既存建築物のバリアフリー化整備事例集(ガイドライン) 目次 1.はじめに 2.バリアフリー化の方法 (1)アプローチ及び主要な出入口の段差の改善 (2)車いす使用者用駐車区画の設置 (3)扉の改善 (4)室内通路等の改善 (5)階段の改善 (6)エレベーターの設置 (7)トイレの改善 (8)客席、カウンターその他室内の改善 (9)子育てバリアフリーへの対応 (10)高齢者や身体障害者への対応 (11)視覚障害者への対応 (12)ソフト面の対応 3.バリアフリー化事例集 (1)事例収集の考え方と事例一覧 (2)事例集 4.おわりに 1.はじめに 本ガイドラインの目的 近年、バリアフリーのまちづくりの考え方が普及し、障害者も出かけやすい環境がかなり 整ってきました。それに伴い、障害者や高齢者の方々が積極的にまちに出かけるようにな り、高齢者や子ども連れの家族などにとっても便利なまちになってきました。 そして、多くの施設や建物では、利用者へのサービスの一環として、バリアフリー化を行 うところが増えています。しかし、一定の規模以上の新築や改築等を行う場合は、神奈川 県みんなのバリアフリー街づくり条例の整備基準(神奈川県みんなのバリアフリー街づく り条例第12条)に従うことが求められますが、既存の建築物で部分改修を行う場合は、そ の基準に従って改修することが難しい場合があります。 そこで、特定非営利活動法人NPO福祉支援ゆうやけネットは、神奈川県と協働して、既 存建築物のバリアフリー化事例を収集し、利用者の利便性の観点から検証するとともに、 その結果を踏まえて整備ガイドラインを作成しました。このガイドラインでは、様々な施 設の現地調査をもとに、既存建築物で段階的なバリアフリー化や、部分的なバリアフリー 化を行おうとする場合に、参考となる事例や考え方を示しています。 事例を収集するにあたっては、必ずしも基準に適合していなくても、その改善により多く の人が施設を利用できるようになった、という小さな工夫も取り上げました。 事例の中には、車いす使用者が利用できるトイレや、授乳できる休憩室の設置が口コミで 広がり、新たな顧客層の開拓につながったという施設もあります。このガイドラインを参 考に、あなたの施設でも、できるところからバリアフリー化を行ってみませんか。 バリアフリー化にあたって注意すること 事例の中には、たとえばスロープを付けたものの、ドアが開き戸で車いす使用者が一人で は開けられないなど、当事者でないと気が付かない不具合がある場合があります。 効果的なバリアフリー化を行うためには、計画段階で、車いす使用者など当事者に現場を みてもらい、改善案を提示して意見を聞くことが重要です。 本ガイドラインで取り上げた施設 公共的施設のうち、行政が整備主体であるものを除く既存建築物(教育文化施設、医療施 設、商業施設、駐車場、共同住宅、事務所、宿泊施設、公衆浴場、地下街等、運動施設、 興業・遊興施設、展示施設、工場、公衆便所、複合用途建築物)を取り上げました。 2.バリアフリー化の方法 (1)アプローチ及び主要な出入口の段差の改善 スロープの整備の目安と対応の考え方 項目 有効幅員 整備の目安 140センチメートル以上(段に併設する場合90センチメートル以上) ポイント 最低でも90センチメートルは確保する。 項目 縦断こう配 整備の目安 12分の1以下(高低差16センチメートル以下なら8分の1以下) ポイント インターフォンや視認等により、人が介助できる条件も考慮する。 項目 踊り場 整備の目安 高低差75センチメートル以内ごとに踊り場を設ける。 ポイント 自走を前提とする場合は必ず設ける。 項目 転落防止装置 整備の目安 スロープの両側に、側壁または高さ5センチメートル以上の立ち上がり部を 設ける。 ポイント 必ず設ける。脱輪しない構造であることが必要。 項目 手すり 整備の目安 手すりを適切な高さに設ける。 ポイント 必ず設ける。ごく短いスロープや緩やかなスロープの場合は、不要な場合もあ る。 項目 表面の仕上げ 整備の目安 滑りにくい仕上げとする。 ポイント 雨などで濡れると滑りやすい素材があるので注意する。 項目 スロープの端部 整備の目安 車いすの転回に支障がない構造とする。(直径150センチメートル程度の円 が描けるスペース) ポイント 扉等の前には必ず平坦な場所を設ける。 項目 - 整備の目安 - ポイント スロープが設置できない場合は、昇降機や移動式スロープを用意しておく。 障害当事者から一言 ・スロープに転落防止の立ち上がりや丈夫そうな手すりがあると、安心感がある。 ・スロープがあれば多少急こう配でも手伝ってもらって入れるので、スロープがあると助 かる。 ・アプローチは段差がなく平坦なのが一番よい。段差2センチメートル以下なら車いすで 通過できるが、角を斜めに切り取ったり丸みをつけたりすると、衝撃が和らぎ通りやすい。 1 スロープの設置 建物の壁沿いに設置した例(藤ア集合住宅) 幅:89センチメートル、縦断こう配:約15分の1(高さ:31センチメートル、距離:465セ ンチメートル)と緩やかなこう配。 ・転落防止の立ち上がり、手すりがあり、表面は滑りにくい仕上げになっている。 ・スロープの上下端に、点字ブロックが敷設されている。 ・スロープ上端で直角に出入口に入るため、車いす使用者が転回できるスペースが必要で ある。平坦なスペースは約90センチメートル×180センチメートルだが、車いす使用者は 転回することができた。 ・玄関内に約2センチメートルの段差があるが車いすで入れた。 玄関に向かって直進するスロープを設置した例(由井クリニック) 幅:112センチメートル、縦断こう配:約12分の1(高さ:46センチメートル、距離:552 センチメートル) ・転落防止の立ち上がりはないが、手すりが網状になっており転落を防ぐことができる。 ・車いす使用者が転回しなくて済むので、空間の余裕があれば、このような直進型にする とよい。 出入口に短いスロープを設置した例(そばや美濃戸) 幅:112センチメートル、縦断こう配:約8分の1(高さ:17センチメートル、距離:140セ ンチメートル) ・距離が短いので、こう配はやや急だが車いす使用者は自走できる。 ・出入口に段差があったが、切り込みを入れて短いスロープに改修した。 ・ドアの前に本来なら平坦部が必要だが、自動ドアなので、止まらずに入ることができる。 地形を利用し、段差が少ない場所に出入口を設けた例(カミハラバーバー) 幅:120センチメートル以上、縦断こう配:約18分の1(高さ:10センチメートル、距離: 180センチメートル) ・以前は左側をまわった所が出入口で段差があったが、より段差の低いところに出入口を 移設し、スロープを設けた。 介助を前提にした改修例、急こう配でも利用可能(和風料理 魚作) 幅:120センチメートルcm以上、縦断こう配:約5分の1(高さ:43センチメートル、距離 :210センチメートル) ・玄関内の階段(2段)の脇にスロープを設けた。 ・一般に12分の1のこう配であれば、たいていの車いす使用者は自力でのぼれる。しかし 介助者がいれば、距離や介助者の体力にもよるが、ある程度急こう配でも利用可能である。 路面を改良した例(スーパー紀ノ国屋鎌倉店) 幅:120センチメートル以上、縦断こう配:約12分の1(高さ:39センチメートル、距離: 492センチメートル) ・当初スロープの歩行面がタイルで滑りやすかったため、滑りにくい材質に変えた。 ちょっと惜しい事例 1 スロープの先に5センチメートル程度の段差があり、自力で越えられない。⇒段差は2 センチメートル以下にしましょう。 2 スロープと出入口の位置がずれており、車いすが転回できるスペースがない。⇒ドア とスロープを直進できる位置にする、車いすが転回できるスペースを設けるなどの必要が あります。 整備費用について ・1段程度の段差を解消するスロープを増設するなら、10から20万円程度。規模によって も異なるが、既存の階段を壊す工事や手すりの設置なども含めると50万円程度と見込まれ る。 2 昇降機の設置 階段に昇降機を設置した事例(ライフガーデン向が丘) ・2階に上がる階段に昇降機を設置した例。 ・階段の下に呼び出しボタンがあり、施設の職員が昇降機をセットする。 ・しかし、時間がかかるのと、人の多い場所では人目が気になるので、利用者の評判は必 ずしもよくないことを知っておく必要がある。 3 可動式スロープを用意する ・道路境界部に近接して段差があるなど、常設のスロープが設置できない場合、市販のス ロープを用意し、出入口にインターフォンを設けるなどしておけば、必要な時にスロープ を設置することができる。 (2)車いす使用者用駐車区画の設置 駐車場の整備の目安と対応の考え方 項目 区画の幅 整備の目安 350センチメートル以上 ポイント 車の脇に車いすを置いて乗り移れるスペース(ゼブラゾーン)を確保する。ゼ ブラゾーン、国際シンボルマークをわかりやすく表示する。 項目 設置場所 整備の目安 施設への出入口にできるだけ近い場所で、水平な場所に設け、出入口まで車 いすで容易に移動できる。 障害当事者から一言 ・専用スペースを設けることがむずかしい場合は、予約で2台分をあけておく、別の場所 で乗降し代理者が駐車場に車を移動するなどのソフト面の対応も考えてもらえるとありが たい。 車いす使用者用駐車区画を設置した例(スーパー紀ノ国屋鎌倉店) 幅:260センチメートル+100センチメートル、奥行:540センチメートル ・全部で21区画の駐車場のうち、1区画を車いす用として確保した。ゼブラゾーンのマー キングが入っていないが、車いすの乗降ができるスペースは確保されている。出入口のさ ほど近くではないが、スロープを通って建物に楽にアクセスできる。 ちょっと惜しい事例 ・普通の大きさの区画に車いす使用者用駐車区画のシンボルマークを入れていた。⇒車い す乗降用のスペースとしてゼブラゾーンを幅1メートル程度確保しましょう。 (3)扉の改善 出入口等の整備の目安と対応の考え方 項目 有効幅員 整備の目安 90センチメートル以上(主要な出入口以外は80センチメートル以上) ポイント 80センチメートル以上確保する。 項目 戸の構造 整備の目安 自動的に開閉する構造その他障害者等が容易に開閉して通過できる構造とし、 かつその前後に高低差がないこと。 ポイント 開閉しやすさから見た推奨順位は、1 自動式引き戸、2 手動式引き戸、3  開き戸である。扉を収納するスペースがない場合は、折り畳み式ドアの利用等が考えら れる。 項目 段 整備の目安 段を設けない。 ポイント 戸の前後には150センチメートル×150センチメートル程度の水平面を設ける。 項目 - 整備の目安 - ポイント 障害者が開閉しにくいドアの構造である場合は、インターフォンや呼び鈴等を 設け、人によるサポートで対応することも考慮する。 障害当事者から一言 ・まず幅を確保してもらうことが最低条件で、次に段差をなくすことが必要。あとは手助 けしてもらえば何とかなるので、できる範囲での対応をお願いしたい。 自動ドアに改善した例(金香楼) 幅:120センチメートル以上、自動式引き戸 ・中華料理店のオーナーが変更になった時に、車いす使用者用トイレを設け、出入口も自 動ドアに変えた。 ・外からはセンサーで開閉し、内から出る時はボタンを押して出る方式。 2枚引き戸の自動ドアで狭い空間に対応した例(みずほ銀行橋本支店) 幅:94センチメートル、自動式2枚引き戸 ・駐車場には車いす使用者用の区画を設けているので、駐車場からの出入口を自動ドアに して、車いす使用者が利用しやすいよう改善した。スペースがあまりないので2枚引き戸 としたのが工夫点である。 インターフォンをつけて介助できるようにした例(みずほ銀行秦野支店) 幅:90センチメートル以上、開き戸 ・建物からの出入口に一番近い場所に車いす使用者用の駐車区画を設けているが、その出 入口が開き戸であるため、インターフォンを設置し、店員が開閉できるようにした。戸を 開けた状態にすれば、車いすの出入に十分な広さがある。 出入口が見える位置に受付をおき、介助している例(レストラン夢庵大井松田店) 幅:90センチメートル以上、開き戸 ・主要な出入口には風除室があり、開き戸2枚を開けなければ出入できない。しかし出入 口はガラス張りであり、車いす使用者など、出入がしにくい人がいれば、入口近くの受付 カウンターから見えるため、すぐに対応できるようになっている。 ちょっと惜しい事例 1 スロープの先の出入口が開き戸で、自分では開けられない。⇒自動ドアにしましょう。 2 自動ドアが押しボタン式のため、車いすを停める必要があるが、スロープと出入口の 間に平坦部がないために、自力でドアを開けられない。⇒センサー付きの自動ドアにしま しょう。 整備費用について ・スペースがあれば、既存のドアを自動ドアに換える場合は30万円程度、手動式の引き戸 にする場合は、7から8万円程度と見込まれる。 (4)室内通路等の改善 室内通路の整備の目安と対応の考え方 項目 有効幅員 整備の目安 120センチメートル以上 ポイント 少しでも有効幅員を広げるため、通路に突出している設備や備品などの整理を 行う。 項目 表面 整備の目安 滑りにくい仕上げ ポイント 毛足の長いカーペットなどは避ける。床の凹凸をなくすようにする。 項目 段 整備の目安 段を設けない。ただしスロープ、エレベーター等がある場合は除く。 項目 車いすの転回スペース 整備の目安 端部は車いすの転回に支障がない構造とし、かつ50メートル以内ごとに車い すの転回に支障がない場所を設けること。 ポイント 車いす使用者用トイレ、主要客室などへの主要通路は、有効幅員が140センチ メートル以上の部分を設ける。 障害当事者から一言 ・通路は、車いす使用者が他の施設利用者とすれ違うことのできる幅が必要。すれ違うこ とができないと他の利用者の通路をふさぐ形になり迷惑をかけるので、入っていくことが できない。 店内レイアウトを車いす使用者が通行できるように改善した例(スーパー紀ノ国屋鎌倉 店) ・車いす使用者が買い物できるように、レジカウンターの改善、車いす用カートの設置、 店内レイアウトの改善を行い、かつ駐車場まで荷物を運ぶサービスを行っている。 車いす使用者が通行できるように段差を解消した例(ファミリーマート小田原栄町店) ・車いす使用者が利用できるよう、店内にあった段差を解消した。通路はゆったりしてお り、車いす使用者が利用できるようになった。 階段脇にスロープを設置した例(ライフガーデン向が丘福祉パル多摩) 幅:80センチメートル以上、縦断こう配:約7分の1(高さ:122センチメートル、距離:8 75センチメートル) ・2階の階段部にスロープを設置し、同じフロアにある福祉事業所に車いすでの出入りが 可能になった。 ・急こう配で長いスロープなので、車いす使用者の自走は困難であり、介助が必要。 室内の段差にスロープを設置した例(東京ガスライフバル川崎大師駅前店) 幅:103センチメートル、縦断こう配:約17分の1(高さ:13センチメートル、距離:220 センチメートル) ・ショールームの一角に設けた厨房の床に給排水の配管を行ったため床をかさあげし、そ の段差を解消するためにスロープを設置した。 整備費用について ・現状を壊さず、斜路を増設するだけなら10から20万円程度と見込まれる。 (5)階段の改善 階段の整備の目安と対応の考え方 項目 主たる階段の形状 整備の目安 主たる階段は、回り階段としないこと。 ポイント 安全な水平面が確保された直階段又は折れ階段とする。 項目 階段の構造 整備の目安 踏面端部の突き出しその他のつまずき原因となるものを設けない構造とする こと。 ポイント 金属製は滑るので避ける、つえや足の落ち込みを防止する構造とする、など。 項目 手すり 整備の目安 手すりを適切な高さ(75から85センチメートル程度)に設けること。 ポイント 手すりの水平部分に現在位置及び上下階の案内情報を示す点字を表示する。 項目 表面の仕上げ 整備の目安 滑りにくい仕上げとする。 ポイント 滑り止め等の設置。 項目 明度差等の確保 整備の目安 踏面の端部とその周囲との色の明度、色相または彩度の差を大きくし、段を 容易に識別できるようにする。 障害当事者から一言 ・弱視者や高齢により視力が弱った人にとっては、階段の踏面の端の色あいや明るさを変 えてもらわないと、段が認識できず大変歩きにくい。踏面の明度差等を確保すると同時に 照明などにより階段がある場所の明るさも確保してほしい。 手すりの設置、明度差等の確保をしている例(藤崎住宅) 幅:89センチメートル ・手すりの設置、踏面の明度差等を確保し、つまずきや杖の落ち込みの可能性が少ない構 造となっている。 (6)エレベーターの設置 エレベーターの整備の目安と対応の考え方 項目 出入口の幅 整備の目安 かご及び昇降路の出入口の有効幅員は80センチメートル以上とする。 ポイント 既存建築物では、エレベーターの新たな設置が困難な場合が多い。設置できる 場合は、既存空間の状況に応じて適切な機種を選ぶ。車いす使用者、視覚障害者が一人で 利用できるよう、整備の目安に従うことが望ましい。 項目 かごの大きさ 整備の目安 かごは幅140センチメートル以上、奥行き135センチメートル以上とし、車い すの転回に支障がない構造とする。 項目 手すり、鏡の設置 整備の目安 かご内には、手すりと、戸の開閉状態等を確認することができる鏡を設置す る。 項目 制御装置 整備の目安 かご内及び昇降ロビーには車いす使用者が利用しやすい位置に制御装置を設 ける。通常の位置に設ける制御装置には点字等でも表示する。 項目 音声案内 整備の目安 かごが到着する階、戸の開閉等を知らせる音声案内装置を設ける。 障害当事者から一言 ・車いす使用者は、上下移動が階段のみの場所には全く行くことができない。エレベー ターは、その越えられないバリアーを解消する手段として重要であり、設置してあると非 常に助かる。 エレベーターを設置した例(みずほ銀行横浜駅前支店) 入口幅:89センチメートル、かごの大きさ:幅130センチメートル・奥行140センチメート ル、手すり・鏡・車いす使用者用制御装置あり、音声案内あり、点字表記あり。 ・今の銀行に変わったときにエスカレーターを廃止してエレベーターを設置した。自動ド ア、エレベーター設置は利用客の要望がきっかけであった。 床下が浅い場合にも設置可能なエレベーターの例(みずほ銀行橋本支店) 入口幅:90センチメートル、かごの大きさ:幅90センチメートル・奥行150センチメート ル、手すり・鏡・車いす使用者用制御装置あり、音声案内あり、点字表記あり。 ・床下の空間が高さ15センチメートルであるため、水圧式のエレベーターを採用した。バ リアフリー新法の基礎的基準を満たしており、介助者も入ることができる。 高齢者のため、浴室内にエレベーターを設置した例(湯花楽) 入口幅:80センチメートル、かごの大きさ:幅140センチメートル・奥行90センチメート ル ・浴場の2階にサウナがあり、従来は階段しかなかったが、高齢者が利用しやすいように、 浴場内にエレベーターを設置した。 ちょっと惜しい事例 ・車いす使用者用トイレを地下に設置した事例は、地下階のエレベーター前を横に走る廊 下が幅約80センチメートル、エレベーター入口の幅が81センチメートルであった。調査に 同行した車いす使用者はトイレまで行くことができたが、エレベーターから降りられない 車いす使用者が多いと思われる。トイレに行くまでの経路が重要、という一例である。 整備費用について ・小規模なエレベーターは600から700万円、改修費用を含めて1千万円程度と見込まれる。 車いす使用者用の大きなエレベーターは1から2千万円程度だが、既存建築物の内部に設置 する場合は改修工事を含めて1億円程度、既存建築物の外側に増設する場合は3から4千万 円程度と見込まれる。 (7)トイレの改善 トイレの整備の目安と対応の考え方 項目 出入口の幅 整備の目安 出入口の有効幅員は80センチメートル以上とする。 ポイント 車いす使用者が利用するためには便器に近づけることが必要で、有効幅員80セ ンチメートルは必須。 項目 戸の構造 整備の目安 自動的に開閉する構造その他障害者等が容易に開閉して通過できる構造とし、 かつその前後に高低差がないこと。 ポイント 原則として引き戸とし、指の動きが不自由な人でも容易に開閉・施錠ができる 構造で、非常時に外から開錠できる構造とする。 項目 便房の構造 整備の目安 腰掛便座、手すり、洗面器、鏡等を適切に配置する。 ポイント 空間にあわせて、車いす使用者が動きやすいように配置。 項目 乳幼児等の対応 整備の目安 乳幼児用のベッド及びいすを設置するよう努める。 項目 空間の確保 整備の目安 車いす使用者が円滑に利用できるよう200センチメートル×200センチメート ル以上(確保できない場合は150センチメートル×200センチメートル以上程度)を確保す る。 ポイント 車いすが入れる便房の最小サイズは130センチメートル×200センチメートル以 上程度。 項目 床面の仕上げ 整備の目安 床面は滑りにくい仕上げとする。 ポイント 濡れても滑りにくい仕様とする。 項目 水洗器具 整備の目安 オストメイト(人工肛門、人工膀胱造設者)対応の水洗器具を設ける。 ポイント 構造上やむを得ない場合は簡易タイプも可。オストメイト対応専用の便房の設 置でもよい。 障害当事者から一言 ・車いす使用者が利用できるトイレがどこにあるかは、街へでかけるときに非常に重要な 情報だ。道路を車で走っていても店の外から車いすマークが見えるようになっていると大 変助かる。車いす使用者が利用できるトイレがある場合は、ぜひ積極的にマークを掲げて ほしい。 ・特に飲食店には車いす使用者用トイレがあると安心して店を利用できる。 ・整備の目安のような空間が確保できない場合、出入口の正面に便器があれば、個室の幅 90センチメントールでも車いすで入れる。ただし、そこまでたどりつけるよう、出入口や 廊下の幅も確保してほしい。車いす使用者の中には、近くまで車いすで行けば少しなら歩 ける人がいることも考慮してほしい。 ・高齢者や足の不自由な人のために、洋式トイレにすること、手すりをつけることで、楽 に利用できる人が多い。できる範囲で対応してほしい。 ・視覚障害者にとっては、便器の位置などは杖や足で探れば比較的わかりやすいが、男子 の場合は立つ位置がわかるよう工夫してもらえるとありがたい。また、トイレの洗浄ボタ ンがどこにあるか探すのが大変だ。手であちこち触りたくないので、音声案内を設置する、 または一言案内してもらえると助かる。JISで決められた方式(*)で設置してほしい。 (*)JISS0026(紙巻器・便器洗浄ボタン・呼出ボタンの配置):便器の前端の上方15か ら40センチメートルの高さに紙巻器、紙巻器の真上10から20センチメートルの高さに便器 洗浄ボタン、便器洗浄ボタンと同じ高さで便器後方に向かって水平距離20から30センチ メートルの位置に呼出ボタンを配置する。 男女別々のトイレを1つの車いす使用者用トイレに改修した例(勝烈庵) 入口幅:96センチメートル、室内の大きさ:幅190センチメートル・奥行180センチメート ル、手すりあり(固定式と上下可動式)、おむつ交換台あり、非常呼び出しボタンあり ・店内全体を改装したのを機会に、バリアフリー化するため、以前は男女別のトイレがあ ったところを、1つの車いす使用者用トイレに変えた。 車いす使用者用トイレを設置して、車いす使用者の来客が増えた例(金香楼) 入口幅:80センチメートル、室内の大きさ:幅180センチメートル・奥行150センチメート ル、手すりあり(固定式と左右可動式)、おむつ交換台あり ・経営者が変わったのを機に、できるだけバリアフリー対応にしようというオーナーの考 えで、以前部屋だったところの一部に車いす使用者用トイレを設置した。 ・ホームページなどを見て来る車いす使用者の団体客や、毎日のように来る常連客がいる ので、施設管理者からは「バリアフリー化してよかった」との声が聞かれた。 車いす使用者用トイレを設置して、車いす使用者の来客が増えた例(菜香新館) 入口幅:93センチメートル、室内の大きさ:幅185センチメートル・奥行155センチメート ル、手すりあり(固定式と上下可動式)。 ・中華街全体としてバリアフリー化を推奨しており、可能な店は車いす使用者用トイレを 設置するようにしているそうだ。この店では、女性用トイレの隣の以前物置だったところ を改修し、車いす使用者用トイレを設置した。 ・女性用トイレも子育て対応をしている。 開閉しやすいドアの工夫(和風いしかわ) 入口幅:125センチメートル、室内の大きさ:幅315センチメートル・奥行130センチメー トル。 ・ドアは引き戸で、内側からの開閉は、ドアに横長のポールがついているので、どの位置 にいても使いやすい。 ・室内は、車いす使用者も利用できる十分な大きさの洋式トイレである。便器の周囲に手 すり(可動式でも可)があると、車いす使用者用トイレとして利用できる。 オストメイト対応設備のあるトイレ(みずほ銀行秦野支店) 入口幅:89センチメートル、室内の大きさ:幅120センチメートル・奥行260センチメート ル。 ・室内の幅はやや狭めだが、車いす使用者が利用可能。 ・トイレットペーパー、呼び出しボタン、水洗ボタンを左右両側につけているのも工夫点。 整備費用について ・みんなのトイレを設置すると改修工事を含めて200から300万円程度、より簡便な場合は 100万円程度と見込まれる。 (8)客席・カウンターその他室内の改善 カウンター及び記帳台等の整備の目安と対応の考え方 項目 カウンター等の構造 整備の目安 カウンター及び記帳台又は公衆電話台の高さは、車いす使用者が利用しやす い高さとし、かつ、下部にはけこみを設ける(台下高さ65センチメートル、奥行45センチ メートル程度)。 ポイント カウンターのほか、飲食店のテーブルも同様に配慮する。 項目 公衆電話機の構造 整備の目安 公衆電話機は、障害者等が円滑に利用できる構造とする。 ポイント 公衆電話機のほか、銀行のATM、自動販売機などの機器も同様とすることが望 ましい。 車いす使用者が利用しやすいテーブルを設置した例(和風・旬食美酒いしかわ) テーブル高さ:70センチメートル ・車いす使用者にも店を利用してもらおうと、出入口を改善し、広いトイレを設置したほ か、車いす使用者が着席しやすいテーブルを設置した。 車いす使用者が利用しやすいカウンター、記帳台、ATMを設置した例(みずほ銀行横浜駅 前支店) カウンター高さ:78センチメートル、奥行37センチメートル、ブース入口幅:80センチ メートル ・車いす使用者も利用もできるカウンターが並んでいる。車いす使用者が来店すると店員 がいすをはずしてスペースをあける。記帳台、打ち合わせも車いす使用者対応の場所が用 意されている。 ・ATMは、端の方の覗かれにくい場所に幅広のブースを設置して、車いす使用者が利用で きるように配慮している。 コンセント等を車いす使用者も利用できる位置に設置した例(藤ア集合住宅) ・集会室の壁の電源コンセントは床近くの位置ではなく、床から高さ30センチメートル程 度のところにある。照明スイッチ等は逆に高さ100センチメートル程度と通常より低い位 置にあり、いずれも車いす使用者も利用しやすいよう配慮している。 高齢者が楽に洗髪できる洗髪用のいすを導入した例(カミハラバーバー) ・うつむいて洗髪する方式は、高齢者にとってつらいため、リクライニングシートで仰向 けになって洗髪するいすを導入した事例。 (9)子育てバリアフリーへの対応 授乳場所等の整備の目安と対応の考え方 整備の目安 トイレには、乳幼児用のベッド及びいすを設置するよう努める。 ポイント 可能であれば設置する。 整備の目安 利用者の利用に供する休憩、授乳のための場所等を設けるように努める。授 乳場所には、プライバシーを確保した腰掛、おむつ替えのできる場所、手洗い、流し台、 給湯器、汚物入れを備える。 ポイント 可能であれば設置する。(休憩のためのベンチだけでも有効) 授乳やおむつ換えができる休憩室を設置し、子ども連れの利用者が増えた例(菜香新館) ・女性トイレを改装して床や壁を木で造作し、くつろげる雰囲気のインテリアとなってい る。その一角に授乳もできるベンチシートとおむつ交換台を置いた。口コミで広まり、昼 間の子ども連れの女性客が増えたという。 乳幼児用ベッドを設置した例(ドコモショップ) ・トイレの前室に乳幼児用ベッドといすが置いてあり、まわりをカーテンで覆うことがで きる。おむつ交換や授乳もできるスペースとなっている。 (10)高齢者や身体障害者への対応 休憩場所等の整備の目安と対応の考え方 整備の目安 利用者の利用に供する休憩のための場所等を設けるように努める。休憩場所 や形態は、施設の空間を有効に活用し、利用者の状況に即したものを設けることが望まし い。 ポイント 可能であれば設置する。廊下等の有効幅員が不足しないように注意する。 休憩所を設置したスーパーの例(スーパー紀ノ国屋鎌倉店) ・高齢者等が買い物に疲れたときに休んだり、連れの人が買い物している間に待ったりす ることができるよう、店内の一隅にいすを置いて、休憩所としている。 道路に面して休憩所を設置した例(本染め手ぬぐい専門店 拭う) ・飲食店ではないが、店先に休憩所を設けることで、観光客の利便性に配慮している。以 前は、店先全体がゆるいスロープであったが、出入口部分のみスロープを残して、テラス 状の休憩所を設置した。 玄関の腰掛けと手すり(藤崎集合住宅) ・集会所は靴を脱いで室内に入るが、車いす使用者が入室できるよう、土間と室内の段差 が約2センチメートルとほぼ平坦である。 ・また高齢者や足の不自由な人が靴を着脱するのに便利なように、折りたたみ式の小さな いすを壁に備え付け、手すりも設けた。 腰掛けと手すりの工夫(病院前薬局) ・低いソファに座るのが困難な高齢者や足の不自由な人のため、背の高いいすを置いてい る。また、ソファの背を利用して手すりを設け、室内を歩くときにつかまれるようにして いる。 (11)視覚障害者への対応 視覚障害者への対応に関連する整備の目安と対応の考え方 項目 視覚障害者用誘導ブロックの敷設等 整備の目標 道路等から案内板等までの経路、階段、スロープ、エスカレーターの近くに は視覚障害者用誘導ブロックを敷設する。 ポイント 階段及び傾斜路の上端に近接する踊場に視覚障害者用誘導ブロック(点状ブロ ック)を敷設する。 項目 案内板の明度差等の確保 整備の目安 標識や案内板は、表記内容について色の識別をしにくい者が円滑に利用でき るように見分けやすい色の組み合わせ等に配慮する。 ポイント 色の組み合わせ等については、当事者や専門家等の助言等を得ることが望まし い。作成段階で見分けやすい色の組み合わせを確認する(目視、白黒コピー、シミュレー ションソフト、利用者の意見聴取など)。 障害当事者から一言 ・出入口に置いてあるマットは、出入口の目印になり、視覚障害者にとっては誘導ブロッ クのかわりになる。 カラーユニバーサルデザインに配慮した案内板(みずほ銀行横浜駅前支店) ・エレベーターの横にある各階の案内板は、地色と文字とのコントラストを確保するため に、文字の縁を黒で縁取っており、誰にでも見やすいものとなっている。カラーユニバー サルデザインの観点より有識者の指導を受けて設置した。 視覚障害者対応ATMの設置(みずほ銀行横浜駅前支店) ・視覚障害者のための音声対応ATMは、ATMメーカーが製作しているものであるが、銀行に よって導入の状況はまちまちである。ATMに受話器様のハンドセットがあり、音声案内に 従ってハンドセットについている数字ボタンを押すことで、ATMを利用することができる。 点字メニューを置いている例(ロイヤルホスト相模原中央店) ・視覚障害者の利便性を考慮して点字メニューを置いている。 (12)ソフト面の対応 障害当事者から一言 ・どうしてもバリアフリー整備ができない所についても、人的対応で色々なことが可能に なる。ユニバーサルサービスや障害への理解を持ち、優しさの心で障害者を受け入れてほ しい。 ・また、ハードを整備すれば良いというものではない。ハードの整備がされていても、ど う対応するかというソフトは重要である。 ・気持ちがあっても、どのように対応したら良いかわからないかもしれない。そのような 場合でもまずは障害当事者に声をかけ、手助けが必要か、どのようにしたら良いか聞いて ほしい。 視覚障害者のサポートや筆談器の活用などの対応(みずほ銀行横浜駅前支店) ・主要出入口近くに設置された受付カウンターに、来客サービスを担当する職員(ロビー コンシェルジュ)を配置しており、視覚障害者やサポートが必要なお客さまが来店された 場合は、お声を掛けて適切な接客が受けられる仕組みになっている。この銀行では、全て のロビーコンシェルジュにバリアフリー接客の方法に関する独自のマニュアルとビデオを 使い研修を実施しており、サービス介助士2級有資格者も200名以上いるそうである。さら に、受付カウンターには筆談用ホワイトボードと耳マークが設置されている。 手話サポート(ドコモショップ) ・手話対応カウンターに手話対応テレビがあり、このチェーン店とネットで結ぶ拠点に手 話通訳が待機し、必要に応じて対応できるようになっている。 ・このほか、店にはサービス介助士が5人おり、顧客サービスに力を入れている。 出入口の外が見える受付で来客への対応をしている例(レストラン夢庵大井松田店) ・出入口付近に受付があり、ドアの周辺がガラス張りであるため見通しがよく、車いす使 用者が来たときは受付で確認できるので、迅速に対応できる。 3.バリアフリー化事例集 (1)事例収集の考え方と事例一覧 本ガイドラインの事例収集は、既存建築物でバリアフリー化を行った事例を対象に行いま した。事例は、できる限り神奈川県の様々な地域から集めるため、神奈川県の7つのブロ ックごとに、当法人メンバーや関係者からの情報をもとに現地調査しました。事例は次の とおりです。 バリアフリー化事例一覧表 番号 A-1 施設名称 藤崎集合住宅集会場 市町村名 川崎市 用途 集会室 番号 A-2 施設名称 ライフガーデン向が丘福祉パル多摩 市町村名 川崎市 用途 福祉施設 番号 A-3 施設名称 由井クリニック 市町村名 川崎市 用途 医療施設 番号 A-4 施設名称 東京ガスライフバル川崎大師駅前店 市町村名 川崎市 用途 店舗(物販) 番号 A-5 施設名称 そばや美濃戸 市町村名 川崎市 用途 店舗(飲食) 番号 B-1 施設名称 勝烈庵 市町村名 横浜市 用途 店舗(飲食) 番号 B-2 施設名称 有隣堂伊勢佐木町本店 市町村名 横浜市 用途 店舗(物販) 番号 B-3 施設名称 金香楼 市町村名 横浜市 用途 店舗(飲食) 番具 B-4 施設名称 菜香新館 市町村名 横浜市 用途 店舗(飲食) 番号 B-5 施設名称 みずほ銀行横浜駅前支店 市町村名 横浜市 用途 銀行 番号 C-1 施設名称 病院前薬局 市町村名 相模原市 用途 薬局 番号 C-2 施設名称 ロイヤルホスト相模原中央店 市町村名 相模原市 用途 店舗(飲食) 番号 C-3 施設名称 みずほ銀行橋本支店 市町村名 相模原市 用途 銀行 番号 C-4 施設名称 ドコモショップ相模原店 市町村名 相模原市 用途 店舗(物販) 番号 D-1 施設名称 スーパー紀ノ国屋鎌倉店 市町村名 鎌倉市 用途 店舗(物販) 番号 D-2 施設名称 本染め手ぬぐい専門店拭う 市町村名 鎌倉市 用途 店舗(物販) 番号 D-3 施設名称 和風・旬食美酒いしかわ 市町村名 鎌倉市 用途 店舗(飲食) 番号 D-4 施設名称 オレンジ薬局 市町村名 鎌倉市 用途 店舗(薬局) 番号 D-5 施設名称 カミハラバーバー 市町村名 三浦市 用途 理髪・理容 番号 E-1 施設名称 湯花楽 市町村名 秦野市 用途 入浴施設 番号 E-2 施設名称 キミサワ秦野店 市町村名 秦野市 用途 店舗(物販) 番号 E-3 施設名称 ドコモショップ秦野店 市町村名 秦野市 用途 店舗(物販) 番号 E-4 施設名称 みずほ銀行秦野支店 市町村名 秦野市 用途 銀行 番号 E-5 施設名称 和風料理魚作 市町村名 秦野市 用途 店舗(飲食) 番号 F-1 施設名称 レストラン夢庵大井松田店 市町村名 大井町 用途 店舗(飲食) 番号 G-1 施設名称 ファミリーマート小田原栄町店 市町村名 小田原市 用途 店舗(物販) 番号 G-2 施設名称 シーサイドスカイマンション 市町村名 小田原市 用途 共同住宅 番号 G-3 施設名称 小田原宿なりわい交流館 市町村名 小田原市 用途 店舗(物販) (2)事例集 施設の現地調査にあたっては、車いす使用者、建築士等とともに、施設管理者からバリア フリー化のポイントについてヒアリングを行うとともに、施設を調査しました。事例集は、 その結果を以下のように整理しましたので、バリアフリー化の際に参考にしてください。 事例集の項目の説明 1 施設の概要は、施設の所在地や建物の概要、バリアフリー化した箇所を記載していま す。 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点は、バリアフリー化した箇所ごとに、その工夫 した視点を記載しました。 3 関係者の声は、現地調査に参加した車いす使用者の声を記載しました。事例によって は、施設管理者や建築・施工業者の意見も記載しています。 A-1 藤崎集合住宅集会室、川崎 1 施設の概要 所在地 川崎市川崎区 立地特性 住宅地 建物用途 集会室 構造規模 鉄筋1階、約100平方メートル 改修時期 2007年 バリアフリー化した箇所 アプローチ、スロープ、ドア、トイレ、階段、出入口の腰掛け 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 2007年にバリアフリー化。(昭和45年新築。)既存の部屋を集会室専用として面積を拡大 し、スロープの設置、階段に手すり、車いす使用者用トイレなどを整備。 (2)工夫した視点 ア 車いす使用者用トイレと洗面所の増築。洗面所も車いすで楽に利用できるように、足 下のスペースも十分あります。室内の寸法:奥行き203センチメートル×幅214センチメー トル。 イ スロープの幅89センチメートル、手すりあり、スロープ傾斜4640分の310、点字ブロ ックあり。 ウ 集会所の出入り口玄関に、靴の履き替えなどで、ちょっと腰掛ける折りたたみ椅子が 設置されている。 エ 玄関から集会フロアに入るときに、床の段差2センチメートルありますが、車いすで も無理なく乗り越えられる。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 スロープも自走でき、玄関の出入りも車いすで可能です。お手洗いは、広くて、楽に利用 できます。 (2)施設管理者の声 集合住宅に住んでいる住民が高齢化し、バリアフリー改修。地域のコミュニティ活動拠点 としても利活用している。 (3)建築・施工業者の声 電源コンセントやスイッチを車いすでも利用できる位置に設置。スイッチも大きいサイズ で手が不自由でも使いやすいものを使用した。 A-2ライフガーデン向が丘福祉パル多摩、川崎 1 施設の概要 所在地 川崎市多摩区 立地特性 商業地 建物用途 福祉施設 構造規模 鉄筋3階、約2,000平方メートル 改修時期 1993年 バリアフリー化した箇所 玄関アプローチ、階段(昇降機)、トイレ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 テナントの2階へ行くには、エレベーターがなく、階段とエスカレータのみなので、階段 に昇降機を設置し、さらに、2階の廊下にスロープを設置。 (2)工夫した視点 ア 車いす使用者は1階出入り口のインターフォンで連絡し、係員の操作で昇降機を利用 して2階へ移動します。 イ 事務所内に車いす対応のトイレを設置しました。床を高くし、スロープ化して楽に車 いすで上り下りできるように改善しました。スロープの高さ130センチメートル、長さ364 センチメートル。 ウ 2階階段部をスロープ化し、車いすで同じフロアにある福祉事務所への出入りが可能。 スロープの高さ122センチメートル、幅80センチメートル、長さ875センチメートル。 エ 車いすでの回転スペースなどを十分に確保しています。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 昇降機は速度が遅く、安心して利用できます。2階のスロープは自走は困難です。 (2)施設管理者の声 昇降機は便利ですが、機械が故障することがあり、使えない期間があります。 A-3 由井クリニック、川崎 1 施設の概要 所在地 川崎市川崎区 立地特性 商業地 建物用途 医療施設 構造規模 鉄筋2階、約200平方メートル 改修時期 2009年 バリアフリー化した箇所 スロープ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 玄関に階段があるので、車いすで玄関まで出入りできるようにスロープを設置。 (2)工夫した視点 ア 道路から玄関までをスロープ化し、玄関の階段の段差を解消しました。 イ 手すりが網状になっており、転落を防ぐことができる。スロープの高さ46センチメー トル、長さ552センチメートル、幅112センチメートル。 ウ クリニック内は段差なしで、移動が楽です。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 スロープの幅が広いのと、手すりなどの作りが丈夫そうなので、安心感があります。 (2)クリニック院長の声 2009年の計画として、道路から玄関までを車いすで出入りできるようにスロープを設置し、 今後もバリアフリー化を計画中。 (3)建築・施工業者の声 改善点としてスロープの床も滑りにくい仕様とした。 A-4 東京ガスライフバル川崎大師駅前店、川崎 1 施設の概要 所在地 川崎市川崎区 立地特性 商業地 建物用途 店舗(物販) 構造規模 鉄筋2階、約200平方メートル 改修時期 2009年 バリアフリー化した箇所 道路からの段差、玄関アプローチ、ドア、室内段差、トイレ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 2008年までは、コンビニエンスストアでしたが、ガス会社のショールーム兼クッキングス クールとするため2009年にバリアフリー化。 (2)工夫した視点 ア 改装前はコンビニエンスストアで、出入口も別のところにあったので、新しく自動ド アにし、車いすでの出入りに配慮しました。 イ 店内のレイアウト、床、テーブル、展示台など、車いすでも十分利用できる空間を確 保しました。 ウ 車いすで利用できるトイレを設置しました。引き戸や便器のスペースは十分にありま す。 エ クッキングスクールで使用する器具の配管など、高床になっているので、店内の床を スロープ化しました。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 トイレの場所がわかりやすいところにあり、利用しやすい。 (2)店長の声 地域の高齢者や車いすの方に来店して頂けるように努力しております。 A-5 そばや美濃戸、川崎 1 施設の概要 所在地 川崎市川崎区 立地特性 商業地 建物用途 店舗(飲食) 構造規模 鉄筋4階の1階、約350平方メートル 改修時期 2008年8月 バリアフリー化した箇所 スロープ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 入り口の自動ドア前の段差をスロープ化し、車いすで店内に入れるように改善。 (2)工夫した視点 ア 車いすで楽に店内に出入りすることができるスロープを設置しました。スロープの寸 法は、幅112センチメートル、長さ140センチメートル、高さ17センチメートル。 イ 1階の店内は、スロープから自動ドアでスムーズに入ることができます。店内のテー ブルやいすも移動可能で、レイアウトも自由度が高く、床も段差がありません。 ウ 階段には手すりがついています。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 車いすで簡単に店内に入れました。店内の椅子やテーブルも車いすで利用できます。 (2)オーナーの声 車いすでの利用者も増えつつあり、スロープ化したメリットを感じております。荷物用と しても活用。 B-1 勝烈庵、横浜 1 施設の概要 所在地 横浜市中区 立地特性 商業地 建物用途 店舗(飲食) 構造規模 鉄筋3階の1階、約300平方メートル 改修時期 2009年 バリアフリー化した箇所 トイレ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 飲食店なので、トイレのバリアフリー化を考え、店内1階の男子用と女子用の2つのトイレ を、そのスペースに車いすでも利用できるトイレに改修。 (2)工夫した視点 ア 車いす使用者用トイレ。トイレ室内寸法は幅190センチメートル、奥行き180センチ メートル。 イ トイレの扉にタッチ式センサーを設置し、容易に扉の開閉ができるように工夫しまし た。 ウ トイレ内におむつ交換台を設置し、乳幼児と一緒に、飲食店で安心して食事ができる ように配慮しました。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 トイレのスペースも十分にあるので、飲食店として、店の玄関に車いすトイレマーク表示 が欲しい。 (2)オーナーの声 高齢化社会と福祉の側面から、店内厨房設備改修と同時に車いす使用者用トイレに改修し ました。 (3)建築・施工業者の声 改善点は、従来の男女別トイレがあったところを、1つの車いす使用者用トイレに変えた。 B-2 有隣堂 伊勢佐木町店、横浜 1 施設の概要 所在地 横浜市中区 立地特性 商業地 建物用途 店舗(物販) 構造規模 鉄筋5階、約1,000平方メートル 改修時期 1997年11月 バリアフリー化した箇所 トイレ、スロープ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 顧客の要望により、地下1階の男子用トイレを車いす使用者用トイレに改修した。トイレ の緊急用ボタンが押されると1階のレジのブザーが鳴り、社員が駆つけるようになってい る。 (2)工夫した視点 ア エレベーターから売り場への段差はスロープで解消しました。 イ 車いす使用者用トイレを整備。緊急用ボタンを設置。スペース確保のため、室内間仕 切りとしてアコーディオンカーテンをつけました。室内奥行き270センチメートル掛ける 幅190センチメートル、扉幅95センチメートル。 ウ 車いす使用者用操作盤のあるエレベーターあり。廊下には車いすマークの表示あり。 入り口幅81センチメートル、かごの大きさ奥行き135センチメートル×幅110センチメート ル。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 エレベーターからトイレまでの廊下は狭いが、トイレは広い。 (2)施設管理者の声 トイレを車いす使用者用に変えてから、車いすでの利用が増えています。 B-3 金香楼、横浜 1 施設の概要 所在地 横浜市中区 立地特性 商業地 建物用途 店舗(飲食) 構造規模 鉄筋3階、約1,000平方メートル 改修時期 2008年11月頃 バリアフリー化した箇所 トイレ、テーブル 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 高齢者および車いす使用者の要望により、部屋を車いす用トイレに改修した。 (2)工夫した視点 ア 車いすで利用できるテーブルがあります。 イ 部屋を車いす用トイレに改修しました。室内幅150センチメートル×奥行き180センチ メートル。 ウ エレベーターを2機設置。かご寸法幅110センチメートル×奥行き138センチメートル。 3 関係者の声 (1)車いす利用者の声 車いすでストレスなく利用できるので、団体で利用している。 (2)施設管理者の声 毎日のように車いすのお客が来店し、高齢者などへのきざみ食や好みにも対応している。 B-4 菜香新館、横浜 1 施設の概要 所在地 横浜市中区 立地特性 商業地 建物用途 店舗(飲食) 構造規模 鉄筋5階、約1500平方メートル 改修時期 2004年6月頃 バリアフリー化した箇所 トイレ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 従前は車いす使用者用トイレがなかった。顧客の意見があり、倉庫を車いす使用者用トイ レに改修した。(エレベーターと出入口の自動ドアは改修前に設置済) (2)工夫した視点 ア 高齢者および車いす使用者の要望により、車いす使用者用のトイレに改修しました。 イ 女子トイレにベビーチェアを設置。室内奥行き185センチメートル×幅155センチメー トル、扉幅93センチメートル。 ウ エレベーターの入り口幅80センチメートル、かごの大きさは奥行き140センチメート ル×幅105センチメートル、出入口は引き戸、段差なし 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 車いすでストレスなく食事ができる。 (2)施設管理者の声 中華街の町全体でバリアフリーを意識しており、トイレなどの改築をした。車いす利用者 の団体が増えており、口コミで広がっている。 B-5 みずほ銀行横浜駅前支店、横浜 1 施設の概要 所在地 横浜市西区 立地特性 商業地 建物用途 銀行 構造規模 地上2階地下2階、約800平方メートル 改修時期 2005年 バリアフリー化した箇所 玄関アプローチ、ドア、室内段差、エレベーター、トイレ、点 字、カラーバリアフリー 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 今の銀行に変わったときに利用客の要望がきっかけでエスカレーターを廃止してエレベー ターおよび自動ドアを設置した。 (2)工夫した視点 ア エレベーターには、点字ラベルや視覚障害者向けの表示機能が整備されています。 イ 視認性向上のために、案内板などもカラーユニバーサルデザイン対策を実施していま す。 ウ JR横浜駅西口から点字ブロックで、支店前の道路まで歩行できますが、歩道から店内 に入るまで点字ブロックを設置しました。 エ 視覚障害者音声対応ATMを設置し、音声ガイドとボタン操作でATMの利用が可能です。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 視覚障害者のための音声案内装置付きのATMが楽に使えて便利です。車いすで記帳台やカ ウンターが楽に使える。 (2)オーナーの声 高齢化社会に対応できるように3年ぐらい前からバリアフリーに取り組み、毎年、改善し ている。 C-1 病院前薬局、県央 1 施設の概要 所在地 相模原市 立地特性 住宅地 建物用途 薬局 構造規模 鉄筋1階、約200平方メートル 改修時期 2005年頃 バリアフリー化した箇所 トイレ、待合室ソファーと腰掛け 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 高齢者、車いす使用者用トイレなどを整備。店舗前面を全て平坦にして、車いすでも入り やすくした。トイレは出来るだけ広くして、車いすでの利用の便を図った。 (2)工夫した視点 ア 車いす対応のトイレに改修。跳ね上げ可動手すりと固定手すりを配置。 イ 出入口の横に背の高い椅子があり、足の悪い利用者に配慮している。 ウ ソファーの後ろに手すりが付いており、歩きやすい。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 トイレは十分な広さがあり、さらに跳ね上げ式の手すりがあり、車いすで利用しやすい。 (2)オーナーの声 車いすでの利用や高齢者の利用が多いため、バリアフリー設備に配慮した。 C-2 ロイヤルホスト相模原中央店、県央 1 施設の概要 所在地 相模原市 立地特性 商業地 建物用途 店舗(飲食) 構造規模 鉄筋1階、約500平方メートル 改修時期 2000年頃 バリアフリー化した箇所 アプローチ、スロープ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 出入口は2段の階段であったが、近くの福祉会館(アジサイ会館)の利用者から改善の要 望が出ていたので出入口を改修してスロープを設置した。 (2)工夫した視点 ア 出入口のスロープは21分の1と緩い傾斜として、両側に手すりを設けて安全に配慮し ました。 イ ソファー席以外にいす席を設け、いすを移動させると車いすでも食事ができるように しました。 ウ 視覚障害者用に点字メニューを用意してあります。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 トイレを広くして、車いす使用者対応にしてほしい。 (2)オーナーの声 市役所、警察署などの公的施設が多いため、車いす使用者のためのいす席も用意している。 C-3 みずほ銀行橋本支店、県央 1 施設の概要 所在地 相模原市 立地特性 商業地 建物用途 銀行 構造規模 鉄筋3階、約1,000平方メートル 改修時期 2005年頃 バリアフリー化した箇所 アプローチ、スロープ、ドア、トイレ、エレベーター、カウン ター 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 店舗全体のバリアフリー化を推進している。駐車場、アプローチの段差を改修し、顧客用 エレベーターを設置した。トイレはバリアフリー化した。 (2)工夫した視点 ア 構造上、床下高さが低くても設置可能なオーチス社製のエレベーターを採用しました。 イ 車いすでも利用可能なトイレを設置しました(90センチメートル×150センチメート ル)。トイレ入り口横に鉄筋壁があり、引戸ドアの設置が困難なため、開きドアを採用し ました。ベビーチェアを設置しました。跳ね上げ手すり、オスメイト用簡易水洗を設置し ました。 ウ 出入口と歩道との段差を2センチメートルとして車いすに対応。自動式引き戸採用し ました。 エ 受付に筆談用ホワイトボードと視覚障害者音声対応ATMを設置しました。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 バリアフリーにきめ細かい配慮がなされており、スペースにもゆとりがあり、利用しやす い。 (2)オーナーの声 バリアフリー化により、高齢者と車いす使用者がスムーズに利用できるようになった。 C-4 ドコモショップ相模原店、県央 1 施設の概要 所在地 相模原市 立地特性 商業地 建物用途 店舗(物販) 構造規模 鉄筋1階、約300平方メートル 改修時期 2000年頃 バリアフリー化した箇所 トイレ、カウンター 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 従前はパチンコ店であったが、全面的に改修した。車いす使用者用トイレなどを整備。手 話対応カウンターを設置した。 (2)工夫した視点 ア 車いす対応トイレを設置。180センチメートル×220センチメートル。 イ トイレの前にカーテンで仕切った乳幼児用ベッドがあります。 ウ 手話対応カウンターに手話対応テレビあり。 エ 出入り口はスロープがあり、車いす利用に対応しています。自動引き戸ドア。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 店内はゆったりしており、トイレも広く使いやすい。要望は、駐車場と道路との段差を解 消してほしい。 (2)オーナーの声 サービス介助士が5人おり、顧客サービスに力を入れている。駐車場は借用中なので、道 路との段差解消は難しいが、別の場所に自前の駐車場を検討中です。 D-1 スーパー紀ノ国屋鎌倉店、横須賀・三浦 1 施設の概要 所在地 鎌倉市 立地特性 商業地 建物用途 店舗(物販) 構造規模 鉄筋1階、約900平方メートル 改修時期 2007年9月 バリアフリー化した箇所 スロープ、駐車場、休憩所 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 歩行者用スロープは傾斜が急であったが、車いす使用者の増加に対応して改修した。また 車いす使用者用駐車区画を設置した。 (2)工夫した視点 ア 車いすで買い物できるよう、車いすカートを常備しています。 イ ソファーをおき、休憩スペースを新設しました。 ウ 車いす用スロープを設置しました。 エ 車いす使用者が駐車場での乗り降りが簡単にできるように、右側のスペース(ゼブラ ゾーン)を広くした。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 歩行者用スロープが緩やかになり、駐車場からお店までストレスなく入店できる。 (2)オーナーの声 車いすで楽に買い物できるよう、スロープ、駐車場を改修し、店内通路も広くした。声を かけていただければ全て店員が対応します。歩行者用スロープの材質を、滑りにくい材質 に変更した。 D-2 本染め手ぬぐい専門店拭う、横須賀・三浦 1 施設の概要 所在地 鎌倉市 立地特性 商業地 建物用途 店舗(物販) 構造規模 鉄筋1階、約150平方メートル 改修時期 2009年3月 バリアフリー化した箇所 スロープ、休憩所 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 車いす使用者や高齢者のため、スロープ両側を改修して、誰でも利用できる、休憩スペー スを設けた。 (2)工夫した視点 ア スロープの両側に今までなかった休憩スペースを設置しました。 イ 出入口のドアは自動ドアとなっています。幅80センチメートル。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 休憩スペースは誰でも利用でき、便利です。 (2)オーナーの声 休憩スペースはベビーカーの親子などが利用し、集客に役立っている。 D-3 和風・旬食美酒いしかわ、横須賀・三浦 1 施設の概要 所在地 鎌倉市植木 立地特性 住宅地 建物用途 店舗(飲食) 構造規模 鉄筋1階、室内43平方メートル 改修時期 2004年8月 バリアフリー化した箇所 トイレ、テーブル 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 従前は電気店であったが、全体を改修して飲食店とした(2004年の飲食店創業時に改修)。 車いす使用者の便宜を図るため出入口は自動ドアとして、トイレも改修した。 (2)工夫した視点 ア 車いす使用者が使用可能な、大きな使いやすいトイレです。 イ テーブルは車いすでそのまま入れる構造です。高さ70センチメートル。 ウ ドアについているポールが使い勝手が良い。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 トイレは広くて使いやすいし、テーブルの高さも丁度良い。要望は、車いすマークを店舗 入り口の目立つところに表示して欲しい。 (2)オーナーの声 車いす使用者の方に使ってもらうよう改築した。利用はまだまだ少ないので、PRして行き たい。 D-4 オレンジ薬局、横須賀・三浦 1 施設の概要 所在地 鎌倉市 立地特性 商業地 建物用途 店舗(薬局) 構造規模 鉄筋1階、約100平方メートル 改修時期 2009年 バリアフリー化した箇所 スロープ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 ケーキ屋を改修して、薬局にした。最近車いす使用者が増え、その便宜を図るため、ス ロープを設置した。(出入口は既に自動ドアとなっていた) (2)工夫した視点 ア 階段とスロープを設置しました。 イ 自動ドア、幅80センチメートル。 ウ 車いす使用者用スロープと手すりを設置した。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 スロープは手動車いすでは上るのが難しいが、電動車いすならば上れます。 (2)オーナーの声 毎月何人かは電動車いすで薬局へ来ます。ベビーカーを押して来る利用者も多く来ます。 D-5 カミハラバーバー、横須賀・三浦 1 施設の概要 所在地 三浦市 立地特性 住宅地 建物用途 理髪、理容 構造規模 鉄筋1階、約50平方メートル 改修時期 2007年 バリアフリー化した箇所 アプローチ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 高齢者や車いす使用者が利用しやすいように、従前、駐車場側にあった入り口を道路の斜 面側に移動して、店内のスペースと駐車場を確保した。理髪台に座ったままで洗髪できる いすを設置。 (2)工夫した視点 ア 坂の高低差をカバーするスロープになっています。 イ 高齢者にやさしいいすを設置しました。 ウ スロープの両側には安全のため手すりを設置しました。 エ 出入口を道路の斜面側に移動しました。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 坂道の斜度をアプローチで吸収してあるので入りやすい。 (2)オーナーの声 店の前の歩道に傾斜があるため、スロープの形状を工夫した。アプローチだけでなく、理 髪台も使いやすい様に考えている。トイレの入り口が狭いので、車いすで使用できるよう 対応したい。 E-1 湯花楽、湘南 1 施設の概要 所在地 秦野市 立地特性 住宅地 建物用途 入浴施設 構造規模 鉄筋2階、約1,000平方メートル 改修時期 2006年頃 バリアフリー化した箇所 アプローチ、エレベーター、トイレ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 従前は2階のサウナルームへは階段を利用していたが、浴室内エレベーターで移動できる ようにし、高齢者なども利用しやすくした。 (2)工夫した視点 ア 出入り口へのアプローチを手すりつきスロープとして、車いすに対応しました。 イ 車いす使用者用トイレを設置しました。 ウ 浴室内エレベーターを設置しました。 エ トイレにかわいいベビーチェアを設置しました。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 トイレは広く(170センチメートル×200センチメートル)、バリアフリー化されており、 使いやすい。要望は、出入口のスロープの左側にも手すりがほしい。 (2)オーナーの声 1階大浴場と2階サウナを一体的に利用できるようエレベーターの位置を工夫した。要望 については本部と相談して検討します。 E-2 キミサワ秦野店、湘南 1 施設の概要 所在地 秦野市 立地特性 住宅地 建物用途 店舗(物販) 構造規模 鉄筋1階、約800平方メートル 改修時期 2006年頃 バリアフリー化した箇所 トイレ、駐車場 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 従前は普通の水洗トイレであり、車いす使用者駐車用区画も離れていた。店頭のレイアウ トを工夫して、車いす使用者用の駐車区画を設け、トイレを車いす使用者対応に改修した。 出入り口のアプローチは平坦であり、自動引き戸を設置している。 (2)工夫した視点 ア 車いす対応トイレに改修しました。幅183センチメートル×奥行き205センチメートル。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 トイレは広く(幅183センチメートル×奥行き205センチメートル)、バリアフリー化され ており、使いやすい。 (2)施設管理者の声 トイレのレイアウトは改善します。要望についても本部と相談して検討します。 E-3 ドコモショップ秦野店、湘南 1 施設の概要 所在地 秦野市 立地特性 住宅地 建物用途 店舗(物販) 構造規模 鉄筋1階、約500平方メートル 改修時期 2003年頃 バリアフリー化した箇所 アプローチ、スロープ、ドア、カウンター 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 従前あった駐車場からの入り口の位置を変更して、売り場面積を拡張した。結果として、 店舗と駐車場に段差ができたため、その解消のためスロープを設置した。 (2)工夫した視点 ア 車いす使用者駐車区画を2箇所配置し、店内への通路には手すり付スロープ(長さ450 センチメートル、高さ10センチメートル)を設置しました。 イ カウンターに手話対応テレビを設置しました。 ウ トイレは、車いす利用に対応しています。幅155センチメートル、奥行き170センチ メートル。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 出入口のスロープは緩やかで、利用しやすい。要望は、トイレの戸を内側に開けると車い すの方向変更が困難になるので、外側に開けるよう、表示して欲しい。 (2)施設管理者の声 今回、車いす使用者に体験していただき問題点を確認できたので、本部と相談して改修を 行いたい。 E-4 みずほ銀行秦野支店、湘南 1 施設の概要 所在地 秦野市 立地特性 商業地 建物用途 銀行 構造規模 鉄筋3階、約1,000平方メートル 改修時期 2005年 バリアフリー化した箇所 トイレ、エレベーター 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 従前は利用者は階段を利用し、車いす使用者用トイレがなかった。車いす使用者の増加に 対応してエレベーター、車いす使用者用トイレ、車いす使用者用インターフォンなどを設 置。 (2)工夫した視点 ア 車いすでも利用可能なトイレを設置、自動式引き戸を採用しました。(幅120センチ メートル×奥行き260センチメートル)オストメイト用簡易水洗、ベビーチェア設置しま した。 イ 車いす用で出入口が狭いので、インターフォンで呼び出せるようにしました。 ウ 視覚障害者向けに、ATM装置に音声案内機能がついたATMを設置しました。 エ 車いす対応のスルー型エレベーターを採用しました。 オ サービス介助士2級の資格を持つスタッフが対応します。受付に耳マークと筆談用ホ ワイトボードを設置しました。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 バリアフリーにきめ細かい配慮がなされており、スペースにもゆとりがあり、利用しやす い。 (2)施設管理者の声 エレベーター設置以外は、建物の大幅な改造をせず、多機能トイレを設置する等、バリア フリー化を実施しました。加えて、ソフト面や接客面で対応するよう工夫しました。 E-5 和風料理魚作、湘南 1 施設の概要 所在地 秦野市 立地特性 住宅地 建物用途 店舗(飲食) 構造規模 鉄筋2F、約1,000平方メートル 改修時期 2005年 バリアフリー化した箇所 アプローチ、トイレ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 従前は、出入口は階段(2段)があり、車いす使用者用に不便であり、車いす使用者用ト イレもなかった。高齢者や車いす使用者の要望により、出入口のスロープ化とトイレの段 差解消を実施した。 (2)工夫した視点 ア 出入口は自動引き戸ドアとし、車いすで利用できるスロープを設置しました。(長さ 210センチメートル、高さ43センチメートル、幅108センチメートル) イ 車いすで利用できるよう段差解消板を設置しました。(長さ20センチメートル、高さ 3センチメートル)広さは幅90センチメートル、奥行き100センチメートル。引き戸は幅12 0センチメートル。開き戸は幅75センチメートル。 ウ おむつ交換用ベッドを仕切り板の陰に設置しました。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 出入口は段差がすくなく、スロープがあるので入りやすい。要望は、トイレに手すりをつ け、車いすで利用できるようにしてほしい。 (2)施設管理者の声 大幅な改修をせずに、バリアフリー化を実施するよう工夫した。バリアフリー化はまだま だ不十分と考えており、今後対策をしていきたい。 F-1 レストラン夢庵大井松田店、足柄上 1 施設の概要 所在地 大井町 立地特性 住宅地 建物用途 店舗(飲食) 構造規模 鉄筋1階、約600平方メートル 改修時期 2005年 バリアフリー化した箇所 トイレ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 車いす利用者が増加したが、車いす使用者用トイレがなかったので改修した。 (2)工夫した視点 ア 出入口のドアの引き戸は固定でき、車いす利用者でもスムーズに出入りができるよう にしました。 イ トイレ内の左側に物置台、右側に手洗い台を設けて、これにつかまって車いすから移 動して、トイレを利用できます。 ウ ソファー席以外にいす席を設け、いすを移動させると、車いすでも食事ができるよう にしました。 エ 折りたたみ式のおむつ交換台。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 車いす利用者が来たときは受付で確認できるので、迅速に対応できる。要望は、トイレ内 で車いすが転回できるスペースがほしい。 (2)施設管理者の声 受付では常に来客を確認しており、車いすの方には迅速に対応している。 G-1 ファミリーマート小田原栄町店、県西、小田原 1 施設の概要 所在地 小田原市 立地特性 商業地 建物用途 店舗(物販) 構造規模 鉄筋4階の1階店舗部分約150平方メートル 改修時期 2009年 バリアフリー化した箇所 スロープ、室内段差 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 店舗出入口が自動ドアで段差があるのを、スロープ化し、車いすで利用できるように改善。 店内も車いすで利用可能なレイアウト空間を確保しました。 (2)工夫した視点 ア 段差解消のためにスロープ化し、楽に店内に入れるように改修しました。スロープの 寸法は、幅140センチメートル、高さ19センチメートル、長さ150センチメートル。 イ 車いすで利用できるように、店内の商品棚と通路のスペースを広くしました。 ウ 道路から店内に入るまでのアプローチが、わずかな傾斜になっており、段差なく出入 りできます。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 店内入り口のスロープは楽に利用でき、店内も通路がゆったりしているので買い物が楽で す。 (2)店長の声 車いすで利用できるように出入口をスロープ化し、点字情報も準備しております。 (3)建築・施工業者の声 改善点は、店内のレイアウトで、車いすで移動できる通路を確保している。 G-2 シーサイドスカイマンション、県西、小田原 1 施設の概要 所在地 小田原市 立地特性 商業地 建物用途 共同住宅 構造規模 鉄筋11階、約2,000平方メートル 改修時期 2009年 バリアフリー化した箇所 玄関アプローチ、スロープ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 1974年11月に新築された共同住宅。1階出入口の階段を、高齢化対策でスロープ化しまし た。 (2)工夫した視点 ア スロープは、幅、こう配も考慮されている。スロープの寸法は、幅110センチメート ル、長さ552センチメートル、高さ40センチメートル。 イ スロープから玄関へ入るところも、車いすで転回が容易にできる。 ウ 車いすの女性で自走を試み、問題なく利用できることを確認しました。 エ スロープの手すりも、しっかり取り付けられており、高さなども使いやすい。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 女性でも自走できました。 (2)共同住宅管理人の声 共同住宅に住んでいる方の高齢化対策でスロープ設置しました。 G-3 小田原宿なりわい交流館、県西、小田原 1 施設の概要 所在地 小田原市 立地特性 商業地 建物用途 店舗(物販) 構造規模 木造2階の1階店舗部分約200平方メートル 改修時期 2003年 バリアフリー化した箇所 玄関アプローチ、ドア、トイレ 2 バリアフリー化の概要と工夫した視点 (1)バリアフリー化の概要 古い民家を観光客の休憩所として移築し、出入り口を引き戸にし、車いす使用者用トイレ に改修。 (2)工夫した視点 ア 車いす利用者用トイレ、おむつ交換台もあるトイレ。トイレの寸法は、幅150センチ メートル、奥行き210センチメートル。ドア幅80センチメートル。トイレの手すり横に、 小さな鞄をぶら下げられるフックのような金具があれば、女性は便利。 イ 歩道から引き戸で入りやすいが、引き戸の数が多いため、引き戸のレールが広くなっ ている。引き戸の幅180センチメートル。 ウ 建物の裏にもある駐車場からの出入りも段差ない。 3 関係者の声 (1)車いす使用者の声 駐車場から建物内へ移動し、トイレが楽に利用できる。女性の場合は荷物を置くところが ほしい。 (2)休憩所職員の声 市内の行事で利用するとき、観光客の方でも車いすで利用できます。 4.おわりに 本ガイドラインおよび調査報告書を作成するにあたり、ご協力頂きました方々に、心より 御礼申し上げます。 また、現地調査実施前に、バリアフリーに関する貴重なコメントをくださいました皆様に、 ここで御礼申し上げます。 調査協力 横濱ジェントルタウン倶楽部 http://www.yokohama-gentle.jp/ 障害者の自由な移動を進めるハンディ・キャップの会 NPO法人小田原障害者福祉協議会 相模原車いす友の会 http://members.jcom.home.ne.jp/s-wheelchair/ 特定非営利活動法人大師ワークショップ 調査・作成協力 株式会社櫻井淳計画工房 http://www.j-sakurai.jp/ 有限会社悦計画室 調査・作成実施 特定非営利活動法人NPO福祉支援ゆうやけネット http://www.yuuyake.or.jp 問い合わせ先 神奈川県保健福祉局地域保健福祉部地域保健福祉課 県土整備局建築住宅部建築指導課 郵便番号231-8588 神奈川県横浜市中区日本大通1 電話 045-210-4750(地域保健福祉課) 電話 045-210-6244(建築指導課) ファックス 045-210-8857(地域保健福祉課) ファックス 045-210-8884(建築指導課)