更新日:2024年12月10日
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障がい者雇用の事例を紹介しています。
精神障がい
住所:足柄下郡箱根町湯本茶屋179番地
事業内容:宿泊業
常用労働者数※:100人(令和6年6月1日)
※常用雇用労働者数とは、1週間の所定労働時間が30時間以上の方の数と1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の方の数を0.5倍した数を合算した数をいいます。(いずれも1年を超えて雇用される見込みがあることまたは1年を超えて雇用されていることが必要です。)
A1 以前にも身体障がいのある方を複数名雇用していたのですが、コロナ禍になり、一時休業、そして定年退職なども重なり、3年前には雇用数がゼロということになってしまいました。
「心豊かな社会と地域経済の発展に貢献する」という法人の経営理念としてもこのままでは良くないという思いから、経営者をはじめとして、もう一度障がい者の雇用について、しっかり取り組んでいきたいと始めたことがきっかけとなりました。
A2 担当してもらっている障がいのある従業員は1名で、週4日、各日5時間勤務してもらっています。
現在、担当する業務としてはレストランの朝食で使用した食器の片づけや清掃、館内の美化整備、従業員寮の共有スペースの清掃などに従事してもらっています。
A3 障がいのある方を雇用しようと思っても、実際には何も知識や情報のないところから始めなければならず、どう進めたらよいか思案していましたが、同時期に県障害者雇用促進センターの訪問を受け、支援可能な範囲で手伝ってもらいながら進めていくことにしました。
まずはどのように宿泊施設のなかで障がいのある方に担ってもらう業務を生み出していくかを試行錯誤しながら進めていきました。
当初は「障がいのある方に合う業務を当て込む」と思っていましたが、県障害者雇用促進センターの助言なども受け、「何を手伝ってもらったら他の従業員が助かるのか」を念頭に仕事をイメージし、作り出すことから始めました。
また、実際に作り出した業務を就労支援機関の職員の方に見学会という形で観ていただきました。
次に見学してもらった就労支援機関のうち、実際に作り出した業務について障がい当事者の方の職場体験実習を募集しました。
実際には1週間の体験実習に参加した障がい当事者の方はおりましたが、最終的には雇用に至りませんでした。
しかし、そのときにつながることができた就労支援機関から新たに体験実習の意向があり、同じく1週間の実習を経て、採用に至りました。
A4 障がいの特性について詳しく理解できているわけでもなく、また、どのような障がいのある方が業務に興味をもってもらえるかについては正確にはわかりません。
ですので、発想を転換させ、「こんな業務工程を担ってほしい」、「この業務を担ってもらえたら他の従業員も企業としても助かる」といったイメージを持ち、業務を洗い出しました。また洗い出した業務のボリュームが何時間かかるのかなどもシミュレートしながらブラッシュアップや再構成を重ね、その業務を実際に目で見てもらい、望む業務なのか確認してもらうことで、体験実習や最終的な採用につながったのではないかと思います。
A5 職場全体に広く「障がいのある方を雇用した」と周知する必要はないと思いますし、実際に意図的にそのような周知は行っていません。
そのことは「〇〇障がいだから」という一括りにするような目で見てほしくなかったとも言えます。
当然、業務遂行上の個別に配慮すべき点はあるとは思いますが、敢えて全員が全員、障がいのある方が従事する業務に携わるわけではなく、知る必要もない。社の全員が特別な配慮を求められるわけではない。あくまで本人が伝えてほしい範囲で配慮してほしい従業員に知っておいてもらおうと考えました。
具体的には所属する部署の長やスタッフ、関わりのある方にわかってもらえればよく、困ったときや相談したいときにいつでも相談できるスタッフがいる体制がとれれば配慮することは可能であると思いますし、実際に過剰に意識したり遠慮することなく必要なときに声をかけられる、フォローできる、そのことによって働きやすい環境を作っていくことができると思います。
A6 ひとつめは、何より障がいのある従業員が真面目であることです。ひとつひとつ仕事を着実に覚えて、わからないことは聞いてもらいながら仕事の幅も広がってきています。
また、総務部(所属している部署)の中で困りごとをまず相談できるという安心感も定着できている要因かもしれません。
また、就労に当たり、採用の前から本人が登録している就労支援機関(障害者就業・生活支援センター)と関わりをもてていることも大きいと思います。
1、2か月に1回は本人との定期的な面談を行ってもらっていますし、本人からも就労支援機関に連絡をとり、日常的なつながりが持てていることが心身の安定につながっているのではと思います。
また、企業としても就労支援機関による定着のサポートがあると、様々な情報を共有でき、相談できる環境があるというメリットは大きいと思います。
先日も障害者就業・生活支援センター主催の地元企業の交流の場に参加させてもらったのですが、様々な企業の障がい者雇用に係る貴重な情報交換ができ、今後の雇用の取組に役立てることができるので、連携していくことが重要だなと感じました。
A7 当初、雇用する前は障がいのある方を雇用することは難しい、生産性が下がるのではないかといったイメージがあったことは否定できないと思います。
しかし、実際に雇用が始まり、業務を担ってもらうなかで、必要な配慮を本人に合わせて行っていけば、職場全体の生産性は逆に上がることがわかりました。
もちろん、必要な配慮はしていかなければなりませんが、まずは小さい業務でもできることはないか、今すぐではなくてもやっておいた方がいい業務はないかと創り出していくと、現場の理解も進みますし、そんなに難しいことではないとわかりました。またそのことにより障がい者雇用に関するネガティブな考えが払拭されました。
(総務部次長 大舘卓郎さん)
障がい者雇用といっても、その方その方によって特性や得手不得手、配慮すべき点は異なります。
まずは既存の業務(作業)だけに当てはめて障がい者雇用を考えようとするのではなく、こんな仕事をやってほしいという観点から仕事を作り出していく、そのために雇用される方に必要な困りごとにどう配慮すべきかを一緒に考えていくことが大事だと思います。
その流れが出来上がることで障がいのある方が仕事にやりがいを持ち、働き続けられるのではないかと感じます。
企業としてもその成功体験がさらに新たな障がい者雇用を広げていくのではないでしょうか。
(三浦洋明さん)
ホテル内でレストランの食器の片づけや特別室の庭の掃除、社員寮の共有スペースの清掃などを担当しています。
また、それ以外にもちょっとしたイレギュラーな作業等も自分なりに一生懸命頑張っています。
積極的に自分からコミュニケーションをとることは少し苦手なのですが、そのことに「障がい者だから」という目でなく、働く仲間として常に職場で身近なだれかが声をかけて気にしてくれている。そのことは自分にとって業務を安定してこなしていくうえで大変ありがたいことだと思います。
また以前に通っていたデイケアの職員の方にも実際に働いている場面を見てもらったりと、家族や就労支援機関など様々な人達の応援も働き続ける力になっています。これからは自身の体調と相談して「頑張りすぎず」与えられた時間のなかでできることをひとつひとつ増やしていきながら、できるだけ長く働き続けていきたいです。
このページの所管所属は 障害者雇用促進センターです。