更新日:2024年11月22日

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令和3年 本年の報告・勧告の概要と給与勧告のしくみ

令和3年 本年の報告・勧告の概要と給与勧告のしくみ

Ⅰ 本年の報告・勧告の概要

報告・勧告のポイント

 1.本年の給与改定
  ~月例給の改定なし、ボーナスを引下げ~

  • 月例給の公民給与の較差は△16円(0.00%)
  • 特別給(ボーナス)を0.15月分引下げ

 2.給与カーブの見直し

  • 職務や責任に応じた給与制度となるよう、給与カーブを見直し

報告及び勧告の内容

1 職員給与と民間給与との比較

(1) 月例給(毎月きまって支給される給与)

 職員※1と、これに類似する民間従業員(事務・技術関係職種)の本年4月分の給与月額について、役職段階、学歴、年齢が同じ者同士を比較(ともに本年度の新規学卒の採用者を除く。)

職員の給与 (A) 民間従業員の給与 (B)  (B) - (A)
較差額 較差率 ※2
393,467円 393,451円 △16円 0.00%

※1 職員給与算定の対象となる行政職給料表(1)及び学校行政職給料表適用職員(行政職員)
※2 民間従業員の平均給与月額が、公民比較の対象となる行政職員の平均給与月額を、どの程度上回っている(又は下回っている)かを示した割合

(2) 特別給(ボーナス)

 職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数と昨年8月から本年7月までの1年間に民間従業員に支給された特別給(ボーナス)の支給月数を比較

職員の支給月数(A) 民間従業員の支給月数(B)  (B) - (A)
4.45月 4.30月※3 △0.15月

※3 昨年8月から本年7月までの実績である4.31月分について、国に準じて0.05月ごとの区切りとなるよう小数点以下第2位を二捨三入、七捨八入し、4.30月とした。

2 本年の給与改定

(1) 月例給(毎月きまって支給される給与)

 公民給与の較差が小さく、給料表及び諸手当の適切な改定を行うことが困難であることから、改定なし

(2) 特別給(ボーナス)

 ア 民間との均衡を図るため、支給月数を0.15月分引下げ(4.45月→4.30月)
 イ 民間の支給状況等を踏まえ、期末手当の支給月数に反映

一般の職員の場合の支給月数
  6月期 12月期 年間
令和3年度 期末手当 1.275月
(支給済み)
1.125月
(現行1.275月)
4.30月
(現行4.45月)
勤勉手当 0.95月
(支給済み)
0.95月
(改定なし)
令和4年度以降 期末手当 1.20月 1.20月 4.30月
勤勉手当 0.95月 0.95月
(3) 実施時期

  条例の公布の日

【参考】
  • 勧告どおり給与改定が実施された場合の行政職員の平均年間給与への影響
改定前 改定後 差額
6,460千円 6,400千円 △60千円

 ※ 令和3年4月から令和4年3月までの平均年間給与額

  • 人件費への影響額 約△37億円(一般会計及び公営企業会計の計)

3 給与カーブの見直し

(1) 給料表の見直し

 行政職給料表(1)について、国家公務員に適用される行政職俸給表(一)を基本とし、国家公務員の俸給月額と比較して、給料月額が高い号給等について水準を見直し(その他の給料表は、行政職給料表(1)との均衡を基本に改定)

(2) 地域手当の見直し

 改定後の給料額(給料及び地域手当)が、改定前の給料額を上回らない範囲内で支給割合を見直し、段階的に設定(上限12.5%)

  • 令和4年度は、経過措置を考慮して現在適用されている支給割合(12%)とする
  • 令和5年度以降は、較差解消の観点、経過措置の状況等を踏まえ、前年の報告・勧告で言及
(3) 実施時期等
  • 令和4年4月1日から実施
  • 給料表の改定に際し、激変緩和措置として現給保障を設定(2年間を目途に、任命権者において期間を設定)

4 公務運営

(1) 人材の確保・育成
 ア 多様な人材の確保と採用制度

 (ア) 多様な職務経験・社会活動経験やスキル・資格等を持つ優秀な人材を採用するため、中途採用試験を導入。今後も職員構成や採用環境の変化を見据え、人材確保に向けて採用試験等を見直し

 (イ) より多くの受験者を確保するため、Web会議システムを利用した説明会や個別面談の開催、インターネット上での動画配信を実施。引き続き多くの学生等の目に触れるよう情報発信

 (ウ) 身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者を対象とした選考を実施。今後も障がい者採用促進に向けた取組を引き続き推進。任命権者には、計画的採用と配置に当たっての障がいの状況に応じた適切な配慮を要請

 イ 人材育成とキャリア形成

 (ア) 職員の実践能力の養成や専門性の向上には、OJT、キャリア開発や専門性向上を意識した人事異動及び研修、適正な人事評価を人材育成に活用することが重要。このような取組により、社会環境の変化や業務の状況に的確かつスピード感を持って対応できる職員の育成を図ることを期待

 (イ) キャリア選択型人事制度について、昨年4月に職務分野の見直しが行われたが、制度変更の効果検証を行い、職員の能力の向上と主体性を踏まえたキャリア形成が可能となるような取組に期待

 (ウ) 新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からも、オンラインやe-ラーニングなど多様な手法が取り入れられている。今後も、職員が場所や時間を柔軟に選択できる多様な研修形態の拡充を図ることで、人材育成に向けた着実な取組に期待

 ウ 多様な人材の活躍推進

 (ア) 性別に関係なく仕事と生活の両立を支援し、全ての職員が能力を発揮できる勤務環境を整備することは、能率的な公務運営に資するものであり、ワーク・ライフ・バランスの実現や働き方改革の推進に向けて、実態を踏まえた実効性のある取組を一層推進することを期待

 (イ) 障がいのある職員の活躍推進については、「障がい者活躍推進計画」により取組を行っているが、障がいのある職員にとって働きやすい職場は、誰にとっても働きやすい職場であり、多様性を理解・尊重し、誰もが生き生きと働ける県庁の実現に向けて一層取り組まれることを期待

(2) 働き方改革と勤務環境の整備
 ア 働き方改革による長時間労働是正等の取組

 (ア) 新型コロナウイルス感染症対策関連業務等のため、多くの職員が時間外勤務を行っている状況が認められる。任命権者において、事務事業の見直しをさらに徹底するとともに、人員の適切な配置を図るなど、長時間労働の是正に向けた取組を確実に推し進めていくことを要請

 (イ) 本県教育委員会において、在校等時間を適切に把握するとともに、教員の負担軽減に向けた取組を着実に推し進めていくことを要請

 イ 仕事と家庭の両立支援と職員が能力をより発揮できる勤務環境の整備

 (ア) 国家公務員育児休業法の改正についての意見の申出等を踏まえ、本県においても、子育てや介護を行う職員を支援するための制度を拡充していくことが必要。任命権者において、不妊治療休暇新設に係る検討を行うとともに、不妊治療を行う職員が制度を利用しやすくなるよう更なる普及、啓発を行い、勤務環境の醸成等を図っていくことを要請

 (イ) テレワークの利用促進や拡大時差出勤制度の拡充など多様で柔軟な働き方を進めることは、全ての職員のワーク・ライフ・バランスの実現と、その能力の十分な発揮につながるものであり、任命権者において、引き続き取組を進めていくことを期待

 ウ 健康管理対策の推進

 過重労働により健康への影響が懸念される職員に対しては、産業医による面接指導等を通じて心身の状況を把握し、着実に職員の健康管理に取り組むことが重要。任命権者において、職員の心身両面にわたる健康の保持、増進を図る取組を一層推進していくことを期待

 エ 職場におけるハラスメントの防止

 ハラスメントを根絶するためには、全職員がハラスメントに正面から向き合い、その防止に努めることが重要。任命権者において、引き続きハラスメント防止に向けた取組を着実に進め、ハラスメントのない職場の実現を図ることを要請

 オ 会計年度任用職員等の勤務条件

 不妊治療休暇等の新設、産前産後休暇の有給化、育児休業等の取得要件の緩和など、任命権者において、国等との権衡を考慮し、必要な措置を講じることを要請

(3) 定年の引上げ等、高齢層職員をめぐる状況

 定年の引上げについては、地方公務員法の一部を改正する法律が本年6月に成立し、地方公務員の定年が60歳から65歳まで2年に1歳ずつ段階的に引き上げられることとなった。
 今後、国の動向を注視しつつ、関係機関と十分に検討・調整し制度設計をしていくことが必要
 

Ⅱ 給与勧告のしくみ

1 給与勧告の対象職員の状況等(令和3年4月1日現在)

【給与勧告の対象職員数】

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【職員数】
区分 職員数 構成割合
全職員 46,209人 100%
 一般職員(うち行政職員※4  10,121人(8,803人)  21.9%(19.1%)
 教育職員  20,659人  44.7%
 警察官  15,429人  33.4%

※4  行政職給料表(1)及び学校行政職給料表(県立学校や県費負担(法に基づき給与の一部を県が負担)の市町村立学校に勤務する事務職員に適用)の適用職員 

※前年度の対象職員数(構成比)
  一般職員 10,053人(21.9%)
  教育職員 20,476人(44.6%)
  警察官  15,336人(33.4%)
    総計 45,865人 

注1 職員の給与及び通勤に要する費用の弁償に関する条例、学校職員の給与等に関する条例、任期付研究員の採用等に関する条例及び任期付職員の採用等に関する条例の適用を受ける職員を対象(企業行政職給料表及び技能職給料表の適用を受ける職員は対象外)
 2 給与勧告の対象職員数の割合は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100.0%にならない場合がある

【学歴別構成割合】
 区分 大学卒 短大卒 高校卒 中学卒
 全職員  73.7%  6.1%  20.1%  0.1%
  行政職員   72.1%   7.9%   19.5%   0.6%
【性別構成割合】
区分
 全職員  66.3%  33.7%
  行政職員   60.0%   40.0%
【平均年齢】
区分 平均年齢
全職員  39.5歳
 行政職員   41.7歳

2 給与勧告の基本的な考え方

 公務員は民間の従業員とは異なり、団体交渉権、争議権の一部が制約されているため、その代償措置として、地方公務員法に基づき人事委員会による給与勧告制度が設けられています。この制度は職員の給与について、県民の理解と納得を得る重要な役割を担っています。

 そのため、本委員会は、職員の給与を、国家公務員の給与との均衡も考慮しつつ、その時々の生計費、経済・雇用情勢等を反映した民間従業員の給与と均衡させることが基本であると考えています。

 また、毎月支払われる月例給については、民間の従業員と職員の4月分の給与を調査して比較し、特別給(ボーナス)については、過去1年間の民間の支給月数を調査して職員の1年間の支給月数と比較した上で、給与勧告を行っています。

 この方法は、情勢適応の原則や均衡の原則など、給与決定の原則に則った最も合理的な方法と考えられています。

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3 民間給与の調査対象

 企業規模50人以上(図1)、かつ事業所規模50人以上の県内3,051事業所(図2)のうち、層化無作為抽出法(図3)により抽出した689事業所(図4)を対象に、事務・技術関係職種等34,478人の本年4月に支払われた給与月額等を調査しました。

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【抽出前】企業規模別の調査対象事業所
企業規模 事業所数 割合
 調査対象事業所  3,051事業所  100%
   500人以上   1,585事業所   52.0%
   100人以上500人未満   1,078事業所   35.3%
   50人以上100人未満    388事業所   12.7%
【抽出後】企業規模別の調査対象事業所
企業規模 事業所数 割合
 調査対象事業所  689事業所  100%
   500人以上   354事業所   51.4%
   100人以上500人未満   252事業所   36.6%
   50人以上100人未満     83事業所   12.0%

4 民間給与との比較方法(ラスパイレス方式)

 本委員会は、一般の行政事務を行っている職員(行政職給料表(1)及び学校行政職給料表の適用職員)と、これに類似すると認められる事務・技術関係職種の民間従業員を対象に、主な給与決定要素である役職段階、学歴、年齢を同じくする者同士の4月分の給与月額を対比させ、民間従業員の給与月額を、職員の人員構成に置き換えて算出した平均給与月額(A)と、職員の平均給与月額(B)との精密な比較(ラスパイレス方式)を行っています。

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5 民間給与との較差について

 本年4月時点で、職員の給与が民間従業員の給与を16円(0.00%)上回っているものの、その差は小さく、給料表及び諸手当の適切な改定が困難であることから、月例給の改定を行わないこととしました。

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6 最近の給与報告・勧告の状況

月例給 期末・勤勉手当
公民較差 年間支給月数 対前年比増減
平成24年 △0.06%(△245円) 引下げ 3.95月 勧告なし(改定なし)
平成25年    0.07%(  298円) 勧告なし(改定なし) 3.95月 勧告なし(改定なし)
平成26年    0.42%(1,698円) 引上げ 4.10月 +0.15月
平成27年    0.68%(2,736円) 引上げ 4.20月 +0.10月
平成28年    0.20%(  784円) 引上げ 4.30月 +0.10月
平成29年    0.13%(  505円) 引上げ 4.40月 +0.10月
平成30年    0.17%(  697円) 引上げ 4.45月 +0.05月
令和元年    0.11%(  440円) 引上げ 4.50月 +0.05月
令和2年 △0.  01%(△33円)  勧告なし(改定なし) 4.  45月 △0.  05月
令和3年  0.  00%(△16円) 勧告なし(改定なし) 4.  30月 △0.  15月

7 人事委員会とは

  人事委員会は、地方公務員法の定めるところにより設置され、3人の委員をもって組織されています。地方公共団体における人事行政の専門性・特殊性の観点から、専門的・中立的機関として権限を行使し、より適正な人事が行われるようにすることが人事委員会の使命です。

 人事委員会の権限は、性格により以下の3つに分類できます。

  1. 行政権限:給与、勤務時間その他の勤務条件に関し講ずべき措置について地方公共団体の議会及び長への勧告、競争試験または選考試験の実施 等
  2. 準司法的権限:勤務条件に係る措置要求の審査、不利益処分の審査請求の審査 等
  3. 準立法的権限:人事委員会規則の制定 等

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