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更新日:2024年12月10日
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住所:横須賀市三春町2-32
事業内容:プラスチック製品(自動車部品・オフィス家具等)製造
常用雇用労働者数※:54人(令和4年6月1日時点)
※ 常用雇用労働者数とは、1週間の所定労働時間が30時間以上の方の数と1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の方の数を0.5倍した数を合算した数をいいます。(いずれも1年を超えて雇用される見込みがあることまたは1年を超えて雇用されていることが必要です。)
A1 たまたま面接に来た方々が障がいのある方で雇用をしていたことはありましたが、その方々が退職されて障がい者雇用が0人になってしまいました。社会の流れの中でも、障がいのある方も一緒に働けるような環境を作っていくことが大事だろうと考えていたところに障害者雇用促進センターから電話をもらって取組みを始めたのがきっかけです。
A2 製造部組立課でプラスチック製品の検査・組立をしています。その理由は「環境が整っていた」からです。一人ひとりの作業場が区切られているなど外因が少なく、他者とのかかわりやコミュニケーションがうまくとれないことで仕事ができなくなってしまうことが避けられる職種なので、「1対1で指導」していけばしっかり着々と力をつけていけると考えたからです。
A3 障害者雇用促進センターの支援が入る前はテレビのニュースで特集を見る程度でした。
A4 職場体験実習から採用に至るまで、障がいのある方や支援機関の方などに何度も足を運んでもらい、多くの時間を費やしてもらっていると感じていました。その時間をお互いに有意義な時間にすることは大切だと思い、職場体験や見学会に来られた後の「フィードバック」はしっかりとやっていきたいと考えました。体験実習の際は検査した部品の数量や作業をしている時の様子などを簡単なレポートにして、採用しなかった方も含めご本人にフィードバックしていきました。
今回は1名しか採用できないことが予め分かっていましたので、他の希望者は、採用されないかもしれないにも関わらず足を運んでくださいました。そのため、当社に来てくれたことを通して、新しい気付きや勉強になったと思うことを残していかなければならないということは常に意識していました。また、見学・実習中に「障がいのある方に失礼な発言をしていないか、嫌な思いをさせていないか」について配慮し、言葉を選びながら接していました。
良かったことは、現場を回ることが多く、見学者・実習者が多くの社員の目に触れられたことです。いきなり「この方を採用しました」という段階ではなく、見学、実習という段階を踏んで、障がいのある方を採用するという会社の本気度が伝わり、「これから障がいのある方と一緒に働く」という意識や心構えが社員の中に浸透しました。
A5 「企業見学会」がスタートだと思います。「〇〇までに障がい者を雇用する取り組みをします」と朝礼で社員全体に打ち出したのがスタートです。「短時間で少しずつ」ですが、取り組みが進行する都度、社員全員に進捗状況や障がい者雇用に係る情報を共有して周知していきました。
A6 率直に判断する材料としては、こちらの指示がちゃんと聞けて、正しい作業ができたかどうかの要素が最優先なのですが、製造業なのでどうしても「ルール」は非常に大事になります。労災事故につながるような危険なことがありますので、大切なルールはしっかりと守りましょう、という点は障がいのある方に限らず意識しています。
A7 「たばこの煙が苦手で休憩室で食事ができない」との申し出が実習中にあったので、既存の喫煙所を移し、「休憩所でも外でも好きな方を選べる」ようにしました。事務所等と同じフロアにあり受動喫煙の問題もありましたので、改善する良いきっかけになりました。
A8 障がい者雇用に際してハード面で変更した点は特にありませんが、「社員みんなが分かりやすい仕組み」のスタートはおそらく外国人雇用です。外国人雇用のための必要な作業環境を構築するため、意思疎通や指導の標準化の課題をクリアするために作業ごとの「手順書」を作成し、当日の業務指示は業務内容、目標数値等を従業員ごとにカードを作成し掲示板に貼り付け、従業員がそれぞれ確認するようにしました。「流れ作業」は他者との連携を求められるので、作業効率の問題や人付き合いの面でストレスを抱えてしまう問題もあり、個別作業台(セル台)で行うようにし、「一人ひとりで作業しよう」、「誰でもわかるようにしよう」とした結果、自然と障がいのある方にも働きやすい職場になった、という流れでした。
個別作業台(セル台)
作業工程手順書
A9 支援機関の方に来ていただけると企業としても安心感がありますが、障がいのある方も安心して相談ができ、メリットが大きいと思います。今のところトラブルはありませんが、企業と「1対1」の関係になってしまうと、会社で嫌な思いをしてしまった時に、「障がい者雇用だから」と周囲の社員に遠慮しがちになってしまうかもしれませんが、上司や同僚に相談しづらいことは支援機関の方に遠慮することなく相談するようご本人にお伝えしています。
A10 職場の雰囲気などは変わらないのですが、作業工程におけるスタッフ側の気遣いのレベルが上がりました。障がいのある方の次の作業工程にある社員が、検査に時間をかけて行なうよう伝達できるようになり、「作業工程の前後関係」などの理解が進み全体を見れる社員が増えるなどの効果がありました。
A11 製造業なので、ある程度音が鳴ったり、騒がしくなったりすることはあるのですが、悪気なく立ててしまう「物を置く時の音」について、考える機会となりました。職場体験実習の際に物音に振り向く方がいて、「工場だから当たり前」と思っていたことに過敏に反応される方もいることがわかりました。今回の採用にあたっては3回くらい全社員に伝えました。
また、苦労したというほどではありませんが、障がい者雇用にあたり社員の対応の仕方がまだまだ不十分な点をその社員にどう伝えたらよいかと思うことはありました。
A12 体験実習が入ることを周知した後は社員みんなが良い意味での緊張感を持っていたのは感じていましたが、今回の採用に関しては、社員みんな「障がい者枠」とは思っておらず、実習を含めてすんなり現場に入れたと思います。その要因としてはやはり受入れの準備が自然にできあがっていたことかと思います。偏見というものもなく、得手不得手含めて「誰でもが持つ個性のうちの一つ」として捉えていたので、感覚としては一般求人と変わりなかったと思います。
(生産本部長 岡田祐作さん)
障がい者雇用の経験から、「障がいのある方にとって働きやすい環境」は「誰もが働きやすい環境」になっているということを強く感じました。また、障がい者雇用にあたり、「戦力として活躍して欲しい」という気持ちがあり、「戦力として期待する」からには「丁寧な指導をする」、そして「障がいのある方が仕事に対して自信をもってもらえる」というサイクルにしたいと考えました。「障がいのある方だからしょうがない」という雰囲気にせず、「戦力として自信をもって働いてもらうこと」を大事にしていきました。
(Aさん)
自動車部品(パーツ)の成形に携わっています。その中でパーツに不備がないか検査する役割と、組み付けるパーツに油を塗ったり、取付金具を埋め込んだりする仕事をしています。一定の数量がこなせると達成感がある仕事です。5月に行なった実習の時に検品とニッパーでパーツを切り離す作業を体験させていただきました。趣味の模型作りなど一人で行なう作業が得意でしたので、自分の性に合っていると思いましたので、この職場を選びました。
また、手順書(説明書き)が作業種ごとに用意され、作業台に備え付けて見ながら作業ができるようになっているので、不良品のチェックや作業上の注意点が分かりやすく、作業がやりやすくなっています。作業中に確認したい点があれば、すぐに対応していただいていますし、体験実習中に相談したところ、休憩場所等の環境も整えていただくなど配慮をしていただきました。自分のことを考えてくれる会社は探せばありますので、あきらめないでいただければと思います。
このページの所管所属は 障害者雇用促進センターです。