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更新日:2020年10月2日
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次の審議会等を下記のとおり開催した。
水源環境保全・再生かながわ県民会議 第28回施策調査専門委員会
平成26年7月9日(水曜日)9時30分から11時20分
産業貿易センター地下1階 B102号室
鈴木 雅一【委員長】、淺枝 隆【副委員長】
田中 充、中村 道也、吉村 千洋
オブザーバー委員 坂井 マスミ、森本 正信
平成26年7月31日
水源環境保全課調整グループ、担当者名 高乘
電話番号 045-210-4352
本日は暑い中、委員会にご出席いただき本当にありがとうございます。水源環境保全課長の桑野でございます、どうぞよろしくお願いいたします。
皆様には、第4期県民会議の専門委員として、ちょうど今、第2期5か年計画の真ん中の年で、第1期と通算するとちょうど8年目に入ったということで、第2期の期間でいいますと3年目、4年目、5年目、この3年間の委員をお願いさせていただくということでございます。
この施策調査専門委員会でございますけれども、水源環境保全・再生の取組につきまして、実施状況を点検・評価していただき、その結果を県民の皆様に分かりやすく情報提供していただくことが目的でございます。したがいまして、本日お集まりの皆様方、森林関係や水関係の専門家の方々に委員をお願いさせていただいているということでございます。
現行の第2期計画の5か年が終わりますと、ちょうど10年となります。水源環境保全・再生の取組は、施策大綱で20年間を一つの大きな区切りとして目標を立てて取り組んでおります。そのうちの10年が終わるということで、一つの大きな節目を迎える時期に間もなくなります。今回の委員の皆様には、これまでこの10年を見据えた中での成果と課題について、総括的な評価もあわせてお願いしたいということでございます。
そこで、具体的にはこの10年間の取組に対する評価ということで、今までは毎年の施策の実施状況についての評価をいただいておりますが、今回は次期5か年計画の策定に向けて、後半10年を見据えた中での意見書をつくっていただくということで、是非ともお願いしたいと考えております。委員の皆様におかれましては、専門的な知見に基づき、是非ともご意見を大所高所からいただきたいと存じますので、どうかよろしくお願いいたします。
(鈴木委員長)
それでは、本日は第4期の1回目の委員会ですので、これまでの委員会の取組状況について、事務局から概要の説明をお願いいたします。
(鈴木委員長)
ありがとうございました。ただ今の説明にもありましたが、今年度の委員会は、今日を入れて大体5回ぐらい開いて、毎年の点検結果報告書案を作るのに加えて、先ほどご説明のあった第2期のまとめに向かって、総合的な評価の取組として次期計画への意見書案を検討していくと。総合的な評価のワークショップは次年度ではありますけれども、次年度といっても7月、8月のことですので、今年のご審議の中で中身をかなり詰めていくことになります。限られた期間で審議をしていく必要がありますので、皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。それでは、ここについて何かご意見・ご質問はございますか。
(鈴木委員長)
ありがとうございました。水源環境保全・再生施策の総合的な評価についてということで、今年の委員会で評価をまとめていく、あるいは来年7月にそれをワークショップでさらに広い方と議論するということに向けてですが、今、ご説明いただいたところも、既に大分資料が揃っているようにも見えますし、これをさらに詰めようとすると、実はまだなかなか大変なところもあると思います。
最初にご説明いただきました枠組のあたり、8ページ、9ページぐらいまでで、何かご意見やご質問はございますか。
(田中委員)
最初の方の評価の考え方ですが、5ページの12の施策の位置付けが、さまざまな森林や水質の課題にどのように取り組まれているか、配置されたのはとてもよかったです。分かりやすかったです。
ですから、水源環境保全施策というのは、大きな森林環境の改善、あるいは流域の水質改善の一部でもあるということです。いろいろな課題がある中で、そこに向かっていくということです。
その上で、評価の流れですが、9ページのような形で、まず量的な事業の進捗状況を評価した上で、1次的アウトカムと2次的アウトカムで、より少しずつ総合的に評価の考え方を統合化していって、最終的には水循環機能の保全・再生、あるいは良質な水の安定的確保というところにつなげると。この流れを整理できたのは、とてもよかったと思います。
後半の物理的なところは、少し先取りし過ぎているかなとの感もあるのですが、たしかに来年の4月、5月ぐらいには、こういった叩き台がないと、ワークショップに向けて準備が出来ないということであれば、今の時点からある程度こうした基礎情報も集めて、解析を始めていくということかと思いました。そのような点では、なるほどと伺ったところです。
一例ですが、9ページで2次的アウトカムを評価する場合には、水源かん養機能、生態系の健全化、水源水質の維持・向上があるかと思います。したがって、ここに結び付けるような評価をするとよいと思います。例えば後段でご説明いただいた水質モニタリングとか、地下水モニタリングというのは、どのようなデータがあるかという紹介があったわけですが、10年前と比べて、平成24年、25年あたりが直近のデータだとすると、10年前の平成14年、15年ぐらいに比べたら、例えば水質は水質データでいえばどのくらい改善したのか、あるいはその維持がどのくらい図られたのか。このようなことが結果として見ると良くなっている、あるいは少し悪化した、そのようなことが総体としてはどうなのか、水源のかん養、あるいはその維持・向上、このような目的に対してどのように貢献したかということが示されるとよいかも知れません。
そうした時に、水源環境保全施策というのは、全体の施策の一部であるけれども、そこに寄与することで総体としてこのぐらい改善した。この事業が、その改善効果にどのくらい寄与しているかというのは、定量的に難しいのですが、一例として、例えば最初に自然環境保全センターからご説明いただいた、森林関係の1次的アウトカムの話があります。49ページかと思いますが、先ほどこれは流出量でしょうか、宮ヶ瀬ダムの上流域で下層植生が回復する場合と、後退した場合のシナリオを考えた時にシミュレーションしてみたものがあると思います。これは一つの考え方で、何もしなかったらこのぐらい悪くなる、よくすればこのくらいになると、非常に理想形ですが、対比するとその効果が見えてくるわけです。
同じような意味合い、例えば水質改善効果のようなものもここで読み込めるかどうか、水質改善効果ができるとすれば、流域の特に上流部の森林を手入れすることで、このぐらいは水質効果が見込めたはずだというような、ラフではあるけれども水源環境保全施策のある種の施策効果を一応指標で示すという目的にかなうのではないかと。
これは難しい話で、しかも仮想的でそのとおりいくか分からないけれども、一定程度そのようなことの効果を見せるという意味では必要かなと思います。
(中村委員)
最初のころから少し疑問に感じていることですが、この水源林のさまざまな事業が、人工林と自然林とで説明自体が混同しているのですね。ですから、おそらく一般の県民はさらに混同すると思います。
森林整備と書いてありますが、自然林のことはほとんど触れていなくて、人工林の整備が中心になっていると。今、田中委員から意見が出ましたけれども、先ほど自然環境保全センターから対照流域法の説明を受けましたが、私はこのような形で指標ができるのであれば、それを目標にして水源林整備の事業実施をしていくことができると思います。ただ、そうなりますと、今度は進捗状況を数字で表したいということですから、これだけの数字が並んでくるのは仕方がないのですけれども、人工林に余りにもお金が行き過ぎている。
私は、同じ人工林であっても、ダムより上流域の人工林にもう少し予算をつぎ込むのであれば、それはそれで理解できるのですが、ダムより下流域のさらに人家の周辺の人工林を整備して、そこで水質改善とか水の安定供給というのは、私は理屈としては成り立たないと思います。ですから、ここはもう少しきちんとした分け方が必要ではないかと思います。そうしないと、来年のワークショップに向けて話をするときに、例えば水源環境保全のさまざまな事業というのは、丹沢の自然再生に向けた森林保全のパーツのひとつだと思っています。ただ、その予算が水源環境保全ですから、ここが一番上にいくというのは仕方がないことですけれども、森林整備の基本的な考え方というのは、私はそこに置くべきだと思っています。
ですから、この中にも幾つか表がありましたけれども、水源環境整備というところで、いきなり森林整備で人工林がここに出ています。私は、やはりもう少し広い意味での森林環境、イコール自然環境があって、その下に自然林の整備であるとか、水源林の整備、人工林の整備などを持ってくる必要があると思います。表現の仕方ですが、県民がワークショップに大勢参加するようになったら、出てくる疑問ではないかと思います。
(淺枝委員)
田中委員や中村委員がおっしゃるように、非常に厳しい部分が一つありましたね。おそらく森林整備はダムの水質にはほとんど関係ないです。ダムの水質に関係するのは、山梨県にやってもらっている方なのです。
森林整備がどのようなところで重要になってきているかということは、この真ん中のところで説明いただいた降水流量とか、流量が上がっています、これがやはり一番大きい。
もう一つあるとしたら、土壌流出量が減るということです。そうすると、例えば降水流量が増えると低水流量が増えるとか、例えば宮ヶ瀬ダムの貯水量にどのくらい影響しますかというようなこともあるでしょうし、土壌の流出というのは、おそらく宮ヶ瀬ダムの水質にはほとんど関係しないです。
ただ、水質というのは栄養塩に関してで、それは濁質には影響するのです。水質といった時に、栄養塩に関しては話が出ているのですけれども、濁質という観点の性質が出ていないのです。水質といった時、そちらも実はすごく重要な話で、そのあたりを入れることによって、少なくともダムの上流の森林整備というのがどのくらいダム湖に影響しますという形が、実際の数値として出せていくのではないかなという気がしています。
それから一つ聞きたいのですが、窒素だけ高いところがありましたね、山の奥の方が高くなっています。これは大気負荷ですか、それとも田んぼとか畑ですか。
(鈴木委員長)
相模川の一番上流の東側のところで、一つだけ赤い表示の部分がありますね。そこだけ畜産の影響があるとか、そのような具体的なものが想定されるかどうかということですが、そこの分布が高いということについて、何かコメントを次回にでもいただければと思います。
(淺枝委員)
あのあたりを上手く作って集めていけば、数値として表せる部分が出てくるかなという気がしました。
(中村委員)
あまり上流・中流・下流というのにこだわると、以前と違って人の関わりが上流域まで広がっていますので、これを見ると赤い部分は上流ではあっても、人の生産活動が盛んに行われている所ですね。ですから、あまり上下にこだわり過ぎるのは。
(淺枝委員)
ただ、人の生産活動があるとしたら、それに対策をすることによって、減らすことが可能なわけですね。これが大気負荷であったらやりようがないのです。それでどうかなと思いました。そのような形で詰めていくと、実際の数値で細かいことが分かりましたというような話し方も出来ると思います。
(中村委員)
少し補足しますけれども、私が言っているのは、例えばダムより下流域のいわゆる放置人工林といったところが、大雨などの時に土壌流出を起こしたり、あるいは風倒木が多くなったりして、ここに手を付けなければいけないというのは分かるのです。ですから、地域水源林という名目で人工林を整備していくというのも分かります。
ですけれども、例えば先ほど保全センターから説明があったように、上流域でそのような目標設定が出来るようなものが出てくるのであれば、仮に既存事業であっても、県有林であるとか国有林であるとか、県や国が関与する森林にこの水源環境税をもう少しつぎ込んで事業を実施していくというのは、私は水質の向上や水量の安定にとっては一番必要だと思います。そうしたところが、例えば同じ水・緑部の中でそれぞれの事業計画をしていますね。そうすると、森林50年構想が森林再生課の中でもし検討されているのであれば、それをこのような中に入れ込んでいくということは、十分可能だと思います。
そうすると、人工林の林分の見直しであるとか、検討する前に事前の書き込みがあってもよいのではないかなと感じます。
(鈴木委員長)
9ページの取組のあたりですが、中村委員のご意見に重なるというか、少し似たところがありますが、ご説明を極めて簡単にされたのだけれども、右上に施策大綱の取組というのが入っています。もう一つ前の5ページでいうと、特にダム湖の課題のところで森林の荒廃のところに、既往の法体系というものの既という字が書いてあって、これが水源環境税以外の事業で行われている部分ということで、既存の取組と水源環境税の取組を合わせて大綱の考え方が出来ているということです。
ですから、評価見直しの時に、当たり前に考えると水源環境税でやった1~12の事業を評価するということですけれども、実際、ここにお示しいただいたものに、施策大綱の取組と書いてあるのは、実は県の提案は既存事業との境目のところまで含めて検討しますという意思表示だとすると、非常に先進的だなということで、それが例えば既往事業の中での自然林の対応、人工林の対応ということと、水源環境でやる事業というのは、その中でも水に特化しているというあたりが意思表示だとしたら、もしかしたらすごいことだなと思います。
ただ、今日ご説明いただいた個別事業に対しての1次アウトカム、2次アウトカム、総合評価という流れの中では、やはり既存事業との境目のところで、それが両方合わさって上手くいっているかどうかの評価までは、まだちょっと手が付いていないところがあるかも知れません。
そこをどう考えるか。多分、そこのところが、これから私達が何回かの委員会でいろいろご意見をいただいて、工夫していただくところかなと思います。この12事業の中のそれぞれ一つずつを追いかけていくのは、このアウトプット、1次アウトカム、2次アウトカムという形で、かなり上手いこと出来そうには思いますが。
(淺枝委員)
既存事業とこの事業が、入れ子になっていますよね。ワークショップで出すかどうかは別として、入れ子の部分をしっかり出して、この事業でやったのが、こちら側の事業のここを通してこれだけ効果につながりますという流れを明確にした方がよいのではないかと思います。
(鈴木委員長)
行政的にいえば、対象に別のルートから手当がいくようなことはまずくて、全部分けられて説明がされなければいけないけれども、実は自然環境への効果の方は、そういう施策をまたいで影響がはっきりしていくということがあるわけですから、そこを上手に説明するというのが、このワークショップのポイントになるかなと思います。
(吉村委員)
今の話でコメントさせていただきますと、おそらく面的に流域を意識して評価するということは、資料にありますように必要になってくると思うのですけれども、その変化の原因というのがどの事業なのかというのは難しいところだと思います。
ただ、見せ方としては、広域で見てこのような変化がありました、その中のこの部分は水源環境保全の取組の効果がこのような流れで示されていますという、幾つか個別の事例を少し小さいスケールで具体的にまとめると、県民の皆さんも分かりやすいと思います。おそらくこの事業単独で出てくる効果というのは限られているとは思いますけれども、神奈川県の他の事業との相乗効果があったりすれば、それはそれでよい話だと思います。
それから、私も田中委員と同じような印象を受けまして、これまでの個別の評価結果、1次アウトカムの指標が出てきて、それを取りまとめている作業に今来ていると思います。重要なところは、やはり事業前と事業後でどう変化しているかというところだと思いますので、そこの部分をもう少しアピールするような内容になるとよいなというのが一つです。例えば、水の方で話をさせていただきますと、54ページに相模川の水質の分布がありますけれども、現時点では、経年変化とありますが、これは経年変化を示した図ではなくて、各年度の結果ですよね。こうしたものが変化として見られると、分かりやすいというのが一つです。
あとは49ページの真ん中にありました、宮ヶ瀬ダムの上流域スケールの河川流出量のシミュレーションの結果だと思いますが、このような部分もシナリオとして設定して、変化をつけると。ただ、ここは私疑問に思っていまして、青・赤・緑ですか、下層植生が衰退した時に河川流量が全体的に減るというのが、本当にあり得るのかなと疑問に思っています。おそらく植生が衰退すると表面流出量が増えて、河川流量が不安定になると思うのですけれども、そのあたりをプロセスが分かるような結果で見せた方がよいのかなと少し思いました。
全体に関して、この中間報告を取りまとめる全体のアイデアとしまして、この方法でよいとは思うのですが、水源環境ということが、おそらく一つは森林環境ですよね。それからダムを介して水を利用しているということでダムの環境、それから利用者側の水道として利用するという視点が重要になってくると思いますので、その採水地点での水質がどう変わったかというところですが、水ですと、水環境に住んでいらっしゃる住民の環境がどう変わったという視点が重要になりますので、利用者の視点で見た評価というのがあると有り難いのかなと思いました。
最後に、これが最初の8年間の結果の報告ということになると思いまして、その後の10年を想定した内容になりますね。ですので、もし余裕があれば、これまでの取組の成果に基づいて、今後これを続けていった時に今後10年でどこまで環境は改善するかという、細かいシナリオの計算まではいかないかも知れませんが、今後10年継続した時のこの事業の有効性が、報告書の最後にまとめられていると、この価値が勝るのではないかなと思いました。
(鈴木委員長)
ありがとうございました。今のご意見に対して、事務局からコメントはございますか。
(自然環境保全センター)
個別の話で宮ヶ瀬ダム上流のモデルの流況の件ですけれども、流況曲線を載せればよかったのですが、雨が降った後は50日ぐらいでドーンと出て、あとはずっと少ないというのが下草のない場合での計算結果になりましたので。
(鈴木委員長)
降水流量よりも、もっと流況曲線の左側というか、そこで緑の棒がドーンと出ているということですね。そこの部分も書いていただくと、最大流量とかそこの絵を書いていただくと、そこで出ていて、後ろの方が逆転するというイメージが沸いてくると思います。
(淺枝委員)
今のことですけれども、ダムがあると実は微妙で、ダムの中が空だったら大雨が全部入ってきても、そのような意味では貯水量が増えてきてしまいますね。考え方を変えなくてはいけなくて、宮ヶ瀬ダムの貯水量という観点だけからいくと、場合によっては逆転してしまうことがあります。けれども、やはり常に水が流れている方がよいという説明にしておかないと、貯水量だけでいってしまうと。
(鈴木委員長)
水資源の問題だけでいえばダムも調節するので、森林が調整するのと、ダムが調節するのと両方の効果があるということだけれども、多分そのような量だけではないと思うのですね。河川環境まで考えると、ダム上流側でも安定しているということが望ましいということにもなると。
私のコメントは、先ほど言った既存事業とこの事業のすり合わせというか、この事業は順調に進捗するかわりに、一般会計のものがアップアップしていてギャップが出ていないかとか、こういう税金が通常の事業を歪ませていることはないかとか、県政をチェックするという立場から言えば、そのような評価も本当はあるかも知れないですね。
ただ、それがこの12事業を対象にアウトカムや総合評価をしますよという時からも、それは外れているのですね。ですから、そういうところをどのように扱うのかということで、今日の9ページなどでは、右端の総合評価の一番上に施策大綱の取組という枠が新たに書いてあって、これが既存事業も含んでバランスを見るという意味合いもあるのかなと思います。ですから、お考えいただいていると思いますが、それを具体的にこれからどのようにするのかは、ちょっとまだこれからだということです。
それから、やはり1次的アウトカム、2次的アウトカムと最終のところというのも、評価の方法論としてはかなり高度だと思うけれども、一つずつ本当に点検するのは非常に難しいことで、場合によるとそれほど違いがありませんとか、そう簡単に違いが見えてこないというものもあるとは思います。そうすると、自然を相手に、何か働きかけたらこれだけよくなったというものが、それほどすぐ簡単には見えないかも知れないということもあります。見えなければその事業は効果がないと単純に言ってよいかどうかという議論も実はあるので、そういうことの考え方というのも、県民に説明する前にこのような報告書であればコラムか何かで、自然の評価というのは懐が深いというようなことを書いておくというか説明した上で、県民に理解をいただくという必要があるかと思います。
それから水質などでも、今日のご報告は神奈川県の中で調査された報告ですけれども、例えば日本の他の地域では、あるトレンドがあって、放っておいたら悪くなっているという現象があるとしたら、現状維持出来ているだけでも効果があるかも知れないですね。神奈川県以外でどうなっているかというレビューとともに示すような部分も、水質などは幾つかあるのかなという感じがします。県内だけで見ていて効果があったのか、ないのかというのも言えるでしょうけれども、もう少し、他のところの趨勢はこうで、その中で神奈川県はこういうトレンドで、全国的なものと同様なのか、努力の結果違っているのか、努力のかいなくどうなのかとか、そのようなものが評価かなとも思います。
(中村委員)
この資料の中で、例えば既存の事業の写真が例として載っています。ここを再生しましたというように載っているわけですね。それから、先ほど鈴木委員長からお話がありましたけれども、自然回復の部分で、実際にこの水源の事業であるとか、丹沢再生の事業であるとか個別の事業を実施したところで、1年2年で効果が出ている事業もたくさんあるわけです。ですから、そういった事業を、もう少し県民に対して分かりやすい説明を付けて、具体的な事例とか具体的な場所も入れて示すというか、それがあると来年ワークショップを開催する時にいろいろな意見も出てくると思うのですね。
例えば自然環境の回復に時間がかかるというのは、基本的に県民は理解していると思います。理解していると考える最大の理由は、この水源環境保全の施策が制度として発足する前に何をやるかという、具体的なものがほとんどないところで、水源保全税という、言ってみたら100パーセント増税ですよね。それを一人の反対もなく、県民が納得したということは、自然環境に対する理解というのは、私はかなり深いと思います。
ですから、理解が深いからというわけではないのですけれども、結果の見えるものと見えないものがあって、10年経っても100年経っても、もしかしたら見えないかも知れない。そこは正直にきちんと出していく必要があると思います。
(鈴木委員長)
ありがとうございます。今日はこの議論の取っかかりということで、かなり大部な資料をお示しいただいて、ご意見をいただきました。話題になっていない他の点で、示された資料やご説明についてご意見はございますか。
(吉村委員)
確認させていただいてよろしいですか。事務的なところですけれども、この資料1-3の年間活動予定の中に、この委員会の10月以降に点検結果報告書案というのが書かれていますが、これはこの中間報告のことだと思ってよろしいのですか。
(水源環境保全課)
別のものになります。毎年の特別対策事業の実績進捗状況に関しまして、点検結果報告書というものを県民会議でまとめて、年度末に出していただいています。その第1段階の叩き台です。
(吉村委員)
年間報告という形なのですね。
(鈴木委員長)
それは、今の9ページなどでいえば、アウトプットとか1次アウトカム的なところだと思えばいいのですか。
(水源環境保全課)
そうですね。
(鈴木委員長)
こちらの事業実施に1対1対応的に点検した結果ということですね。
(水源環境保全課)
あとは、11番事業の水環境モニタリングは、2次アウトカムを見ていく部分でもありますので、2次アウトカムまでカバーする形で、特別対策事業の実績を毎年度、評価していただいたものの報告書となります。
(中村委員)
資料1-3の関連で一つよろしいですか。経済的手法による施策評価というのがあり、これは新たに調査を実施するわけですね。それが出ていないうちに次期計画書の意見書をまとめるのですか。
(鈴木委員長)
これは検討するので、ほぼ同時に2月ぐらいに最後は出ていくのですね。
(水源環境保全課)
そうですね、同時並行で走り出すことになります。
(中村委員)
同時並行で走り出すので、調査報告が出る前に次期計画をまとめるということですか。
(水源環境保全課)
意見書は、来年の8月に最終的に出していただくことになります。今年度後半から検討を始めていただくということで、スタートは今年度後半からです。
(中村委員)
内容によっては、この報告書が、調査報告が出てくるとひっくり返ってしまうことにならないかと思いまして。
(鈴木委員長)
180度変わるかどうかということは分からないけれども、横目でにらみながら進むというぐらいではいけるとのタイムテーブルと私は見ましたけれども、経済評価は経済評価で、確立した手法とはいうけれども、走りながら考えているところもあるでしょうから、我々も横目で見てということかと思います。ただ、最後の来年8月の報告までには、十分それも踏まえたことができそうだということかと思います。事務局はそれでよろしいですか。
(水源環境保全課)
はい、この施策委員会にも検討状況について、随時報告させていただきます。
(鈴木委員長)
今日はオブザーバーの方もご出席いただいております。折角お出でいただいて、何か一言あれば伺いたいと思います。
(森本オブザーバー委員)
私も詳しくないのですけれども、前に、太田猛彦先生の講演会があって、その後でご意見を聞けるチャンスがあって聞いてきたのですが、昔に比べて今の川の水が減ったという話があって、要は山の手入れがされていないから減ったというのが割と一般的な感覚なのでしょうけれども、先生に聞いたらそれは違うと。遮断と蒸散によって川の水が減っているという話がありました。日ごろ県民と接していて、山を手入れしないから水が減ってきているという言い方をしていたのですけれども、そうでもないのかなと。植生が回復してしまって、遮断が一旦枝葉でとまって、かつ蒸散をどんどんしていくので、それが大きいから減ってしまったのだという、そのような見方もあるのだということで、ちょっとおやっと思ったことがあります。
ですから、おそらく県民はいろいろな目線で質問してくると思いますので、僭越ながら、その辺も含めて対応されたらいいのかなという気がしました。
(鈴木委員長)
どうもありがとうございます。今おっしゃったようなことは、神奈川県では対照流域法調査の中で、実際どうなっているかということはいろいろデータがたまってきていると思いますので、まさにそのようなことも含めた情報提供ができていくのかなと思います。
(坂井オブザーバー委員)
お疲れさまです、坂井でございます。よろしくお願いします。今に始まったことではないのですが、平成17年の大綱から10年が既に経っているわけですね。10年も経つと正直に言って時代が変わっています。商売をやっていれば分かりますけれども、5年前の製品というのはもう話にならない、10年前であれば使い物にならない、通用もしない、修理部品もないというものだろうと思います。
その10年前の価値観から、20年後の出口をイメージするというのは非常に難しいことですけれども、これをやって20年経った後に何が残るかがはっきり見えなければなりません。
例えば林業の世界でも、少なくとも10年前と今では、革命が起きるほど違っています。しかし、今回、新しい期に入りまして委員も代わりましたけれども、やはり林業に関する変化、社会の変化、他県で起きている革命的な変化をきちんと会議の場に報告できる立場の方が一人もいらっしゃらない状況の中で、次の10年を考えるということは、非常に厳しいことだろうと思っています。
先ほど鈴木委員がおっしゃいましたけれども、他県から見てとか、全国的に見てどうかというところから言いますと、私は、他県の方に我が県の大綱なりいろいろな資料を送って意見を聞いていますが、人の姿が見えないとか、最終的に誰がやるのかが分からないとか、何を何ヘクタールとか何箇所とか数字でしか追っていなくて、それを最終的に誰が担うのか。自助・互助・共助の部分が見えないと言われ続けています。
他県で起きている革命は、むしろその自助・互助・共助の部分を補うものです。他県で起きているものが我が県に全く関係ないのかということを言い切れる人は、いないと思いますので、やはりそのような視点も入れないと、最終的にワークショップをされるときに、森林組合さんなどもお見えになった時、余りにも世界が違うと多分驚いて何も意見を言うどころではなくて、ポカンとして帰ってしまうというような不毛なワークショップになるのではないかなという心配が出てまいりました。
実際に他県でそのような革命が起きた結果、中山間地域に若者が戻り、人口の減少が止まり、人口が増加に反転した地域もございます。地域消滅というのはあり得ないということを前提に、今回、他の事業との整合性という絵が入りまして非常に分かりやすくなったとは思いますけれども、そこの部分で、本当にこれで20年後に私たちは本来の事業のところにお返しできる状態まで仕上げることができるかということを厳しく考えていかなければならないと思いました。ありがとうございました。
(鈴木委員長)
貴重なご意見ありがとうございました。委員の方々、ほかにご意見等はございますか。
(淺枝委員)
60ページのアオコの下の右側の数値を見てください。今、坂井さんが言った重要な点、10年経ったら20年経ったらという重要な点が実は入っているのですが、昭和63年で相模湖が減っていますでしょう。相模湖にエアーレーションの機械が8台になっています。次に平成8年に津久井湖が減っていますが、これは津久井湖に5台ほど曝気循環の機械を入れたからだと思います。それでおさまっていて、次に平成18年からまたアオコが出始めていますね。これは何が起こっているかというと、実は気候変動なのです。
これから起こるのがまさによい例で、気候変動が起こるとこのようなことが実際に起きてきてしまうのです。もちろん、それは森林にも影響するでしょう。そうすると、そこのところはしっかり予測できないのですけれども、そこもにらんだ形で報告書というのはつくっていかないと、これからは少しこういうところも問題であるという可能性があります。
(吉村委員)
一つよろしいですか。少し気になったのですが、今年度の委員会の議題の中に、総合的な評価というのが入っているのは今日だけでしょうか。今日ご説明いただいた印象ですと、来年度に向けて非常に重要なのが、この報告書の内容を検討することなのかなと思いましたが、次回以降の委員会では議題としては上がらないということですか。
(水源環境保全課)
議題が2つ3つと重なる場合もありまして、主な議題として予定しているものをこれまでの例も踏まえて記載していますけれども、例えば次回以降、今日のご意見を受けた形で案を修正したものを、例えば議題2の中にお出しして、またさらにご意見をいただくというようなことは予定しています。
(吉村委員)
追加的に入る可能性があるということですね。
(水源環境保全課)
はい、今日1回で終わりということではございません。
(鈴木委員長)
そろそろ時間になってまいりました。まだ若干時間がございますので、言い足りない方があれば何か、あるいは事務局で委員の意見に対して何かご発言があればどうぞ。
(水源環境保全課)
今まで、議員の皆さんのご意見をお聞かせいただいて、ちょっと私から補足をさせていただければと思います。5ページの資料をご覧下さい。
先ほど田中委員からもお話がありましたように、ここに神奈川県の水源環境の置かれている現状なり課題があって、それに対して先ほどからお話があった水源税を活用して12の特別対策事業でやっているものが、この青で横からカンフル注射のような図が示してあります。それだけではなくて、実際は既存事業や法令による規制などと相まって水源環境の取組が進められているという、それを図にしたものでございます。
平成19年にこの水源税を導入して、この施策を始めたのですけれども、その当時の考え方としては、既存事業あるいは法令による規制でそれなりのことは全体としてやってきているけれども、それでは追いつかないような、自然に変化が生じている、あるいは森林の荒廃が進んでいる、そのような問題意識がございました。
そのために、通常やっている事業に加えて、緊急的というか、病気でいうとカンフル注射のようなものなのかも知れませんが、緊急に対応しなくてはいけないだろうというものを積み上げていったものが、この青の12の事業であったわけです。
それらを積み上げた結果、40億円という金額になって、それを1人あたりの納税者で割り返して890円という金額が導き出されました。それを今まで10年間、ここまでやってきたところですが、今ずっとお話を聞いていまして、10年間で事情の変化、環境の変化は、もしかしたらかなり起きているのかも知れないなという感じがしています。つまり、カンフル注射を打つ場所がこのままでよいのか、その量がそのままでよいのか。先ほど既存事業との境目のお話がありましたけれども、あるいはその注射を打つ比重ですね。1から12の割合に分けてやっていますけれども、当時はとにかく人工林が荒れていましたので、それをとにかく何とかやらなくてはいけないという問題意識だったのですが、そのままのペースでこれからもやっていってよいかどうかということも、これからの委員会の中で是非ご意見をいただいて、せっかくいただいている貴重な財源なので、これを効果の高いものに振り向けていくというのは当たり前のことだと思います。そういった観点からも、引き続きご意見をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
(中村委員)
例えば税の活用ということでいいますと、一般の県民は払っている税金がどのように活用されているかというのは、課長さんからもお話がありましたけれども、ほとんど分からないと思うのですね。
ワークショップといっても、そこに出てくるのは本当にごく一部ですね。先ほどの坂井さんのお話とはちょっと変わるのですけれども、私もあちらこちら知り合いがいるものですから、例えば九州の木材関係の人と話したりして、いろいろな人間に神奈川の取り組んでいる施策を話しますと、神奈川だからできるんだと、地方じゃとってもこんなことは出来ませんと。例えば高知県の森林税のように、人工林だけに投資するのであれば、そういった県ならばそれはできるけれども、このような幅広くシカの管理まで税金を使ってなどとは、神奈川県でないとできませんよと、そのようにどちらかというとよい評価をいただいているのですね。
そういったことで、7年さまざまな事業を実施してきて、内容によってはかなり効果が出ているものもあるわけで、そういったものを、もう少し県民に知ってもらう。それによって次の10年につなげていく努力がやはり必要だと思います。そのためには、私は少しお金を使っても、大手の新聞3紙1面を買い取るぐらいのつもりで、例えば1年に2回か3回でいいから、神奈川県ではこのような施策を実施して、このような効果が出て、これは水源だけではなくて、自然環境を保全するためにこれだけの効果が出ていますということを県民に知らせる。
それからもう一つは、それによって他県の人も見るわけですね。そういう事業アピールというかPRというか、そのようなものも私は県民に対して必要ではないかなと思うのですね。幾ら県で冊子をつくって行政センターの窓口に置いても、皆それを取りに来ませんからね。もう少し一般の人が分かるような取組を並行して行い、来年の次期の計画につなげていくことが必要ではないかなという気がします。
(鈴木委員長)
要するに、顕著に効果があったような、分かりやすいものを、このような評価と別に、トピックスのようにアピールする部分もあっていいだろうと。それから、全般にこの仕組み自身を、マスコミ等を通じて発信するという方法やアイデアもあっていいというご意見ですね。直ちに委員会で扱うか、議論するかということはありますが、それは事務局で聞いておいていただくということかと思います。
(坂井オブザーバー委員)
今の中村さんのお話で、実は、森本さんは今期のフォーラムチームのリーダーで、私は今期のコミュニケーションチームのリーダーでございます。今伺ったお話は、まさに私どもが問われていることだと思いますので、よろしくお願いいたします。
(鈴木委員長)
大体、予定の時間になってまいりました。今日の議事は以上かと思いますが、委員会を閉会させていただいてよろしいでしょうか。次回の施策調査専門委員会は7月31日の14時からということでございます。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
【会議終了】
資料1-1 水源環境保全・再生かながわ県民会議施策調査専門委員会設置要綱、水源環境保全・再生かながわ県民会議設置要綱
資料1-3 水源環境保全・再生かながわ県民会議平成26年度活動予定
資料2-1 水源環境保全・再生施策の総合的な評価ワークショップについて(案)
資料2-2 水源環境保全・再生施策の総合的な評価(中間評価)に向けた報告書(案)(その1)
このページの所管所属は環境農政局 緑政部水源環境保全課です。