県立中井やまゆり園
当事者目線の支援アクションプラン
~ 一人ひとりの人生を支援する ~

令和5年7月 神奈川県 
 
目次

策定にあたって	1
1 基本的事項	3
(1) 策定の趣旨	3
(2) 計画期間	3
(3) 理念・役割	3
(4) 実施体制	4
2 具体的な取組内容	5
(1) アクションプランの4つの柱	5
(2) 具体的な取組内容	6
Ⅰ 人生に共感し、チームで支援する	6
Ⅱ 暮らしをつくる	9
Ⅲ いのちを守る施設運営	16
Ⅳ 施設運営を支える仕組みの改善	20
(3) 全体のロードマップ	28
3 進捗確認体制	29
 
策定にあたって

県は、平成28年7月26日に津久井やまゆり園で発生した、19名の生命が奪われる大変痛ましい事件からの再生に向け、「津久井やまゆり園再生基本構想」を策定し、利用者の意思決定支援や、津久井やまゆり園、芹が谷やまゆり園の2つの園の整備に取り組んできました。
しかし、その間、かつての津久井やまゆり園の支援に関し、不適切な支援が行われてきたと指摘する情報が県に寄せられ、支援内容の検証を進めてきました。その中では、長時間の居室施錠など、虐待の疑いの強い身体拘束が行われてきたことが明らかになりました。これらは他の県立障害者支援施設(以下「県立施設」という。)でも同様の課題であり、本来指導すべき県の認識も不足していたことが明らかになりました。
こうした中で、これからの障がい福祉は本人の望みや願いを第一に考え、本人の可能性を最大限に引き出す「障がい当事者の目線」に立った支援を行うことが大切だという考えに至りました。
県立施設の検証を行う中で、中井やまゆり園(以下「園」という。)は、居室施錠を主とした長時間の身体拘束について厳しく指摘され、身体拘束の廃止及び利用者支援の改善に取り組んできました。
令和3年度には、この改革の取組をより一層加速させるため、県立中井やまゆり園当事者目線の支援改革プロジェクトチーム(以下「改革プロジェクトチーム」という。)を設置し、身体拘束事案に係る支援内容の確認等を行うとともに、令和元年7月31日に発生した骨折事案について、県が行う再調査に対して助言をいただきました。
一方、県では骨折事案を再調査する中で、事実であれば不適切な支援と思われる情報を複数把握したことから、改革プロジェクトチームのメンバーを構成員とする県立中井やまゆり園における利用者支援外部調査委員会(以下「外部調査委員会」という。)を令和4年3月に設置し、徹底的な調査を行いました。
この間、調査と並行し、県は、改革プロジェクトチーム休止までの議論をもとに、本庁幹部職員の常駐や民間の支援改善アドバイザーを配置する等、当事者目線の支援や園のマネジメントの改善に向けた取組を実施してきました。
外部調査委員会による調査が終了し、改革プロジェクトチームを再開し、なぜこうした事案が起きたのか、不適切な風土が醸成された背景を分析し、今年5月に再発防止や支援改善のための県立中井やまゆり園当事者目線の支援改革プログラム(以下「改革プログラム」という。)を公表しました。
改革プログラムを受け、園の支援が閉鎖的になることで、不適切な支援が行われやすくなるという指摘から、今後は、園が地域の中で孤立しないよう地域の事業所や住民との交流を活発に行い、利用者が地域の中で当たり前に生活できる環境を作っていく必要性があると認識しています。
この「県立中井やまゆり園当事者目線の支援アクションプラン~ 一人ひとりの人生を支援する ~」(以下「アクションプラン」という。)では、こうした園の更なる改革を進めるため、地域の関係機関が連携し、例えば、農作業を通じて障がい者が地域で活躍できる仕組み等、具体的な取組内容を示し、実践していきたいと考えています。
県としては園の改革を通じて、外部の目を支援の中に常に取り入れることで、二度と同じことを繰り返さないよう努めるとともに、施設の風通しを改善することで寮や職種を超えた連携を図り、当事者目線の支援を実践できるよう、園と本庁が一体となって取組を進めてまいります。
加えて、得られた効果的な手法を、他の県立施設や民間施設にも広め、当事者目線の障がい福祉を県全体で実践できるよう取り組んでまいります。
なお、当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会や改革プロジェクトチーム等からのこれまでの提言を受けて、県では、県立施設として役割を果たすべき施設と、民間法人に移譲する施設を明らかにするとともに、小規模施設への転換や老朽化対策を含めた当事者目線の支援を継続的に実施する体制の検討を行い、年内に「(仮称)県立障害者支援施設の方向性ビジョン」を作成することとしています。
 
1 基本的事項
(1) 策定の趣旨
本庁と園が、令和5年5月に改革プロジェクトチームが策定した改革プログラムの提言を実践するために、園、本庁等が行うべき取組内容やスケジュールを具体化した「アクションプラン」を策定する。

(2) 計画期間
アクションプランは、令和5年度から7年度までの3年間として、園の改革に取り組む。

(3) 理念・役割
ア 理念
本庁と園が一体となって
・ 利用者一人ひとりの当事者目線に立って、利用者が主体となれるよう人生を支援する
・ 障がい当事者が街の中で当たり前に暮らせる地域共生社会を目指し、取組を進める

イ 役割
利用者一人ひとりが地域でその人らしく望む暮らしが実現できるよう、本庁と園が一体となって、地域生活移行注1を進めるための次の役割を果たしていく。
・ 地域生活が困難となった障がい者を一時的に受け入れ、再び地域の中で居場所を作り、仲間たちとのつながりの中で暮らしていけるような通過型施設としての支援を確立する。
・ 園内外での日中活動を充実させるなど、地域と利用者本人とが関わりを深め、お互いに変わっていくことで地域の中で本人の人格の発達と存在が保障される支援を確立する。
・ 今後の障がい福祉施策の検討を行うため、園を障がい者支援に関する研究、人材確保や育成といったフィールドとする。その中でも、現在園で課題となっている知的障がい者が適切に医療を受けられる体制づくり等の課題についても検討する。
注1)地域生活移行とは、自宅やグループホームに居所を移すことだけではなく、日中は地域で活動し、居場所を作るとともに、仲間とのつながりを感じられるなど、社会の一員として、地域の人々と自然なふれあいを持てる暮らしを取り戻していくことである。
利用者が地域に住まいを移した後も、継続的に支援していくとともに、一時的に地域での生活が難しくなった場合には、施設で受け入れるなど、利用者や家族に寄り添った支援を行っていく。

(4) 実施体制
令和4年3月から本庁の県立障害者施設指導担当課長を園に常駐させ、また同年4月からは民間の支援改善アドバイザーを園に配置し、園の利用者支援の改善やガバナンスの強化を図っている。
令和5年度は、より一層改革を進めるため、令和4年度に園に常駐していた本庁担当課長を新たに園長とし、また、生活支援部長に加え、園内に支援企画担当部長職を新設し、実施体制を強化した。
今後、園長のリーダーシップのもと、生活支援部、医療部門、給食部門、管理部門、これら各分野の専門性を最大限生かし、園全体が一丸となって当事者目線に立った支援を自ら実践していく。
さらに、本庁は、日頃から園の利用者支援や人員配置等、運営状況の確認や、他の施設の情報も収集しながら、園と一体となって、課題の解決に向けた検討を行い、ガバナンスの強化等を図る。

2 具体的な取組内容
(1) アクションプランの4つの柱
柱	取組内容
Ⅰ 人生に共感し、
チームで支援する	
〇 利用者一人ひとりに、これからどのように暮らしたいかを聞いて、その実現に向けた支援を約束し、チームで支援する
また、利用者一人ひとりの人生を支援するためのガバナンスを強化する
Ⅱ 暮らしをつくる	
〇 施設は、人が暮らす場であるということを意識し、園内での暮らしを再構築する
また、地域での暮らしをイメージした園内の日中活動の充実を図る
〇 施設が地域に溶け込んで、全ての利用者が日常的に地域に出て、仲間たちとのつながりや役割を実感できるよう、園外での日中活動の充実を図る
また、利用者が地域生活をイメージできるよう、様々な体験の場をつくる
〇 施設を居心地の良い環境に改善する
〇 地域での活動を具体的に実現するための事業計画・行事計画を利用者と一緒に作成する
Ⅲ いのちを守る 施設運営	
〇 利用者一人ひとりのいのちを守るという強い意識をもって、利用者の生活を考え、支援する
また、園の医療提供体制を見直すとともに、知的障がい者に必要な医療の在り方を検討する
〇 虐待が疑われる事案や事故が発生した場合の対応を徹底する
Ⅳ 施設運営を支える仕組みの改善	
〇 利用者支援の質を評価する仕組みを構築する
○ 職員の不安、悩み、ストレスを解消するための仕組みを構築する
○ 利用者の望みを第一に考え、その暮らしや人生に寄り添う、当事者目線の支援を実践する人材を育成する
○ 利用者の暮らしに合わせた人員配置体制や、利用者が暮らしやすい施設規模に見直す
(2) 具体的な取組内容
Ⅰ 人生に共感し、チームで支援する
利用者一人ひとりに、これからどのように暮らしたいかを聞いて、その実現に向けた支援を約束し、チームで支援する
また、利用者一人ひとりの人生を支援するためのガバナンスを強化する
【園の取組】
(チーム支援)
1-1 全ての利用者について、入所前の暮らしの場を利用者とともに訪問したり、家族等から成育歴を聞き取り、その人の人生が分かるシートを作成する。こうしたシートの作成を通して、利用者の人生を改めて振り返り、利用者の人生を理解する。寮長は寮の利用者の、課長は課の利用者の、園長は園の利用者の人生を理解する。
1-2 利用者本人と園長、部長、課長、寮長、担当職員の面談を実施し、利用者本人の想いや願いを聞き、実現に向けた支援を約束する。
1-3 モニタリング会議注2に本人が参加し、本人が望む暮らしを相談支援事業所、支給決定市町村や家族等とともにチームで共有し、また、ご本人の意向を第一としたモニタリング会議の充実等についても検討する。
1-4 本人の望む暮らしを実現するため、具体的な支援内容を盛り込んだ支援計画を策定し、チームで支援する。なお、例えば職員向けの研修に家族をはじめとした関係者も参加する等、支援の方向性を共有する。
1-5 日々の記録で本人の状態が適切に把握できるよう、生活支援記録や看護記録をはじめとした記録の方法や共有の方法を見直す。
1-6 本人の状況に応じてモニタリング会議の開催を随時調整する等、個別支援計画やサービス等利用計画を本人の状態や希望に沿った形で見直していく。

注2)モニタリング会議とは、相談支援専門員がサービス等利用計画を作成後、利用者及びその家族、障害福祉サービス事業所等との連絡を行い、サービス等利用計画の実施状況の把握を行うために実施する会議をいう。モニタリングは、サービス等利用計画に基づき、関係する事業所等がどの程度うまく実行しているか、目標が達成されているか判断するものであり、利用者の新しいニーズを知り、支援の変更の必要性等を判断するための重要なプロセス。

【本庁の取組】
(ガバナンス強化)
2-1 利用者一人ひとりの状態や園の対応状況を園日誌により、毎日確認する。
2-2 園日誌で確認した食事支援等、園の対応で、十分な対応がされていないと思われる場合は、なぜ対応できないのか実態を確認するため、支援現場を直接確認する。
2-3 確認した課題をもとに園幹部職員や現場職員との意見交換を行いながら、支援の在り方や対応策について検討し、実施する。
2-4 園の支援改善に向け、本庁職員や他の県立施設の職員等の参加によるサポートチームを設置し、第三者の視点から、支援内容を確認し、必要な助言等を行う。
【園と本庁の取組】
(ガバナンス強化)
3-1 生活状況連絡会議(課寮長定例会:仮称)を新たに設け、利用者の情報を園内に共有することで、園の職員が利用者全員に対して主体性をもち、支援目標や直面している課題を理解する。
3-2 上記連絡会に本庁職員も参加し、支援の状況を共有する。

取組	令和5年度	令和6年度	令和7年度
1-1	
・全利用者の人生の振り返り
(令和4年度に実施済)
・人となりシートの見直し(随時)	・随時見直し	・随時見直し

1-2	
・全利用者の面談実施
(7~8月)	
・年1回実施	
・毎年実施
 
取組	令和5年度	令和6年度	令和7年度

1-3	
・モニタリング会議に本人参加
(随時)	
・毎年見直し
・毎年見直し

1-4	
・サービス等利用計画と個別支援計画の整合性確認(随時)
・個別支援計画の見直し(随時)	
・全利用者実施	
・全利用者実施

1-5	
・記録・共有方法の見直し検討
・記録を生活支援部、医療部門で共有	
・記録方法等の再検証	
・記録方法等の再検証

1-6	
・本人の状態や希望に応じて見直し(随時・最低年1回)	
・計画見直し
(随時・最低年1回)	
・計画見直し
(随時・最低年1回)

2-1
2-2
2-3	
・園日誌の確認(毎日)
・定期的な現地確認(月1回)
・園と課題解決(随時)	・継続実施	・継続実施

2-4	
・モニタリング実施(下半期)	
・年1回実施	
・年1回実施

3-1
3-2
・開催方法検討
・定期的な開催(下半期)
・本庁職員参加	
・継続実施
・継続参加
・継続実施
・継続参加
 
Ⅱ 暮らしをつくる
施設は、人が暮らす場であるということを意識し、園内での暮らしを再構築する
また、地域での暮らしをイメージした園内の日中活動の充実を図る
【園の取組】
(利用者との関わり)
1-1 利用者が一人の人間として安心して暮らせるよう、本人の健康状態やペースに合った食事支援、健康管理ができるよう見直す。その上で、歩ける人は歩く、トイレに行ける人は行く、口腔嚥下機能、視覚、聴覚等、本人の持っている能力を最大限維持する暮らしと適切なタイミングでの医療提供を徹底する。
1-2 職員は、施設が、人が暮らす場ということを再認識して、利用者の身の回りの整理や施設の清掃などを徹底する。その際には、職員と利用者が一緒に、生活の中で自分の身の回りの清掃や皿洗いなどの日常の家事等に取り組み、孤立せず、ともに暮らしていることが実感できるよう支援する。
1-3 利用者や家族の目線に立ち、ユニット出入口やトイレ、洗面の施錠について、開放に取り組む。同様に、水栓を閉じている箇所についても、開栓に取り組むなど、生活環境の整備を推進する。
(園内の日中活動の充実)
2-1 民間企業からの受注作業の拡大を図る。
2-2 園内であっても、仲間と協働・協力しながら、手帳の解体、ボールペンの組み立て等、民間企業からの受注作業を受け、社会の中で自身の役割を実感できる活動に取り組む。
2-3 園内の清掃や園内花壇の整備等、役割や充実感を得られる取組を取り入れる。

取組	令和5年度	令和6年度	令和7年度

1-1	
・一人ひとりの食事支援・健康管理の再点検(随時)
・機能維持に向けた実践(随時)	
・継続実施
・継続実施

1-2	
・寮の職員と利用者で話し合い
・職員や他の利用者と取り組むこと内容を決め、実践(随時)	
・継続実施
・継続実施

1-3	
・アセスメント実施(8~9月)
・開放・開栓(順次)	
・継続実施
・継続実施

2-1
2-2
2-3
・近隣企業等への説明、園内見学の設定・受注作業の拡大(随時)
・園内日中活動の実施(随時)
・寮の職員と利用者で話し合い
・園内の清掃や園内花壇の整備(随時)	
・継続実施
・継続実施
 
施設が地域に溶け込んで、全ての利用者が日常的に地域に出て、仲間たちとのつながりや役割を実感できるよう、園外での日中活動の充実を図る
また、利用者が地域生活をイメージできるよう、様々な体験の場をつくる
【園の取組】
(日中活動の充実)
1-1 地域での活動を通じて楽しみを実感できる実践を重ねるため、全ての利用者が施設を出る、「オール中井デー」を実施する。職員は利用者と一緒に様々な体験をし、利用者に共感する。
1-2 この取組を通じて、日頃から、当たり前のように園の外に出て、地域とのつながりを実感できるよう、全ての利用者が、日常的に地域に出て、散歩やごみ拾い等を通じて、地域の人たちとあいさつや会話する。
(地域づくり)
2-1 秦野駅前に設置した活動拠点(「らっかせい」)を活用し、周辺地域の公園清掃や花壇の手入れなどを行うなど、地域に根差した活動を実施するとともに、近隣住民との交流を図る。
2-2 中井町内の農家の協力を得て、農作業を通じて関係機関や地元住民と連携を図りながら、地域での仲間づくりに取り組むとともに、園外での活動の充実を図る。
2-3 地域の方を園に招き、利用者と一緒に活動していただくことで、園での暮らしや利用者のことを知っていただき、地域とのつながりをつくる。
(体験の場づくり)
3-1 外部事業所やグループホームの体験利用のほか、地域交流やサークル活動など、地域での活動に参加する。
3-2 日中活動の場所を施設外に広げるため、障害福祉サービス事業所との連携や、施設外就労先(民間企業)の開拓を積極的に行う。
(仲間づくり)
4-1 利用者の声を聞き、当事者主体の暮らしを作るため、利用者自治会等、当事者主体の活動を支援する。また、他の施設の利用者自治会等、障がい当事者間の交流を図る。
4-2 障がい当事者の考えや想いの理解、園職員のモチベーション向上のため、当事者団体と連携した障がい当事者による職員面接を実施する。
【本庁の取組】
(地域生活を実現するための検討)
5 当事者が主体的に地域に関われるように、社会福祉連携推進法人など、地域でのネットワークづくりを検討する。
6 地域で一人暮らしをしている実例の情報を収集し、それに関わる市町村等と意見交換を行いながら、施設入所中または地域生活移行後に活用できる重度訪問介護等の支援策を検討する。
【園と本庁の取組】
(通過型施設としての実践)
7 園は、利用者が地域に住まいを移した後も、定期的に生活状況を確認し、一時的に地域での生活が難しくなった場合に短期入所で受け入れる等、地域生活が続けられるよう支援する。
8 地域生活が続けられるよう支援をしながら、通過型施設として求められる地域支援の在り方について、検討する。

取組	令和5年度	令和6年度	令和7年度

1-1
1-2	
・オール中井デー(毎月)
・日常的な園外活動	
・継続実施
・継続実施

2-1
2-2
2-3	
・らっかせいの継続実施・拡大
・農園活動実施(毎週金曜日)
・ダンス教室開催	
・継続実施	
・継続実施

3-1
3-2
・外部事業所等の体験利用(随時)
・地域での活動に参加(随時)
・施設外の日中活動・就労先の開拓(随時)
・継続実施
・継続実施

4-1	
・利用者自治会の開催(毎月)
・施設外の障がい当事者間の交流(随時)	
・毎月実施
・随時実施	
・毎月実施
・随時実施

4-2	
・障がい当事者による職員面接
・継続実施
・園利用者の協力	
・継続実施
・園利用者の協力

5
・先進事例等の情報収集
・当事者主体の社会福祉連携推進法人の設立検討	
・継続検討

6
・仕組みの検討
・実例調査・意見交換	
・施策の検討
・施策の検討

7
8
・定期的に生活状況を確認(随時)
・短期入所で受け入れ(随時)
・継続実施
・地域支援の在り方検討	
・継続実施
・地域支援の在り方検討
 
施設を居心地の良い環境に改善する
【園と本庁の取組】
1-1 緊急的に随時対応している修繕工事に加え、本庁職員と園職員による施設内の点検によって、修繕・補修が必要な箇所への対応策を検討し、遅滞なく修繕・補修工事を実施する。
1-2 修繕が必要なものは、園の修繕・補修工事に加え、本庁の予算を活用し、速やかな工事を実施する。
1-3 障害当事者県立施設巡回事業により障がい当事者が園内ラウンドを実施し、状況を確認して改善すべきと指摘を受けた点については、遅滞なく修繕・補修工事を実施する。

取組	令和5年度	令和6年度	令和7年度

1-1
1-2
・施設内総点検(10月、3月)
・迅速な修繕工事(随時)
・園と役割分担し、本庁の予算を活用した修繕工事(随時)
・継続実施
・継続実施

1-3
・障がい当事者による状況確認
(年2回)
・園と本庁による迅速な修繕工事(随時)
・継続実施
・継続実施
 
 地域での活動を具体的に実現するための当事者目線の事業計画・行事計画を利用者と一緒に作成する
【園と本庁の取組】
1-1 利用者の希望や想いを聞き、余暇や外出、日中活動等の地域での活動に参加できるよう、当事者目線に立った事業計画・行事計画を利用者と一緒に作成する。
1-2 事業計画・行事計画に合わせて、予算配分や執行計画を見直す。

取組	令和5年度	令和6年度	令和7年度

1-1
1-2	
・計画作成(8月)
・予算配分や執行計画を見直し	
・計画作成
 (上半期)	
・計画作成
(上半期)
 
Ⅲ いのちを守る施設運営
利用者一人ひとりのいのちを守るという強い意識をもって、利用者の生活を考え、支援する
また、園の医療提供体制を見直すとともに、知的障がい者に必要な医療の在り方を検討する
【園の取組】
(日常の健康管理)
1-1 利用者が一人の人間として安心して暮らせるよう、本人の健康状態やペースに合った食事支援、健康管理ができるよう見直す。その上で、歩ける人は歩く、トイレに行ける人は行く、口腔嚥下機能、視覚、聴覚等、本人の持っている能力を最大限維持する暮らしと適切なタイミングでの医療提供を徹底する。(再掲)
1-2 日々の記録で本人の状態が適切に把握できるよう、生活支援記録や看護記録をはじめとした記録の方法や共有の方法を見直す。(再掲)
1-3 利用者一人ひとりのバイタルチェックや定期的な健康診断結果を改めて評価し直して、全職員で共有する。
1-4 薬(精神科薬、抗てんかん薬、内科薬)を服用している利用者については、いつから、何のために服用しているのか、服用開始時期や、その目的・影響を再確認する。
1-5 日常的な利用者の体調の変化や違和感に気づくために観察ポイント等を具体的に明記した健康管理マニュアルを改定し、支援員と医療職等で連携して日頃の健康管理にあたる。
1-6 日頃の健康管理や日中活動の充実、精神科薬の見直し等が利用者の体調回復に寄与したのか、客観的に評価していくため、骨軟化症や骨粗鬆症等に係る定期的な検査を実施する。
1-7 利用者の体調の変化や違和感を見逃さず、適切なタイミングで園内診療所の診察のほか園外受診へつなげる。
(食事支援)
2-1 利用者本人のペースや健康状態、食事の摂取状態に応じた食事支援を行うとともに、必要な場合は補食を提供する等、当事者目線に立った食事支援を徹底する。
2-2 食事支援の場面が重大な健康リスクにつながる場面であることを再認識し、職員の配置を見直すなど、当事者目線に立った食事支援を行う。また食事の摂取状況や栄養状態も含めた食事リスクのある利用者リストを作成し、全職員で共有する。
2-3 摂食嚥下研修の継続的な実施により、誤嚥など食事リスクに対する意識改革と支援技術の習得を行う。
2-4 専門職による継続的な摂食嚥下評価に基づく食事支援を提供する。
2-5 定期的に食事リスクのある利用者リストを見直す。
【園と本庁の取組】
(園内の医療提供体制の見直し)
3-1 医師など医療専門職種の配置など、園内の診療体制の見直しの検討を行い、チームで利用者のいのちを守るための体制整備を進める。
3-2 看護師や支援職員の知的障がい者看護に関する研修を行う等、技術向上に向けた取組を進める。
 (地域の医療機関との連携体制の構築)
4-1 普段から、利用者の通院、入院に協力してくれている病院や診療所を回り、園の実情を伝えながら、地域との医療機関と連携して日頃から本人の健康管理ができる体制を構築する。
4-2 複数の協力医療機関の確保等、急な体調悪化があった時に入院できる体制を整備する。
4-3 栄養、リハビリといった継続的な体調回復に向けた段階的な体制の確保に向けた検討を行う。
(知的障がい者が適切に医療を受けられる体制の検討)
5—1 利用者に係る入院時の対応等について、課題を整理する。
5—2 民間施設における入院時の対応等について、情報収集する。
5—3 収集した課題等について、対応策を検討する。




取組	令和5年度	令和6年度	令和7年度

1-1
再掲
・一人ひとりの食事支援・健康管理の再点検(随時)
・機能維持に向けた実践(随時)	
・継続実施
・継続実施

1-2
再掲
1-3
1-4
1-5
1-6
1-7	
・記録・共有方法見直し
・医療情報の再整理
・服薬状況の再確認
・健康管理マニュアルの改定
・定期的な検査
・医療アクセスの確保	
・継続実施
・毎年改定
・継続実施
・毎年改定

2-1
2-2
2-3
2-4
2-5	
・当事者目線に立った食事支援の徹底
・摂食嚥下研修
・食事リスクのある利用者リストの作成・見直し
・専門職による摂食嚥下評価
・継続実施
・毎年改定
・継続実施
・毎年改定

3-1
3-2
・診療体制の見直し
・知的障がい者看護研修
・継続実施	
・継続実施

4-1
4-2
4-3	

・地域の医療機関と連携した日常的な健康管理体制の構築
・急性期医療の提供体制の整備
・慢性期医療の提供体制確保に向けた検討	
・継続実施
・継続実施

5-1
5-2
5-3	
・課題整理
・情報収集
・対応策検討
・継続実施
・継続実施

虐待が疑われる事案や事故が発生した場合の対応を徹底する
【園と本庁の取組】
1-1 リスクマネジメント委員会を、リスクの共有だけではなく、ハイリスク事案等の検証を主とするよう、体制・機能を見直す。
1-2 人権を著しく侵害するような不適切な支援及び虐待が疑われるような事案の発生時においては、園長をトップとする園内検証チーム(本庁職員も参画)を組織し、事実確認、原因分析、再発防止を速やかに行う。なお、事案を把握した時点で虐待が疑われる場合は、速やかに関係市町村に通報する。また、生命・身体に重大な危険が及ぶ事案や人権を著しく侵害するような事案は、警察へ通報する。
1-3 原因不明の受傷事故や現場を確認できていない転倒事故等については、見守りカメラ注3の記録映像を積極的に活用し、事実確認及び原因究明を徹底して行う。
1-4 見守りカメラの記録映像を個人のプライバシーに配慮した上で、研修に活用する等、利用者支援の改善に向けた活用方法を検討する。なお、利用者が体調を崩し、園内での十分な健康管理が必要な場合等、利用者本人やご家族の了承のもと、居室への一時的な設置も検討する。
   
注3)見守りカメラは、令和2年4月に2つの寮の共有スペース(廊下、食堂、デイルーム)に12台設置した。令和4年10月には、すべての寮に増設し、計76台を設置、保存期間も21日間から1年間に延長した。
取組	令和5年度	令和6年度	令和7年度

1-1	
・体制・機能を見直し検討
・ハイリスク事案等の検証	
・体制再評価
・継続実施	
・体制再評価
・継続実施

1-2
1-3
1-4	
・重大事故発生時、園内検証チームを組織(随時)
・見守りカメラを活用した原因究明・事実確認の徹底(随時)
・活用方法の検討	
・体制再評価
・継続実施	
・体制再評価
・継続実施

Ⅳ 施設運営を支える仕組みの改善
利用者支援の質を評価する仕組みを構築する
【園と本庁の取組】
(利用者満足度調査の仕組み)
1 本庁は、利用者満足度調査の調査項目や調査方法等を見直すにあたって、他の県立施設や民間施設の満足度調査の方法を情報収集し、利用者の意思が反映される具体的な方法を検討する。
(外部評価の仕組み)
2—1 本庁と園は、入所生活体験研修等、参加職員にアンケートを取って、外部から園運営や利用者支援についての評価をもらう仕組みを検討する。
2—2 本庁は、年に1回、園の支援状況についての実践報告会を開催し外部から評価してもらう。
2—3 本庁と園は、現在の家族アンケートを見直し、家族による評価の仕組みを検討する。
(客観的評価の仕組みづくり)
3 本庁と園は、ICF注4による評価項目を作成し、客観的な指標に基づいた利用者のQOLを評価する方法を検討する。

注4)ICFとは、国際生活機能分類のことで、健康状態を心身機能や活動、参加といった生活機能、環境因子、個人因子といった背景因子が相互に作用し、「生きることの全体像」を捉えるために使う分類のこと。

取組	令和5年度	令和6年度	令和7年度
1	
・利用者満足度調査実施(年1回)
・調査方法の情報収集
・見直し検討	
・調査方法の見直し
・年1回実施	
・調査方法の見直し
・年1回実施

2-1
2-2
2-3	
・研修参加者へのアンケート
・報告会開催(下半期)
・家族による評価の仕組み検討
・継続実施
・継続実施

3	
・ICF活用に向けた研修実施
・ICF導入可否判断	
・継続実施	
・継続実施
 
職員の不安、悩み、ストレスを解消するための仕組みを構築する
【園と本庁の取組】
1-1 本庁職員や園幹部職員による、現場で働く職員の思いを聞く場を定期的に開く。
1-2 職員が日頃の支援の悩み等を抱え込まないよう、寮内での意見交換の活性化や寮を横断した話し合いができる体制整備を進める。
1-3 障がい当事者の考えや想いの理解、園職員のモチベーション向上のため、当事者団体と連携した障がい当事者による職員面接を実施する。(再掲)
1-4 職員のやりがいや達成感、ストレス軽減に資する取組を、職員の意見を聞きながら継続的に検討する。
2-1 職員一人ひとりが各々の役割を理解し、意欲の向上を図るよう、園の事業計画(方向性)を共有し、解決すべき課題を確認する。
2-2 職員が貢献度を実感できるよう、事業計画に基づく達成度を定期的に共有する。また、解決できた課題や達成した目標について、成果や成功理由を共有し、職員の成長実感や自己肯定感を醸成する。

取組	令和5年度	令和6年度	令和7年度
1-1
1-2
・職員の思いを聞く場の実施
・寮内・寮横断した話し合いができる体制の整備	
・毎年実施
・毎年実施

1-3
再掲	
・障がい当事者による職員面接
・継続実施
・園利用者の協力	
・継続実施
・園利用者の協力

1-4	
・現場の意見を踏まえた取組検討	
・実施	
・実施

2-1	
・令和5年度は実施済
(6月に園長から全職員に伝達)	
・毎年実施	
・毎年実施

2-2	
・園内で共有(4半期ごと)	
・継続実施	
・継続実施
 
 利用者の望みを第一に考え、その暮らしや人生に寄り添う、当事者目線の支援を実践する人材を育成する
【園と本庁の取組】
1-1 全ての利用者について、入所前の暮らしの場を利用者とともに訪問したり、家族等から成育歴を聞き取り、その人の人生が分かるシートを作成する。こうしたシートの作成を通して、利用者の人生を改めて振り返り、利用者の人生を理解する。寮長は寮の利用者の、課長は課の利用者の、園長は園の利用者の人生を理解する。(再掲)
1-2 利用者と職員の関係性を考慮した人事ローテーションの在り方や、利用者の暮らしを中心とした人員配置について、現場の視点を踏まえ、検討する。
1-3 他施設の取組から学び、主体的に当事者目線の支援を考え、実践する職員を育成するため、当事者目線の支援を実践している民間施設との交流研修を実施する。
1-4 日常の支援を単なる「お世話」でなく、発達の視点、利用者の健康状況(人体の構造と機能)など、科学的根拠に基づいて展開される実践的行為と理解して習得できるよう、新たな支援を実践する人材を育成する。そのために、医療、看護、心理、福祉など、多分野をテーマとした臨床研修を検討し、実施する。
【本庁の取組】
2-1 利用者の暮らしや地域での活動をともに実感できるよう、本庁職員や園職員が施設や地域での生活を体験する研修を実施する。
2-2 障がい当事者の考えや想いの理解、園職員のモチベーション向上のため、当事者団体と連携した障がい当事者による職員面接を実施する。(再掲)
2-3 施設は、利用者の人生を支援する場であるという認識のもと、施設を運営する県の福祉専門職の人材育成の在り方の見直しを検討する。
 
取組	令和5年度	令和6年度	令和7年度

1-1
再掲	
・全利用者の人生の振り返り
(令和4年度に実施済)
・人となりシートの見直し(随時)
・随時見直し
・随時見直し

1-2	
・全職員を対象としたヒアリング(アンケート)による意見収集
・とりまとめ、検討		

1-3	
・交流研修の企画・実施(下半期)
・報告会開催(下半期)	
・継続実施	
・継続実施

1-4	
・研修企画立案、実施
・EBC導入注5検討開始	
・前年度評価
・継続実施	
・前年度評価
・継続実施

2-1	
・入所生活体験研修(下半期)
・地域活動体験研修(下半期)	
・年1回実施	
・年1回実施

2-2
再掲	
・障がい当事者による職員面接
・継続実施
・園利用者の協力	
・継続実施
・園利用者の協力

2-3	
・見直し検討	
・見直し検討	
・見直し検討
注5)EBCとは、エビデンス・ベースド・ケアの略称で、科学的根拠に基づいて行われる支援のこと
 
利用者の暮らしに合わせた人員配置体制や、利用者が暮らしやすい施設規模に見直す
【園と本庁の取組】
1-1 園と本庁は、利用者が望む暮らしの実現や利用者一人ひとりのリスクに応じた職員配置ができているか等、今の勤務割振、人員配置についての課題を把握し、全園での職員応援体制を再構築する。
1-2 全園での職員応援体制の再構築と並行して、園内で開催されている各種委員会や会議が何を話し合い、何を決める場なのか点検し、見直す等、業務の見直しを図る。
1-3 本庁は、先駆的な取組を行っている民間施設における職員体制や勤務体制を情報収集する。
1-4 上記取組を踏まえ、利用者が思い描く生活を叶える体制を検討し、園で試行する。
(利用者が暮らしやすい施設規模の検討)
2-1 本人の想いに沿った地域生活移行の状況を踏まえ、施設や寮の定員規模を見直す。
2-2 通過型施設として、当事者目線の支援が実践できる体制が整うまでの間は、入所ニーズは短期入所で応える。
2-3 施設規模の見直しに当たっては、民間のグループホームの設置支援や県によるグループホーム設置等、利用者の生活の場の確保に向けた検討を行う。

取組	令和5年度	令和6年度	令和7年度
1-1	
・寮ごとの現状分析
・全園での応援体制の検討・構築
 (下半期)	
・現状再分析
・体制再検討	
・現状再分析
・体制再検討

1-2
1-3
1-4	
・民間施設等の調査
・ヒアリング
・職員体制の検討、試行
・職員体制の検討、試行

2-1
2-2	
・地域生活移行の状況を確認
・新規入所の受け入れ停止継続	
・状況確認
・停止継続	
・規模の見直し検討

2-3
・先進事例の情報収集
・実態調査
・確保に向けた検討

(3) 全体のロードマップ
 
3 進捗確認体制
「県立中井やまゆり園改革アドバイザリー会議(仮称)」を設置し、定期的に第三者による進捗確認を行う。
進捗確認にあたっては、個々の取組の状況だけでなく、利用者の暮らしが豊かになったのかという視点で確認し、助言を得ながら、改善点や課題を明らかにして毎年度、アクションプランを見直していく。