ホーム > 電子県庁・県政運営・県勢 > 県域・県勢情報 > 地域の総合案内 > 平成25年度「黒岩知事との“対話の広場”地域版 県央会場」の開催結果
更新日:2024年2月19日
ここから本文です。
黒岩知事 対話の広場県央 マグネット ロボット 県央地域
日時 | 平成25年10月25日(金曜日)18時30分から20時 |
会場 | 厚木市ヤングコミュニティセンター |
テーマ | マグネット地域 |
地域テーマ | 県央から発信!ロボットと創る未来 |
内容 |
1 知事のあいさつ 2 厚木市長あいさつ 3 事例発表 (2)神奈川県総合リハビリテーションセンター 5 意見交換 6 知事によるまとめ |
参加者数 | 170名 |
神奈川県知事の黒岩祐治です。
本日は台風接近中というたいへん足下の悪い中、わざわざ足をお運びいただきまして、誠にありがとうございます。
知事になって2年半になりますが、なるべく皆さんと対話をしながら行政を進めていきたいと思い、対話の広場をずっと続けて実施しています。
県庁の本庁舎で実施するものもありますし、こうしてそれぞれの地域で実施しているものもあります。
元々この「いのち輝くマグネット神奈川」と言っていまして、それぞれの地域がマグネットの力を持つべきだという中で、では、この地域はどういったマグネットの種があって、それをどう育てるべきかということを皆さんと情報交換しながら、議論したいと考えています。
そして県央会場のテーマとして選びましたのは、「県央から発信!ロボットと創る未来」です。
このテーマで、皆さんと活発に議論をしていきたいと思いますが、せっかくの機会ですから、別のテーマで少しだけ、県の政策について、皆さんに御説明したいものがあります。
冒頭しばらくお付き合いいただきたいと思います。
私は知事になるときに、太陽光発電を一気に普及させるのだと言いました。その後、それが「かながわスマートエネルギー構想」という形になり、今度「かながわスマートエネルギー計画」というものになりました。この2年半の間に、エネルギーを取り巻く状況は変わっております。それに合わせて変えてきているということを、きちんと御説明したいと思います。
こういう情報はどんどん皆さんに情報発信したいので、メディアにもいっぱい取り上げてほしいと思うのですが、その取材はほとんど来ません。
しかし、今まで自分もそんなことをやっていたのだろうと、思い当たる節もあるので批判はしません。
ところが最近、突然取材が来るようになりました。「恋するフォーチュンクッキー 神奈川県Ver.」だけはやたらと取材が殺到しました。今では動画の再生回数が192万ビュー、もう少しで200万ビューに達するほど再生されています。こうやって、神奈川の楽しさ、明るさといったものが注目されることは、とっても嬉しいことだと思っています。
それはそれとして、皆さんに本当にお伝えしたいメッセージを、御説明したいと思います。
福島第一原発の事故が起きて、この国のエネルギー体系は、大きく変わらざるを得なくなりました。私は当時、「神奈川からエネルギー革命を起こす」と言っていましたが、この2年半を振り返ってみると、エネルギー革命は確実に起きています。
今、我々が目指そうとしているのは、こういうことです。これまでは集中型電源でした。それをこれからは分散型電源にしていこうということです。
どういうことかと言いますと、これまでは大きな原子力発電所や大きな火力発電所を造って大量に電気をつくってきました。そして、それを長い送電線で送ってエネルギーを賄っていた。集中的にエネルギーをつくっていたのです。
このとき、長い送電線で電気が運ばれてくる間に、どんどん電気が失われてしまいます。しかし、どんどん失われたら、どんどんつくればいいと、どんどんつくっていました。これが今までの集中型電源というエネルギー体系でした。
考えてみてください。福島第一原発みたいな遠い所で、この神奈川の電気もつくっていたということでしょう。
しかし、福島第一原発で事故が起き、日本の原子力発電所はみんな止まっています。これにはもう頼りきれません。今、火力発電所で補っていますが、この集中型電源というシステムそのものがもう通用しなくなっているのではないか。
そこで、新しいエネルギー体系は分散型電源だということです。代表は太陽光発電です。
太陽光発電なんて、自分の家の屋根にぽんとつけると、自分の家にもう電気が来るわけです。風力発電も、新しいテクノロジーがどんどん進んでいて、自分の家につけるような小規模な風力発電もあります。
自分の所で使う、つくる。エネルギーの地産地消という言い方もできますが、分散型電源だということです。
そしてもう一つ、ガスコージェネレーション。あまりなじみのない言葉ですが、こういうものも含めて分散型電源システムを目指していこうということです。
この分散型電源システムのガスコージェネレーションとは何か御説明しますと、ガスで発電すると同時に、そのときの排熱を熱として利用する。これも、発電しているのは自宅なので分散型です。こういったものも今進んできているということです。
太陽光発電の普及、拡大を一生懸命やってきて、今どうなっているかと言いますと、倍、倍、倍と増えています。
しかし、スマートエネルギー構想では、2014年度までに195万キロワット導入すると言ってきましたが、残念ながらそこまでは辿り着きません。計画(骨子案)では、2014年度までに125万キロワット。2010年までの実績が13万キロワットですから、10倍近くではあるのですが、それでも、この構想の目標にはどうも達しそうにないということです。
このことで、黒岩知事はあれだけソーラーパネルを普及させると言っていたのに後退したのではないか、やる気を失ったのではないか、と捉えられている面もあるのですが、そうではないということを言いたいのです。
なぜこの構想の目標値に達しそうにないかというと、正直言って誤算がありました。
太陽光発電を一気に普及していく上で、我々が大いに期待したのは、「屋根貸し」というシステムでした。これは、神奈川が考えたシステムです。例えば工場や事業所の屋根に、ソーラーパネルを敷く、そうすると電気が生まれます。だから、発電事業のために屋根を貸してくださいと言って、ソーラーパネルをつけます。そして、売電収入の一部を賃料としてお渡しします。屋根を貸すだけで、賃料が入ってきます。これなら広がるだろうと思っていました。
京浜臨海部の工場の皆さんに、こんなアイデアはどうですかと聞いたら、「それはいいですね。ソーラーパネルは断熱効果もあるから、これはいいです」と言われたので、これでいけるぞ、と思いました。
ソーラーパネルをずっと敷きつめるメガソーラーというものがあります。メガソーラーは非常に有効ですが、神奈川県には、メガソーラーに適している土地は、そんなにたくさんはありません。
だから、京浜臨海部の工場の屋根にと思ったのですが、若干誤算がありました。それは何かというと、工場の屋根につけるには、ソーラーパネルは重いと言われたのです。そんなこと今ごろ言わないでください、という話ですが、重いと言われました。
これはまいった、と思いましたが、技術はどんどん進歩しています。
これが新しいタイプのソーラーパネルです。フィルム状で、全然重くありません。もう市販もされています。今、発電効率をどんどん上げていて、価格も一気に安くなるので、2年ぐらいでどんと普及していきます。
これであれば重いとは言わせません。屋根どころではなく、ビル丸ごとパッケージもできます。どこでも太陽光発電ができます。電車だって覆うことができます、ということなのです。高速道路の法面にも敷きつめたいと思っています。
これが普及していけば、2030年度には815万キロワット。これは一戸建てで換算しますと約245万世帯分ということになります。
最初、私は4年間で200万戸分つけると言っていまして、それには少し遅れましたが、2030年度には245万世帯分までいくことになっています。決して後退したわけではなくて、ここからどんといきますということです。
次に、グリッドパリティの実現って、何か難しい言葉が出ていますが、これはいったい何のことかというと、今ソーラーパネルで電気をつくったら買い取ってもらえます。そのコストがどんどん下がってきています。そのコストと電気料金の関係のことなのです。
発電コストをベースにした売電収入と電気料金の比較なのですが、電気料金より売電収入の方が少なければ、売らなくなりますよね。売らないでどうするか。全部自分の家で使うようになります。
グリッドパリティが実現する頃には全部自分の家で使って、今よりももっと有効に使えるような技術が全部揃っています。蓄電池にためて、ICTによってコントロールして、ガスコージェネレーションも使う。こうくると、グリッドパリティの実現ということは要するに、独立型の電源ができるということなのです。極端な話、家庭に電線をつないでいなくても、独立してやっていけるというエネルギー体系ができ上がります。産業用は別として、2020年の東京オリンピックのときにはもう家庭用は独立型電源ができるところまできているということなのです。
これが神奈川県はどこよりも早くできるということです。
というのは、神奈川県では「かながわソーラーバンクシステム」をつくって、太陽光発電の設置費用がどんどん下がってきました。2011年の福島第一原発の事故の頃、ソーラーパネルを自宅につけると1キロワット当たり54.4万円かかりました。それが今や43万円まで下がっています。
「かながわソーラーバンクシステム」を進めていって29万円になったときに、さっき言いましたグリッドパリティが実現します。全国よりも絶対早いのです。
2030年度の電力需給を見ますと、電力使用量を今より15パーセント程度省エネで削減した全体の割合の中で、45パーセントが分散型電源になります。再生可能エネルギー、ガスコージェネレーションの割合ですね。
太陽光発電も、2030年度には245万世帯分できることになっています。こういう目標だということなのです。
もう一つの大きなエネルギー革命が今起きています。
それは水素エネルギーです。昔、理科で習いましたよね。水を電気分解すると、水素と酸素になります。実はこれの逆をやります。水素と酸素を化学反応させると、水と電気が生まれます。電気、つまりエネルギーが生まれます。これが水素エネルギーというものです。
水素エネルギーなんていうと爆発するのではないかと日本人は思うのですが、2年後には、この水素エネルギーを使った燃料電池自動車が発売されるところまできているのです。徹底的に安全管理の試験をして、水素エネルギーを使った自動車が2年後にもう発売される、そこまできているのです。水素エネルギーならガソリンは一滴もいりません。排気ガスは出ません。出るのは水だけです。水を流しながら走る究極のクリーンエネルギーの車です。
ソーラーパネルだけではなくて、家庭用の蓄電池、燃料電池、先ほどのガスコージェネレーションのガスでつくった電気、そして、これらをICTの力によってコントロールしていくという、こういうスマートハウスがどんどん普及していきます。
このような分散型電源を使用する、新しいエネルギー体系が、神奈川はどこよりも早くでき上がっていきます、という計画を御提示したということであります。
雨の中をたくさんの皆様においでいただきまして、お礼を申し上げたいと思います。
黒岩知事、ようこそおいでいただきました。
ソーラーパネルやエネルギーの話が出ておりましたけれど、メガソーラーを設置したいと、私と、地主さんと、事業主の方と、知事室にお邪魔して、黒岩知事にこういう場所につくりたいと地図をお渡ししました。県内では一番だったと思います。
黒岩知事からいいでしょうとお墨付きをいただいて、7月にメガソーラーが下古沢にでき上がりました。個人の土地に、事業主が、新しい発電所をつくった。これは神奈川県では厚木市が初めてであります。愛川町にあるのは、県有地につくったものなので。来年の春には1200世帯分ぐらいに拡大いたします。
そういう意味では自信を持っていこうと思いますし、新しいエネルギーを個々の家で蓄える、時代はそう流れていくのだと思いますので、私どももしっかりとした支援体制をつくっていこうと思っております。
さあ、今度はロボットです。
おかげさまで、この地は、さがみ縦貫道ができ上がったと同時に、ロボット産業特区の指定をいただきました。
うちは負けません。
平成27年2月、厚木市は市制60周年を迎えます。
この日に、ロボットが歩いている、ロボットのあゆコロちゃんが歩いている、こんな夢を見ながら、今盛んに実践に向けた研究をしていただいております。
また一方で、ロボットの役割について、医療や福祉も含めて、検討を進めていただいているということであります。どうもありがとうございます。
最初に、なぜATSUMOをつくったのか、次になぜ今ロボットなのかということを、お話しさせていただきたいと思っております。
1980年代後半、バブルの絶頂期で、我々の中小企業の経営資源である、人、物、金にも多少の余裕があった時期で、異業種交流が非常に盛んでした。
中小・零細企業が集まって何かやろう、という雰囲気があり、神奈川県は全国でもパイオニア的な存在で、県内では神奈川県異業種交流グループ連絡会がリーダー的な立場で活躍し、当時は県央にも15前後のグループがあったと思います。
私どもの厚木商工会議所にも、三つグループがあり、設立当時は100社程度が加入して活動してまいりましたが、バブルが崩壊後は、各社共に経営が大変になり、メンバーも激減して、30社程度になってしまいました。
さらに、産学公の連携についても、会議所の中で組織化されて、数年に渡り活動を続けてまいりましたが、予想した成果は出せずに、今や休業状態になっております。
そんな中、21世紀にマッチした新しい異業種グループを作りたいと考えて、既存グループも見直し、グループのスクラップ・アンド・ビルドを考えて、時期ときっかけを模索しておりました。
そんな時に、厚木市の産業振興部から、「あつぎものづくりプロジェクト」という冊子を作り、中小企業を応援したいとの提案をいただきました。
そのイベントに協力させていただくと同時に、タイミングよく地元の神奈川工科大学の学長から直接お電話いただき、我々も中小企業に何かの形で協力をしたい、そういうチャンスを作れないかとのお話を頂戴しました。
また、産業技術センターの所長からも、我々は中小企業を積極的に応援したい、協力するので何でも相談してほしいとのお話もいただきました。
ここまで条件が揃えば、絶好のチャンスだと考え、早速、行動に移して設立準備委員会をスタートさせました。同時に、会議所の三つのグループを予算の面でも10分の1程度の規模に縮小して、その代わり、工業系のグループは今回計画する新グループに是非入ってくださいとお願いし、今年の5月に設立総会の運びとなりました。
実際の活動については、今までと同じスタイルでは、過去と同じ轍を踏むことになります。活動のどこに問題があったのかを皆で考え、その反省も踏まえて新しい手法も取り入れて意見を出し合いました。
私どもが注力したことは、行政と大学と、我々民間組織とでは規則等に大きな違いがあることで言動にも制限があり、お互いの壁が非常に高かった所です。
この壁を、我々の熱意と誠意と行動で低くしていくことを申し合わせました。
さらに、過去では活動資金についてはまず補助金ありきの考え方で、グループに補助金が出る、そのお金を使うことが優先されました。新グループは、できる限り我々の企業が活動資金を出して、手弁当でやることを基本に考え、会費も多く徴収することにしました。
開発が先行することで、当然お金が先に必要になります。そのために皆で借り入れをすることを考えました。グループ内の二、三人を連帯保証人にして銀行借入をして進めております。
次になぜロボットか、という話をさせていただきます。
メンバーの中に人型のロボット作りに人生をかけている男がおり、いつの日か、この人材を表舞台に出したいと考えていました。
そんな時に、さがみロボット産業特区に指定をされました。
そして、さらに発足したばかりの「ATSUMO」という新グループの知名度を上げるためです。
厚木市は、B-1グランプリや大道芸、フードバトル等のイベントがあり、商業、サービス業は盛んですが、工業関係はイベントも少なく目立たないため、この機会に、ロボットを使って、工業の花形でもあるメカトロの集合体で大きな花火を打ち上げようと意見が一致して、今回のロボット製作に至ったわけです。
現在、開発しているロボットの設計については、基本的には神奈川工科大学さんの研究室にお願いしておりますが、先月の30日に、初のロボットをお披露目するプレス発表をいたしました。その際のロボットの動きが悪く、我々はものづくりの仲間ですから、加工精度や強度、その辺りが学生さんレベルでは少し厳しいのではないかと考えて、急遽皆で話し合いました。
本来は、今回の試作ロボットで、トライ・アンド・エラーを繰り返して、来年には人間のようなロボットを歩かそうと計画していました。その際には我々市内のメーカーがみんなで部品をつくる予定ですが、このままでは試作といっても少し危ないぞということになり、我々仲間の中で、「この部品は当社でつくる」「この部品は御社で頼む」という話になり、手分けして現在、製作しております。
来月、国際ロボット展が東京であります。それに出展して歩かせるぞとの目標で、学生さんたちも、我々ATSUMOのロボット担当の委員長も、徹夜体制で頑張っております。
我々ATSUMOは、ロボットをつくるためだけに設立したわけではありません。
産学公の連携を積極的に実施して、ロボットも、今後は動くだけではなく、どんどんスキルアップさせていくことを考えています。
当面の課題は、ロボットにしゃべらせることで、厚木市内の小学生を対象にオーディションを行い、その中からロボットの声をつくっていこうと進めております。
これからも、ロボットがどんどん進化していくことを夢見ながら、その中で産学公の連携をこれからも積極的に進めていきたいと考えております。
私たち神奈川県総合リハビリテーションセンターは、県立の施設として今回のさがみロボット産業特区に率先して関わらせていただいております。また、厚木にある、チームアトムというロボット開発グループに医療関係者として加わっています。チームアトムの話は、一昨年の座間での対話の広場で、チームアトムのリーダーと神奈川工科大学の山本教授が話していますので、今日は、介護、リハビリのユーザー側としての希望を含めまして、こういう世界でロボットというのは何だろうという意味をわかっていただきたいと思って用意してまいりました。
県の政策課題として、知事は「いのち輝く」というキャッチコピーをつくってくださいました。介護、医療、高齢者にやさしいまち、地震や豪雨で困っている人を守るというような観点から、生活支援ロボットの実用化が特区のテーマになったようです。これは非常にありがたかったです。
その中で、厚木地区は、介護、医療に抜擢されています。この地域には、複数の大学や日産自動車、ソニー、リコーなどの多くの大手企業さんもいらっしゃいます。それから、先ほどの中村さん達のような中小企業さんも、ものすごく沢山あります。チームアトムさんもそうです。そういう人たちが一緒になってやれると良いなと思います。
そういう中に私どもがおります。ユーザーの代表として、役に立つか、使えるか、大丈夫かなどの実証実験をやる役として、我々が存在しております。といいますのは、総合リハビリテーションセンターの中に研究部があり、リハビリテーション工学研究室を持っています。そこでいろんなものを試すテストや改良の指示などに携わってまいりました。
具体的にはこんなものがあります。ただの車椅子ではなく、転ばない車椅子。段差がある所も何とかなる車椅子。あるいは車椅子から容易に立ち上がれるようにする車椅子。いっそのこと車椅子のまま自動車を運転したい。電動車椅子に替えたいといったものです。こういうものに対して、いろいろユーザー側からのコメントをしてまいりました。 身近では、ノンステップバスに車椅子がひょいと乗れるようにしたのはリハセンターです。おもしろいのは、長野パラリンピックで、大日方さんたちがスラロームスキーで優勝しました。あのチェアスキーを国と一緒になって作ったのが神奈リハセンターです。
そのように、ずっと福祉機器、リハ機器に関わってまいりました。以前から1年に1回、そういうものを集めて、ユーザーの皆さんに理解していただくチャンスもつくったりしています。
そういう中で、実際に役に立つロボットというのはどういうものかというと、人が行うことを代わってやってくれる、力不足のところを補ってくれる、あるいは、手術ロボットみたいに、人がやるより確実に、震えないで、きちんとやってくれるといったものです。そういったロボットの役割を追求していきたいと思っています。
ロボット産業特区では生活支援ロボットをつくることになりました。災害対応、介護・医療対応、高齢者や一人暮らしの方への対応、こういったことをテーマにしていただきました。今日は介護の医療現場で使われるロボットについてお話ししていきたいと思います。
要介護の人にとって、移動すること、またそれに対して介助されること、あるいは心地よく安全に一人暮らしができること、日中独居なんていうこともよくありますよね、そういうことに対する支援ができないかということです。
もう一つ大きな問題があります。介護者の負担です。介護士さん、看護師さんの労災で一番多いのは腰痛です。看護師の30パーセント以上が安全室に腰痛で悩みを訴えにきます。職業病になっているわけです。これは大人を抱きかかえることが大きな要因です。
もう一つ医療支援の方で言えば、手術ロボットというのも進んでいますが、一番必要なのは、リハビリテーションの助けになるような、訓練士さん以上のことを代わってやってくれるロボットです。それによって、障害の克服、軽減につながることがあり得ると思っているからです。
介護の原点というのは、本人の移動、例えばベッドから車椅子に移る等の移動の介助、それから、お風呂の介助です。お風呂に入れるのは非常に大変なことです。こういうところに何か人間の力だけでないものがあったらいいなと思っています。
それから、視覚障害の方が、つまづいたり、段差で落っこちたりしないように、階段も上り、目の前に何かがあったらよけてくれる、そういうロボットを、今藤沢の方でつくっています。盲導犬ロボットと言っています。
ロボットっていっぱいあるのです。移乗する、抱きかかえるためのロボット。歩くための補助機器。それから、持つということも大事です。そういうためにいっぱいつくられています。ですけれども、なかなか市場に出せないのです。いろんな規制があります。安全性の問題があります。そういうことで、研究までは行くのですが、実用化までいっていない。これが実態です。
一番実用化されてきているのが、人を癒したり、会話したりする、コミュニケーション用のロボットです。そのロボットに監視カメラをつけて、同時に見守ってしまおうというような工夫をしたロボットは、すごく進んできています。
今日展示されているパルロ、後で御覧ください。これで認知症の進行が止まったり、一人暮らしの家で危険信号を発してくれたりといった効果につながっているわけです。
では、リハビリテーションの分野で、ロボットはどういうふうに使われるべきか。
一つは、電気自転車のように体にくっつけるもので楽に歩けるようにしたいと思います。
あるいはリハビリの訓練用として、訓練士や療法士さんの力を借りなくても、長時間、長期間苦にせず、あわよくば楽しんでやれるような、ロボット的なものがあったらいいなと思うわけです。リハビリをなさる方たちは、まず、移動できるようになりたい、そこからスタートです。ですけれども、次になかなか難しいのが、握る、掴む、摘まむ動作です。特に、拘縮という症状で、体が固まってしまうことがあります。それを、療法士さんとか、家族とかがついて、反復訓練をするのですが、なかなかままならない。こういうところにもロボットがほしいなと思っています。
今、当リハセンターでは、いろいろなロボットの実証実験を行っています。代表的なものを三つ説明します。
まず、足漕ぎ車椅子です。車椅子というのは、下半身麻痺の方が手で動かすものだという固定概念があります。ですけれども、これは足で漕ぐ車椅子です。半身不随の方だったら漕げるんです。漕ぐと、麻痺している足が、あ、こういう運動があったんだということを思い出してくれる。そういうことが訓練を出発させるきっかけになるとか、そういう意味でこれを創った人、いいぞっていう実証結果を感じています。
次は、有名になってきたHALです。動きにくい足につけてモーターの力で歩かせてくれる、それこそ電動自転車ですよね。すごく精度のいいコンピュータシステムで、大がかりすぎて、普及させていくには、まだ数歩あるなと思いつつ見守っております。
最後に我がチームアトムのパワーアシストハンドです。先ほど申し上げたように、なかなか治りにくい、動かなくて最後まで取り残される手の動き、手首・指の動き、これを、かちかちにならないようにしたいということで、グーパー、グーパーの練習器械をつくりました。非常に簡単なのです。スイッチを押したら開く、また押したら握る、そういう訓練。これも訓練士さんがいない所でもできるわけですね。既に在宅で試し使いしてもらっている人たちもおります。グーパー、グーパーができるなら、グー、チョキ、パーができてもいいよねと、そういう改良に今挑戦しています。これがうまくいけば、リハビリの練習だけでなく、動かない手でお茶碗を持たせる、スプーンを持たせる、そういうことも不可能ではない未来があるわけです。
我がチームアトムは、厚木にある神奈川工科大学と密接なつながりがあります。チームアトムは、中村さんたちのグループの隣の教室と共同で、圧搾空気でベローズ(蛇腹)を動かすだけで、体をいろいろ動かせるようにするアシスト器具を創りました。先ほどのハンドのほかにも、足首の尖足を治そうと、これで足首をギッコン、バッタンと動かせるものも創っています。
我々の最終的な目標は腰痛を守ってくれる介護援助ロボットです。電動自転車のような補助力作用で、半分あるいは3分の1の力で患者さんを持ち上げられるようになったらいいなと、これを厚木の地で実現させる製作に協力している次第です。
今の、お二人の発表にさがみロボット産業特区の話が出てまいりました。最初にお話しすべきだったかもしれませんが、この地域は2月に、さがみロボット産業特区に認定されました。
ロボットにもいろいろあります。山下院長がお話しされた生活支援ロボットというのは介護ロボットとか、医療ロボットとか、災害救助ロボットです。
特区を取るために、全国で非常に激しい戦いがありましたが、勝ち取るために我々がアピールしたのが、さがみ縦貫道路です。2年後には全部つながります。相模原から厚木、藤沢、平塚、この縦のラインです。ここには、様々な中小企業のすごい潜在力があります。科学者も人材もたくさんいます。新しいロボットを開発するための実証用のフィールドもたくさんあります。これをアピールして勝ち取ったということです。
実は今日、私がロボット産業関連について話をするのは3回目です。先ほどまで湘南ひらつかテクノフェアで、HALという介護ロボットの開発者の筑波大学の山海先生とトークショーをやっていました。このテーマがいかにホットか、ということの表れですね。
さがみロボット産業特区の話をわかりやすくするために、若干、御説明したいと思います。なぜこういうことが必要なのかということです。
神奈川県の人口ピラミッドの絵で、1970年はきれいな人口ピラミッドでした。85歳以上は、ほとんどいませんでした。それが2050年になりますと、全く逆のピラミッドになります。一番多いのが85歳以上です。劇的に変わってきます。
ここから何が言えるかというと、これまでのシステムでは絶対通用しないということです。この段階になったら、例えば病院は機能を発揮できなくなります。ですので、変わらなければならないのです。そういった中では、介護を支えるためのロボットの力も必要だということなのです。
高齢化社会を乗り越えるためには、最先端医療技術の追求と未病を治すという考えを融合させていくというアプローチが有効だと思っています。
未病というのは、病気ではないけれど、何となく具合が悪いという状態を言います。これは漢方の考え方ですが、健康と病気という対立概念ではなくて、健康がだんだん病気になっていくという未病という考え方です。だから生活の場からモニタリングしていこうと考えています。
先ほど、人間の形をしたロボットや、いろんな補助をするロボットの話がありましたが、我々のロボットの定義は、センサーで判断してアクションをする、これがロボットということです。
だから、お掃除ロボットもロボットです。あれは全然人間の形をしていないですが。それから、駅の改札機、あれもロボットです。そういうことで、いろんなロボットを追求していくということです。
そうすると、こんなものもロボットになってきます。ウォシュレットに消臭機能が付いています。ガスを吸い取り、分析し、電波で飛ばします。それによって体の中の状態を、日常生活の中でモニタリングしていくというわけです。それから、声を分析するだけで、うつの状態がわかるという技術開発も行われています。他にも、輪っかをはめるだけで、体の中のあらゆる情報がデータ化されていくという技術も進んでいます。
以前、全く痛くない注射針で自己採血して血液分析をするという技術を紹介したと思えば、どんどん新しくなっていまして、もう血を採らなくても手をかざすだけで血液の状態まで判るようになります。健康診断に行かなくても、日常生活の中から未病の状態がデータ化されていくということなのです。それとともに、カルテ情報の電子化によって、膨大な情報を分析して、一人一人に合わせた形で未病を治していきます。
そうやって超高齢社会を乗り越えていこうということなのです。これが国家戦略特区にも手を挙げている、神奈川県の「ヘルスケア・ニューフロンティア」という考え方です。こういった全体の中における、ロボットという位置づけなのです。
先ほどHALの話がありました。HALの開発者の山海先生とは長い付き合いなのですが、HAL はどんどん進歩しています。ところが、このHALは、日本で未承認なのにドイツでは医療器械として認められました。日本がだめなのはこういうところです。
特区になった意味は何かというと、特区で日本を変えていこうということです。日本は規制がいっぱいあります。特区とは、何が特別の区かというと、このエリアだけは規制を緩めてほしいということです。それがなければ特区の意味はありません。
2月に特区を勝ち取って、規制緩和を求める項目を出しました。例えば、医療ロボットや介護ロボットを実証していくためには、医師主導の治験だけではなく、企業主導の治験ができるとどんどん開発されていくので、それをやりたいとか、自動運転システムの実験のためには道路交通法の規制のことなどがあります。また、何か実験するために強力な電波を出して動かすということも必要になってきます。そういう規制の緩和の項目を全部挙げて、国に求めていきました。
そうしたら、最初に返ってきた答えは、全部だめでした。私は、これだから日本はだめだと言ったのです。日本に特区は今まで山ほどありました。しかし、特区によって何が変わりましたか。誰も答えられない。
私は、2日前に中国から帰ってきました。中国は、政治体制を何も変えていないのに、経済開放特区をつくったことによって、国全体がどーんと変わりました。なぜあれが日本でできないのですか。
一つ一つの規制緩和を求めると、それぞれを担当している役所に全部判断が求められます。そうすると、皆だめだと言うのです。だから、特区であっても規制緩和できないのです。
私は、今回もそんなことを繰り返すのか、こんなもの特区ではない、名ばかり特区だと言ったのです。今、アベノミクスで第3の矢といって成長戦略を回していかなければいけない、そんな重要なときに、また名ばかり特区を繰り返すのかと言って、怒鳴り込んでいきました。
今、神奈川には強力なサポーターがいます。菅官房長官と甘利大臣は神奈川の人ですから。二人に、名ばかり特区、これではだめだと言いに行ったら、そうですねと言ってくれて、役所にぶち当たってくれました。そうしたら、その規制のいくつかが崩れてきまして、かなり規制緩和が進んできました。今までなかったことです。
ただ、なかなか厳しいところもあります。だから国家戦略特区に我々は手を挙げて、さらに大きな挑戦をするぞということを言っているということなのです。
先ほどの中村会長のお話を聞いて、嬉しいと思ったのは、さがみロボット産業特区が認められたこの機会を使って、花火を打ち上げようではないか、という気持ちになってくださったということです。
今はすごいチャンスです。ここはものすごくホットなエリアです。なぜかと言えば、超高齢化社会という乗り越えなければいけない課題があるからです。
そのためには、こういったロボットを使っていかなければならないと思います。だから進めているわけです。そこにはビジネスチャンスは山ほどある。そして新しい技術開発がどんどん待たれている、というところだと思います。そのためにはどんな挑戦をしていけば、世の中の役に立って、ビジネスも成功し、経済のエンジンも回していけるかということを、ここから皆さんとともに議論をしていきたいと思います。
参加者発言1(海老名市・男性)
介護・福祉のことをしている者です。介護ロボットのことで具体的に言いますと、例えば神奈川リハセンターに1台入ったら、これは無償としてやっていき、それを使ったところには介護保険の点数をつけていくというようなことを考えていけば、もっといろいろやることはたくさんありますが、介護の問題については解決してくるのではないでしょうか。
これは、厚生労働省の関係になりますが、知事からそれを強く押し進めてほしいと思います。
そうしていけば、結果的には会社、工場も巻き込んで、全体がアップするのではないかと思います。
新聞にも出ていたと思うのですが、同じようなことをいろんな先生が大学でやっているのですが、車みたいに同じものがたくさん出ないので、研究だけで終わってしまっているというのが実態です。
私は自分でも支援を受けているので、つくづく感じております。
知事発言
HALも医療機器として認定されれば、保険で使えるようになります。
今そのための治験をしている最中だそうです。
健康保険が適用されるように急がなければいけない、そう思います。
参加者発言2(厚木市在学・女性)
松蔭大学観光メディア文化学部から来ました。
「ロボット=さがみ」というイメージをどのように定着していくかということを、ここにいる大学のメンバーで考えてきました。
その中で、定着させる前提として、どう活用するか、どうPRしていくかという2点が挙げられました。
私は観光を学んでいるので、観光+ロボットで効果的にPRできるのではないかと思います。
体験型交流観光という、県央地域を中心とした活動に大学で携わっており、その一貫として愛川ソーラーパークに行きました。ソーラーパークはとても広くて魅力的ですが、観光地としてはパンチが少ないのではないかというのが本音です。
そこで、私はソーラー電池で動くロボットを推奨したいと思います。
ソーラーパークにはソーラーパネルがあるので、小学校などの社会見学として人気が出ることが期待できます。小学生になじみのあるソーラー電池で動くミニカーや、F1などのレースを絡めれば、エンターテインメント+教育教材として、PRできると思います。小学校に限らず、共同開発されたロボットの体験見学ができれば、客層が広がるのではないかと思います。
次に、今私が気になっているのが、移動を手伝ってくれる、車椅子型ロボットです。
世界遺産になった富士山に、誰でも登れるようにと、エレベータをつくる提案があったそうなのですが、誰でもが登る必要はないとのことで、そのエレベータの企画は却下されました。私も、エレベータをつくるというのは、賛成できません。
しかし、誰でも富士山に登れるという、そういう考えは必要だと思うのです。
そこで、この車椅子型ロボットをもっと進化させて、誰でも富士山に登れるようにしていけばいいのではないかと思います。
しかし、ただ座っているだけでは、頑張ったとか、登ったという実感がないので、握力でスピードが変わったり、非常ボタンをつけることで家族とすぐに連絡が取れたり、ロボットと会話ができれば、楽しくなるのではないかと思いました。
ソーラー発電は、次世代のエネルギーでもありますし、ロボットはどんどん研究開発がされており、未来的です。
その未来を感じる観光地として注目されることで、「さがみ=ロボット」のイメージが多くの方に定着すると思います。
知事発言
こういった発想って、すごく大事だと思います。生活支援ロボットを広げていこう、開発していこうと言っている中で、観光と組み合わせたらどうだという発想。
私も「さがみと言えばロボット」というふうにしたいので、「さがみ」に行ったら、ロボットが感じられるぞというのを同時にやっていくというのは非常に大事なことだと思っておりまして、実は密かに我々も考えています。
お話にあったように富士山にも登れるようにしようと言ったときに、寝たきりの人が登れるわけがないとなるのだけれど、そうではなくて登れるためにはどうすればいいかということを考えるところから始まってくるという、それはあり得る話ですよ。
だって、今日見た山海先生のVTRでは、両足切断した人がHALを両脚につけて歩いて階段を上っているんです。どういう構造になっているか聞いたら、脳が足を前に出そうとしたら、その神経の電流をキャッチして、それでモーターを回して足が動くというのです。信号をキャッチしてからモーターを回したら、人間は前に歩けないのだそうです。瞬間に頭は前へ出ているので、ばたんと倒れてしまうのです。人間の体ってすごいですね。信号が来そうだということをキャッチして、足も前に出てくる。それをセンサーでキャッチする技術まで開発したというのだから、すごいと思いませんか。こんなすごいテクノロジー、日本初ですよ。
だから、「富士山へ登ろう」なんてキャッチフレーズをつくってやっていくというのは、全く正しい。2020年東京オリンピックの年、「見てください、この人は両足ないけれど富士山を登っていますよ、すごいですね日本は。」と、レポートしてほしいではないですか。
すばらしいですね。
参加者発言3(海老名市・男性)
最近何でもかんでもロボットというのですが、ロボットの定義はありますか。
今、知事はセンサーで判断してアクションを起こしたらロボットだと言われたのですが、昔の産業機器とか小力機械はみんなロボットなのですか。
知事発言
何をロボットと言っているのかということですが、とりあえずロボットと言わせてもらっているという状況です。
例えば、以前、日産の社長さんと話したときに、うちこそロボットだと言うのです。
何だといったら、自動走行の車だというのです。ナビゲーションで、全部判断していくという。だから、車までロボットなのかというところになります。
そういうのを聞くと、ロボットの定義を少し変えなければいけないというところですけれども。
しかし、一番は、「ロボット」というと何となく未来な感じがしますよね。
何か助けてくれるのではないかというイメージがあるので、ロボットという言葉を使っていますが、厳密にそれはロボットなのかと言われると、それはちょっとわからないところは確かにあります。
参加者発言4(厚木市在勤・男性)
銀行の厚木支店で法人担当をしています。
学生時代を過ごした厚木市に何か恩返しがしたいと漠然と思っています。地域金融機関の担当者として、何ができるかというのをお伺いできればと思います。
知事発言
そんなことを聞いてもいいのですか。ここに来ている人に、銀行さんに何を期待したいですかと聞いたら、お金を貸してください、ではないでしょうか。
つまり、現場で頑張ってらっしゃる方が新しいことに挑戦しようというときに、金融機関から、まだ未成熟だけどおもしろいと、どんと融資されるということが、一番やってほしいことではないかと思います。
何をやろうとしているエリアなのかという方向性だけはしっかり見えているはずですから、その中で、皆さんが持っているいろんな技術のうち、この技術とこの技術を組み合わせれば、こんなロボットができるのではないかということだってあるわけです。そういった意味で我々はオープン・イノベーションで、中小企業が集まって新しいものをつくっていくサポートもやっております。
だから、金融機関がそれを見極めて、では、ここは支援しましょう、という感じで動けば、この流れは加速していくのではないかと思います。
参加者発言5(綾瀬市・男性)
介護ロボットに関してということで、規制緩和のことをおっしゃっていましたけれども、外国を含めて、こういったものは非常に迅速な対応や開発が必要なのではないかと思っております。
医療関係、医師会についても定員問題などいろんな問題がある中で、どのように感じられてますでしょうか。
知事発言
スピード感、これは今の時代大事だと思います。
こちらはさがみロボット産業特区ですが、もう一つの特区が神奈川にあります。京浜臨海部のライフイノベーション国際戦略総合特区です。これは川崎、横浜が中心でしたが、今、特区拡大があり、県内全域にかなり広がっておりまして、藤沢の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスも特区拡大に選ばれました。ここはまさに最先端の再生医療など、医療を追求していこうというところです。
しかし、日本の中では承認が遅いのです、今まで。先ほどお話ししましたが、HALが日本では未承認なのに、ドイツではもう使われている。医薬品とか医療機器の分野ではこういったことが多いのです。
結果的に日本人が高いお金を出して外国から輸入しているということなのです。だから、圧倒的に輸入超過となり、年間1兆9000億円が、日本から外へ出ていっているのです。この流れを逆転しようということで、二つの特区を連動させながら今動いています。
そんな中で、日本でもたもたしているのであれば、先に海外で承認してしまおうということで、ライフイノベーション国際協働センターというものをつくりました。アドバイザーを、アメリカのFDA、そういうものを承認するところの元次官、ジョン・ノリスさんにお願いしました。
このスピード感がどういうスピード感かというと、通常そういうものをつくろうとしたときには、ビルができ上がってから部屋ができ上がって、組織ができ上がり、始まるでしょう。もうそんなこと待っていられないから、今ある部屋を使ってしまおうといって、もう始めています。そうすると、どんどん案件が持ち込まれます。びっくりするような企業がどんどんやってきています。名刺交換をすると、おたくがライフイノベーションとかヘルスケアとかをやっているのですか、と思わず聞いてしまうような企業なのです。これが今の時代です。
ベンチャーの今の新しい動きというのは、企業の中でベンチャーを築くのです。企業の業態そのものが、新しい分野へ変わっていってしまう。
富士フイルムは、この間まで写真のフィルムの会社でした。ところが、カラー写真の技術を利用して、化粧品に入ってきました。今、医薬品の開発までいっています。それとソーラーパネルのフィルムもやっているのです。
味の素はアミノインデックスの技術を追求して、ライフサイエンスのフロントランナーです。血液を分析するだけでガンがわかります。
つまり、大企業であっても、この世界に来ているということは、まさにニーズがあるからです。課題がここにあるから乗り越えなければいけない。そこにはビジネスチャンスがある。生々しく今実感しています。
参加者発言6(厚木市在学・男性)
松蔭大学経営文化学部の学生です。
学生の皆で、いろいろ考えている中で、「さがみ」に来ればロボットと触れ合える、こういうことを定着させれば、「さがみ=ロボット」になるのではないかと考えました。
ロボットは自分たちにとって身近ではないので、少し難しかったです。
どんなロボットがあればいいか考えたのですが、今日いろいろと発表を聞いている中で、もう既に開発されているものがけっこう多いという印象を受けました。単に私が知らなかっただけかもしれないのですが、こんなロボットがあるということを知らない人はけっこう多いのではないかと思いました。
その中で、さがみロボット科学館とか、そういったものがあれば、ロボットと触れ合ってロボットの安全性や信頼感、そういったものを体験できるのではないかと思いました。
あと、すぐには難しいかもしれませんが、ロボットと一緒にゴルフなどスポーツができれば、「さがみ」に行くとロボットと一緒に遊べるとか、触れ合えるというイメージが定着するのではないかと考えました。
知事発言
実は、今度、湘南ロボケアセンターというものができます。これはHALを使ったスポーツジムみたいなものです。HALのようなものは皆さんに体験してもらわないと、わからないではないですか。スポーツジム、フィットネスクラブにHALが置いてあって、そこに障害を持った方もやってきて、それをつけて実際やってみます。
先ほどもお話がありましたけど、ロボットと言っても、どのロボットを頭に浮かべるか、みんないろいろ違うのではないですか。
でも、どれでもいいのです。未来だから夢を考える、楽しいではないですか。超高齢社会だといって、大変だなと思うのではなくて、みんなが長生きできて楽しくて、そして明るい社会になっていくために未来志向で考えると楽しくなります。
ロボットは、そういう夢を与えてくれるところがあります。
そういった面でこのプロジェクトを前向きに進めていきたいと思っているところです。
時間がちょうどまいりましたので、今日はここまでとさせていただきたいと思います。
このロボット産業特区、これが本当になっていくかどうか、この地域にかかっています。是非皆さんの力で、新しい時代を共に創っていきましょう。
今日はありがとうございました。
このページの所管所属は 県央地域県政総合センターです。