審議会等名称神奈川県障害者施策審議会障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会(第3回) 開催日時令和2年10月14日(水曜日)15時00分〜17時15分 開催場所県庁本庁舎3階大会議場 出席者◎小川部会長、堀越副部会長、冨田委員、野口委員、安藤委員、伊部委員、中島委員、大塚委員、佐藤委員 (事務局:足立原意思決定支援担当部長) 開会のあいさつ (小川部会長) みなさんこんにちは。御苦労様です。早速、議事の説明をいたします。本日は、積み残しとなっております、意思決定支援の取組を行います。それから議題2といたしまして、利用者目線の支援について、それぞれ委員の皆様から御意見を頂戴しておりますので、それについて御報告をいただき、意見交換をしたいと思います。 時間がとても限られていますが、御用意いただいた方々からの御説明が長くなりそうなので、調整させていただきながら、進めていきたいと思います。本日は以上の2題を予定しております。 さて、これから議事なのですが、冒頭に部会長より、事務局の方にお尋ねしたい件があります。10月8日付の神奈川新聞、東京新聞を始め報道されているとおり、10月7日の厚生常任委員会で、社会福祉法人かながわ共同会が職員に対して虐待に関する通報を抑制しかねない文章を出していることに対して、県は共同会に対してどのような対応をなされたか、ここで部会員に対しても御説明を願いたいと思います。 その文章は、理事長名で職員向けサイトに掲載されており、内容は「懲戒処分の対象ともなり得る」という強い用語を使って文章を出しております。この部会では今、身体拘束ゼロに向けて、あるいは虐待を防止していく、そういったことに関して、いろいろな方策を検討し、また意思決定支援を積極的にしていくための方策を出そうとしているわけですが、虐待と思われる事案について、隠蔽と思われる指示を出したとすれば、ここでの検討が将来的に活かされないということになってしまいますので、その点確認をしておきたいと思います。本件について県がどのような姿勢で臨んだのか、どのように対処したのか、教えていただければ幸いです。 (事務局:橋障害サービス課長) 説明させていただきます。資料を参考資料1ということで御用意をさせていただいております。この件におきましては、先日行われました県議会定例会厚生常任委員会で質疑がございましたので、その質疑の結果で、今回対応について御報告させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。資料は後ろから3枚目になります、参考資料1になります。表題が「令和2年第3回県議会定例会厚生常任委員会質疑(概要)」になります。 この件につきましては、前回この部会において、愛名やまゆり園に立入検査をした件について御報告させていただいたところでございます。その情報提供に関しまして、かながわ共同会理事長から職員向けに発信された文章について、次のとおり質疑がございましたので、御報告をさせていただくものでございます。 まず、議員側の質問の要旨でございますが、法人が職員の通報意識を著しく抑制するような文書を発出することは、ガバナンスに問題があるのではないかといった御質問の要旨でございました。それに対して県の答弁でございますが、まず事実確認といたしまして、県は随時モニタリングを実施する中で、文章を入手しており、事実としてこの文書を確認しております。 今回の文書につきましては、通報を抑制しかねないと考えられたので、県は共同会に対して、法に基づく虐待通報を抑制することはないよう、適切な対応を求めたということでございます。共同会は不適当であったことを認めて、この文章を削除しているところでございます。 また、検証委員会がまとめた中間報告書では、虐待が疑われる事案や、県や法人としてのガバナンスのあり方が指摘されているところであります。こうした指摘に共同会が真摯に向き合い再発防止策を講じていくことが非公募の条件であり、県は審査の中で厳しく確認していく予定です。 また、県として改めて共同会に対して、ガバナンスの構築や利用者目線の支援について、しっかりと取組を指導していく、こういった答弁を私の方からさせていただいたところでございます。 それに対しまして県議会の方からの御意見でございますが、法人は不適切と疑われるような支援を速やかに改善すべきであり、県が指定管理者に対してしっかりと指導していくことを強く要望する。虐待ゼロを目指す県立障害者施設でこのような疑義ある行為を行った法人は、今一度当方の趣旨を認識し、利用者支援について利用者の目線に立って、不適切な支援の根絶に真摯に向き合うべきである。法人経営陣自身が自らを省み、コンプライアンス意識を持って、自主的な身を切る覚悟で改革をされることを強く望む。こういった御意見をいただいたところでございます。簡単でございますが、報告は以上です。 (小川部会長) しっかりと県として指導していく、とか、適切な対応を求めたというふうになっておりますけれども、それが実質的なものにならない限り、ここでの言葉ということになってしまいます。議会からの意見に沿っていくならば、やや言葉の指導という以上に、もう少し介入しなければいけないことがあるのではないかなと感じます。4年前にあの大きな事件が起き、そのあと虐待とか身体拘束のことについて非常に検討していかなればいけない、その場合に、法人と県の間に深い溝があったりすると、進んでいかない。県も法人もそれからこういった部会での検討も、それが一体となって一つのことを、一つということは、ここのタイトルにあるような利用者目線で一致した行動を取っていかなければ、全く言葉が流れているだけで改善はされていかないということになりますので、今回の件については非常に不安に思っております。 法人の方は、法人なりに努力しているのかもしれないけれども、そこから出されている文書を見ると、非常に県に対しての批判が強い、あるいは報道に対しても名誉棄損等の検討をする。非常に防衛が強い。それよりも、これまでの虐待や身体拘束について見直して、どういうふうにしていったらいいのかということを、透明性を持ってやっていくことの方が、よっぽど法人の力が高まっていくと思うのですが、今ちょっと、そこのところの足踏み状態と言いますか、それを感じるので、この部会で議論したこと、そしてこれから年度末に向けてまとめていくであろうことが、反映していくような地盤がなければ、ここで議論していることは無駄に終わってしまう。そのことを心して、これからのこの場の議論も各法人に対する様々な働きかけも積極的にやっていただきたいというふうに思います。このことについて議論するつもりはないのですけれども、よろしいですか。 (佐藤委員) 1点だけよろしいでしょうか。私は報道で見ただけなので、詳しいことは知りませんけれど、中間報告で虐待防止法の主旨の理解が少し違うのではないかという指摘をさせていただきましたが、今回のこの出来事も報道どおりだとすれば、虐待防止法の通報義務についての理解が違うということになるんですね。これは虐待の問題ではなくて、虐待防止法を理解しているのかどうかというガバナンスの問題ですので、こういうものが続けて起きてくるということは、法人として虐待防止法をどのように理解されているのかということを、改めて御説明いただかないといけない話だなと思います。 もう1点は、報道では、県の担当課長が法人に対して謝罪をしたことが書いてあったが、議会では、担当課長は「そんなことはない」とおっしゃっていたようですけれども、今、法人の方はそこをどういうふうに理解されているのかということを、是非お伺いしたいという気持ちがあります。回答がなければ仕方ないですけれど。 (小川部会長) 本件はこの後の議題もありますので、事務局の方で、こちらの部会の意向を汲み取っていただきたいと思います。佐藤委員からの質問については大丈夫ですか。答えていただけますか。 (事務局:橋障害サービス課長) 私の方で謝罪をしたということですが、その件につきましては、議会の方でも申しましたが、抜き打ちでの立入調査をした件については謝罪しておりません。 その件について、法人に確認します。 (小川部会長) あまりはっきりしない答えですが、今後、こちらのヒアリングに入るときにも、その辺の問題、あるいはガバナンスの様々な角度の問題は取り上げることになるだろうと思いますので、そのときに確認して、お答えいただければと思います。 (事務局:橋障害サービス課長) そのときに確認します。 (大塚委員) 通報をどのように考えるかということですが、今の国の考え方では、専門官が作ったものだと思いますけれども、通報は障がいに関わらず全ての人を救っていく、つまり本人だけではなく、支援者であり関係者であり法人全体。小さいところの様々な不適切な支援というものを早く発見して、それがエスカレートしないように、みんなでどのように考えていくかということで、決して通報を憎むものではなくて、むしろ通報をどんどんしていくことによって、自分たちの組織を変えていく、あるいは支援を変えていく、そういう機会にすべきと。そういう意見の中において、今回のことは残念です。もう一度考え直していただきたいと思います。 (小川部会長) そのことについて、法人の理解とのずれが明確にあると。文章から読み取ると、そういうことにはならないので、そこはここで議論していても仕方ないので、改めてヒアリングさせていただくときに、いろいろ先方のお話、それからこちらからのお話をさせていただくことになると思います。 以上です。ちょっと確認をしたかったので、確認させていただきました。 それでは次に資料1で、できるだけ断片的にならないようにという意味で、前回の会議のポイントを要約したものをお配りしたのですけれども、今日、ちょっと議題が混んでおりますので、読んでおいてください。何か違うことがありましたら、部会と部会の間に御連絡いただければと思います。一応全編のポイントを整理したものです。 松上理事長がお話なさったことが、かなり部会の皆様が、御同意、共感を持って聞かれていたものですので、その主だったポイント、そして先々にこの部会での提言や報告をまとめるときのキーワードも入っているかと思いまして、それとなるような部分を抜き書きしたものですので、後程お読みください。今日は配布に留めます。 それでは、本日の議題の1に入ります。意思決定支援に関して、事務局の方で資料を用意していただいているので、これをまず説明をしていただいて、若干の質疑をしたいと思います。この内容は皆様からお出しいただいた意見書の中でも、私自身もそうなのですけど、かなり意思決定支援について触れているので、県からの御説明は、質疑と意見交換はちょっと短めにしたいと思っております。県からの説明も10分で納めていただいてお願いいたします。 (事務局:臼井意思決定支援担当課長) 〔資料2−1に基づき「津久井やまゆり園に関連する意思決定支援の取組状況」について説明〕 〔資料2−2に基づき「津久井やまゆり園利用者の意思決定支援に関わる現場担当者の声」について説明〕 (小川部会長) 現在行われている意思決定支援の取組の概略と2名の方のヒアリングの内容を御報告いただきました。それについて何か御感想なり御意見なり問題点なり、それから発展的に捉えられるキーワードとかありましたら、御指摘いただければと思います。いかがでしょうか。 (佐藤委員) この間、県も関与する形で意思決定支援の取組をされてきたということは、大変貴重な事だと思いますが、グループホームへの移行も含めてということになりますと、実は施設だけで意思決定支援をするということはなかなか難しいわけで、いろんなお試し等も含めて、神奈川県全体で意思決定支援に取り組んでいくんだという姿勢が見えないと、なかなか難しいのだろうと思います。そういう中で、いま施設の中で頑張っているんだなという感想を持ちます。 もう一つは、これの一番のメリットは、外部の目が施設に入るという、そこにあるのではないか、現状ではですね。そこは大きな意味を持っていると私は思っております。 (小川部会長) ありがとうございます。他に御意見は。 (安藤委員) 意思決定支援、すごく現場で頑張っているなとは感じますが、津久井やまゆり園の再生基本構想のときにこの意思決定支援について議論をしましたけれども、これは津久井やまゆり園の利用者だけではなくて、将来的には神奈川県の利用者に広げていこうという確認があったというふうに認識しています。そうしますと、津久井やまゆり園の利用者に対する意思決定支援を行うと同時に、それをどういうふうに一般化できるかというような取組を並行して行っていく必要があるのではないかなと思いますので、今まで実践の中で、何かこういう方法があればいいのではないかなと思われるものがあったら、いまではなくてもいいのですけれども、別な機会でも構いませんので教えていただければなと思います。 (小川部会長) 安藤委員のおっしゃったとおり、津久井やまゆり園での意思決定支援の取組というのは般化、他の施設の方に広がっていく、そのことで地域生活への移行というものも進んでいくのだろうと思いますので、とても大事なポイントだというふうに思います。 (伊部委員) 私も安藤委員と同じく、津久井やまゆり園再生基本構想に関わる部会に参加させていただきました。今回、進捗状況というような形での発表なのですが、次回からこういう報告をされるのでしたら、現在の進捗状況を踏まえて全県下に広めていくために、こういうような枠組みを考えているというところまで提示していただかないと。おそらく津久井やまゆり園以外の施設関係者の人たちはどんなふうに、自分たちに期待をされるのかと。津久井やまゆり園の場合は特別な予算が組まれて取り組んでいますけれども、他の施設だったらどういうふうになるのかということが非常に心配だという声も少し伺っておりますので、ごく普通の小さな社会福祉法人やグループホームを含めて、こういう形で広めていきたいというような、そういう資料作りで御報告いただければと願っているところです。 (小川部会長) その点も大事なことで。またここにいる部会の委員の皆様の御経験ですとかそういうことも県の施策の中に反映してもらうということが必要でしょうから、そういう意見もここで出していただければと思います。 私からちょっとだけ追加させてもらいますけれども、芹が谷園舎の入居者の年数が男女とも平均20年から21年、最長が52年、47年ということになって、非常に長期にわたって入居されている、最短は4年、6年ですけれども。施設生活が非常に長い状態で進んでいる。そこの中で生活の場を考えていくということは、なかなかそれまでの経験というものの量が少ないですね。ですから、現実には来年、津久井と芹が谷に入居するわけですけれども、生活の場というところの選択というよりも、その方の一番快適と思われる場所を探っていくようなところもあると思うのですが、いったん新しいところに入居したとして、そこで経験して「いや、これは。」というようなことがあったらば移行できるような、そういうフレキシブルな移行、また、振り分けということではなくて、移行ができる体制。あるいはそれぞれの施設にグループホームへの中間的なトランジットな空間も用意する。トランジット場所を新たに用意するということではなくても、いまの施設の割り振りの中でしょうが、そういう意識で取り組むとか、工夫をしないと。ここでの意思決定支援というのは、もっと広い意味でのその方の自己決定、これが好きあれをしたいというようなことが、積極的に出していけるようなことが趣旨であって、どの住居に、どこに住む、見てないですから、我々でも新しいところに行くのに、何もないところに行くということは分からないですから。ただ、その方の好みとか住居とか、家族のそばとか、いろいろな要件でそのことを推測していく。その方その方の意思決定の仕方というもの、表出の仕方というものから読み取っていくようなことが起きるのではないかなと想定しますけれども、その辺のことも考えながら皆さんがチームで動いてくださるということが大事かなと思いました。 それからもう一つ重要なのは、松上理事長が言っていたコンサルテーション。すなわちここで言えばアドバイザーなのですよね。言葉は違うけれども、今委員さんがおっしゃったように外から客観的に見る方を、その人の支援計画の中で一緒にやっていく、これはものすごく大事で、だからこそ般化して他の施設の方でも同様のことをしていけるような人たちを養成することも必要でしょうし、配置することも必要でしょうけれども、まず重要なのはコンサルテーション、アドバイザー、どういう言葉を使ってもいいのですけれども、そういうポジションをきちんと置くということですね。 それから、これまで施設の個別支援計画というのはマンネリ化し、コピペ状態になっていることも往々にしてあるわけですけれども、今回外部の方が入って、なおかつきちんと地域の相談支援専門員、サービス管理責任者、支援員等、県からも入ってチームで、ご本人、御家族が入っているわけですから、これは最も意思決定が難しい方に対していろいろな角度から見ていく一つの手立てです。しっかりと専門職を置けない場合でも、ここの中に意見が出ているように、関係する人、機関と連携することで視野を広めていくことはできるということがあるので、ここでのお2人の御意見、感想なのですけれども非常に重要なことが含まれている。これはアドバイザーさん方がまとめられた報告書には、もっと数多くの事例が載っております。そこから読み取れることもできるし、今後また続いていくわけですから、よりいろいろな知見が積み重ねられるということになると思うので、そこを大いに活用して施策に反映していただきたいなと思います。 意思決定支援については、このあとの皆さまの御意見の中に必ずや入ってくるので、いったん議題1は御報告をいただいて、それぞれ若干の御意見もいただいたということで、終わらせていただいてよろしいでしょうか。 それでは議題2の方に入ります。皆様から御用意をいただき、冨田委員は最後に皆様からの御意見を聞いて感想とか御意見を出していただきたいと思います。利用者目線の支援に求められる視点や取組みについてというタイトルで皆様の御意見を事前に書いて提出していただいております。それを私読める範囲で読んだのですけれども、お一人どう見ても20分、30分かかりそうな内容を組み込んでくれたんですが、事務局のメモによると、5分刻みでいかないと意見交換ができなくなるとなっていますので、誠に申し訳ないのですが、一応5分発表ということにしまして、若干考慮しますけれども、一応5分刻みで、あとで意見交換のときにさっき言わなかったけれど、というような形で戻るような形にしていただいて、5分で要点だけをお話しいただきたいと思います。一件ずつそれについて意見というようにやりますと時間がかかりますので、皆様から提出していただいたのを順番に報告をいただいて、全部聞くと共通項が出てきたり、それぞれの御経験の違いから独自のお考えが出てきたりとか見えますので、質疑は全ての方からお話を聞いてから行いたいと思います。御協力のほどよろしくお願いします。 順番はお配りしてある資料3「委員提出資料」の順番でやっていきたいと思いますので、一番目に大塚委員から御報告いただくということでお願いいたします。 (大塚委員) 利用者目線の支援ということを考えますと、なかなか、一体なんぞやということで悩みました。ただ、今回の検討部会が利用者目線の支援であるけれども、障害者支援施設の未来志向の支援を考えるということになっていましたので、的外れかもしれませんけれども、少し大きなところから考えてみたいというふうに思っております。 私は施設の指導員を20年間やっていました。強度行動障がいの人たちもたくさんいらして、そういう中での仕事の内容から、あるいは現場経験からお話をしたいと思います。 利用者目線の支援を考えるということは、反対に言うと今までは支援者目線の支援であったり、あるいは家族目線の支援で、そういうものはたくさんあったんですけれども、そういうものではない、新しい目線を考えるということだと思っています。ある意味では支援者目線の変革ということかもしれません。言い換えれば利用者の立場に立つということですけれども、なかなかこの利用者の立場に立つということは困難だと思います。また家族や支援者と異なる姿勢、目線にもなるわけですので、こういうことにおいては多分、権利擁護を代弁するということが重要になってくると思います。 居室施錠ということで、最初に頂いた資料の中に中井やまゆり園は居室施錠32ケースということで、利用者目線の支援というものを「もし、自分がその人の立場にあるならば、されたくないことを、その人にはすべきでない。」という哲学的命題、こういう支援とすれば、居室内の施錠であるとか、あるいは集団でたくさんの人と長時間生活をするような支援は、どう見ても利用者目線の支援ではないということだと思っています。我々は、私たちも利用者目線の支援ということの観点から、このような支援と異なる支援ということを望むということになります。 居室内の施錠というのは、正直言って私もやりました、施設の時代に。私には一つの考えがあります。これはある意味で麻薬のようなものです。なかなか一度使い始めたら抜けられない。いろいろな観点があるのですけれど、例えば本人の安全とか他者の安全ということで居室に施錠をする。そうするとその人との関係をもう持たないということなのですね。そうすると、私たちにとっては、支援者にとっては非常にある意味で楽なのです。例えば夜勤1人で、24人を支援していて、興奮する方がいる、他の人も支援しなければならない。そういう理由において居室に施錠をかける。だけれども、それによって本人との関係は絶たれて、本人の興奮を直接抑制して、一晩中戦い続けるということはないわけだから、支援者にとっては非常に楽な道なのですね。ただそれは、利用者さんにとっては尊厳を害して、居室施錠から出てきてまた同じことを繰り返す、さらにエスカレートする。そうすると何回も対応するでしょうし、長時間にわたっていく。こういうのはもう当然のようになってくる。私は、システムとしてそういったものが生じる可能性があると思っております。 それから、障がいの見方の転換があります。強度行動障がいの方が地域で生活できない、だから施設が必要だということがあるのかもしれません。ただ、そのような生活の必要性、障がいが重いからあるいは行動障がいがあるからということを理由にしてきたわけですけれども、今の障がいの考え方は反対に、その人に適した環境を作っていない、こなかった支援者である行政の怠慢とされるようになってきました。さらに、それらの生活は差別的環境ということで、そのあとに権利条約の文言も載せましたけれども、権利条約違反ということも含めて、今の入所施設型の支援はそういうふうになっているということです。 それからもう一つ、強度行動障がいに対する考え方も変わってきました。まさに支援が適切に行われないとき、あるいは支援が不十分なとき、あるいは支援が悪い、そういう支援者側に原因がある、利用者の支援に対する不十分さに対する抗議活動だと。こんなに自分は大変なのだと、自分のニーズを満たされないということがまさに行動障がいとして表れている。支援の質の低下を意味していると、そういう考え方で、これは先ほどの障がいの考え方も含めて、障がいの人のせいにするのはよそうよと。今までは障がいの人が持っている行動だということだと、自分のこととは関係ないことだから、そこに断絶があって責任は取らなかったのです。でも、私との関係の中で生じているということになれば、やっぱり私もこの行動障がいを作っているのだと。それは大変だったからみんな障がいの方のせいにしてきたのです。こういうことはもうやめようというようのが、まさに、今の利用者目線の支援かなと思っています。ちょっと詳しくは書いておきました。 そうなると、障がい者にとって優しい環境はどうか、ということだと思っています。知的障がいが重くて、自閉症スペクトラム障がいがある方については、一般的に感覚過敏がある。感覚過敏の人にとって大勢で「ワーワーワーワー」言って騒いでいる、そういう音に対する過敏さというのは、行動障がいを生じさせる原因です。あるいはにおいに対する過敏さ、それからスケジュールの変化です、毎日変わる日課、毎日変わる職員の変化。こういうものに対して、自閉症スペクトラム障がいの方は対応がなかなか困難です。そういう困難を抱えている場合にとって、障害者支援施設というのはまさに過酷な環境ということになると思っています。このような環境においては、行動障がいが増幅される可能性が十分あるということです。また、支援者が利用者の行動の制限をするわけですから、さらに行動障がいは強化されて悪化していく、この循環ということ。そういうことによって、居室施錠も含めて障がい者の行動障がいを増幅している可能性があるということです。 また職員にとってもこのような環境においての支援は、どんなに利用者目線の支援を行いたい、自分は福祉に燃えてここに来たんだ、やりたいんだ、ということであったとしても、システム、仕組みがそういうことを許さないわけです。どうしても、本人の制限の生活だとか居室施錠ということになりますので、支援者にとってもそれは非常に不幸なことだということだと思っていますので、この仕組み自体を変える必要があると思っています。 まさに障がい者支援施設における利用者目線の支援というのは、いま2つの施設が作られているということですけれども、私はできるだけ早く利用者自身の意思決定に基づいて、より制限の少ない個別支援が可能な、つまり強度行動障がいを呈する人は本当に個別支援が必要なわけですけれども、今の入所施設の形態においては個別支援のできない仕組みなのです。どんなに頑張っても、それは職員が悪いわけではなくて、仕組みなのです。こういうことについては国にも大きな責任があると思っています。そういう経過としてはそれぞれの障がい者の状況に応じた、先ほどの本人の話にも出ていた、本人を中心とした支援計画に基づく地域生活支援、こういうところでの生活に早く移るということが一番の解決策であって、今の仕組みの中で、まさに行動障がいの方をたくさん集めて、そこでどうにかしようというこの仕組み自体が非常に本人にとっても困難だし、支援者にとっても困難な状況になっている。こういうことを少し解決していく、すぐ解決していただきたいというふうに思っております。 特に本人中心ということは、まさに本人を真ん中において本人のニーズに基づいてどんな支援が必要かということを行うことです。意思決定支援の仕組みづくり、これにも関わりましたけども、神奈川県さんにおいて、まさに意思決定支援というものがうまくいっているということ、そして先ほどの現場担当者の声も含めて聞くと、つまり意思決定支援というのは今まで私たちがやってこなかった支援を根本的に変革し得る、そういう本人中心の、あるいは本人目線の支援だというふうに考えています。やってこなかったから、初めてこれだけの結果が出て、素晴らしい、やってみようと。まさに私が考えた、考えたというかそういうことを目指したということでありますので、私たちの支援をもう一度原点に帰させる支援として始まったということです。 それからもう一点、意思決定支援の肝は、関係したものとして仕組みづくりは、左の隅の意思決定支援会議です。意思決定支援会議では、今までの本人を真ん中において、親や支援者やあるいは関係者、利害関係者が、今までどおりにいろいろなことを議論して地域移行を考えていても、これは全く進まないのです。先ほどの話だと、ここに外部の方を入れることによって透明性を持ち、違う流れ、風を入れることによって、本人にとって一番よい支援は何かということを根本的にもう一度考える機会を作る、その意味での意思決定支援会議であるわけです。これが外部の方を呼ぶということの、それによって多くの方を変えていく、多くのことが解決すると思っています。 勝手なことですけれど、県立施設というよりは、私の今までの体験の中から、利用者目線の支援について考えてみました。 (小川部会長) いろいろ議論したいネタを言っていただいたのですけれども、一通り聞いていきたいというふうに思いますので、次、佐藤委員からお願いします。 (佐藤委員) 佐藤彰一の話題と書いてありますけれども、私のことをしゃべるわけではなくて、いろいろなところで私がしゃべったり書いたりしていることを、ちょっと今日、時間がないので、取りまとめて私の資料というふうにした次第です。 ここは神奈川ですが、神奈川で4年前に起きた悲惨な事件の前に、実は千葉県の県立施設で19歳の少年が、職員によって蹴り殺されるという大変痛ましい事件が起きました。県の立入調査がすぐ行われて、翌年県の調査だけではダメだということで、第三者検証委員会というものも設置されまして、その座長を務めておりました。その年の夏に知事に検証報告を出しまして、外部の人を入れたりとか、研修を改善したりとか、いろいろな提言をさせていただきまして、その提言どおりに改善されているのかどうなのかというのを2018年の8月までに進捗管理委員会という形で、これも私が座長をしておりましたけれども、見守っておりました。最終報告で、外部の人を入れたりしましたので、大変施設の中で改善を見た面もあるのですが、やはりご本人、利用者さんの生活という点から見るとまだ改善されていない部分も多々あるという大変厳しい最終報告を出しまして、それを受ける形で千葉県の方では、千葉県全体の福祉関係者を集めて今後どうしていくかという議論をされました。保護者の方もいらっしゃいますし、福祉事業者の方もいらっしゃいます。もちろん相談支援の人たちもいます。議論を経た上で千葉県が出した結論は、この施設を令和4年度末を持って廃止するという結論であります。その経緯や考え方というのは千葉県のサイトに公表されております。これは、施設がダメだという意味で廃止するという意味ではなくて、千葉県全体で強度行動障がいの方々を支えていく、そこに意思決定支援を入れると。全体で支えるわけですから、特殊な県立施設は必要ない、そういう考え方をとったことになります。事件が起きてから、10年余りかけてようやくここまでたどり着いたのかということですね。 施設というのは、非常に重い責任を取りまして、強度行動障がいの方を集めて集団生活をしていただくということなのですね。構造的にそもそも無理があった。行動障がいの方というのは人と同じ行動がとれないから行動障がいだというわけですから、その人たちに集団生活をしてもらうというのは、やはりどこかに無理が出てくるのですね。職員の方も大変だということになります。大変な中で一生懸命やろうとすると不適切な支援というのがどうしても出てきます。これはもう私は100%なくすことは無理だと思っておりますけれども、そこに書いてありますけれども、職員の方はいろいろなことをやってくださいます。松上さんのところでも不適切な支援が過去にありました。その時にきちっと、なんで不適切なことをやってしまったのかということがチェックできないと、職員が視野狭窄を起こすのです。自分たちが支援をしている人が人間だと思えない、人間じゃないという、そういう視野狭窄を起こしたような支援をやってしまうということがあります。それをきちっきちっとチェックしていかないと、おかしくなります。これは私の整理ですが、視野狭窄を起こすと、いろいろなことをやりますよと。 視野狭窄を起こす前の段階で、大きな考え方の対立というものが1990年代から始まっております。日本ではあまり言葉として出ませんが、認知症の方であれ、重度の知的障がいの方であれ、どうなのだということですね。我々は従来からこういうものの見方をしています。障がいをお持ちの方は、社会のことが分からないだけでなく、自分のことも分からない。その結果として日常生活において大変つらい思いをされている。ということなので、その人のことについて、まわりの家族や職員さんが代わって判断してあげなければいけない。こういう理解ですね。この人たちには能力がない、こういう理解を今でも持っている方はいらっしゃると思いますし、一部そういう見解を心に秘めている方もいらっしゃると思います。ところがこれが1990年代に変わりまして、どんなに重い障がいがある方であっても、その人なりの判断、思いというものはある。問題はその思いというものをどうやって汲み取るかということが問題なのだと。これを私は能力存在推定と呼んでいます。こういう対人理解に転換をしないと、実は意思決定支援というものが成り立たない。ご本人に能力がないのに意思決定支援をするというのは語源無視になりますから、どんなに重い人であっても言葉のない人であっても能力がある、何らかの思いがある。そういう前提でないと、意思決定支援というのは成り立たない。こういうお話なんですね。 ところが、施設は、なかなか難しいところがありまして、特に県立施設はそういう傾向があると思いますけれども、だいたいこの図の真ん中のところで汲み取っているんですね。もともと組み立てられた時に、建物の構造や支援のあり方も、この人たちには能力がないという前提でやっています。代行決定でやりますと。今の時代ですから、ご本人の思いを全く無視するということはないのでしょうけれども、周りの都合、行政の都合、保護者さんの都合、あるいは職員のマンパワーの問題等々を全部勘案して、できる支援というのはこういう支援なのだよという形で支援を組み立ててしまう。そういうところで生活をしている人たちは、保護の対象ということなのですね。こういう支援、要するに周りの都合で出来上がっているのですね。ご本人の能力を生かすための支援をやるためには左側にいかなければならない、ご本人に能力があるのだという形で物を考えていくという組み立て方をしないといけないのですが、大規模入所施設というのはここの左側に行くのは非常に難しい。職員が相当気を付けないと左側に行くのは難しい。津久井やまゆり園の犯人は、この真ん中で職員として生活をして、右側に行っちゃったんですね。能力がないと推定しているところだけが共通していますけれども、あとは要するに自分の思いから見て役に立たない人間は人間ではないと。 利用者目線ということの前提としては、ご本人には必ず能力はあるという思いに立つことと、できるだけ左側に支援のあり方を変えていく、こういうことが必要なのではないか。そうではないと、今回のような不幸な事件というのは完全に消すということはできないと、こういうふうに考えている次第です。 (小川部会長) ありがとうございます。佐藤委員の次は、安藤委員お願いします。 (安藤委員) 利用者目線の支援と言いますと、先ほどもありましたけれども、利用者の立場に立てる支援者の存在が欠かせないと思いました。近年、国とか県とか事業者、関係団体の様々な研修の議題や取組みで、職員の質は少しずつ前進しているというか、向上しているかなと実感をしています。ただ、利用者理解とか、支援の組立てとか人権擁護の姿勢など少しずつ進んできていると思いますけれども、それでもこの神奈川県でも利用者に対する施設内での人権侵害事件というのは発生しておりまして、また利用者中心ということではなくて支援者が中心、支援者センタードの支援が組み立てられているという実態もまだまだあります。これは施設が持っている特有の課題があるのだろうと思っておりまして、それを乗り越えるのは施設の中で仕事をしていても大変だなと感じております。 それを乗り越えるためのほんの一つの取組みだと思うのですけれども、現在施設の職員に対して行われている研修というのは、知識とか技術とか課題解決に関するものがすごく多いです。でもやはり利用者と向き合う中で支援員はいろいろなことを考えたり感じたり、いろいろな思いを抱いていくわけです。そういう自分の心の中に湧き上がるいろいろな思いの中から学んでいくということがありますので、そこを大切に、一緒に考えてあげる、一緒に取り組んでいくような伴奏者が必要なのではないかなと考えています。そういう意味では利用者目線に立てる支援者を育てるための人材をどのように養成していくかということが必要になってくるのではないかと思います。私はここにスーパーバイズができる人材を育成すると書きましたけれども、本当に支援員のいろいろな思いをしっかり受け止めながら、時に支援員の障がい者観について指摘をしたり、また共感をしたり、そういうような人材が必要ではないか、そういう人材をしっかりと養成をして、各事業所が活用するという体制を執っていくことが必要かと思っております。 2番目に支援者のエンパワーメント。エンパワーメントという言葉を使わせていただきましたけれども、支援者が前を向いて支援に臨んでもらいたいという、そういう意味でこの言葉を使っております。最近県の施設団体連合会が民間の障害者支援施設を対象として、どういう課題があるかアンケートを取ったのですね。高齢の問題が一番あったのですが、質問の中に身体拘束の解除に向けた取組みについても質問がありました。その回答を読みますと、本当にいろいろな施設で、なんとか解除したいという方向でいろいろなこと取り組んで、また頑張って、悩んでいるなということが伝わってくるのですが、私はやはりそういう取組みをしっかりと評価して、それを支援者間で共有をするということが必要なのではないかなと思っています。実際、平成25年に、川崎市障害福祉施設事業協会が、日常支援の改善事例と虐待の防止という報告書を取りまとめています。大変読み応えのあるもので参考になるのではないかなと思っております。また神奈川県では、県立施設で強度行動障がい児者に対する支援の事例集を作成しています。ただ、これがあまり活用されていないので、できればそういうものも、もっと内容を深めて効果的に活用するような方法を検討していったらどうかなと思います。また施設団体連合会が行っている、実践報告会やあおぞらプランの活動も積極的に推し進めていく、そういうことも必要なのかなと思っています。今まで取り組んできたものをさらにしっかりと前進させていく、そういう姿勢が大事なのではないかなと思います。 3点目、意思決定支援の普及定着については先ほどもありました。できれば、民間施設でも使えるような、また取り組めるようなスキームをみんなで考えていきたいと思っています。 あとは支援者の確保。4点目です。障がい児者のニーズは拡大し多様化はしていますけれども、なかなか人が集まらない、支援者になろうという人が少ない、そういう現状の中で、各施設は余裕のある支援体制を執れない、そういう状況になっています。当然ローテーション勤務の支援員は研修機会が少なくなっていきますし、先ほどの意思決定支援会議のような外部の会議に参加する機会も当然少なくなってきます。そういう意味ではしっかりと人を育て、そして人を確保するという取組みが必要で、私は障害者施策審議会でもお話をしていますけれども、官民一体となってそういう福祉人材を育てる、そういう取組みを、またどうしたらよいかということを話し合うだけでもよいから取り組んでいただきたいと思っております。 民間障害者支援施設の職員配置は約6割の施設が支援者1人に対して利用者1.7人。でも県立施設や指定管理施設では1:1.1〜1.5くらいの職員配置となっています。これから民間施設でもさらに重度障がい者の支援を行っていく、また担っていくということであれば、配置職員の割合を検討していく必要があるのではないかと思っています。以前神奈川県が単独で行っていた民間施設運営補助費のように、人に対する補助を考えてほしいと思っております。 大きな枠の2点目は県立施設、指定管理施設の取組みということです。神奈川県は平成26年に県立障害者支援施設等のあり方検討会を立ち上げて報告書を取りまとめています。そこで検討された内容や示された方向性に基づいて、指定管理に移行した施設や完全民営化になっている施設もあります。今どういう状況になっているのか、改めて検証する必要がでてきているのではないかなと思います。一度県としてしっかり方向性を定めていますから、それをさらに進めていくのか、また方向性を見直すのか、しっかりとした話合いの場を設けていただければと思います。 また、利用者目線の支援を本気になって推進するということであれば、県立施設の規模とか、設置環境とか、事業の内容とか、やはりきっちり議論をして、もし再編が必要であれば、再編の方向性を取りまとめたり、予算化をするくらいの気持ちで取り組む必要があるのではないかと思っております。そういう議論を今後望んでいきたいと思っております。 (小川部会長) はい。ありがとうございます。いろいろ中身、項目があるので、それらを噛み合わせていけばよいのだと思います。 (中島委員) 利用者目線の支援に求められる視点や取組みということで考えてみましたけれども、そもそも利用者目線の支援を考える前提としてというところですが、利用者、人はそもそもどこで生きるべき存在なのか、それを考えた場合に、利用者はやはり地域の中で社会的存在として生きることを望んでいるはずではないかと、そのように思います。そして、それを実現するためにこそ我々支援者の存在はある、そのことをしっかりと明確にとらえることが必要なのではないかなと考えております。そして、こういった考え方を法人や組織の中の隅々まで浸透させる、いかに重度の障がいがある方も地域の中で生き生きと生活できるよう、その支援体制を整えて、その実現のために組織的に対応することが重要であると、そうした認識に立つことが何よりも大事なのではないかなと思います。やはり入口があって出口がある、これは当たり前のことであって、そういった流れの中で仕事をすると、自分達は流れの中で仕事をしているということをやはり感じながら仕事をすることが、すごく大事なのではないかなと思っております。 それから、利用者目線の支援のために求められることですが、やはり今の話と重なりますが、利用者の方を一人の存在として、社会的に認められて、ご自分の願いや御自身の特性や個性、それからご本人のペース、リズムに合わせて支援の提供を受けること、これをやはり望んでいるのではないかなというふうに思います。そして、その支援を提供するために、やはり私たちはお一人お一人がどのような方なのかと、そういうことをしっかり捉えることが必要なのではないかなと思います。 そのためには、様々な方法というものを駆使しながら多面的にその人の状態というものを捉えて、そしてその人が望む支援というものを提供していくということ、そういう観点というものがすごく大事であると思っております。 そして、お一人お一人に提供するプログラムの目的というものは、まさにその人の生活への関与を高めること、大げさに言えばその人の人生への関与を高めることだと思います。小さなことからやはり始めていくわけですけれども、食べること、飲むこと、着衣のことであるとか、様々なことをいろいろな方法でご本人の意思を確認しながら、ご本人の意思に基づいて、それを提供し、それを繰り返す中でいろんな選択枝の幅が広がっていく。結果としてご本人の生活への関与だとかご自分自身の人生への関与というものが高まっていく。そのことをやはり我々支援者としては、不断にこれでよいのかということを含めて、見直しながら前に進んでいくことがすごく大事ではないかなと思っています。 そして、何より結果がどうであったかということを常に振り返りながら確認していくということが大事ではないかなと考えております。 ご本人の生活の広がりとか、人間関係の広がり、それからいろいろな経験の広がりとか、そういうものがどれくらい広がってきたかのかということ、それは支援者として取組みがどうだったのかということを振り返るということも含めて、見ていく必要があるというふうに思います。 そして、これは先だって、施設を利用されているお子さんをお持ちの御家族の方と意見交換する場がございました。その中で、今は入所施設に入っているけれども地域移行ということでグループホームに入った場合、施設に戻れなくなってしまうのではないかという不安があって、なかなか踏み込めないという話をされていました。やはり何度でも地域生活にチャレンジすることができる、それを支えるということはいわゆる施設の役割として明記する必要があるのではないかなと思います。もちろん、施設に戻るということだけではなくて、再チャレンジということでは行先自体が最初に想定したものと結果として違うようであれば、また別の選択枝を提示すると、そういうことをしながら支えていくという取組みが大事ではないかなと思っております。 コンサルテーションの部分は重なりましたので、最後の行動障がいの軽減を目的としたところでお話すると、やはり、先ほどお話しましたように、入口があって出口がある、そういう流れというものを考えた場合に、やはり出口というものは多様に存在するべき必要があると考えています。出口はグループホームだけだということではなくて、やはり働くこと一つとってみても、様々な働き方、一般的な就労もあれば福祉的な就労、何かやりたいことが就労とは結び付かないかもしれないけれども、もっとこういうことがやりたいとか、そういうことがあるかと思います。そういうことを進めていくことも大事だと思います。 最後に書かせていただいたのは、地域で暮らしていくということ、特に想定としては、これから学校を卒業して様々な取組みにチャレンジしていくという方が、行動障がいがあるためになかなかそういうものが制限されてしまうことがあると思います。そういう意味では有期間で、どれくらいの期間がいいかということは分からないですけれども、やはり短いスパンで、集中的に、行動障がいが軽減されるような取組みをして、よりご本人の可能性というものを広げるというような支援がやはり必要ではないかなと思います。 ですから、入所施設も様々な目的を持った施設を配置し、連携してサポートしていくということが、また、そういう中で流れというものを作っていくということがすごく大事なのではないかと、そんなふうに思っております。 (小川部会長) 具体的ないろいろなことを触れて書いていただいたので、参考になるかと思います。 (伊部委員) 私が当事者を含めて関係者の方からいくつか御意見をいただいたのですが、そのうちの一つは、この部会でいう利用者目線というのは知的障がいのことだけを議論しているのか、そんな質問を受けたことがあります。先般事務局に確認いたしましたら、決してそういうことではなく、現実に県立障害者支援施設の中には、知的障がいではない方の施設もありますので、幅広いというという話を伺っているところです。 その上で私の受け止めを、自分の反省も含めてまず最初にお話したいのですが、私はレジュメで、この部会を視野に入れるという表現をしていますけれども、利用者目線の目線というのは、慣用句として私自身も視野とも言いますし、目線という言葉も日常会話で使いますけれども、一部の視覚障がい者の人にとってはこういう表現は辛いというのをお感じになる方もやはりいらっしゃるのではないかと感じているところでございます。是非、例えば施策審議会の場や報告書をまとめる段階では、利用者本位、利用者を主体としたというような注意書きを入れた上で誤解のないように御説明をする必要が、障害者施策審議会に位置付ける部会であるが故にそういう配慮が必要なのかなというふうに感じております。 もう一つの意見としては、利用者目線の支援というのは、莫大な経費がかかって、これが皆自己負担にはねかえってくるのではないかという心配をされていらっしゃる方がおります。今の介護保険の法外サービスの関係でもそうですが、やはりそこはそうではないんだという説明をどこかのタイミングできちんとされる必要があるのではと思っております。 レジュメに戻りますと、私の申し上げたいことは大体レジュメに書いたつもりですが、特に障がい福祉は範囲が広いということもあるので、なかなか議論というのが個別の各論から積み上がるという特徴がありますので、できるだけ総合的な視点ということで最終的にまとめていく必要があるのではないかと思います。社会参加、住まい、バリアフリー、就労、介護とかいろいろな問題が出て来ますので、最終的には幅広い視点でまとめていく必要があるのではないか、願わくば、県の体制も変えるだけではなくて、人員増員をして対応する必要があるのではないか、また、言い換えれば、部会や委員会など会議体を新たにひとつ立ち上げて、ぱっと取り上げられるような課題ではないというような受け止めを私はしております。 1番の方に移ります。意思決定支援以上に意思形成支援が大切だという意見も以前いただいたところでございます。 私は何年か前に総務省の研究会に構成員として参画させていただいたこともあるのですが、その時に当事者の方からよく言われたのは、自分で選ぶといいながら、情報がちゃんと入ってこない、またどう選んだらいいのかいうことが非常に難しいのだというお話を沢山いただきました。インターネットを使いこなせればそれで済むという話ではないと。おそらく意思決定支援もプロセスの中では、先ほど御説明があった中にも当然意思形成支援も入っているというふうに認識しておりますが、やはり利用者目線ということをあらゆる施設においてというふうにお考えになる場合には、この意思形成支援ということも一つ大きな軸に入れていく必要があるのかなと、さらに知的障がいについては既におやりになっておりますが、意思を表出する支援ということも必要なのではと思っております。 ただこういう意思形成、意思決定という表現は厚労省の資料を見ても、いろんな学者がいろいろな表現でおっしゃっているので、どういうような表現が一番馴染むかという整理が非常に難しいと私も認識しておりますが、そのようにしていく必要があるのではないかと思っております。 また、支援者の役割としては、やはりソーシャルワークの視点というのが今まで以上に求められている時代ではないのかなと、本人に寄り添った支援ということを大前提にした上でそういった視点が必要なのではというふうに思っております。 そして2番目の県の施策として展開するためにはというところについて説明をさせていただきますと、今いきなり県で決めて市町村にこれでやってくれというふうに投げかけるというのは馴染まないのではないかなと思っております。厚労省の指導を見ますと、障害児施設に過齢児という表現で記載がありますけれども、年齢制限を超えて利用している方が全国で大阪に次いで断突に神奈川は多いという事情があります。そういう特別な事情をやはり抜きにして、本人に対してどういう支援をというだけじゃなく、県行政として、県障害者施策審議会の部会としての位置付けがあるのであれば、市町村の行政や各地域の施設の関係者や、施設を利用されずにグループホームを利用している方を含めて幅広く、丁寧に話を聞いていただく必要があるのではないか、何かあるべき論を持ってくればそのままというわけにはいかない、市町村や民間事業者との軋轢を少なくして進めていくというのが利用者目線の支援を進めていくためには一番私は重要だと考えておりますので、そういう方向でしていただきたいと思っております。 最後に、受益者負担、応益負担については障がい当事者の方々も厚労省や何年か前には内閣府の会議でも随分議論しているところでございます。やはりここは障がい者世帯の生活実態をきちんと踏まえた上で施策展開をしていただきたいというふうに思っております。   (小川部会長) 前提に書かれたところは、最終的に報告書をまとめるときにもう一度、ここでの部会の役割と施策審議会の役割を整理しながら議論しながら落としどころを見つけたいと思います。 (堀越副部会長) 私は障がい福祉の専門家というわけではございません。むしろ医療機関のソーシャルワーカーを長くしてきたことと、それからソーシャルワークのスーパービジョンと言いますけれども、支援者が育つ、個人として育つ、組織として育つシステムをどう作ったらよいかということが今の私の専門です。ですので他の委員の方と少し違った毛色のレポートとなっています。 前提として利用者目線、利用者の立場に立った支援という言葉をあえて使うのは、その立場が分かっているのは本人だけだからでございます。そうすると本人にいかに近づくか、本人が何を望んでいて、何が嫌でどうしたいと思っているかを分からなくてはいけないのは周囲の人達です。特に支援者という、支援を業にしている、要は支援で飯を食っている人達はその責任があるわけですね。その資質をどう作っていくかということは本当に大事だと思っています。これは知的障がいの領域に限らず、認知症の方のいらっしゃる病院、あるいは施設もそうですし、精神障がいをお持ちの方もそうです。往々にして本人の望むところが周りに分かりにくい、その方たちに接する人達、とくにそれを業にしている人達の質というのが本当に重要なのだと思います。 この質というのを考えるときに、往々にして個人の質が語られることが多かったのですね。スーパービジョンというのも支援者1人を励ましたり、支えたり、教えたりということだったのです。私は今までの委員の方たちがおっしゃっていることにも通じると思うんですけれど、支援者個人の次元と、組織の次元と、政策の次元と3つの次元で考えていく必要があるのではないかと思っています。特に今一番重要だと思っているのは組織の次元です。いくら個人の力量がある支援者がいても、組織がその人を生かしきって良くしていくというシステムで回していけていないのであれば、その人はつぶれてしまうのですね。なので、いい支援もシステムの中で行われますけれども、悪い支援もシステムの中で生まれます。先ほど大塚委員も、本当に仕組みが問題なのだとおっしゃいましたけれども、病院でもそうですし、高齢者の施設でもそうです。そこを考えていく必要があると思います。 ミクロレベル、メゾレベル、マクロレベルと私たち言うんですけれども、個人レベルにおいては、障がい、特に強度行動障がいを持っていらっしゃる方の支援に長けている方から、いろいろな次元を教えていただきたいと思います。 大規模施設だけでなく小規模施設こそ、人の目が入らないという実態もなくはないので、そこを考えないといけないと思います。組織レベルにおいては、事業所の規模に関わらず、10個くらい書いたんですけれど、私自身の脳内会議みたいなもので何がいるかなと、ずっと書いていたんですけれども、人材育成が大事だ、組織運営が大事だ、ガバナンスの問題だと言われるときに、具体性がすごく必要だと思っていて、それは募集の時から始まるんです。経験も、初心者歓迎という募集広告をいっぱい、高齢者施設でも障害者施設でも見ますけれど、そういう人たちを雇い入れて、一体どういうふうにそこの仕事を説明しているのか、どうやって育成しているのか、そこから見ていかなければいけない。 それから必要な業務がどう作られているのか、必要というときに、松上先生の話にもあったように科学性を持ってきちっとやられているのか、利用者目線の必要に立っているのか。あるいは適材適所ということがどう行われているのか。OJT、OFF JTがどんなふうに行われているのか、モニタリングと振り返り、評価、これがすごく大事になってくると思います。それと組織内のコミュニケーション機能が、ヘルシーなのか建設的なのか、オープンなのか同調圧力は低減されているのか、外に開かれているか、抑圧的ではないか、この辺はすごく大事なことだと思います。 そして職員みんなに、利用者さんの擁護者としての自覚があるのかどうか。地域に開かれた施設となっているのかどうか、これは第三者機関の招き入れ、モニタリングの受入も含めてということだと思います。 このように具体的に具体的に、個人の力量形成と同時に組織の力量形成というのを協力して考えていく必要があるし、もし知的障がいを持ってらっしゃる、あるいは障がいを持ってらっしゃる施設について、神奈川県が取り組めば、認知症や精神障がいといったところにも広がっていくのかと考えています。 (小川部会長) 次に、野口委員の方から先にお願いします。 (野口委員) 思いつくままに書いて、起承転結がない書き方をしているのですが、私は親でずっと本人に付き合ってきた、それは前の部会でも申し上げた内容なのですが、ここ2年程前から地元の小さな通所施設の理事長になりまして、職員の方たちと現場でのことに関わるようになりましたので、その経験でも感じたことを書きました。いま堀越委員がおっしゃった小規模施設での悩みというのはまさにそれなのですが、地域に開かれた施設を目指そうということで、皆さんと切磋琢磨している中で感じたことを書きました。 上の丸2つは、いろいろな利用者さんがいる中で、今現在そういうことをやっているということで思いついたことです。一番上は、皆さんよく分かっていらっしゃるから当たり前のことだと思うのです。でも、最初分からない、なぜこんなことするのかということが時々でます。いろいろな方がいらっしゃいます。でもそれをみんなで「こうだった。ああだった。」というようなことを話し合う中で、それで共感して「こうなったよ」ということで職員もその喜びということがあります。問題行動という、自分の息子がいろいろなことがあった時、私も本当に分からなかったです。特に自閉症の人とかが、子どもの時も何かいろいろなことがあるんだけれども、私も分からない。分からないのだけれども、何か理由がある、絶対ある、というのは思ったけれども、それが10年後に「ああ、あれだったのだ」と分かったりということもある。しょっちゅうそういう中なので、職員の方や他の親御さんととかも、そういう視点で考えようということでやっています。まずは、絶対に理由はあるということを共有してやっているということです。 2番目は、それの続きですが、みんなの視点で、皆さん利用者の方、基本大人の方ですから、子どもの時からのことはいろいろお聞きしたり、いろいろな関係者や本人から聞いたり、そういうことでなければ分からないのだけれども、やはりそれによって本人が、今の本人がいると客観的に考えようと、本当に当たり前のことだと思いますけれども、みんなでそれをやっているというところです。みんなで共有できて進めていければなと思っています。 下の2つは、結局大人になって意思決定支援だとかそういうことをしていますが、本人が今まで培われた、今までの育ち、あるいは環境の中で、今までの方がおっしゃったことでも出ているのですけれども、今まで本人が一つの意思がある人間としてあまり認められずにずっと育ってきたから、今になってあなたの意思はと言われてもなかなかできないという現実があります。今までに、意思を出せるような育ちもないし、周りからもそういう支援をされなかった。これからの方たちには、そういうことはもうないんだ、一人ひとり認められて、地域の中で育って行ってほしい。そうでなければ、入所施設にまた入らなきゃいけないことになってしまうので、そのためにこれからどうすればよいのかについて考えました。 自分の子どもは地域でずっと育っていったという話を前にしましたけれども、その体験からも私は確信をしています。2番の今後のことに関して、に入れていますが、3つ小さい丸の一番上のインクルーシブ教育の啓発推進のことです。地域の学校に、もっと小さな本当にしゃべれないころから、当たり前の人間として一緒に育っていくということを是非やらないと、いつまで経っても地域に障がいの人が生きていることを皆が知らない。皆が知らないから、今回の事件のことでもなかなか分かってもらえない。非常に印象的だったのは、やまゆり園の事件の利用者の家族の方が、社会の理解がないから、社会が変わってほしいとおっしゃったのを報道で見ましたけれど、社会が変わってほしいというのはやはり、社会に居場所がないということ。そのためにはどうするかということでこれを考えました。でも今の現状としては、この前川崎で、障がい者の方が地元の小学校に行けなかったという、入学拒否の裁判がありました。そういうことも、県の教育委員会も施策的にはそういう方向で行かれたんだと思われますけれども、そういうこともありました。また、障がい児をお持ちの親の方から支援学校をもっと増やしてほしいとの要望が非常に増えているということを報道で見ていますけれども、それは普通学校に行くといじめられるとか差別されるとか、そういう不安が先に立ってということになっている面もあると思います。本人がこれから社会で生活していく、また地域の同い年のいろいろな子どもと一緒に育っていく中で、社会で生きていけるためには、親が勇気を持って、支援学校でなければだめということではなく、是非勇気を持って地元の学校に行くというのを進めていただきたいと思っています。そのために、やはり学校教育の施策の転換を是非やってもらいたいと思います。社会の人が障がい者を知らない。大人になって出ていけないという現実が、自分の経験でもいっぱいありました。 将来的に今申し上げたことが下の3つです。一番目がインクルーシブ教育、二番目が出生前診断等に関すること、非常に悲しいことに親御さんが障がい者を出産する勇気を持てない。それもやはり障がい児のことに対する支援が少ないからだと思います。それから3番目は、今までの支援というよりは、障がい児を育てる不安、特に今の若いお母さんたちは特にその不安がどんどん強くなっていて、ある意味で前より育てにくい社会の中で育てるということは大変だと思いますので、精神的な支援を是非みんなでやっていかなければいけないと思います。   (小川部会長) 野口委員が書いてくれたレジュメはすごく分かりやすい言葉で、今までの各委員が、カチッと出してきたんだけれども、それが実は野口委員の文章の中に盛り込まれているような気がして、非常にこの表現はすばらしいというか、実感を持って見ることができました。 冨田委員、この支援はどうあるべきかということで、これが話題になるということは事前にお話があったかと思うんですけれども、冨田委員が考える支援というのはどうあったらいいですか。   (冨田委員) そうですね。やっぱり、その人に合ったように分かりやすく説明した方がいいと思いますし、それをやるには、支援者も冷静でなきゃいけないと思う。怒った言い方をすると彼らは委縮しちゃうから。自分が行っている施設でも、仲間によくやっているんですよ。同じ目線で話をすると落ち着くんですよ。自分が相手になり切っちゃうんですよ。そうすると、その人の気持ちが分かるようになってきました。 野口委員の話は分かりやすいですね。嫌なこととか気になることとか、そういうことは、前は結構あったな。私は、前は言えなかったんですね。今は言えるようになってきたんですよ。施設が変わって。やっぱり支援者は分かりやすく説明した方がいいと思います。 (小川部会長) 分かりやすいということと、冷静であるということ。感情的になっては… (冨田委員) 感情的になってはいけないと思う。感情的になると、やっぱり彼らも混乱しちゃうし、そこだと思いますよ。私も職員に言っています。「この人には優しくしてください。」と伝えています。きつい言い方をすると、自閉症の人なので混乱してしまうんですよ。 (小川部会長) 見ていてあげて、時々、職員さんにも「こうした方がいいのでは」と話をしていると。 (冨田委員) 言ったことはあります。 (小川部会長) ありがとうございました。何かありましたら、また後でお願いします。 (冨田委員) はい。 (小川部会長) 最後に、私のものが残ったのですが、アンダーラインのところしか読みません。個別支援計画の策定は、その人その人の生活のことを、目標設定して作っていくというイメージです。1枚目のところだけ、「全ての障がいのある人たちは、自らが望む生活を保障される権利を持っている」。これは、読みませんけど、次のページ、裏面に、障害者権利条約でも言っている、障害者基本法でも、全ての障がい者は尊厳が尊重される。総合支援法の基本理念でも言っている。それから、計画相談の相談支援専門員のやるべき態度というのは、利用者の立場に立つこと。全てその線に則って、権利条約から縦に法的な守られるべき障がい者の権利というものを守っていってくれれば、それでいいのだと思う。あとは、どういう方法でそのことを実現するかということ。ですから、虐待とか身体拘束というのは、そこの線から外れる行為なので、そういうことをしないで支援していくことを考えなければならない。そこが、この部会に課せられているところです。 支援の目標は、その障がい者が望む生活を獲得することである。制度的にも法的にもそういう意味である。それを実現するためには、支援者が利用者と人として対等で、仕事とは別として人として対等で、相互作用を持つコミュニケーションを図ることが大事である。 意思決定支援の前提は、その相互作用を、一方的ではなくて、自分もその方から影響を受けながらキャッチボールしていく。その中で生まれてくる支援の手法というものがある。 3番目で、地域のつながりというのは必ず必要で、地域とのつながりを作っていくためには、制度的にも施設を利用している方も広く、地域の社会資源が使えるということが必要だと思います。 4番目に、私がすごく重要だと思っているのは、家族支援で、家族の方が支えて、支えて、支えて、最後に施設入所しかないというようなところに追い込んでしまっている。非常に、家族支援がどれだけきちんと行われているかによって、ずいぶんと違ってくると思います。家族の方が、小さいお子さんの頃からケアをされていく中で、いろいろな負担が起きてくるわけですよね。そのことについて、幼児期からのライフステージに沿った支援がきちんと行われるということが必要なのですが、それが十分に行われていない。したがって、家族、これは兄弟も影響しますので、それも含めての支援のアセスメントとサービス提供というものを、新たに考える仕組みを作らなければならないと思っています。 ページをめくっていただいて、2つ書きました方策としては、1つは、これまでも出てきたような、アドバイザーの派遣とか連携とかいう、連携型意思決定支援の支援ができるように、今取り組まれていることを進めるようなプロジェクトを設置する必要があるのではないか。そこに、大型施設もあれば、指定管理施設や県立施設もあれば、それから、多くの場合30人程度の施設を持つことがたくさんあると思うのですけれども、そういうところで同じように、本人中心の計画を立てる、実行していくことが大事だと思います。 2つ目は、本人の望む暮らしを実現する神奈川方式の給付・実現プロジェクトの設置。これは今の国の制度、政策が本人ニーズに基づいているのではなく、区分で分類して切っているわけですよ。行動援護は、その区分とそれから何項目に当たらないといけない、重度訪問については、どの項目も全部、一部介助以上ではないといけないと排除する仕組みになっている。あとは何時間しか使えないということがあります。重度訪問、行動援護、それから自立生活援助、これは新しくできたのだけど、これも週1回とかどのくらいの期間とか。自立生活アシスタントは横浜市の支援ですが、これは側面的には使えるかなと。あと、グループホーム等々があるわけですが、こういうものが、実際問題、御家族の中にも入っていって、ご本人の援助をするというところから始めるような支援と言いますか。御家族がとことん対応して、次にグループホームだ、施設だ、あるいは今時々、テレビや映画にもなっています重度訪問を使っての生活というところに急に飛んでいくことはできないので、そういうものを使えるような、区分とかいろいろな段階を制度的に切ってしまう。そうではない、本人のニーズに基づいた支援施策というものを国はやらなければならないが、それができていないのであれば、神奈川県は神奈川県の方式で、地域基盤の福祉サービスが受けられるように体制を作ると。これについては、相当越えなければならない山はあるかと思うのですが、神奈川方式の給付・実現プロジェクトみたいなものを設置して、変革をしていく。 そして今、大型施設がやはり大型すぎる状態があるので、多機能化して、できるだけ地域の方に入っていけるといいかなと思っています。 後は、いちいち読みあげませんけど、そういうようなことに沿って、いろいろ書いてありますので、またお読みください。最後に、神奈川の地図が載っていますけれども、非常に偏りのある状態になっています。入所施設の定員が、現在97施設5,300人、全て知的障がいの方ではないのですけれども、こういう人数になっていて、神奈川の知的障がい児者数というのは、73,000人。かなりの割合で、入所施設に移行しているということです。グループホームも多いのですけれども、大方は家族介護に頼るか、入所施設に行くという割合が高いように見えます。施設も非常に偏在していますよね。秦野と厚木ですごい数を取っているわけですけれども。こういう分布になっているところも、結局は家族の身近なところで生活をするということではなく、遠くの地に行くということになりがちになっているわけです。これは参考までにということで、お配りしました。 (冨田委員) もう1点いいですか。利用者目線の支援というのは、常にキャッチボールじゃないですか。私もよく言葉のキャッチボールをしています。仲間がよくしてくるから。それも大事だと思うんです。 (小川部会長) それも1つね。さっき言った「分かりやすい」ということと「冷静である」ということ、それと言葉のキャッチボールが大事だということですね。 (冨田委員) はい。そうです。 (小川部会長) ありがとうございます。 一通り、皆さんの御意見が出て、結構印象としては共通項がある。重み付けが違っていても、少しずつ共通項があるように感じました。全体を聞いて、若干時間が少しだけ伸びるかもしれませんが、皆さんの方から他の方のを聞いて、加えて何か御発言があれば、是非出していただきたいと思います。いかがでしょうか。 (大塚委員) 検討部会の今の利用者目線の支援ということで、私も書いたのですけれど、将来のことも含めたかなり広大な、理想論もあったということで、それも大切に、これからのまとめに入れるのでしょうけれども。 この部会の設置というのは、やまゆり園の検証で得られた知見を基にということで、その流れから言うと、身体拘束を始めとした虐待に近いような事案というものをきちんと調査して、それに対して今後どのような利用者目線の支援ができるのかということに近付けていけるのかということだと思います。 わずかな、これからの期間において、今のような理想論と、また現実だけではなくて、それに対するコメントもまだ作れないですけれども、どういう方向を持って、どのような今のこの話と、調査という厳しい、ある意味での行政的な、不適切なものに対するピックアップですよね、それと理想的なことをどういうふうに融合させていくのか。非常に難しいものだと感じています。事務局の方に考えていただきたいと思います。 (小川部会長) ありがとうございます。大事な御意見です。若干ヒアリングの時期がずれていっているということもあるために、今日の会議の前にヒアリングをされていて、それを踏まえてということであれば、一番具体の事象とこれからということが、作業の時系列が流れていくと思うのですけれども。 事務局の方で、ヒアリングに関して、時期的なものがそろそろ調整が済んでいるのでしたら、大雑把でもいいですが、日程のことなど報告していただけますでしょうか。 (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長) 現在はまだ調整を進めているところです。概ね固まってきてはいます。また皆さんにお知らせしていきたいと思います。今日のところは申し訳ありません。よろしくお願いします。 (小川部会長) 今日は第3回なのですが、第4回との間に行われると理解してよいでしょうか。 (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長) その予定でおります。 (小川部会長) 流れとしては、次の会議のときに、それぞれのヒアリングを持ち寄るということになりますね。 それから、今回もたくさん御意見が出ましたが、アドバイザーさんを入れていることについて、非常に重要な、そこで風通しだとか、それから支援が深まるという御意見がありました。アドバイザーさんが果たしてきた役割は非常に大きいと思うのですが、アドバイザーさんからの話をお聞きする機会は5回目になるのでしょうか。それとも、その前になるのでしょうか。 (事務局:足立原意思決定支援担当部長) 今のお話は、意思決定支援専門アドバイザーのことでよいでしょうか。 (小川部会長) はい、そうです。 (事務局:足立原意思決定支援担当部長) おそらく、次回か次々回くらい、または、予めアドバイザーとも話していますけれど、個人情報も結構多くなってしまいますので、公開が馴染まないかなという話も聞いていますので、場合によっては、非公開の中で意見交換することもあると考えています。部会の場で行うのか、部会の委員の方に、アドバイザー会議の場に来ていただき、意見交換することもありかなと思います。その辺を少しアレンジさせていただいて、お互いのために率直な意見交換をさせていただければ有り難いなと思います。 (小川部会長) アドバイザーさんの御意見というのを聞いておくことは絶対必要だと思います。つまり、ここでの部会の中で、最終的には、コンサルテーションやスーパービジョンの在り様ということを提言の中に入れていくとすると、今のアドバイザーさん達の進め方で、例えば、どんなところにちょっと上手く進まないとことがあるのか、こういうふうに上手く進んで、こういう方法があるなど、もちろん報告書の中にもかなり書いてありますが、直に聞かないと見えてこないものもあるでしょうし、事例とか、それから組織的な中での課題というものもあるかもしれませんので、非公開でも必ずやっていただきたい。アドバイザーさんから御意見を聞く機会を作っていただきたいと思います。よろしいでしょうか。 (事務局:足立原意思決定支援担当部長) 承知しました。形態含めてアレンジさせていただきたいと思います。 (大塚委員) もう一つよろしいですか。この部会の性格はどうなのかということ。つまり、これが知事から委託された調査委員会として、この委員会、あるいは調査委員自体が施設に入って、身体拘束や虐待というものの事実をピックアップする。でも、そういうことは不可能ですよね。今のこの体制の中では。そうするとある意味で、県はもう調査して、これについての見解を求めて、それにヒアリングということを含めて話を聞くということはもちろんあるかもしれませんが、ヒアリングをして、それを調査で、その事実が出てくるということはほとんどないと思います。あるいはまた、ヒアリングの性格もいろいろありますが、事前に話を聞いたという噂も聞いておりますので、そうすると全く機能しないわけですよね。 そういう状況の中で、この検証委員会では一体何をするのかということをもう一度、きちんと固めないと、ヒアリングに行くと言っても、何のために何しに行くのか。既に聞いているようなことをそういう実態があるとしたら、そのヒアリングそのものが機能しないということも含めて、あり方をよく考えてほしいです。 (小川部会長) ありがとうございます。御意見があれば伺いたいと思います。 私の理解ですけれども、私は、身体拘束や虐待の事実は確かに、県の方で掌握していますが、それがなくなるようになっていくためには、先ほど、堀越委員もおっしゃっていましたけれども、組織やシステムの問題、個の問題もあるかもしれないけれども、組織、システムのところ、組織内の課題、ガバナンスの問題、あるいは、もしかすると、その部署の課員とそれを指導するような形の内部の問題もあります。そこのところは十分に見えてこない。一番はガバナンスのところは、ヒアリングでしか見えてこないと思うのですが、どうでしょうか。 だから、それを今、事実としていくつも事例があがっていて、県もいろいろな調査に入っていたりして、記録も全部取っているわけですよね。ですから、そこのところを「これが事実ですか」と聞いても無駄な作業なのですが、一番問題となるのは、その法人の中で、あるいは施設の中で組織が動いていたか。特に上に立つ方がどういうふうな動きが発せられていたのか、あるいは、どういうお考えをお持ちで施設運営をされているのかというところは、様々な点で今まで出てきてない。そういうお話を、率直なところを、これからどちらかと言ったら、明日からもそういうことは起きないでほしいわけですから。部会員としては、調査と言っても、ヒアリングと言っても、何か上に立って、そこで権限を持っているわけではなくて、あくまで、そこで話を聞き取って、改善してほしいわけですから、前にもここで記録に残っているように、真摯に話し合いをしましょうと。理事長さんとも理事さんとも。あるいは、そこで支援に当たっている現場の方とも、お互いにリスペクトしながら話をしましょうと。それはやはり、やるべき、やっておくべき事項だと思っています。 別に今まで出てきている事実を、それを再確認する作業をするために行くわけではないので。これからの様々な施設が、より身体拘束なき、あるいは虐待なき施設運営をしてもらうために、特段、県立施設に対して、そういった話を聞きに入るヒアリングをするということは、こちらに課せられた役割だと思っています。   (伊部委員) 別の視点でお願いがあるのですけれども、この部会のこれからの動きが、なかなか分かりにくくて、委員の皆さん不安だと思うのです。ヒアリングの日程調整も大詰めという話もありましたけれども、次の部会には、3月に報告書をまとめるわけですから、改めてどういうスケジュールになるのか、資料を出していただければ、もう少しイメージがしやすいかなと思いました。今日はまだヒアリングが煮詰まっていないので、資料を用意できなかったという事情は分かるのですが、第1回のときの資料を少し改善したものを提示してほしいという要望をさせていただきます。 (佐藤委員) なかなか先が見えない中でという話なのですが、第1回の部会で申し上げたと思いますけれども、5つの施設を対象としてヒアリングというのは、そもそも無理があるので、この部会でできること、できないことは当然あるわけで、できないことは課題として残しておくということが必要だと思います。 ヒアリングも話合いというより、お聞きするわけなので、いろいろな聞き方があると思いますけれども、私も部会として、どういう方針で進めるのかということを、この場で議論することは難しいと思いますので、事務局の方で少し調整いただいて、また御案内いただくと、そんなことになるのかなと思います。 (小川部会長) 佐藤委員のおっしゃったとおりだと私は理解していますけれども、一応事務局からお願いします。 (事務局:足立原意思決定支援担当部長) ありがとうございます。まず、伊部委員がおっしゃった部会の今後のスケジュールについては、第1回でお示ししていますけれども、これを見返したものを、若干日程がずれているものもありますので、改めて次回お示しできればと考えております。 それから、佐藤委員がおっしゃっていたことは、まさにそのとおりでございまして、これまでの検証の意見交換の中でも、例えば、物理的に時間が限られているため、個別のケースを絞って、どういう背景があったとか、そのときに組織として、どういう判断をして行ったのかということを聞いていきましょう、こういった話があったと思います。そういったところを事務局で、また前回、委員から聞くことはある程度統一して、何を聞くかということは施設には予めお伝えしないという御意見もあったかと思います。そのことを踏まえて、事務局で日程、メンバー構成、こういうことを聞いていきましょうというところを含めて、最終整理を行っていますので、改めて各委員の方に御提示したいと思っています。 (小川部会長) よろしいでしょうか。 あと5分くらいいただいてよいでしょうか。折角、皆さんから御意見をいただいたので、それの要点を話させてもらいます。 最初に大塚委員から御発言が始まったのですが、そのとき、行動障がいは抗議行動とも言えるのだと。抗議行動という言葉をおっしゃったんですね。その後に佐藤委員の説明の中に、不適切支援とか視野狭窄という話がありました。つまり、抗議行動だと分からずに、そういった支援が行われているということになってくる。大塚委員からは、個別支援が可能となるように地域生活移行を進めていくという話が出たのですが、つまり、抗議行動みたいなものが、適切な支援によって減っていくことで、地域生活を可能にしていくというプロセスがあると思うんです。それをいかにするかということが一つの考え方になってくるかと思います。 それで、不適切支援に対して、まずは能力存在推定という言葉を佐藤委員が使われたのですが、能力が存在しているというのは、いろいろな角度から見ていく必要があって、一つは中島委員が、一人ひとりを丁寧にアセスメントすることだと。このアセスメントの意味は、日常生活動作のアセスメントではなくて、QOLとかその人らしい人生を送れているのかどうか、そのところのアセスメントをして、よりその人らしい行動がとれるようにしていく。それには閉鎖的な中で見ていくのではなくて、コンサルテーション、アドバイザーを入れながら進めていくということ。それに対して、佐藤委員は「ケア・エンパワー」という言葉を使っていましたけれども、その中に「社会参加」と「語りを紡ぐ」という言葉がありました。「語りを紡ぐ」というのはすごく重要で、それは野口委員が言われた、親や支援者が納得したり共感したりということにつながっていくし、安藤委員が言われたスーパーバイズできる人材育成と支援者のエンパワーメントというところで、スキルだけではないということをおっしゃっていたんですけれど、それは「語りを紡ぐ」という言葉が非常に包括的で理解が難しいのだけれども、多分スキルではない、その人の人生を聞き取りながら、また、自分の人生を振り返りながら支援者が動いていくことが重要で、そういった振り返りのできる専門職の養成、人材育成が必要なのだと私は理解しました。伊部委員が意思形成支援ということで、経験や体験の必要性を言っていましたが、その辺も野口委員の中に出てきています。 こうして、ざっと眺めて見ても、皆さんの御意見というのは、言葉が違えども重なり合うところがあるので、その共通項は整理していけるのではないか。つまり方法論まできちんと細かいところは出てこないけれども、大きな流れというのか、ご本人の目線に立っての支援というのはどうあるべきかという大きな枠組み、あるいはキーワードというか、具体性はまだないですが、見えてきたような気がします。 今回、皆さんから意見を出していただいただけで、やり取りは時間がなくてできなかったのですが、きちんと読んでいくとコミュニケーションに値するような共通項があったように思いますので、それを生かしたまとめ方とか、また議事録を丁寧に読み返しながら次に進めていきたいと感じております。 時間がオーバーしてしまいましたが、議題でその他があるのですが、事務局の方からありますか。   (事務局:鳥井利用者支援検証担当課長) 現在、次回の日程について、皆さんに照会させていただいていますので、また調整ができましたらお知らせしたいと思います。 (小川部会長) 以上を持ちまして、議事の方は終わります。進行の方を事務局の方にお返しします。 (事務局:足立原意思決定支援担当部長) 閉会のあいさつ