第33回神奈川県障害者自立支援協議会 議事録 1 開催日時:令和5年3月1日(水)午前9時30分〜正午 2 開催方法:オンライン(Zoom)開催 3 出席者:出席者名簿(【資料1】)のとおり 4 議事 (1)  報告事項 ア 政令市・各障害保健福祉圏域の障害者自立支援協議会等の開催状況について  各障害保健福祉圏域(横浜市、川崎市、相模原市、横須賀・三浦、湘南東部、湘南西部、県央、県西)より報告。(【資料2】参照。) イ 研修企画部会・権利擁護部会の開催状況について    障害福祉課より報告。(【資料3】参照。) ウ 基幹相談支援センター連絡会の開催状況について    障害福祉課より報告。(【資料4】参照。) エ 神奈川県の意思決定支援の推進について    共生推進本部室より報告。(【資料5】参照。) オ 中井やまゆり園の支援の改善に向けた取組状況について    障害サービス課より報告。(【資料6】参照。) カ 地域生活移行支援の取組について  (ア)川崎市の地域移行の取組について ※情報提供        川崎市障害計画課より情報提供。(【資料7】参照。) (イ)かながわ地域生活移行推進人材養成事業について        障害サービス課より報告。(【資料8】参照。) (ウ)東京都自立支援協議会セミナーについて※資料提供(【資料9】参照。) キ 過齢児対策の状況について    障害サービス課より報告。(【資料10】参照。) ク 権利ノートについて    障害サービス課より報告。(【資料11】参照。) ケ かながわ医療的ケア児支援情報センターについて    障害福祉課より報告。(【資料12】参照。) コ 相談支援事業所開設促進事業について    障害福祉課より報告。(【資料13】参照。)     (2)  質疑応答・意見交換 ※発言者 ◎:会長  ●:委員  〇:県 ● 相談支援体制を強化していくこと自体に反対はないが、相談支援体制が整うだけでは現在の現場の課題は全く解決しない状況がある。相談支援体制の強化というのは、今の制度を形つくるためには非常に重要なことだと思うが、現場の人手不足ということが相当大きい課題となっている。相談支援体制を強化するにあたっても、それなりのキャリアと、それなりの資格が必要だと思うが、広い意味での現場の底上げにはなかなか寄与できていないのが現実だと思っている。  また、障がい福祉の大きな問題は、「どこで、だれと暮らすか」ということに尽きる。介護保険制度を含め契約制度ができて20年以上経過するが、地域でずっと保護者が多くの生活の時間をみている。その保護者が高齢化し、見られなくなってしまい、「どうしよう」という話しがでてきている。そういったときに「入所施設は作らない。」「地域で」となった時に、支援技術面ではなく、体制整備をきっちりと根本的なことを考えていかないといけないと思う。  意思決定支援については、例えば、知的障がいの分野では、支援の基本だと考えていて、「本人中心支援」や「個別支援」等、言葉は変わっているが、昔から本人に寄り添っていこうという支援が基本であった。それが、意思決定支援という言葉の中で語られるようになって、あたかも新たな支援方法や、価値観のように言われているが決してそうではないというとことを考えていかないといけないと思っている。   ◎ 今、おっしゃられたとおりだと思う。相談支援体制のことを考えるにあたり、実際のその現場の状況とのすり合わせや、現場の状況を踏まえてということはおっしゃるとおりだと思う。また、「どこで誰と暮らすのか」ということを中心に障がい福祉のあり方を考えていくということは、障害者権利条約の理念に沿ったものだと思う。「家族頼みからそして入所へ」というところで、行き詰まりが今出ているのであれば、きちんとした障がいのある人たちの地域で暮らすシステムを作っていくことは、同条約の第19条※のところにも関わるかなと思うが、地域で暮らす権利をどう保障するのかというところに、大きなものがあると思う。そして、神奈川でどう推進していくのかということは、本当に議論が必要だと思っている。  また、意思決定支援のありようについても、賛同しているところである。意思決定支援は、新しい取組ではなく、障がい福祉全体の根幹として、元からあったものである。それが一つ仕切り直しというか、先ほどから出ている条約との関係で、しっかりと制度の中に位置付けられてきた中ではあるが、変わってはいないということは本当におっしゃるとおりだなと思っている。そういったことを踏まえながら、県としても、今いただいたご意見を踏まえていただきたいなというふうに思っている。     ※ 障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約) 第十九条 自立した生活及び地域社会への包容  この条約の締約国は、すべての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有することを認めるものとし、障害者が、この権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に包容され、及び参加することを容易にするための効果的かつ適当な措置をとる。この措置には、次のことを確保することによるものを含む。 (a) 障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと。 (b) 地域社会における生活及び地域への包容を支援し、並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(個別の支援を含む。)を障害者が利用する機会を有すること。 (c) 一般住民向けの地域社会サービス及び施設が、障害者にとって他の者との平等を基礎として利用可能であり、かつ、障害者のニーズに対応していること。   ● 当事者目線の障害福祉推進条例を見せてもらったが、現実的に今住んでいる地域では実現が難しい部分があると思う。親を頼る部分が大きく、親が亡くなったら、今度は支援者を頼るという形になり、その支援者が病気などになり、支援ができなくなった際は、本当に生活が成り立たなくなってしまう。  また、障がい者自身も、歳を取っており、感覚としては、一般の方よりも歳を取るのが早い人が多いように感じる。歳を取ったことで、思うように身体が動かなくなり、仕事もだんだんできなくなってしまう。条例を見て思うことは、その実現ができる地域と、できない地域とで地域差があり、地域格差が進んでしまうように感じる。以前、新たに基幹相談支援センターや虐待防止センターができたということでその活動等に期待をしていたが、センターの機能について、一般的に認知度が低いように思えた。新しい条例をつくるにあたっても、「障がい当事者のため」となんでも一括りにすることはどうかと思う。  また、なかなか議題には上がらないが、今、障がい者の高齢化ということが身近な問題としてあり、歳を取ってきて、仕事を辞めて、「これからどうしよう。」という人が多くなってきている。  若い時はスポーツ大会などがあったが、なかなか支援の手があがらず、ボランティア不足などでなかなか開催されないようになったように感じる。また、病気になり、リハビリをする際は、身体障がいを対象としたものはあるが、知的障がいや、精神障がいには対応してないということもあり、今後、各圏域等でそういったスポーツ大会や、病気の際の対応、障がい者の高齢化について触れていってほしいと思う。      ⇒● 「障がいのある方の社会参加」というテーマでスポーツや、芸術活動、地域交流などとして取り上げることが大切だと思う。 ● これまで地域で相談支援体制の整備ということで何回か話し合っている中でも、やはり、相談支援専門員の不全感や、バーンアウト、辛さがある。先ほど他の委員がおっしゃっていたような、相談支援専門員がどんなに活躍しても上手くいかない原因や課題を挙げているが、なかなか本人と向き合いながら、本人の生活をきちっと地域移行させていけないというもどかしさみたいなものが根本的なところにあるように感じる。  今後の地域移行について考える中では、地域移行を進める中で、多様な生活スタイルの地域での暮らしの受け皿を、施設であったり、介護保険が行っているような多機能型のような拠点を地域に作り、安心して暮らしを選択し、自由もあるような形を地域の中につくっていくことが必要であると考えている。  また、人材育成においても、他分野との連携を強化する必要があり、そのためにも、福祉の狭い領域の中での言語化で共有している価値観に留まらず、医療や、教育など様々な支援を行う人たちと同じように話せるような共通言語を持った幅広いコーディネーターみたいなものを育てていくことが重要であり、そういった視点を持って、人材育成ビジョンについて考えて欲しいと思っている。 ◎ 相談支援専門員、その人が抱える手詰まり感というのは、その人のスキルといった部分だけでの課題ではなく、資源不足など、様々なものが詰まり、相談支援そのものの閉塞感みたいなものにつながってしまっていると強く思っている。そういったところについても、システムを整えていくことがないとなかなか厳しいものがあると感じる。 ● 権利ノートの作成について、すごく期待しており、是非活用していただきたい。また、長期入院されている方にこそこういった説明が必要だと思っている。また、相談支援専門員からの説明だけではなく、当事者の仲間からの説明の方が、受け入れがいいように感じ、そういった機会があればいいと思う。   ● @ 【資料10】過齢児移行対策会議の構成員を教えていただきたい。        ⇒障害サービス課 福祉施設グループより回答。  当事者の方は構成員としてではなく、「議事に関係する者」として意 見を伺っている。構成員については、【追加資料】「神奈川県過齢児移行対策会議名簿」を参照。     A 【資料13】のAサポートデスクの設置について、いつからどのような形態で設置運営がなされるかを教えていただきたい。また、県1か所で事業を行うと思うが、アフターフォローについては、地域の基幹相談支援センターや、圏域ナビゲーションセンターとの連携・協働が必須になると考える。        ⇒障害福祉課 地域生活支援グループより回答。  サポートデスクの設置運営開始の時期については、現在、サポートデスク 設置運営を受託する事業所を公募型のプロポーザルという形で募集をしている。事業者の決定後、令和5年度のできるだけ早い時期にサポートデスクの開設を行いたいと考えている。  また、基幹相談支援センター等との連携については、まずは、相談支援事業所の開設に関心を持っていただき、そして、その後の開設の流れ等について、フォローアップを行うということを考えている。この開設促進事業は、政令市も含めた県全域で実施をする予定となっているため、実際に、相談支援事業所を開設する地域等がある程度具体的に決まってきた時に、その地域の基幹相談支援センターや、圏域のナビゲーションセンターの方と連携をしてその後のフォローアップをしていきたい と考えている。     B 中井やまゆり園における支援改善に向けた取組の報告があったが、報告事項の他に、「当事者目線の推進事業」やコーディネーター等が活動をしていると認識している。しかし、それらについては触れられていない。各事業担当者が異なるという状況であるが、来年度以降については、関連事業の報告を一体的に行っていただきたい。      ⇒障害サービス課 運営指導グループより回答。        いただいたご意見を資料に反映した。(詳細【資料6】参照。)        ※ホームページへは更新版の資料を掲載。 (3)  協議事項  障害福祉人材育成ビジョンについて   障害福祉課より【資料15】について説明。    ● 事業所だけではキャリアが組めないことに対して、地域OJT体制というキャリアをもう少し広い意味で人材育成できるような考え方が持てないかと思う。また、今、現場では、ベテランの職員が減ってきており、いろいろな質を求められるような相談支援員はある程度のキャリアが必要だが、それに該当する人が現場から減ってきてしまい、現場力としての伝達が難しくなっている。そこで、例えば、課題解決が困難なケースの事例に対して、先輩職員の支援技術を蓄積し、現場で活用していける仕組みが全県でできないかと考える。例えば、支援力をビックデータとしての活用等。  また、人手不足の中で集合型の研修に職員を派遣することに事業所として躊躇してしまうこともあるため、人材育成の共通方法としてeラーニングのような仕組みが全県で取れないか。神奈川県全体でキャリアパスを考えていく。eラーニングを活用したキャリア構築はできないか。先ほどのOJT体制とキャリア構築が一体となる仕組みになればいいと思っている。現場の魅力を発信し、現場力を上げ、学生がこの業界ではどんなことが学べるんだろうかということを県として打ち出し、障がい福祉分野に行ってみようという気持ちになるような連動があるとよい。   ● 人材不足は、ピアサポーターにも言え、身体障がい者と精神障がい者のピア サポーターはいるが、知的障がい者のピアサポーターはあまりいないという声をよく聞く。また、ピアサポーターについて知る機会、ピアサポーターになる機会が少ないように感じる。障がい者の中にも福祉に興味がある人はいると思うので研修等について、障がい者が集まる事業所などでチラシを配ることは有効だと思う。  また、ボランティアの方からいつも「授業で聞いていたことと実際が違う。」と驚かれるので、実際の障がい者はこういう人たちなんだと知ってもらう機会が必要だと思うので、学校の授業の一環などから興味関心を示してくれる人がいるんじゃないかと思った。 ● 相談支援専門員の研修などで、実地研修等を行い、障がいを持っている方の普段の生活を見ていただく必要があると考えている。直接障がいを持っている人たちの生活を見てもらうことで、実際の支援体制を組み立てるにあたり役立つと思う。  また、ピアサポーターをもっと活用していって欲しいと考えている。ピアサポーターになりたい人たちは基本的に自分たちのことを伝えたいからやっていることが多いので、自分の経験などを伝えることに長けているため、実際に困ったこととか、生の声を聴くことができると思う。「障がい者が怖い」という声を耳にすることもあるが、知らないがために偏見等がでてくるので、やっぱりそういうところは先ほど話していたように、学校の授業などで、障がい者と触れ合うことで、将来的に理解が深まり、新しい人材の確保へとつながると考えている。      ● 相談支援、障がい者福祉の価値基準を考えると、多様性の尊重や、個人の権利、自己決定、意思決定支援など、人として持っている幸せの追求が基本となっていると考えている。「障がいだ」という発想自体が本来はあってはならないと思い、「障がい福祉」や「障がい者の権利」ではなく、「人としての権利」等、支援者が自分たちと地続きで考えるというところが、相談支援に欠けているように思うところがある。「障がい」というように枠の外に押し出すような分断的な発想ではなく、どんな人でも生きづらさを抱えることがあり、そういった人はたくさんいるので、「私たちは同じ人を支援するんだ」「一時的にサポートするんだ」という発想のもとの基本理念にして欲しいと思う。 ● 現場の人の負担をなくして欲しいと願っている。その上で、地域OJT体制に ついてものすごく賛成で、各事業所の創意工夫は必要ではあるが、それを後押しできるような「この研修を受けていれば自然とキャリアアップできる」、「事業所として自然に加算が取れていく」というような、計画であってほしいと思う。  また、人材確保については、学生のインターンシップのところから福祉人材に 引き込んだり、別の業種から採用できたらインセンティブがあるようにするなど、とにかく地域の人材を引き込めるような方針を定められたらいいと思う。 ● 全体的な意見として、障がい福祉の人材育成ビジョンも含めた各施策や取組については、担当課や部局などを跨ぐものであり、かつ、重なり合いも多く散見される。これらを有機的・一体的に運用するためには、各部局・課に横串を刺し、施策全体を俯瞰的視点で運用することが重要だと考える。 (4)  その他  ● 委員より質問事項:「当事者活動への支援・補助について」  精神障がいの当事者団体が行うフリースペースなどの活動は、人数や特性から市町村をまたぐ活動となってしまう。行政や社協などによる助成は、条件としてその市町の住民に対象を限ったり、年数制限があったりする場合が多く、助成を受けづらいため、広域で連携して供託金のような形で助成しているところがないか質問したい。条例にも活動促進の定めがあるため、もし、そのようなところもないのであれば、県や圏域でバックアップする仕組みを検討して欲しい。     ⇒● セルフヘルプグループの活動にて、イベントを開催するにあたり、社会福祉協議会の助成金を申請したことがあった。金銭的なものだけでなく、人的支援等を受けることができたこともあり、申請を行うことで、支援を受けられる制度がいろいろあると思う。  (5) 資料提供 ア 令和5年度当初予算案について【資料15】 イ 居住地特例について【資料16】 ウ 送迎・安全プランについて【資料17】 4 その他  (1) 委員の任期     令和3年7月1日から令和5年6月30日まで。 次回の本協議会にて委員の改選を予定。  (2) 令和5年度の開催予定     「障がい者計画」の改定年度のため、令和5年度は3回の開催を予定。 1