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更新日:2020年10月2日
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次の審議会等を下記のとおり開催した。
水源環境保全・再生かながわ県民会議 第30回施策調査専門委員会
平成26年11月14日(金曜日)13時00分から15時05分
産業貿易センター6階 621号室
鈴木 雅一【委員長】
伊集 守直、田中 充、中村 道也、吉村 千洋
オブザーバー委員 坂井 マスミ、森本 正信
平成27年1月23日
水源環境保全課調整グループ、担当者名 高乘
電話番号 045-210-4352
(鈴木委員長)
ありがとうございました。点検結果報告書の中で体裁や書きぶり、盛り込む中身を含めてご意見があればお願いします。
(吉村委員)
この報告書の位置付けですが、平成24年度からの5年計画の最初の2年間の報告という位置付けでよろしいですね。
(水源環境保全課)
はい、そうです。
(吉村委員)
まだ、前半が終わるかどうかの時点なので、目に見える成果は限られると思いますが、報告書の0-13ページに全体の総括が掲載されています。印象としては、この総括の内容が過去の話というよりも、これからどのようなことが期待されているかとか、今後修正する必要がある部分などの課題を中心に書かれている気がします。
報告書の書き方として、そのようなねらいがあるのでしたら結構ですが、モニターの皆さんや市民の皆さんとしては、25年度の取組で何が行われて、どのような成果があったのかも気になると思います。成果の部分もある程度書いた方が、報告書としては分かりやすいのではないかとの印象を受けました。成果を書きにくい事業もあると思いますが、アピール出来るところがあれば、まず成果を書いた上で補足的に今後の課題を書くことも出来ると思います。
(鈴木委員長)
これは点検結果報告書で、現状と課題ということですので、点検した結果、事業は妥当であるとか、マルとかバツという答えを書くのが第一で、これから何をするか、これから頑張るというような課題はその次だろうとの趣旨ですね。それは確かにあるかと思います。
ちなみに、この0-7ページに事業評価の流れ図があり、縦軸には1番から事業があって、横軸には量的指標の点検、質的指標、総合的指標、施策全体の点検とあって、単年度でやっている話は、1列目の各事業の量的指標というところがあります。これは幾ら予算がついて、それを使ったかどうか、使い残していることがないかと、例えば何ヘクタール森林整備しますと言ったことに対して、何ヘクタール出来たかのチェックが、量的指標のアウトプットのところに書いてあります。
次に、整備したら本当に下層植生が回復したかどうかの質的指標があり、今回の単年度の報告書ではそれほど踏み込まずに、お金の話と事業量をこなして、それがちゃんと上手く回っているかを点検しているレベルかと思います。
ただ、成果があったのかどうかを我々が作文する部分は、その後の2次的アウトカムとか最終的アウトカムに向けて、つながっていく流れの上にあるかどうかも書くのかなと思っています。多分、このアウトプットを中心にこの報告書はあって、それを基に総括するという理解でいます。
(中村委員)
私は、元々この事業は数字では表せない部分が多いと思います。実際にどの程度環境が回復しているかとか、整備が行われたかが重要で、あまり数字は重要視していません。事業の成果はあったのかという見出しがありますと、数字だけが出ているのではあまり納得出来ません。見出しに成果と書かれている以上は、何%進捗して、その結果このようなことが見えてきたというものが何か書き込まれると良いと思います。
(鈴木委員長)
その点は非常に大事で、一般的な行政による点検は、お金を予算どおりに正しく使っていれば良いというところが多く、実績や成果が書いてあるだけでもかなり意欲的です。そうであれば、もう少しそれに対応した中身があると良いとのご意見だと思います。
(伊集委員)
今の点に関連して、例えば5年間の計画で事業を5等分していれば、進捗状況としては、今年は40%になっていれば良いと思いますが、事業によっては均等に割っていないものもあります。そうすると、例えば2年目までの予算で、5年間全体の50%まで使う予定であれば、そこまで来ているかどうかは、予算に対する執行額の進捗状況で見られるので、5年分の計画に対して何十%まで来ているのかだけでなく、予定に対してどの程度執行されているか分かると良いです。
(鈴木委員長)
それは0-15ページに、第2期計画の進捗率の欄があって、1番の事業は41%で5年分のうち2年分ですが、6番とか、8番、9番事業はお金だけで見ると予定ほど進んでいないことになります。
(伊集委員)
例えば6番事業ですと、5年間で大体3億5,000万円程度の年平均ですけれども、例えば25年度は執行額が1億8,000万円となっているのは、25年度の予算がそもそもこれぐらいなのか、予算自体は3億5,000万程度に組んでいたのに対して執行額がこれぐらいなのかというのでは意味合いが違います。
(水源環境保全課)
当年度の予算に対する執行状況については、前回の委員会でも同趣旨のご意見がありました。例えば1-7ページをご覧いただきますと、これまでは執行額のみを記載していましたが、5か年計画で示している5年間の年間合計額と、単年度ごとの予算額を執行額の上段に今回から記載して、併せて見ていただけるようにしました。
もう一点、事業進捗の評価に関しては、0-6ページで、5分の2の40%が出来ているかの実績の評価に関しては、ABCDのランクで事業ごとに評価を行っています。例えば間伐材の事業については、年度ごとに目標を設定しており、当該年度までの目標に対して100%以上であればAランクとしています。
また、大半の事業が5年間全体の数値目標を設定しており、5年間の目標に照らして40%以上であればAランクということで、各事業のページに事業進捗状況から見た評価を載せています。
例えば1番事業の確保事業については45.5%なので、2年目としては単純に5分の2という尺度で見れば100%を達成しているのでAランク、整備については37.4%なので、5分の2の8割以上なのでBランクと、こうした評価を事業ごとに行っています。これは執行額ではなくて、実績で評価を行っています。
(伊集委員)
今の話ですと、年度間で配分する際に、そもそも40%でいく予定なのか、それ以上を予定しているのか、多分、事業によって評価が違うと思うので、その点をきめ細かくするのであれば、それに対応した書き方も必要になると思います。それが予算額、執行額の関係と事業進捗状況のつながりを示す数値、あるいは評価となります。
もう一つは、目標を達成しているから事業として内容を正しく評価出来るのか、目標には達していないけれども、事業としては十分ということもあり得ると思うのですが、そこのつながりをどう示すのかは以前からの課題かと思います。その点は、今回特に新しい記述方法を取り入れていることはないですね。
(水源環境保全課)
予算執行の記載を対比で見せるところ以外は変わっていません。単年度の予算額が、単純な5分の1ではなくて、当該年度にこれだけやりたいという単年度の計画に対応するものを金額で示す形になっています。その他の部分は従来通りです。
(伊集委員)
設定した評価基準の見直しのことも少し議論になったかと思います。
(田中委員)
今のお話は予算に関する面ですか。
(伊集委員)
いいえ、事業面です。
(田中委員)
それは5か年計画を立てる段階で検討することですね。途中で見直すことはあるのでしょうか。
(水源環境保全課)
見直しについては、基本的には計画を策定、更新するときのタイミングになります。
(鈴木委員長)
今の議論ですが、例えばこの0-15ページを見ると、進捗が低いのは低いなりの背景があって、しかし、低いから働きが悪いということでもないように思います。その辺を評価報告書の中で、事実関係の数字を出して、Aランク、Bランクのルールを決めて客観的に書く部分と、それを読み込んだ上で、将来に向けてどう評価するかという、事業の成果があったのかの部分の書き方になるのかと思います。
(中村委員)
目標については、事業内容によっては単年度ごとに見直しても良いのではないかとの意見は何回か出したことがあります。例えば間伐材の搬出促進に税を充てる事については、最初から評価していません。水源環境の事業からすると、整備することが目的であって、木材の搬出は目的ではないのです。整備した結果として搬出されるものです。将来の課題としてぜひ見直してほしいと思います。
数値目標を出すべき事業と、数値に拘らない目標があっても良いと思います。
(鈴木委員長)
例えば4-5ページに総括案があるのですが、その下の委員の個別意見のところに、昨年議論されて出た意見が入っています。今年の意見も変わらなければ踏襲されるだろうし、新たな意見があれば加わるし、実際に議論が深まり変えるところがあればご指摘いただくことになるかと思います。
今の話も一部は個別意見としてあったと思いますが、その中で総括案の方に入るのがどこまでなのか、これから県民会議の意見を伺う機会もあるので、そこでご意見を出していただき進めたいところです。
もう一つは、数値的な目標の評価についての意見をいただきました。私も数値だけに縛られて、評価の最後のマルとかバツがそれだけで決まるものではないと思います。ただ、折角ルールを決めて、A、B、C、Dとランク付けを従来からやっていますので、そこは従来どおりやりたいと思います。数量、実績は客観的なものとして書いて、客観的には良いけれども、例えば今後この数量をもっと下げて実施する必要があるというコメントは付けるにしても、この事業は不要というところまでいくのか、事業としては重要で継続すべきという趣旨になるのか。そのような点まで書き込めればと今の議論を伺いながら思いました。
(田中委員)
資料1-4の扱いの話がありましたが、全体のことですので、どこまで詳しく記載するのかという点はありますが、0-13ページ以降に綴じるのが良いのではないでしょうか。その上で、各事業のページにも記載するのが良いと思います。事業モニター結果は、事業ごとに記載されていて、さらに詳しい内容が後ろに掲載されているので、それと同じような位置付けです。県民会議で指摘したことが、PDCAできちんと回っていることを示す証左になるので記載するのが良いと思います。
(鈴木委員長)
例えば1-10ページですが、事業の成果があったのかの総括の後に、実際にその背景になった評価点検の仕組みが出て来て、1が事業の進捗状況、2がモニタリング調査結果、3が事業モニター意見、4が県民フォーラム意見とありますが、5になるのか、もう少し前に入れるのかも知れませんが、前年度点検結果への対応を入れる。また、全体の総括のところ、0-13ページの辺りにも載せることになります。つまり、これも含めて各事業の総括をしているというのが一つの案ですので、事務局にご検討いただきたいと思います。
(伊集委員)
4番事業の4-4、4-5ページを開くと、予算額を載せていただいたことで、執行額が予算処置されたようには進んでいないことが分かり、その際に5か年計画からすると24、25年度は平均値よりも低めの予算が計上されているので、今年度は少し増えてくる予定なのかなという予想も出来るのですが、予算額に対して執行額が少ないことが分かります。総括、あるいは事業評価を見ると、大雪の影響などによって、それが達成出来なかったことが書かれているので状況が分かり、上手く出ていると思います。一方で、そもそも目標の設定が適切なのかどうかは、委員の個別意見を紹介するような形で、そこも関わらせて議論が見えてくるのかなという意味で、4番事業の評価は割と上手く示せていると思います。
次に、例えば3番事業の3-6、3-7ページを見ますと、5年間で8,000万円の計画で年平均すると1,600万円ですが、24、25年度はその平均額よりも高い予算が処置されて、5年間の後の方で絞っていく予定なのかということも予想されます。その中で、執行額は予算額より低いけれども、全体で見れば、5か年計画の中で70%を超えるところまで進捗していて、3-7ページの総括案を見ると、5年間のうちの2年で、森林整備における60%を超える成果を上げるという、全体として計画量の5分の2を上回る実績が上げられていると表現されていますが、その評価として、予定よりも上回るペースで事業執行しているということは、5か年計画の予定よりも予算がかかってしまうので、もっとお金を投入しないといけないとの評価になる。そうすると、例えば次の5か年計画では8,000万円を超えるような額を処置していく必要があるのか、あるいは最初の年度の方に集中してやったので、後半は下げれば良いとの評価になるのか。そのような評価が、次の5か年計画を立てる上で使える要素になると思います。
そうすると、今の総括では5分の2を上回っているということだけなので、5か年計画の中での位置付けと、20年の中で今後どのような方向に向かっていくべきかという、先のことは余り書けないかも知れないですが、評価の材料としてもう少し必要ではないかと思います。
(鈴木委員長)
予定よりも低かった時に何か問題があるのではないかというのは分かりやすいけれども、高かった時に、例えばシカの対応などは前もってやっておけば、後は程々にやるぐらいでも効果が期待出来るから前倒しでやるということかも知れないし、本当はもっと沢山やらなくてはいけないので進んでいるのかも知れない。最初の計画でこの事業に対するお金の付け方が低過ぎたとか、何通りかの評価があって、そのどれなのかを我々が評価出来る書き方にしてほしいということですね。それでは、よろしければ議題の2に進みたいと思います。
(鈴木委員長)
ありがとうございました。評価報告書の完成は27年7月でしょうか、それとも3月でしょうか。
(水源環境保全課)
確定するのは7月頃になります。
(鈴木委員長)
総合的な評価報告書であれば7月かと思いましたが、「に向けた報告書」というのは、3月段階で一度報告書案を作って、プレワークショップをやるなどして7月には評価報告書が出るのかと。つまり、この「に向けた」に何か意味があるのかということです。3月とすると、このような報告書案を作ったのでプレワークショップで広くご意見を伺う公聴会的な意味があると思いますが、次の県民会議の時でも構いませんのでお示しいただければと思います。
(水源環境保全課)
完成ということですと27年7月頃の予定です。それを来年夏のワークショップで素材として提供させていただく流れになっています。3月のプレワークショップでは、この中身全部、例えば経済評価などは3月まで間に合わない可能性がありますので、主要な部分を出させていただきます。
(鈴木委員長)
この骨子の部分というか、主要な部分を3月段階のバージョンでもって県民のご意見を伺うということですね。
(水源環境保全課)
そのように想定しています。
(鈴木委員長)
議題1で議論いただいたのは25年度単年度のもので、こちらは総合評価をするものです。つまり、点検結果はどちらかと言えば予算とか数量の進捗状況であったけれども、こちらは本当に事業の効果があったかどうかの評価をしてみようということで、中間評価の準備をしているということだと思います。
第3期を計画する時に、今までの12事業のスタイルで良いのか、いろいろ出し入れがあるのか、あるいは2期でおしまいなのか、もっと継続するのかを議論していくための核になる報告書だと理解しています。そのうちの特に第1章は、そもそもこの水源に関わる問題がどうなのかを、一番大元のところから分かりやすく書いたのが、第1節第1章の「かながわの水源は今」の部分で、ここも新たに意欲的に作っていただきました。ただし、私の印象ではまだ出来たてで、もっと良くするにはいろいろな知恵もあると思います。
それから第1章でビジュアルに示したものを文章で書いたものが19ページ、20ページ目にあって、税金の説明、事業の説明と続いています。特に35ページの説明が、多分従来と違うとの印象を持っておりまして、今までは水源税の12事業の評価をしていたのですけれども、12事業だけでなく、施策大綱に書き込まれている一般財源事業であるとか、利水者が行っている水道に関わる事業、土砂管理の話なども含めてリストにしています。場合によっては、この中でも水源税のお金を投入していくもの、あるいは一般財源でやっていくということが第3期に向けて議論になるので、施策大綱に関する事業にはどのようなものがあるのかが出されています。その意味で意欲的だと思いますし、最終的なバージョンにする時にどのようにしていくのかということもあると思います。
さらに個々の事業の報告、紹介があり、本当に自然が持つ水循環機能の保全・再生に役に立ったのかという2次的アウトカムや、経済的視点による評価もこの中に含まれています。まだ何回かご意見をいただいて議論をする、あるいは中身がバージョンアップされることになるかと思います。この時点でお気付きの点やコメントがあればお願いします。
(中村委員)
当初から水源環境税の制度は、事業を変えていく時に、例えばダム上流域であっても、国や県の林業地では、一般財源で事業が行われているから水源環境税が利用出来ないという制約は、水源環境保全の意味からすれば理解出来ないとの意見はこれまでずっと出し続けています。一般財源が厳しくなってきた時に、片方では潤沢な予算を持っていて、整備地はダムよりも下流域で、地域水源林という名目はあっても、県民からすれば実際に飲んでいるのはダムからの水で、ダムの下流域の整備をしたからといって水道水に良い影響が出るとは思いません。一般財源が厳しい状況で、これまで県や国がやっていた事業にも水源税を使って良いのではないかとの思いがあります。
ただし、事業内容によっては難しい部分も出てきますので、単純に森林整備の基盤であるからといって、林道整備とか治山に活用出来るというのではなくて、事業の具体的な内容によって慎重に整理しないと、単純に公共事業のばら撒きになるおそれも出てきます。具体的な事業を個別に並べた上で、議論をしていく必要があるのではないかという気がします。
それから、水源環境事業の成果、効果がこれまでは数字だけで出ていて、林内が明るくなったとか、植生が回復したとかだけなのですが、もう少し普通の人が分かりやすい表現、目標とする植物とか生き物を設定して、それが増えたか減ったかを提示していく必要があると思います。超過課税による事業も、10年が経つので、植生が回復してどのような昆虫が増えたかのモニタリングも必要に思います。例えば小さな鳥が1年間に食べる昆虫の数は13万匹と言われます。川にいる魚も陸生昆虫を70%捕食しています。そうすると、渓畔林が再生されて、それによってどのような昆虫が増えたかということで、周辺の鳥や魚の餌環境が変わります。そのようなものを提示した方が、県民に分かりやすいと思います。
水源環境税の制度が議論されていた時は、最初のうち木材生産はほとんど議論されていなかったのですが、何時からあのような形になって、人工林に集中的にお金がいくようになったのか。手入れ不足や放置された人工林にお金を出すことを否定しませんし、反対もしないのですが、県民が望む水源環境は、ダムより上流であると思います。ダムより上流の森林を、生態系や生物多様性の向上に貢献するような整備を進める必要がある気がします。
(鈴木委員長)
今のご発言の一つについては、資料2の32ページに記載があり、従来のモニタリングでやっていたのは、一次的アウトカムの、下層植生が回復したかとか、土壌流出が止まるとか、野生生物の生息環境や水質がどうかですが、それが次の段階の2次的アウトカムの水源かん養機能や生態系の健全化、水源水質の向上に役に立ったかという評価になります。1次的アウトカムで評価しているものから、2次的なところまで進み、さらに12事業が合わさって施策大綱に書かれている目的に向けて進んでいるのかどうかを評価するというように、非常に高いゴールを掲げています。
そこで、1次的アウトカムから2次的アウトカムに本当に行くのかどうかについて、当委員会がもう少し時間をかけて議論しなくてはいけない。その議論を、1回時間を取るなり具体的な資料を出していただくなりして、どこまで出来るか、どのくらい進みそうかというのがあります。
もう一つは、人工林整備のウエイトが大きいのではないかとのご指摘がありました。それは多分、32ページの新規必要額を事業別に見れば、やはり1番や5番事業のお金が大きいのは明瞭ですから、説明の際にも2番、3番、4番事業の効果の説明よりも1番や5番事業を十分に説明するなり、評価するという重み付けもある程度いると思います。
金額の大きさだけで重要度が決まるわけではないのですが、そのようなことを念頭に置いたウエイトの置き方もあるかも知れません。資料2をバージョンアップしていく時には、そうした視点も必要かと思います。何か事務局の補足はございますか。
(水源環境保全課)
中村委員からお話のありました生態系の関係で、資料2の83ページの一番下に、生物多様性機能に対するモニタリングの取組の中で、25年度から森林生態系の観点による効果把握のモニタリング調査を行っています。ご指摘に対応していくために、新たに取組を始めたものです。
25年度からの調査ですので、来年のワークショップでどこまで出せるかという点はありますが、そうした点も意識してモニタリングを実施しています。
(鈴木委員長)
79ページにある2次的アウトカムによる評価は、この事業評価の非常に新しいというか、挑戦的なところで、下草が生えたかどうかの評価だけではなくて、それが流域全体として、あるいは森林全体としての良い働きが評価が出来るのかというところに、どうつなげていくかの説明が書かれるところです。
これも目新しいというか一生懸命やっていて、非常に重要で、かつ、他県にも誇れる部分だと思うのですが、本当にこれは最後までやり切れるのかどうか心配になるぐらい挑戦的でもあると思いますので、ぜひ期待したいと思います。この辺りについてもご意見があれば、今度の県民会議でもご意見をいただければと思います。この資料2について、ほかにご意見はございますか。特にないようでしたら、事務局から報告事項があるということでお願いします。
(鈴木委員長)
ありがとうございます。今の説明は、資料2の32ページですと、評価をしていくものの下に入っている経済的な価値に関する評価のところで、それを含めて総合評価に進む位置付けと理解しています。
(中村委員)
全体のことですが、県民から税金をいただいている以上、20年という契約があります。個人的には継続していくべき事業と思いますけれども、何時までというよりは、水源環境の事業としてはどこまでやるのかの提示が必要だと思います。例えば木材生産を、今は間伐材でやっていますけれども、あと20年経ったら今度は素材生産になるわけです。そこまで林業関係者を支援していくのか、あるいは間伐の終わった段階で林業系に対する水源税の支出を絞るのか。あるいは自然林整備に力を入れていくのか。県の取組として、水源環境を保全するためにどこまでやっていくかの全体的な考え方というか、目標提示は必要ではないかと思います。
そうすると、今のまま水源税を38億か40億もいただくのか、あるいは10億で済むのか。将来的には30年目になったら、もう5億あれば十分という話なのか、県民に対する提示が必要かと思います。
(鈴木委員長)
第3期に向けた提案では、県はどのように考えているか、それで我々委員一人一人はどのような方向を期待しているかということも、どこかで入れる必要があると思います。例えば丹沢大山の2番事業は、保全と修復の計画は50年ぐらい先の、このような自然環境になると良いということに向けてプランを立てたと思います。ですから、そのような意味ではゴールは何なのか、もう一つは、昔は若い森が多かったけれども、段々、歳をとってきてこうなったというものがありますが、日本全国の人工林の林齢分布というのは少子高齢化になっています。ただ、林野庁は、それをある程度これからは使っていって、若い森も高齢の森もある程度均等な分布になるようにといろいろなプランを作っています。それは、大体どのくらい時間がかかるかというと、上手くいったとして100年かかる。つまり、例えば去年植えた木の面積はすごく狭いものですから、50年経っても、50年目の人工林というのは面積が少しだけなのです。これは人口のピラミッドと同じで、去年生まれた人が少なければ、50年先もそこは少ないと。森林も同じです。
ただ、そのようなプランもセットで県が作られて、何年先は多分人口はこう、森林はこう、水資源はこうというプランの中で、お金はこれだけ必要だということを言うのだろうと思います。それは第3期の時にどこまで書けるか分からないけれども、一般にはそのような必要性があるということで県にご認識いただいて、出来るところはご準備いただくことなのかなと、中村委員のご意見を聞いて思いました。
(伊集委員)
今の点は、委員会の作業ですと、例えば5か年計画の施策評価は、実績を見て評価していく議論なので難しいかも知れませんが、今後は第3期の5か年計画を議論する場面が増えていくと思うので、その時に施策全体が順応的管理という考え方を採用している以上、最初に作ったものが最善の計画とは言えないはずで、この10年間を契機に、施策の大きな目的自体は残しながらも、そのための手段の有効性を検討し直していくことは必ず必要になるので、その議論の時に出来るだけ県民会議の議題として取り上げていき、それを県に出す、あるいはもっと県民に対して情報をアウトプットしていくというように我々のやり方も検討する必要があると思います。
(水源環境保全課)
先ほど中村委員からお話がありましたが、私共もその考え方はこれから大変重要になると思います。施策大綱で20年間の期間を設け、間もなくその10年が終わります。施策大綱に将来の姿が規定されていますので、20年後の将来の姿にこの10年間どこまで近付いたのか、その近付き方がどうだったのか、それを後半10年で整理して仕上げないといけないと思います。
その時のやり方に関して先ほどご発言がありましたが、今、一般財源でやっている事業を引き続きそのままやっていく形で出来るのかとか、そのようなことも含めて検討し、残りの10年をどうすれば20年後の姿に出来るだけ近付けられるか検討しないといけない。
さらに、その段階で20年後から先、どうすれば出来るだけ持続可能な形で森林なり水源環境を長く保っていけるのかということまで見据えて、残りの10年の取組を決めて、20年経った時点で今度は県民の皆さんに大きなご判断を仰いでいくことになると思います。私共もそのような考え方で整理していきたいと思いますので、先生方には引き続きご協力をお願いしたいと思います。
(鈴木委員長)
ありがとうございます。議題はこれまでですが、オブザーバーの方から本日の議論についてコメントがあればお願いします。
(坂井オブザーバー委員)
お疲れ様です。コミュニケーションチームとして、今年は分かりにくいホームページを何とかしなければならないという課題がございます。アンケートハガキの回答に、リーフレットの後ろに詳しいことはホームページを見てくださいとあり、ホームページを見たら訳が分からなかったとの意見がありました。これは必ず対応しなくてはいけないということで、県民会議が県庁のホームページを修正出来るのかどうかは別の問題としてはあると思いますが、出来る限り分かりやすい方向で対処したいと思います。その意味で資料2は本来、ホームページはこうあるべきというところをよく示していただき、分かりやすくしていただいていると思います。ありがとうございます。
それから、この資料の中に初めて出てきた歴史という言葉が、本来あらゆる政策に入っていなければならないのですが、今までの事業に関する資料の中で、歴史という言葉が出てきたことはほとんどありません。例えば、なぜ林業はだめになったかということ、日本は資源をめぐって戦争を始めたわけですから、戦争が終わった段階では裸山ばかりでした。蒔や炭のためにどんどん伐られて、そこらじゅう裸だったところを皆で一生懸命植えてきました。昭和26年の段階で閣議決定があり、蒔や炭は使わないで石油を使いなさいと言っています。その段階で需要は供給の28倍であると言っています。つまり、国が山を守れと言ったのです。
そして、昭和30年にもう一度閣議決定が出ます。建築部材には木ではなく、出来るだけコンクリートや鉄筋が使えるところは使いなさいと言っています。この時点でも山を守れと言っています。昭和30年代、皆で一生懸命植えました。そして森林鉄道の多くが廃止されるのが昭和38年ぐらいです。39年に自由化が始まりますけれども、その前に既に若者は都会にあこがれて皆出て行ってしまい、地方では、山を守る人はこれからいなくなるだろうと言われていました。ですから、その段階で後継者はもういないことが明らかだったのですが、そのことに目をつぶって、山を守れとは言いながら林業は育てなかった。これが国の失策です。
その段階で、材価は上がっていましたが、就業人口は下がっていました。その問題をどのように捉えるかというと、この8月に2つの数字が出ました。1つは農山漁村に関する世論調査に関する8月9日の発表です。これが全国の20歳以上の3,000人に、都市住民に対して農山漁村に移住したいと言っている人は何%いるか、これが31.6%です。これは平成17年より11%上がっています。つまり施策大綱が出た時よりも、農山漁村に住みたいという人が11%増えているのです。そのように神奈川県に住んでいる人の構成も変わっているし、人の考え方も変わっている、時代が変わっている。そのような視点が必要だと思います。
そして、特にその中で20歳代は、38.7%が農山漁村に住みたいと言っています。これはどのようなことを指しているかというと、国民年金の人が増えるということです。地方に住むということ、一次産業に携わるということは、厚生年金とか共済はないのです。そのようなところで生きていく人が超過課税を払っていくことが、20年たった後不可能であるということをきちんと認識されるべきだと思います。
それから、まち・ひと・しごと創生本部の調査もありました。都内に住む男女1,200人にアンケートを取って、18歳から69歳のうち、地方への移住を将来的に考えたいと言っている人は40%です。50歳代の男性が50.8%、30代以下が46.7%、つまり若い世代ほど地方への移住を漠然と考えている。その時に産業としての受け皿の林業は既にもう動き始めています。東北の復興需要で、東北の山はもう裸山が増えています。関西では、先ほど中村委員のお話にあったような、作業道という名の乱伐がもう行われていて、裸山がいたる所に出来ています。今、この状況で大規模化したり、いろいろな物事を考える上で、今全国で起きていることをもう少し歴史的に踏まえて、広い視野で検討していくことをお願いしたいと思います。ありがとうございました。
(森本オブザーバー委員)
3月にプレワークショップがあるので、県民フォーラムチームとしては、全面的にバックアップしていきたいと考えています。以上です。
(鈴木委員長)
ありがとうございました。それでは、今日の議事は終了します。
【会議終了】
資料1-1 点検結果報告書の「総括」作成の流れについて(案)
資料1-2 特別対策事業の点検結果報告書(第2期・平成25年度実績版)(案)(その1)
資料1-2 特別対策事業の点検結果報告書(第2期・平成25年度実績版)(案)(その2)
資料1-3 点検結果報告書(第2期・平成25年度実績版)総括(案)部分抜粋
資料1-4 前年度の点検結果報告書(第2期・平成24年度実績版)を踏まえた取組状況について
資料2 水源環境保全・再生施策の総合的な評価(中間評価)に向けた報告書(案)(その1)
資料2 水源環境保全・再生施策の総合的な評価(中間評価)に向けた報告書(案)(その2)
資料2 水源環境保全・再生施策の総合的な評価(中間評価)に向けた報告書(案)(その3)
資料3 水源環境保全・再生施策の総合的な評価プレワークショップについて(案)
このページの所管所属は環境農政局 緑政部水源環境保全課です。