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更新日:2018年3月30日
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『県民とともに考える オリンピック・パラリンピックの意義と横浜国大の役割』
平成29年11月17日(金曜日)に横浜国立大学教育文化ホールで、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、「横浜国立大学 オリンピック・パラリンピック特別公開講座 2017」が開催されました。日本のスポーツを牽引する方による講演や鼎談(ていだん:3人で向き合って話をすること)を通して、県民の皆様とともにスポーツの意義や大学の役割について考えました。
【第一部】
開会挨拶
横浜国立大学 学長 長谷部 勇一氏
「本講座に多くの方にご参加いただき、ありがとうございます。2020年に向けて、あるいはその先に向け、大学がどのようなことができるか、皆様と考えていきたいと思います。」
講演
スポーツ庁長官 鈴木 大地氏
「スポーツの価値を高めるために ―第2期スポーツ基本計画で伝えたいこと―」
第2期スポーツ基本計画の概要が説明され、スポーツの可能性について興味深いお話をたくさんいただきました。
忙しくてなかなか運動する時間が確保できないというビジネスパーソンや、スポーツに関心がなかった人にも着目し、いかに「誰もが」スポーツに親しめるかという提案がありました。また、「誰もが」という点については、障害者ももちろん含まれており、障害者のスポーツ実施率向上のために、スポーツ環境の充実を図ったり、障害者スポーツを総合的に振興する体制を整備したりしていくとのことです。
そして、「2017年に北海道札幌市で行われる『2017冬季アジア札幌大会』に始まり、ここから5年間は国際メガスポーツイベントが連続して国内で開催されます。スポーツに関心が高まる絶好の機会ととらえ、スポーツの力ですばらしい未来を創っていけることを期待しています。」と話されました。
(余談)
鈴木大地長官は、「スーツ姿であっても足元はスニーカー」という運動に親しみやすいスタイルを紹介していました。「日頃忙しいビジネスパーソンであっても、アクティブなファッションで『階段で上がろうかな。』『ひと駅歩こうかな。』という気持ちになります。自分は、1日8000歩を目標に、日常生活の中に運動を取り入れている。」と話されていました。
本講座の趣旨説明
横浜国立大学 学長 長谷部 勇一氏
「横浜国大におけるスポーツと地域貢献」
「横浜国立大学では、オリンピック、デフリンピック、スペシャルオリンピックスなど世界でで活躍するアスリート学生を育ててきました。『スポーツを支える』という視点では、地域スポーツと連携して、多くの運動部活動が地域スポーツを支えています。2020年オリンピック・パラリンピックに向けて、学術での貢献、神奈川県との連携、県内開催競技(野球、ソフトボール、セーリング)への協力、パラリンピック開催協力、知の拠点となることに力を入れていきたい。」というお話がありました。
講演
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会SCO(スポーツ・コーディネーション・オフィサー) 岡崎 助一氏
「東京2020に向けた組織委員会の取り組み」
オリンピック・パラリンピックの目指すもの、大会概要、大会組織委員会、大会ビジョンなどについて詳しい説明をしていただきました。
「1964年の東京大会は日本を大きく変えました。特にハード面が大きく変わったと思います。2020年の東京大会は、ソフト面を大きく変えるべく、『すべての人が自己ベストを目指し、一人ひとりが互いを認め合い、そして、未来につなげよう』を3つの基本コンセプトとしています。」と話されていました。是非それが実現されることを期待したいです。
【第二部】
アスリート鼎談(ていだん:3人で向き合って話をすること)
「見て聞いて感じるー世界をつなぐスポーツコミュニケーションー」
パラリンピック競泳金メダリスト、日本パラリンピアンズ協会会長 河合純一氏
1992年バルセロナパラリンピックより、競泳男子の視覚障害クラスで6大会に連続出場し、金メダル5個を含む計21個のメダルを獲得。2012年に37歳で出場したロンドンパラリンピックで自己ベストを更新。加齢とともに肉体の衰えがあるはずなのに、なぜ37歳にして自己ベストを更新することができたのか、という質問に対し「経験が体力や技術を上回ることがある」というお話が印象的でした。
また、「1992年に17歳で出場したバルセロナ大会では、岩崎恭子選手が金メダルを取った直後に同じプールでレースをすることができた嬉しさ、パラリンピックにも驚くほど多くのスペイン観客がいた感動は今でも鮮明に残っている。」とのことでした。「いつか日本もこんな姿になってほしい」という当時からの強い願いが今の活動につながっているのだと感じました。
さらに、「障害があっても同じ学生、同じ選手として早稲田大学の部活動で一緒に練習が積めたこと、海外の観客が大声援を送ってくれたこと、パラの世界を知ってもらうためには選手であり続けないと発信力がないと感じていたこと。」など、考えさせられるお話がたくさんありました。
アテネ五輪柔道金メダリスト、リオ五輪柔道男子日本代表コーチ 鈴木桂治氏
2004年アテネオリンピック柔道100kg超級で金メダルを獲得し、スポーツ紙の表紙を飾るほど栄光を称えられました。ところが、その後のオリンピックでは世界の壁にぶつかり、無念の初戦敗退を経験。「悔しいという想いよりも情けないという想いが強く、世間のオリンピック熱が冷めたころに一人で帰国したかった。」と当時を振り返ってお話くださいました。
これまでの経験を踏まえ、コーチとして迎えた2016年のリオオリンピックでは、日本代表に「世界一になるための稽古、世界一になるための人間性、世界一になるための生活」という柔道改革をし、世界に誇る日本柔道が復活の兆しを見せました。世界の壁が厚くなっている背景には、日本柔道にはない海外格闘技が根底にあることに着目し、現在は、多種目との交流も積極的に行い、琉球相撲やロシアの格闘技であるサンボを通して柔道にはない体の使い方や力の入れ方も学んでいるそうです。
2020年東京オリンピックに向け、日本柔道は着実に前進しています。
ロンドン五輪女子100mハードル日本代表 木村文子氏
教師になることを目指し、大好きな陸上競技との文武両道ができる横浜国立大学に進学した木村選手。当時は、オリンピックを目指すということはまだ考えていなかったそうです。
そんな木村選手の初の国際舞台となったのが、2012年のロンドン五輪でした。経験とともに着実に力をつけ、2017年のロンドン世界陸上では、100mハードル日本人初の準決勝進出を果たしました。オリンピックと世界選手権を同じロンドンの地で経験し、日本と大きな違いを感じたのは観客の数と応援のすごさだそうです。ロンドンは陸上愛好者が多く、オリンピックでは約8万人、世界選手権では約6万人もの観客がものすごい盛り上がりを見せていたのに対し、日本は多くても約2万5千人程度とのことでした。
「桐生選手の100m9秒98という大記録の裏には、スタジアム満員の観客の応援が後押ししたということもあり(木村選手が桐生選手から実際に聞いた話)、『みる』ということが『支える』ことにつながっている。」というお話が印象的でした。
コーディネーター
2016年リオデジャネイロオリンピック日本代表選手柔道チームリーダー
横浜国立大学教育学部教授 木村昌彦氏
ご自身の経験も踏まえながら、上手に3名のお話を引き出してくださいました。時にジョークを交え、会場を沸かせました。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、
神奈川もさらに盛り上がって行きましょう。
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