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更新日:2024年4月25日
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「小・中学校における政治的教養をはぐくむ教育」検討会議の会議録を掲載しています。
次の審議会等を下記のとおり開催した。
「小・中学校における政治的教養を育む教育」検討会議(第1回)
平成28年5月27日(金曜日)14時30分から16時30分まで
かながわ県民センター12階第一会議室
西野 偉彦(座長)、田野口 則子、永野 直樹、森 英夫、坂本 和彦、井上 和子(敬称略)
県教育委員会:桐谷教育長、遠藤支援部長
事務局:宮村子ども教育支援課長、古島専任主幹兼GL、立花指導主事、浅井指導主事、
下反指導主事、後藤指導主事、吉澤指導主事
平成28年10月頃(日時未定)
【司会(古島専任主幹兼GL)】
ただいまから「小・中学校における政治的教養を育む教育」検討会議第1回を開催いたします。
お手元の次第に即して、進行させていただきます。
なお、本日、金子委員から欠席ということで連絡をいただいておりますことを御報告いたします。
開会にあたり、神奈川県教育委員会を代表し、桐谷次郎教育長より御挨拶を申し上げます。
【桐谷教育長】
改めまして、皆さんこんにちは。県教育委員会教育長桐谷です。
本日お集まりの皆様方には大変お忙しい中、当検討会議にお引き受けいただいて本当にありがとうございます。御礼を申し上げます。
第1回目の検討会議ということで一言、御挨拶を申し上げます。
御案内のとおり、昨年6月の公職選挙法の改正で18歳選挙権となり、教育現場のみならず様々な所で子どもたちの政治参加教育について議論がございます。
神奈川県の状況については、高等学校段階ですと平成22年に全県立高校で、クラス単位や教科単位ということではございますが、参議院議員選挙に合わせて模擬投票の実施をしております。
平成23年度からは、政治参加教育、司法参加教育、消費者教育、道徳教育の4つからなるシチズンシップ教育を進めておりまして、平成25年の参議院議員選挙におきましても、全校で模擬投票の実施をしてきた状況がございます。
また、昨年、法改正がなされたときも国の指導用資料や副教材に先駆けまして、県教育委員会独自で指導用資料を作成し、生徒に配付をしてまいりました。
実際に今、高校で学んでいる3年生の一部は、この夏に予定されている参議院議員選挙で、実際の選挙に臨む、そういった状況になっております。
そうしたことも含めまして、高等学校段階では「政治参加教育」ということで若い力を入れさせて頂いたというのが実状になります。
一方、小・中学校段階、当然それぞれの教科等においても、取組がされてきておりますが、国や中央教育審議会の分科会の中で、「国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養う教育の充実」という表現が使われております。
こうしたことから県教育委員会としては、これまでの県立高校での取組への接続、もうひとつが小・中学校の9年間、それを踏まえた中で「政治的教養を育む教育」の在り方をご検討頂きたいと思います。
そのようなこともありまして、今回の検討会議を開催させて頂いたところでございます。今、神奈川で学んでいる小学生、中学生、高校生が必ず将来、この神奈川を作っていく人材に育ちます。
そうした子どもたちに、何をどのように教えていくべきなのか、ぜひ皆様の御見識の元で自由闊達な御議論をいただければと願っております。
大変お忙しい中で御検討を頂くこと、大変申し訳ございませんが、ぜひ神奈川の次の世代へという観点からも、よろしく御議論くださるようお願いし、成果をと願っております。よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
【司会(古島GL)】
続きまして検討会議の委員の皆様、及び事務局を御紹介させていただきます。
まず委員の皆様から、恐縮ですが御起立頂き、自己紹介していただきますようお願いします。
(委員、事務局の自己紹介)
【司会(古島専任主幹兼GL)】
以上の出席者となります。どうぞよろしくお願いいたします。それでは次にこの検討会議の座長の確認に入らせて頂きます。説明資料の5ページの「小・中学校における政治的教養を育む教育検討会議の設置及び運営に関する要綱」をご覧になってください。
こちらの第5条第2項に「座長は学識経験者にある者をもってあてる」とあります。従いまして、西野偉彦委員に座長に就任して頂きたいと思います。
みなさん、よろしいでしょうか。
(賛同)
ありがとうございました。
それでは座長につきましては、西野委員にお願いしたいと思います。
西野委員、恐れ入りますが座長席にお移りいただきたいと思います。
それでは、座長が決定いたしましたのでこれからの協議の進行につきましては西野座長にお預けいたします。なお、協議の途中ではございますが教育長につきましては所用のため退席させていただきます。
また報道関係者の方におかれましては、ここからの写真撮影については御遠慮願いたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。
それでは西野座長、よろしくお願いいたします。
【西野座長】
改めましてどうぞよろしくお願いいたします。
それでは初めに説明及び協議1、「小・中学校における政治的教養を育む教育」と検討事項につきまして、事務局からお願いします。
【事務局(吉澤指導主事)】
事務局の吉澤と申します。よろしくお願いいたします。
先程も何度かお手元の資料を見ていただきましたが、説明資料の1ページを御覧ください。説明資料1ページの1、「政治的教養を育む教育」について御説明いたします。
「政治的教養を育む教育」というのは、昨年6月に公職選挙法が改正され選挙年齢が満18歳以上に引き下げられたことに伴いまして、初等中等局長通知が出されました。平成27年10月という形で、高等学校等における政治的教養教育と高等学校等の生徒による政治的活用等について、通知が出ております。
また、平成27年12月までに、全国のすべての国公私立高等学校向けに配布されました総務省、文部科学省の副教材及び指導資料を参考資料として皆様のお手元に配布しております。御確認いただければと思います。
実際のものにつきましては、カラー版ですべての高校生に渡っております。また、指導資料は高等学校の教員向けに配布されております。それら、通知および教材に「政治的教養を育む教育」という文言がございます。そちらを取っております。
なお、神奈川県の県立高校ではシチズンシップ教育の一貫として、「政治参加教育」という形で、4本の柱の一つとして位置づけておりまして、『政治参加教育』という冊子と教師用指導冊子を配布しております。
平成27年9月に配布したその冊子も参考資料でお配りしておりますのでご確認ください。
こちらは、国の通知及び副教材の配布よりも先に取り組んでおりまして、「政治参加教育」という形で配布をしております。そのため、高等学校では「政治参加教育」という言葉を使っておりますが、義務教育段階の小学校、中学校段階で考えていくものとして、こちらの「政治的教養を育む教育」と本検討会議では名付けております。御了解いただければと思います。
合わせて、義務教育段階における「政治的教養を育む教育」について御説明いたします。説明資料の1ページの2を御覧ください。
文部科学省では平成27年11月に行われました、小学校及び中学校各教科等教育課程研究協議会社会科部会において、別添の資料にございます配布資料が配られております。その中で高等学校の対応における取組を紹介するとともに、文部科学省の全国の都道府県指導主事、および政令指定都市の指導主事に対する伝達講習の中で配布されたものでございます。
その中で1、2の部分を御覧ください。
特に小・中学校段階については、1「国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養う教育に向けた取組」というようなものと、2「学習指導要領に基づき小・中学校において政治や選挙等に関する教育を実施」の2つが義務教育段階では取り組むことという説明と配布資料がございました。
11月中旬には中教審の方でも、同様にこの内容が配布されております。そういった中で、特に(2)については非常に重要な内容ではございますが、学習指導要領によって各小学校や中学校で今現在も取り組んでいる内容だと思われます。
特に、その下の四角で囲んでいる部分は、学習指導要領を抜粋したものですが、特に社会科については6年生において政治の内容を勉強いたします。
中学校においては3年生で行う公民的分野の中で、政治及び選挙の仕組みについて勉強するとなっています。そういった内容については基礎的、基本的な知識として、従来から学習指導要領において、すべての学校で行われているということですので、とくに検討会議では(1)の内容について検討していきたいと思っております。
お手元の資料、2ページを御覧ください。検討会議の依頼事項として、それらを踏まえまして次の(1)から(4)の検討を依頼という形でお願いしたいと思います。
(1)「政治的教養を育む教育」を通して育てたい力
(2)小・中学校における指導の在り方
(3)本検討会議で最終的に作成いたします、指導資料の作成について
(4)今後の検討の進め方
という形で検討依頼をしていきたいと思います。
それぞれの検討事項についてはこれから詳しくお話していきたいと思っております。
以上でございます。
【西野座長】
はい。ありがとうございました。
ただいま事務局より「小・中学校における政治的教養を育む教育」について、合わせて検討会議への依頼事項の説明をいただきました。委員の皆様から何か御質問、あるいは御意見等ございますでしょうか。
実際、具体的なさまざまなことについては、これから逐一御説明いただきますので、その中から疑問点などございましたら、出して頂けたらと思います。よろしいでしょうか。
これから委員の皆様と小・中学校における「政治的教養を育む教育」についてさまざまな角度から検討協議を進めてまいりますが、依頼事項を十分に認識して議論を深めてまいりたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
それでは続きまして、「小・中学校における政治的教養を育む教育」を通して身につけたい力についてです。事務局より説明をお願いします。
【事務局(吉澤指導主事)】
それでは同じく2ページの4を御覧ください。
「小・中学校における政治的教養を育む教育」を通して育てたい力ということで、特に学校現場で「じゃあ、どういう力なの?」というところを、現場の先生が指導しやすい形に噛み砕いていくにはどうすればよいかを、まず前提として考えました。
そこで神奈川県では、「小・中学校段階における国家社会の形成者として身につける基本的な資質」というところを基本として、この「政治的教養を育む教育」を考えていくことにいたしました。
では、この「基本的な資質」というのはどういったもので育てていくのだろうか、ということですが、基礎的な仕組みや知識、原理、知識を習得するのはとても重要なことです。これがないと活用も出来ない大前提ではございますが、学校現場でそれらを活用しつつ、特に課題解決学習を通して、「より良い社会を作っていくために主体的な社会参画」を養っていくにはということを具現化してみました。
「より良い社会を作っていくための主体的な社会参画」とは何かということで、下の二重線で囲まれている部分を御覧ください。
矢印の先になっております。さらにどんな姿勢という部分で、ここはぜひ、委員の皆さんにそれぞれの考え方をお聞きしたいところです。
様々な課題を通して、特に身の回りの課題、もちろん小・中学校でございますから発達段階があります。小学校については自分の身の回り、学級、学校のようなところにあると思います。
中学生につきましてもそこからさらに地域、市町村、県といったような視野を広げていくことも出来ると思います。
そういった様々な課題を通して他者と連携、協働しながら自らの考えを深め、主体的に判断し、より良い社会のために行動できる姿勢というように、県ではイメージをいたしました。
というのも、18歳になったらこれらの姿勢というのは自然に身に付けるものではないと思います。つまり、いきなり身に付くものではないということです。自然に身に付くものではなくて、小・中学校を通して、発達段階に応じて、経験や体験学習、他者との学び合いを通して身についていくものだと考えています。
そこで、小・中学校を通した学習が必要になってくるのではないかと考えました。
この中で具体的にどういう形でこれを学んでいけばいいのか、というのが下の「学びのプロセス」というものです。
イメージですので、まだ案ではありますが、ぜひここでも委員の皆様の御意見をいただきたいと思います。
ここに記載してあります(1)から(8)の順番で「学びのプロセス」を考えてみました。
まず(1)については、関心を持つ。積極的に物事に関わろうとする力、と考えています。
(2)では、さらにそれに課題に気付く。情報を収集する。
(3)では、課題について考える。それも多面的、多角的に考える力。さらに今度は自分事として考える力。自分事としてとらえていく、判断する力。
(4)では、そして自分事と、とらえるために考えていく力。
(5)では、その自分事ととらえた、判断した内容を、他者の意見を今度は聞いて、判断・調整して、合意形成していく力。自分の考えが再構築していくと思います。
(6)では、再構築した自分の考えを意思決定していく力。ここでは、主張していくと書いておりますがいろんな形の言葉があると思います。その意思を決定していく力。
(7)では、ひとりよがりではなくこれを積極的に社会の中に参画していく力。
(8)では、社会に参画して終わりではなく、参画したことによって、自分自身を振り返る。自己を振り返るということで、自覚を持って自己を肯定し、次の活動につなげていく。というような学びのプロセスを考えております。
以上でございます。
【西野座長】
はい。それでは、今の件につきまして、みなさまから御意見等ございますでしょうか。
ないようでしたら、私の方から皆様に投げかけと申しますか、御説明いただいたことに関しまして、ぜひこれから検討協議の中で議題にあげていきたい、あるいは作業部会で動いていきたい点について、3点ほど申し上げたいと思います。
1点目は、政治的な中立性の確保です。今回のこのテーマ、「政治的教養を育む教育」ということで先ほど事務局から説明がありましたが、よりよい社会を作っていくためにしたい、具体的な社会参画を育んでいくためのとらえ方な訳ですけども、高校でも現在、副教材が提示をされたように政治的な中立性を図りながらもどのように指導を行っていくのだろうか、授業を行っていくのだろうか、ここがひとつの大きな観点かと思います。今、委員の皆様方のお手元に配布されています副教材の中の、「活用のための指導資料」をご覧ください。
その中の20ページに、実践的な教育活動を行うに当たっての留意点、22ページまでですね。
これはあくまでも、高等学校における政治的中立性を担保しながら、改正教育基本法第14条第2項で禁止されている特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならないようにする留意点というものがここに述べられております。
高等学校における、政治的中立性の担保のあり方と、小学校や中学校における政治的教養の政治的中立性が共通しているところ、あるいはまた違う観点もあるかもしれません。
そういったことで政治的中立性につきましてどのように確保していくのか、ということは高校の副教材や海外の事例も参考にしながら検討していきたいと考えています。
例えば、海外の事例として、そのうちの1つをご紹介しますと、ドイツではボイテルスバッハ・コンセンサスという原則がございます。1976年に策定されたもので3つの項目があります。
1つ目は、教員は生徒が期待する答えをもって、生徒の考え方を圧倒してはいけない、ということ。
2つ目は学問と政治の世界で論争があることについては、授業の中でも論争があるということを示しながら教えなくてはならないということ。
3つ目は先生の関心ではなくて生徒の関心に基づいた形で、政治参加や政治的な関心、社会の問題を解決する力を養成しなくてはいけないということ。以上の3つが原則として定められています。
あくまでも今回は神奈川県での取組の議論となりますけれども、この政治的中立性をしっかり担保して、現場の先生方にとって政治的教養を育む教育が安心して小学校でも中学校でも行われるためにはどうすればいいか、ぜひ議論、協議をしていただければと思います。
2点目は、この政治的教養を育む教育、国家および社会を形成者として必要とされる資質を養う教育をした後にどのような社会を目指していくのかというビジョンです。あるいはこの教育を通じて、身に付けられたかというアウトカムをどのようにして測るのかという問題です。
この問題については、政治的教養を育む教育、国が今進めている主権者教育も、そしてまた神奈川県が平成23年度から始めているシチズンシップ教育に関しても同じような議論が行われていたかと考えます。
この検討会議では、政治的教養を育む教育を行うことによって、どのような社会を作っていきたいのかというビジョンを提示しつつ、政治的教養を育む教育をどのように身に付けたのかということを単に投票率の高低で測るのではない指標でどのようにして測っていくのか、これは答えが出ないかもしれませんが、議論をさせて頂ければと思います。
そして3点目は指導資料の作成を進めていくにあたり、ぜひ体系化と申しますか、小学校から中学校における政治的教養を育む教育の指導の流れに加えて、高校において国が進めている主権者教育や、神奈川県で既に取り組んでいるシチズンシップ教育にどのようにつなげていくのか、という流れの体系化も議論して頂きたいと考えています。
このあと、小・中学校における指導のあり方等について、また指導資料の作成について事務局から連絡、説明があるかと思いますけれども、選挙権年齢が18歳以上に引き下がったから、高校生だけに主権者教育を行うのではなく、小学校から中学校、高校、ひいてはもちろん大学、社会に出た後も見据えて、どのようにして「政治的教養を育む教育」というものを進めていくのか。もちろんここで議論できるのは小・中学校ですけれども、その体系化のモデルケースを示すことが出来れば、国もこの点までは着手が出来ていないと考えておりますので、他の自治体も含めて、ひとつのモデルケースを示すことができればと考えております。私からの皆様への意見は以上です。
それではここで10分ほど休憩を取りたいと考えます。
そのあと小・中学校における指導の在り方並びに指導資料の作成について協議をさせていただき、今後の検討の在り方等皆さんの御意見を伺おうと思います。
それでは時計で3時15分まで休憩に入りたいと思います。
(休憩)
【西野座長】
それではお時間になりましたので協議を続けたいと思います。
続きまして、小・中学校における指導の在り方について、及び指導資料の作成について、御説明をお願いします。
【事務局(吉澤指導主事)】
はい。議題事項の(2)(3)の御説明をしたいと思います。
説明資料の3ページを御覧ください。小・中学校における指導の在り方ということで、2つ大きなポイントがございます。1つ目が小・中学校の連携を意識する。2つ目は、それぞれの発達段階に応じた指導を行う、ということがポイントでございます。その中で「学びのプロセス」というのは、すべての教科、領域で実際に出来るものですが、この検討会議の中では特に「政治的教養を育む」という観点で、社会科、特別活動、総合的な学習の時間を通して、この「学びのプロセス」において基本的な資質を育てていきたいと考えております。
社会科でも特にそれぞれの発達段階に応じて、政治や社会、地域課題、小学校では、まず身の周りのことから学校のこと、地域のこと等勉強していきますので、そういったところの課題に関心を持って基礎的、基本的な知識を活用して主体的に社会参画をしていくという学習をしていきたいと思います。括弧には学習例が書いてあります。中学校3年生の公民的分野の対立と合意、効率と公正、権利と義務等を勉強しますので、それらが問題として課題として挙げられるような学習が考えられるものと思います。
また、特別活動では集団社会の一員としてよりよい学校生活づくりというところがあります。特に周りのみんなで協力して諸問題を解決していこう、自主的実践的な態度、健全的な生活態度が大きな目標でございますので、そういったものを通して資質を養っていければと思っています。特にここでは例として、児童会や生徒会、学級活動でのルールづくり、そういったものが活用できるのではないかと思います。
さらに、総合的な学習の時間です。とくに総合的な学習の時間は、課題を見つめて主体的に判断して探求的な活動を行うというようなものでございます。特に主体的、創造的、共同的という部分は大きく関わっていきますので課題についての探究活動等を例に挙げていますが、総合的な学習の時間でも活用できるのではないかと思っています。
合わせまして6にも続けて行かせていただきます。指導資料の作成になります。
こちらは依頼事項の3番目、指導資料の作成ですが、その下の6をご覧ください。指導資料については県内の公立小・中学校これは特別支援学校の小学部・中学部を含めます。そして中等教育学校全課程を含めてすべての教員向け指導資料を作成していきたいと思っています。配布については各学校にということを考えておりますが、それは今後の検討として考えてください。
そのために、本検討会議の作業部会を設置したいと考えています。特に作成に当たっては、高等学校で既に行われています「政治参加教育」につなげる内容ということ、先程、座長からも体系的・系統的なものということがありましたが、ぜひそのあたりを意識したもの、そして今、神奈川の取り組んでおります小中一貫教育の9年間を見通したもの、さらにはインクルーシブ教育の推進の理念、そういったものを特別支援教育の観点から、すべての子どもたちが参加できるものに考えていきたいと思っています。
四角の中では、目次案という形でお示ししています。これはあくまで案ですので今後の検討の中では大きく変わってくるかもしれませんが、案としてお示ししております。
目次案として1)から7)という形であります。特に4)の「政治的中立性の確保」や、指導案、選挙管理委員会の取組等を紹介しつつ、一冊の指導資料を考えております。
続いて4ページをご覧ください。これもひとつの例としてとらえていただければと思います。
ページの5)の学習指導案は小学校社会、小学校特別活動、総合的な学習の時間、中学校というようにつなげていきますが、すべてがこれに当てはまるとは限らない部分ではありますが、基本的には学習指導要領と関連性を見出しながら、9年間の学びでの位置づけ、そして指導のねらい、このねらいを明確にすることが非常に重要だと思います。そして指導と評価の一体化という部分で、評価についても考えていきたいと思っています。
そして単元構想を重要視して、多くの先生の指導の手助けになるものとして単元構想図的なもので、1時間やっておしまいではなく、見通しと振り返りにより、どういうような位置付けで評価活動の規準、観点の規準があり、そしてどんな力を身につかせたいのかというのを単元を通して社会科、特別活動、総合的な学習の時間で構想図としてお示しできればと思っております。
これも例でございますので何かお気づきの点がございましたら御指摘ください。
【西野座長】
それでは、委員の皆様から御意見や御質問などございましたら御発言いただけますでしょうか。
少々お時間がございますので、神奈川県がこれまで取り組んでいるシチズンシップ教育、とりわけ政治参加教育について、概要だけで結構でございますので御説明など頂くことはできますか。
【浅井指導主事】
高校教育課の浅井と申します。先程、教育長の御挨拶にもありましたが、平成23年度から全県立高校でシチズンシップ教育ということで取り組んでおります。主な活動として政治参加教育、司法参加教育、消費者教育、道徳教育がシチズンシップ教育ということになります。
シチズンシップ教育を通して育成したい能力・態度というのは、配布されました参考資料の「政治参加教育」34ページを御覧ください。
責任ある社会的行動、地域社会への積極的な参加、社会や経済の仕組みについての理解と諸問題の解決、となっています。
さらに、36ページにあるように、政治参加教育の取組の1つとして模擬投票が行われているということです。全県立高校で実施するということになります。
【西野座長】
今、お聞きになって御質問などございますでしょうか。よろしいでしょうか。
この小・中学校における指導の在り方ということで今回は社会科、この説明資料の3ページに書いてありますけれども、社会科のみならず、特別活動、並びに総合的な学習の時間において、どのように「政治的教養を育む教育」というものを実施していくのかということを協議をし、そしてこの指導資料の目次案にございますけれどもそれぞれにおいて個別の取組の指導のねらいと評価、単元構想図について協議をし、実施をしていくということになります。
それでは、続きまして今後の検討の進め方についてです。事務局よりお願いいたします。
【事務局(吉澤指導主事)】
依頼事項4番目、今後の検討の進め方ということで説明資料4ページを御覧ください。
先程もお話しましたが、作業部会を設置して指導資料について今後検討をしていきたいと思っています。指導資料については平成29年3月の完成を目指して、以後2回の検討会議を設置して検討していきたいと考えています。そちらの予定、第2回第3回と四角に囲っております。まだ予定でございますので今後これが変更する可能性もございますが、内容についても括弧書きで書いております。
作業部会の方も併せて予定として書いております。計5回ほど作業部会を設けて完成を目指していきたいと思っています。
それ以外に、7月に参議院議員選挙がございます。おそらくそれが最初の18歳の投票という形になろうと思いますが、投票に向け高等学校では先程、浅井指導主事からもありましたように取組を進めてます。
特に先進的な取組を進めている高等学校についてはこの検討会議及び作業部会のメンバーで授業参観を考えております。授業を通して取組を見ながら資料の作成に役立てていきたいと思っております。以上でございます。
【西野座長】
ただいま事務局から作業部会の設置について説明がありました。要項の第4条第2項に基づき作業部会を設置すること、そして未成熟な段階の内容について検討するという性格上、作業部会は非公開とするということでよろしいでしょうか。
(賛同)
ありがとうございます。
それでは作業部会の設置が認められました。その構成メンバーについてはこの要項の別表で示されております。ここには未定とありますけれども事務局から何かございますか。
【事務局(宮村課長)】
現在まだ、示しておりますメンバー以外にもぜひ加わって頂きたいと調整をかけております。また決まり次第皆様にはお知らせしていきたいとしています。
【西野座長】
ありがとうございました。
次に検討のスケジュールについて説明していきたいと思います。事務局から説明をお願いします。
【事務局(吉澤指導主事)】
先程も申し上げましたが、スケジュールですが、まだ今後の作業部会等の日にちが決まっておりません。メンバーの確定次第、各作業部会にも依頼をかける形になります。
その中で、作業部会の趣旨説明、役割分担を第1回に考えております。さらに授業参観を合同で行いますのでそれが終わってから指導案、原案について検討し考えていきたいと思っています。
第2回の検討会議では、原案について話し合って頂く部分もございますし、今、私のほうで依頼事項で挙げた(1)から(4)の部分についても特に重要なものについては、今後検討が必要だと思いますので、各委員のほうから協議等が必要な場合は設けていきたいと思っています。原案の検討から修正をかけて最終的には作業部会で、指導資料のある程度お見せできるものを第3回にお示しできればと思っています。スケジュール的には以上になります。
【西野座長】
ただいま説明がありましたが、検討のスケジュールについて何か御意見ございましたらお願いいたします。日程については調整が必要になるかもしれません。柔軟に対応するということでよろしいでしょうか。
それではまだお時間がございますので、本日の協議並びに全体を通しで委員の皆様お一人ずつから御意見や御感想などいただければと思います。
それでは恐縮ですが田野口委員からお願いします。
【田野口委員】
今、説明を聞かせて頂きまして、大きなプロジェクトが動くんだなという思いでございます。私は小学校の立場です。6歳から12歳まで幅の広い6年間預かっております。政治的教養を育むという事に対して、小学校段階ではどういうことができるだろうか、大きく考えると難しくなってしまいます。今、お話を聞いて、小さな身近なところに落ちている課題に自分で気付いて、それをみんなで共有をして、話し合いをしながら、折り合いをつけて解決に導いて「みんなで話し合うってこんなにいいことなんだ」っていう思いを育むことが大切かなと思いました。
小学生ですから、話し合いの種を蒔いてあげることが、私たち、小学校では重要なのでしょう。
【西野座長】
先程も、ヨーロッパの例を申し上げましたけども、ドイツの自治体では政治的教養を育むために「ステップ・バイ・ステップ・アプローチ」というものを唱えています。政治の問題を考えるというとどうしても非常に遠い存在として考えてしまいがちですが、そうではなくて、まさに田野口先生がおっしゃられていたとおり身近なところから、徐々に社会に向けて、例えば、班、学級、学年、学校、地域社会、そして国、国際社会と広げるなかで政治について考えていくということです。日本でも、この「ステップ・バイ・ステップ・アプローチ」を神奈川県で取り組むことが出来ないかということを検討していければなと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。
それでは永野委員、お願いします。
【永野委員】
今日、いろいろ資料いただきまして、今度、選挙年齢が引き下げられて新たな教育という見方がありました。従来から神奈川県のシチズンシップ教育をはじめ、社会科と特活、総合的な学習においても、すでに市民としての教育に取り組んできたことをつくづく感じたというところです。
新たにということで考えれば、先程、西野先生からありましたような政治的な中立の問題も含めて、先生方が安心してこの教育に取り組めるような御意見が、検討会議の中であればいいなと思いました。
もう一点だけ、川崎市には外国籍の子どももいますので、外国籍の子どもたち、またその子どもを預かる教員にとっても自信を持って進められる教育になればというふうに感じました。
【西野座長】
ありがとうございます。今おっしゃったように外国籍の子ども達の問題もどのようにすればいいか、さまざまなところから神奈川県だけでなくていろんな自治体でも、教員あるいは勉強会や研修会等でもそういった声も上がってきたと思います。こうした点も含めて、永野先生がおっしゃったように、教員、先生方がなによりも安心して授業が実施できる指導資料を作りたいと思います。ありがとうございます。
森委員お願いします。
【森委員】
今、永野先生もおっしゃったとおり教員が安心して政治教育が出来るという素地を作るのが一番だと思います。中立性というのが子どもたちの取り方によっては偏ってしまうということもあると思うのです。そこに対して、そこにいる教員が常に中立な立場で授業する、特別活動、総合的な活動をすることを担保するための資料として、安心の材料としてバイブルが出来ればいいと考えております。
【西野座長】
ありがとうございます。森先生のご指摘のとおり、さまざまな諸外国、あるいは日本でのさまざまな事例を鑑みながら議論できればと思います。よろしくお願いします。
では坂本委員お願いします。
【坂本委員】
いろいろ資料を見ながら、小・中の部分ということを含めてなんですが、先程、小・中含めて体系的にといった部分で、逆に高校の部分を見てきた立場から言うと、こういうことをやるって入ってくるのですが、総合的な学習の時間で、こういう内容で、今まで入ってきたものにプラスされていく、時間がやっぱり足りないです。
全体の総合的な学習の時間、社会科の時間、全体を見渡した中でどういうふうに組み立てていくかというところまで考えないと、結局現場にしわ寄せが来る。
今年、3年生の何人かが7月に投票に行くという中で、模擬投票をやりますけれども、じゃあそれだけ全員にじっくり時間を取っていけるかと考えていくと、政治経済の科目を取った生徒は十分にやる時間がありますが、他の生徒たちは出来ないとなるという部分がある。小・中学校だと全員が同じ科目を取っているので、全体のバランスを含めて考えた中で考えていけたら。それが今度は高校につながってやりやすくなると思ったというか、感想があります。
【西野座長】
確かに、先生方が安心して取り組むことが出来る指導資料をここで作成することが出来ても、学校現場で実際やろうとしたら授業時間が無いというのは、今回、国の副教材が出てきた時も現場からそういった声も上がってきているかと思います。ぜひ社会科・特別活動・総合的学習の時間の全体図を見ながら現場の先生方の立場をしっかり考えた上で、指導資料を作成していきたいと思います。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
では井上委員お願いします。
【井上委員】
本日はいろいろ御説明ありがとうございました。小学校から中学校まで非常に発達段階でいうと差がある中でそれを配慮しながら、いろいろ作っていかなければいけないということで非常に苦労があるかなあと思っています。
そんな中で神奈川県の選管の取組があるのでご紹介しますと、県の明るい選挙推進協会、明推協と言っているんですけども、そこの中で「神奈川選挙カレッジ」というのをやっています。つい先日も5月23日、今週の月曜日になりますけれども第10期生を任命させて頂いたところです。だいたいそこにいらっしゃる方々は、大学の法学部であるとか法律とか政治学科の学生さんなんですけども、そういう方々の活動を通して、若い世代に政治に参加していくのは非常に大切だっていうようなことを言ってもらっていて。若い学生さんが高校に行って模擬授業、投票の公示者の役になって説明したりすると高校生もわかりやすく学べる。今回こういう作業をしていく中で、小学生というと意見を聞くのには幼すぎるのかも知れないのですけども、小学生とか中学生の目線に立ったものを作っていかなくてはならない、というところを考えております。難しいとは思うのですがどういうふうにしたらより実効性のあるものになるのかというところで、小学生、中学生の目線も入れていけたらと思います。
【西野座長】
ありがとうございます。先生方の立場を考えつつも、井上委員がおっしゃったように、実際に授業を受けるのは、小学生は1年生から6年生まで、中学生は1年生から3年生までいるわけです。
それぞれの児童・生徒の視点を大切にした指導資料を作っていきたいと考えています。
それでは、はい、宮村課長。
【事務局(宮村課長)】
事務局からですが、このあとの議事、流れについて提案がございます。先程、説明させていただいた説明資料の中で、とくに2ページにございます、この「政治的教養を育む教育」を通して育てたい力ということで、ここにひとつのイメージの案を載せさせて頂きましたが、もし進行上、差し支えなければこれについて、委員のみなさんから、いろいろな御指摘ですとか疑問ですとか御意見をいただければありがたい。よろしくお願いします。
【西野座長】
はい、わかりました。事務局から「小・中学校における政治的教養を育む教育」のイメージ、また「学びのプロセス」について先生方からそれぞれの現場に則した、また御経験などを通じてご意見いただければと思います。
実際にこの「学びのプロセス」に載っていることは既に小学校、中学校現場でも、名称など変えながら取り組まれているのではないかと思います。坂本委員、いかがでしょうか。
【坂本委員】
うちの前期課程の生徒は、いろんな教科で、自分の力で物事を調べる力とか考えをまとめるとか、表現して相手に伝えるとか、また相手の考えを理解するとか。グループで話し合いをして意見をまとめて発表する形のものを、さまざまな教科で取り入れて、いろいろとやっています。
それ自身としてはこの部分の力はたぶんどこでも、いろんな教科で入ってきている。文部科学省で出てきてるアクティブ・ラーニングといわれている部分、その力をつけるために生徒が動き回るのがアクティブじゃなくて、考えて、自分達でまとめて発表するという意味で、各教科でやっていると思います。これ自身が政治的教養を育むかというとちょっと違うなっていうところがあるんですけど。これを「政治的教養を育む教育」の中にどう落とし込んでいくのか。なので、逆に言うと学級、学区、地域の課題に気付いて、そのあたりのテーマをどう決めさせていくとか、そのテーマに対して人によっていろんな見方、考え方があって、ややもすると小学生とか自分の意見を言い合ってけんかになってしまうこともあるのかなあという。そういった中でもちゃんとうまく相手の意見を聞けて自分の意見も言えて最後にまとめられる、こんなうまくいくようになるんだというところまでいけると、それが段々に学年があがっていけば政治的な内容に近づいていけるのではと思います。
【西野座長】
ありがとうございます。田野口委員、いかがでしょうか。
【田野口委員】
まさにそのとおりだと思います。先程の時間数が足りないという問題も、結局いろいろな教育が増えて来ているので、カリキュラムマネジメントしなさいって、そういうことなのだと思うんです。育てたい子ども像っていうのは新しい学習指導要領に現れていて、それがすべての基になっている。それをどう政治的教養なのかっていうところにポイントを絞る言葉の選び方が難しいのではないでしょうか。まさに坂本先生がおっしゃられていたとおりなのではと思います。
より良い社会っていったい何っていうところから考えていかないと、バラバラなイメージの中でのより良い社会になってしまいますし、課題を通す前にこの小学校だったらどう気付いていくのか、気付かせ方も問題になっていくのかなと思いますので。
繰り返しになってしまいますけれども、今ある、これから育まなくてはいけないと言われている新しい力を、政治的教養という部分でポイントをどう絞っていくのか、言葉として伝えていくのかっていうのが資料の大事なところだと思います。
【西野座長】
ありがとうございます。先程の私からの投げかけのひとつに、ビジョンとありましたが、まさに委員がおっしゃられていたように、より良い社会を作っていく、社会というのはどういうものがあるのか、ひいては今の時代や世界の中で、これからの社会像をどのように位置づけていくのか、ある程度は明確にしていかなくてはいけないと思いますし、そもそも政治的教養とはどういうものであり、学びのプロセスの力とどのようにリンクしていくのか、言葉のひとつひとつの定義づけも、第2回以降で協議をしていければというふうに思います。
【森委員】
心配なところがあるので耳に入れておいてほしいのですが。
このプロセスの中には子ども達の意見を集約して行動するところまで求めていますよね、参画するところまで。それに対して教員があくまでも中立を守らなければいけないというところの担保、安心して教員が授業できるような、先程はバイブルと言ってしまったのですが。この資料を作ることによって子どもたちがこの学びのプロセスのスパイラルを知った上で実際に参加して公表する、最後の振り返りいうところがあればもちろん良いのでしょうけども、子どもたちや先生方が暴走してしまったりすることもないわけではないと危惧するのですね。そういったときに先生方にここだけは守っていかなければならないことをきちんと資料の中で提示してあげることによって安心して授業ができるような資料にしてほしいと思います。
【西野座長】
ありがとうございます。いかがでしょうか。2回目以降にしっかりと議論していきたいと思います。他にご意見などございますでしょうか。
【永野委員】
2ページに示されている資料、大変よくできていると思います。
ただ教員が(1)から(8)までの「学びのプロセス」を全部やろうとすると大変だろうと思いました。総合的な学習の取組の単元として、8時間くらいのものから29時間と、大変長期にわたってこういう(1)から(8)まで取り組んでいくという事例が現在もあるわけですけども、できれば指導資料の中に「全部やれということではないんだよ」というのがわかるように示してほしいと思います。
【西野座長】
永野先生のご指摘についてですが、それぞれの小・中学校で、今回議論していくのは社会科と特別活動、総合的な学習の時間それぞれの時間においてすべてこの学びのプロセスを踏むべきなのか、あるいはこのプロセスにおける優先度、一つ一つがフラットなのか、この中のどれかが強調されるのか、そういうことも議論するということでしょうか。
【永野委員】
いや、どれかというより、相互で意見を交換しようとすることと、振り返るということが学習が定着するため必要だということについて、順番に割り振っていくことがプロセスになるだろうということで考えられたことだろうと思われますけども、それはやる内容によってはある部分だけでできる、あるいは2時間程度でも取り組めるとか、はっきり先生方にわかっている形で示して頂ければありがたいです。優先を決めろということではありません。
【西野座長】
わかりました。今後、原案として出てくるでしょうですけども、作業部会の議論並びにこの検討会議での議論の遡上にあげていきたいと思います。
【事務局〈宮村課長〉】
今、みなさまのご意見を聞きましてこの後事務局から次の会に向けて整理していく中で、委員の皆様にお聞きしていただきたいのが、「学びのプロセス」をどう授業の中に落とし込んでいくかということで、委員の皆さんの懸念ですとかいただいたんですけども、いくつか社会科、総合とともに特別活動ということで示しさせていただきました。小・中学校の学級活動、児童活動、生徒会活動いわゆる授業時間とは別の年間を通じて「学びのプロセス」を示すことができるのかなあという領域、特別活動の中でのこういった学びについて何か御意見や御示唆、学校の現状などお聞かせいただけたらと思います。
【西野座長】
特別活動についてぜひ皆さんの中で直接かかわったり、御経験した児童会、生徒会に限らずお話いただきたいのですが。いかがでしょうか。
【田野口委員】
特別活動につきましては、文部科学省より資料集が出されていまして、学級会の在り方等について非常にわかりやすく図式化してあります。
話し合いの進め方、あり方について、誰にでもわかるような形で示した資料集が出されていますのでそれに基づいて学級会をやってみましょうという。特別活動でつける力を明確にして、先程、行動までというお話がありましたけど、時間が年間35時間しかないのでその中で学級活動、学級会と指導しなくてはいけない。ゆとりの時間といったらおかしいですが、年間指導時間数の中の必要以外の時間を使って熱心に指導されている先生たちがいるという状況でございます。
【西野座長】
ありがとうございます。中学校についてはいかがでしょうか。
【永野委員】
限られた時数ですので、主権者教育のことをどのようにカリキュラムマネジメントしていくか。キャリア教育のように何かこれをやれということではなく、学校全体の教育を通じてさまざまな場面をとらえてもできますよ、という進め方があってもいいのではないでしょうか。
【西野座長】
今回、議論していく「政治的教養を育む教育」という観点から、特別活動をとらえると考えていく上では、現状では既に取り組まれていると思いますが、では指導資料を作成する上でこれから何を入れていかなければいけないのか。特別活動で取り組まれていることの中から何が不足しているのか、何をやらなくてはいけないのでしょうか。
【永野委員】
指導者側の視点とかが第一だと思いますので、同じことを指導として取り組んでいても指導する側のねらいの中にしっかり主権者教育を入れていけば違ってくると思います。新たな単元を起こしたり新たな時間を取ってそのためにやりましょうというのではなくて、中学校でも小学校でも指導者側がこういう視点で行われているわけですから、こういう視点を持ちましょうと示して頂ければと思います。
【西野座長】
ありがとうございます。何か新たな取組のあり方について出すのではなくて、政治的教養を育む視点として何を盛り込まなければいけないのか。指導者としてどのように見た方がいいのかを、指導資料に盛り込んでいきたいと考えています。
【田野口委員】
あとは課題としては小・中の連携、高校につながる部分として小学校の児童会活動は中学校の生徒会活動に上手に連携できるかどうかというのが大きな課題ではないかなと感じております。
【永野委員】
これは接続の問題ですから私たち中学校の教員が小学校で何が行われているか、今一度しっかり確認していくことが。小学校の側として送り出す時に思いがあっても、中学校が、受け止める側が知らないとうまくいきませんので接続の問題というのは、受けとめる側がしっかりと意識してやっていくことが重要かなと思います。
【西野座長】
現状今の段階では、小学校の児童会活動と中学校の生徒会活動の十分な接続がなかなか難しい、ということでしょうか。
【永野委員】
そういうところもあるかもしれません。
【田野口委員】
でも、小中一貫教育は一つのつながりだと思います。
【井上委員】
今までやってることが、何をポイントとすれば政治的教養の部分につながってくるのかというところを整理して。例えば先程「より良い社会」とか「国家、社会の形成者として」という言葉がいくつか出てきていますけれども、「学びのプロセス」っていうのも、何のために学ぶんだというところがうまくかみ合ってくれば、政治的教養のほうにつながっていくのかな、というのが先程の議論で思いました。子どもたちも「なんでこんなことを考えたり、やっているんだろう」とこれから先思えたら。今は学校の中でも生徒会、学級会とかの話だけれども、それが社会に出て、働いてっていったところの中で政治的な行動につながっていくんだっていうところがうまく整理できてうまく位置付けられたらいいのではないかと思います。
【坂本委員】
新たに増やしていくとなると、やりきれない。いろんなことをやっていて、児童会も生徒会も活動している中で、中・高とありますけれども生徒会の選挙、中学校、高校と6年間あって全部一緒にやるわけなんですけど、選挙の立候補者の演説をやらせて公約だなんだと18歳とか17歳の子が立候補していく。12歳の反応が全く違うというのが初めてわかりました。
面白いこと、うけることを言えば1年生の票がどんどん入っていく、そういったところが特別活動の中で考えさせていけば、今までやってきた中で将来につながっていく。面白いことを言えば当選するという感覚のものでもない。じっくりそれを考えて判断するっていう指導がそこにできるかなって思います。
【西野座長】
政治的教養を育む教育として新たに何かをするというよりも、特別活動の中ですでに取り組まれていることの中で整理をしていくという点も重要ですね。
【坂本委員】
だいぶ身近なものになってきている。18歳の時に、投票するんだっていう時に、今まで全く別のもの学校の生徒会の中だけのものが、学校を良くするんだという、こういう問題点を解消するために自分が会長に立候補するんだというのに段々とつながっていく。
【西野座長】
何のために取り組んでいくのかというのをきちんと明示をして、児童・生徒の目線も意識しながら指導資料を作っていくということが学びのプロセスを機能していく上で重要だろうと考えます。
【坂本委員】
発達段階に合わせてやっていく。それがきちんと理解されてわかってくれば、今の小学校から中学校のつながりということも、小学校できちっと身に付けられてくると中学校に入ってからもすんなり入って、次のひとつ上のところに持っていけるのかな、と思います。
【西野座長】
ぜひこれからの協議とか、作業部会で作っていく中で反映して議論していきたいと思います。
【森委員】
子どもたちについては今、討議が出来ていると思うのですけども、教師向けの資料を作って教師の政治的視点を確保するという、視点を必ず守った上での授業をするんだというのを流布しなくてはいけない。パンフレットができて資料ができて、はい、お配りしますで終わりではなく出来た上では、この資料を使って研究会なり研修会などを十分にした上で、どなたから見ても中立性が保たれてるなと、安心して親御さんたちが学校を見守れるような素地を作れるような環境を作らなくてはいけないと思います。
とかく仕事をしておりますと、教員の公正性に対する疑問の目はいつもあると思います。そういった中に先生方はさらされていますので、そこのところが安心して授業が出来るような、子どもたちに自由な教育活動が出来るような素地を作る、安心安全を確保するためにも資料の中で先生たちがここを守って授業をしていけば、先生の立場を子どもたちが影響を大きく受けますのでそこの中立性についても、先生方の慣れ、授業する上で必要になりますから指導法の研修をこれを基にする必要があるのではないかと思います。
【西野座長】
今は主に特別活動の話でしたけども、既存の特別活動のさまざまな取組に「政治的教養を育む」という新たな観点が入ってくる上では、政治的教養と特別活動の関連性についても答えられるような、指導資料を作りたいと思います。ありがとうございます。
それではそのほか全体を通してみなさまから何か御意見や御感想、これから第2回に向けて、また作業部会などに対する御意見などございますでしょうか。
ではそろそろお時間となりますので本日の協議はここまでと致します。委員の皆様、熱心な御協議ありがとうございました。それではここで司会を事務局に引き継ぎたいと思います。
【司会(古島専任主幹兼GL)】
熱心な御協議ありがとうございました。本日いただきました御意見を基に作業部会を持ちまして論点の整理をし、次回の検討会議の素案作りを行っていきたいと思います。
次回の検討会議ですが、10月に第2回を予定しています。7月の参議院議員選挙前に先進的な取組をしている県立高等学校に授業参観を持ちたいと思います。日程及び学校につきましては現在調整中ですので委員の皆様には追って事務局から御連絡を致します。お忙しいところ誠に恐縮ですが万障お繰り合わせの上、御出席の程お願いします。では最後に閉会の挨拶を支援部長遠藤より申し上げます。
【遠藤支援部長】
本日はお忙しい中お集まり頂き、貴重な御議論どうもありがとうございました。私共、これが初めてといいますか、今まで例に無いことを始めようとしております。皆様には真摯な御意見を頂き感謝いたします。
今日お示しした資料も、こちらで考えて作っている部分もございます。ですから、急にぱっと見て頂いてということもございますので、また今後お気付きの点、また委員のみなさまお知らせ頂き、事務局のほうで座長と相談しながら調整をしていきたいと考えております。
今後は御案内のあったように、次は7月の上旬に合同で部会を開きます。その前には一回作業部会ということで6月中に作業部会の先生に趣旨の説明、また同じような説明になるかと思うのですけどもその際には今日の議論の視点等踏まえながら、座長とも相談しながら、まずは先生方にはお示ししていきたいと思います。またそこで御意見を頂き7月の合同会議の際には、指導案をどのように作っていくかどのような視点で資料を作っていくか、というアウトライン的なものをお示ししないと8月の作業部会の作業が難しいのではないかと思っておりますので、スケジュール的にはそのような形でお願いします。基本的な部分について感じたことやお気付きになったこと、ぜひ御意見いただきたいとお思います。きちんとしたものを、神奈川の子どもたちにと作っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。次回は作業部会と合同で、7月は高校で授業を見させて頂くということでどうぞよろしくお願いします。ではこれをもちまして、「小・中学校における政治的教養を育む教育検討会議」第1回を終了させて頂きます。どうもありがとうございました。(終了)
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