更新日:2024年11月11日

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令和5年 本年の報告・勧告の概要と給与勧告のしくみ

 

Ⅰ 本年の報告・勧告の概要

報告・勧告のポイント

1 本年の給与改定
~月例給、ボーナスともに引上げ~

  • 月例給の公民給与の較差3,786円(0.98%)を解消するため、本年4月に遡及して、給料表を引上げ改定するとともに、地域手当の支給割合を12.19%に引上げ

  • 特別給(ボーナス)を0.10月引上げ

2 給与カーブの見直し

  • 令和6年4月1日から、地域手当の支給割合を12.21%に引上げ

報告及び勧告の内容

1 職員給与と民間給与との比較

(1) 月例給(毎月きまって支給される給与)

 職員※1と、これに類似する民間従業員(事務・技術関係職種)の本年4月分の給与月額について、役職段階、学歴、年齢が同じ者同士を比較(ともに本年度の新規学卒の採用者を除く。)

職員の給与(A) 民間従業員の給与(B) (B)ー(A)
較差額 較差率※2
386,804円 390,590円 3,786円 0.98%

※1 職員給与算定の対象となる行政職給料表(1)及び学校行政職給料表適用職員(行政職員)
※2 民間従業員の平均給与月額が、公民比較の対象となる行政職員の平均給与月額を、どの程度上回っている(又は下回っている)かを示した割合

(2) 特別給(ボーナス)

 職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数と昨年8月から本年7月までの1年間に民間従業員に支給された特別給(ボーナス)の支給月数を比較

職員の支給月数(A) 民間従業員の支給月数(B) (B)ー(A)
4.40月 4.50月※3 0.10月

※3 昨年8月から本年7月までの実績である4.52月分について、国に準じて0.05月ごとの区切りとなるよう小数点以下第2位を二捨三入、七捨八入し、4.50月とした。

2 本年の給与改定

(1) 月例給(毎月きまって支給される給与)

 本年4月分の職員の給与と民間従業員の給与との均衡を図るため、同月に遡及して給料表及び地域手当の支給割合を引上げ改定

ア 行政職給料表(1)・学校行政職給料表
項目 内容 改定額 改定率※4
給料表改定
  •  人材確保の観点等を踏まえ、人事院による行政職俸給表㈠の改定に準じて、12,000円を限度に初任給を引上げ
  •  若年層が在職する号給に重点を置き、改定率を逓減させる形により全ての級号給を1,000円から12,000円の間で引上げ
3,071円 0.79%

地域手当

支給割合を0.10%引上げ 338円 0.09%
はね返り分 給料月額等を算定基礎としている諸手当(地域手当等)の額が、給料表の改定に伴い増減する分 371円 0.10%
3,780円 0.98%

※4 行政職員(今年度の新規学卒の採用者を含む。)を対象に、給与改定を行った後の平均給与月額が、改定前の平均給与月額をどの程度上回る(又は下回っている)かを示した割合

イ その他の給料表(公安職給料表、教育職給料表等)

行政職給料表(1)との均衡を基本に改定

(2) 特別給(ボーナス)

ア 民間の特別給との均衡を図るため、支給月数を0.10月引上げ(4.40月→4.50月)

イ 民間の支給状況等を踏まえ、支給月数の引上げ分を期末手当と勤勉手当に均等に配分

ウ 本年度については、12月期の期末手当及び勤勉手当に均等に配分し、令和6年度以降においては、6月期及び12月期の期末手当及び勤勉手当が均等になるよう支給月数を決定

一般の職員の場合の支給月数

  6月期 12月期 年間
令和5年度 期末手当 1.20月
(支給済み)
1.25月
(現行1.20月)
4.50月
(現行4.40月)
勤勉手当 1.00月
(支給済み)
1.05月
(現行1.00月)
令和6年度以降 期末手当 1.225月 1.225月 4.50月
勤勉手当 1.025月 1.025月

 

【参考】
  • 勧告どおり給与改定が実施された場合の行政職員の平均年間給与への影響
改定前 改定後 差額
6,313千円 6,414千円 101千円

※ 令和5年4月から令和6年3月までの平均年間給与額

  • 人件費への影響額 約75億円(一般会計及び公営企業会計の計)

3 給与カーブの見直し(地域手当の支給割合引上げ)

  •  令和4年4月に、職務と責任に応じた給与制度とするよう給料表の見直しを実施。この見直しに伴い生ずる給与原資を再配分するため、令和6年4月1日から、地域手当の支給割合を12.21%に引上げ
  •  令和7年度以降の支給割合は、引き続き、較差解消、経過措置の状況等を注視し、令和6年以降の報告・勧告において言及

4 給与制度のアップデート

  •  人事院は、本年の報告において、「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備(給与制度のアップデート)」に言及、今後措置を検討する主要事項の方向性の骨格を提示
  •  他の施策に先行して、在宅勤務等を中心とした働き方をする職員については、在宅勤務等に伴う光熱・水道費等の費用負担が特に大きいことを考慮し、その費用負担を軽減するため、令和6年度から当該職員を対象とした在宅勤務等手当を新設
  •  本県としても、今後の国の動向を注視し、検討を進めていく必要がある旨を言及

5 公務運営

(1) 人材の確保・育成
ア 多様な人材の確保と採用制度

(ア) Ⅰ種試験等の受験者数は減少傾向。幅広い受験者が受けやすい試験日程や方法等について、民間企業のノウハウやデジタルの活用も含めて検討し、効果的な試験制度へ見直し

(イ) 公務員志望者以外の学生等にも就職先としてもらえるよう、職員採用ホームページのリニューアル等により情報発信の充実を図るなど、任命権者とも連携しながら、様々な広報活動を強化

イ 人材育成とキャリア形成

 任命権者において、オンライン研修を含め、研修の効果を検証し、職員の能力向上に必要な研修科目となっているかの検討が重要。職員が研修を適切に受講できる環境を整え、主体的にキャリア形成を推進できるような人材育成の仕組みを期待

ウ 多様な人材の活躍推進

(ア) 任命権者において、「次世代育成支援・女性活躍推進に関する職員行動計画」に掲げた数値目標の達成に向け、実効性のある取組を一層推進していくことを期待

(イ) 令和6年4月以降、障がい者の法定雇用率が引き上げられることを見据え、任命権者に対し、受入体制の強化や計画的な採用等により、全ての障がいのある職員が活躍できる職場づくりを更に推進することを要請

(ウ) ベテラン職員は、培った知識や技術、経験が豊富。任命権者において、ベテラン職員のモチベーションを維持し、60歳を超えても活躍できる環境づくりを進めていくことを期待

 

(2) 働き方改革と勤務環境の整備
ア 仕事と生活の両立支援と職員が能力をより発揮できる勤務環境の整備

(ア) 子育てや介護を行う職員を支援する制度がより利用しやすくなるよう、任命権者において、職員本人だけでなく管理職を含めた周囲の職員の意識醸成や、職場環境づくりを進めるなど、仕事と生活の両立支援を一層進めていくことが重要

(イ) ワーク・ライフ・バランスの実現や多様で柔軟な働き方の促進に向けて、テレワーク等の活用など、コロナ禍で進展した取組を後退させることなく、更に前進させるとともに、個々の職員の希望や、子育てや介護等の事情に応じた柔軟な働き方がより一層可能となるよう、任命権者において、様々な取組を引き続き進めていくことを期待

イ 働き方改革による長時間労働是正等の取組

(ア) 各種イベント等の再開や企業活動の活発化に伴う通常業務の増加により、月45時間を超える時間外勤務が多く発生。任命権者において、業務の見直しを徹底するとともに人員の適切な配置を図るなど、長時間労働の是正に向けた取組を着実に推進していくことを要請

(イ) 人材確保の観点からも、本県教育委員会が、教員の在校等時間を適切に把握した上で、時間外在校等時間の縮減や外部人材の積極的な活用などの取組を継続して着実に実施し、教員の負担軽減が一層図られることを期待。本委員会は、国における教員の処遇改善の在り方に関する検討の動向等を注視

ウ 健康管理対策の推進

 職員がやりがいを持っていきいきと働くことができる勤務環境を整備し、組織全体のパフォーマンスを向上させるため、任命権者において、これまでの取組に対する分析を行った上で、職員の心身両面にわたる健康の保持、増進を図る取組を一層推進していくことを期待

エ 職場におけるハラスメントの防止

 職場におけるハラスメントは、徹底して防止する必要がある。任命権者において、今後も、職員の意識啓発を継続的に実施するほか、円滑なコミュニケーションによる風通しのよい職場環境の醸成など、ハラスメントを生じさせない職場づくりを一層推進していくことを要請

Ⅱ 給与勧告のしくみ

1 給与勧告の対象職員の状況等(令和5年4月1日現在)

【給与勧告の対象職員数】

01

注1 職員の給与及び通勤に要する費用の弁償に関する条例、学校職員の給与等に関する条例、任期付研究員の採用等に関する条例及び任期付職員の採用等に関する条例の適用を受ける職員を対象(企業行政職給料表及び技能職給料表の適用を受ける職員は対象外)

 2 構成比は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100.0%にならない場合及び内訳の合計が計と一致しない場合がある(以下の数値について同じ)

【職員数】

区分 職員数 構成比
一般職員 10,188人 22.1%
(一般職員のうち行政職員※) (8,885人) (19.3%)
教育職員 20,527人 44.5%
警察官 15,390人 33.4%
総計 46,105人 100%

 行政職給料表(1)及び学校行政職給料表(県立学校や県費負担(法に基づき給与の一部を県が負担)の市町村立学校に勤務する事務職員に適用)の適用職員 

前年度の対象職員数・構成比

区分 職員数 構成比
一般職員 10,261人 22.2%
教育職員 20,514人 44.4%
警察官 15,462人 33.4%
総計 46,237人 100.0%

【学歴別構成割合】

区分 大学卒 短大卒 高校卒 中学卒
全職員 73.6% 6.0% 20.3% 0.1%
行政職員 71.3% 7.3% 20.9% 0.6%

【性別構成割合】

区分
全職員 65.4% 34.6%
行政職員 58.0% 42.0%

【平均年齢】

区分 平均年齢
全職員 39.2歳
行政職員 41.4歳

2 給与勧告の基本的な考え方

  •  公務員は民間の従業員とは異なり、団体交渉権、争議権の一部が制約されているため、その代償措置として、地方公務員法に基づき人事委員会による給与勧告制度が設けられています。この制度は職員の給与について、県民の理解と納得を得る重要な役割を担っています。
  •  そのため、本委員会は、職員の給与を、国家公務員の給与との均衡も考慮しつつ、その時々の生計費、経済・雇用情勢等を反映した民間従業員の給与と均衡させることが基本であると考えています。
  •  また、毎月支払われる月例給については、民間の従業員と職員の4月分の給与を調査して比較し、特別給(ボーナス)については、過去1年間の民間の支給月数を調査して職員の1年間の支給月数と比較した上で、給与勧告を行っています。
  •  この方法は、情勢適応の原則や均衡の原則など、給与決定の原則に則った最も合理的な方法と考えられています。

 02-2

 

3 民間給与の調査対象

  •  企業規模50人以上(図1)、かつ事業所規模50人以上の県内3,288事業所(図2)のうち、層化無作為抽出法(図3)により抽出した688事業所(図4)を対象に、事務・技術関係職種等35,533人の本年4月に支払われた給与月額等を調査しました。

03-2

【抽出前】企業規模別の調査対象事業所

企業規模 事業所数 割合
調査対象事業所 3,288事業所 100%
500人以上 1,705事業所 51.9%
100人以上500人未満 1,185事業所 36.0%
50人以上100人未満 398事業所 12.1%

【抽出後】企業規模別の調査対象事業所

企業規模 事業所数 割合
調査対象事業所 688事業所 100%
500人以上 344事業所 50.0%
100人以上500人未満 255事業所 37.1%
50人以上100人未満 89事業所 12.9%

 

4 民間給与との比較方法(ラスパイレス方式)

  •  本委員会は、一般の行政事務を行っている職員(行政職給料表(1)及び学校行政職給料表の適用職員)と、これに類似すると認められる事務・技術関係職種の民間従業員を対象に、主な給与決定要素である役職段階、学歴、年齢を同じくする者同士の4月分の給与月額を対比させ、民間従業員の給与月額を、職員の人員構成に置き換えて算出した平均給与月額(A)と、職員の平均給与月額(B)との精密な比較(ラスパイレス方式)を行っています。04-2

5 給料表の改定について

  •  本年4月時点で、職員の給与が民間従業員の給与を3,786円(0.98%)下回っていることから、民間従業員の給与との均衡を図るため、職員の給料表を改定することにより月例給を引上げ、この較差を解消することとしました。
  •  民間との給与比較を行っている「行政職給料表(1)」及び「学校行政職給料表」の改定に当たっては、人材確保の観点等を踏まえ、人事院による行政職俸給表㈠の改定に準じて、12,000円を限度に初任給を引き上げるとともに、若年層が在職する号給に重点を置き、改定率を逓減させる形により全ての級号給を1,000円から12,000円の間で引き上げることとしました。
  •  行政職給料表(1)の各級号給の改定額、主な職の改定額については、下記(表1)及び(表2)のとおりです。

05

【民間との較差について】

06-2

  • 行政職員一人当たりの「改定後の平均給料月額」から「改定前の平均給料月額」を引いた額が3,071円となります。この額が給料表改定に伴い、まず必要となる額です。
行政職員数(A) 8,885人 令和5年4月1日現在の行政職員数
改定前総額(B) 2,875,449,400円 令和5年4月に支給された行政職員給料月額の総額

改定前平均給料月額(C)【B/A】

323,630円 改定前総額(B)を行政職員数(A)で除した平均給料月額(小数点以下第1位を四捨五入した額)
改定後総額(D) 2,902,736,000円 改定後の行政職員給料月額の総額
改定後平均給料月額(E)【D/A】 326,701円 改定後総額(D)を行政職員数(A)で除した平均給料月額(小数点以下第1位を四捨五入した額)
給料表改定に伴い必要となる額(地域手当等へのはね返り分を除く)【E-C】 3,071円 改定後平均給料月額(E)を改訂前平均給料月額(C)で引いた額
  •  この3,071円に、地域手当の338円分と、はね返り分の371円を加えた額が、給料表改定に伴う行政職員一人当たりの平均改定額(3,780円)となります。
  •  「行政職給料表(1)」及び「学校行政職給料表」以外の給料表については、「行政職給料表(1)」との均衡を基本に改定することとしました。

6 最近の給与報告・勧告の状況

月例給 期末・勤勉手当
公民較差 年間支給月数 対前年比増減
平成26年 0.42%(1,698円) 引上げ 4.10月 +0.15月
平成27年 0.68%(2,736円) 引上げ 4.20月 +0.10月
平成28年 0.20%(784円) 引上げ 4.30月 +0.10月
平成29年 0.13%(505円) 引上げ 4.40月 +0.10月
平成30年 0.17%(697円) 引上げ 4.45月 +0.05月
令和元年 0.11%(440円) 引上げ 4.50月 +0.05月
令和2年 △0.01%(△33円) 勧告なし(改定なし) 4.45月 △0.05月
令和3年 0.00%(△16円) 勧告なし(改定なし) 4.30月 △0.15月
令和4年 0.27%(1,064円) 引上げ 4.40月 +0.10月
令和5年 0.98%(3,786円) 引上げ 4.50月 +0.10月

7 人事委員会とは

 人事委員会は、地方公務員法の定めるところにより設置され、3人の委員をもって組織されています。地方公共団体における人事行政の専門性・特殊性の観点から、専門的・中立的機関として権限を行使し、より適正な人事が行われるようにすることが人事委員会の使命です。

 人事委員会の権限は、性格により以下の3つに分類できます。

  1. 行政権限:給与、勤務時間その他の勤務条件に関し講ずべき措置について地方公共団体の議会及び長への勧告、競争試験または選考試験の実施 等
  2. 準司法的権限:勤務条件に係る措置要求の審査、不利益処分の審査請求の審査 等
  3. 準立法的権限:人事委員会規則の制定 等

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