参考資料2、第7回当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会(令和3年12月22日) 第6回委員会における主な意見 1、障がい福祉施策の充実強化について (1)行動に課題のある人に対する支援についてどう考えるか ○「行動に課題のある人」や「強度行動障がい」という言葉の定義、使い方も含めて整理する必要がある。 〇強度行動障がいというのは、支援者が対応できなくなったときに、そういうレッテルが貼られる。ここが客観的に評価されてない中で、支援者の力というか、施設の方針に左右されてしまっているという現状をまず押さえる必要があるのではないか。 ○強度行動障がいの自閉症の方に対して、怖がっている方が結構いるが、僕は常に会話を大事にしている。優しく接すれば、彼たちも分かってくれる。この人は難しいと言う前に、やっぱり、まず興味のあることを話すといいと思う。 ○家庭や施設での対応の中で、強度行動障がいは作られていったという面もある。障がい当事者の方の生活を変えていくには、やっぱり子どもの時からの生活を家族も一緒に考えて、一緒に行動していかなければ、難しいと思う。 〇彼らが変わっていくのではなくて、我々が変容していくことで、非常に豊かなつき合いというのができると思う。対応しきれないという我々の枠を超えていく必要がある。 〇これからの方向性は、短期入所で受け入れて、専門家が支援するのではなく、アウトリーチで家庭などに行って、行動障がい、行動の課題を持っている人が落ち着くまできちんと支援できる、そういう専門性が必要なのではないか。行動障がいでパニックになったときには、24時間365日、アウトリーチで支援するという姿が必要なのではないか。 〇短期入所の役割で、一概にアウトリーチに舵を切れるかどうかという課題もあるので、今後、検討していけるとよい。 〇資料2−1の9ページの体制づくりの課題の整理について、非常に良いものであると思うが、担える人材がいるのかというと非常に少ないと思う。少ないところに立脚して、進める必要がある。医療との連携も同じで、行動障がいを理解しているドクターも非常に少ないのではないか。 〇建前的な話であるが、事業者と利用者が原則契約をするというものに基づいて、現在行っている中で、本人が事業所等を利用する際に、本人との「約束と合意」を前提とするという書き込みをどう取り扱うということは、慎重に議論をしなければいけないと思う。まして、これを運営規程に盛り込むとなると大きな議論になるのではないかと思う。 〇本人の持っている強みとか可能性というストレングスに着目をしたアセスメントというものが必要だと思う。 ○その人が抱えている困難さというのは、環境因子もあるわけだから、一人ずつ違う。その環境の中でどう支援していくかということになると、研修だけではなくて、その人一人の支援の現場というものを、常に支援者も含めて、家族も含めて、見ていく。そして改善していくという、そういう試みが常に行われ続けなければいけない。そこを明確に記載する必要がある。 〇現在もスーパービジョンやコンサルテーションの機会はある。今後は、単発ではなく、併走型、長期間に関わってもらうような体制を置くか、検討する必要がある。 ○強度行動障害支援者養成研修の基礎研修は、一定の効果があるという実感を受けている。加算対象の研修ということであるが、できれば広く皆さんに受講していただける研修になればいいと思う。 〇実践研修については、現在、自閉症療育者のためのトレーニングセミナーがあるので、新しく作っていくというよりも、既存のものを生かした研修体系を整理していく必要があると思う。 〇集団生活を強いるというのは、非常に行動の課題をより重篤に変容させる可能性がある。それと、強度行動障がいの人が人間関係を持てないというのは全く別。この辺が整理されずに、強度行動障がいの方は人が刺激になる、言葉が刺激になるということで、非常にそこに対しての遮断が強く用いられていると思う。そういった、方法論に彼らを当てはめるのではなくて、やはり、もう少し個別性(個人の身体の発達であるとか、心の発達)を重視して、研修等をやっていく必要がある。 (2)障がい者の高齢化に伴う支援のあり方についてどう考えるか ○これから先、生活保護や障害年金のお金が減らされると心配している仲間がいる。介護保険で十分なサポートを受けられないのが不安。 〇障がいがあっても、地域で老いていくことは可能である。人生の最後の瞬間まで、一緒に生きてきた仲間と一緒にいたい。 〇身寄りがなく、仕事を辞めてしまったら、仲間との関わりが減っていく。そのとき相談できる仲間が減っていくのが心配。身体が元気なうちは何歳でも働きたい。 〇高齢の方たちにも、どういうことがやりたいかということを聞かないといけない。 〇障がい者が高齢になったら、障がい者も一般と同じ老人ホームや特養など選べる選択肢を作ってほしいと思う。障がい者が一般の人と住むのは大変かと思うが、それは工夫だと思うし、障がい者福祉と高齢福祉が合同で研修もやってほしい。 〇知的障がいの高齢化に対して、どんな支援が仲間の役に立つのか、教えてほしい。 ○高齢福祉のサービスの方から、高齢で障がいのある方に対する介護の技術についてアドバイスいただくような仕組み、逆に、知的に障がいのある方を共生型の高齢施設で受ける場合には、障害福祉サービスを行う事業所が高齢施設に出向きながら、そのノウハウを共有できるという、そういう双方が巡回できるような仕組みを考えていけるとよい。 (3)障害者支援施設からの地域生活への移行を進める方策についてどう考えるか 〇最初に入所施設に行ったときに、本来の生活に戻れるようにするために2か月後に集まりましょう、という約束をし、地域と施設とがこんな段取りをしてきますということを、繰り返すということがとても大事。 〇入所施設にいる方たちこそ、モニタリングを増やさなきゃいけない。今の暮らしを続けるという支援目標を作ってしまうと、サービス等利用計画を2か月後に見直す話にはならない。大切なのは、違った暮らしを見てもらうとか、あるいはもっと違った活動を経験してもらうとか、そういうようなものを入れ込むプランにすること。その中で、本人の様子をよく見ながら、モニタリングを続けてほしい。 〇本当の専門性は、自分たちのお座敷で支援する専門性ではなくて、本来、いるべき場所に出向いて行って、そこで、どのように本人が頑張れるということをアプローチすることである。 ○西駒郷の今後のあり方の検討会の結果で、地域移行生活は進んだけれども、まだ施設に残っている方がいるという話を聞いた。今後、神奈川県が地域生活移行を進めていく上では、そのあたりの要因を分析した方がいいのではないかと思う。 ○地域で支える力をつけていくことをしない限り、地域生活移行は止まってしまうと感じている。 〇グループホームだけでの支援というのは非常に難しく、日中活動を含め、個別に対応した支援チームを構築することは重要だと感じている。また、入所施設からの過齢児の地域移行の問題というのは、実情としては、相談支援専門員がその相談を受けて動き回っても200%難しい。そういうところでは、やはり行政機関も含めて、しっかり協力体制を構築して、オーダーメイドのチームを構築していくことが、今後求められるのではないか。 〇福祉間では、よく連携しているが、教育と福祉の連携がなかなか難しいと聞いている。例えば、生活保護を受けるとか、児童養護施設の方の行き先というときに、縦割り行政の壁があり、連携がうまくいかないことがあるので、そういう視点で、今後、政策的に進んでいくとよい。 〇関係者の連携協力体制の中心を担うのは、相談支援専門員なのかもしれないが、現状として、相談支援専門員の数が不足していることを実感している。施設に地域生活を担う職員を配置したり、広域支援マネージャーやグループホーム等支援ワーカーを配置してはどうかとあるが、そこを担う人材がいるのか、そこの確保ができるのかというところも、しっかり議論していく必要がある。 (4)日中活動のあり方についてどう考えるか ○昼間は施設から出て活動することが大切。多くの仲間たちと関わることが大切。いろいろな活動があった方がいい。もっと気楽にいろんな場所で活動を選べるようにしてほしい。 〇前に病気をして体調を崩したことがあったので、無理しないように、週3日で、帰る時間を早めにしている。あとは、家でいろいろやって、余裕のある時間を持っている。 〇家の中にずっといるよりは、外に出て、すごく勉強になっている。自分にとってすごく嬉しくて、励みになる。 (5)居住支援のあり方についてどう考えるか 〇グループホームでやはり一番問題なのは、個別の支援を、箱でやっている部分だと思っている。要するに、支援は個別で、そういう個別の人が何人かで住むか、一人で住むかという選択が本当にできるようにすることが、今後の目指すところ。 〇グループホームを設置するに当たって、先にグループホームができて、そこに事業者が利用される方を集めているような流れが非常に強くなっている。本来的には、一緒に暮らしたいという仲間がいて、そこにグループホームができてくる。そういった人生がその場所で広がっていくという実感が持てるような暮らしを作っていくということが、非常に大切だと思う。知らない仲間と暮らすストレスを、皆さんにも考えてほしいと思う。 〇在宅からグループホームに移行する人も非常に多く、入所から地域移行を進めていくと、グループホームの数が足りなくなると思う。在宅で生活している人たちも含めて、自立生活の一つの方法、方向としてグループホームもあるということを忘れないでやってほしい。 〇体験の機会とか、入所のサテライト型とか、新たな居住支援の場の検討というものが求められるというところでは、今後、議論をお願いしたい。 〇住まいの整備については、ハード面の充実を検討してほしい。 〇住宅セーフティネット法に基づく居住支援協議会等々の仕組み、この辺の充実をお願いしたい。住宅行政は県はやっているが、市町村だとあまりない。是非県が主導して、各市町村にも設置をして、民間の賃貸住宅が借りやすくなるような仕組みというものを作るとよい。県と市町村がある程度連携を取る必要があると思う。 2、普遍的な仕組みづくりについて (「当事者目線の障がい福祉実現宣言」に対する感想) ○過敏に反応しすぎるって何だろうと思った。友達は過敏に反応するから、部屋に閉じ込められたと聞いている。でもその友達は、今は自分と一緒に働いて、外出したりしている。楽しんでいる友達を見ていると、何に過敏なのか分からない。 〇障がい者である前に人間ですと言い続けることは悲しいこと。知事の宣言の意味を社会のみんなが理解するのが難しい。だからピープルファーストのメンバーは、「障がい者である前に人間です」という言葉を言い続ける。みんなで協力し合って頑張ることが大切。 〇県として、地域での受入れの場をしっかり整備するという前提で、施設は終の棲家ではないということであれば、なるほどというふうに思うが、その辺のところの説明が足りないのかなと思った。 〇宣言の中身は正しいが、どこまで人々に理解してもらえるかを気にしている。この条例化ということを目標にするのであれば、この委員会はもちろんのこと、他の場所でも様々な議論を積み重ねていくという覚悟が必要だと思う。