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更新日:2020年10月2日
ここから本文です。
次の審議会等を下記のとおり開催した。
水源環境保全・再生かながわ県民会議 第21回施策調査専門委員会
平成24年11月8日(木曜日)9時30分から11時30分
神奈川県中小企業共済会館4階 第2会議室
木平 勇吉【委員長】、淺枝 隆【副委員長】
天野 望、田中 充、中村 道也
オブザーバー委員 青砥 航次、井伊 秀博、坂井 マスミ、浜野 安宏
平成25年1月30日
水源環境保全課調整グループ、担当者名 高乘
電話番号 045-210-4352
(木平委員長)
ありがとうございました。今日ご議論いただき、14日の県民会議に案として報告する。その後、県民会議の全委員に文書照会し、その結果を踏まえて、1月の施策専門委員会で再度検討する。さらに案について全員に照会して、最後は県民会議に報告して県に提出することになります。
2回の文書照会と、会議での検討機会が2回あります。今日は1回目の検討機会として、取組の現状と課題の案についてご意見をいただきたいと思います。
また、報告書について、毎年少しずつ分かりやすくなっているのですが、まだまだということで、コンサルタントから文章表現と図表表示の改善の案が出まして、それを参考にしながら直していただいたということです。それからもう1つはこの報告書だけではどうしても県民理解が十分ではないのではということで、別冊シリーズの提案もありました。
それでは、ご意見があればお願いしたいと思います。
(中村委員)
県民会議が事業のモニターに行く場所について、県が整備した代表的な場所に連れて行くわけです。例えば地下水であっても、積極的に取り組んでいるところに連れていくわけですね。人工林の整備にしても自然林の整備にしても、ほとんどはかなり成果が上がっているところに行っています。
けれども失敗例もあるわけで、そうしたところにきちんと県民を連れて行き、県民目線で事業内容を見てもらうことが必要で、それがなければきちんとした意見が出て来ないと思います。そこのところがないままに報告書が作成されるということです。
(木平委員長)
事業モニターは、たしかに昨年度までは、県の方で「ここを見てほしい」とか「ここを評価してほしい」というところを見ていました。そうしたことについて、モニターチームで昨年1年間かけて、事業モニターのやり方を検討しました。その中で良いところだけ見せてもらうのでは、良い内容のコメントしか出ないだろうと。おそらく問題の部分も沢山あるだろうということがありました。
そこで、県民モニター委員が自分で場所を選定し、評価を数値まで詰めてはっきりする。それを記録に残し、施策委員会に報告する方法でやろうという案が決まりまして、今年からそうした方向で進んでいます。そうした方向がここに載っているかどうかですが、いかがでしょうか。
(水源環境保全課)
昨年度は第1期の当初に見たモニター箇所をもう一回見直してみようということで、モニター箇所の選定は行っております。課題のある箇所だけを見たということではございませんけれども、以前に見た箇所がその後どうなったのかという視点で、モニター箇所の選定を行ったということはございまして、その部分は少なくとも報告書に反映させていただいております。
(木平委員長)
モニター実施について、評価する側の自主的な方向でやらなければいけない。それは24年度から始めているので、その点を記載しておいた方が良いですね。
(中村委員)
1-2ページ、「水源の森林づくり事業の推進」の2ページ目の事業内容のところに、整備のスピードアップとの記載がありますが、例えば人工林の場合、林業を行っているような人工林の場合は、整備のスピードアップというのはある意味必要かも知れないですね。
しかし、ここでは広葉樹林の整備を早くやるようにと書いてある。今までの内容でも期限制約がある中で、相当乱暴な整備も行われているわけです。私は当初、広葉樹林の整備については全国的にも事例がないので、試行錯誤の中では、見ていて少し首をかしげるような事業であっても、ある意味仕方ないだろうと思っていました。
しかし少なくとも、もう5年経っているわけですから、行き過ぎたような整備があれば、やり直しをするとか見直しをするとかして、事業を進めるために反映させていく必要があると思います。ですから、整備のスピードアップがもし必要になるのであれば、人工林と自然林を分けて書き込んだらどうでしょうか。
(水源環境保全課)
この部分には基本的に5か年計画の内容を記載してあります。
(木平委員長)
ここは5か年計画の内容を言っているわけですね。一般の行政のペースを早めたいと、そういう希望があったのですけれども、実際やってみると単純にスピードアップをやって、分からないことも先にやるというのではなくて、やって様子を見て、評価してまたやると、いわゆる順応的な管理をやろうということは、皆さんかなり理解が進んでいるのではないかと思います。
(中村委員)
これを読みますと、「これまでの取組をより一層推進するとともに整備のスピードアップを図って」と書いてあります。
(自然環境保全センター)
おっしゃるとおり、第1期の時は、水源林整備は既存事業でしたので、それよりも確保や整備のスピードアップ分を、税をいただいてやるとの表現になっています。
今、中村委員が言われたとおり、広葉樹については、整備の必要性ということでは、確保したものについてかなり整備してきましたが、やる箇所については確保した後に、やるべきところかどうかということを、もう少し厳密に精査してやろうということでは、順応型管理の中でやっています。やろうといったところについてはしっかり、引き続き3年以内にやらなければいけないが、やる場所の選定なり、どういうことをやるかというのは、もう少ししっかり見極めた上でやるという考えでおります。
(木平委員長)
そうですね。実態としては今おっしゃったとおりだし、私たちも多くの意見が出ているので、それをどこに、どのように記載するのが良いかということですね。
(水源環境保全課)
今回の報告書案は、基本的に第1期5年間の実績を見てどうかというもので、本日の案では反映していないのですが、各事業の最後の部分にでも、課題を踏まえた第2期の改善内容などがあれば入れていきたいと思います。
(木平委員長)
分かりました。中村委員のご意見は、現場とかこの組織の中ではやっているのだけれども、それをどこかに書いておいた方が分かりやすいということですね。
(天野委員)
作業のスピードアップではなくて、調査する期間をスピードアップするということではないでしょうか。「いつやるのですか」と聞くと、「すみません。なかなか回れそうになくて、あなたのところは1年ばかり遅れていますけれども。」という話がある。つい先日も立会いに行ったのですけれども、最初はかなり早く手続してくれたけれども、だんだん年数があいてきています。そういうことではないのですか。
(自然環境保全センター)
ここに書かれているのは、そういうことです。
(中村委員)
確保すると一定の期限以内に全部しなければならないのかなと。
(自然環境保全センター)
中村委員がおっしゃるように、職員の中でも捉え方に実は誤解があって、着手したらすぐ整備しなさい、整備するためには何かやらなければいけないということがあります。そうではなくて、確保しても整備状態を見ていくとすると、やはり実際には手を入れなければいけない場所がありますので、それは現場でしっかり見極めてやっていこうと。整備しなければいけないという箇所については、今までどおり着手は早目早目に、いつまでも延ばさないでやっていきましょうということです。
(田中委員)
報告書案はとても分かりやすくなったと思います。今までに比べると、少し写真を入れたり工夫して分かりやすくなったと思いますが、2点ばかり意見というか、少しご検討したら良いかと思います。
一つは、5か年の最終的なまとめになりますので、最後に置いてあります、具体的には13-1「12の特別対策事業のまとめ」です。今回は5か年でどういうことをやり、結果こうなったということを書く。これは一案ですが、0-5ページの後に付けるというのもあるし、それから各事業の点検結果の前に、5か年の特別対策事業の到達点あるいは成果・課題とかいうようなことで、ともかく数ページのものを前に書いても良いのではないか。その上で、各事業を細かく見ていくということで、見せ方を全体の前に出す方法があると思います。
二つ目ですが、今度は各事業の組み立てのところで、例えば1-4ページのところで、「II(ローマ数字の2) 第1期5か年に何をしてきたか」ということで、5か年の取組の成果と課題で、「成果と課題」と書いてあって、おそらくこの成果というのはつまり事業の進捗ではないかと思うのですが、どういうことをやって、何がどこまで事業としては進展したのか。アウトプットに対して課題が何かということが書いてあります。もう一つ、やや読み手にとって分かりにくいのは、1-8ページの方に今度は「III(ローマ数字の3) 事業の効果はあったのか」という話がありまして、これが行政の用語で言えばアウトカムという、当初の設定した事業目的がどこまで達成されたのかということだと思うのです。分かりにくいのは、成果と効果はどこが違うかということがあると思うのですが、このあたりも、成果の方はどちらかというと事業の進展とか到達点のようなものなのかと思いますし、効果の方は当初設定した水源林の涵養機能がどこまで近付いたか、そういうことに対してどこまで検証が可能であったか、検証したのかということだと思います。
つまり、1-8ページから随分深く書いてあるのは、この事業はどういう効果があったのかというモニタリング調査をしたとか、あるいは県民目線でモニターをしたとか、そんな話があると思いますので、用語の使い方についても、再検討してみたらどうかと思いました。
(木平委員長)
各論に入る前に、まず総論というか概要を読んで、そこが分からなかったら、多分、各論も分からないということですね。それから2番目のご提案は、成果と効果の用語についてですね。
(淺枝委員)
イー・アンド・イー・ソリューションズの報告書について、構成検討の考え方で2つの問題点が挙げられています。この2つの問題点、イー・アンド・イー・ソリューションズの方では、ここの読者は県民ということを考えておられます。だけどこの報告書というのは、読者というか、提出先はある意味行政に対する報告書になるわけですね。そうすると読者はどちらを対象にすれば良いのかなと。対象が県民の場合、場合によっては少し変えなければいけない部分があると思います。行政に対する報告書だったら、バックグラウンドの知識はあるわけですから、これで良い気がするのですが、これを県民の方にもご覧いただくのであれば、イー・アンド・イーの方でも5ページに、全体の事業がどういったところを対象にしているかを示していますよね。
もっと私が問題かなと思ったのは、実際に神奈川県の地図があり、相模川なんか山梨県につながっているのですけれど、そういった全体の地図があって、その中にはどういった問題が横たわっていて、事業がどこを対象にしているのかという地図がないと、おそらく県民の方は何なのか分からないと思います。その後で、個々の事業が入ってくると、こういうことかと分かると思うのです。ですから行政向けの報告書と、県民の方に読んでいただく報告書と少し分けた方が良い。県民向けの場合は、別冊を読むということでも良いのですけれども、作った方が良いかと思います。
(木平委員長)
これはどちらかと言えば、予算をいかに使ったかという、あるいは期待というか責任ある報告ですね。これはこれからの報告書の書き方として非常に大きな課題になるので、ご検討いただかないといけないと思いますよね。
(田中委員)
県民が最終読者なのでしょうけれどもね。
(中村委員)
やはりお金は県民の目に分かるようにした方が良いです。他でも同じような税をとっているところがありますが、これだけ詳細というか、ほとんど全額出しているところはあまりないのです。だから他の人達が来ると、何に幾ら使っているのか全部分かることに驚かれます。これが神奈川の一番大きな特徴だと思います。
(天野委員)
私はきちんと2つに分けてしまった方が良いと思うのです。というのは、私の考えでは、この県民会議というのは知事から委嘱をされて、予算の執行権、税金の執行権というのはどこまでも知事にあり、執行した結果の責任は知事にあると思うのです。ですから説明責任というのは、我々県民会議が考えることではなくて、知事が考えるべき重要な仕事だと思うのです。まずは県議会で議論し、県議会議員を通して県民にいくのですけれども、そこが非常に難しいから別の手法を使う。
知事への報告書というのは、そこではかなりお互いがよく理解できている、専門家同士の報告書です。一方で、県民は言葉一つとっても一体何だろうということが沢山あるわけですから、我々がそこまで考えなければいけないのかというと、そこは知事部局の責任として報告書をアレンジして作る。県民会議で知事の仕事までやるということは、なかなか出来得ないのではないのかと思います。
(田中委員)
0-2、0-3ページをご覧下さい。県民会議をもとに、県民フォーラムだとかコミュニケーションチームとか事業モニターチームで何を行っているかというと、しっかり県民の目線で事業を点検するし、それからその結果報告ですね、県民に分かりやすく提供する、そういうある意味、要請があって交付していると思うのですね。
0-3ページにも、例えば「1(1)県民会議の役割」で、水源環境保全を財源に行う施策に県民意見を反映させるとかですね、その結果を県民に分かりやすく情報提供する役割を担っているということで、一義的には行政が受け取ることになりますが、最終的に私達が意識しなければいけない読者は県民だと思います。
ですから、知事から委嘱されているわけですが、それは県民代表たる知事が委嘱しているので、県民に説明責任を持つ。そのようにした方が私は良いのではないかと思います。つまりこの報告書も、一義的には県民に対する報告書という意識のもとで、場合によってはさらに詳細なものを行政には出すとか、あるいは詳細版があってもよろしいかなと。つまり2種類というか、2冊出してもよろしいと思いますが、本編は県民に対する報告をまとめるということではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(天野委員)
県民という言葉がよく使われていますけれども、県民の代表というのは知事であり、県議会です。そこが条例を制定して税金を徴収する徴収権を持っている。我々には全然そんな権限はない。たしかに、我々には課せられたものがありますけれども、県民に分かりやすくというのは、限りなくそれに近付かなければいけないのですけれども、最終的な説明責任としては、我々が出したものをさらに点検をして、これで知事の方から県民へ説明する資料として十分だとすれば、それで良いと思います。しかし、これではもうちょっととの意見も出ているようだから、分かりやすいものにお金をかけて作り直そうとか、そうしたことは、知事部局から出てくる話ではないかなと思います。
(木平委員長)
これは県民会議の性格にも関わる問題なのです。水源環境保全税ができる前に、約4年、5年近く議論があったわけです。その中で県民参加という考えが出て来て、納税者としての県民が参加する、それから事業の実行とか評価について参加すると、それから報告もすると、というようなことを言われていますが、私はどちらかと言えば天野委員の言われるように、それは県の事業であると、だから県がやるべきことはきちんとやっていって、県の仕事の代行を彼ら県民会議がやるのではないという感じはしています。実際にどうあるべきかは、この5年間実行してきているのではないかと思います。
(中村委員)
この議論というのは、税制度の立ち上げの経緯から考えた時に、地方税制部会がありましたよね、私は2年間でやめてしまったのですけれども、4年間検討を重ねました。それで最終的に県から、「やはりこういう形で立ち上がってきた制度だから、県民会議を作って、そこがきちんと最後まで責任を持つようなシステムにした方が、県民が分かりやすいのではないか」と。そうでなければ、この制度を立ち上げる前に、新聞を使ったり、ワークショップで県民に費用は幾らが良いかとか、何に使いたいかというアンケートをとる必要はなかったはずで、県が税金を取れば良いだけのことです。県民が出すと言った税金に対して事業を実施するのは県ですから。けれども県は、金額であるとか事業の中身にまでアンケートをとっている。ですから私は税金という制度とお金の使い道というものは、県民会議が責任を持ってやっていく必要があると思います。行政が主体性を持ってやり始めたら、お金なんかどこに行ってしまうか分かりませんよ。
(田中委員)
元々、点検報告書は誰が読み手なのかという問題提起から始まった議論ですね。つまり、誰に対して私達は責任を持って提出しているのかという議論の中で、淺枝委員から2つあるということで、つまり行政と県民会議だと。2種類作った方が良いのではないかと。県民については、付録ではないけれども別冊にしたら良いのではないかと。つまり本編は行政向けで、別冊が県民向けだという問題提起があったように理解しました。
ただ、私はむしろ本編が県民向けで、行政により詳細な点検結果を出すという、それを別冊にするのは良いと。しかし、あくまで私達がこの点検報告書を出す先は、県民目線で分かりやすく情報提供するのが県民会議の役割ではないか、そうした問題提起です。
例えば、県民フォーラムを11月24日にやりますが、本来、それは行政がやるフォーラムもあるでしょうが、わざわざ県民会議が主導してやるのは、県民会議が分かりやすく県民に情報提供し、意見を聞いて、それを評価に反映しようという試みでやっているわけです。ですから、そうした位置付けで行った方が良いのではないかというのが私の考えで、委員長とまた感触が違うかも知れませんが、いかがでしょうか。
(淺枝委員)
県ではどのようにお考えになるか。
(中村委員)
これについては、県の意向は二の次で良いと思います。田中委員がおっしゃったように、本編は県民向けが良い。
(木平委員長)
ねらいというか対象が違えば、内容もまるで違うと思います。県民の一番の関心事は自分が税金を払っていると、それに見合った事業が進められているかに尽きると思います。何に使うとかには余り感心がなくて、自分達の税金が有効に使われているかどうかに集中した報告になると思いますが、それだけでは行政の報告としては不安定ですね。
後で森林生態系の評価の時にも出てきますけれども、いかに技術的な評価をやっても、水源が良くなるだとか、どれぐらい改良されたかという話と、それ以上に税金が使われて、それについて県民が満足しているかどうかと、そこのところの評価が非常に決定的に重要だという議論があります。そのためには、県民の人に概要を知ってもらうことが必要で、手段としてはやはり報告書というか別冊が良いですね。補完資料別冊というのは、県民が理解できる別のものを作ることかなという感じがします。
結論がまだ出ないのですけれども、報告書の性格ですね。だれ向けにやるかと、それを分けるかということ、今日はここまでですね。今年の報告書は従来の踏襲で、行政向けでやるということです。第2期に入りますから、少し時間をいただいて考えていきましょう。
大分大きな話が出ましたので、小さな問題は後でまた見ていただき、個別にどこを直した方が良いかを文書でご指摘いただきたいと思います。その上で次の最終案をやりたいと思います。
(田中委員)
例えば1-4ページで、「II(ローマ数字の2) 第1期5年間で何をしてきたか」の下に囲みがありまして、5年間の取り組みの成果と課題というのがあります。そうすると、1-8ページにも「III(ローマ数字の3) 事業の効果はあったのか」の下に何らかの言及があって良いと思います。最後に総括がありますが、これが最初にあると、つまり1-8ページのところで「事業の効果はあったのか」が見えると分かりやすいのではないかと。ずっと最後まで読んでいかないと総括が出て来ないので、最初にまとめてしまう方が良いと思います。
(木平委員長)
ご意見としてご検討いただきたいと思います。それでは、このあたりでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
(木平委員長)
ありがとうございます。第1回のワークショップがあり、これから具体的な方法を検討するための第2回が予定されていますが、これについて何かご意見があればお願いします。
(中村委員)
名簿に出席者の主な専門分野が書かれている方が良いですね。それと、この選考はどうやって決めたのですか。
(水源環境保全課)
ワークショップの前に準備会を設置しまして、ワークショップの進め方や内容、あとメンバーをどういう方にお願いするのかを準備会で検討していただき、こういった先生方にお願いしております。7月に2回準備会を開催しまして、木平先生と、東京大学の鈴木雅一先生、神奈川県森林組合連合会の服部代表理事専務と、3名の方に準備会でご検討いただいた次第です。
(中村委員)
例えばシカ管理にしても、人工林の管理の場合はおそらく誰が出ても一緒だと思います。しかし野生動物の管理になりますと、これまでの神奈川県の取組や丹沢の現況をある程度把握している人でないと一般論になってしまいます。正直言って首をかしげるような人が中に入っています。
私は専門委員会で、そうした評価の必要性を言い続けてきましたが、私が是非取り入れてほしいと言ったのは、丹沢を知らない専門分野の人に議論してもらうために発言したわけではありません。きちんと丹沢を把握している人達の意見を聞きながら県民から意見を出してもらい、その中でどういった評価手法が良いのかを絞り込み、それを事業に反映させてもらえないかという意味です。
この中にも、おそらく専門分野の方がいらっしゃるのでしょうけれども、例えば自然環境保全センターにいくらでも専門の研究員がいるじゃないですか。そういう方達にも出席してもらい、横浜の大きな会場を借りて、県民に参加してもらって、こういう評価をしたいのだけれども意見はあるだろうかというものを、県民と丹沢をよく知る研究者との間で議論した上で、評価手法というものを絞り込んでいく方が、私は良いと思います。その方が、余程県民に理解されると思います。この中には、さんざん神奈川県の取組を批判した人達がいっぱい入っています。
それから、この中にも書いてありますけれども、ある人が2001年にやった生物多様性の関心が低いと書いてある。この方がどこでどういうワークショップを開かれているのか知りませんけれども、水源環境税も、税をとってくださいと言って県民から神奈川県にお願いしたのが2000年ですよ。それは丹沢の多様性が低下しているとか、生態系が非常に劣化しているとか、だからこれを取り戻すためには自分達が税金を出すから事業を進めてくださいと神奈川県に申し込んだのは2000年ですよ。この程度の認識の人がこのメンバーの中にいるのは、正直言って余り面白くないです。
(田中委員)
私はこの準備会に入っていなかったのですが、割と早い段階から県のこの事業の進め方などの相談も受けていて、ただ準備会では木平先生や服部委員が中心になって進められていたので、実際の検討メンバーは当日あるいはその前日に初めて、「こういうメンバーですね」ということがわかった次第です。今、中村委員がおっしゃったこともよくわかるのです。
ただ、今回のことを私なりに忖度をすると、次の段階か、次の次の段階で、つまり県民にオープンにして、場外からも意見を聞くような、そういう形でのワークショップに移るのだろうと思うのですが、まだ何というのか、方向性が定まらない。まだ暗中模索の段階で、少しずついろいろなアイデアや知恵を出し合っていて、神奈川県の例えばこの水源環境税の評価のあり方などについて、多少方向性が見えてきた段階で、そういうことを次のステージで企画するのだと、そういう認識でおりました。
今回はクローズの会議で、この委員プラス県民会議のメンバーがオブザーバーで何人か参加されていました。それから県の自然環境保全センターや水源環境保全課の職員も参加されていましたが、必要最小限の受け答えをして、主体的にラウンドテーブルに入ってやるという雰囲気にはなかったのですが、第一段階としてはそういうやり方もあるのかなと思いました。次の段階では、もう少し現場の知恵や県民の目線を集約できるような、そういう手法を取り入れるようになると思いますので、今のご意見を反映できるのではないかと思います。
(木平委員長)
最初に議論になったのは、このテーマが何かということから入っていったわけですね。こちらの意向もさほど明確ではなかったのですけれども、それが第1回の議論の中で、自分達もそこに入ることになって分かってきたのですけれどもね。ですから、これからこのフレームワークがどういう方向に行くかということをやると思うのですけれども。
(淺枝委員)
まだ、中村委員がおっしゃるようなそういった議論をするもう一つ前の、もう少し基礎的なところでどうなのですかねという、そういう議論だったのです。そういう意味で、もっと基礎的なところをしっかり詰めていくという段階では非常に有意義だったように思いました。中村委員のおっしゃったのは、もう一つ上のステップの段階で必要かと思います。
(中村委員)
森林生態系というか、水を育む森をつくるために、こういうこともモニタリング手法の中に取り入れた方が良いのではないのですかという意見は、私は以前からいろいろなところで聞いているのです。そうすると、この事業であるとか、それを関心を持って聞くとか、ある程度の考え方であるとか意見を持っていると思います。最初に神奈川県が実施した県民参加のシンポジウムではありませんが、私は一気にそこに持っていっても良かったのではないかという気がします。
例えば、現在出席されている鈴木先生や石川先生にプラスして、県の研究員をオブザーバーではなくて、上司の目を気にせず話が出来る立場にして、実際に365日丹沢にいる人間を呼んで、林業関係の人がいても良いと思いますよ。その中でどういうものを目指していくかをフリーで話してもらい、それを参加する人たちが聞いた上で、自分達で会場から意見を出していくというような、そういう取りまとめの方が、私は税金を払っている県民としては納得できると思います。北海道でエゾシカをやっている人が、丹沢に来てシカの議論をしても何もならないと思います。
(淺枝委員)
私もそういう部分があるかなと思いました。例えば生態系が良いのと保水性が良いのとでは全く両立しません、それでどちらを取るのですかという議論が出て来ました。かなり基礎的なところから入ってきたとの印象を持ちました。
(中村委員)
地方税制で最初に議論をした時に、水のことをあまりに言ったら、ある大学の先生が、「そんなに水が欲しければ木を全部伐って、山の頂上からブルーシートをはってしまえば、それで一滴残らず全部水がとれる」と言った人がいました。けれども、県民が要望しているのは、水だけが欲しいわけではないだろうと。生態系に基づいた、きちんとしたものに基づいた森林ではないかと、そうした意見が最初から出ていました。
(木平委員長)
このメンバーを見て、中村委員が気に入らない人もいるかも知れませんが、議論の中身は中村委員のおっしゃるところが大部分で、第1回の話を私なりに理解すると、水源かん養機能を高めるのが目的だけれども、そういう機能を把握し表現するのは非常に難しいと。だから、それに代わるものとして、例えば土壌の安定だとか林床の被覆度だとか、状態量で代替していくとか、説明していくのが良いだろう。そこのところが生態系という言葉なのだと。
それからもう一つは、直接は水源かん養をするための話ですけれども、その後半に出て来たのは、我々はたしかに水を良くしようということでこの税金を取っているのだけれども、最終的には、将来に向かっては健全な森林生態系をつくることによって、水だけでなくて、公益的な機能が発揮されるのだと、そこにつながないといけないというのが、出席委員のご意見の良いところだったと思います。
そしてもう一つ評価するのは、林床植生がどうなっている、土壌がどうなっているかという物理的な現象だけではなくて、県民が、自分が出したお金について納得しているか、していないか、そこを把握しないと答えは出ませんよと、そういうところが議論の中心ですよね。ですから、今度2回目ではもう少し具体化して、それからその後はどうするかというと、それこそ県民を一体的に巻き込んだレベルのものになるかどうか。
(中村委員)
先生のお話を聞いていると、ますます県の職員で十分ではないかと思うのです。県の職員は1年間通して丹沢に入って調査をして、その結果を解析しているわけです。私はこの会議は余り形にこだわる必要はないと思うのです。社会の中である程度成果のある人を呼んで、それで意見を取りまとめてというものが、一般的には形としてきれいに見えるのかもしれませんけれども、もう出来上がっている事業の中で新たに取り組む手法が仮にできたとしても、そうしたら中でより丹沢に関してきちんとした理解を持っている人達が集まって答えを出す方が、私は県民には理解されやすいと思います。
(木平委員長)
いや、そのとおりです。だから議論があってこういう方法が良いとか、こういうデータを使おうじゃないかということがまとまった。それは誰がやるかといったら、この先生方がやるわけではないのです。最初のステップとして、こうした広い立場というか議論があったということです。
(中村委員)
何回も言うように、実際に丹沢を知らない人達が、生態系には詳しいし、評価手法の作り方は詳しいかも知れないけれども、丹沢を見たこともない、足を踏み入れたこともない人も入って、そうしたものを立ち上げることにどれだけ意味があるのかというのが正直な感想です。それよりは、同じような議論ができる県の職員が、今、入っている先生方と一緒に、これまで進めてきた経緯も含めて県民に話をする方が、私は余程分かりやすいのではないかと思います。
(木平委員長)
多分、そういう話が次のフレームワークで出てくると思うのです。これは話だけで済まないですね、具体的にやろうと思えばね。この作業をどうするかということです。
(天野委員)
一言で言って、私のような立場ではなかなか理解できない。要は税金の使い道として水源の部分の整備を始めたと。より税金の使い方の効果をより正確に表して県民に納得をしてもらうためには、より科学的かつ学問的な深い領域まで入っていかないと、なかなか十分な結果が発表できないというところまで行ってしまったのかなと思います。
なかなかこれは難しい段階で、我々素人が入っていけない。それはそれで私は良いと思うのですが、何かこのようなものをやることは良いのでしょうけれども、そこまで県民は求めているのかどうか。やることは良いのですけれども、そこまでしなければ県民は納得出来ないのかどうなのか。
現実に山を見て、作業を見て、私が今年一番思ったことは、宮ヶ瀬ダムをあれだけ反対をし、長洲知事までもが当時反対しても、それでもと思って作り上げたものが、やはり結果的には成功だったと。これだけの暑い夏が続いても、宮ヶ瀬ダムの水は湛水量をきちんと標準値まで抑えたまま神奈川の水が回ったということで、そういう点では完全に成功だったと確信を持ったのですけれども、こうしたこともどこまで突っ込んでいけば良いのか。私は何かずるずると、とてもついていけないところへ届いたのかなとの思いでおります。
(田中委員)
中村委員がとても良いご意見をおっしゃって、同感するところも多々あります。私自身も、あるタイミングで県からご相談をいただいた時に、例えば現場のNPO、NGOのような方とかが入ってワークショップをやるのも良いのではないかという話をしたことがあるのですが、中村委員がおっしゃるところと、多分感覚としては割と近いところがあったのでしょう。
ただ、おそらく設定した背景というのは、日本で多分初めてのこういう試みを少し現場レベルでやってみようと、データとしては相当集まっている、対照流域法であるとか、県のいろいろなモニタリング調査で光環境とか土砂流出とか集まっているのだけれども、こういうものを統合しながら、かつ定量的に評価できる手法みたいなものはないだろうか。そういうものを開発しようというので、これはある意味、壮大な意図であると。
それと言っていることは、1つはスタート時点で理論的な枠組みといいますか、バックグラウンドのようなものをしっかりしておきたいと、こういうことがあって、各分野の専門家を呼んでまず意見を聞き、そこで方向性を固めながら、今度は現場レベルで実際にそういうことが応用可能かという手順を踏んでいるのかなとの理解があったものですから。これはこれで次の段階か、さらに次のステップで、今、中村委員がおっしゃったようなことは十分反映できるし、それと乖離しているわけではないと思いますので、意見を取り入れて良いのではないかと思います。
それから2つ目は、とても難しい問題ですが、私なりに問題提起すれば、今日お配りしているスライド資料の29ページをご覧いただきたいと思いますが、これは総括をされた鈴木雅一先生がお出しになったのですが、結局、生態系を総合評価する際には、1つは状態評価というのと機能評価がある。その森林の状態、それから森林の機能というのを評価する。そういう仕組みはそれぞれのステージで作って、それを総合評価にしようと。
それからもう一つ、今回の中で新しい方向が出てきたのは、経済評価ということも入れたらどうかと。つまり年間40億、5か年で200億、これを10年やれば400億のお金を投じて、実際それに見合うような機能が発揮されたのかということで、多少これは県民に分かりやすくという面から見れば、経済的な価値がどれだけ回復したかということを出すのも、これも一つの大きなアプローチで、これまで県民会議側からなかなか出にくかった視点なので、とても良い方向性が提示されたと思います。
今までの評価のあり方が、私達は結局与えられた12の特別対策事業の直接的な評価を一生懸命してきたのだけれども、もう少し外側に立って、12の特別対策事業を総合的に評価してどういう意味があるかを考えた時に、こうした視点が出て来たのは意味があると思います。
2つ目は、究極の目的は、「全体の良質な水の安定的確保」、つまり水が良い水質でかつ安定的にということですから、量も潤沢とまではいかないけれども、常時流れている安定的確保、こういう2つの側面を、良質である水が確保されればいいということになっているわけですが、これは特別対策事業の究極の目標はここにありますので、これを掲げるということになります。しかし、よく考えると、森林整備、森林の生態系機能の向上というのは、もちろん水も一つだけれども、それ以外にも生物多様性が増進するとか、あるいは生産力が増すとか、あるいは保健、健康機能と言うのですか、レクリエーション機能も向上するとか、いろいろな公益的機能があるわけで、そういうものも副次的成果として評価する仕組みもあっても良いという話もありました。
ですから、一義的には水の安定的確保がどこまで実現したかという評価の指標が必要だけれども、同時にどういう副次的効果を生んだのかということを評価する仕組みというのは、特にこの丹沢、水源の森林で評価出来ないかという議論もあって、これもこれで1つ突破口になったと思います。
ですから、県民会議からすると、どうしても12の特別対策事業の枠に縛られているけれども、外から評価のあり方を考える意味もあるのかなと思います。一つたたき台を作りながら、次のステージでは県民や利害関係者というか、関わっている方にも意見を言ってもらうということで、取り入れていくということでいかがでしょうか。
(木平委員長)
そうですね、私もそう感じます。たしかに丹沢を余りご存じない方もおられますけれども、そういう方も含めて、このグループの中で今おっしゃったような非常に新しい知見、知見というか対象が出て来て、これを具体化するということが良いのではないかと思います。ただし、中村委員がおっしゃったような、地域ごとにまとめていることについては考慮しないといけないと思います。では、これはこのくらいでよろしいですか。
(天野委員)
経済評価というのはどういう意味なのですか。
(木平委員長)
経済評価というのは、県民が10年間で400億円払いますと、それに見合う効果を得ているかどうかということをはかる。
(中村委員)
それは何で得るのですか。
(田中委員)
46ページから47ページにスライドの資料があります。栗山先生という京都大学の先生が一生懸命アンケート調査をやって。
(木平委員長)
実際に金銭に当然できないものが多いですよね。そういうものを何とか金銭化するか、あるいは計ろうという提案です。これは私も非常に重要であると感じましたね。
(天野委員)
神奈川県の場合には、山から流れてきている水を直接飲んでいるようなことではなくて、今は100%近くダムへ1回貯めて水をつくっている。神奈川県の場合、水をつくっているのではないかなと考えています。というのは、ダムへ一回ためて、そこへそれぞれの機能を分配してあげて、あなたのところは電気用水としていくら、これは水道用水でいくら、これは工業用水でいくらあげますよと、それからこれは生活用水として水道局へ分配しますよと。そういう分け方をして、自然水をダムに一旦貯めることによって人工水につくりかえているように思います。
相模川から流れてきても、どうしても1回は相模湖へ貯めなければならない。ダムへ貯めて初めて、そこに人工的な機能がとられる、そこに神奈川県の水資源の特色があるのかなと。だから経済効果をはかる時にどこでもってはかるのかということで、なかなか難しいのではないかと思い、質問しました。
(中村委員)
経済評価というのは、昔から言われているように、水というのは結果であって、私は森林保全だと思います。そうすると人工林であっても自然林であっても、防災の役割というものを一番多く持っているわけですし、地球温暖化防止であるとか様々なものを抱えているわけです。そういう意味では、この事業が非常に大きな経済効果だと思っています。
それから例えば一般の県民が、今度は丹沢を利用するという面でも、他に比べると非常に多いですね。ちょっと横道にそれてしまいますけれども、例えば他の山へ行きますと、丹沢は人が多くてうらやましいという位に、ウィークデイでもヤビツ峠のバスは臨時バスが出るほど人が来る。そういう人達がはげ山を歩くよりは、豊かなブナ林の中を歩きたいわけです。あるいは川のきれいな水のあるところで、例えば魚釣りをする、バーベキューをする、いろいろな利用の仕方があります。そういうものを全部含めた意味での経済評価ではないかという気がします。
(木平委員長)
そうですね。これは中間報告ということで、これぐらいで終わりたいと思います。今日の議題はこの2つですが、その他に何か委員からあればお願いします。なければ事務局にお返しします。
(田中委員)
スライドの40ページに栗山さんの表があって、今回はその上の方に中村委員のおっしゃったようないろいろな価値がありますね。下の方は、例えば水源保全であれば、ダムでやったらどのぐらいかかりますかと。これを代替法と言うそうですけれども、土砂防止だったら、では土砂ダムを造ったらどの位かかりますかと。あるいはレクリエーションだったらレクリエーション施設、あるいはどこかに遊びに行くのにどの位お金を使いますかと、そういうのを全部代替すると。そうすると、丹沢の森というのは大体どの位価値があるかと、経済的に評価してみましょうというアプローチです。
それからもう一つは、右側の41ページにCVM、これは仮想支払法でしょうか。県民に「あなたは例えば丹沢の森を守るのに、いくら位お金をかけたら良いですか。1,000円ですか、2,000円ですか」と聞くと、県民は「年間で2,000円位なら払っても良いよ」ということになれば、2,000円×800~900万人の税金で、年間何十億の価値があるというように仮想できるのです。
代替法とかアンケート法とか、いろいろなアプローチがあって、そうすることで例えば今の丹沢の森とか、あるいは水源の森が、どの位の価値があるのかということで一応出してみようと。そうすると分かりやすいので、年間40億使ってもこれだけの価値を持っているのですよということが対比できれば、県民には分かりやすいメッセージになるので、こういうことをやってみたらどうだろうかと。
(天野委員)
実は宮ヶ瀬ダムをつくるときに、どうしてもダムが必要だということを説得しなければならなかったのです。1930年に中東から原油が入ってきたときから、昭和48年のオイルショックまでの日本の原油の例年の輸入量とか、それから建設省が発表する例年のダムの湛水量、それと当時はGDPを全部計算して、数値に落としてグラフを作ってみると、昭和48年にオイルの輸入率が激減をしても経済成長率は上がっているのですね。それと同時に水の湛水量も上がっているのです。その時に、一般の人達は石油に非常に関心があるけれども、水に対しては単なる飲料水だということだから「足りているんじゃないの」とか「我々がダムをつくらなくたっていいじゃないか」というようなときに、それを計算した時に、石油エネルギーの裏がえのエネルギーとしては、水というのは重要なエネルギーとしての役割を果たしているので、経済成長するには水なくしたら出来ないと、だから宮ヶ瀬ダムを造らなくてはいけないのだと。そういうことを作って、スライドにして説得をしたのです。そういう意味でいろいろな評価の仕方があると思う。これも、たしかに林野庁で発表していますよね。だから今回のことも、どのようなことを言っているのかなと、少し疑問に思ったのです。
(木平委員長)
オブザーバーが今日は4人来ていらっしゃるので、もしご意見があれば一言ずつお願いします。
(青砥オブザーバー委員)
県民から水源環境税のお金をいただいて、事業を進めることに協力しているわけですけれども、これだけ膨大な資料があって、税金を負担された方にこれを示してもきっと見て下さらないだろうし、相変わらず何に使われているのという人は減らないと思います。
県民には分かりやすい資料を出してあげなければいけないという点で、資料2にコンサルが出された資料がございましたけれども、大変意味があると思いました。薄くても良いから分かりやすいものを出すことがまず大事で、もっと知りたいという人には厚い資料も見せる。そういうシステムはどうしても必要なのだろうと思いました。ありがとうございました。
(井伊オブザーバー委員)
事業モニターのお話がありました。中村委員から、良い場所しか見ていないというお話があって、今期から新しいやり方で進めていますが、今回は県民がモニターチームとして場所を選ぶことをやっています。良い場所だけ選んでねと言っているつもりはないのですが、選び方をどうすれば良いのかなと思いながら話を聞いておりました。
趣旨はそのとおりだと思いますし、どこまで見られるかという、我々の力量ももちろんありますが、県民がモニターをするとの趣旨からすると、一県民として見て感じるところを意見として反映していくということをやっていかなければいけないのだろうと思います。
今回、モニター場所の計画を立てていますが、今日のお話を聞いて、少しそうしたことも考えながら、もし必要なことがあれば見直していく必要があるのではないかと思いました。ありがとうございました。
(坂井オブザーバー委員)
最初の報告書ですけれども、これ自体は非常に細かくいろいろ書かれてあって、分かりやすくなっていると思います。ただしメッセージの部分が弱いといいますか、県民に対して何を伝えるかという視点から見た時に、例えばイー・アンド・イーさんの資料を見ると、神奈川県をほかの県の名前に置きかえたらどこでも通用してしまうような資料ではなくて、神奈川県の人にこれを知ってもらいたい、神奈川県のあなたにこれを知ってもらいたいという、神奈川県の事情というものがきちんと加味されたメッセージになっていなければならないと思います。一人一人に、例えばこの税金を理解してもらうために、あなたなら初めてこの税を知る人にどういうメッセージを言ったら理解してもらえるだろうかということを真剣に考えていただきたいと思います。最終的にこの報告書が検証されるのは、これから生まれてくる県民の世代だと思いますから、この事業がそれに耐えるものであるかどうかということを見ていきたいと思っています。
それから県民に対してどう説明するか、別枠にするかどうかということですけれども、コミュニケーションチームの方で入り口の媒体というものを考えなければならないと思っております。水というときに、税金を払っている人の大半は都会の人で、いきなり森林と言っても全くピンときませんから、それに応じた関心度あるいは歴史とか、そういう背景を、どういうふうに引き渡されてきたか、その歴史のたすきを渡す仕事がこの水源環境保全税なのだとご理解いただかないといけません。
これを表現していくのが私たち自身に託されたことで、自分ならどういう言葉でこれから生まれてくる県民にこのメッセージを託すかという部分が出てこないと伝わっていかないだろうと思っています。
それから、ワークショップの話ですが、神奈川県の事情とは全然関係ないところから話が転がっていって、最初はどうなるかという感じでしたが、お一人お一人は皆さん大変協調性のある方々で、何とか上手くまとめなければいけない、理解しなくてはいけないというお気持ちは伝わってきました。ですから、もう少し、神奈川県の事情はこうだと言ってくださる方がいらっしゃると、先ほど田中委員がおっしゃったように、12の枠を超えた視点からの話が出来て、日本で先駆けてやったことの意味は必ず出てくると思いました。以上でございます。
(浜野オブザーバー委員)
私は元々県民ではなくて、知事の諮問委員会の知恵袋会議の方から来たのですが、ただ、元々神奈川県に会社を持っていたことがあって、また中村委員のところへよくフライフィッシング、釣りに行っている関係もあって、非常に丹沢の渓流釣りは詳しく知っておりますが、全体を見ていて、水よりも森林ばかりやっているような気がします。もちろん水は林がなかったら出来ないのですが、何か森林業者にもうけさせてばかりいるような感じがいたします。
だからもっと水そのものについて、そのため、水生昆虫学を手法にしたらどうかと他の委員会で言っておるわけですが、水生昆虫学は密接にフライフィッシングと関係していて、700種類の水生昆虫をそれぞれのステージに上げて、膨大な種類の昆虫を観察した上で、毛針をまいて釣りをやっているわけで、そういう点からすると、北海道のような酪農なんかで糞尿の垂れ流しとか、そういうのがこの辺は余りないので、非常に水源としては楽な地方です。それだけに我々としては広葉樹や闊葉樹、要するになるべく保水能力のある植物が増えてくれればありがたいなと、基本的には思っております。
それからダムに関して言いますと、ダムというのはもの凄い砂をとってしまうので、海に対して大きな影響が及びます。だから今、私は具体的に関わっているものとしては、浜岡砂丘を消失したら、これは大問題ではないかと。大井川と天竜川の間にあった砂丘がなくなって、その結果として浜岡原発が危機に瀕していると。もっと砂丘があればあんな大問題にならなかったわけですよね。では、せっかく原発ができたのに何でダムを取らなかったのだというようなことだから、あちらが議論されて大きな問題なのですけれど、そういう点で、北海道のような大問題を抱えています。河川を経営する形で川を守れないかということを僕は提案しているわけですが、要するに北海道は漁業権がないのですね。こちらの地方は割と漁業権もある。ただアユというのは年魚なので、1年間でまた補給をするわけですから。またマス、イワナは定着するものですから、それをどううまくダムなどを生かして大きな魚を育てるかどうか、それをゲームとして育てるかとか、あるいはカヌー、カヤック、トレッキング、キャンピングも含めて、今、物すごくブームですよね。それをもっときちんと受けてやる。そして水に親しむことを増やすことによって、十分に住民の監視態勢が出来上がっていくと、そのように僕は思いますので、もっと山に来させる。今でも沢山来ているということですが、山ガールや釣りガールが増えてきたのですから、この際もっとPRして、山に川に親しんでもらうことで、神奈川の水を知ってもらうことが大事なのではないかと思います。
(木平委員長)
それではこれで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
【会議終了】
資料1-1 特別対策事業の点検結果報告書(平成23年度・第1期5か年実績版)(案)
資料1-2 点検結果報告書の構成検討業務 中間報告書(写)
このページの所管所属は環境農政局 緑政部水源環境保全課です。