飲んでいる側が困っている話。
(田中委員長)
水を出している側は全然不自由を感じていないものだから。
(天野委員)
今の既存のものが一生懸命やってもせいぜい50基だと、5年で250基しか出来ないじゃない。それでいいよと、他の人との負担の公平性、公共負担の公平性ということの方が重要なんだという価値観でこの事業を皆さんが判断するならそれは私はものは言いません。ただ、進めるにはもう少し考えた方がいいんじゃないかということです。
(淺枝委員)
川の方ですけれども、これは本当に大丈夫ですか。
自然浄化対策のところで生態系に配慮したということで、写真を見ても私は自然の川はこのようではないのではという感じですね。要は、自然浄化対策という名目で実際には河川整備がやられているだけのようだという気がします。市や町に、どういうプランで、しかもどういう仕組みでこれが水質浄化に寄与するのかというのをしっかり検討させて行わせる必要があります。そうでないと、予算の目的と全く異なる意味合いで利用されてしまいます。もっと言うと、こうしたことを行わなくても、汚染の面源といった形で片づけていますが、実際には、極めて悪い汚染源というのは、多くの場合、数か所に特定されることが多いです。そうしたところを逐一処理していくということの方が、圧倒的に効率的です。ですから、そうした面源というベールの中に隠れた汚染源探しの努力と一緒に行うことを、市とか町とかを指導していくというのが必要なんじゃないんですかね。
(水源環境保全課)
これはそういうご意見もいただいたものですから、第2期の中では、今県の方で市町村管理河川の水質を調べているんですね。県管理河川は持っていたんですけれども市町村管理河川は持っていなかったので、今はそれを調べています。今回、河川整備に出す時には市町村の方にも水質改善効果の予測を持ってきなさいと。それが全然予測しないんだったら、そもそもやる必要がないですねと。ですから水質改善効果の予測の中で事業の優先順位、そうは言っても地域バランスなんかもありますから、それを考慮しながらやっていきたいと2期では想定しています。
(木平委員)
先ほど委員長から人工林と天然林の話があったんですけれども、第2期も1万1,000ヘクタール位の整備をやるわけですね。ですからその統計の中に人工林でいくら、その他の天然林でいくらと分けて公表していただきたいと思います。
また別のことなんですけれども、第2期の資料を見ますと継続ということでいいんですけれども、気持ちとして第1期は水源環境を良くしようと事業を一生懸命やっているわけです。第2期ももちろんやるんですけれども、必要なのは事業の成果なり事業の内容なりを説明するというスタンスが非常に重要だと思うんです。1期はちょっとそこまでいかなかったので、ですから県民に対してどうやったら自分がやっていることと、あるいは成果を伝えられるかということの事業をそれぞれのところでやる必要があると思うんです。これまでフォーラムもあったんですけれども、もっと工夫して例えば現地を県民の人にもっと見てもらうとか、あるいは今はやりのリポーターというんですか、そういう専門職とか準常勤の人を設けていつも見てレポートを書いて報告するとか、そういうような県民に説明するという側面の事業を作られた方がいいと思うんですよ。
(淺枝委員)
一番最初の頃ちょっと言わせていただいたことですけれども、大体どの位削減出来るのか。相模湖では少しきついかもしれないけれども、少なくとも寒川の堰あたりで。どの位の値を目標とするかという見積もりをラフでいいですから立てるべきです。当初はモデルをつくりましょうとか、そういうような議論になってしまいましたけれども、そこまでは必要ないと思いますが。それを出して、そうすると例えばさっきの下水道の話というのは、その評価が確実に出て来るわけですね。そうしたところをまず計算して、大体この位改善されるんですよという値を見せてあげる必要があるのではないかと思います。山からの流出も大まかには今の結果を用いていいわけですから、そういったものも含めれば、大まかには出来ると思います。
(中村委員)
私は先ほどから県の取り組みによっては未来永劫だというお話をしてますけれども、それはやはり前提があるんです。いつまでたっても同じ金額を同じ事業に振り分けていくというのは、やはり駄目だと思うんですね。
これはごく一般的な県民の感情からしたら、私は標高の低い地域での人工林へのお金のかけ方というのは水源環境税の目的ではないと思います。それからもう一つは、農地の水路整備も水源環境税を使うお金ではないということです。水環境だったらいいと思います。でも、このお金は水環境ではなく水源環境なんです。そうやって考えると、やはり一般の人にどう説明しても理解してもらえるような事業に使って、初めて県民の要求に応えたということになると思うんです。
ですから、たしかに荒廃している人工林を何とかしなければいけないというのは分かりますけれども、いつまで続けるのか、あるいはどこで線を引くのか。それからもう一つは、余り手厚過ぎると森林所有者は意欲をなくすんです。面倒を見ているから意欲が高まるかといったら、絶対そんなことはないと思う。県が黙っていてもやってくれるんだから、県がやってくれるまで放っておこうという人が絶対多くなります。ですから、そうならないうちにやはり人工林の管理のあり方というものは、やはり水源環境税の中で考えていって、そしてそこでもしどこかで線を引いて、そこにかかる経費がほかに使えるものであれば優先して使えるものに振り分けていくべきだと。
それから具体的な、非常にこれは嫌味かもしれませんけれども、昨年は間伐材の促進は5万だ6万だという数字が出ていたんです。ところがこれを見ると目標が3万7,000に減っているんです。ということは具体的な数字は幾らでも見直せると。5万、6万が正式な数字じゃなかったとおっしゃるかも知れませんけれども、最後にそういう数字が出ていてこれは確実にやるんだというような話でしたよね。ですから、やはり私は本当に水源環境をよりよい形にしていくために、細かい具体的なものは5か年で決まったから5か年でやるのではなくて、翌年であっても見直してもいいと思うんです。これはよく自然環境は不確実という話をしますけれども、やはりそういったことを前提にして水源環境という事業は進めていっていただければと思います。
(天野委員)
知事さんが代わりまして、これからどうなっていくか分かりませんけれども、やはりこの税というのは集中的に事業をやって、ずるずるやっていくものではないんじゃないかと思うんです。そこでさっき私が申し上げたことは、やはりある一定の期間に集中的にやってしまわなければいけないということです。その一つのなかに、私は旧津久井郡の津久井町の既存の合併浄化槽があるとみているんです。これはずるずるやっていたらいつまでたってもやれない。でも、県が水源環境税の限られた、それも水源環境を守りますよと言って取っている税金だから、だれが何と言おうがこのことはやらなければいけないんだという確信を持って、私はこっちの人は何十万円出している、こっちの人は何万円だとそんな話をしてはいけないと思う。やはり、我々が皆さんの税金でこの数値までやるためには、何か年でこれをやっちゃわないといけないという確たるこの事業に対する信念を持って県民を説得していかなければこれは出来ないと思うんです。それを相模原市の職員に散々言ったんです。でも、やはりなかなか市の中では思うように事が運ばないので、ひとつ県の方の応援を得るように、私も委員をやっているので県にお願いに行こうと。私はそこだと思うんです。いつまでもずるずるやっていいならいいんです。でもそれではいけないと思います。
(田中委員長)
各委員からいろいろなご指摘をいただいて、それぞれごもっともだと言いますか、非常に妥当な意見だと思います。
多岐にわたったご指摘がありましたので、本当はもう少し早い段階で出れば見直しようがあったのかも知れませんが、もうかなりこれは最後の大詰めの段階ですね。
(水源環境保全課)
これは既に骨子案の段階で送らせていただいておりました。これは議会の信任を得たほぼ最終なので、基本的には動かないというようにお考えいただければと思います。
(田中委員長)
ですから、あとは運用の中で出来るものがあれば。それからもう1点、3期に向けてどういう準備をしていくかと。先ほど先生からあった発言、指摘も出て、そういうこともありますので、今日出された意見は是非そういう形で活かしていきたいというように思います。
(水源環境保全課)
先ほど中村委員が言われたとおり、2期目の途中でも見直しは出来ると思っています。要は森林塾は現にそうでしたが、1期計画にないものが途中ですが修正して作ったものがありますから、2期の中でも県民会議の委員の方から会議としてこういう事業も是非やるべきだとか、追加でやるべきだとか、強化すべきだという意見をいただければ、県としては対応させていただきます。検討はいたします。
(田中委員長)
そうですね。順応的管理というか、順応的対応ということになるかと思います。
司会の不手際もあり、皆さんの活発なご意見もありまして、予定の時間を30分オーバーしてしまいまして申しわけございませんでした。それでは、施策調査専門委員会をこれで終わりとさせていただきます。どうもありがとうございました。
【会議終了】
資料2 平成22年度河川のモニタリング調査結果の概要(県民参加型調査)
資料4 特別対策事業の平成22年度実績、23年度計画
資料5 「第1期かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」の成果と課題及び第2期計画(案)について
資料6 第2期かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画(案)
このページの所管所属は環境農政局 緑政部水源環境保全課です。