環境と共生する都市づくり誘導指針
平成12年3月に策定された「環境と共生する都市づくり誘導指針」について紹介します。
1 誘導指針の目的
基本方針で示した都市圏の将来像「持続可能な社会を支える環境と共生する都市圏」を実現するため、県民・事業者・行政が共有すべき、環境共生の目標、取組の考え方を示すとともに、実効性ある取組へと導くための方策を示すことにより、環境と共生する都市づくりを推進することを目的としています。
2 環境と共生する都市づくりの目標
都市を取り巻く身近な「地域環境」と、地球温暖化などの「地球環境」の視点から、次の4つの目標に体系化しています。
目標1 |
自然が有する機能・魅力を生かした都市づくり |
目標2 |
環境への負荷を低減する都市づくり |
目標3 |
環境とのバランスのとれた交通計画による都市づくり |
目標4 |
地域アメニティを創出する都市づくり |
<4つの「環境共生の目標」イメージ図>
3 環境と共生する都市づくりの取組方向と手法
環境共生の各目標について、取組の方向性と具体的手法を例示します。
目標1 自然が有する機能・魅力を生かした都市づくり
自然を生かした土地利用
- オープンスペースの保全・創造
- 地形・地質を考慮した土地利用
- 日照や風など、気象を考慮した土地利用 など
みどり豊かな都市づくり
- 緑地の保全
- 公園の整備
- 農業と連携した施設整備(市民農園) など
健全な水環境の確保
- 雨水貯留・浸透のための施設整備
- 中水道など、水の再利用
- 水辺環境の保全・整備 など
多様な生物との共生
- 水とみどりのネットワークづくり
- ビオトープなど、生態系や生息環境に配慮した施設整備 など
目標2 環境への負荷を低減する都市づくり
都市の特性を生かした省エネルギー
- 省エネルギー構造の建物・施設整備
- 省エネルギー機器の導入
- 地域での共同熱供給システムの導入
- 排熱の回収・利用のための施設整備 など
クリーンエネルギーの活用
- 太陽エネルギー利用のための設備の導入(太陽熱温水器、太陽光発電設備)
- 風力発電のための設備の導入 など
水・資源のリサイクル
- 雨水貯留施設の整備と利用
- 中水道など、水の再利用設備の導入
- 廃棄物リサイクルのための設備の導入と再資源化
- 下水汚泥再資源化のための設備の導入
- 共同の廃棄物中間処理施設の整備 など
環境負荷の少ない都市システム
- 低負荷エネルギー供給システムの導入(コージェネレーション設備、地域冷暖房設備)
- 環境配慮型施設・建築物の整備促進
- 地域環境マネジメントシステムの導入 など
目標3 環境とのバランスのとれた交通計画による都市づくり
交通需要マネジメント
- 交通需要のコントロール(交通手段の変更、時差通勤)
- 自動車の共同利用(カーシェアリング) など
モーダルミックスの促進
- 公共交通の利用を促進するための施設整備(パーク・アンド・ライド)
- 自転車・歩行者用の道路等の整備 など
交通施設の容量確保
- 道路等の整備促進
- 物流対策(物流拠点の整備、荷捌き施設の整備、共同集配体制の確立)
- 情報化促進(駐車場案内システム、ITS) など
環境にやさしい交通基盤・交通手段
- 生態系に配慮した工法、道路構造の採用
- 排気ガス対策
- 環境にやさしい交通基盤整備
- 低公害車の利用 など
目標4 地域アメニティを創出する都市づくり
生活環境の保全
地域景観への配慮
- 地域景観を保全、創造する土地利用
- 建築物、工作物の形態・意匠の工夫
- 電線の地中化 など
災害に強い都市
人にやさしい都市
4 調整・協議のしくみ
環境共生の考え方や手法等を明らかにするとともに、環境共生の取組内容等について調整・協議を行うためのしくみを確立することが掲げられています。
これを受けて、神奈川県では平成14年に「県央・湘南都市圏環境共生都市づくり推進要綱」を施行し、環境と共生する都市づくりを推進しています。